水野の図書室
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2020年05月11日(月) 荻原浩『海の見える理髪店』

荻原浩「海の見える理髪店」(集英社文庫)は家族をテーマにした6編の短編集。
喪失と希望が軸なので、重い話の中にも明るい光が差します。

最初は表題作『海の見える理髪店』。
これは、2016年の直木賞受賞作品ですね。

評判を聞いてわざわざ遠くの海辺の理髪店を訪ねる「僕」。
店主は饒舌でこれまでの人生を語り出します。

こんなおしゃべりな店主、いないわよ〜と思いながら、僕と店主だけの理髪店をそっと覗いているような気分になっていきます。
ゾワッとする告白があり、最後に、あ〜やはり、と。

何かを失いながら、それでも、悲しんでばかりはいられないのが人生。
言いたいことすべてを言葉にする必要もありません。
言わないことが相手への思いやりになることもあります。

表題作で満足しましたが、あと5編あります。


水野はるか |MAIL
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