
戯 言ノ源
―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰
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| 2007年11月30日(金) ■ |
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| 水と星のひかり。 |
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動けなくなった事は無い。 そこに到るには臆病であった彼女だし、それに、一度だけ近い状態へ到達した時、まさか自分が覚えている筈もないけれどそれ程昔の事、周囲の非難轟々酷かったと言うから、怖れもあったのだろう。 泣いては、呟いては、苦しくては、喚いては、訳がわからなくなっては、縋るかのように。 些細でも、忘れてしまったら罰が下るかのよう、何事に措いても罪の言葉を吐いて自分に背負わせようとしていた。そうする事で何かからのがれられると考えているのか、なんでもかんでも他に責任を求めた。 例えば荷物を取り落として台無しにしてはいけないからと、買い物帰りの荷物持ちはいつもだった。そんな事だって、こなすのは大変で、とんでもない重荷を背負うかのよう、彼女は逃げる。そんな事でさえ、呪わずにはいられないと。 と思えばそんな弱さをさいなめるかのように己を卑下しては、また、前後不覚になって、最初に戻る。堂々巡り。はじめての意識を持った時からそうなのだからそうでない彼女を知らない身としては、そんな姿の彼女を憂う人々の気持ちや知らず、過去はよかったねと愛でる言葉の数々こそが真の暴力に思えた。 溺愛か寵愛に偽装して、文字通り狂ったように豹変して、泣くか呪うかしか出来ない人だけれど、そうである、と認識している者にとって、それだけが最初から最後までの全てを占めている者にとって、きっと多分、どうでもいいんだ。周りが騒ぐような程。
僕ら似た二人かも知れないけれど、多分違う。 何故って、別個体というのもそう、己の体験や経験に沿って何故か同情しようと言う人に違和感どころか罪悪感にも似た拒絶を懐いた自分だから、自ら口にする事さえ憚るんだ。 僕ら似た二人かも知れないけれど、違う。 それは、誇りのように。ただの些細な事だ。
だからまた気が向いたら、だいすきなあの話で盛り上がりたいところです。以上やたらと長い私信でした。
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