原案帳#20(since 1973-) by会津里花
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2002年04月11日(木) 医師に協力してもらうための当事者の心得 改名申請の心情陳述書

★1・医師はじょうずに利用しよう
★2・改名申請の心情陳述書
★3・断片集



★1・医師はじょうずに利用しよう

以下、TSFJへの書き込みです。
「ガイドライン」改訂のおかげで、私は自分が受けている医療のこととか、
やたらと隠す必要がなくなりました。それ自体は、ヨカッタヨカッタ。
でも、なんか、書いてるうちにとてつもなく長くなってしまいました。やば。

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Re:医師はじょうずに利用しよう
投稿者---会津里花(2002/04/11 02:04:13)

(略)

(略)

……
でも、他のレスにも書いたけど、医者もただの人間で
(極端な話、牧師さん神父さん神主さんお坊さんその他
宗教の専門家でもないので)
人一人分の信頼しかおけないのだ、と私は思います。

患者にしてみれば「藁にもすがる思い」なので、
ついつい「全幅の信頼」をおきたくなってしまうけれど、
他の人と普通に持っている距離感のある信頼
(ここまでは他の人と同じように信頼していいけど
これ以上「信頼」っていうより「頼る」のはまずい、というような
「限界設定」)は
ちゃんとしておかないとね。

実は私も、地元の某産婦人科で言われたことがありました。
その医師は、たまたま某S医大のH先生と懇意にしていたので
S県は遠いからホルモン補充とかやってくれと
頼まれただけだそうで、
決して「地元でジェンダークリニックを!」とか
野心に燃えたわけではないのだそうです。

なので、今では血液検査を受けるときに
「肝臓障害の恐れがある」とか「貧血気味」とかカルテ書いてもらって
検査項目ができるだけ広く保険適用になるように
便宜を図ってもらう以外、「信頼」はしていません。
でもそれは、決して私がその医師を見下しているとかそういうことじゃなくて、
それ以上頼ってしまったら先方に迷惑だと思うから
頼らないだけです。

(略)
私は行きつけの心療内科(+精神科・神経科)の先生が
あまりにも忙しそうなので、ほとんど詳しく話も聞いてもらえないし、
どう見てもGIDについて興味があるわけじゃなさそうです。

でも、今のところ行きつけだし、私煙草がすごい苦手なんだけど
待合室に禁煙の空間がたくさんとってあるので
(っていうかリラクセーション空間が設けてあって、
待ち時間が長い代わりに巨大スクリーンの癒し系DVDとか
癒しカプセルとか使い放題なんです♪
で、それらの部屋は当然だけど禁煙♪)
待ち時間が苦痛じゃないので、
施設そのものに「信頼」をおいてるような状態です。

しかも、医師のほかに臨床心理士=カウンセラーさんもいて、
待ち時間に相談するのも先生の指示でできるので、
「先生はお忙しいでしょうけれど、
私は誰かにどうしても聞いてもらいたいことが山ほどあるんです」と訴えて
カウンセラーさんに「相談」を持ちかける中で
「ガイドライン、読んでください」と手渡したりして
徐々に「当事者サイドで構築するジェンダークリニック」みたいなことを
結果的にやってるんですよね。

(略)

「興味のない医師」っていうか
医師自身がGIDそのものを否認しているような人だと
嫌味なことを言われたりして
「行くんじゃなかった」と思わされてしまうこともありますよね。

(略)

開業医どうしが、別々の科なのに連携して
ジェンダークリニックを構成してくれるなんて
やってもほとんどメリットないだろうから
今はまだとても可能性が低いでしょうけど、
当事者からの働きかけでジェンダークリニックに近いことをやってくれる
状況、というのは作れるかも。

私、今のところ
・精神療法(ずっとサボってたのでバランス悪くなってまた通うようになりました)
→駅前のNクリニック
・ホルモン補充療法を二つに分けて
 血液検査→上に書いたI産婦人科
 薬の処方→Fクリニック
 で、薬を買うのは家の近所の調剤薬局(○ィン○ー○ン○)(^^;
・あと一つは、いちおう、ひ☆み☆つ☆

総合的な「オピニオン」を出してくれる人がいないので
「自己判断」になってしまっているけれど、
それについてはできるだけネットとかで情報を拾いながら
とにかく
「自分が納得できる医療を受ける」
ということを心がけています。
(って書いたけど、
これじゃいけないんですよね。
だから、オピニオンが出せるほどGID医療に詳しい先生(たとえば埼玉医大の先生)にも
つながりたい、と思っています。

お金と時間がものすごく大変……
だから、私の地元にオピニオンを出せる先生がいれば、と思うんだけど。
私が診断書を書いてもらった先生は、DSMとかICDだったっけ?
そういうものはいちおうしっかり身につけてはいるけれど、
「ジェンダークリニックをやってるひまはない」と
はっきり言い切られてしまいました(;_;)
なので実は、いいとこ「1st opinion」どまりなんですよ、私は)


他のスレへの返答になってしまうけれど、
GID研究会に当事者が「わらわらと集まってくる」のは、
上に私が述べたようなかたちで「自己判断」せざるを得ず、
専門的な情報を必要としている当事者が
どうしても多くなってしまうからなのでは、と思います。

できることなら「町の開業医でジェンダークリニック構築」の場合に
取り組んだ医師・病院にそれなりの便宜が提供できるような
システムっていうか制度っていうか、
設定してくれればいいのに>GID研究会(という名の「学会」)

そうして、あちこちの地域で
「精神療法は○○、内科的療法は××、(形成はどうなんでしょうね?)」
という噂が立てば、
医療機関も「仕事」でやってるのでメリットがなければやらない、ということに
報いることになるんじゃないかな……
なんて思います。

でも、そうやって並べてみて改めて気付くこと:

精神療法:需要が過剰←一人の医師が1日40〜50人も診なければならない?!

内科的療法:そこそこ需給のバランスとれてるみたい←たまたま「信頼して長期間お付き合いできる医師」がいたから、
私が「バランスとれてる」と感じるだけかも。
まじで内科のお医者さんとは「長いお付き合い」をされるよう>多くの当事者の皆さま
一人の患者の体が内科的に見てどんな状態かということを把握するのに、
たった1度の検査とかで充分とは、私には思えません。
私はたまたま1人の医師に3年以上見てもらっているので、
お酒や煙草に弱い、というのも含めて、私の体があんがい薬に対して敏感、ということなどを
(たぶん内科的センスで)しっかり把握してもらっていると思います。

形成外科的療法:圧倒的に供給が不足←だからこそ、研究会では午前中いっぱいをかけて
その面の成果を周知させようとしていたのでは……?


なんだかすっかり長いカキコになってしまいました。
既に語り尽くされていることを、また蒸し返してくどくど書いているだけ、
という気もするので、このくらいにしておきます。

(略)

ではでは(^^)/~~~

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★2・改名申請の心情陳述書

「なぜあなたはその通称名を名乗るようになったのですか?」
 幼時より自分の身体的性別に違和感を抱えたままで育ちましたけれど、今はそれが「性同一性障害」によるものであることがはっきりしたので、女性としての名を名乗りたいと思ったからです。
 (添付の「診断書」をご参照ください)
そこで、生まれた時に親からもらった「章」という字に父親の「馨」という字の旁である「香」をつけようと思い、さらに小さい頃に呼ばれていた「あやちゃん」という愛称に沿った「あやか」という読み方ができることを知り、それなら私らしい名前だと思ったので名乗るようになりました。
現在の私は、一見して男性よりも女性に近い姿です。それなのに、名前が「章」という男性名では周囲に対して無用の混乱を招くと思います。
いっとき、「章」と書いて「あや」と読んでもらえればいいかもしれない、と思ったことがありました。
けれども、実際にはそのように読んでくれた人に出会ったことはなく、けっきょく「章=あきら=男性名」という社会通念のような認識で見られてしまいます。
そのことは、本来ならば全く必要のない場面で、私の「性別」についていちいち説明しなくてはならない、という苦痛をもたらします。
せめて女性名に多く見られる「香」という字をつければ、そうした煩瑣な説明をいちいちしなければならないことも少なくなると思います。
幸い、現在の職場、また中学・高校・大学の頃からの友人たち、その他今お付き合いしている知合いからはほとんど「章香(あやか)」という名が通るようになっていますし、家族(兄・姉・弟)も徐々に私を「章香」と呼ぶようになってきました。
(郵便物など使用実績にあたる書類をご参照ください)
 ただ、これから先、社会生活を送るにあたって、戸籍に残っているせいで男性名である「章」と呼ばれることがあるのではないかと思うと、今以上の就職活動をするのも怖くなってしまいます。
 戸籍上にその名前が残っている以上、そちらで呼ばれてしまう場面は、たとえば役所や銀行、それらの機関で発行した書類を使用する場所など、まだまだあると思うと、社会生活が安定して送れるとは思えないのです。
 実際、現在アルバイトしているコンビニエンスストアでは、名札では通称名の「章香」と記載してもらっていますけれど、名札と給与振込みの宛名をコンピュータ上で連動させる方式をとっているため、通称名で口座を開設できない郵便貯金への給与振込みができない、という事故がおきました。
店長さんのご厚意で名札はそのままにしてもらいましたが、従業員登録上は現在の戸籍名のままなので、名札と登録の間に齟齬がある状態で勤務しており、そんなつもりはないのにある意味「不正」を行っていることになってしまうのが、精神的に苦痛です。
 (添付のコンビニエンスストアの名札と給与振込みの通帳をご参照ください)

「今回改名を申し出た 直接の理由は何ですか?」
 今後、今よりも多くの給与を得られるために再度就職活動をしようと思っていますけれど、戸籍の名と異なる名を履歴書などに記載すると、「虚偽の記載」ということになり、求人状況が良くない現状では、採用は決してされることがないだろうと思いました。
 繰り返しになってしまいますけれど、私は真っ当な社会生活を送りたいと思っています。
 そのためには、通称名と戸籍名が一致していることが望ましいと思い、改名を申し出ることにしました。

「その他今回の申し立てに関して参考になることが在ればお書き下さい」
1.
 「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」というものがあります。
(別途添付のガイドライン文書をご参照ください)
 私は全てそれにのっとって診療を受けたわけではありませんけれど、今年になって改訂されたものを見ると、私のようなケース(過去に結婚歴があるとか、治療の段階を順序を変えて行っているとか)でも診療の門戸は開かれている、ということになりましたし、実際に私が受けた診療は、当該ガイドラインを意識し、できるだけそれに沿ったかたちで受けています。
 診療のおかげで、少なくとも私は日常的に女性として生きるほかはありませんし、そのことをとても安定した幸せなこと、と感じています。
2.
 私には結婚歴があり、子が一人います。ただし、2年前に離婚し、子は私でないほうの配偶者だった人が引き取って育てています。
 以前は「父親が性転換者」などということが知れ渡るとそれだけで差別やいじめの口実になりましたけれど、昨今の性同一性障害者を取り巻く状況は、当事者や周囲にとって望ましい状況へと好転しつつあります。
 元配偶者が私の性同一性障害に対してどうしても納得できない、ということだったので離婚してしまいましたが、法的には縁を切っていても、これから先、私ができるだけのことを元配偶者に対しても子に対してもしてやりたいと思っています。
 通称名を名乗り続けることが必ずしも罪悪というわけではないと思いますが、私は元の家族に対して、彼らが私のことについて胸を張っていられるようにしてあげたいし、彼らのためにこそ、私自身がより有利な状況で社会生活できるようになりたいとも思うのです。

どうか改名のご許可をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

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★3・断片集

     


NHK総合の「ためしてガッテン」という番組で
「更年期障害」のことを扱っていて、
興味があるので見てみた。
ていうか、私にとって他人事ではないのだ。

そしたら、更年期障害の治療として「ホルモン補充療法」というのがあることを
知らない人がかなりいる、あるいは知っていても「恐い」と思う人が多い、ということを
報じていて、びっくりした。

GID研究会の前の日に三橋順子さんとお会いする機会があって
お酒を飲みながらお話した中で、
「ブルーボーイ事件」のことを語っておられたけれど、
日本で「性転換=犯罪」みたいなレッテルが貼られていた時期が
かなり長く続いた状況を
「ブルーボーイ後遺症」
と呼んでもいいかな、という気がするけれど、
更年期障害に対するホルモン補充療法のことを「恐い(または危険)」と感じるのって
やっぱり「後遺症」のようなものなのではないか、と思った。
山瀬まみが
「ニューハーフの人とかが注射打たないとヒゲがはえてきちゃう、とか言ってる……」
と言っていたけど、なんだかちょっと正確でない言い方?と思った。

ただ、注射だと男性ホルモンもわずかながら入れてあって、
そのせいでとても元気にはなるけれど、
副作用として「男性化」(=ヒゲが生える、高い声が出なくなる、など)が
おきることがあるそうだ。

子宮のある女性だったら、卵包ホルモンと黄体ホルモンを併用すれば
子宮体癌を防ぐことができる、ということだった。

私は子宮がないのでそれ自体は関係ないけど、
黄体ホルモンで女性的なホルモン周期を味わうことができるのも
楽しいかもしれない。
でも「楽しい」であんまり薬を服用していると、今度は肝臓がいたんできて
「楽しい思い」なんかできなくなってしまうかも。それはいやだ。
それに、そこまでして「楽しい?思い」をしてどうするのさ?という気も。
ホントに楽しいか? 多くの女性はむしろ、「女性的なホルモン周期」には
悩まされていることが多いみたいなのに。
それのどこが「楽しい」?
同じ感覚を味わえないということで「仲間はずれ」っぽい気はするけれど、
いやなこと、無理なことは少ないほうがいいに決まっている。

あーあ。
私、この先何年くらいホルモン補充を続けられるのかしら?
それができなくなったときが、私の「老化」の始まりかも。
でも、それも自然なことなら、素直に受け入れたいと思う。


今、最近にしては珍しく、ヘッドホンで音楽を聴いている。
高校生ぐらいの頃は、勉強に専念するためによくやっていたけれど、
大学以降はあんまりやらなくなってしまっていた。

今かかっているのはMDで「Weather Report / Heavy Weather」だ。
なぜか、夏の夕暮れを思い出させられている。
時間が遅くなっているのに眠れないので導眠剤を飲んだけど、
それがうっすらと効き始めているのがわかる。
文字のうち間違いが多くなってきた。
ぽわー、としてきた。

今はおやすみなさい。
初めて「Heavy Weather」を聴いたのが高校生の頃の夏休みだった、ということを
思い出しながら……

[3:55 02/04/11]←実はまだ今日が始まったばかりなのに、
もうこんなに日記をつけてしまっているのでした……


まだ書きたくて、この書式からあふれちゃいました。
たいした内容じゃないけど、ぜひ書いておきたいと思ったので、
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