
戯 言ノ源
―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰
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| 2008年05月24日(土) ■ |
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| 甘い世界に揺さ振られるの。 |
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「馬鹿馬鹿しいとは思わないか。」 言葉と同時に振り返った表情には、それが本意であるとそっくりそのまま乗っていて。 見えない己のそんな自覚はあるのに、わざわざ髪を靡かせ姿勢を変えた結果の顔を、もうよくは覚えていない。 「だって、そうだろう。これは仕事ではなく、況して義務でもない。いや違った、世間様としてはそう称されるものであった。けれど、それ以上に私に義務があるのなら、優先すべき事柄があるのなら、蔑ろになってしまうのは当然なんだ。」 他人に聞かせる方便より、自己の為の言い訳。 抜けるような青い空の下に茂り始めた緑がまだ若々しくて、石段が隔てる向こうの人は、自分と同じ可愛げどころか大して特徴も無い制服を着ている。 誰だったっけ。クラスメイトかな。 相手もろくに知れぬまま、自分の口はいやにすらすらと饒舌に能弁を絶やさず。 「やらなくちゃいけない。そうでなくちゃいけない。だって生きている理由だったし、そうだ、何より私が生きる為に。」 相変わらず要領を得ない話なのに、どうしてか顔も判らぬ向こうにツーカーだと思い込んでいる浅はかさを、気が付く必要すら無く、階段を一歩、下った。 「別に、必要としていた訳じゃないんだ。その時期はとうに過ぎ去って、今は頼りたいとも思わない。縋りつくのは向こうで、それに癒しも同情も見い出せない自分は、きっとなんてつまらないんだろう。」 何か、違う気がする。 曖昧な記憶の中で、確か誰かに対して、少しも本題を明かさない自己陶酔を、披露した覚えはあるのに。 何かが、違うんだ。 「多分ね、慰めなんだ。勿論、自分に対しての。そうする事でこれまで培って来た過去の中の、例え求めた時に返されなければ意味の無いものだったのだとしても、少なくとも時を経て、まだ心を保っていられたのなら、手に入れられたかも知れないと残念がる為の。」 そうしてようやっと、気が付いた。 随分と大きな独り言で、納得する為ではなく、言葉にして理解したいが為に、そう、所詮は独り言だった筈。だからこそ話し相手が思い出せない事が当たり前で、それじゃあ何故誰かはそこにいるのか。 「嘘ばっかりだ、あんたはいつも。弁護にすらならない。だってそう言葉にする事で、逆説的に多少は気に掛けているんだよと人間味を装いたいだけなんだから。」 辛辣に言い放ったのは、幼いようでいて大して変わってもいない、本当に学生当時の自分だった。
という感じの夢を見たんですが。これが本当の夢オチか! 会話の詳細は若干違うやも知れませんが、段々と、そう徐々に、学生当時を演じていた自分が今の自分になっていって、本当の学生当時の自分がそれをつまらなそうに見ている構図。 やだなぁもう、そういう美味しそうな設定は創作の中だけでやって下さい。実体験(というのかこの場合)しても耄碌違った朦朧とし過ぎていて微妙に楽しくないです。そういうのを眺めて楽しみたいタイプなんだ僕は。 あ、寧ろユーベルブラッドでこんなんやったから出て来たのかな。はてさて。
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