水野の図書室
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2021年03月07日(日) 深緑野分『福神漬』

料理を巡る極上の七つの物語「注文の多い料理小説集」(文春文庫)なら、期待するのはグルメ物語。
というのは、勝手な思い込みでしょうか。

深緑野分『福神漬け』はグルメ物語の対極にあるようなお話。
登場するのは、経済的に困窮する大学生です。
両親が営んでいた喫茶店が立ち行かなくなり、大学を休学。
コンビニと大病院の清掃員。ふたつのバイトを掛け持ちする日々。
特製肉まんか、売れ残りのあんまんか。
60円の差で安い方を選ぶのは切実。
お金がないって、悲しい。

コンビニで働いた後、大病院の清掃員のバイトに直行。
作業の合間の休憩時間に不思議な出来事が主人公に起こります。

歴史を振り返れば、グルメなんて、最近の言葉。
昔は生きるために食べていたんですよね。

福神漬を無性に食べたくなっています。



水野はるか |MAIL
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