| 2002年03月15日(金) |
silver spoon |
ヨーロッパの風習で、生まれてきた子供に銀のさじを贈るのを知っている? それはね、『銀のさじを咥えて生まれてきた子供は食べるものに困らない』という逸話が元なんだよ。 今の世の中でも餓死する人がいるけど、昔はもっと深刻で、食べることに困らないというのは最高のシアワセの一つだったんだ。 銀のさじを贈るのは『この子が幸せになって欲しい』と祈りを込めて贈られたものだったんだ。
なんで『銀』であり『さじ』だったかって? 本当のことはよくわからないけど、私はこう思うんだよ。
銀って他の貴金属と比べても手入れが大変らしいんだ。 私はもっていないからよく知らないけど、磨いていないとすぐにくもってしまうし、つけたまま温泉に入ると黒ずんでしまうとも聞いた。 他の貴金属、特に金なんかと比べて何倍も手入れをしないと輝きつづけていかないものなんだよ。 でも、磨いていくほどキレイになっていく。 銀色って白をより白くした色で、純潔な色なんだよ。 雪景色を銀世界というし、別の読みかとをすれば「シロガネ」って読むからね。 本当の銀というのは言葉であらわせないほど光満ちているものなんだ。 そして、変化するものでもあるんだ。
月をイメージする色で銀が含まれることも多い。 太陽が常に丸く輝きつづける金に対して、次の日には形を変える柔らかい輝きが銀。 明日になれば見える角度も違う。 もっとキレイに変わっていくと希望が持てるのが銀なんだ。 メダルだって、金はそれ以上無いけど、銀は先がある。 まだまだゴールじゃないと向上するものなんだ。
さじ(スプーン)はフォークやナイフと違うところがある。 もちろんそれが優劣をつけるわけじゃなくって、役割が違うものだからだ。 パスタをスプーンでからめとるのは難しいし、肉をフォークで切るのは大変だろう。 刺してからめるのがフォークで、切り分けるのがナイフだ。 スプーンの役割はすくいとること。 有形無形のものをすくいとることなんだ。
銀のさじ 実を言うとみんなが持っているものなんだ。 人によって大小深浅あるけれど、それは確かに持っている。 生まれたときから持っているそれは、シアワセをすくいとるためにもらったものなんだ。 しっかりと磨いて自分からすくいに行かなくては。 そこいらで簡単にすくえるほど安っぽいもので満足したくないのなら。
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