※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ロッコク・キッチン』 福島県浜通りを縦貫して東京と仙台を結ぶ国道六号線を背景 に、東日本大震災に伴う福島原発災害により退避を命じられ た地域の今(2024年)を記録したドキュメンタリー。 作品は東京電力福島第一原子力発電所が立地する大熊町と双 葉町を中心に撮影され、そこには在住者(帰還者)もいるが、 本作の中心は災害後にやってきた2人の人物を大まかに2つ のパートに分けて描いている。 その前半はインド人の女性で、祖母由来のチャイを作りなが ら彼女自身の企画による原発被災地ツアーが紹介される。そ して後半では現地で「おれたちの伝承館」を運営する写真家 の男性が登場する。 そんな2人と災害以前から現地で飲食店を営んでいた女性や 正に原発の元作業員の男性なども登場して、大災害から10年 以上が経ってその伝承も風化し始めている原発被災後の現在 地が紹介される。 監督は川内有緒と三好大輔。この2名は2022年に『目の見え ない白鳥さん、アートを見にいく』という作品も制作してい る。なお川内監督は本作と併行して文芸誌にエッセイを連載 し、書籍化されてドゥマゴ文芸賞を受賞している。 出演はインド人女性のスワスティカ・ハルシュ・ジャジュと 写真家の中筋純。他に書店を営む武内優。さらに相原あや、 石井美優といった現地の人々が登場する。 上映前に監督2名の挨拶があり、そこでは「福島原発災害を 風化させないため」というような制作の意図が語られた。ま た映画の中にも同様の発言は登場する。とは言うものの作品 は災害に関してはあまり語らない。 そこには震災以前のホームムーヴィの挿入などによって、失 われた生活と現在の状況が対比され、さらにはその記憶が失 われていくことに対する虚しさのようなものが描かれている ものだ。 確かにこれが現地の人たちの本当の気持ちなのだろうな。そ んなことを想いながら観ていた作品だった。そしてその気持 ちは充分に理解される作品だったと言える。ただその虚しさ だけが感じられることでいいのかな? 実際にインド人の女性が行っているツアーの反響や「おれた ちの伝承館」での伝承の実態、さらには夜だけ開店する書店 の意義などはもう少し深く描いて欲しかった感じはした。こ れが書籍なら読者は想像するが、映画は現実的だ。 これらをもっとはっきりと提示して欲しい気持ちが残った。 公開は、東京地区は2月14日からポレポレ東中野、3月6日 からはシモキタ−エキマエ−シネマ『K2』他にて全国順次 ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、【配給】ロッコク・キッチン・プロジェ クト事務局(株式会社植田印刷所内)の招待で試写を観て投稿 するものです。
| 2026年01月18日(日) |
死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ、スペシャルズ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』 “Das Verschwinden des Josef Mengele” 1974年フランス生まれのオリヴィエ・ゲーズが2017年に発表 した小説『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』を自ら脚色、1969年 ロシア生まれで2022年に西側に亡命したキリル・セレブレン ニコフの脚本・監督で映画化した作品。 開幕はブラジルの大学で法医学教室の教壇に置かれた白骨。 それはヨーゼフ・メンゲレのものだと説明されるが、生徒の 多くは反応を示さない。しかしそこから物語はモサドの追及 を逃れて逃亡を続けたメンゲレの姿を描いて行く。 それはアルゼンチンに始まりパラグアイ、ブラジルへと転居 を繰り返すが、その間には短期間のドイツへの帰還やブラジ ルへ来訪した息子との再会、さらにはアウシュヴィッツでの 栄光の日々の思い出なども再現される。 そしてその中に、メンゲレ自身によるアウシュヴィッツでの 行為への言及や信奉して止まないナチス思想への思いなども 鏤められる。それは正しくヨーゼフ・メンゲレの真の姿とも 言えるものだ。 出演は2025年9月紹介『ボンヘッファー』などのアウグスト ・ディールと、Netflix 作品などに出演しているブレット・ シュナイダー。他にベルリン/エルンスト・ブッシュ演劇大 学で教壇にも立っているというデヴィッド・ルランド。 また2013年9月紹介『ハンナ・アーレント』などのフリーデ リケ・ベヒト。ルランドが教壇に立つ演劇大学出身のミルコ ・クライビッヒ、ダナ・ヘルフルト。さらにブダペスト演劇 映画大学出身のカーロイ・ハイデック。 そして2010年9月紹介『白いリボン』や2019年2月3日付題 名紹介『僕たちは希望という名の列車に乗った』などのブル クハルト・クラウスナーらが脇を固めている。 メンゲレはモサドの追及を逃れ続け、最終的に捕縛されない まま1979年に海水浴中の脳卒中で溺死。その遺骨はブラジル 政府が保管しており、映画開幕のシーンに繋がるが、遺骨は 1992年にDNA鑑定により本人と確認されたものだ。 そのメンゲレの生涯だが、作中には彼の語録とも言える発言 が次々に登場し、そのほとんどはナチス礼賛の文言で羅列さ れる。しかしそこにアウシュヴィッツでの彼の行為が挿入さ れ、それが正に反面教師と言えるものになっている。 実際に映画に中でアウシュヴィッツのシーンは極めて印象的 に描かれており、その映像と彼の発言との乖離が正しくナチ スの許でメンゲレが行った悪魔的な行為とそれを全く反省し ない恐ろしさを描き切っている。 この描き方こそが現政権を批判して迫害を受け亡命した監督 の真骨頂だろう。その主張は特に民主主義とされる国家の右 傾化が進む現代に見事な問いを投げ掛けており、今や全世界 に向けての警鐘になっている感じもするものだ。 そんなアウシュヴィッツに関る作品だが、本作では被害者= ユダヤ人の図式は存在しない。もちろんユダヤ人も登場はす るが、被害者の中心は身体的な障碍者であり、いわゆるマイ ノリティだ。 実際にナチス政権下では同性愛者やロマなども迫害の対象と なっており、本作ではそれらの人々の姿もしっかりと捉えて いる。この点は従来のハリウッド映画と一線を画するものと も言えそうだ。 そしてその映像は本編全体がモノクロームの中で鮮烈な色彩 を持って描かれるもので、それはその時代がメンゲレにとっ て栄光の時だったと解釈もされるが、敢えてその悪行を鮮烈 に印象付ける効果も伴っている。 なおこの映像は個人的に記録されたホームムーヴィとして登 場するが、それがカラーフィルムで撮影されていたという設 定。因にカラーフィルムは1936年にドイツ・アグファ社で開 発されており、時代考証も正しいものだ。 こんなメンゲレの跋扈する時代が再来しないように、今観て しっかりと考えておきたい作品だ。 公開は2月27日より、東京地区はシネマート新宿、シネスイ ッチ銀座他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社トランスフォーマーの招待で試 写を観て投稿するものです。
『スペシャルズ』 2023年4月紹介『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』などの 内田英治原案/脚本/監督で、Snow Man佐久間大介を主演に 迎えてダンスバトルを中心に据えたアクションムーヴィ。 開幕は、首都高のトンネルで繰り広げられるカーチェイスと ガン・アクション。これがCGI多用とは思われるものの見 事に決まっていて、アクション映画の掴みとしては上出来と 言えるものだ。 そこで標的を射殺するがそれは替え玉。その失敗を依頼者に 報告する殺し屋に耳寄りな情報が提供される。それは本物の 標的が1年に一度だけある場所に確実に現れるというもの。 そこは孫娘が出場するダンス大会の客席だった。 そのため殺し屋はダンス大会の舞台上から客席にいる標的を 狙う計画を立てるが、そのためには自らがダンス大会に出場 しなければならなくなる。そこでダンス経験があるとされる 一匹狼の殺し屋たちが集められるが…。 ひと癖もふた癖もある面々がダンス大会出場を目指して悪戦 苦闘を繰り広げる。 共演は椎名桔平、NTC中本悠太、劇団EXILE 青柳翔、それ に小沢仁志(この面子で踊る!)。そして2012年生まれの羽楽 (うらら:13歳が素晴らしい)。さらに前田亜季、平川結月、 矢島健一、六平直政、石橋蓮司らが脇を固めている。 なお脚本には生活描写に定評があるという劇団マチルダアパ ルトマン主宰の池亀三太が参加しており、またダンスシーン の振り付けは2025年の関西万博開会式のパレードの振り付け などを手掛けたakane が担当している。 「殺し屋がダンス!?」という惹句でどんなものかと心配した が、物語は予想以上にしっかりしたもので、さすが内田英治 監督という感じの作品だった。それにしても椎名、青柳、小 沢が踊るというのは前代未聞の作品だろう。 そんな面々でのダンスバトルというのも見ものだが、それも ジャンルがバラバラ。しかもそれぞれが理由のあるダンスと いうのも上手い展開だった。その中で佐久間には敢えて普段 と違うジャンルへ挑戦というのも気が利いている。 それにしても椎名らには決してうまいとは言えないものの、 恰好は良くてこれなら若い人にもアピールするかも? とい うダンスに振り付けられているのには感心した。物語に併せ てこれも納得できるポイントだった。 脚本と振り付けの勝利。正にお見事という感じの作品だ。た だこの作品なら、最後に六平、石橋らも踊るインド映画風の グランドフィナーレが欲しかったかな…? そこはちょっと 残念? 公開は3月6日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社エイベックス・フィルムレーベ ルズの招待で試写を観て投稿するものです。
|