井口健二のOn the Production
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2013年03月30日(土) 監禁探偵、タニタ…食堂、17歳のエンディングN、私は王である、ライジングD、燃える仏像人間、きっとうまくいく、ソラから来た転校生

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『監禁探偵』
ゲームファンには1994年『かまいたちの夜』の作者としても
著名なミステリー作家・我孫子武丸が、2011年にシナリオを
手掛けた漫画原作の映画化。
とあるアパートに住む男が、向かいのマンションのベランダ
をカメラの望遠レンズ越しに覗いていると、突然その視野に
部屋に住む女性が襲われているシーンが目撃される。そこで
男はアパートを飛び出して、ベランダからその部屋に辿り着
くが、そこには女性の遺体が転がっていた。
しかも男がウロウロしている内に別の女性が現れる。そこで
男は、その女性を失神させて自分の部屋に連れ戻り、ベッド
に縛り付けて様子を伺うことにするのだが。目覚めた女性は
男に、6時間以内に真犯人を割り出さないと事件が発覚し、
男が犯人と疑われる状況を示唆する。
このため男は、自室の中から真犯人を見つけ出す推理を始め
なくてはならなくなる。こうして男は拉致した女性の協力も
得て、ネットなどの情報源を駆使して徐々に事件の真相へと
近付いて行くが…
発端は明らかに、1954年のヒッチコック監督作品でも有名な
ウィリアム・アイリッシュ原作『裏窓』で、原作では怪我で
動けない主人公がやむを得ず現場に向かうシチュエーション
なども巧みに取り入れて、全体がオマージュのような作品に
もなっている。
しかしそこからの物語は全く別個の展開を見せ、それは見事
な作品。しかもその間の主人公らの行動などにも、なかなか
細やかな工夫の施されて、その演出なども結構楽しめる作品
だった。

出演は、2010年2月紹介『RAILWAYS』などの三浦貴大と、連
続テレビ小説『純と愛』でヒロインを演じた夏菜。事実上の
密室劇で出演者もほぼこの2人だけという作品だが、特に夏
菜のヒロイン像は儲け役の感じがした。
監督は、舞台俳優の出身でCMやミュージッククリップなど
を手掛け、2004年『ボン・ボヤージュ!』という作品で監督
デビューしている及川拓郎。
また脚本を2008年1月紹介『Sweet Rain 死神の精度』や、
『RAILWAYS』も手掛けた小林弘利が担当。全1巻の原作だけ
では上映時間的に不足だった物語にプロットを追加して、脚
本を完成させているようだ。
超大作という作品ではないが、今年期待の若手の男優女優を
W主演に据えてなかなか面白い作品になっていた。


『体脂肪計タニタの社員食堂』
2010年の出版で、488万部を売り上げたというベストセラー
料理レシピ本の映画化。
映画化の企画は、2011年10月30日付「東京国際映画祭」で紹
介した『キツツキと雨』などの春藤忠温プロデューサーが立
案したもの。しかも春藤が株式会社タニタの広報担当に接触
すると、「企業イメージより、エンタテインメントにして欲
しい」と言われ、このような作品になったそうだ。
その物語は、ワンマン社長が病に倒れ、不甲斐ない2代目が
指揮を執ることになるが、会社は業績不振で新製品の体脂肪
計のキャンペーンの成功が命運を握っている。そこで自らも
肥満な2代目は社員食堂を1人の栄養士に任せ、社員のダイ
エットをキャンペーンの柱とするが…
ダイエットの必要条件や、困難を乗り越えるシーンなども描
かれ、ダイエットブームにも乗った物語が展開される。

脚本は放送作家の田中大祐が執筆し、監督を2010年2月紹介
『てぃだかんかん』などの李闘士男が担当。
出演は、2012年2月紹介『ももへの手紙』で声優を務めてい
た優香。実は彼女の映画主演デビュー作は観ていたが、この
ページで紹介しなかった。今回はその作品とは監督も違って
紹介できる作品になっている。
ただし、その作品と本作にも似たシーンがあって、この人は
そういうイメージなのだなあとは感じられたものだ。
他に、2011年1月紹介『婚前特急』などの浜野謙太、2006年
5月紹介『ハチミツとクローバー』などの宮崎吐夢、2008年
8月紹介『花は散れども』などの小林きな子、そして草刈正
雄らが脇を固めている。さらに話題の壇蜜も出演している。
その一方で、本作の本来の主役である料理は、2006年1月紹
介『かもめ食堂』以来、数多くの映画作品に登場する料理を
手掛けてきたフードスタイリストの飯島奈美が担当。原作の
レシピに従った美味しそうな料理を紹介している。
最初にフィクションですと明記されるが、会社の上層部をお
ちょくったような部分もあって、それを許す会社の度量にも
感心する。しかも会社名は実名だし、会社の玄関口などは現
地ロケのようにも見え、会社は全面協力のようだ。

ただし、映画の全体は前向きな作品で、そのメッセージ性も
しっかりと出ている。どのような観客層がいるのか今一つ掴
めない作品だが、美味そうな料理も沢山見られるし、それで
ハッピーになれること間違いなしの作品だ。

『17歳のエンディングノート』“Now Is Good”
ダコタ・ファニングの主演で、17歳で余命を宣告された女性
の姿を描いた作品。
実は昨年、若い知人をガンで亡くして、この作品を冷静に観
ていられるか不安だった。その知人は最後まで何も知らされ
ずに逝ってしまったが、本作の主人公は自らの選択で死期を
迎える。そのどちらが良かったのかも考えさせられた。
本作の主人公は17歳の少女。彼女は血液のガンに冒され、現
在行っている抗ガン治療を続けても大人になるまでは生きら
れないことを知る。そこで彼女は治療をやめ、余命の9ヶ月
を精一杯生きることを選択する。
こうして抗ガン剤を入れるチューブも引き抜いた主人公は、
残りの9ヶ月で一生分を経験するための「TO DO リスト」を
作成する。そしてそのリストを実行し始めるが…。そこには
普通の少女が考えるある項目だけはなかった。
死期を悟った主人公がリストを作って、それを実行するとい
う作品は、2003年8月紹介『死ぬまでにしたい10のこと』
や、2008年3月紹介『最高の人生の見つけ方』など、今まで
にもいろいろあったと思うが、本作は特に切ない。
僕自身は、さらにそれを現実的に受け止める状況だったとも
言える。しかし作品は単純なお涙頂戴で描くことはせず、む
しろそんな状況にもめげない主人公の強さを描いて、その姿
が残される者への贈り物であるような作品だった。
従って僕は、鑑賞中は涙することも少なく、温かい気持ちで
作品を観終えることができた。

物語はイギリスの文学賞を受賞したジェニー・ダウンハムの
ベストセラー原作に基づくもので、脚本と監督は、昨年10月
紹介『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』の脚本を手
掛けたオル・パーカー。自身の監督は2作目のものだ。
共演は、2011年12月紹介『戦火の馬』で映画デビューを飾っ
たジェレミー・アーヴァイン。2011年の監督デビュー作『思
秋期』では各地の映画祭を席巻したパディ・コンシダイン。
2010年1月紹介『17歳の肖像』などのオリヴィア・ウィリ
アムズ。2010年11月紹介『月に囚われた男』に出ていたとい
うカヤ・スコデラリオらが脇を固めている。
因にファニングは、以前に妹エルとの共演で同じような役柄
をオファーされたが蹴ったことがあり、今回は満を持しての
挑戦かもしれない。撮影はロンドンとブライトンで行われ、
ファニングのセリフはイギリス風のアクセントになっている
そうだ。


『私は王である!』“나는 왕이로소이다”
現代に続くハングル文字の制定でも知られ、現行の紙幣の肖
像画にもなっていて、韓国史上で最も偉大な国王と言われる
世宗大王の誕生を描いた歴史ドラマ。
西暦1418年。国王の太宗は、王位継承者である長男・譲寧の
度重なる問題行動を案じ、三男・忠寧に王位継承者の地位を
与える。そして太宗は反対する重臣らを排除して決定を推し
進めるが、何より反対したのは忠寧本人だった。
何故なら忠寧は読書をこよなく愛し博識ではあったが、身の
回りのことは護衛たち任せの温室育ち。自分一人では何も出
来ず、自らが王位に就いても、政治のことなど何もできない
と確信していたのだ。
そこで王になりたくない忠寧は宮殿からの逃亡を図るが、飛
び出したところで若い男とぶつかり男を昏倒させてしまう。
するとその男は忠寧と瓜二つで、咄嗟に忠寧は衣服を交換。
衛兵らはその男を宮殿に連れ戻す。
こうして自由の身となった忠寧だが、衣服を交換した相手は
奴婢で、忠寧には過酷な奴婢の生活が待っていた。しかしそ
の暮らしの中で自らの知識によって人を助けたり、民衆の苦
しい生活ぶりを目撃した忠寧は…
物語の全体はマーク・トウェインの「王子と乞食」を思い出
させるが、それよりも韓国映画では昨年12月紹介『王になっ
た男』との類似点も指摘できるところだ。ただし本作の本国
公開は昨年8月で、9月公開の先紹介作に先行している。
また本作にはユーモアも多く表現されて、先紹介作のシビア
な内容とは差異もあり、どちらも甲乙付け難い作品になって
いる。因に先紹介作では、異なるヴァージョンのエンディン
グが「CJEJチャンネル」で期間限定公開されたようだ。

出演は、2009年1月紹介『アンティーク』などのチュ・ジフ
ン。チュは、2010年2月から1年9ヶ月間の兵役を終えての
復帰作で、コミカルな演技は初とのことだ。
他に2012年『ヨンガシ』などのイ・ハニ、2011年『ロマンテ
ィック・ヘブン』などのイム・ウォンヒとキム・スロ、そし
てドラマで活躍のキム・ソヒョンらが脇を固めている。
監督は、過去にはコメディ作品を多く発表しているチャン・
ギュソン。監督初の時代劇は5年ぶりの作品だそうだ。
また撮影は韓国全土で行われており、国宝に指定されている
歴史的建造物の宮殿などもカメラに収められている。

『ライジング・ドラゴン』“十二生肖”
ジャッキー・チェンの製作、脚本、監督、主演による最後の
アクション超大作とされている作品。
1954年生まれのチェンは今年59歳。長年香港アクション映画
を牽引してきたチェンも流石に限界を感じたのか、アクショ
ン映画からの引退を表明したのは、2011年10月紹介『1911』
の来日記者会見の席だったと記憶している。
その時に、最後のアクション作品は「十二支」を題材にした
ものだと発言し、その作品が本作だった。その最後の作品で
チェンが演じるのは、骨董品専門の窃盗団のリーダー。ある
資産家の手先となって、世界中の美術品を盗んでいる。
そして今回資産家から命じられたのは、アヘン戦争時に清王
朝の迎賓館・円明園より持ち出された十二支のブロンズ像。
すでに幾つかは発見され資産家のものとなっており、残りを
発見し回収する契約を結ぶのだが…
そこに、アヘン戦争に従軍した将校の末裔や、盗まれた国宝
の返還運動を行っている古美術専門の学生などが絡んで、パ
リ、南太平洋、そして中国本土などを股にかけた大冒険が繰
り広げられる。
さらにそこにはトレジャーハンターのライヴァルも登場し、
格闘技から危機一髪の脱出劇まで様々なアクションが描かれ
る。それも全身がローラーブレードのスーツによる疾走や、
スカイダイヴィングなど多種多様のものだ。
と言うことで、正にアクションてんこ盛り、サーヴィス精神
満載の映画になっている。そのアクションを見るとまだやれ
そうな気もするが、チェンのプロ根性がそれを許さないとい
うことなのだろう。

共演は、2010年11月紹介『戦火の中へ』などの韓国人俳優の
クォン・サンウと、北京体育大学卒業、テコンドー55kg級の
女子チャンピオンで映画初出演のジャン・ランシン。
さらに2010年4月紹介『パリより愛をこめて』などでスタン
トマンを務めるアラー・サフィ、2009年11月紹介『2012』な
どのオリヴァー・プラットらが脇を固めている。
物語は、『インディ・ジョーンズ』から『ナショナル・トレ
ジャー』、『ミッション:インポッシブル』、『POTC』など
がごった混ぜの感じで、それがまたほとんどシーンの羅列だ
から、全体的には落ち着きもないし、大味な感じもする。
でもこれがジャッキー・チェンがやり続けてきたことなのだ
し、彼の集大成ということでは間違いなしの作品と言える。
チェンの最後の勇姿を目に焼き付けておきたいものだ。


『燃える仏像人間』
1986年京都府生まれ、京都嵯峨芸術大学卒業という新人クリ
エーターの宇治茶(漫画作家としてのペンネームだそうだ)
が脚本、監督、作画、撮影を務めるデビュー作。
物語の背景は仏像窃盗団が暗躍する京都。主人公の紅子は実
家である寺の仏像を盗まれ、その際に両親も惨殺され天涯孤
独の身となる。そのため彼女は両親と旧知だった僧侶の寺に
引き取られるが、そこで窃盗団の犯行を聞かされる。
その手口は物質転送装置使うという。しかもその転送に巻き
込まれた生物は仏像と融合し、怪奇な仏像人間になってしま
うというのだ。そして紅子は両親を殺された復讐心に燃える
のだが…。
作品は劇メーションと称される切り絵を動かして撮影された
もので、手法としてはチープ感も漂うが、アーチストの個性
を出す目的では効果のあるものだ。ただ演出などはもう少し
工夫できる部分もあったとは思えた。

声優と一部出演は人気声優の井口裕香。他に寺田農。実相寺
昭雄監督夫人の原知佐子、今年2月紹介『セデック・バレ』
にも出ていた北岡龍貴、物まね芸人のレイバー佐藤、芸人の
渡辺裕薫らが脇を固めている。
監督のプロフィールによると好きな本は「幼年期の終わり」
だそうだが、この手法でもっとストレートなSF作品も作れ
るのかな、出来たら観てみたいものだ。好きな漫画が楳図か
ずおと諸星大二郎なのは頷ける。
ただし本作の内容的には、1986年にデヴィッド・クローネン
バーグがリメイクしたジョルジュ・ランジュラン原作『ザ・
フライ』が元になっていると思われるが、その辺りの名前が
出てこないのは何故なのだろうか。
切り絵を動かすアニメーションでは、手塚治虫がシリーズの
制作を始める前に単発で発表した『鉄腕アトム』なども思い
出されるが、その辺も監督は知っているのかな。現在の日本
アニメの第1歩だった手法の再現とも言えるものだ。

物語的には、さすが京都育ちという感じのひねりもあるし、
それなりの作品にはなっていた。今回はそれを劇メーション
という形で完成させているが、この先どのような方向に進ん
で行くかも注目したいところだ。

『きっと、うまくいく』“थ्री इडीयट्स”
2月紹介『タイガー・伝説のスパイ』3月紹介『闇の帝王』
『命ある限り』に続く「ボリウッド4」の4本目。2009年に
公開されてインド映画史上のNo.1に輝いているという作品。
物語は、インドの名門工科大学ICEに入学した3人の新入
生を中心に進められる。その内の1人ランチョーは優秀な生
徒で、先輩などの嫌がらせもさらりとかわし、その後で強烈
な仕返しをしてみせたりもする。
そんな3人は、嫌味な学長やゴマすりの留学生、さらには学
長の美しい娘らと共に、人生の理想と現実との間に彷徨いな
がらも青春を謳歌して行く。その中では彼らの行状に手を焼
いた学長が、放校処分を決めたりもするが…。
そして卒業から10年後、彼らの内の2人はランチョーが街に
帰ってくるとの知らせに、旅行もキャンセルして大学の屋上
にやってくる。ところがやってきたのは嫌味だった留学生、
彼はランチョーとの賭けに勝ったと言う。
そして留学生が調べたランチョーの実家を訪ねた彼らは、そ
こで驚愕の事実を知ることになる。
インド映画では普通のこととは言え全体は3時間近い大作。
その前半は学生生活を描いた見事な青春グラフィティーで、
これは今回の「ボリウッド4」の中では異色だが、それも巧
みに描かれた素晴らしい作品だった。
そして映画の後半で明かされるランチョーの実像は、僕自身
が団塊の世代で親の期待を背負って工学系の大学に進んだ者
としては、正に身につまされる思いがした。日本の現状は不
知だが、韓国やインドではこれが今の現実なのだろう。
そんな、僕にとっては懐かしく青春時代を思い出させてくれ
る作品になっていた。

出演は、2001年にアメリカアカデミー賞外国語映画部門にノ
ミネートされた『ラガーン』などのアーミル・カーン、『闇
の帝王』の前作『DON 過去を消された男』などに出ているカ
リーナ・カプール。監督はインド映画でハートウォーミング
な作品が人気を得ているというラージクマール・ヒラニ。
なお本作は、No.1に輝くインドだけでなく台湾、韓国、中国
でも公開されて好評を得ており、日本では2010年の「したま
ちコメディ映画祭in台東」でも上映されたそうだ。
因に、映画の中に出てくる宇宙ペンと鉛筆のエピソードは、
工学部出身の僕としては事前に知っている事柄だったが、そ
の事実関係がちゃんと説明されているのも嬉しかった。


『ソラから来た転校生』『ネコヤドのハルとアキ』
ともさかりえや蒼井優、金子ノブアキらが所属する芸能プロ
ダクション・イトーカンパニー製作による中編作品と、同作
を監督した近藤勇一が同じ主演者で先に制作した短編作品が
併映で公開される。
中編作品の『ソラから来た転校生』は天使もの。天界に暮ら
す天使が、地上で行方不明になった仲間を探しに来るが、そ
こで天使は、天界では禁断の友情と恋愛の感情を知ってしま
う。果たして天使は仲間を探し出せるか、そして感情を知っ
てしまった天使の運命は…
物語は少女趣味丸出しのものだが、それなりに筋は通ってい
たし、結末には意外性もあって上手く纏められている感じが
した。

出演は、イトーカンパニー・グループのリセに所属する星名
利華と溝口恵。また『テニスの王子様』系の桑野晃輔と西島
顕人。さらに昨年12月紹介『さよならドビュッシー』に出て
いた相楽樹、元アナウンサーの山村美智(旧名:美智子)ら
が脇を固めている。
短編作品の『ネコヤドのハルとアキ』は、同じく星名利華と
溝口恵が、同じ男子を好きと言ったために気まずくなってし
まった2人の少女を演じる。そしてその1人の引越しが決ま
り、2人の仲を小さな人形が取り持つ過程が描かれる。
作品は、栃木県鹿沼市の観光PR用に製作されたもので、少
女たちの行動を通して鹿沼の名勝なども紹介されるという構
成。それがそつなく描かれる上に、小さな人形の活躍が見事
なVFXで描かれていてそれにも感心した。

因に両作を監督した近藤勇一は、GIRAFFILMという個人屋号
でも活動しており、そこでは映像制作の他、CGやVFXも
制作。また映画学校でその方面の講演も行っている。確かに
今回の映像を観ると相当の実力者のようだ。
さらに監督は、『好夏』(スイカと読ませるらしい)という
短編シリーズも発表して、その作品はゆうばり国際ファンタ
スティック映画祭で上映されている。作品は7作あるようだ
が、最近のものにはVFXも使われているようで、その作品
も観たくなった。
海外では、2011年6月紹介『モンスターズ』などのように、
ほとんど個人で見事なVFX映画を作り上げる人も出ている
が、日本のレヴェルがどの辺にあるのか。それを知るために
も注目しておきたい作品だ。



2013年03月20日(水) オース!バタヤン、スタンリーのお弁当箱、ジャックと天空の巨人、インポッシブル、容疑者X、DRAGON BALL Z、隣人、旅歌ダイアリー

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
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『オース!バタヤン』
昭和を代表する歌手の1人と言える田端義夫を描いたドキュ
メンタリー。
実は本作は内覧試写で観てしまい、手元に何も資料がない。
このためこの記事はうろ覚えの記憶だけで書かせてもらう。
映画は、平成18年に大阪鶴橋にある小学校の講堂で行われた
コンサートの模様を中心に描かれる。何故そんな場所なのか
というと、三重県出身の田端が子供の頃に引っ越して成長し
たのがその場所なのだそうだ。
その最初には司会者の浜村淳が登場して、全国に居るという
ご当地バタヤンの紹介や田端の履歴が語られ、大歌手である
ことが印象づけられる。そこに田端の登場となるのだが…。
1919年生まれ、撮影当時に87歳とは到底思えないその姿や歌
いっぷりには、正に圧倒されるものがあった。
そんなコンサートの様子を中心に、大ファンだと言う故立川
談志や、白木みのる、寺内タケシ、それに後援会長やレコー
ド会社のスタッフ、また夫人や長女なども登場して歌手田端
義夫の生涯が描かれて行く。
さらに田端本人へのインタヴューや談志も出ているテレビの
トーク番組の出演シーン。また極めて初期の頃から使ってい
るという電気ギターの紹介など、正に盛り沢山という感じの
作品。
その一方で、本人は片目が不自由なために逃れた兵役と戦場
慰問=戦争の話や、田端がラスヴェガスでジャックポットを
当てた話なども登場し、日本の昭和史そのものが綴られてい
るような作品にもなっている。
そしてデビュー曲から沖縄歌謡まで、田端の様々な代表曲が
歌われ、そこにはコンサートの映像と共に数々のテレビ番組
のアーカイブなども織り込まれて、故宮尾たか志や故玉置宏
の名調子が聞けるのも嬉しい作品になっていた。
また思い出の曲とされる「赤とんぼ」や「浜千鳥」を歌う途
中で、思わず声が詰まってしまう田端を周りが支えるシーン
や、客が争ってマイクを持つシーンなど感動的なシーンも数
多く描かれていた。
さらには大阪劇場(大劇)や、東京の日本劇場(日劇)の往時の
様子など、昭和の人間には懐かしさも満載の作品。
僕の父親は1916年の生まれで既に他界したが、幼い頃の苦労
話に始まって、これが日本の昭和を生きた人の歴史と言う感
じがした。それにしても既に90歳を超えている人の作品が、
最後に女の話で終わるのも凄いものだ。


『スタンリーのお弁当箱“स्टैनली का डब्बा”
インドの貧困を描いたドラマ作品。インド映画は最近長尺の
作品を何本か紹介したが、本作の上映時間は1時間36分だ。
物語は、小学校に通う少年スタンリーを主人公にしたもの。
彼の両親は出稼ぎに行ってしまい、現在は叔父さんの家にい
るらしいが、給食のない小学校で、彼にはお弁当を作ってく
れる人がいない。
そこでスタンリーは、お弁当の時間には家で食べると言って
教室を離れ、1人で水道の水を飲んでごまかしていたが、そ
れが級友に知れることになり、中には金持ちで豪華な弁当を
持って来る生徒もいて、彼らと一緒に食べることになる。
ところが、教師の中にも弁当を持ってこない奴がいて、その
教師は生徒の弁当を狙っていた。こうして教師とスタンリー
の弁当争奪戦が始まるが…。教師は弁当を持ってこない生徒
は登校禁止としてスタンリーを追い出す暴挙に出る。
僕が学生時代に観た最初のインド映画は、サタジット・レイ
監督の『大地のうた』で、農村と都会の違いは有れ同じよう
な貧困層の若者を描いた作品には、惹かれるものを感じた。
その上で、本作にもちゃんと歌と踊りがあるのには感心もし
てしまったところだ。
とは言え、インドには現在でも1200万人の児童労働者がいる
のだそうで、IT産業の発展では近い将来に経済大国になる
とも言われる国の、真の姿が見事に描かれた作品とも言える
ものだ。

脚本と監督は、長年児童映画の制作に携わってきたというア
モール・グプテ。実は、2007年にインドで1600万ドルを上げ
たヒット作の脚本家としてメジャーデビューをした人だが、
その作品も本当は監督する予定だったものが事情で降板した
とのことで、本作は満を持しての作品のようだ。
そして主人公のスタンリーを演じるのは、監督の息子のバル
ソー君。父親が脚本を務めた作品のワークショップに参加し
て演技に興味を持ち、その父親が母校で開いたワークショッ
プに参加したらそれが本作だったそうだ。
従ってそれは演技かどうかも判らないものだが、その自然さ
でインド最大の映画祭「ナショナル・フィルムアワード」の
最優秀子役賞や、イタリア・ジフォニー映画祭での受賞など
も果たしている。
映画には様々なお弁当が登場し、その一部のレシピはプレス
資料にも紹介されていたが、都内のインド料理店などで再現
キャンペーンを張ってもいいのではないかと思えるほどの、
美味しそうなものばかりだった。

『ジャックと天空の巨人』“Jack the Giant Slayer”
2006年7月紹介『スーパーマン・リターンズ』などのブライ
アン・シンガー監督が、大英博物館所蔵のアングロサクソン
民話に基づくとされる「ジャックと豆の木」に想を得たダー
レン・レムケの原案から、今年1月紹介『アウトロー』など
のクリストファー・マッカリーが完成した脚本で描いた冒険
ファンタシー。
因にマッカリーは、1995年『ユージアル・サスペクツ』など
シンガー監督の他の作品も手掛けている。
物語は中世のイギリスが舞台。そのとある王国には、過去に
天空の巨人が襲ってきたという伝説があった。しかしそれも
遠い話となり、今の王室内は冒険好きな姫を巡る世継ぎ問題
の最中だった。
一方、町外れの農家に住むジャックには両親がなく叔父の世
話になっていたが、叔父から頼まれた馬を城内に売りに行っ
た時、衛兵に追われた修道士から無理やり馬と豆とを交換さ
せられてしまう。
そして豆を持ち帰ったジャックは、当然叔父から叱られてし
まうのだが…。ある雨の日、雨宿りにやってきた女性(姫)
とジャックは、突然床下から伸びてきた天にも届く豆の木に
よって飛んでもない冒険に巻き込まれることになる。
「ジャックと豆の木」の映像化では、ディズニー・アニメー
ションの『ミッキーの巨人退治』が大好きで、その中では巨
人の食卓に並んだ巨大なゼリーの中を泳ぐシーンなどが羨望
だったものだ。
そんなおとぎ話に比べると、本作には金の卵を産むガチョウ
や、自ら歌う竪琴も出てこないし、銀貨を生み出す袋も登場
はしない。しかしそれに相応の物語はリアルだし、3Dの映
像も見事に描かれているものだ。

出演は、2002年7月紹介『アバウト・ア・ボーイ』で少年役
を演じたニコラス・ホルト、2008年3月紹介『幻影師アイゼ
ンハイム』に出ていたというエレノア・トムリンスン。
また、2011年8月紹介『キャプテン・アメリカ』などのスタ
ンリー・トゥッチ、2012年6月紹介『スノーホワイト』など
のイアン・マクシェーン、『POTC』などのビル・ナイ、
そしてユアン・マクレガーらが脇を固めている。
全米では、前々回紹介『オズ はじまりの戦い』の1週間前
に公開されて、翌週には後塵を拝する状況になったが、これ
から公開される海外では逆転の可能性もある。
実際にサム・ライミ監督のマニアックな作品は、アメリカ人
以外には厳しい面が有り、その点では本作の方が万人に理解
しやすく感じられるものだ。さて日本の結果は…


『インポッシブル』“Lo imposible”
ナオミ・ワッツが米アカデミー賞とゴールデングローブ賞の
主演女優賞にWノミネートされたスペイン映画。その他にも
2月16日付の第187回で紹介したVES賞では「長編映画に
おける助演VFX賞」を受賞して、どのような映像なのか気
になっていた作品だ。
ただし本作は昨年の東京国際映画祭の「ワールドシネマ」で
も上映されて、その際に僕は見逃したが、観た人からは日本
公開は難しいのではないかとも言われていた。
物語は、2004年12月26日のスマトラ島沖地震で発生した津波
を描き、その津波に巻き込まれてバラバラになった家族5人
が奇跡的に全員生還を果たしたという俄には信じがたい実話
を映画化している。
その一家が父親の仕事の関係で暮らしていた日本から、クリ
スマス休暇でプーケットのリゾートにやって来たのは24日。
そして3日目、僅かな揺れを感じた後で鳥たちが一斉に飛び
立ち、間髪を入れずに津波が襲ってくる。
その津波はあっという間にホテルの建物をも乗り越えるが、
その時、父親は7歳と5歳の幼い子供と一緒におり、長男は
比較的母親の近くにいた。そして第2波の津波が襲ってきた
とき、長男と母親は位置を確認し合いながら流されたが…
同じ津波の関連では、2010年11月紹介、クリント・イースト
ウッド監督の『ヒアアフター』を思い出すが、プールの水の
ような澄んだ流れの中で描かれたハリウッド作品に対して、
本作の濁流はこれが現実と思わせるものだ。
その現実は、2011年3月11日を経た後では、正視することも
心苦しくなるものだが、その現実を描くこともある意味での
鎮魂と思わせてくれるような描かれ方の作品になっている。

監督は、2008年9月紹介『永遠のこどもたち』のファン・ア
ントニオ・パヨナ。脚本も同作を手掛けたセルシオ・G・サ
ンチェス。同作の製作者のベレン・アティエンサがラジオで
聞いた一家の話から企画が始まり、一家との綿密な話し合い
の結果で生み出された作品とのことだ。

共演は、ユアン・マクレガーと、映画は初出演だがロンドン
・ウェストエンドの舞台には立ったことがあるという1996年
生まれのトム・ホランド。他にジェラルディン・チャップリ
ンが出演している。
なお津波シーンの撮影には159tの水が使用され、準備期間な
どに1年を費やし、6つの特殊効果会社が協力して作り上げ
ているそうだ。


『容疑者X・天才数学者のアリバイ』“용의자X”
東野圭吾が2005年直木賞を受賞した原作「容疑者Xの献身」
を韓国で映画化した作品。
同じ原作は、2008年に日本でも映画化されており、その作品
の試写会には呼ばれなかったが一般公開で鑑賞した。その際
にも感動した記憶があるが、本作の感動はさらにそれを上回
るものになっていた。
事件の発覚は川原で焼かれた遺体。特に指先が丁寧に焼かれ
て指紋などの消された遺体だったが、刑事らの執拗な捜査で
身元は判明する。しかし第1容疑者とされる女性には確固と
したアリバイがあった。そして捜査の過程で意外な真犯人が
浮かび上がってくるのだが…。
日本での映画化は、当時評判のテレビシリーズとの関係もあ
り、今回の映画化には登場しない人物が主役で、その視点か
ら事件が描かれていた。これは原作も同じのようなのだが、
本作ではその原作に縛られない大胆な脚色が行わた。
それは敢えて本来の主役を外すことで、物語の中心を事件の
全てを実行する犯人の側に移し、その葛藤などを克明に描い
ているものだ。これは日本映画を観ている時にも犯人の心情
には感銘したが、本作ではそれがさらに深く描かれた。
そしてそれにより、現代では死語とも言われる「愛」が見事
に謳い上げられた作品になっている。

出演は、2005年8月紹介『ARAHAN』などのリュ・スン
ボムと、2011年7月紹介『ホームランが聞こえた夏』などの
チョ・ジヌン、2008年3月紹介『光州5・18』などのイ・
ヨウォン。
他に、2007年6月紹介『私のちいさなピアニスト』などのキ
ム・ボラ、2010年11月紹介『戦火の中へ』などのキム・ユン
ソンらが脇を固めている。
監督は、2001年キム・ギドク監督『受取人不明』などの出演
者で監督4作目のパン・ウンジン。2005年の第2作では新人
監督賞も受賞している女性監督が、木目の細かい演出で登場
人物の感情の起伏を描き込んでいる。
日本映画を先に観ていたので、トリックも何もかも知った上
での作品鑑賞だったが、中心人物が替えられたことで新鮮な
感じで観ることができた。しかも推理などに煩わされること
もなく、純粋に物語を鑑賞することもできた。
そこには日本映画とは違った味わいもあり、正に両作を観る
ことで一層楽しめる作品になっていたとも言えそうだ。


『DRAGON BALL Z 神と神』
原作は1984年に連載開始。1986年スタートのテレビシリーズ
は11年間の平均視聴率が20%を超え、その映画版も17作が制
作されていずれも大ヒットしたという伝説的作品。その新作
が1996年公開の前作から17年ぶりに制作された。
しかも今回は、今までのアニメ化には一切ノータッチだった
という原作者の鳥山明が、初めてオリジナルのストーリーと
新キャラクターのデザインも手掛けたものだ。
物語は、魔人ブウとの戦いから数年後。地球は再び危機を迎
えようとしていた。宇宙のバランスを保つための破壊を司る
神ビルスが長い眠りから目覚め、その破壊の矛先を地球に向
けたのだ。
しかしビルスには別の目的もあった。それは夢の中で戦った
戦士と実際に戦うこと。その戦士はスーパーサイヤ人を名告
っているというのだが…。そしてビルスがやってきた地球で
は、折しもブルマの誕生パーティが開かれていた。
そのパーティには過去に悟空と戦った戦士たちが招待され、
さらにピラフとシュウとマイも、会場にあるはずのドラゴン
ボールを狙って密かに潜入していた。そんなパーティの会場
に破壊神ビルスが現れる。
物語は、ほとんどこのパーティー・シーンで進められるが、
ここでは過去のキャラクターがほぼ勢揃いで、これは長年の
ファンには観ているだけでワクワクするものになっていた。
しかもファンには衝撃の設定も明かされる。

声優は、悟空・悟飯・悟天役の野沢雅子、ブルマ役の鶴ひろ
み、クリリン役の田中真弓、ピッコロ役の古川登志夫、ヤム
チャ役の古谷徹など往年のメムバーが再結集し、さらに新キ
ャラクターは山寺宏一が演じている。
まあ、お話はフリーザ、セル、魔人ブウを超える強力な敵の
出現ということで、正直には僕も『ドラゴンボールGT』の
頃には見飽きた感もあった展開の繰り返しだが、17年ぶりと
もなればそれもまた良しという感じで、それに加わる懐かし
いキャラクターの勢揃いが楽しめたものだ。
さらにエンドロールには、これもファンには最高のプレゼン
トと思える仕掛けがあって、これも楽しめるものになってい
た。東映アニメーションでは、本作をrebootと位置づけてい
るようで、今後も楽しめることを期待したい。
なお公開は、日本映画では初めてとなるIMAX上映も行われる
とのことで、悟空と破壊神ビルスとの壮絶な戦いが、最大の
スクリーンで堪能できるようだ。


『隣人ネクストドア』“Naboer”
『チャイルドコール呼声』“Babycall”
1997年に『ジャンク・メール』という作品で東京国際映画祭
のシルバー賞を受賞しているノルウェーの映画作家ポール・
シュレットアウネ脚本・監督による2006年と2011年の作品が
連続して紹介される。
1本目は、恋人と別れたばかりでまだ未練の残る男性を主人
公が、ある日、アパートの隣部屋の女性に部屋の重い家具を
動かしてくれと頼まれ、案内された部屋で女性の妹と遭遇す
る。そしてその妹にはある性癖があって…
物語は、かなり際どいというか、多少やばいとも言える描写
が連続し、主人公の堕ちてゆく姿が描写される。そしてその
落ちていった先に待っていたものは、かなり鮮烈な結末が描
かれていた。

出演は、本作でノルウェーのアカデミー賞であるアマンダ賞
の主演男優賞を受賞したクリストファー・ヨーネル。因に本
作はノルウェーで17年ぶりとなるR-18指定で公開されたそう
だ。
そして2本目の主人公は、幼い男の子と共に夫の暴力を逃れ
てきた女性。彼女は保護司の斡旋でとあるアパートに入居す
るが、息子のことが心配な彼女は街で無線式の音声モニター
を購入し、息子の寝室に仕掛ける。
ところがその無線が混戦し、受信機に別の部屋の音声が入り
始める。そしてその音声から幼い子供が虐待されていると判
断した彼女は、アパートから運び出される黒い袋に疑いを持
つが…

出演は、2009年10月紹介『ミレニアム』(スウェーデン版)
や、昨年1月紹介『シャーロック・ホームズ:シャドウ・ゲ
ーム』などのノオミ・ラパスと、上の作品にも出演のクリス
トファー・ヨーネル。
物語にはかなり捻りがあるが、現時点で鑑賞すると多少既視
感が伴われる。それにその設定だと、多少辻褄があっていな
いような感じがして、それも気になったところだ。ただ街頭
の風景などには、かなり趣は感じられた。
2本並べて観ると、個人的には前者の衝撃に比べると、後者
はちょっと物足りない感じもしたが、
シュレットアウネ監督
が、1997年に映画祭で観た作品も含めて注目すべき映画作家
であることは間違いないだろう。
今後も紹介してもらいたいものだ。

『旅歌ダイアリー』
昨年の紅白歌合戦に出場し、サッカー好きのミュージシャン
としても知られるナオト・インティライミが、世界に旅した
記録を綴ったドキュメンタリー。
元々ナオト・インティライミは、デビュー以前に515日を掛
けて世界28カ国を旅した経験があるそうで、その体験からこ
の作品は企画されたようだ。そして本作では、アフリカ・エ
チオピアと、南米のコロンビア、カリブ海のトリニダード・
トバゴに向かう旅が描かれる。
その最初の旅では、エチオピアの荒野で3万年間同じ生活を
しているという部族の村を訪れ、厳しい行程に体調を崩しな
がらも、村人たちと交流したり、村の子供たちとサッカーを
する姿が描かれる。
また次のコロンビアの旅では、8年前の1人旅で知り合った
ミュージシャンとの交流を復活させて、現地のライヴハウス
でのパフォーマンスや、人気歌手のライヴコンサートの様子
に打ち上げパーティでのパフォーマンス。
そして今年2月のカーニヴァルの期間に訪れたトリニダード
・トバゴでは、現地の人気歌手に体当たりで交流を深め、つ
いにはその歌手が乗り込むカーニヴァルの山車に同乗しての
パフォーマンスの様子などが撮されている。
ナオト・インティライミは、確か一昨年の平塚競技場で行わ
れたエキビジションマッチに、芸能人サッカーチーム・スワ
ーヴスの一員として来場したり、最近も旅番組で音楽とサッ
カーボールがあれば誰とでも交流できると話しているなど、
サッカーファンとしては気になる存在だった。
そのため本作も興味津々で観に行ったものだ。その作品は、
出色の出来というほどではないかもしれないが、どのような
事態でも正に体当たりで、常に前向きに挑戦して行く姿に、
感動的というか、何か活力を与えられてしまう感じもしたも
のだ。
もちろんそこにはミュージシャンの特権のようなものもあり
はするが、思い通りにいかなかった時にも、何時かいい日は
巡ってくると信じる姿と、実際にそのようになって行く素晴
らしさは、ドキュメンタリーとしても優れた作品と言える。

監督は、2011年『モテキ』の編集を手掛けて日本アカデミー
賞最優秀編集賞を受賞、本作がデビュー作となる石田雄介。
特にライヴシーンを捉えた映像は見事と感じられた。



2013年03月16日(土) 第189回(Interstellar,OZ sq,Legends of Oz,Tunnels,Artemis,Godzilla,The Martian,Cinderella,Frankenstein,Resident Evil 6)

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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
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 まずは待望だったこの話題から。
 2007年4月1日付の本ページ第132回でも紹介したSF作
品“Interstellar”の映画化が、『ダークナイト』3部作な
どのクリストファー・ノーラン監督の次回作として、2014年
11月7日の全米公開を目指しパラマウントとワーナーの共同
製作で進められることが発表された。
 物語は、カリフォルニア工科大学(Caltech)のキップ・
S・ソーン教授が提唱するワームホール理論に基づき、宇宙
と次元を越えた冒険の旅を描くというもの。2007年当時の紹
介ではスティーヴン・スピルバーグ監督の次回作となってい
たものだ。
 しかも、その際に報告された脚本家の名前がジョナサン・
ノーラン。当時は『メメント』の原作者で映画化の共同脚本
家でもあったノーラン監督の弟が、スピルバーグに協力する
ということでも話題になっていた。
 ところがその計画は、スピルバーグが“Lincoln”の映画
化を優先するなどしたために頓挫、情報はそのまま立ち消え
になっていた。今回はその計画に、2010年7月紹介『インセ
プション』など、一風変わったSF作品も得意なノーラン監
督の出馬が発表されたものだ。
 なお、計画は元々はパラマウントで進められていたものだ
が、ノーラン監督が主宰する制作会社のSyncopyはワーナー
に本拠を置いており、その関係で両社の共同製作が実現した
ようだ。因に配給は、アメリカ国内をパラマウント、海外は
ワーナーが取り扱うことになっている。
 公開日は決まっていても撮影スケジュールなどはまだ確定
されていないとのことだが、出演者にはレオナルド・ディカ
プリオやジム・キャリーの名前が取り沙汰されたこともある
ようで、撮影開始が待たれるところだ。
        *         *
 お次は、3月8日に世界一斉公開されて大ヒット発進した
『オズ はじまりの戦い』“OZ The Great and Powerful”に
早くも続編の計画が発表されている。
 この続編の計画は、実は6日に発表されたもので、この時
点では一般公開は始まっていない。しかしディズニーでは評
論家などの評価の高さを見て大ヒットを確信、迷わず決定し
たとのこと。
 しかも計画自体は数ヶ月前から密かに進められていたもの
で、すでに今回の原案と脚本を担当したミッチェル・カップ
ナーには続編のアイデアの検討が求められていたそうだ。
 そのアイデアはまだ極秘とされているが、基本的には今回
ジェームズ・フランコの演じた主人公が、1939年の映画化に
登場するオズの年齢に達するまでの話になるとのこと。つま
りドロシーとトトが現れる以前の物語になる。
 因に、ライマン・フランク・ボームの原作はすでにパブリ
ック・ドメインになっているが、1939年の映画に関しては、
当時のMGM作品の権利を保有するワーナーに著作権が現存
するのだそうで、今回の続編に関してもその権利に抵触しな
いことが条件になるようだ。
 この条件には、小道具のデザインや登場人物のメイクなど
細かいことまで含まれているとのことで、いろいろ面倒な話
になりそうだが、8日に公開された作品は、邦題にもあるよ
うに「はじまりの戦い」ということで、その後にも戦いは続
くことになるのかな? その中での冒険が描かれることにな
りそうだ。
 なおディズニーでは、全世界での興行収入が10億ドルを突
破した2010年3月紹介『アリス・イン・ワンダーランド』の
続編の計画も進めており、こちらは前作も手掛けたリンダ・
ウルヴァートンが脚本の執筆を進めているようだ。
        *         *
 ところでOzの関連ではもう1本、サマータイム・エンタ
ーテインメントという会社から“Legends of Oz: Dorothy's
Return”という3Dアニメーション作品が、2014年の第1四
半期の公開を目指して準備中であることが発表されている。
 この作品は、ライマン・フランク・ボームの曾孫とされる
作家のロジャー・スタントン・ボームが、シリーズ第1巻の
“The Wonderful Wizard of Oz”及びシリーズの全体からヒ
ントを得て創作した物語に基づき、カンサス州に戻ったドロ
シーのその後の様子が描かれるということだ。
 そしてこの作品の声優には、2011年9月紹介『グリー』や
12月紹介『ニュー・イヤーズ・イブ』などのリー・ミシェル
(ドロシー役)を始め、ジム・ベルーシ(ライオン)、ダン
・エイクロイド(カカシ)、さらにパトリック・スチュアー
ト、ヒュー・ダンシー、オリヴァ・プラット、マーティン・
ショートなど錚々たるメムバーが参加している。
 因に作品はミュージカルになっており、楽曲はカナダ出身
歌手のブライアン・アダムスが担当。アルバムも作品の公開
に合わせて発売されるようだ。
 製作は、元ドリームワークスで2006年“Curious George”
などを手掛けたボニー・ラドフォードが担当し、アニメーシ
ョンの監督は、元ディズニーで『ライオン・キング』『リト
ル・マーメイド』などにも参加のダン・セントピエールと、
『ポカホンタス』などに参加のウィル・フィンという2人の
ヴェテランが手掛けている。
 なお作品はすでに完成されているようで、公開が決まって
いなかったもの。今回のディズニー作品の成功がこの作品に
も光を当てたようだ。
        *         *
 ここからは新しい情報を紹介する。
 その最初は、昨年12月紹介『レ・ミゼラブル』などを手掛
けるRelativity Mediaから“Tunnels”と題されたファンタ
シー・アドヴェンチャーの計画が報告されている。
 物語は、ロンドンの街路の下に巡らされたトンネルを舞台
にしたもので、2人の10代の少年が秘密の住人たちの暮らす
地下世界を発見、その地下世界では住人たちの全員に救いを
もたらすヒーローが待たれていた…というもの。紹介には、
『インディアナ・ジョーンズ』と『ナルニア国物語』の題名
が引用されていた。
 原作は、ロデリック・ゴードンとブライアン・ウィリアム
スという2人の作家の手で、Scholastic/Chicken Houseとい
う出版社から刊行されており、原作にはすでに5冊の続編が
発表されて合計100万部が発行されているとのこと。また、
今秋には最終巻となる6冊目の続編が出版予定とのことだ。
従って映画化はシリーズ化も視野に入れて行われている。
 なお製作状況は、すでに短編映画作家のアンドリュー・ロ
ベルによる脚本が進められているようで、監督には、2011年
2月紹介『ザ・ライト[エクソシストの真実]』などのスウ
ェーデン出身ミカエル・ハフストロームの契約も発表されて
いる。監督は本国でもファンタシー系の作品を手掛けている
ようで、期待したいものだ。
        *         *
 続けて、上の記事に登場した短編映画作家のアンドリュー
・ロベルにはもう1本。フォックスで“Artemis”と題され
た宇宙が舞台とされるアクション・アドヴェンチャーの計画
も発表されている。
 こちらの作品は、上記の説明以上の具体的な内容の紹介は
なかったが、監督には2011年4月紹介『スコット・ピルグリ
ムvs.邪悪な元カレ軍団』などのVFXを手掛けたティム・
ミラーという特撮監督の起用が発表されており、宇宙が舞台
という限りではそれなりの作品は期待できそうだ。
 因にミラー監督には、2011年7月紹介『グリーン・ランタ
ン』などのライアン・レイノルズが主演する“Deadpool”と
いうSF映画の計画も進んでおり、他にもコミックスの映画
化など、長編映画の実績がない割には引く手あまたの人材に
なっているようだ。ただし一部には、そのこと自体が驚異的
という記事も見られたが、何か人脈のある人物のようだ。
        *         *
 1月16日付の第185回でも紹介したワーナーが進めている
“Godzilla”のリブートに関して、今月中にも予定されてい
る撮影開始に向けた、前回の紹介とはガラリと変わったキャ
スティングの発表が行われた。
 その顔ぶれは、昨年9月紹介『アルゴ』などのブライアン
・クランストン、今年1月紹介『アンナ・カレーニナ』など
のアーロン・テイラー=ジョンスン、昨年8月紹介『ボーン
・レガシー』に出演のデヴィッド・ストラザーン。
 また昨年11月紹介『マーサ、あるいはマーシー・メイ』な
どのエリザベス・オルセン、さらに今年2月紹介『コズモポ
リス』などのジュリエット・ビノシェに出演の噂もあるよう
だ。
 そして監督は、以前の紹介と変わらず2011年6月紹介『モ
ンスターズ/地球外生命体』などのギャレス・エドワーズだ
が。脚本では、以前のデイヴィッド・キャラハンとデイヴィ
ッド・S・ゴイヤーは原案の表記になり、フランク・ダラボ
ンとマックス・ボレンスタイン、さらに“Pacific Rim”も
手掛けたドリュー・ピアースが新たな脚本家としてクレジッ
トされているようだ。
 実は前回の紹介の後では、プロデューサーを解任されたダ
ン・リンが地位確認の訴訟を起こすなどの事態も発生してい
たが、計画は脚本も出演者も総入れ替えで進むことになった
ようで、ダン・リンの名前はデータベースからも削除され、
裁判もその状況で決着されたようだ。
 制作は3Dで行われ、全米公開は2014年5月16日に予定さ
れている。
        *         *
 2010年1月紹介『シャーロック・ホームズ』などの脚本家
で、昨年8月紹介『リンカーン/秘密の書』などの製作総指
揮も務めたサイモン・キンバーグが、アンディ・ウィアー原
作による“The Martian”と題された未刊行のSFスリラー
の映画化に参加することが発表された。
 物語は、火星に不時着した宇宙飛行士が地球に帰還する術
を模索するというものだそうで、かなり現実的なサヴァイヴ
ァルものが予想される。ただし、実はAndy Weirという名前
で検索をしたら、Youtubeに“The Egg”という画像が上がっ
ていて、これが作家の原作を映像化したものだった。
 しかもその内容が、主人公が死後に門の前で神と語り合う
というもので、会話劇なので英語も理解はしやすかったが、
何とも不思議な感じの作品だった。その感覚で火星に取り残
された宇宙飛行士のサヴァイヴァル…というのも考えてしま
うものだ。
 火星に不時着した宇宙飛行士の話というと、1964年のバイ
ロン・ハスキン監督『火星着陸第1号』なども思い出すとこ
ろだが、火星の状況もかなり把握できている現代で、どのよ
うな作品が生み出されるか、興味津々の感じだ。
        *         *
 一方、同じくサイモン・キンバーグ製作で、ディズニーが
2014年の公開を目指している“Cinderella”の実写版では、
一時発表されていたエマ・ワトスンの主演がキャンセルされ
てしまった。
 この作品は、2011年5月紹介『マイティー・ソー』などの
ケネス・ブラナー監督、継母役にケイト・ブランシュエット
が配役されているというもので、脚本には、2008年1月紹介
『ライラの冒険・黄金の羅針盤』などのクリス・ウェイツ、
2010年12月紹介『恋とニュースのつくり方』などのアライン
・ブロッシュ・マッケンナの名前が並んでいる。
 今回のキャンセルの理由は明らかにされていないが、因に
この配役には先に、2011年9月紹介『三銃士〜王妃の首飾り
とダ・ヴィンチの飛行船』などのガブリエラ・ワイルドや、
昨年7月紹介『ウェイ・バック〜脱出6500km〜』などのシア
ーシャ・ローナン、今年1月紹介『アンナ・カレーニナ』に
出演のアリシア・ヴィカンダーらの名前も挙がって、いずれ
もキャンセルされているとのことで、なかなか難しい役のよ
うだ。
 なお、昨年1月紹介『マリリン・7日間の恋』にも出演し
ていたエマ・ワトスンは、最近では“The Perks of Being a
Wallflower”という作品にヒロイン役で出演している他、今
春全米公開されるダーレン・アロノフスキー監督の“Noah”
にも主演しており、女優業は多忙になっている。
 その中で、実は先にワーナーでギレルモ・デル・トロ監督
が進めたいた“Beauty and the Beast”の実写版にベル役で
出演も決まっていたのだが、この作品が会社側の都合で延期
になり、その間の時間を狙っての今回の“Cinderella”の計
画だった。しかしそれもキャンセルになったというものだ。
        *         *
 ハーマイオニーに続いてはハリー・ポッターで、昨年9月
紹介『ウーマン・イン・ブラック亡霊の館』では子持ちの役
にも挑戦したダニエル・ラドクリフが、クラシックホラーの
代表作とも言えるメアリー・シェリー原作“Frankenstein”
の映画化に出演することが発表された。
 因にこの原作は、『ウーマン・イン・ブラック』を製作し
たハマーフィルムの看板作品の一つだが、今回の計画は同社
ではなく20世紀フォックスで進められているものだ。しかも
ラドクリフが演じるのはフランケンシュタイン博士でも、博
士が創造する怪物でもなく、何と博士の助手のイゴールの役
だということだ。
 このイゴール(Igor or Ygor)というキャラクターは基本
的にはせむし男で、過去の作品では1939年の“Son of F”と
1942年の“The Ghost of F”ではベラ・ルゴシ、また1974年
の“Young Frankenstein”ではマーティ・フェルドマンらが
演じていたもの。博士の命じるままに墓を掘り起こして遺体
を盗んでくるという役柄だ。因に2008年には“Igor”と題さ
れた長編アニメーションも公開されている。
 という役柄にラドクリフが挑戦するものだが、作品は昨年
“Chronicle”というSF作品を手掛けているマックス・ラ
ンディスの脚本で、2006年11月紹介『ラッキーナンバー7』
などのポール・マクギガンが監督することになっている。
 ただしラドクリフには、先にロンドン・ウェストエンドで
の舞台公演が有り、本作の撮影はその舞台が終わる秋以降に
なるとのことだ。
        *         *
 最後に全米公開日の決定で、1月1日付の第184回で紹介
したウォシャウスキー姉弟監督の“Jupiter Ascending”を
2014年7月25日に公開することがワーナーから発表された。
 そう言えばウォシャウスキー姉弟は、1月24日に行われた
『クラウド・アトラス』の来日記者会見の席で、次回作には
日本人の俳優を出すと約束していたが、今のところこの作品
にそのような情報はないようで、どうなるのかな。
 もう1本、前々作から再びポール・W・S・アンダースン
が監督している『バイオハザード』シリーズの第6作には、
2014年9月12日の全米公開が発表された。こちらはシリーズ
2回目の3部作の完結となるものだが、アンダースン監督は
その前に歴史大作の“Pompeii”も準備中で、そんなに忙し
くて大丈夫かという心配もされているようだ。
 因に、“Resident Evil 6”はミラ・ジョヴォヴィッチの
主演で進められることも報告されていたようだ。



2013年03月10日(日) 桃まつり−なみだ−、スカイラブ、グッバイ・ファーストラブ、ベルヴィル・トーキョー、モンスター、闇の帝王DON、命ある限り、YES/NO

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『桃まつり−なみだ−』
毎年観せて貰っている女性映画作家たちの短編映画祭。今年
は“なみだ”と名付けられた3番組8作品が公開される。
“壱のなみだ”
『愛のイバラ』
8ミリフィルムで撮影された作品。2005年のイメージフォー
ラムフェスティバルでグランプリを受賞している小口容子監
のフィルムへのこだわりは相当で、本作では自家現像で生
じた傷や汚れ、光のムラなども作品に取り入れている。
作品は「不思議ちゃん」好きの男子が、声を掛けた「電波系
不思議ちゃん」の妄想に振り回されるというもの。映像はル
イ・マル作品を思い出させ、フィルム→ノスタルジー→ヌー
ヴェルヴァーグという感じは、当然の帰着かな。

『雨の日はしおりちゃんの家』
昨年2月紹介『へんげ』に主演した女優の森田亜紀が初監督
した作品。昨年3月紹介『先生を流産させる会』の宮田亜紀
を主演に迎え、人生の岐路に差し掛かっている女性たちの姿
を描いている。
宮田が演じるのは若い劇団員に芝居をつけている演出家。彼
女は仕事に行き詰まりを感じて立ち寄った公園で、森田演じ
る幼馴染の女性と出会う。女性は主婦となって平凡な暮らし
を送っていたが…。
随所に意外な展開が見られて面白くドラマが構築された作品
だった。ただその展開が、短編映画という制約とのせめぎ合
いで、もう少し長くしたらドラマの深まるはずの部分が少し
物足りない感じもした。

『MAGMA』
東京藝術大学で現代美術を学んだ後に映画美学校に入学した
という渡辺あい監督の作品。出演は2010年10月紹介『ライト
ノベルの楽しい書き方』などの五十嵐令子、他に舩木壱輝、
中原翔子、長宗我部陽子。
将来を嘱望される女子マラソンランナーと、彼女を1番にし
たいコーチ。しかし富士山麓で行われる強化合宿はいろいろ
な障害に見舞われる。突然幻のランナーが現れたり、コーチ
の秘められた過去などドラマも充分に描かれる。
しかし本作は何と言っても結末に目が行ってしまう作品だ。
ただその予兆のシーンが必要だったか否か。無きゃないで唐
突だと言われてしまうかもしれないが、僕は無くても良いの
ではないかと思った。

“弐のなみだ”
『いたいのいたいのとんでゆけ』
日本大学芸術学部映画科出身・朴美和監督の作品。不仲の見
える両親に、何とか元通りになって貰いたいと行動を始める
幼い少女の物語。
出演は、劇団ひまわり所属の大川春菜。他
に林田麻里、ミョンジュ。
自分が2人の子供を育て終えた身で思い返すと、子供にこう
いう思いをさせてはいけないと切実に考えてしまう。でも現
実には、こういう思いを抱える子供が多いことも事実なのだ
ろう。
そんな子供の姿が、補助輪付きの自転車という象徴的な小道
具を使い、またメルヘンな部分を緩衝材して描かれている。
しかし現実の厳しさも容赦なく描かれる。その鮮烈さも見事
な作品だった。

『サヨナラ人魚』
映画日学校出身で2012年ぴあフィルムフェスティバル入選、
渋谷ヒカリエのプロモーションにも参加しているという加藤
綾佳監督の作品。出演は2012年『こっぴどい猫』などの小宮
一葉と舞台俳優の戸田悠太。
予備校に通う受験生でありながらその予備校の講師とも関係
を持っている女性を主人公に、人と繋がりたいけど思うよう
にはそれができない現代人の姿を描いている。タイトルにも
なっている『人魚姫』をモティーフにした作品だが…
内容的に理解はするが、物語はもっと明確に描いて欲しい感
じもした。まあそんな曖昧模糊としたのが現代の人間関係な
のかもしれないが、予備校講師との関係の描き方にもっと厳
しさが欲しい感じがした。

“参のなみだ”
『貧血』
2010年1月の『桃まつり』の中で『FALLING』という作品を
紹介した加藤麻矢監督の新作。実は本作は2010年の時に少し
物足りないと書いた作品の続編になっている。出演は前作と
同じく春山怜那と山田ゆり。
物語は、童貞の血しか受け付けない女吸血鬼を描いたもの。
登場する2人の女吸血鬼の内、1人は誰の血でも良いが、も
う1人は…そこに初心なカップルが現れ、その男子を巡って
ドタバタが始まる。
設定にはおやおやと思い上映後に監督に聞いたら、1974年の
『処女の生き血』は好きな作品とのこと。これはかなりのマ
ニアだ。
シリーズ第3話も期待したいが、この監督には別の
作品も観たくなった。
『葬式の朝』
東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻修了という糠塚まり
や監督の作品。出演は、共に映画は初めての丸井美登子と朝
倉ふゆな。丸井は監督と中学時代からの同級生で素人だが、
朝倉は『アニー』の主演も取っているそうだ。
主人公は祖父の葬儀で実家に帰ってきた女性。家に帰っても
お帰りとは言ってもらえず、かと言って客としても扱っては
もらえない。そして空腹の彼女だが、やれ着替えなど指図さ
れ、出てきた食べ物も従姉妹に取られてしまう。
そして空腹のままの深夜、線香を替えにきた彼女はふと柩の
蓋を開けてしまう。僕自身3年ほど前に父を亡くして、主人
公の思いはかなり伝わってきた気がした。何が良いというこ
ともないが巧みな作品と言える。

『東京ハロウィンナイト』
カリフォルニア芸術大学大学院で映画製作を学んだ岡田まり
監督の作品。出演は、昨年の福岡インディペンデント映画祭
の受賞作『あの素晴らしい愛をもう一度』に主演のきむらゆ
きと『百獣戦隊ガオレンジャー』でブルー役の柴木丈瑠。
田舎の田圃に立つ女カカシが、太陽にお願いして一夜だけ動
ける人間にしてもらい、ハロウィンで浮かれる都会にやって
来る。そこでお見合いパーティに参加した彼女は、ゾンビ男
に恋心を抱くが…
開幕が舞台面の設定で、先に『アンナ・カレーニナ』を観た
後でそれは微笑ましかった。脳みそが食べたいゾンビと、脳
みそのないカカシという組み合わせにも、女性監督らしい優
しさが感じられた。

全作品を観せてもらったが、全体を通じて完成度はかなり高
いものになっている。それが小さく纏まってしまっては面白
くないが、今回もヴァラエティに富んだ作品に出会えたのは
嬉しかった。
公開は、5月11日から24日まで東京渋谷ユーロスペースにて
レイトロードショウされる。

「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」
昨年イギリスのガーディアン紙や、フランスのカイエ・デュ
・シネマ誌も特集を組んだという現代フランスの女性監督に
よる作品3本が特集上映される。

『スカイラブ』“Le Skylab”
女優で、2009年3月に『伯爵夫人』も紹介しているジュリー
・デルピー監督の新作。前作はかなり強烈だったが、今回も
不思議な作品を観せてくれる。
物語の背景は、宇宙ステーション(スカイラブ)の落下が問
題になっている1979年夏。主人公の少女は、祖母の誕生日を
祝うためにブルターニュの田舎を訪れている。そこには大勢
の親戚も集まってくるが…
監督本人が「オーソドックスなストーリー展開には興味がな
い」と語っているもので、取り立てて何が起きるでもない物
語の中で、人間の様々な側面が描かれる。そこには女性なら
ではの視点もあって、いろいろと興味を惹かれた。

出演はデルピーの他に、2011年1月紹介『ゲンスブールと女
たち』のエリック・エルモスニーノ、2009年1月紹介『ベル
サイユの子』などのオール・アティカ、『愛、アムール』の
エマニュエル・リヴァらが共演している。

『グッバイ・ファーストラブ』“Un amour de jeunesse”
2009年の『あの夏の子供たち』でカンヌ国際映画祭「ある視
点部門」審査員特別賞を受賞しているミア・ハンセン=ラヴ
監督の新作。
初めは15歳だった少女を主人公に、17歳の少年と恋に落ちた
彼女の10年に及ぶ出来事が綴られる。その少年は南米に行く
ことを夢見て、彼女の引き止めも虚しく彼は旅立つ。そして
彼女は手紙で別れを告げられる。

出演は2009年『青髭』などの新星ローラ・クレトンと、昨年
7月紹介『ウェイ・バック』に出ていたというセバスティア
ン・ウルゼンドフスキー。監督はデビュー作の『すべてが許
される』(2007年)と合わせ3部作としているようだ。

『ベルヴィル・トーキョー』“Belleville-Tokyo”
ソルボンヌ大学で修士号を取得。その論文のテーマが1961年
アニエス・ヴァルダ監督の『5時から7時までのクレオ』と
いうエリース・ジェラールによる監督デビュー作。
パリに住む若い夫婦。夫は映画評論家でヴェネチアに取材に
向かうが、その出発の空港で妻に「向こうに恋人がいる」と
告げる。そして帰ってきた夫を妻は追い出すが…。やがてよ
りを戻した夫は、今度は東京に取材に行くことになる。

出演は、昨年6月10日付「フランス映画祭2012」で紹介した
『私たちの宣戦布告』のヴァレリー・ドンゼッリとジェレミ
ー・エルカイム。実生活でも以前は夫婦だった2人が微妙な
夫婦関係を演じている。
なお、映画の中で妻は名画座に勤めているが、監督も名画座
に勤務していたことがあるそうで、映画館の事務室に貼られ
たポスターなど映画ファンには面白いものがいろいろ見えて
くる作品でもあった。

紹介した3作品は、3月30日より東京渋谷にあるシアター・
イメージフォーラムで上映される。

『モンスター』
2010年『ボックス!』などの映画化のある百田尚樹が、同年
に発表した小説の映画化。その映画化に、監督・大九明子、
脚本・高橋美幸(2008年11月紹介『プライド』など)、撮影
・大沢圭子、特殊メイク・江川悦子(昨年8月紹介『アウト
レイジ ビヨンド』など)の女性陣が挑んだ。
物語の舞台は、海辺の田舎町に建つ瀟洒なレストラン。そこ
には美貌の女性オーナーを一目見ようと、連日数多くの男性
客で賑わっていた。そんな客席をモニターカメラで見つめる
女性オーナーは、ある日1人の男性客に目を止める。
その客の座るテーブルへと女性オーナーは歩みを進めるが、
そこには彼女の暗く澱んだ過去への思いが秘められていた。
幼い日の思い出、そして青春の記憶。そこから彼女の壮絶な
人生が描かれて行く。

出演は、高岡早紀、加藤雅也、村上淳、大杉漣。
原作者の百田は、映像的な作品だが映画化はハリウッドでな
いと無理だろうと思っていたそうだ。しかしその映画化を、
日本映画の女性たちが見事に実現している。
実は、同じ日に続けて『コードネーム・ジャッカル』という
韓国映画を観ていて、その中に主題ではないが同様の設定が
有り面白くなった。ただし韓国映画ではその具体的な描写は
避けていたもの。そんな困難な題材に果敢に挑戦した日本の
女性映画人たちにも賞賛を送りたい作品だ。

なお本作は4月27日から東京は丸の内TOEI他で公開の予定だ
が、大九監督の作品ではもう1本、『ただいま、ジャクリー
ン』という作品が3月9日から渋谷オーディトリアムで1週
間限定レイト公開されている。
こちらは東京渋谷の映画美学校・脚本コースの第1期生・村
越繁の作品を映像化したもので、ちょっとファンタスティッ
クな展開を含む作品になっている。
物語は、幼い頃にバスの事故で両親を亡くした少年と少女を
主人公にしたもので、同じ事故で死亡した腹話術師の人形を
巡ってある奇跡が起きるもの。
腹話術の人形が意思を持つというお話では、星新一の『夢魔
の標的』を思い出すが、本作の物語の人形はそれほど積極的
には動かない。しかしある状況でそれは奇跡を起こす。脚本
家が星氏の作品を知っていたかどうかは判らないが、本作も
素敵な作品になっていた。

出演は、2012年『ヒミズ』でヴェネチア国際映画祭新人賞を
受賞した染谷将太と、2011年『3年B組金八先生』などの趣
里。他に声優の夏目凛子、腹話術師のいっこく堂らが脇を固
めている。

『闇の帝王DON・ベルリン強奪作戦』“डॉन २”
2月紹介『タイガー・伝説のスパイ』と同じく「ボリウッド
4」と題されて連続公開されるインド最新映画。
原題は“DON 2”となっていて、本作は“DON”の続編のよう
で、前作との繋がりはいろいろありそうだが、本作だけでも
充分に楽しめる作品になっていた。
主人公は、アジア全域の闇社会を支配する犯罪王ドン。彼は
ヨーロッパへの進出を計画していた。しかしこの事態に脅威
を感じたヨーロッパの犯罪組織も対抗策に出る。そこで彼ら
は過去の経緯を捨て、ドンの暗殺指令を出す。
一方、ドンに兄を殺された(前作の話?)インターポールの
女性捜査官もドンの跡を追っており、ドンは両面から追い詰
められて行くことになる。ところが突然ドン本人がインター
ポール本部に現れ、あっさり逮捕されてしまうのだが…

主人公のドンを演じるのは、1月紹介『恋する輪廻』などの
シャー・ルク・カーン。2006年に公開された前作に続いて主
演だが、実は前作の直後に企画された続編は彼の負傷のため
に撮影延期となり、その他の事情も重なって6年後の続編と
なっているものだ。
相手役は、2000年のミス・インディアに選ばれ、続くミス・
ワールド世界大会でも優勝を果たしたプリヤンカー・チョプ
ラ。なお本作には他に、同じく2000年のインド代表でミス・
ユニバース優勝者のララ・ダッタも出演している。
脚本と監督は、俳優としても活躍しているファルハーン・ア
クタル。前作に続いての担当だが、実はその前作には1976年
公開のオリジナルがあり、監督はその作品の脚本を手掛けた
ジャーヴェド・アクタルの息子という繋がりがあるようだ。
プレス資料には「インド版『ルパン3世』」というコピーも
添えられていたが、確かにユーモアなどは共通するものの、
本作の主人公が狙うのは、お宝頂戴といった生半可なもので
はない。そこにはかなりシビアな展開も描かれるし、それな
りにリアルさも感じられるものになっていた。
そして描かれるアクションは、正に『ミッション:インポッ
シブル』ばりのトリッキーなもので、さらにそこに騙し騙さ
れの犯罪者の心理が描かれるのも見所の作品になっていた。
なおラストシーンにはちょっと仕掛けもあって、出来ること
なら2006年の前作も観たくなる作品だった。


『命ある限り』“जब तक है जान”
『闇の帝王』と同じく「ボリウッド4」と題されて連続公開
されるインド最新映画。
登場するのは、インド陸軍で爆弾処理エキスパートの少尉。
彼は防護服を使用せず、生身でテロリストが仕掛ける爆弾と
対峙して処理を成功させてきた。しかし無謀との言える彼の
行動の影には、ある交通事故を切っ掛けにした悲しい事実が
隠されていた。
その事実を知ったのは、Discovery Channelに在籍する駆け
出しの女性ディレクター。彼女は偶然の出来事で少尉の手帳
を盗み読み、彼の姿を描いたドキュメンタリーの制作に乗り
出す。そして完成した作品のチェックのために訪れたロンド
ンで、少尉は再び交通事故に巻き込まれる。
映画を観終って最初に浮かんだのは、ジェームズ・ヒルトン
原作の『心の旅路』だった。1942年に映画化もされたこの物
語に、2010年2月紹介『ハート・ロッカー』を加味したよう
なこの作品は、正しく何でも有りのインド映画そのものとい
う感じかもしれない。
しかも本作は、インド映画が臆面もなく描き続けるメロドラ
マであり、それを現代インド映画を象徴あするような壮大な
スケールで描きあげている。これこそが、ボリウッドがハリ
ウッドを超えたと言える作品だろう。上映時間175分を間違
いなく堪能できる作品だ。

出演は、『闇の帝王DON』と同じくシャー・ルク・カーン。
相手役に『タイガー・伝説のスパイ』のカトリーナ・カイフ
と、今インド映画で注目の女優と言われるアヌシュカ・シャ
ルマ。
監督は、ボリウッド映画の牽引者の1人であったヤッシュ・
チョプラ。実は監督は本作を最後に引退を発表していたが、
本作の公開日の直前にデング熱が原因の多機能不全で急死。
本当の遺作になってしまった。
このため本作の冒頭には、監督本人が引退表明の席で発表し
た自作の詩が引用され、また映画の最後にも追悼的な映像が
収められている。その元気な様子には、病魔の恐ろしさも感
じさせた。
ただし映画自体は、感動的なシーンは次々にあるが、それほ
ど湿っぽいものではなく、正しくエンターテインメントとい
う感じの作品に仕上げられている。


『YES/NO イエス・ノー』“True Love”
2010年9月紹介『リミット』や、昨年4月紹介『フライペー
パー!』などのピーター・サフラン製作によるサスペンス作
品。
『リミット』は箱の中、『フライペーパー!』は閉店後の銀
行に閉じ込められた人々を描いていたが、この製作者はよほ
どこのような限定条件が好きなようで、今回は何の装飾もな
いコンクリートの壁に囲まれた部屋が舞台になっている。
その壁には一定の間隔で穴が設けられており、その穴からは
映像が投影されたり、ガスが噴出したり、様々な仕掛けが隠
されている。さらにその壁の一箇所には、YES/NOのボタンと
小さなディスプレイが設けられている。
そしてそのディスプレイに表示された質問に二択で答えるこ
とで、その後の閉じ込められた人間の運命が定まっていくよ
うだ。そんな部屋に1人ずつ閉じ込められた男女の行動が描
かれる。

出演は、いずれもテレビ俳優のジョン・ブラザートンとエレ
ン・ホフマン。他に、2011年5月紹介『パーフェクト・ホス
ト/悪夢の晩餐会』に出ていたというタイリーズ・アレン、
『デスパレートな妻たち』などのジェイ・ハリントンらが脇
を固めている。
監督は、イタリアで助監督出身のエンリコ・クレリオ・ナジ
ーノのデビュー作。因に本作のストーリーボードも自ら描い
ており、また2009年3月紹介『ザ・バンク』でミラノのロケ
シーンの第2助監督を務めていたそうだ。
脚本は、本作のプロデューサーも務めるファビオ・ガリオー
ネとファビオ・レジナーロのコンビ。2人は過去には数本の
短編映画を制作しており、本作が長編デビュー作のようだ。
映画は後半で突然重力方向がおかしくなったシーンが描かれ
ており、これは一体何なのだ…という展開になるが、主人公
たちの幻覚という意味なのか、全体の物語にはあまり反映さ
れていなかった。
それと結末は、最近のこの手の作品を見慣れている目には、
逆の意味で意外性があったが、その辺はイタリア映画という
ところなのかな。最近の殺伐としたアメリカのインディーズ
作品とは一味違っていた。

なおエンドクレジットの中でcannonの文字が大きく出たが、
ディジタル撮影はキャノンのカメラで行われたようだ。



2013年03月01日(金) 第188回(Oscar winner,Saturn賞,Equalizer,Beasts of Burden,Annihilator,TMNT,Marble Hornets,Manhattan Undying,Transcendence)

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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
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 まずは米アカデミー賞の結果から。
 作品賞は、何と9月紹介『アルゴ』が受賞した。この作品
は一般映画だが、内容的にSF映画のバックステージが絡ん
でいることもあり、僕は大いに気に入っていた作品だ。1月
1日に掲載した僕のベスト10では番外1としたが、今回割愛
した一般映画では第1位に選出するものだった。
 しかもその発表をホワイトハウスからの生中継で大統領夫
人が行うとは…。物語の基になった実話では、その勲功も隠
さなければならなかったという作品の内容から考えても、こ
の演出は素晴らしいと思えたものだ。本作は他に、脚色賞と
編集賞も受賞した。
 一方、今回の最多受賞は、監督賞、撮影賞、作曲賞、視覚
効果賞の4部門を制した『ライフ・オブ・パイ』。12月紹介
のこの作品は、今回は候補部門数では第2位の11部門の候補
に挙がっていたが、受賞は視覚効果などに限られるだろうと
思っていた。それが監督賞とは…、しかもアン・リーは2度
目の受賞で、これは予想外だった。
 続いて『アルゴ』と並んで3部門の受賞を果たしたのは、
助演女優賞、音響賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の
12月紹介『レ・ミゼラブル』。キャットウーマンや白の女王
も演じるアン・ハサウェイの受賞はジャンル映画ファンとし
て嬉しかったが、『ヒッチコック』『ホビット』を抑えての
M&H賞は…、ハサウェイの髪型と抜歯なのかな?
 この他では、11月紹介『007スカイフォール』が主題歌
賞と音響編集賞(1月紹介『ゼロ・ダーク・サーティ』と同
時)の2部門、1月紹介『ジャンゴ繋がれざる者』は脚本賞
と助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)の2部門をそれぞれ
受賞している。
 また、長編アニメーション賞は6月紹介『メリダとおそろ
しの森』、短編アニメーション賞は2月紹介『シュガー・ラ
ッシュ』の中に書いた『紙ヒコーキ』が受賞。今年の短編ア
ニメーション賞の候補作はこの1本しか観ていなかったが、
ちょうどその作品が受賞したのは嬉しかった。
 因に、短編賞の受賞作は見事に実験的な作品だったが、昨
日付けの『アニメミライ』で紹介した作品には、このような
クリエイティヴな感動が少なかった。数年前には日本の作品
がこの賞を受賞したこともあったが、アニメーターと同時に
クリエーターの育成も期待したいものだ。
 一方、長編ドキュメンタリー賞も2月紹介『シュガーマン
奇跡に愛された男』で、海外の長編ドキュメンタリーは観る
機会が少ないが、その作品が選ばれたのも嬉しいところだ。
さらに外国語映画賞は、5候補中4本をすでに紹介していた
が、受賞は1月紹介『愛、アムール』だった。
 ところで、今回『アルゴ』の作品賞の発表は大統領夫人が
行ったものだが、実は対抗馬と目されたスティーヴン・スピ
ルバーグ監督作品が描いたのは共和党の大統領。それを民主
党の大統領の夫人が讃えるのはかなりおかしなものになると
ころだったが、結果はそうではなく、それはほっとしたもの
だ。
 最後に今年の主演女優賞は、史上最高齢と最年少の候補が
話題だったが、現実はゴールデングローブ賞を分けた2人の
一騎打ちだった。そこで通常アカデミー賞はコメディに厳し
いとされているが、受賞は12月紹介『世界にひとつのプレイ
ブック』のジェニファー・ローレンス。これも政治的な思惑
が絡んだのだろうか。
 以上、僕なりにアカデミー賞を概観させてもらった。
        *         *
 お次も賞の話題で、今年で第39回を迎えるアメリカのマニ
ア団体The Academy of Science Fiction, Fantasy & Horror
の選定によるSaturn賞の候補が発表されている。その映画部
門を紹介しておこう。候補はそれぞれ6作品だ。
 ベストSF映画賞候補は、
『アベンジャーズ』(6月紹介)
“Chronicle”
『クラウド・アトラス』(12月紹介)
『ハンガーゲーム』(7月紹介)
『LOOPER』(10月紹介)
『プロメテウス』(7月紹介)
 ファンタシー映画賞候補は、
『アメイジング・スパイダーマン』(6月紹介)
『ホビット・思いがけない冒険』(12月紹介)
『ライフ・オブ・パイ』(12月紹介)
“Ruby Sparks”
『スノーホワイト』(6月紹介)
『テッド』(11月紹介)
 ホラー/スリラー映画賞候補は、
『アルゴ』(9月紹介)
『キャビン』(12月紹介)
“The Impossible”
“Seven Psychopaths”
『ウーマン・イン・ブラック亡霊の館』(9月紹介)
『ゼロ・ダーク・サーティ』(1月紹介)
 アクション/アドヴェンチャー映画賞候補は、
『ボーン・レガシー』(8月紹介)
『ダークナイト ライジング』(7月紹介)
『ジャンゴ繋がれざる者』(1月紹介)
『レ・ミゼラブル』(12月紹介)
『007スカイフォール』(11月紹介)
『96時間リベンジ』(10月紹介)
 インディペンデント映画賞候補は、
“Compliance”
『ヒッチコック』(2月紹介)
“Killer Joe”
“The Paperboy”
“Robot and Frank”
“Safety Not Guaranteed”
『エンド・オブ・ザ・ワールド』(12月紹介)
 主演男優賞候補は、
クリスチャン・ベール(ダークナイト ライジング)
ダニエル・クレイグ(007スカイフォール)
マーティン・フリーマン(ホビット・思いがけない冒険)
ヒュー・ジャックマン(レ・ミゼラブル)
ジョセフ・ゴードン=レヴィット(LOOPER)
マシュー・マコノヒー(Killer Joe)
 主演女優賞候補は、
ジェシカ・チャスティン(ゼロ・ダーク・サーティ)
アン・ダウン(Compliance)
ゾーエ・カザン(Ruby Sparks)
ジェニファー・ローレンス(ハンガーゲーム)
ヘレン・ミレン(ヒッチコック)
ナオミ・ワッツ(The Impossible)
 助演男優賞候補は、
ハヴィエル・バルデム(007スカイフォール)
マイクル・ファスベンダー(プロメテウス)
クラーク・グレッグ(アベンジャーズ)
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
             (ダークナイト ライジング)
イアン・マッケラン(ホビット・思いがけない冒険)
クリストフ・ヴァルツ(ジャンゴ繋がれざる者)
 助演女優賞候補は、
ジュディ・ディンチ(007スカイフォール)
ジーナ・ガーション(Killer Joe)
アン・ハサウェイ(ダークナイト ライジング)
アン・ハサウェイ(レ・ミゼラブル)
ニコール・キッドマン(The Paperboy)
シャーリズ・セロン(スノーホワイト)
 ヤングアクター賞候補は、
C・J・アダムス(The Odd Life of Timothy Green)
トム・ホランド(The Impossible)
ダニエル・ハッテルストーン(レ・ミゼラブル)
クロエ・グレース・モレッツ(ダーク・シャドウ:5月紹介)
スラージ・シャルマ(ライフ・オブ・パイ)
クヮヴェンジャネ・ウォレス(ハッシュパピー:2月紹介)
 監督賞候補は、
ウィリアム・フリードキン(Killer Joe)
ピーター・ジャクスン(ホビット・思いがけない冒険)
リアン・ジョンスン(LOOPER)
アン・リー(ライフ・オブ・パイ)
クリストファー・ノーラン(ダークナイト ライジング)
ジョス・ウェドン(アベンジャーズ)
 脚本賞候補は、
トレイシー・レッツ(Killer Joe)
デヴィッド・マギー(ライフ・オブ・パイ)
マーティン・マクドノー(Seven Psychopaths)
クエンティン・タランティーノ(ジャンゴ繋がれざる者)
ジョス・ウェドン(アベンジャーズ)
ジョス・ウェドン&ドリュー・ゴダード(キャビン)
 美術賞候補は、
『クラウド・アトラス』
『アンナ・カレーニナ』(1月紹介)
『ライフ・オブ・パイ』
『ダーク・シャドウ』
『ホビット・思いがけない冒険』
『レ・ミゼラブル』
 編集賞候補は、
『007スカイフォール』
『クラウド・アトラス』
『LOOPER』
『アベンジャーズ』
『ボーン・レガシー』
『ライフ・オブ・パイ』
 音楽賞候補は、
『ライフ・オブ・パイ』
『フランケンウィ二ー』(11月紹介)
『アンナ・カレーニナ』
『007スカイフォール』
『ホビット・思いがけない冒険』
『ダークナイト ライジング』
 衣裳賞候補は、
『アンナ・カレーニナ』
『クラウド・アトラス』
『ジャンゴ繋がれざる者』
『ホビット・思いがけない冒険』
『レ・ミゼラブル』
『スノーホワイト』
 メイクアップ賞候補は、
『クラウド・アトラス』
『ヒッチコック』
『ホビット・思いがけない冒険』
“The Impossible”
『007スカイフォール』
『ブレイキング・ドーン Part 2』(12月紹介)
 特殊効果賞候補は、
『アベンジャーズ』
『バトルシップ』(4月紹介)
『ホビット・思いがけない冒険』
『ジョン・カーター』(3月紹介)
『ライフ・オブ・パイ』
『スノーホワイト』
 国際映画賞候補は、
『アンナ・カレーニナ』
『チキンとプラム』(2011年10月31日付東京国際映画祭紹介)
“The Fairy”
“Headhunters”
『マイウェイ』(2012年1月紹介)
“Pusher”
 アニメーション映画賞候補は、これだけ4本で、
『メリダとおそろしの森』(6月紹介)
『フランケンウィ二ー』
『パラノーマン』(2月紹介)
『シュガー・ラッシュ』(2月紹介)
となっている。
 このリストはある意味、昨年のSF/ファンタシー映画を
概観するものになっているが、並んでいる題名を見るだけで
もワクワクしてくる。出来たら原題で記した日本未公開作品
も、何とか観られる機会を与えて欲しいものだ。なお、今年
の受賞式は6月に行われるようだ。
        *         *
 ここからは製作ニュースを紹介する。
 まずは2月1日付第186回の「ブラックリスト」の記事の
中で紹介した“The Equalizer”について、ソニーで進めら
れている映画化の監督に、2011年にフォックスで『猿の惑星
ジェネシス』を手掛けたルパート・ワイアットとの交渉が報
告されている。
 この監督に関しては、前回は2011年11月紹介『ドライブ』
などのニコラス・ワインディング・レフンの名前を報告して
いたものだが、ソニーはその交渉を断念、今年春からに予定
されていた撮影も延期が発表されていた。因にレフン監督に
は、前回も紹介したワーナーで“Logan’s Run”のリメイク
の計画もあって、その辺の調整がつかなかったようだ。
 そこに新たにワイアットの名前が登場したものだが、フォ
ックスが2014年に公開を予定している続編の“Dawn of the
Planet of the Apes”については、すでに別の監督の起用が
発表されており、その点での障害はない。
 本作の脚本は「ブラックリスト」に提出されたリチャード
・ウェンクのものが完成されており、製作者にも名を連ねる
主演のデンゼル・ワシントンは、今年のアカデミー賞主演男
優賞の候補にも挙げられて正に今が旬。これで監督が決定す
れば、撮影はすぐにも開始されることになりそうだ。
 なおソニーでは、シリーズ化も見据えてこの計画を進める
としている。
        *         *
 2010年2月紹介『9』などのシェーン・アッカー監督が、
ダークホース・コミックスから発表されている“Beasts of
Burden”というシリーズを原作とする長編アニメーションの
監督に起用されることが発表された。
 原作の物語は、超自然的な危険から市民を守る犬たちの活
躍を描いているとのことで、それを『9』の手法で描くとい
うのは楽しみなことだ。因に脚本は、日本では3月22日公開
予定のブライアン・シンガー監督の新作『ジャックと天空の
巨人』などを手掛けるダレン・レムケによるものが用意され
ているようだ。
 なお製作は、2011年8月紹介『カウボーイ&エイリアン』
などのVFXを担当したReel FXという会社で、同社はアニ
メーションではドリームワークスとも組んでいたが、今後は
独自の進出を決めたようだ。また同社では、映画監督のギレ
ルモ・デル・トロや、2003年11月紹介『ファインディング・
ニモ』を手掛けたアニメーターのジミー・ヘイワードらも、
新作の計画を発表している。
 『9』は独特の雰囲気を持った作品だったが、その世界観
などがどのように反映されるか、それも楽しみな作品だ。
        *         *
 中国で総額2億3000万ドルと言われる映画投資基金が設立
され、その第1弾としてマーヴル・コミックのスタン・リー
原作によるスーパーヒーロー“Annihilator”の映画化が進
められている。
 物語は、刑務所に収監されそうになった中国人の男性が、
最高機密の超人兵士プログラムに登録され、遺伝子的に強化
された存在に生まれ変わる…というもの。スーパーヒーロー
ものではよくあるパターンだが、本作の場合は主人公が中国
人ということで投資基金も得易かったのかもしれない。
 遺伝子的な強化というのが一体どのようなものなのか、そ
の辺のイメージはあまり湧いてこないが、その役を中国人の
俳優が演じるのであれば、身体的には相当のアクションが見
られることは間違いないだろう。
 ただし映画化の進捗状況は、脚本に原作者の1人であり、
昨年8月紹介『ボーン・レガシー』の脚本なども手掛けたダ
ン・ギルロイの起用が発表されている程度だったが。そこに
今回は、製作者として2008年1月紹介『魔法にかけられて』
などのバリー・ジョセフスンの参加が発表され、いよいよ本
格始動となりそうだ。
 カンフー・アクションにVFXも加味された、大型のスー
パーヒーロー・ムーヴィを期待したい。
        *         *
 1987年にスタートしたTVアニメーションシリーズが大人
気を博し、1990年には実写映画化もされた亀の忍者が主人公
のアクションコメディ“Teenage Mutant Ninja Turtles”の
人気を再燃させる計画がパラマウントで進められている。
 その第1弾は昨年スタートされたTVシリーズで、『LO
TR』のショーン・アスティンらが声優を務めるシリーズは
2013年も継続が決まっているようだ。そしてそれに続けて映
画化も計画されていたのだが、実は昨年10月開始予定だった
撮影には延期が発表されていた。
 しかし『トランスフォーマーズ』なども手掛ける製作者の
マイクル・ベイは昨年末にミーティングを再開。今回は女性
主人公役として『トランスフォーマーズ』シリーズの最初の
2本に出演していたミーガン・フォックスの登場が発表され
た。
 物語は、放射性のスライムの影響で人型に変身した4匹の
亀が、やはり人型の鼠の許でマーシャルアーツを鍛錬し、そ
の技を駆使して悪漢と戦うというもの。映画化ではさらに宇
宙から飛来したエイリアンの存在も絡むとのことだ。
 また監督には、2011年3月紹介『世界侵略:ロサンゼルス
決戦』などのジョナサン・リーベスマンの起用も発表されて
いる。因に、製作者のベイは元々のTVシリーズからの大フ
ァンなのだそうで、この映画化には意欲満々のようだ。
        *         *
 Yuotubeで評判のホラー作品“Marble Hornets”を基にし
た映画版の計画が、昨年4月紹介『バッド・ティーチャー』
などを製作したモザイク社で進められている。
 オリジナルは、全65回のエピソードが25万人の定期視聴者
と、5500万回の再生を獲得したというヒット作で、「ジ・オ
ペレーター」と名告る顔の判らない悪漢が登場するもの。そ
して物語は、映画学校の学生がその悪漢との遭遇で準備して
いた長編作品の制作を諦めるところから始まるようだ。
 このストーリーだけだと、何となく『オペラ座の怪人』を
思い出すが、ここからどのような捻りになるかも期待される
ところだ。
 映画化は、2008年に“Splinter”というホラー作品を手掛
けているイアン・ショールの脚本で、『パラノーマル・アク
ティビティ』や2010年10月紹介『モーテル』で第2版監督を
務めたジェームズ・モランの長編監督デビュー作に予定され
ている。
 それにしても、モザイク社はジョン・アプトウやジム・キ
ャリーらも関係するコメディ専門会社のようだが、そこから
ホラー作品というのも興味を惹かれるところだ。
        *         *
 2001年のヴェネチア国際映画祭で『1票のラヴレター』と
いう作品により監督賞を受賞しているイラン出身のババク・
パヤミ監督が、アメリカで製作プロダクションを立ち上げ、
“Manhattan Undying”と題されたヴァンパイア映画の撮影
を開始している。
 内容は、美貌の女ヴァンパイアが鏡には映らない自分の姿
を見るため、初めて会った画家に肖像画を依頼する。しかし
その時その画家は死期を悟っており、彼は自らの芸術の不滅
を願った最後の傑作を描こうとしていた。そしてその事実を
女ヴァンパイアは知らなかった…というもの。
 脚本は、2006年にヴィデオゲームを1本発表しているマッ
ト・ディラーという作家が執筆したもので、ヴァンパイアの
不滅性と芸術の不滅性が重ね合わされるなど、内容を読む限
りではかなり真面なヴァンパイア映画が描かれそうだ。
 出演は、2007年9月紹介『ディスタービア』ではシャイア
・ラブーフの相手役だったサラ・ローマーと、昨年10月紹介
『96時間リベンジ』に出ていたというルーク・グリムス。
 配給も公開日も未定のインディーズの作品だが、どこかで
権利を取って何とか観せてもらいたいものだ。
        *         *
 最後に、7月3日全米公開予定の“The Lone Ranger”に
主演のジョニー・デップから次の2作品の計画が報告され、
その1本目にはSF映画が予定されている。
 その作品は“Transcendence”と題されているもので、内
容は、脳を自らが開発したスーパーコンピューターにアップ
ロードした科学者を主人公にしたもの。その科学者がアンチ
テクノロジーのテロリストに暗殺され、コンピューターに残
された人格が物語のテーマになるようだ。
 脚本は本作が第1作のジャック・ペイグレム。監督には、
『ダーク・ナイト』や『インセプション』などを手掛けてク
リストファー・ノーランの右腕とも言える撮影監督のウォー
リー・フィスターが起用され、本作で監督デビューを飾るこ
とになっている。
 コンピューターにアップロードされた人格が、どれだけ画
面に登場するのか判らないが、デップの主演作として予定さ
れているようだ。
 そしてこの作品に続いては、1988年『レイン・マン』など
のバリー・レヴィンスン監督で、“Black Mass”という作品
が計画されている。
 この作品は、ボストングローブ紙の2人の新聞記者が著し
た“Black Mass: The True Story of the Unholy Alliance
Between the FBI and the Irish Mob”というドキュメント
を原作とするもので、ボストンの犯罪組織のボスの生涯を描
く作品とのことだ。
 因にジョニー・デップの計画では、人気シリーズの第5弾
となる“Pirates of the Caribbean 5”は2015年の公開が予
定されているが、今回の2作品は共に2014年中の公開予定と
なっているものだ。


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井口健二