| 2004年06月17日(木) |
『ロンリィ・アプフェル・オラクルズ』 |
むちゃくちゃ歩き回った二日間。どういうことだ。 『きっと今日はすやすや眠れるよ』と言われても嬉しいやらなんやら。
こんばんわ、お泊りサーガムービー鑑賞会及び塊大会終了しました。もえぎです。 うをー、足がだるいー。筋肉痛の予感が切ないです。 でも楽しかったです。塊対戦魂。燃えました。 3D酔う酔う言うてた侘助嬢が一番あくどいプレイをしたように思います。 無力に見せかけておいて、ここぞとばかりに塊ぶつけるのを狙ってきます。 恐ろしい子です。返り討ちにしたりされたりしてました。 それにしても塊は、やってると実に性格が出ますね……(笑)
サーガも鑑賞会でした。やっぱりシオンさんとコスモスの協力技はギャグです。 『要所要所、きちんと押さえているのだが何かが根本的に間違っている』 という評価に落ち着きました。いや、大好きですけれどねあれ。 うあーあー、あと一週間ってどういうことですかー。 このテンションの平静さは何なのでしょう。 積み木ですか、彼の姿が確認されていないからでしょうか(笑) ひとつでもなにか、わたしにとっての朗報があればなあと思うのです。 たとえば『エピ2、カトマサさん参戦確定』とか。 この一報があるならば、わたしは瞬く間にハイテンションでどうなっちゃったってです。 カトマサさん参加されませんか…お願いできませんか……。 千年祭の不在という悲しみをどうにか埋めて頂けませんかカトマサさん。
で。お題です。あと一週間でお題三つは流石にきついので急いでいます。 本日はマフィンでゴーです。意外に時間かかりまして、二時間くらいで。 他のお題はだいたい一時間ちょっとなのですが。 どこがどうしてどこが長くなったのか原因不明です。ううむ。 そして今までのお題と違い、なぜか題名がすんなり決まりませんでした。 というわけでかなり適当なタイトルになってしまいギャアです。 すみません、これこそ、変わる可能性極めて大です。 これでお題は残りふたつ。クラムっておいしいですよね。
『ロンリィ・アプフェル・オラクルズ』
「クラムだ」 真後ろからわくわくとさも嬉しそうに零れた声に、彼女は思わず振り返ろうとし、見やった先には―…もはや言うまでも無い。振り返るも何も、エリィのほんとうにすぐ後ろ、くるりと首を動かしただけで頬が触れてしまいそうな場所に、彼がいた。まるで彼女の肩にあたまをひょいと乗っけたように見える体勢で。 そんな距離に近づかれたのに、ちっとも気づかなかった。これは果たして喜ぶべきなのかそれとも嘆くべきなのかと彼女は一瞬思考を巡らせてみようとしたけれど、結局やめてしまった。だって彼はとても楽しそうに微笑んでいるし、自分だって今、ついついつられて口角をあげてしまっているのだから。 だから彼女は苦笑なんて忘却の彼方に追いやりながら、くすりと笑みを宿す。ちょっと作業を中断しただけなのに、エリィの白い指からはクラムがぽろぽろとはがれ落ちていった。 「正解。クラムよ。マフィンに乗せるの」 「じゃあ今日のマフィンは―…ええと、クランベリー?」 彼女の答えに、フェイはきょときょととキッチンを見回して、そこに広げられている材料類を視認し、その中に真っ赤な干したベリーの姿を発見すると、すぐさまおやつの内容を推量してみせた。まるでおおきな黒わんこが宝物を探すような一連の動きに、彼女はちょっと吹き出しそうになってしまったけれど、見事に核心をついてくる彼の洞察力には素直に感心してしまった。だって、それは、見事に正解を射止めていたから!
「あたり。でも、ほんの一瞬でよくすぐそこまでわかるのね」 「そりゃ、鍛えられてるから」 「ふふふ、確かに。いままでどれだけたくさんのお菓子を作ったり、食べたりしたことか」 「もう何種類かさえも忘れたな。数え切れないもんだから」 「そうね。私も、両手足の指で足りなくなってきた頃から、カウントやめちゃったわ」 「でも今日は、ちょっと不思議に思ったんだ」 え?と彼女が問いかける前に、フェイはもう一度、しげしげとクランベリーマフィンになるべく待機しているおのおのがたを眺める。そこにいるのは小麦粉、お砂糖、くるみにたまごにクランベリー。サラダ油とちょっとのお塩とバニラエッセンス。いくつか片付けてしまったのもあるので、現在出されている材料はそれくらい。彼は一つ一つを数えるように確認すると、おとがいに手を当てて首を傾げながら、くるりと彼女に視線を戻す。 「マフィンの中身、クランベリーとくるみだけじゃあ、さみしくないか?」 ちょっと痛いところをつかれて、思わずエリィはう゛、とおかしな声を出してしまう。やっぱり彼の洞察力は侮れないわ、と再認識してしまった気分だった。どうしてこうも次々と放つ矢の全てが真ん中を貫き通してくるのかと。 だから彼女は渋々ながらそれを認める。そしたら彼は、ああやっぱりと呟いて、得心がいったことをしみじみと実感するように何度も頷いた。その間中ずっと、やっぱりさみしいよなー、うんうん、さみしいよやっぱり、と盛んに彼が連呼するものだから、エリィはなんとか反論すべく、ちょっと腰が引けつつも言葉を投げかける。
「で、でも!その代わり、くるみはいつもより多目にしたし、クランベリーだってそうよ」 「うーん…それでも、やっぱり、さみしい」 「クランベリーに合うようなくだものがもう無いの」 「そうだなあ。季節のものと合わせると、味のバランス悪いし」 「ほどよい甘酸っぱさが良いのだけれど。私には思い当たるところがないわ」 「エリィだって、好きでちょっとさみしいマフィンを作るわけじゃないもんな」 「そうよ!私だって当然、たっぷりぽてぽてしたマフィンのが好きだもの」 「ははは、そりゃそうだ……って、あ!!」 途中でちょっと、あんまりにも追求されたエレハイムがぷいとふてくされた表情でそっぽを向いたとき、やわらかく笑った彼がふいに大きな声を出した。誰にも気付かれることはなかったけれど、フェイの深遠宇宙の瞳にちかり、いたずらっぽいはぐれ流星群が一つきり、一筋きり、軌跡を撒いた。 ほんのちょっぴしだけそっぽを向いて、彼から視線を外していた彼女が、どうしたのかと彼に振り返ったときには既に、フェイの姿はこつぜんと消えていた。 だからただ、紫苑の瞳に映ることが出来たのは。凄まじい速度で地下室へと飛び込んでゆく黒い流星の残像という、どこかしら既視感をおぼえるような光景だけ。
いつかしら。いつ見たのかしら。と、彼女がおやつの味と一緒に思い出そうと記憶の糸を手繰り寄せていると、どうも今度は記憶とは違った展開になっていることにだんだんと気付いてきた。 前回は、ほんの数回ぱちりとまたたく間に、すぐさま床からブロンズ色の腕がにゅうと生えてきた。けれど、今回は、いくら彼女がまばたきをしてみても、おそるおそる地下室の入り口に近づいてきても、ちいともかの力強い腕は姿を見せなかった。その代わり、下の闇の中から、がんがらごっちゃん、がさごさごそがさと、必死に何かを探索するような音だけが響いてくる。明かりも持たずに地下室へ身を躍らせたのだろう、彼を照らすひかりも周囲を照らすひかりも、そこには微粒子だってありはしなかった。まさにあやめもわかぬ。 「フェ…」 「あった!!」 手元も見えないだろうに、どうやって探し物をしているのか、それに何を探しているのかと、なんとなく心配になってきたエリィが、彼の名を口の端に乗せようとしたとき、まるでその瞬間を見計らいでもしたようなタイミングで、嬉々とした声が地下からのぼってきた。それこそ、それそのものがひかりを放つかのように、太陽に祝福された音で。 何をどうやったらあの暗闇の中で判別がつくのか、エリィにはちっとも分かりゃしないけれども、とにかく彼ははしごを迷いもせずに探し当て、確かな歩調でのぼってきた。きょとんとする彼女の前に、ほんとうのひかりの下に、その姿を現す。 前よりも更にたっぷりしっかりほこりをかぶって、すっかりおしろいのように体中にはっつけてしまった彼が、咳き込みもせずに、ただちょっと動悸をはあはあゆわせながら、肩をやや上下させて。それでも確かにおひさまの子供である、満面の笑みを宿して、彼女に『それ』を差し出した。 あ。と彼女が軽く息を呑む。視線の先。ブロンズ色の手の平に包まれた。もの。
「最後の、ひとつ!」 こくん、と一度荒い呼吸を嚥下してから、高らかに告げる。 彼が記憶の星できらりと思い出したもの。急いで取りに出かけたもの。こないだもそうして地下に潜ったとき、見つけたではないか!と意識の端に引っかかっていたルビーを閃かせたから。 フェイは、貯蔵庫にただひとつっきり残っていた、りんごをエリィに手渡した。 エリィは、春に咲き初めたばかりの真白き林檎の花のような微笑をフェイに返した。
いくら女神が争った果実とて、季節のずれた今はちょっとお疲れ。だから、ほんのりお砂糖をまぶして、しっとり安らがせてあげましょう。シナモンをかければもっと良いのだけれど、と提案するように彼女は呟いてみるけれど、彼の激しい抵抗に諦める。けれど、そもそも最初からだめだろうなあと予想した上での発言だったので、その反応は結局予想通りだった。一応、言ってみただけらしい。 さてさて、ほんのりほどよくしっとりりんご。色々まぜておいた生地に合流すると、そこに散々さみしいと言われ続けたくるみとクランベリーも遂に参戦。そしたら後は、ちまりと可愛い型に入れたら、待望のクラムを乗せて。じっくり焼いたら出来上がり! あまいかおりが部屋中に満ちて。そこにそっと添えられたりんごの香にやわらかく瞳緩めて。
「これで、最後だ」 「冬までおあずけね」
春に最後のおやつを前に。りんごとクランベリーのマフィンを前にして。ふたりはくすりと小さく笑い合って、きちんと手も合わせて。 「「いただきます」」 しばらくお目にかかれない、なかなかお会いできない、甘酸っぱい客人にしばしの別れを告げた。時々ちょっと、ぽろぽろクラムを零しながら。
窓の外には青々とした葉を揺らすりんごの木。
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