日記

2006年08月20日(日) 『(タイトルがやっぱり決まらないのはいつものことで)』



ごぎゃー。どんだけ日記さぼってたですかもえぎさんー。
えらいこちゃ。えらいこちゃです。ごめんなさいごめんなさいいやほんとごめんなさい。


こういった謝罪の言葉は連呼すると一気にうそ臭いのは何故でしょう。もえぎです。
そうとは知りつつ連呼せずにはいられません。申し訳ありませんでした。
や。まあその、色々あったのですけれど。
第一に挙げる理由は、『エピ3がまとまらない』でしょうか。
考えて。考えて。頭悪いなりにたくさん考えてみたのですけれど。
どうしても上手く表現できる言葉が見当たらないのです。
それでついつい塞ぎ気味になってしまいました。
いまだに言葉は見つかっていませんけれど浮上することにしました。
それもこれも、昨日、とっても素敵なトークをいっぱいお聞きできたからです。
エイプリルフールに世のゼノサイトさんは全て接触者対存在サイトになるべきですね(笑)
次の日、何事もなかったように通常営業に戻ってもかまわないのです。
一日だけでも良い。夢を見させて。
そしてメイド喫茶や執事喫茶があるなら接触者対存在喫茶があっても良いはずです。
昨日はありがとうございましたー!!
細かなことはまた後日に…拍手のお返事も含めまして。
これこそ本当にごめんなさいです(ぺこり)

で。まとまりきらないうちに、こんなの書いてみました。
突貫工事の二時間半といったところです。
読み返していないのであちこちおかしいだろうとは思いますがそれでもアップです。
後日、またほつほつなおしていきたいと思います。
以前こそこそやっていた、『お菓子で接触者対存在10のお題』。
あれのおまけみたいなものです。
『追加だ!お菓子で接触者対存在+5のお題』の第一弾です。
以前日記で、ちょっと思いついたので後日おひろめしますとか言ってたのはこれです。
いいかげんしつこいと言われようが。
世間様では大半が嫌われていようが。
それでも地球は回っているみたいな勢いで、わたしはあのふたりたちがだいすきです。
当サイトは、いつまでもいつまでも接触者対存在を支持し続けています。





『(タイトルがやっぱり決まらないのはいつものことで)』(蜂蜜。原初。)

 遥かに遠い砂漠の果てに、まるでそこだけ絵画から切り取られたような、砂塵にまみれる場所に全く似つかわしくない荘重な宮殿がありました。精緻な彫刻や金銀宝玉の象嵌された神殿などを保有し、中庭には満々と冷えた水をたたえた泉さえ備えておりました。ある意味とても不自然な場所でしたが、そのことを指摘するものはいませんでした。それよりも、これこそ母のもたらす奇蹟よと讃えるばかりでした。げに、不自然な場所でありました。
 けれどそこにも、自然な。ありのままの、天衣無縫なものはありました。

「あ゛ー…つ゛ー…い゛ぃー…」
 よく風が通り、宮殿の中でも特に涼しいはずの部屋に、今は微風さえありません。うんと背の高い椅子に腰掛けて、床にちっとも届かない小さな足をぷらぷらさせる元気もなく、アベルは頬をべちゃりと机にくっつけて、暑さにあえいでおりました。いつもでしたらはきはきとものを言い、殊、勉学の時間においては次々と可愛らしい声で質問をしたりして、勤しみますのに、今日はそんな気力もないようです。すっかり熱にやられてしまったのでしょう、余りの暑さに目を回しかねない様子です。
 その傍らで、どうしたものかと困惑しているのは、色素の薄い髪に金褐色の瞳をした、よく出来た彫像のように整った相貌をした青年です。いつものように、小さなこどもとの約束である勉学を教授に部屋を訪れたのですが、彼が辿り着いた時には既に、こどもはすっかりこの状態だったのです。
 カインは法院の中でも最高の権威を与えられ、本人もその地位に相応しい、素晴らしく聡明で高潔な人物でした。けれど、いくら博学な彼であっても、こどもが暑さにふらふらなのを、どう解決すべきなのか、という知識を持ってはいなかったのです。どうしたのかとこどもに問いかけてみても、不明瞭なうわごとのように返してくるばかりで、彼は考え込むばかりです。取り敢えずこどもの側にある椅子に腰を下ろしながら、カインは冷静に状況を分析し始めました。
 確かに今日は、砂漠の宮殿にあっても、特に暑い日でした。風が機嫌でも悪くしたのか、ぴたりとも動く気がありません。彼自身、玉のような汗を浮かべていましたし、暑いとも感じました。けれど暑いと言ってもそこまでで、動けなくなるほどではありません。おさなごのように、いつもより顔を赤くして、眉間に皺まで寄せてぜいぜい言うような状態を理解することができないのです。
 じっと黄金の眼差しで、弟のようなこどもを見やりますが、どう見ても苦しげです。けれど彼にはなすべきことが分かりません。多くの人々からその博識さを讃えられながらも、実際、苦しむこどもを前にして役に立つことがカインの脳裏をかすめることはないのです。それが彼には唇を噛みそうなほど口惜しく、己の無力さに苛立つのでした。なにが天帝ぞ、と課された名に腹立たしささえおぼえるのでした。
 そして、彼が拳を固く握り締めかけたときのことでした。
「あら、カイン。もう来ていたのね。アベルの様子はどう?」
 ふ、と。室内に涼やかな風がもたらされたような気がしました。優しい清流のような声の持ち主は、おさなごの対たる、暁の紅でした。
「母よ」
「今日はとても暑いから…アベル、すっかりゆだっちゃってるわね」
 何やら色んなものを載せた盆を手に、二人のもとへ近寄ると、それをことりと机に置きました。そして雪白の指をアベルに伸ばすと、痛ましげに頬へ触れます。エレハイムの手が冷たいのか、一瞬こどもは口の端に欠片めいた微笑を浮かべましたが、すぐさまそれも消えました。
「母よ。アベルは一体」
「子供はね、大人よりも熱をためやすいの。それに、体も小さいから、すぐに体中熱に支配されてしまう」
 おさなごを熱から救ってやる方策を見出すことができずにいたカインは、率直に母へ質問をぶつけると、エレハイムはそれにすらすらと答えてみせる。カインの疑問を一つ一つほぐしてやりながらも、働き者な手を休めることはなく、何やら素焼きの水差しを手に取ると、中身を同じく素焼きの皿に移しかえていく。余り深いとは言えない皿いっぱいに水をそそぎきると、彼女は皿に手を添えにこりとカインに微笑みかける。
「だから、中から冷やしてあげないと」
「中…?」
「さあ、アベル。暑くて動けないだろうけれど、ちょっと目を開けて見て頂戴?」
 悪戯っぽい母の笑顔の真意に気付けず、おうむ返しにするカインに、また少しくすりと微笑みながら、エレハイムはおどけた調子の声で呼びかける。大好きなエレハイムに頼まれて、瞼を持ち上げるのさえ億劫そうなアベルがよろよろと目をこじあけて映した光景に、黒曜石の瞳は真ん丸に見開かれました。

 素焼きの皿に満たされた水が、エレハイムの手によって、勢いよく中空にばら撒かれました。きらきら踊る無数の飛沫はまるで豪奢なシャンデリア。水の柱がまるで竜めいてうねるように舞うと、その内に煌く太陽の残滓が潜んでいるようで。今にも三人の頭上に小規模な慈雨が降り注ぎそうな瞬間、暁の紅たる娘は手の平をかざしました。
 邯鄲の間。アベルの目の前で、穏やかなウンディーネは凍てつく氷柱となりました。

 ごとり、という重たげな音が皿に着地するのと、幾つかの小さな氷の粒がアベルの頬を打つのは同時でした。粒はすぐさましゅうん、と溶けてしまいましたが、大きな柱が消えることはありません。そして、おさなごの瞳の輝きも、消えるわけがありません。
「凄いやエレハイム!きれい、とってもとっても綺麗だったよ!!」
「ふふ。それは良かったわ」
 先程まで、熱にやられてぐったりしていたとはとても思えないほどに、アベルは飛び上がらんばかりに体を起こすと、氷柱にも負けないきらきらとした黒曜石でエレハイムを見つめます。その頬の赤味はまだ薄れませんし、口調もややおぼつかなくはありますが、最初に比べると随分しっかりした様子です。
 咄嗟のことに言葉もないのはカインでした。何をすべきかということすら考え付かず、おさなごを見つめることしかしなかった自分に対し、母はまるでそれこそ奇蹟のように、アベルを熱から解放した。単純な、たったあれだけのことで。愕然としているカインの前で、ふたりはさも楽しげに言葉を交わしています。
「エレハイムは凄いなあ…ぼくの魔法じゃ、あんなことできないもん」
「凍らせたり、燃やしたり、ということ?」
「うん。ぼくの力って、あんまり皆の役に立たないよ。まだ下手だし…」
「そうかしら。私はアベルみたいな力が使えないわ。癒しの力だってそう。凄いことよ」
「うー…ん。でも、やっぱりエレハイムのほうがきっといいよ」
「ふふ。きっと、いつかアベルにも分かるわ。あなたはあなた。それで良いの」
 そうして暫くすると、ごりぞりという不可思議な音が発生し始めました。訝しげなアベルとカインの前で、エレハイムは小刀を手にすると、氷の柱を少しずつ削り取り始めたのです。ここまできて、漸くカインは母の口にした『中から冷やす』という言葉の意味を理解しました。
 よくよく母の持ってきた様々な道具を見やってみれば、小さな壷が二つに、小皿が幾つか。匙も同じように。そして壷の一つから漂ってくる香りは、鼻腔をくすぐる、あまい、余りにもあまい。
「ねえ、エレハイム。せっかくひえひえしてるのに、氷、壊しちゃうの?」
 彼女の行為が何を意味するのか、まだよく分かっていないおさなごは、せっかくの涼しいものがなくなってしまうのではと不安げです。エレハイムは大丈夫よ、と微笑みますが、それでもどんどん削られてゆく氷柱に、アベルの表情は晴れません。そんな暗雲を吹き払うには、完成した『答え』そのものを、ことん、と差し出してやれば良いのですが、エレハイムは氷を相手にやや苦戦しているようで、こどものもとめるそれを、すぐさま与えることができません。
 がりがりと引っかいてはみるのですが、彼女が求めるような『できるだけ細かい氷の粒』はなかなか生じてくれません。力加減に問題でもあるのか、出来るのは比較的目の粗い欠片ばかりです。これにはエレハイムも少し困り始めました。早く、早く差し出してやりたいのにと、気持ちは急くのですが、小刀を使いあぐねてしまっています。すると、彼女の手にそっと添えられるものがありました。触れた、少し無骨な感覚にはっとして、顔を上げたエレハイムの前にあったのは、自らのそれよりずっと大きな、カインの手の平でした。自分自身、驚いているらしい金褐色の瞳に、彼女は大輪の微笑を浮かべました。
「カイン」
「お役目、我がなしましょうぞ。母よ」
「そうね。正直、私は降参しちゃいそうなの。なかなか難しくって」
「刃の扱いならば、母より我が得手にありましょう」
 何処かぎこちなくはありましたが、青年は重々しい口調で母に伝えると、その手から小刀を受け取りました。そうしてカインが手にした途端、卓越した手さばきと、充分な力によって、氷柱はみるみるうちに細かく削り取られてゆき、あっという間に雪のようなものがうずたかく皿に積もってゆきました。
 積もる側から、エレハイムはそれをせっせと小皿に移し、壷からとろとろと蜜を注ぎ始めました。金色の蜂蜜が氷に染みこんでゆくのを、アベルはまばたきもせずに見入っています。顔中が好奇心とよろこびで溢れんばかりになっています。
 最初に、蜜を。それからもう一度氷を。また蜜を。最後に、もう一つの壷からミルクを注いで。そうして。

 ことり。と。匙を添えて差し出されたミルクたっぷり蜂蜜かき氷に、アベルが幼い歓声をあげたのは、本当に自然な話で。
 待ちきれないように、はくり、と一口含んだ途端、ぱあっと広がるあまさとつめたさに身も心も潤って、花開くように笑みが咲き乱れたのも。あんまり急いで食べるものだから、頭がきーんとなったのも。それをくすくす笑うエレハイムが優しく諭してやったのも。最初は慣れない甘味におっかなびっくり食べていたカインさえも、快い冷たさとほのあたたかさに包まれて、軽く笑みを刷いたのも。
 あついあつい砂漠の昼下がり。三人がのんびりと冷たい甘露に微笑をもたらされたのは、酷く不自然な宮殿において、それこそ奇蹟のように自然なことでした。けれども宮殿を目の当たりにする誰もが、こちらの奇蹟を讃えることは決してありませんでした。
 あたりまえのことがあたりまえでないことのおかしさに、誰も気付かないなんて。


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