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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2008年05月16日(金)
よろめく世界はやがて傾く。


そもそも何故その話を本人が言い澱み且つ他の人には話したからそこから聞いてくれと訳の判らない遠回りをするのだろうと。
確かに電話という手段を却下したのは自分であるし、文章能力が乏しい人物なのでメールで伝え切れないと言うのも理解出来るけれど、一方で人伝のその話はとても簡潔に百文字にも及ばない字数で伝え切ったから、尚更深刻ぶった意図が掴めない。
尤も一応人の生き死にが関わってもいるから深刻は深刻なんだろうけど、そんなくらいの意識の奴に、面識もない人の話をしたって、だからそんなものである。
あんまりトーンが暗いからもっと身近な事と思いきや全然、自分にしてみれば関係の無い話と言い切れてしまうので拍子抜けして、選択を迫られた時きっぱりとNOを言い渡すと、会話役に抜擢された殆ど第三者は、まぁやっぱりそうだろうねと半分納得ずくのようだった。
ただ、柔らかくその意を伝えておく、そう言われる段になって、意識的にでも無意識的にでも自分が直接を避けられた理由はそこにあったのだろうか。
果たして翌日改めて本人から催促が来る辺りそんな事は全く無く単純に要約の努力を欠いたらしいが、さすらば同じような回答を提示して、こんなにも全面的にきっぱりと拒絶を述べているのに序での言い訳を突っ突いてあくまでも結論を翻す事を望むから、一縷の光も無いのだと完膚無きまでに叩きのめした瞬間、やっぱり正しかったのかも知れないと。
多分今後も改められないだろうし、そういうものを受け入れてくれる、なんて都合の良い存在しか見ないのだろう。
だけど取り分け打たれ弱いあの人に、一つ一つの所作が苛立たせるあの人に、耐えられず口を尖らせればしゅんと落ち込むあの人に、さえも対応の変化の一つも与えられないなら、頑迷固陋だと罵られるべきだろうか、諦めと割り切って貰う外無いのだろうか、それとも断ち切る方が。
なんて独り善がりな事を言えば途端に涙腺が崩壊して縋り付いて来るのだろうから迷う素振りなんて見せられないし尤もそこまで重大なものとして悩んでもいないのだろうけど、どうしたって反りの合わない人間ってのは、いるものだよな。
それを味と称して接するには、自分は浅過ぎるし、あっちは深過ぎる。悩みの層が。
取り敢えず自身が逃れる為に、目にも見えて理解も出来るその人がおそれるには資格が無いし、何かをして欲しいと思っているだろうと言う考え方で挑むのは甚だ傲慢な思い上がりで、個人に出来る事を期待してるならお前なんか戦力にも入っていないだとか、慰めの筈だったのに段々といじめのように転換してくのは、どうか味だと見做して貰えたらいいのに。


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