| 2005年05月01日(日) |
『ハッピーライフジェネレーター』 |
久し振りにゆっくり眠れました……ねむることができました。 眠りたいと思って眠れることがこんなに嬉しいこととは。
こんばんわ、ひそひそこそこそリハビリ中。もえぎです。 しかしわたしリハビリに使用するのがポップンてどういうことなのでしょうね。 書きやすいというわけでは―…際立って書きやすいというわけではないのですけれども。 わたしの文体に、かなり大きな幅と変化と語彙を加えてくれたジャンルなので。 書いちゃいけない人たちを、リハビリとして書くというのも妙な話です。 まあ名前は極力出さないようにしていますけれどね。 明日書くとしたらなんでしょう。ジャンルはポップンから離れそうですが。 うーんうーん……FF6かなあ。 FF6で一つ書きたいことがあるのですが、それを書くには補足話がいるのです。 そのためのお話。世界崩壊後、仲間集め中のセリス。 うわあFF6をお話として書くってわたしおそらく初めてですよ! あの頃は『話を書く』とかそういった概念自体がなかったので。 上手く、書けるかなあ……かなりはらはらしています(笑)
そんなこんなで本日のリハビリ。 なにやらわたしの書くポップン話ってあまりポップンじゃない気もするのですが(笑) それでも一応ポップン話。パリと徹夜と渋谷系。
『ハッピーライフジェネレーター』(ネオアコ二人 in Paris)
遅めのランチは徹夜明け。ブレックファーストさえ兼ねていて。 ねぼけまなこでもそもそ食べる、無言の二人佇む部屋の窓からアコーディオン。
「……ねえ、相棒」 「なにさ、相棒」 「僕と君は二人ユニットなわけじゃないか」 「そうでなきゃどうしてこんな強行軍で曲作りに励んだりするのさ」 「だから僕は相棒として君にこういう時きっちし言うべきと言うかいっそ突っ込むべきなのが相棒というものの務めだと思うんだ」 「前置き長いよ。で、どうぞ、相棒殿」
ねぼけまなこなのはどっちもなのだろうけれど。重々しげに話題を切り出したココアの髪の青年は、ねぼけまなこすぎていっそ据わっているようにさえ見える目の前の相棒に向かい、事務的にもそもそと口を動かし、けだるげにバターナイフを動かす相棒に向かい、ゆっくりと言葉を選んで。告げた。
「……そのフランスパンの食べ方おかしいよ」 「やだなあ、知んないの?これがシャンゼリゼじゃア・ラ・モードなんだよ」 「そんなパリジェンヌ見たことないよ」 「下駄で歩けば出会えるかもよ」 「あのさ、別にスライスすること自体は問題ないと思うんだ」 「流石にまるまる飲み込もうっていう気概なんてもの僕にはないね」 「ただ横なら分かるさ。でも唐竹割みたいに縦にスライスするのはどうかと思う」 「綺麗な断面だと思うけど?真っ二つでさ」 「真っ二つのそれをそのまま口に運んで端から食べてる光景が目の前で繰り広げられてご覧よ」 「しかも徹夜明けで」 「確信犯か」 「気の長いポッキーみたいなものさ。それにこうしたら断面だってよく見えていいじゃないか」 「その断面へ地層になりそうなくらいピーナッツバター塗りたくるのはどうなのさ」 「それは――」 徹夜明けのお昼過ぎ、お互いに不毛とも思える会話をやる気なくラリーしていると、ふいに黒髪を短く揃えた、フランスパンの彼が言葉を詰まらせた。相棒からの突っ込みに、初めて彼はけだるい表情をぴたりと停止させ、策謀めいたものをいつもたゆたわせている飄々とした瞳に、ちかりとかすかな光を灯した。
曲そのものは作りたい。意欲もアイディアもはちきれそうになっている。しかもとっとと仕上げたくてたまらない。そしたら明日から完全無欠に予定はフリーになるのだから。そのためなら連日連夜の徹夜だなんてむしろ諸手を上げて迎え撃ってやる。そんな気持ちだから、別に苦痛というわけではないこんな日々。でもまあ、なんとなく疲れて少しいらいらするくらいは仕方ないのだと二人とも思っている。 だって明日は、二人の可愛いお嬢さんが、トリコロールの地に舞い降りるのだから。
だからフランスパンの彼は、口いっぱいに頬張っていたそれを、そっと皿におろすと、伏し目がちになって。目いっぱいの不満さをそのまま表に出すでなく、ほんのり相棒から目をそらすと、唇を僅かに尖らせた。ふてくされたように。 「――彼女の好物なんだよ」
それを聞いて、やや目を丸くしたココアの髪の相棒は、次の瞬間にまりと人の悪そうな笑みを浮かべると、そっと攻撃を開始した。もっともそれは、じゃれあいながら罪のなすり付けするようなものではあったけれども。 「そもそもさ、君が直前に花柄の車とか言い出すからこんなに予定が切羽詰ったんじゃないか」 「ショコラティエ巡りでちっとも五線譜埋めなかったそっちの責任放棄されちゃ困るね」 「リムジンもキャンセルしたし。車の手配だって全部僕にやらせてさ」 「この観光シーズン真っ只中に、二人分のチケット確保した功労者が誰か忘れてない?」 「チケット代は折半だろ。それにエア・メール書いて送ったのは僕だし」 「バレンチノとバレンチナに感謝しなよ」 「せっかく曲書いたのに歌詞仕上げるの遅いし」 「とっくに仕上げたよ。ただあの曲書いた作曲者殿が無茶なキーを強いてくるからさ」 「普段から練習怠ってる所為だろう」 「何せ嫌いな言葉は努力だからね」 これだけけんつく食らわせながらも、テーブルとご飯を囲んで向かい合う二人の表情に笑みが絶えることはなくて。それは大層シニカルで、企み蠢く、お世辞に清清しいとは呼べないものであるけれども。彼らの脳裏にそれぞれつまびらかに浮かび上がっている、それぞれの娘さんの姿が、彼らをたまらなく幸福にしていた。 だからそのうち、どちらからともなく皮肉まみれの遣り取りを終わらせると、そっと席を立つ。同時に顔を合わせると、やっぱりシニカルに目を眇めると、口角を上げてみせる。 「とっとと終わらせようよ」 「はなからそのつもりさ」
言葉にもならないくらい満ち足りた幸福だから。体中から吹き出して、おかしくなってしまいそうに幸せが零れ落ちかねないほどだから。それに、彼らだから。 そんなよろこび口に出して誰にだって教えてやるもんか。
さあ二人の娘さんが、エア・ラブから飛び降りてくるのは。もう。明日。
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