井口健二のOn the Production
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2013年08月30日(金) ゲキ×シネ:シレンとラギ、アルカナ、サカサマのパテマ、サプライズ

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『ゲキ×シネ:シレンとラギ』
昨年11月に『髑髏城の七人』を紹介した劇団☆新感線の舞台
をHD撮影した作品=ゲキ×シネの第11作。このページでは
2009年12月『蜉蝣峠』、2010年8月『蛮幽鬼』、2011年4月
『薔薇とサムライ』、そして『髑髏城の七人』に続いて6作
目の紹介になる。
物語の舞台は、何時とは知れない時、何処とは判らない国。
その国には南北二つの王朝があり、幕府と呼ばれる北の王朝
では、先王の十三回忌が営まれようとしていた。そこに教団
と呼ばれる南の王朝で20年まえに暗殺されたはずの教祖が復
活したとの一報が伝えられる。
その暗殺は暗殺者民族の末裔という女性シレンにより実行さ
れたもので、シレンは「愛の毒」を使って証拠を残さず仕留
めたはずだった。そのためシレンが再び呼ばれ、彼女は自ら
に憧れる若者ラギを伴い南の王朝へと出立するが…。2人の
前に複雑な陰謀と、厳しい運命が立ちはだかる。

出演は、劇団☆新感線の舞台は2度目の永作博美と、初参加
の藤原竜也、高橋克実。さらに古田新太、橋本じゅん、高田
聖子ら、常連の面々が脇を固めている。脚本は中島かずき、
演出いのうえ・ひでのりによる「いのうえ歌舞伎」の一編。
過去に紹介したゲキ×シネでは、いつも強烈な群舞や激しい
殺陣が注目されたが、本作では勿論それも堪能できるが、そ
れにも増して人間模様が克明に描かれる。特に題名でもある
シレンとラギの関係は、映画で企画されたら実現が難しかっ
たかもしれない。それが演劇として提示される。
そしてそれを演じる永作と藤原がまた見事になもの。ゲキ×
シネではいつも客演の俳優たちが、普段のテレビや映画では
観られない役者振りを見せてくれるが、高橋も含めた今回の
客演者たちも、正にこれだと思わせる。これを実際には生の
舞台で演じているのだから、これは見事だ。
そう言えば、前々回紹介した『許されざる者』では小池栄子
が娼婦のリーダーを演じていたが、それは『髑髏城の七人』
の彼女を髣髴とさせた、このような映画へのフィードバック
があると、それも嬉しいものだ。

舞台面を写したHD作品は、他にも紹介しているが、本作は
単なる記録ではなく、さらに新たなジャンルを目指している
ように感じられる。それは俳優のアップなど、舞台では観客
に判らないような部分まで捉えられているもので、敢えてそ
こまで演出してゲキ×シネにしているようだ。
また本作の音響では、ハリウッドの『ハリー・ポッター』な
どを手掛けたスタッフも動員されているそうだ。

『アルカナ』
ヤングジャンプ連載、小手川ゆあ原作コミックスの映画化。
2009年8月に紹介した三池崇史監督『ヤッターマン』などの
助監督を務めた山口義高による監督デビュー作品。
物語の発端は連続して起きた大量殺人事件。主人公はその事
件を追う刑事。しかしその刑事は、子供の頃から自分だけが
見える謎の存在に悩んでいた。ただしその存在により、事件
をいち早く知ることも出来るのだが…。
物語の背景は、霊魂が存在し、それを見ることのできる人間
もいる世界。そこで連続殺人事件が起こり、それには人間の
分身が関っているらしい。そして主人公と同様に霊魂を見る
ことのできる女性が殺人現場で拘束される。
一方、警察には超常現象の関る事件を専門に扱う部署「お宮
係り」があり、主人公が追う事件にもその連中が介入してく
る。果たしてその女性は事件の真犯人なのか。そして事件の
真相は?

出演は、昨年6月紹介『王様とボク』などの中河内雅貴と、
2010年12月紹介『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!べリ
アル銀河帝国』の土屋太鳳。土屋は前作ではまだ子役だった
が、本作ではヒロイン役だ。
他に谷村美月、岸谷五朗。さらに今年の舞台「ミュージカル
黒執事」などの植原卓也、2010年3月紹介『さんかく』など
の谷口一、1999年『救急戦隊ゴーゴーファイブ』などの谷口
賢志、ベテラン俳優の野口雅弘らが脇を固めている。
また、中国武術やテコンドー、空手などが特技という若手俳
優Kaitoのスクリーンデビュー作にもなっているようだ。脚
本は、監督と2001年『火星のカノン』などの及川章太郎が共
同で担当。
『シックス・センス』や何やかやがごった煮の感じの作品だ
が、監督が三池監督の助監督だった人の作品らしく、中には
アクションもあるし、そこにある程度のスプラッターも入れ
て、それらはエンターテインメントとして楽しめる。
ただ、監督もデビュー作というところで低予算ではあるし、
それなりの作品という感じかな。でもまあ、雰囲気の演出な
どはそれなりに出来ていたし、この調子でやってもらえれば
今後の作品にも期待は持てる感じがした。
なお、本作に関連してKaitoが演じる分身みちるの前日譚を
描くスピンオフ作品が、先にCS/BSで紹介されている。
ただし3Dで製作されているその作品には、本作の主演の中
河内雅貴と土屋太鳳は出ていないようだ。


『サカサマのパテマ』
2008−09年に発表された『イヴの時間』という作品で、東京
アニメフェア2010にてOVA部門優秀賞を受賞している吉浦
康裕監督の最新アニメーション作品。
今年6月紹介『アップサイドダウン/重力の恋人』に続く、
2重の重力方向を持つ世界を描いた作品。どちらが先に発想
されたかは不明だが、見事に内容は競合したものだ。
その世界では以前に大きな災害が起き、地上の一部の重力が
突然反転して巨大なビル群が空に向かって「落下」したとい
う。それから何世代もが経った時代のお話。
主人公は迷宮のような地下世界に暮らす少女。彼女は先代長
の娘らしいが、長老たちが止めるのも聞かず、今日も禁断地
区で冒険を続けている。彼女の憧れは、そんな禁断地区から
別世界に行ったという冒険家の男性だ。
そして彼女は、禁断地区の上下に連なる巨大な孔から新たな
冒険の途へと足を踏み出す。その彼女が辿り着いたのは足元
に青空の広がる世界。しかもそのままでは空に向かって落下
する彼女を助けたのは、その世界に住む少年だった。
こうして異なる重力方向を持つそれぞれの世界に暮らす少年
と少女が出会い、2人の驚くべき冒険が始まる。しかもそこ
には2つの世界の成因に関る大きな謎が隠されていた。
6月の作品では、映画の始まりで舞台となる世界の細かな説
明があったが、本作ではその点は無視。巻頭で空に向かって
「落下」して行くビル群が描かれ、取り敢えずそういう世界
だということで物語は進められて行く。
でもまあそれが何となく説得力があったものだ。ただし映画
を観ている間はいろいろと疑問も生じていたのだが。実は試
写の前に封印されたチラシを渡されて、試写後にそれを開い
てみて疑問は氷解。実に巧みに構築されていた。
それは実に見事な世界の設定で、6月の紹介ではいろいろ疑
義も唱えたが、本作ではそういう点も生じない。ただ、出来
ればそれを映画の中だけで理解できるようにして欲しかった
かな。でもそれはない物ねだりになりそうだ。

声優は、『スマイルプリキュア』などの藤井ゆきよ、『青の
祓魔士』などの岡本信彦。他に大畑伸太郎、ふくまつ進紗、
加藤将之、土師孝也らが脇を固めている。
物語は吉浦監督が原作と脚本も手掛けたもので、宮崎アニメ
にも通じる大空への憧れも感じさせる作品。これが将来的に
戦闘機などに向かないことを願いたいものだ。
なお音楽を『鋼の錬金術師』などの大島ミチルが担当してい
るが、ロシア人の歌手による主題歌の歌詞はエスペラント語
で歌われていたようだ。

『サプライズ』“You're Next”
7月に公開されたホラーオムニバス『V/H/Sシンドローム』
で中核となる“Tape56”のセグメントを担当していたアダム
・ウィンガード監督、サイモン・バレット脚本による作品。
両親の結婚35周年を祝うために集まった10人の家族。しかし
集まった兄弟たちの関係はあまり芳しくないようだ。そこに
アニマルマスクを被った集団が侵入し、惨劇が繰り広げられ
る。ところが参集者の中の1人の女性が反撃を開始したこと
から事態は思わぬ方向に…。
巻頭に隣家の住人の襲われる描写があって、2008年9月紹介
『ファニー・ゲームU.S.A.』に触発された作品かと思ってい
たら、そこからの展開が正しく「サプライズ」だった。特に
結末に持って行く流れは何ともはや…。これならアメリカで
喝采を浴びたというのも頷ける。
因に上記の『V/H/Sシンドローム』は、試写は見せて貰った
ものの僕的には評価が芳しくなくて、ここでの紹介は割愛し
た。でもその中で“Tape56”はそれなりだったかな。ただし
あくまでも狂言回し的な部分なので、これでの評価は出来な
かったものだ。
そんな監督と脚本家の作品だが、実は米国のデータベースに
よると本作の製作は2011年、つまり『V/H/Sシンドローム』
より前の作品で、オムニバスは本作の評判から繋がって作ら
れた作品だったようだ。ただし本作の一般公開はアメリカも
今夏でフィルム上の著作権の表記は2013年になっていた。

出演は、2003年3月紹介『ブルークラッシュ』を基に2011年
に公開された“Blue Crush 2”に出ていたというシャーニ・
ヴィンスン。他に『V/H/Sシンドローム』には監督として参
加のタイ・ウェストらが脇を固めている。
登場する一家の主が軍需産業に関る大金持ちだったり、侵入
者に対して反撃に出るのが闘うヒロインだったり、観客の喝
采を浴びるのには格好の題材が揃えられている。そして結末
のつけ方、これも間違いなく観客には好評だろう。そんなも
のが巧みに組み合わされている作品だ。
因に米国のデータベースでのジャンル分けはコメディ/ホラ
ー/スリラーで、コメディが先頭になっている。ただし演出
はホラーの感覚で、それは見事に描かれていた。

なお本作は、2011年のオースティン・ファンタスティック・
フェストで最優秀監督賞、最優秀作品賞、最優秀ホラー映画
女優賞(シャーニ・ヴィンスン)、最優秀脚本賞を受賞、他
に観客賞の第2位に輝いている。また、同年のトロント国際
映画祭でも観客賞の第2位を獲得したようだ。

(あと数本を後日追加します)



2013年08月20日(火) クロニクル、陽だまりの彼女、ゴースト・エージェント、エリジウム、パッション、今日子と修一の場合、ハウス・オブ・カード、鷹の爪GO

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
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『クロニクル』“Chronicle”
偶然に超能力を手に入れた若者たちの姿を、正に若者視点で
描いた1985年生まれの新人監督による作品。
主人公は、話し相手は中古のヴィデオカメラだけという高校
生。彼のカメラはアル中で暴力的な父と病気の母と共に暮ら
す彼の荒んだ日々を記録し続けている。そんな主人公はある
日、従兄弟に連れて行かれたパーティで女子にカメラを向け
たことから殴られてしまう。
しかし会場の外で泣いている姿を見かねた従兄弟とアメフト
部のスター選手が彼を洞窟探検に誘い出す。そしてその洞窟
の奥で不思議な物体に触れた3人は、思わぬ超能力を身につ
けていることを知る。こうして超能力を身につけた3人は、
徐々にその力を強化して行くが…。
思いも掛けず手に入れた能力が、一時は彼らを有頂天にし、
彼らを人気者にもして行くが、それはやがて恐ろしい結果を
招いてしまう事になる。

主演は、今年4月紹介『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ
/宿命』や、来年公開の『アメイジング・スパイダーマン』
の続編でのハリー・オズボーン役が決まっているデイン・デ
ハーン。
共に超能力者になる仲間に、6月紹介『パニック・マーケッ
ト3D』に出演し、今秋公開のリメイク版『キャリー』にも
出ているアレックス・ラッセルと、ジョージ・ルーカス製作
の戦争映画“Red Tails”に出演のマイクル・B・ジョーダ
ン。
さらに7月紹介『マン・オブ・スティール』に出ていたとい
うマイクル・ケリー、モデル出身で2012年『チェリーについ
て』では主役を務めたアシュレイ・ヒンショウらが脇を固め
ている。
原案と監督はテレビ出身で、本作の後には2015年公開予定の
“The Fantastic Four”のrebootへの起用が発表されている
ジョッシュ・トランク、そして同じく原案と脚本を、ジョン
・ランディス監督の息子のマックス・ランディスが担当。
厳密な科学考証をするとちょっと気になる部分もあるが、現
代の若者の姿みたいなものはストレートに伝わってくるし、
その辺には無理な展開も無く納得して観ていられる作品だっ
た。

『陽だまりの彼女』
2010年1月紹介『ソラニン』と、2012年2月紹介『僕等がい
た』の三木孝浩による第3作。前の2作はコミックスの映画
化だったが、今回は「日本ファンタジーノベル大賞」受賞者
・越谷オサム原作で、累計発行部数が68万部を超えるという
ベストセラー小説を映画化した。
主人公は鉄道系の広告代理店で働く新人の営業マン。仕事は
熱心だが少し内気で成績も芳しくない彼が先輩と共に訪れた
下着メーカーの会議室で、彼は中学時代の同級生だった女性
と再会する。
彼女は中学1年生の冬に来た転校生で、少し行動が晩熟で苛
められっ子だった彼女を彼は何度も助け、それが切っ掛けで
一緒に居ることも多かったのだ。しかし中学3年のとき彼が
転校し、以来10年ぶりの再会だった。
そして下着の広告ということで、表現上なかなか許可の下り
ない企画を、彼は熱意を持って推進し、その活動には彼女も
協力して2人の仲は順調に発展して行く。やがて2人は彼女
の育ての親の許に結婚の許可を求めに行くが…
元警察官の養父は激しくそれに反対し、彼女の過去の経緯か
ら彼にそれを負い切れるかを詰め寄る。それでも駆け落ち結
婚して新居を構えた2人の前に、彼女の秘密の過去が立ちは
だかる。

出演は、松本潤、上野樹里。他に玉山鉄二、大倉孝二、谷村
美月、菅田将暉。さらに小藪千豊、西田尚美、とよた真帆、
木内みどり、塩見三省、夏木マリらが脇を固めている。
脚本は、昨年9月紹介『BUNGO』で「注文の多い料理店」の
菅野友恵と「握った手」の向井康介が担当した。
実は、試写の行われた頃に昨年7月に紹介した『画皮 あや
かしの恋』の続編が一般公開されていて、この作品は試写が
行われなかったので映画館へ観に行ったが、本作はそれにも
通じる悲恋物。しかしそこに意外な展開が待ち構えているの
は、なるほどと納得もさせられる作品だった。
因に物語の舞台が江の島になっていて、それは原作とは異な
るようだが、地元を知る者にとってはいろいろな意味で納得
の背景だった。監督はそれも判っているはずだが、プレス資
料などで言及しないのは奥ゆかしいところだ。

映画の中には目に見える魔法のようなものは出てこないが、
ファンタシーであることは間違いない作品で、設定は外国で
も通じるものだし、海外のファンタスティック映画祭などに
も出品してもらいたい作品だ。

『ゴースト・エージェント』“R.I.P.D.”
2011年7月紹介『グリーン・ランタン』などのライアン・レ
イノルズと、2010年12月紹介『トロン:レガシー』などのジ
ェフ・ブリッジスの共演で、死後の世界に関わるアクション
作品。
原題の前半のR.I.P.は「rest in peace」の略で死者に贈る
言葉。一方、後半のP.D.は、L.A.P.D.やN.Y.P.D.などでお馴
染みの「Police Department」の略称というもので、つまり
死後の世界を司る警官が主人公のお話。
その主人公の生前は、ボストン警察のエリート警官。しかし
ドラッグの売人で警官殺しの凶悪犯を追い詰めたとき、何処
からか発射された銃弾で殉職してしまう。こうして生前が善
人だった主人公は天国に召されるはずが…。
警官としての才能を見込まれた主人公は、成仏できずに現世
をさまよう悪霊を取り締まる「R.I.P.D.」のエージェントに
スカウトされる。こうして自分の死に際にも疑問を持つ主人
公は、現世に留まってその謎解きにも挑戦することに。
しかしそれは霊界と現世を繋ぐ巨大な陰謀に立ち向かうこと
にもなってしまう。

「CSI:ニューヨーク」の製作総指揮などを務めるピーター・
M・レンコフがダークホース社から発表しているコミックス
の原作に基づく脚本は、2010年4月紹介『タイタンの戦い』
などのフィル・ヘイとマット・マンフレディが担当。
その脚本から2010年12月紹介『RED/レッド』などのロベ
ルト・シュヴェンケが監督した。
共演はケヴィン・ベーコン、『RED』にも出演のメアリー
=ルイーズ・パーカー、『アイアンマン3』のステファニー
・ジョスタク。さらにスーパーモデルのマリサ・ミラー、ベ
テラン俳優のジェームズ・ホンらが脇を固めている。
かなり異形になっている悪霊の姿や、それと闘う主人公らの
アクションがVFXを駆使して過激に描かれる。そこにさら
に天地を揺るがす大迫力のCGIなどが展開される。
それはそれで面白くはあるのだが、実はそこから先が何かピ
ンと来ない。それは例えばミラーとホンが演じる主人公らの
アバターの話はもっと面白く出来るはずだし、霊界と現世を
繋ぐ陰謀にしても、今ひとつその経緯が明確に描かれていな
いのだ。その辺が何となく面映い。
上映時間が1時間36分の作品で、もう少し脚本を練り上げて
大作にして欲しかったかな、そんな気持ちにもなった。ただ
まあお気楽に楽しむ分にはこれでも充分かもしれないが、折
角の設定がちょっともったいない気もする作品だった。


『エリジウム』“Elysium”
2010年3月紹介『第9地区』で鮮烈なデビューを飾った南ア
出身ニール・ブロムカンプ監督が、マット・デイモン、ジョ
ディ・フォスターを主演に迎えた本格未来SF大作。
時代背景は西暦2154年。世界は21世紀末から環境汚染と人口
増加による荒廃と混乱が進み。富裕層は地表から400km上空
に浮かぶスペースコロニー「エリジウム」に移住。地上に残
された人々は、上空に浮かぶコロニーを見詰めながら汚染の
貧困の中で暮らしていた。
主人公はそんな地上のスラム街に暮らす若者。彼は以前は犯
罪にも手を染めたが、現在はロボット製造ラインで過酷な労
働に耐えている。ところがその彼が作業中に放射線を浴び、
余命5日と診断される。そして彼には、エリジウムの医療装
置に掛かれば全治する病弱の娘を抱える幼馴染が居た。
一方、エリジウムの防衛を管理する女性長官は、地上から不
法に侵入したシャトルを迎撃するが、その手続きはエリジウ
ム政府との確執を生む。しかし侵入したシャトルの搭乗者の
1人は医療装置で劇的な回復をしていた。そしてその事実は
地上の人々に希望の火を灯すが…

共演は、『第9地区』にも出ていたシャールト・コプリー、
2001年『シティ・オブ・ゴッド』や2007年12月紹介『アイ・
アム・レジェンド』などのアリス・ブラガ、2006年6月紹介
『天国の口、終りの楽園』などのディエゴ・ルナ。芸達者な
顔ぶれがしっかりした人間ドラマを描き出している。
エンディングクレジットを見ていたら、concept designerの
欄にシド・ミードの名前があり、これは本物だという感じが
した。映画に登場するスペースコロニーには天井が無いが、
これは恐らくNASAなどの研究成果に基づくものなのだろう。
そんな現実感のある未来世界が展開されている作品だ。
『第9地区』と同様に脚本もブロムカンプが手掛けたものだ
が、解決策などには多少甘い感じはあるものの、これこそが
SFファンの観たいSF映画という感じもする。SFファン
にも、そうでない人にも存分に楽しめるという感じの作品に
なっていた。
少なくとも軌道上に浮かぶスペースコロニーの全容は、過去
の映画には登場していない雄大なもので、これだけでもSF
ファンの心を掴みそうだ。

今夏のSF映画は、スーパーヒーロー物やシリーズの新作が
並ぶ中で、新規の作品はなかなか結果が出せないでいたが、
最後に本格SF映画の大本命が登場してきたと言えそうだ。

『パッション』“Passion”
今秋リメイク版が公開される『キャリー』のオリジナル版の
監督としても知られるブライアン・デ・パルマ脚本・監督に
よる最新作。
登場するのは、ニューヨークに本社を置く世界的な広告代理
店のベルリン支社を統括するブロンドの女性レイチェルと、
彼女と二人三脚で斬新な広告戦略を打ち出している黒髪の女
性イザベル。しかしイザベルは某日本メーカーから受注した
新型スマートフォンの戦略に不満を持ち、助手を使って独自
に新たなPVを制作する。
そのPVはクライアントの評価も高く、プレゼンテーション
は成功となるが、その成果はレイチェルに独り占めされてし
まう。しかもレオチェルはそれを踏み台にニューヨーク本社
への復帰の道を開く。そんな仕打ちを受けたイザベルだが、
彼女自身のレイチェルへの忠誠心は揺らがなかった。ある出
来事が起きるまでは…。

出演は、レイチェル・マクアダムスとノオミ・ラパス。その
脇を2011年10月紹介『ブラディ・パーティ』などのカロリー
ネ・ヘルフルト、昨年1月紹介『シャーロック・ホームズ:
シャドウ・ゲーム』に出ていたポール・アンダースン。因に
マクアダムスとラパスも『シャドウ・ゲーム』の共演者だ。
物語は、2010年に発表されてアラン・コルノー監督の遺作と
なったフランス映画“Crime d'amour”に基づく。しかし主
人公らの年齢設定が異なりコミカルな風刺劇とされるオリジ
ナルに対して、本作の脚本も手掛けたデ・パルマは、それを
見事なサスペンスドラマに改作した。
しかもその作風は、ヒッチコックの再来と言われた1970年代
から80年代のデ・パルマが見事に復活しているものだ。特に
主演の1人にマクアダムスを配した辺りや、ラパスが遭遇す
る駐車場での出来事の演出などは、正しくサスペンス映画の
醍醐味といった感じの作品に仕上げられた。
今年7月に紹介した『サイド・エフェクト』の宣伝コピーで
は「ヒッチコック風」という言葉が使われていたが、そのと
きには何か違和感があった。しかし本作は本物。正にヒッチ
コックを髣髴とさせる映画だ。これにはさすがデ・パルマと
思わされた。

デ・パルマは1940年生まれ、1987年『アンタッチャブル』や
1996年『ミッション:インポッシブル』などの大作でも手腕
を発揮したが、僕らにとってはデ・パルマの原点でもあった
ヒッチコックの後継者の席に戻ってくれたことは、ファンと
して大きな喜びとも言える作品だ。

『今日子と修一の場合』
2007年9月紹介『風の外側』の奥田瑛二監督による同作以来
6年ぶりとなる新作。なお本来は俳優である奥田の監督作品
は本作が5作目となる。
物語の背景にあるのは2011年3月11日の大震災。そして登場
するのは、被災地の出身だが震災のときは諸般の事情により
東京で暮らしていた女と男。
今日子の場合は、漁師の妻として1人息子や義理の両親と共
に三陸の町で暮らしていた。ところが彼女が家計を助けるた
めに始めた保険外交員の仕事で、彼女は顧客との関係を疑わ
れてしまう。
しかも反論できなかった今日子は、故郷を捨て東京にやって
くる。そこで行く当ても無かった彼女は街で声を掛けられ、
紐のような男と同棲生活を始める。そしてその男との暮らし
が限界となったとき、3月11日が襲い掛かる。
修一の場合は、リストラされた父親と母親と共に三陸の町で
暮らしていた。ところが大学受験に失敗し、浪人生になった
彼に酒に溺れた父親が暴力を振るい始める。そしてその暴力
が母親に向いたとき、彼は父親を殺してしまう。
こうして少年刑務所に服役した修一は、出所後は故郷に帰ら
ず、東京の町工場で働く途を選ぶ。そこに3月11日が襲い掛
かる。その津波で母親が行方不明になった修一は東京で強く
生きることを決意し、大学受験への再挑戦を始める。
そんな今日子と修一は、自らのけじめのために被災した三陸
の地を訪れる。

出演は、監督の次女の安藤サクラと今年4月紹介『フィギュ
アなあなた』などの柄本佑。実生活では夫婦の2人が、重い
運命を背負わされた女と男の姿を見事に演じている。他に、
昨年8月紹介『のぼうの城』などの和田聰宏、昨年11月紹介
『ももいろそらを』などの小篠恵奈。さらにカンニグ竹山、
宮崎美子、平田満らが脇を固めている。
奥田監督は震災後の被災地にヴォランティアのつもり入り、
その状況を目の当たりにして「自分が出来るのは映画を撮る
ことだ」と思ったそうだ。しかしそれはドキュメンタリーで
はなく劇映画だと考えて構想された作品となっている。
その物語は、奥田監督自身が脚本も手掛けたもので、希望に
満ちた未来と厳しい現実とが2人の登場人物によって見事に
描き分けられており、構成はかなりトリッキーだが巧みに現
実を捉えたものと言える。

因に奥田監督は、本作のインタヴューで「これでやっと本当
の意味で監督になったような気がする」と語ったそうだ。

『ハウス・オブ・カード野望の階段』“House of Cards”
2010年10月紹介『ソーシャル・ネットワーク』などを監督し
たデイヴィッド・フィンチャーによる初めてのテレビドラマ
作品が、日本ではイマジカBSとネット配信のNOTTVで放送さ
れることになり、その第1話、第2話の試写が行われた。
舞台はアメリカ合衆国ワシントンDC。全米50州の何処にも
属さない人口63万人のこの町は、4年に1度のお祭り騒ぎを
迎えている。その町の中心となる大統領府ホワイトハウスの
主が選挙で選ばれたのだ。そして物語は2013年1月、新たな
大統領が誕生するところから始まる。
主人公は、米国議会下院の実力者で院内幹事を務める男性。
新大統領誕生の陰の立役者でもあった彼には、その論功行賞
で国務長官のポストが与えられるはずだった。ところが彼は
新大統領と首席補佐官に裏切られ、そのポストは別の若手議
員に贈られてしまう。
一方、彼には新大統領が所信表明で述べる重要法案を起草す
る仕事が与えられるが…。彼はこの機を狙って大統領と首席
補佐官への復讐の陰謀を巡らせ始める。そしてそこにワシン
トンの有力紙でネット配信のレポーターを務める駆け出しの
女性記者が登場、彼は彼女に情報をリークする。

出演は、主人公にケヴィン・スペイシー、その妻役にロビン
・ライト、そしてフィンチャー監督が『ドラゴン・タトゥー
の女』に起用したルーニーの姉のケイト・マーラが駆け出し
の女性記者を演じる。他に上記の『クロニクル』にも出てい
たマイクル・ケリー、昨年12月紹介『キャビン』などのクリ
スティン・コノリーらが脇を固めている。
現実の2013年1月はバラク・オバマ大統領が再選されている
ものだが、本作では新大統領が誕生。ただしその党派などは
微妙に隠されていたようで、実際のアメリカ政界の生々しさ
などはあまり描かれていない。
それに代って描かれるのは、主人公の見事な復讐劇であり、
複雑なパワーゲームの中を巧みに潜り抜けて目的を達成する
小気味よさだ。従って本作では、アメリカ政界の現状などを
知る必要もないし、エンターテインメントとしての面白さに
溢れた作品になっている。

なお放送は、9月15日21時からに僕が観たのと同じ第1話、
第2話が連続で先行放送され、レギュラーは10月9日から毎
週水曜日23時、初回は第1話、第2話連続で以後は1時間ず
つのようだ。
因に試写の行われた第1話、第2話では、物語は一応の決着
となるが、以後の展開も期待される作りになっていた。


『鷹の爪GO〜美しきエリエール消臭プラス〜』
2009年12月紹介『秘密結社 鷹の爪 The Movie 3』の続き。
前作は3だったが、本作は気分的にGOなのだそうだ。
物語は、主人公の吉田くんのお母さんが病気になり、結社の
面々が故郷島根県にお見舞いに来るところから始まる。その
病気は重いものではなくほっとした吉田くんだったが、帰路
に立ち寄った神社である予言を受けてしまう。それは結社の
命運を左右するものだった。
一方、宇宙の彼方で機械生命体の暮らす惑星ゴゴゴは邪悪な
宇宙帝国の侵略を受けていた。ところがその防衛司令部でお
茶汲み係のオキテマスはある予言を信じていた。それは「青
く輝く惑星に住む耳の尖った男が世界を救ってくれる」とい
うものだったが…。
そんな物語に、主人公たちの出自や島根県に関わるギャグ、
一発ギャグなどが絡んで、映画は進められる。また恒例の制
作費インジケーターが画面上部に掲示され、そのメーターが
スポンサーが決まると伸びたり、CGIが使われると縮んだ
りという展開も前作同様に登場している。

脚本、監督、キャラクターデザイン、声の出演はFROGMAN。
またゲスト声優としてモデル/女優の河北麻友子、稲川淳二
らが登場。他にも意外な人が登場しているものだ。
昨年はJR西日本の管内を旅行していると、鷹の爪団のキャ
ラクターが登場するマナーポスターをよく見掛けた。この他
にもタイアップは多数あり、さらに最近ではNHKのEテレ
にもレギュラー番組があるとのこと。正に飛ぶ鳥を落とす勢
いのようだ。
そんな状況での本作の公開となるが、作品は前作の紹介のと
きにも書いたように常識的というか、ギャグなどにも下品な
ものや悪質なものは無く、正に健全な作品になっている。そ
れでも僕らが観てニヤリとする出来なのだから、これは見事
というべきだろう。

多少の楽屋落ちなどはあるが、全体的には子どもから大人ま
で楽しめる作品。なお試写会での監督の挨拶によると、今年
のねぶた祭りには子どもたちの投票で決まった「鷹の爪団」
の山車も登場したそうで、この勢いは当分止まりそうも無い
ようだ。



2013年08月10日(土) シャンボンの背中、Miss ZOMBIE、あの日見た花…、ある愛へと続く旅、009-1、スクールガール…、ランナウェイ、許されざる者

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『シャンボンの背中』“Mademoiselle Chambon”
今年5月紹介『恋のベビーカー大作戦』に続いてwowow企画
「旅するW座」で全国公開される第5弾作品。
物語の中心は、中年の男性。大工で妻と一人息子と極々平凡
だった彼の生活に変化が訪れる。妻に代わって息子の迎えに
学校を訪れた彼の前に美しい女性の担任が現れたのだ。彼女
は臨時教員だったが、彼女は彼に父親の仕事を教える授業へ
の参加を要請する。
その授業は巧みな生徒指導もあって順調に進み、授業の後で
彼女は自分の下宿の部屋の窓から隙間風が入るので診て欲し
いと話し、彼はその点検に行くことにする。そしてその作業
を終え、彼女がヴァイオリニストであることを知った主人公
は、彼女に思い出の曲の演奏をリクエストする。
それに対し暫らく人前で演奏したことがないという彼女は、
主人公に背を向けて演奏を始める。題名はそのシーンを意味
しているものだ。そして徐々に親しくなった2人は抜き差し
ならない関係になって行くが…。正に分別をわきまえている
はずの大人の男女が、罠のように堕ちてしまう物語だ。
といっても本作はフランス映画、物語は1992年『氷の微笑』
ではなく、1966年『男と女』のように展開されてゆく。この
描き方が今の日本人にどう映るかは判らないが、僕自身とし
ては懐かしさも込上げてくるような作品だった。

脚本と監督は6月20日付「フランス映画祭2013」で新作
の『母の身終い』を紹介しているステファヌ・ブリゼ。エリ
ック・オルデルの原作からフロランス・ビニョンと共に脚色
した作品は、セザール賞の脚色賞を受賞している。
出演は『母の身終い』にも主演しているヴァンサン・ランド
ンと昨年4月紹介『屋根裏部屋のマリアたち』などのサンド
リーヌ・キベルラン。因に2人は実生活では元夫婦で、本国
ではその共演も話題になったそうだ。
また、劇中の女性教師のヴァイオリンは吹き替えだが、その
演奏は田中綾子という大阪出身のヴァイオリニストが担当し
ている。2007年8月紹介『4分間のピアニスト』の吹き替え
も2人の日本人女性演奏家が担当していたが、こういう活躍
を見るのも嬉しいものだ。
日本公開は10月から全国順次で行われるが、劇場などの詳細
は今回は案内されなかった。ただし東京は12月13日から渋谷
のユーロスペースとなるようだ。
VFXもアクションもないし、ミステリーもないけれど、大
人のラヴストーリーをじっくり楽しみたい作品だ。


『Miss ZOMBIE』
2009年4月紹介『蟹工船』などのSABU監督が、原案と脚
本も手掛けたゾンビ映画。
物語の背景は、ゾンビは普遍化しているらしいが、まだ社会
には受け入れられていないような世界。そんな世界のとある
邸宅に箱詰めにされた女性のゾンビが届くところからお話は
始まる。
その箱にはゾンビを飼育するための注意書きも添えられ、そ
れは1984年『グレムリン』も思い出される。さらにそこには
ゾンビを射殺できる拳銃も添えられていた。しかし周囲の人
からは早く処分しろとの抗議も受ける。
それでも邸宅に置かれたゾンビは、簡単な掃除などの仕事を
を命じられたままにするようになるが…。傷は負っているが
女性のゾンビには、邸宅の主人や出入りする男たちの関心も
集まって行く。そして妻や子供との葛藤が始まる。
前の紹介のときも書いたが、SABU監督の作品はなかなか
観る機会がなくて今回が3作目。前の紹介以降の作品も観て
いなかった。しかもそれぞれ作品のスタイルも違っていて、
僕としては評価の定まらない監督だ。
その新作は、モノクロ映像でかなりスタイリッシュな作品に
仕上げられている。モノクロのゾンビ映画も、1968年『ナイ
ト・オブ・ザ・リビングデッド』を思い出させるが、ゾンビ
はゆらゆらと動くタイプで、その辺も納得できた。
しかもそのゾンビが走り出すシーンもあるのだが、それも物
語の展開で、納得はしないが監督の意図は判る感じのものに
なっていた。これが一般の映画ファンに受け入れられるかど
うかは判らないが、僕には了解の作品だ。

出演は、2006年12月紹介『僕は妹に恋をする』などの小松彩
夏、1998年『犬、走る』などの富樫真、『蟹工船』にも出演
の手塚とおる。
7月紹介『ワールド・ウォーZ』も公開されて、ゾンビ映画
も大作が登場するようになってきたが、昔ながらのモノクロ
映像でゾンビを観せられると、多分自分はこんなのが好きな
んだろうと思わされる。
SABU監督もそんな気持ちで作っている作品なのかもしれ
ない。そんな中では共感する部分も多い作品だった。ただし
ゾンビの感染が噛み付きというのは理解するが、それが首筋
となるとヴァンパイアのイメージも強くなるもので…
でもまあ、日本の若手監督が訳も判らず物真似で作る作品よ
りは、ずっとしっかりした正統派のゾンビ映画で、その辺は
納得して観られた作品だ。


『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』
フジテレ系の深夜番組「ノイタミナ」で2011年4−6月放送
された作品の劇場版。
オリジナルは視聴していなかったので、取り敢えず今回は概
要を読んでから鑑賞した。その物語は、幼馴染の1人が亡く
なっていて、以降何となく疎遠になっている男女のグループ
を中心にしたもの。
それから何年か後、亡くなった女の子の幽霊が主人公の前に
現れる。その姿はグループの他のメムバーには見えていない
が、それでも彼らは主人公を信じ、彼女の残した思いを実現
して、彼女を成仏させようと考える。
1999年の『シックス・センス』と、1990年の『ゴースト』を
併せたようなお話で、ご丁寧に幽霊が現世に及ぼすことの出
来る僅かな力でメッセージを残すというエピソードまで描か
れている。
とは言うものの映画の中ではその説明は全くと言って良いほ
どされなくて、僕は概要を頭に入れて、なお且つ以前の映画
の知識もあるから理解できたが、全くの白紙で観たらどうな
のだろうかとも考えてしまった。
ただしそれはオリジナルを観ていれば自明のものなのだろう
し、試写会場はかなりの涙に溢れていたそうだから、取り敢
えずオリジナルの視聴者をターゲットにした作品ということ
なのだろう。
因にオリジナルはかなりの高視聴率だったそうだから、これ
で充分なのだろう。でもまあ、仲間が主人公を信じる経緯や
幽霊が力を振り絞ってメッセージを書くシーンなどは、もう
少し何か説明があってもよかったと思うのだが…

監督は、2006年『ハチミツとクローバー�供戮覆匹鮗螻櫃院�
本作オリジナルで芸術選奨新人賞受賞の長井龍雪。脚本は、
2008年『黒執事』などの岡田麿里。キャラクターデザインは
2006年『エウレカセブン』などの田中将賀。因に3人は共に
1976年生まれだそうだ。
試写会後に宣伝担当者と話したら、オリジナルを観ていない
人でも泣いている人はいたそうで、それは確かにそういう演
出は巧みになされていた。それは認めてよい作品だ。ただ僕
自身は泣くには至らなかったが…。
実はその前に、僕は登場人物の女性の1人のニックネームに
引っ掛かってしまったもので、試写後にプレス資料からその
女性の本名が安藤鳴子でその略称と知ったのだが、映画の始
めの方でこのニックネームが呼ばれたときには耳を疑った。
宣伝担当者の女性もこれには困惑していたようだ。


『ある愛へと続く旅』“Venuto al mondo”
2004年9月紹介『赤いアモーレ』のセルジオ・カステリット
が、再び妻マルガレート・マッツァンティーニの原作を共同
で脚色、ペネロペ・クルスの主演で映画化した作品。1980年
代と90年代、それに現在のサラエボを背景に深い愛情の物語
が展開される。
物語の始まりは現代のローマ。その町で暮らす1人の女性に
サラエボからの電話が繋がる。それは彼女の亡き夫が撮った
戦場の写真を展示するというもので、彼女は息子と共にサラ
エボに向かうことにする。その息子は難しい年頃で、彼女に
は反抗的だったが。
こうしてサラエボに向かった彼女の胸に過去がよみがえり始
める。それは1980年代のサラエボに留学し、夫と巡り合った
平和で幸せな日々と、90年代の戦火の近付くサラエボで自ら
身篭ることが無理と判り、代理母となる女性に出産を託した
苦難の日々。
そして戦火の中で誕生した乳飲み子と共にイタリアへの脱出
を図った時、カメラマンの夫は戦場に残ることを決断した。
それはジャーナリストの使命感だけだったのだろうか。その
謎が徐々に解き明かされて行く。
ボスニア戦争を描いた作品では、先にアンジェリーナ・ジョ
リー監督による『最愛の大地』“In the Land of Blood and
Honey”という作品も公開されるが、戦争を真正面からに描
いたハリウッド作品に対して本作では、その戦火の中で苦悩
の日々を送った人々の姿が描かれる。
それは真正面から描いた作品の方がアピールも簡単だし、理
解もされ易いだろうが、本作の方がより強く当時の人々の苦
悩が伝わって来るし、本当に起きた出来事がより正確に伝え
られている感じがした。
映画の中でも、ほんの数マイルの海で隔てられたイタリアと
旧ユーゴスラビアが対比されるが、正しく眼と鼻の先の場所
で起きている悲劇。そんな現代の悲劇が見事に描かれた作品
だった。そしてそこに崇高な愛の物語が描かれる。

共演は、昨年10月紹介『ダーケストアワー・消滅』などのエ
ミール・ハーシュ。他に、ジェーン・バーキン、2010年10月
紹介『ソフィアの夜明け』に出ていたというサーデット・ア
クソイ、サラエボ出身のアドナン・ハスコヴィッチ、監督の
息子のピエトロ・カステリットらが脇を固めている。
物語はフィクションだが、その周囲で起きる悲劇は実際にあ
った出来事。その絡み合いが実に巧みで、戦争の悲劇が克明
に伝わってくる作品だ。


『009-1 THE END OF BIGINNING』
石ノ森章太郎生誕75周年記念と銘打たれた実写作品。
時代背景は、経済活動の混乱や宗教問題などで世界が再び東
西ブロックに分裂した近未来。そのブロックの境界線に位置
するJ国は一応ウェストブロックに所属しているが、国内は
裏社会に支配され、東西ブロックの諜報員が入り乱れて暗躍
する無法地帯だった。
そんなJ国に設置されたウェストブロックの特務機関「ゼロ
ゼロ機関」に所属する主人公ミレーヌは、全身に隠し武器が
内蔵され、聴覚や視覚も強化された女性サイボーグ。彼女は
奴隷売買組織の摘発し人々を解放するが、その際に1人の青
年が口ずさんだメロディーが頭から離れなくなる。
そのミレーヌの次の任務は、「ゼロゼロ機関」の頭脳という
べきDr.クラインの警護。ところが研究所がイーストブロッ
クの部隊に襲われ、博士を拉致されてしまう。しかしそこで
再び青年と巡り合ったミレーヌは「ゼロゼロ機関」が進める
新たな計画を知るが…

出演は、元「ミス・マガジン2003」で昨年10月紹介『ミロク
ローゼ』などの岩佐真悠子、2010年『仮面ライダー』などの
木ノ本嶺浩。他に2008年2月紹介『Girl's BOX』などの長澤
奈央、杉本彩、竹中直人らが脇を固めている。
監督は、2009年11月紹介『大怪獣バトル/ウルトラ銀河伝説
THE MOVIE』などの坂本浩一が担当している。
原作の発表当時は冷戦の只中で東西ブロックは現実だった。
でもまあ混沌とした今の時代だと、何時この時代背景が復活
してもおかしくない感じはする。とは言え基本Bムーヴィと
いう造りの作品で、ここに大きな期待は寄せないで観てもら
いたい。
そういう眼で観れば、サイボーグの活躍を描くVFXなどは
以前のこの手の作品に比べると数段にスマートになっている
し、お話や男女の絡みの演出なども以前よりはまともに描か
れるようにはなっているので、それなりには楽しめる作品に
なっている。

なお、撮影は山梨県大月市笹子町にあるAGITOというサバイ
バルゲーム施設でも行われており、8月28日にはその会場を
使ってキャストも参加するゲーム体験イベントも行われる。
因に主演の岩佐はサバイバルゲームが趣味だそうで、本人も
参加するイベントは話題になりそうだ。
その他、9月7日以降の新宿バルト9他での公開では、舞台
挨拶やトークイベントなどの実施も予定されているようだ。

『スクールガール・コンプレックス−放送部篇−』
第3集まで出版された青山裕企撮影の写真集を基にした劇映
画作品。
物語の舞台は女子高の放送部。過去にはプロも輩出している
という放送部の目下の目標は、3年生の引退の場となる学園
祭での朗読劇だ。そんな放送部に、3年生の女子が入部して
くる。その女子は前に所属していた運動部で問題を起こし、
編入してきたようだ。
そんな新入部員に、部長の主人公は部の決まりとして朗読の
録音を課し、新入女子は自分の好きな本だというある古典を
朗読する。その朗読を聴いた部長は、学園祭での朗読作品に
その本を選ぶが…。地元の放送局も取材に来る本番の日。ト
ラブルが勃発する。

出演は、「ミスセブンティーン2010」のグランプリ受賞者で
2012年『転校生』などの森川葵、同『リアル鬼ごっこ3』な
どの門脇麦と近藤真彩、2013年『すーちゃん、まいちゃん、
さわ子さん』などの吉倉あおい。
他に、2013年『獣電戦隊キョウリュウジャー』の今野鮎莉、
元SKE48の高井つき奈、2008年『錨を投げろ』などの新木
優子らが放送部員を演じている。さらに声優の寿美菜子、舞
台俳優の長谷川朝晴らが脇を固めている。
監督は、2009年6月紹介『童貞放浪記』などの小沼雄一、脚
本も同作の足立紳が担当。
元々ストーリーなど無い写真集を基にした作品だが、写真集
のテーマであるガールズ・ラヴの物語が展開される。同様の
ガールズ・ラヴ物では5月に『ジェリーフィッシュ』も紹介
しているが、R-18指定の同作のような過激なものではなく、
いたってソフトに展開される作品だ。
数年前からボーイズ・ラヴがテーマの作品は何本か紹介して
きたが、その手の趣味の無い男性の筆者としては、観ていて
何か違和感があったものだ。それに対してガールズ・ラヴ物
は見た目の可愛さもあるからそれなりに映画としては気楽に
鑑賞できた。
ただ物語の展開として、朗読劇に関する部長の決定などは無
理があり過ぎるし、クライマックスにしてもこの展開は安易
過ぎる。出来ることなら朗読はオリジナルのまま行って、そ
の中で彼女たちの思いが滲み出てくるような、そんな展開に
して欲しかった。
制作期間がどれほどあったのか判らないが、予定された試写
会をキャンセルするほどの粘りを見せる監督なら、制作前の
脚本段階からもっと粘って欲しかったものだ。


『ランナウェイ/逃亡者』“The Company You Keep”
昨年7月の監督作の『声をかくす人』を紹介したロバート・
レッドフォードが、本作では監督と共に主演も兼ねて発表し
た2012年の作品。
主人公は、ニューヨーク州オールバニに自宅とオフィスを構
える弁護士。彼は1年前に事故で妻を亡くし11歳の娘を抱え
るシングルファーザーだが、人柄もよく周囲からも尊敬され
る模範的市民だ。
そんな彼の生活がある報道によって一変する。それは1人の
主婦がFBIに逮捕されたというもの。彼女は30年前に社会
を騒がした学生運動組織の一員で、組織が起こした銀行強盗
事件で手配されていたのだ。
この報道を眼にした主人公は直ちに行動を開始、疎遠だった
弟の許に赴き愛娘の身柄を託すと、間一髪FBIの包囲網の
裏を掻いて姿を消してしまう。
一方、オールバニの地元新聞社に勤める若い記者が編集長の
命を受けて事件の背景を追い始める。そして弁護士の過去に
不審な点を見つけた彼は、弁護士が実は銀行強盗事件で殺人
罪に問われた逃亡者であったことを突き止める。
ところが逮捕された主婦にインタヴューした記者は、弁護士
が最愛の娘を置いて逃亡したことに疑問を持ち、30年前の強
盗事件にも不審な点があることに気付く。こうして30年間秘
密にされていた事件の真相が暴かれて行くが…

共演は、主婦役にスーザン・サランドン、記者役にシャイア
・ラブーフ、さらに弁護士の娘役には、2010年にわずか10歳
でテレビの公開オーディション番組を勝ち抜いてレコード会
社と契約、デビューミニアルバムが100万枚突破を記録した
というジャッキー・エヴァンコが扮している。
その他、ジュリー・クリスティ、ニック・ノルティ、クリス
・クーパー、テレンス・ハワード、リチャード・ジェンキン
ス、スタンリー・トゥッチ、アナ・ケンドリック、ブリット
・マーリング、サム・エリオット、ブレンダン・グリースン
といった錚々たる顔ぶれが脇を固めている。
学生運動から始まった過激派テロ組織というと、日本では連
合赤軍事件が思い浮かぶが、内部抗争で自滅した日本とは異
なり、アメリカではそれなりに成果のある運動を展開してい
たようだ。
因に本作では、実在した過激派運動組織“ウェザーマン”の
元幹部が映画公開のキャンペーンにも協力したとのことで、
内容的にも彼らの納得の行く作品のようだ。日本では反体制
=悪という風潮が強いが、アメリカではレッドフォードのよ
うな人がその姿を描いている点にも注目したい。


『許されざる者』
1992年に公開され、米アカデミー賞で作品賞、監督賞などを
受賞したクリント・イーストウッド監督・主演作を、2006年
6月紹介『フラガール』で日本アカデミー賞最優秀作品賞、
最優秀監督賞を受賞した李相日監督が、明治初期の北海道を
舞台にリメイクした作品。
主人公は元幕府側の侍で、人斬り十兵衛と異名を取った男。
男は討伐軍に追われ蝦夷地まで逃走し、最後は多数の敵を倒
して森の奥に姿を消した。それから10年後、十兵衛は北海道
の原野で幼い2人の子供とひっそりと暮らしていた。
そんな十兵衛の許に、元は幕府の侍として共に戦った男が訪
ねてくる。その男は十兵衛の腕を見込んで賞金稼ぎに誘い出
そうとするのだが、十兵衛は亡き妻との約束で人殺しはしな
いと誘いを断るのだが…。
その年は飢饉で食べ物も乏しく、已む無く十兵衛は賞金稼ぎ
の旅に出ることを決心する。しかしそこには思いも掛けない
運命が待ち受けていた。ということで、主人公の背景などを
除けばほぼオリジナルと同じ話が展開される。
正直に言ってリメイクの情報を聞いたときには、何を今更と
思った作品で、これを日本を舞台にしたからといって、何か
が変るとはとても思えなかった。実際に物語はほとんどオリ
ジナルの通りだ。
ところがこの作品では、明治初期の北海道を舞台にすること
で主人公の背景を明確にし、さらにアイヌとの関りなど、実
に巧みに物語が再構築されていた。これは少なくとも日本人
にはオリジナルよりドラマが明確になっている。
そして物語は、オリジナルより重厚、且つ感動的に繰り広げ
られていた。

出演は、渡辺謙、佐藤浩市、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里。
他に、小池栄子、國村隼、小澤征悦、三浦貴大、滝藤賢一、
近藤芳正らが脇を固めている。
一国が舞台の作品を他国でリメイクする際には、如何に物語
をその国の風土に合わせるかが重要になるが、本作ほどそれ
がうまく行っている作品も少ないだろう。その点で本作はオ
リジナルを超えたともいえる作品だ。



2013年08月01日(木) 第198回(Artemis Fowl,The Butterfly Effect)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 今回はこの話題から。
 2002年5月1日付け第14回で最初の報告をし、2003年2月
1日付け第32回では監督の名前まで紹介したオーエン・コル
ファー原作“Artemis Fowl”の映画化がようやく動き出しそ
うだ。しかも映画化を進めるのは、ウォルト・ディズニー・
スタジオで、製作をハーヴェイ・ワインスタインが担当する
というものだ。
 原作のシリーズ第1巻は2001年にイギリスのヴァイキング
プレスから出版され、その原作に直ちに目をつけたワイスタ
イン兄弟がアメリカでの出版権を獲得。自らが運営するミラ
マックスでアメリカでの出版を手掛けると共に、映画化権も
設定してロバート・デニーロ主宰のトライベカでの映画化を
進める計画だった。そして監督も決まっていた。
 ところがこの計画は頓挫してしまう。その理由は、ウィキ
ペディアには‘development hell’に陥ったと書かれている
が、当時はミラマックスが籍を置いていたディズニーとワイ
ンスタイン兄弟との間で確執が表面化。2005年にはワインス
タイン兄弟が独立してしまう。この際に彼らが所有していた
権利はディズニーに残されてしまった。
 このためワインスタイン兄弟は映画化を進めることが出来
なくなり、一方のディズニーも恐らくは兄弟側に立つと思わ
れるロバート・デニーロが間に入っているために動きが取れ
なかったようだ。こうして、2003年には原作者のコルファー
が脚本にOKを出したとされるシリーズの映画化は、闇に消
えてしまうことになった。
 そんな中で、2008年9月1日付け第166回ではデニーロ側
の動きとして脚本家の名前も紹介したが、それも上手くは行
かなかった。また2011年には、6度のオスカーノミネーター
で、2012年9月紹介『ドリームハウス』などのジム・シェリ
ダン監督が映画化に興味を持っていると伝えられたが、それ
も立ち消えになってしまった。
 その“Artemis Fowl”の映画化が再び動き出し、しかもそ
の実現にディズニーとワインスタイン兄弟が手を組むという
ものだが、これは正に青天の霹靂。実際に今回の発表に当っ
てハーヴェイ・ワインスタイン自身が「5年前にディズニー
と一緒にやるかなんて聞かされたら、お前狂ったか?と言っ
ただろうね」と述べているほどのものだ。
 その背景には、ディズニーが2005年以来所有していたミラ
マックスのブランドをすでに第三者に売却。その権利をワイ
ンスタイン兄弟が買い戻す道が開けているということもある
ようだ。因にミラマックスの社名は兄弟の両親の名前に由来
しており、その名称が他人に使われているのは、兄弟にとっ
て断腸の思いだった。
 こうしてワインスタインとディズニーが再び手を組み、念
願の映画化が進み始めたものだが、計画ではトライベカのロ
バート・デニーロとジェーン・ローゼンタールが製作総指揮
を担当、脚本には2007年6月紹介『ハリー・ポッターと不死
鳥の騎士団』を手掛けたマイクル・ゴールデンバーグの起用
も発表されている。監督は未発表。
 なお今回の映画化では、原作シリーズの第1巻と第2巻の
“The Arctic Incident”を纏めて行うとされているものだ
が、それだと全体の物語は始ったばかり、出来たら一応の決
着となる第3巻“The Eternity Code”までは映画化して欲
しいものだ。またそれに続く第4巻“The Opal Deception”
の始まりもかなり感動的だった。
 その後の原作シリーズは昨年刊行の第8巻で再度の完結と
なっているが、シリーズは44ヶ国語に翻訳され、総発行部数
は2100万部に達しているとのこと。出来たらそれらの映画化
も期待したいものだ。
        *         *
 お次はrebootの話題で、2005年3月紹介『バタフライ・エ
フェクト』“The Butterfly Effect”を再開する計画が、前
作も手掛けたフィルム・エンジンで進められている。
 オリジナルの第1作は、以前の紹介記事を読んで貰えば判
るように、僕自身かなり高く評価した作品だった。アシュト
ン・カッチャー主演で作られたこの作品は、製作費1300万ド
ルで、全世界の興行収入は9600万ドルを稼ぎ出したと言われ
ている。
 ところがその後に作られた2本の続編は、日本は劇場公開
されたがアメリカではDVDダイレクトだったもので、どち
らも試写は観させて貰ったが、僕には第1作の見事なコンセ
プトが生かされていると思えず、このページでの紹介もしな
かった。
 その作品のrebootとなるものだが、脚本には第1作の脚本
監督を手掛けたものの、続編2本には関らなかったエリック
・ブレスが招請され、初心に戻っての再開が目指されるよう
だ。
 因にブレスは、第1作の前年に“Final Destination”シ
リーズの第2作『デッド・コースター』の脚本を手掛けてい
るが、僕はこの作品の試写は観たが評価は出来なかった。し
かし2009年9月紹介『ファイナル・デッドサーキット』は、
彼が脚本を担当したものでシリーズのrebootとして面白く鑑
賞したものだ。そんな脚本家に任される新作に期待したい。
 なお監督は未発表だが、『デッド・コースター』と『ファ
イナル・デッドサーキット』は共に、2004年『セルラー』な
どのデイヴィッド・エリスの担当で、このコンビネーション
も期待したいものだ。


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井口健二