| 2009年12月14日(月) |
閑話休題/三十年前の私 |
■活人拳の講義をどうにか無事に？十二回する事が出来ました。引き続き行ないたいのですが、いきなり十三回は語呂が悪いので、一旦閑話休題し、二十才代の頃の武専高等過程終了論文を載せることにしました。
訂正2010.02.26：閑話休題を辞書で引きますと「むだばなしはさておいて。それはさておき。さて。」とあります。感じとしては「それはさておき」と使っています…。
この論文は故・太田達雄先生が審査して秀を下さり、論文集に掲載されたものです。ちょっと気恥ずかしいですが、私が活人拳を追及し発表する動議の一旦をご理解下されば幸いです。尚本文は、開祖が学生合宿か学生幹部合宿か忘れましたが、皆の前で読んで下さいました。
実はこのことは私にとって格別の意味があるのです。
私の本山在職期間は1年10ヶ月と云う短いものでした。まあ…能力不足の所以です。また、当時は専従職員がそのように下山＝退職することがママあり、覚悟はしていました。が、実際そうなってみると大変でした。しかし良く考えてみると、「七転び八起き」を教えて下さったのは開祖なので、お役に立てないで申し訳ないと思う反面、外で頑張る気持ちになりました。
下山した三ヵ月後の翌昭和51年2月10日(奇しくも開祖のお誕生日)に道場開き式を行い、もう無我夢中で、三年経たないうちに門下生が百名に届くようになりました。当時は現総裁・由貴さんが月例報告を担当していて、温かく励ましてくれましたし、諸先生、諸先輩、同僚、本山職員も、同じく温かく励ましてくれました。そんな矢先＝翌昭和52年の高等科終了論文提出であり、それを先生がお読み下さったので、嬉しかったわけです。
「1977年度少林寺拳法論集/専門学校 日本少林寺武道専門学校」には九名の拳士の文章が掲載され、巻末にこの九名を含む百三十名の優秀論文入選者の氏名が載っています。「閑話休題」お読み下されば幸いです。
■『金剛禅開創三十周年にあたり思うこと
横浜根岸道院長 正拳士 渥美 紳一(二十六才)
三十周年にあたり思うことを述べる前に、まずなにより管長先生のこれ迄のご苦労に心より感謝の意を表す次第です。
さて、私達は先生に次に様に表現される世代です。
「君達は花が咲き、実が出来かけた頃、参加して来た人達である。」――��
確かに私達は組織人として、そういう意味での苦労を知らない世代です。昨今は少林寺という看板を出しさえすれば、ある程度の人数は労せずして集まりますし、実感としてどこ迄つかみ得るか各人まちまちでしょうが、組織に属する上での有形無形の恩恵は計り知れないものがあります。
たしかに開創当時とは比較にならない程、恵まれた環境を当たり前として育って来たのです。ところで、この恵まれた環境は、なにも少林寺に限った事ではなく、社会全般にわたっています。
しかし昨今の社会問題、とりわけ青少年非行化問題等が、この恵まれた環境(＝豊かさ)を原因として生じているのも見逃せない事実です。
先生は、
「豊かさは本当の幸せとは違う！ 堕落させている第一原因である」――��
と喝破されます。（豊かさに対する解釈は慎重を要しますが、ここでは物質至上主義を指摘されたのだと思います。）
すでに何年か前、先生は発展を遂げる少林寺の現状にかんがみ痛烈な警告を発せられています。
「……道の為、行動出来る真の少林寺拳士と、そうでない者を厳密に分け、前者のみで少林寺を再編いたします。その結果、拳士の数が減り組織が縮小してもかまいません。量より質であり、精鋭な拳士集団をもって少林寺の目指す理想郷(原文ママ)を実現しようではありませんか。」――��
布教という立場からすれば一見、矛盾するようなご発言ですが、今思うに、豊かさゆえに生じる落とし穴を内にもありと鋭く見抜かれていたのでしょう。
また、このご発言は裏を返せば、内容の伴った大組織を目指す逆説的な宣言であるとも受けとれます。具体的には拳禅の一致（この場合は量と質、あるいは形と中味）であり、良き指導者の育成であり、似非指導者の駆逐であり、教育制度等の充実を意味したのです。実際その後、夏期大学の設置、中央委員会の発足、武専の改制、本部施設の拡張等にみられる様に先生は行動のうえで私達に示されました。
組織で一番古いお方が(当たり前ですが)一番新しい感覚をお持ちになり実行に移される。ここにおいて私達如きの「育った時代が違うから」等という甘ったれた根性は木っ端微塵に打ち砕かれる思いがします。それは一部先輩諸氏にとっても同様でありましょう。
私達は道の実践者でありながら、とかく中道＝調和の精神を忘れ、本質を見失いがちです。新世代は満たされた現状こそ本質と信じ、旧世代は苦難の時代にこそ本質があったと疑いません。どちらも本質でなく、どちらも本質でなくはないのです。なぜならば、金剛禅思想＝管長先生と時代は不二一体であり、流動しているからです。一時代のみをとり出し、それに執着する愚かさに早く気づくべきです(この問題に限らず)
三十年が経ち、今後も時代に即応する為、少林寺はますます多様化することでしょう。現実に管長先生でさえ予想されなかった現象が起こりつつあるのです。最近の少年部の発展等良い例です。
「私が最初に考えた事と少し違う事態が発生して来た。」――��
現在を含めて、その様な時にこそ中道の精神にのっとっての金剛禅の解釈や時代の分析や行動が必要です。（管長先生に勝るお手本が他にあるましょうか。）
私は思うのです。先生御自身、
「三十年経って得られた私の成果を、君達が最初から感じて実行出来たら素晴らしい。」――��
とおっしゃられております。今が原点です。
「教範第一章が少林寺の原点である。少林寺あるかぎり第一章は教範からはずさないぞ！」――��
先生の気迫がひしひしと感じられる御発言です。私も充分それは承知しております、が、その上で、文字・言葉を越えて先生の全身全霊を打ち込まれての布教活動そのものが原典(点ではない)であると信じます。原点はまだ続いており、その中にあります。なんといわれる世代であろうとも、今この時代に修行出来る喜びをかみしめずにはいられません。
少林寺が多様化の方向を歩めば、必然的に受け止める側にも個人差が出てくるのでしょうが、先生が命がけで築かれた真に新しい「拳の道」を、単なる豊かさに惑わされ、又、中道＝調和の精神を見失って踏み外す事がない様、後世の拳士に原典を正しく譲り渡せる様、なにより自己自身の確立の為、一層の精進を三十周年にあたり、私は心に誓います。
�´↓きァ〆鯒�十一月の少年部指講における御法話より。
�� 中央機関紙1973年2月25日号より
�Α ，匹里茲Δ併�の御法話でしたか日付その他は忘れましたが、私 の脳裏に鮮明に残っているお言葉です』
まあ青年期の文章ですね…。しかし、三十年前の思いは今も変わらず続いています。しかししかし、未だ山麓を徘徊している我が身を恥じ入ります…。
ともかく、活人拳講義録、頑張ります！
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