日記

2004年06月29日(火) 報告書1



―…クリアから一晩経って、漸く、少し、落ち着いてきました。
それでもまだ胸の奥でタールがぶすぶす黒い煙でくすぶるような嫌な感覚。


こんばんわ、もうちょっとだけ、報告をしてみます。もえぎです。
クリアしてすぐ、浮かんだ表情は『無表情』でした。
けれどそれはただなにもないだけではなく、混沌としたものでした。
絵の具で黒色を使いたいとき、用いる選択肢が純粋な黒色だけではないこと。
様々な絵の具を無茶苦茶に混ぜ合わせて出来上がる混沌とした黒もあるということ。
わたしの浮かべた無表情はありとあらゆる感情がごっちゃになった上での。
混沌とした、無表情。

笑い声を上げなかったのはそれがすぐ狂った哄笑になると思ったから。
悲鳴を上げなかったのはそれがすぐ絶望的な咆哮になると思ったから。
どちらもしなかったのはどちらもがいずれにせよ激甚な怒号になると思ったから。

『滅べ』と言われているような気がしました。
ED後、ぼんやりしていると、窓枠が優しく誘うかのようでした。
『私に足をお掛けなさい』と。
わたしに滅べと仰せなのだと思いました。
一瞬本気でサイトを閉めたくなりました。
昨夜、あちこちのサイトさんで感想を見て回り、癒されました。
ああこんな気持ちなのはわたしだけではなかったと思い。
そのお陰でやや立ち直りはしましたけれど。
(特にチャットではありがとうございました……!!)
色々なものが語る以前の問題です。ので、感想を一言で表すと。

『なぜ、こんなひどいことを?』

上手な素人より下手な玄人と申します。
しかし、それにしても、これは、まがりなりにもプロとして酷すぎると思うのです。
イベントの演出に何度か眉をひそめました。
音楽の使用方法に幾度も顔をしかめました。
台詞回しには悪意さえ感じられました(特にシオンさん)
町の人の台詞もそう。ゼノの空気が悲しいくらい感じられませんでした。
あの底抜けの軽薄さがわたしにはどうしても理解できませんでした。
ゼノの台詞は心地良い荘重さがあり、世界を繋ぎとめる錨のよう。
けれどそれが重苦しくはなく、時に茶目っ気もまじえたそれがたまらなく好き。
なのに今回は町の人の言葉は表層を漂泊しているに過ぎませんでした。
わたしはゼノがとてもとても大好きなのです言葉が追いつかないくらい。
ですから、無思慮に酷い言葉を用いたりすることはとても嫌なのです。
けれど、どんなにどんなに考えてみても納得がいかない。
ゆえに今回は。愛するがゆえにやや辛辣にさせて頂きます。
ゼノに憎しみなど抱いたことはありません。考えたこともありません。
それでも今回、わたしはともすれば憎悪に乗っ取られそうになりました。たびたび。

ゼノは、『ありとあらゆるものを与え、ありとあらゆるものを奪い』ました。
エピ2は『苦痛のみを与え、ありとあらゆるものを奪い』ました。
この差は歴然。
ゼノの魅力といえばなにをおいてもその物語性でしょう?
なのにこの魚のぶつ切りみたいにてんでばらばら寸断された展開はどういうことです。
まるで『バラバラのカガミ』。しかも繋ぎ合わせても一枚にはならない。
音楽は、梶浦さんにはなんの罪もありはしません。
ただ光田さんの偉大さとその存在への身の焦がれを思い知らされました。
根本的に音楽が世界観に不向きなのです。
叙情的な場面にエレキギターが強すぎて場の雰囲気がめちゃめちゃだったり。
場を茶化すようにされて悲しくひいてしまったり。
とにかく壊滅的に合わなかったのです。
慣れ、というものを期待しましたが駄目でした。
最後までわたしはイベントにおいて一度も鳥肌を立てることはありませんでした。
涙なんて欠片だって浮かびませんでした。同様に笑顔も。
まるで、場面と音楽が、分離してしまった卵とバターみたいで。
いくら混ぜても混ざらない。解離したままそのまんま。
撥水加工が施されたようにお互いにはじきあって、全然体に馴染まない。
光田さんの場合は、あまい雨上がりの露のように、しっとり肌に馴染んだのに。

唯一向上していたのは映像やもしれません。とても綺麗です。
けれどわたしは、EDまで一度も『綺麗な微笑』を見てはいません。
特にケイオスくん。
ケイオスくんって、いつも穏やかに薄い微笑をたたえている印象があります。
なのに今回、全くケイオスくんの微笑を見たおぼえがないのです。
これに関してはシオンさんも同様でした。
リアル路線にすることにより、感情表現が豊かに、とスタッフさまは仰せでした。
でもわたしはエピ2で殆ど感情を感じられませんでした。
エピ1のほうが遥かに表情豊かだったように思います。
―…どうしてスクウェアが、エニックスと合併せざるを得なくなったか。
それを鑑みれば、おのずと答えは出たはずです。
これじゃあ何故モノリスソフトが創設されたのか解らなくなってしまいます。
モノリスはですね、一言で表すならば、『誠実』だと思うのです。
なのに。今回、それにヒビが入ってしまったようでした。

ただひたすらにつらかった。自分のことなどどうでも良かった。
ただ彼に会いたくて、プレイをやめると恐いことをたくさん考えてしまいそうで恐くて。
何かに急かされているのに、脅されているように、びくびく怯えながら続けて。
気がつくと二日以上食事抜きでろくに睡眠も取らず二十一時間以上連続プレイ。
その果てに待ち構えていたのはただ『なにもない』でした。
アトレーユが見たのは多分こんなだったでしょう。
微熱だろうが、目眩だろうが、立ちくらみでその場に倒れるように座り込もうが。
体力が落ちて半時間も立っていることが出来なくなろうが。
必死になって二年以上挟まれたままだったしおりの先を読み進もうとした。
なのに―…

殺戮マシーンになることを求められているような気がしました。
小野不由美さんはコラムで、FF5の時点で既にそう感じてらっしゃったそうでしたが。
世界も宇宙も人物も自分自身も、全てが記号と数字にされたようでした。
わたしの嫌うそれにならなければ読ませない、と突きつけられて。
だからわたしはひたすら苦痛を感じながら読み進み、辿り着いたのは。
『なにもない』。

このままでは、エピ2は、任天堂におけるバーチャルボーイになります。
(=忘れたい過去。触れられたくない過去)
このままでは、サーガは、わたしの最も嫌うことを求めてくるように思います。
ですから。お願いです。お願いですから。
ユーザーに、『こんなことをやらされるくらいなら死んだほうがマシだ』
なんて思わせないでください……!!





監督、監督。どうかお戻りを。タスケテクダサイ。
それともわたしがいけないとお思いですか。あんな祈り方だったからと。
わたしがした黄金の光輝への『お願い』なんて他愛もなさ過ぎましたか。
他の誰かの『お願い』のがより強くて、それが叶えられたのですか。
これが最大多数の最大幸福なのですか。
ならば。どうしたら。


延々続く無表情。
声も音も何もなく、ただ、無表情な涙が頬を伝うだけ。


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