またも妙な間をあけてしまってすみません。 そして案の定無理でごめんなさい。
もはや弁解する気力すら。もえぎです。 ううう、いちいち駄目管理人全開で申し訳ありません。 何もこうもちからいっぱい駄目であろうとしなくとも。 それでもこんなんになってしまうのですからつくづく駄目ですね。 しかも何よりもひれふして謝罪せねばならないのは拍手のお話でしょう。 結局更新することが出来ず(前後編なのに!) スランプだなんて詭弁にすぎません。 気分悪いとか凹み気味だとかなんてのも詭弁です。 ですからひらに。申し訳ありませんでした……!
そんなこんなで。内心しくしくしながら、お話の続きを。 先週、途中まで引っ張っといて結局更新できなかった外套さんと姉妹のお話。 それの後編を、こちらにのっけておきます……。 うわあんこのヘタレめー。
『遠距離ひみつごっつんこ・後編』(緋外套と三姉妹)
「行かれましたよ」 「…………」 外套者がぼそり、と小さく言葉を発すると同時に、おそるおそるといった風情で動く姿執務室にありけり。総帥の執務机の影に潜んでいた、さっきからこの部屋を探訪している娘たちに、非常によく似た娘。その体を必死に縮こめて、なんとか姉妹たちの追及の目から逃れようとしていた。 最早言うまでもない。ラインの三姉妹、次女であるヴォークリンデである。 「これで暫くは、御二方もここへ訪れはなさらないでしょう」 「…………」 やや安心したように、ふわり、と身を中空に浮かべる。しかしその眼差しは依然落ち着なくきょときょと辺りを見回しているし、体も緊張して強張ったままだ。 話は簡単。以前うんと非難を浴びた、単独での主訪問。なのにヴォークリンデはまたもその行動に出てしまって。執務室で、他の二人がしたような会話をしている最中に、フロースヒルデのやってくる気配がしたものだから、ヴォークリンデは咄嗟にその場に隠れてしまい、緋外套は思わずその場に匿ってしまったのだった。 どうも彼女はそれに対して、またも後ろめたさでも感じているのか、その表情は晴れない。 「……嘘を」 「二の姫?」 「嘘を、吐いてしまわれた…貴方に、吐かせてしまいました……」 「貴女の所為ではありません」 「緋の、衣殿」 「はい」 「御伺いしてもよろしいですか?」 「何か」 「貴方はなにゆえ、私にこうも良くしてくださるの?」
真摯に訊ねてくる電子の瞳は、それでも澄んでいた。その問いは、かねてから彼女がずっと不思議に思っていたことであったから。そして、どれだけ優れた彼女の電子頭脳をもってしても、解答を得ることの出来なかった難解な問いだった。 彼女を匿う利点などない。嘘まで吐いて誤魔化すほどの事柄でもない。だのに、この緋色の外套者は、いつもの無機質な口調で、それをやらかした。もしもこれがばれた場合、他の姉妹たちから憎まれるおそれがあるやもしれないというのに。そのようなリスクを負ってまで、彼はヴォークリンデを匿った。 前もそうだった。今回のように、主の姿が部屋になく、少しうなだれてしまった彼女を、緋外套は解り難くくるんでやるように、そっと声をかけてやったのだった。そんな風に、彼は往々にしてヴォークリンデをいたわるような行動に出るのだった。それが彼女には、不思議で不思議でならなかった。 後から言葉を付け加えることもなく、ただ幼子のように一心に見つめてくる乙女の眼差しに、外套者は仮面越しであるという理由だけでなく、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「――貴女は、自らが抱いていた数多の命を救えなかったと、御思いのようですが」 よく通る朗々とした声音が意味する所に、ヴォークリンデはびくりと肢体を硬直させた。姉妹の中で彼女のみが知る、喪失と絶望の冷たさを思い出したのだった。自分で自分を抱き締めるように腕を回し、更に体を小さく緊張させてしまいそうになった時、予想外のそよ風がふわりと彼女を包み込んだ。 「貴女が護り通した僅かな命に、感謝している者もいると言うことですよ――」 顔など見えない仮面の向こうで一瞬。ふ、と何かがやわらいだように、彼女は感じた。
「それに」 まだ、彼は続ける。心なしか、その口調が柔らかなものを帯びたように思われた。ぱちくりと目を見開いているヴォークリンデが、瞬きもしない前で、言ってみる。 「私は嘘など申し上げておりません」 「けれど、フロースヒルデの問いかけに…」 「確かに三の姫は問いを放たれた。しかし三の姫は『何人』と申された」 「はい。『何人たりとも訪ってはいまいか』と」 「失礼ながら、貴女がた姉妹は、厳密に申し上げれば『一隻二隻』と呼称するのが正しいかと」 「……あ」 「ゆえに。私は嘘など申し上げてはおりません」 言外に、貴女が気に病む必要はない―と含ませながら言い切る緋外套の思いを感じ取ることが出来て。けれど何処かしらいいわけじみた、子供っぽい言い方が、なんだかとても可笑しく思えてしまって。ヴォークリンデは遂に、整った相貌へ淡い笑みをうっすらと刷いた。 その微笑に、彼は仮面の向こうの藍色の瞳を細めた。 誰にも見えないそれは、とても久し振りに彼が浮かべた笑みのようなものだった。
後に、彼女らの主が帰還しても、二人のやり取りは誰にも内緒だった。
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