日記

2004年03月17日(水) 遅れたことばを滑り出させるチョコレート



今日はとても楽な日でした。あの人が半日、いませんでしたから。
こんなにもこころ安らかに過ごせたのは何日ぶりのことか。


こんばんわ、でもこんな考えは嫌な性格ですね…もえぎです。
誰かがいないことを喜びのように感じてしまうだなんて。
それは裏返せば、いなければいいのにと願ってしまうこと。
でも。そんなことを考えてしまったら。あの人と同じになってしまいます。
同じになんてなりたくありません。
だってわたしは、ハムラビ法典がそんなに好きではありませんから。
あの人はきっと、ハムラビ法典がお好きなのでしょう。
更に身分制度もお好きなのでしょう。それを適用させている。
目には目をと申しますが、お互いの身分が違えばそれは変わります。
市民に対して害を働いたのが奴隷であるならば。
その耳をそぎおとしても、目をつぶしても、どこからも文句は出ません。
おそらくあの人は、わたしを奴隷として捉えているのでしょう。
だからこんなにも殺そうとしてくる。

でも今日は本当に楽な日でした。ちいとも傷は出来ませんでした。
あの人が半日しかいなかったのもありますが、もうひとつ。
あの人が、今日はとても静かに口をつぐんで働いてらっしゃったから。
いつもならお喋りし通しで、それがわたしを苛むのですが。それがなかった。
しかしこんな状況がずっと続くとは考えられません。
明日になったら、今日の分もぼろぼろにされるやもです。
油断はしません。ただ、明日さえ乗り越えれば、おやすみ。
何者にも侵されることなき、やすらぎの日々。

神経が参っていたのか、食欲が欠片もなかった昨日。
いえ、『なくなってしまった』昨日。
空腹を感じなくなってしまったのです。おなかがすかない。
だから食べたくない、でも食べなくてはいけない。
ので、むりやり口に押し込むようにしていましたけれど。
今日はとてもやすらかだったので、久し振りにおなかがすきました。
ごはんが美味しく感じられるのはしあわせですね。
願わくば、明日もこうでありますように。
でも期待は抱き過ぎないように。信じたら裏切られる、のはいつものこと。


―…唯一と言って良いほど。
信じて、裏切らなかった、はじめての存在は。ゼノでした。
監督は裏切らなかった。こたえてくださった。
それが、どれだけのよろこびと涙をわたしにもたらしたかしれません。
昨日はつい日記を書きそびれて、つい忘れてしまっていました。
三月十六日は、わたしにとってゼノの記念日。
二月十一日に匹敵するほど、めでたく、祝うべき日。

はじめてわたしがあの世界は飛び込んだ日。
深遠な闇に浮かんだ血の色した紅い未知数。
収斂されたひかりの微粒子が織り成した真空。
わたしのいとしい。

もう何年目かと数えるのもわずらわしい。
だから、ひとこと。ありがとう。
『わたしに出会ってくれてありがとう』


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