キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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夜中の3時。 キミからの着信。
ぐっすり眠っていたのにも関わらず、 無意識に電話をとっていた。
キミは不安そうな声で私の名前を呼ぶ。 眠い頭で、「なんでそんな苦しそうなんだろ?」と考える。
Jは才能があるから、就活も上手くいっていて 私はあんなに苦労したのに、と思うと Jのことをひがんでしまう。 Jは私と違って、ものすごい自信家。 考え方が違いすぎて、時々どうしようもなくなる。
「はるちゃん。はるちゃん。」 キミは苦しそうな声で何度も私の名前を呼ぶ。
「はるちゃんの話が聞きたい。」 と言うので、最近の話をした。
Jの、「うん。うん…」という声がだんだん小さくなって Jの声は聞こえなくなった。 徹夜明けで、すごく疲れていたみたい。
もう眠ってしまったJに、 「おやすみ。たくさん寝るんだよ。」 と言って電話を切った。
いつかの、未来が怖い。
キミは私とは全然違うから、私はキミが羨ましい。 その性格もその才能も。 キミは弱いところもたくさんあるけど、なんだかギラギラしてる。
それが羨ましすぎて、 私はいつかJと居るのが苦しくなってしまうんじゃないかって そう思うんだ。
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