| 2002年12月26日(木) |
◆記録・市医大10周年挨拶文 |
□『【監督挨拶/入門と入会】最近、少林寺拳法には二つの入り口があると考えています。ひとつの入り口は入会＝入部です。これは「入会歓迎！」となります。もうひとつは入門で、これは「入門許可！」となります。どのような違いがあるかというと、少林寺拳法を「スポーツ」と受け取る人は前者から入り、「道」と捉える人は後者から入ります。
私は30数年前、17歳の時に少林寺の門をくぐりました。当時、横浜市内には数箇所しかなかった出身道院はお寺の境内の体育館で修行されていて、まさしくイメージした(坊主拳法？)通りのものでした。
二月の寒い時期だったです。入門を申し込みに行くと、「それなら一ヵ月間、見学に来なさい」と言われました。あの頃は週3回、1日2時間の稽古でしたが、少林寺拳法の何を気に入ったのか…きっと、法縁というものが働いたのでしょう。高校生であった私は一度も休まずに見学を果たしたのでした…。
□さてさて、我部の歴史は初代、伊藤クンと福島クンが市大医学部支部設立の為、少林寺拳法に入門という過程を経て始まりました。他に伊藤クンのヨット部の先輩であった矢吹クンも同じく入門をしました。
幸?か、はたまた不幸??か、一般的な大学拳法部とは異なり、私のクラブの取り組み方は現在に至るまで、この出発点を原点とし、楽しく愉快に、時には叱ることもありましたが、学生諸君と共に修行して参りました。
そして、10年という月日が瞬く間に過ぎました。この間、クラブの方針を揺るぎないものにしてくれた歴代の主将、幹部、クラブ員の労をねぎらい、なにより設立当初からの理解者であられる竹中敏文先生、その後の顧問を快くお引き受け下さいました北村均先生、暖かい応援を下さる関和男先生に心から感謝の意を表します。
何卒、今後も当クラブに対し変わらぬご理解とご後援を賜りますようお願い申し上げます。以上を持ちまして、10周年記念誌の私の挨拶文とさせて頂きます。
合掌』――開催日2002年12月21日、原稿は11月27日に入稿。
■↑以上の挨拶文を書いたのですが…若干補足しておきます。私が述べたかったことは、入門という立場を取る場合の先生と生徒の心構え/心理描写だったのです。
開祖は「私は少林寺拳法を開創以来、入門勧誘のビラなどは配ったことが無い！ 少林寺の看板は掲げたが…入門歓迎などとも書いたことが無い！」と良く話されていました。
このことは、曲がりなりにも開祖と同じく道場を開設した私は良く理解出来ます。“来る者拒まず、去る者拒まず”とは言いますが、実際には、入門希望者全員に入門を許している訳ではありません。もうすでに「許す」と言っている通り、私の心の中では入門は無試験？ではないのです。
この点、昔の一部大学拳法部では、入会時は揉み手をするように新入部員を迎えるものの、クラブを辞めるとなると途端に鬼のように変身し、「やれ退部金を出せ、やれナントカ乱取りをする」という始末で、恐怖で辞めたくても辞められないことがありました…。
■今はそんなことは聞きません。(入門の)道院、（入会の）大学拳法部共、辞めることに関しては全く自由でしょう。しかし「入門」となると、私はこだわってしまうのです。
いくつかその理由を箇条書きにしてみます。すべて面接時の結果/印象で判断します。
�‐�林寺拳法は信条と目的を持った武道であり、これを理解出来ない者は許可しない。
��武技を指導する訳であるから、粗暴に思える者。
＊昔、指が無い(指詰めした)者が入門を求めて来たことがある。聞けば、東海方面で事件(殺人未遂)を起こし、出所して来たのだと言う。本人は真面目に立ち直りたいというので、私も20代で若かったので面倒を見た。しかし、３ヶ月して来なくなった…。
これは難しい問題である。もし本人が真実本気なら、今でも入門を許可する気持ちはある…。
��精神に異常を感じる者。
＊昔、耳にピアスを幾つもしている者が来たことがある。今ではおかしくないが…当時は、ヒッピー風な様態でもあり断った。苦しいところで「現在は一杯なので新入門者は取っていません」とやんわり断ったのである。また「７歳の宗道臣に円盤の中で会った事がある！」と言い出した者もいた…。
�い修梁勝�見学態度、言葉使い、服装が悪い者は、「やる気があるのなら、きちんとしてもう一度出直して来なさい」と言う。ついでながら、子供は本人がやりたいと言わなければ入門させない。「お母さん(お父さん)がやれと言ったから…」はダメ！
おおよそ以上ですが、本山の規定でも無職、住所不定者は入門を許可しないとあります。
■上のうち、�，鉢△論萓犬療拯未砲茲蝓◆崙�門してから変わって行けば良い」と考える方もいるでしょう。
私が最も言いたいことは、個々の道場はそれほど広くはなく、その中で少林寺拳法を手取り足取り（手作り？で）指導するのですから、気の合った人でないと辛いものがあるのです。しかし、果たして初対面の人と気が合うかどうかが分かるのか…これは半分は当たりますが、半分は外れます。ですから“気が合う”を前面に出すのは危険です。
とにかく、道院長としての矜持(自分の能力を信じていだく誇り＝自負)が入門という言葉にこだわるのだと思います。また、入門者にしてもそこのところを良く理解して、お互いが納得して少林寺拳法修行をスタートするのが理想です。
これはもう少し書きたいと思います。
久しぶりに書きます。
■アントニオ・猪木氏のビンタ！ 昨今のあの叩かれて喜ぶ現象はなんでしょう？ 若者達に止まらず、良い年をした大人までビンタされて嬉々としている光景は不思議です。
「エルビス・オン・ステージ」という映画を私達の世代の方は観た事があると思います。あの映画の中で、ステージ上で歌うプレスリーに向かって多くの女性ファンが駆け寄り、キスを求めるシーンがありました。まあ、今でしたら感染症の問題なんかありますからどうでしょう…。
でも、キスはちょっと行き過ぎと思いますが、あれが普通の感情でしょう。憧れの人に対して握手などの身体接触を求めることです。ビンタも…確かに接触でしょうが、なにか違う感じがします…。
■父性の喪失が背景にあるのでしょう。最近は、親が息子や娘に気を使うあまり、正面から堂々と「悪いことは悪いことだ！」と叱らなくなり、しかも暴力はいけないという風潮に押されて、親父が子供にビンタを張ることを恐れたのです…。
もちろん、せがまれる猪木氏も思い切り叩いている訳ではありません。ビンタはつまり、彼流のコミニュケーションに他ならないのです。面白いですね。今までにはないコミニュケーションの出現です。氏の個性があって成立するのでしょう。
■しかし、私達も似たような体験をしています。憧れの先生に技を掛けてもらい、倒されたり、痛かったりしたけれども、そこに大きな喜びを感じていました。
少年部の練習時、私が付けたグローブが当たったら(ちょっと)痛いと感じるくらいの突きを受ける練習をします。思い切りではありません。「誰か挑戦者はいるか!?」と聞くと、「ハイ！ハーイ！」と何人もの子供が手を上げます。
ただし、この時の力加減がむずかしく、当たったらちょっと痛いというところがミソなのです。泣かしてはいけません。そんな突きを受けられると喜ぶし､当たっても喜んで？います。
■話しが戻って、猪木氏のビンタは一瞬に終わりますが、というより、いくら痛くないコミニュケーションと言えども、毎日毎日、顔を叩かれるのは気持ちの良いものではありません。それに引き比べて、少林寺拳法の道院長は門下生に対して長い間、護身として有益な技を掛け続けられることができます。
そうです！ たとえ投げ、倒し、固めても、道を求める拳士が嬉々として喜んでもらえるような、鮮やかな技＝（力愛不二の）コニミュケーションを目指さなければならないのです。
| 