| 2010年05月30日(日) |
グラン・ブルー、トイ・ストーリー3、アイ・コンタクト、シルビアのいる街で、セックス・アンド・ザ・シティ2+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『グラン・ブルー完全版』“Le grand bleu” リュック・ベッソン監督が1988年に発表し、彼の名を一躍高 めた作品がディジタル・レストアにより、フィルムの傷や汚 れを修復されて帰ってきた。 フランス人のフリーダイヴァー=ジャック・マイヨールと、 イタリア人のフリーダイヴァー=エンゾ・マイオルカ(映画 の中ではエンゾ・モリナーリ)のダイヴィング競争を軸に、 海に魅せられた男たちの姿が描かれる。 フランス人のジャックは潜水夫の息子、身体は小柄で弱々し かったが素潜りの潜水では抜群の能力を発揮する。一方のイ タリア人のエンゾはがき大将、彼も潜水には自信を持ってい たがジャックには一目置いているようだ。 そんな2人はギリシャの浜辺で一緒に育った親友だったが、 フリータイヴィングの世界記録への挑戦が始まり、エンゾが 次々に記録を作っていく一方で、ジャックは華やかな世界に 出ることもなくプロの潜水夫として世界各地で働いていた。 そんなジャックがペルーの山奥の凍結湖で仕事をしていたと き、アメリカの保険会社から派遣された女性調査員のジョア ンナが彼の姿に魅了される。そしてジャックは、エンゾにも 発見されてフリーダイヴィングの世界へと踊り出る。 2人は世界各地を転戦し、素潜りの限界へと挑んで行くが… それは生命の危険も顧みない無謀な挑戦でもあった。何故に 2人はそこまでして海の底を目指すのか。そんな2人にジョ アンナは振り回され続ける。 出演は、ジャック役にラース・フォン=トリアー監督作品で 2003年12月紹介『ドッグヴィル』と、2006年1月紹介『マダ レイ』にも出ていたジャン=マルク・バー。それにエンゾ役 がジャン・レノ。さらに2人の子供時代を演じた子役たちも 良かった。 またジョアンナ役には、1994年『パルプ・フィクション』な どに出演の他、2002年のドキュメンタリー『デブラ・ウィン ガーを探して』の監督でも話題を呼んだロザンナ・アークェ ットが扮している。 因に、映画に描かれた内容は実話とかなり異なるようだが、 ジャック・マイヨールの海への思いなどは見事に描かれてお り、それが特に若者の共感を呼んだとされている。その感覚 は今でも変らないものだろう。 なお、上映時間168分の本作は1992年にも日本で公開されて いるが、今回はその作品がディジタルクリーニングされて、 17年振りに再公開されるものだ。
『トイ・ストーリー3』“Toy Story 3” 1995年、史上初のフルCGI長編アニメーションとして発表 された第1作から、1999年の第2作を経て約10年振りに復活 したシリーズの第3弾。 持ち主のアンディが大学進学で家を離れることになり、可愛 がられてきたトイたちの未来に暗雲が立ち込める。 『トイ・ストーリー』のファンは(1)派と(2)派に分かれるそ うだ。僕はどちらかと言うと(2)派で、実は(2)は何度か観た が(1)は最初のときに観ただけだった。しかし、今年3Dに 変換された(1)を観直して、特にウッディとバズが友情を育 む展開の良さなどに感動した。 という2作の延長となる今回の作品だが、約10年の時を経て 持ち主が大人になってしまった後のトイたちのお話。しばら くはおもちゃ箱の中で忘れ去られていたようなトイたちが、 アンディの進学で新たな運命に晒される。 そんな中でもウッディは、「アンディを信じろ」と仲間たち に訴え続けるのだが… 持ち主が不要としたトイの運命は、他人に譲られるか、それ とも廃棄処分にされてしまうのか。本編のトイたちは、取り 敢えず保育園に寄贈されるのだが…。そこは、ある事情から 心が捻くれてしまったぬいぐるみの熊によって独裁的に支配 されていた。 なお、この熊ロッツォのキャラクターは、実は(1)の物語の 舞台が巨大おもちゃ屋の店内に設定していた頃に検討されて いたが、設定が変ってお蔵入りになっていたものだそうだ。 それは元々は売れ残り棚に取り残されて捻くれたトイだった そうなのだが… こんなトイたちの冒険と、大人になったアンディの成長期の 葛藤が表裏になって、見事な物語が展開されて行く。恐らく は前2作を観て育った子供たちが、今まさにアンディと同様 の人生の岐路を迎えているときに、その背中をそっと押して くれるような作品だ。 その一方で本作は、もちろん初めて観る子供たちにも、見事 な夢と冒険を提供してくれる物語にもなっている。そして、 (1)派にも(2)派にも納得できる物語が展開される。なお僕が 観たのは2Dでの試写だったが、本番の公開は3Dでも行わ れる。ただし物語は3Dであることを目標とせずに作られて いるそうだ。でももう1回3Dで見直したい。 また、ピクサー=ディズニーの作品では本編の上映の前に短 編のおまけが付くが、今回は“Day & Night”という作品。 これが内容は実に題名通りのものなのだが、機知に富んでい て、僕は思わず途中で喝采してしまった。この作品も3Dで 見直したいものだ。
『アイ・コンタクト』 2009年に台北で開催された第21回デフリンピックに競技とし ては初参加した聴覚障害者の女子サッカー日本代表チームを 取材したドキュメンタリー。 本作を監督した中村和彦は、先に知的障害者のサッカー日本 代表を追った『プライドinブルー』という作品を手掛け、 そこから本作へと繋がって行ったのだそうだが、本作ではさ らに選手たちの人生にも立ち入って、より奥深い作品に仕上 げられている。 僕自身、昨年には視覚障害者によるサッカーの試合を観戦に 行って、その奥の深さのようなものをいろいろと感じはした が、正直に言ってその試合はJリーグなどで普段見慣れたサ ッカーとは違う競技のように感じられた。 ただし視覚障害の場合は、自分自身で目を瞑ればそれなりに その状況にはなるし、その苦労などもそれなりに理解しやす い感じもするもので、そのサッカーにおける状況などもそれ なりに理解はできるように感じられたものだ。 これに対して聴覚傷害、特に初から耳の聞こえない人の感覚 などは、自分ではどのようなものか全く想像もできないし、 見た目が健聴者と変らないことの苦労などは、今まで考えて もみないことだった。 この作品は、代表チームの練習や試合の様子などを追うと同 時に、今まで考えたこともなかった聴覚障害者の置かれた状 況などを丁寧に描き出し、その面での衝撃や他の作品では味 わえない感動なども覚える作品だ。 また、各国代表チームとの試合の様子は迫力も満点で、その 中での選手たちが頑張り続ける姿などには、何とも言えない 日本サッカーの今現在の状況の中では、特に胸に迫るものが あった。 それにしても自分がサッカー観戦で、応援しているチームの 形勢が悪くなった時に「下を向くな!」とは選手に向かって よく放つ言葉だが、聴覚傷害者のサッカーでのその言葉の重 さは格別のものになる。 元より作品の題名自体が通常のサッカー用語な訳だが、本作 ではそこに込められた意味がより深くも感じられた。その意 味ではサッカーという競技全体への示唆にもなっているし、 現役のJリーグの選手たちにも観てもらいたい作品のように も思えた。
『シルビアのいる街で』“En la ciudad de Sylvia” 昨年10月20日付東京国際映画祭の報告の中で紹介した『イニ スフリー』などのスペイン人監督ホセ・ルイス・ゲリンによ る2007年製作のフランス/スペイン合作作品。 本作は、2007年ヴェネチア映画祭のコンペティション部門に 出品され、一昨年の東京国際映画祭WORLD CINEMA部門でも招 待上映されたが、その時は見逃していた。その作品が今回は 日本での一般公開が決定し、改めて試写が行われたので紹介 する。 因に上記の原題は東京映画祭でのものを採用したが、“Dans la ville de Sylvia”の原題もあるようだ。 物語は、フランス・ドイツ国境のストラスブールの街を舞台 に、シルビアという女性の面影を追う若者の行動が、カフェ や路面電車、路地裏の家並みなどの美しい街の風景と共に描 かれる。 主人公は、最初はカフェのテラスに座って周囲の女性たちを スケッチしている。その内に主人公はその中の1人の女性に 目を留め、その女性が席を立つと、自分も立ち上がって彼女 の後を追いかけ始める。 ここまでの様子が、カフェのウインドウの反射やウインドウ の手前、あるいはその向こう側の映像などが効果的に描写さ れて表現されて行く。そしてここからは、女性の後を追って 路地裏などをさまよう主人公の姿が描かれるが… 実は、上記の主人公の行動の訳は映画の後半になってから明 らかにされるもので、それまではただのストーカーとしか見 えない。後半で理由が明らかにされると、それはまあ納得も するのだが、僕は正直、前半では多少苛つきも感じていた。 それに映画には随所に長廻しの映像があって、それは正しく アーティスティックでその辺も苛つきの原因になっていたの だが…。その中にいくつか繰り返しの要素があったりして、 それがだんだん楽しめるようになってくる仕掛けではあった ようだ。 まあ、観終われば悪い感じは残らないし、それは特に女性の キャラクターの描き方が良い感じもした。それにカフェなど で描写される数多くの女性たちの美しさも、観ていて楽しめ る作品だ。 出演は、主にテレビや舞台で活躍しているというフランス出 身のグザヴィエ・ラフィットと、2008年9月紹介『アラトリ ステ』にも出ていたというスペインのピラール・ロペス・デ ・アジャラ。どちらも美形で、女性には好かれそうだ。
『セックス・アンド・ザ・シティ2』 “Sex and the City 2” 2008年6月に紹介した往年のテレビシリーズからの映画化の 第2弾。前作ではそれぞれが幸せを掴んだはずの4人組のそ の後が描かれる。 前作から2年が経ってのお話。前作で結婚を勝ち取ったベス トセラー作家のキャリーは、2年を掛けて家具などを整えた 新居で暮らし始めたものの、何かがしっくりと来ない。そし て原稿の締め切りを口実に、仕事場の元のアパートに籠もっ た彼女だったが… やがて新居に戻った彼女を夫はリフレッシュした感じで迎え てくれる。ところが、そこで夫が切り出したのは、毎週2日 間は別々に過ごそうという提案だった。その提案に戸惑いを 覚えるキャリー。 その他、敏腕弁護士のミランダは男尊女卑の上司の言動に我 慢の限界を迎えそうになっており、主婦のシャーロットは反 抗期の娘と優秀だが魅力的すぎるベビーシッターの登場に悩 んでいる。そして独身のサマンサは到来する更年期に抵抗し ようとしているが… そんな4人組が、とある切っ掛けでアブダビ旅行に招待され て…。前作でもメキシコ旅行のエピソードがあったが、本作 ではさらに遠い国でのトラブルや思い掛けない過去の男性と の再会などが描かれる。 出演は、製作も兼ねるサラ・ジェシカ・パーカーと、キム・ キャトラル、クリスティン・デイヴィス、シンシア・ニクス ンのオリジナルの4人組が再結集、さらにクリス・ノース、 ウィリー・ガースン、マリオ・カントーネらの馴染みの顔触 れが再登場している。 また本作では、巻頭で華麗なショウを繰り広げるライザ・ミ ネリや、マイリー・サイラス、ペネロペ・クルスらのゲスト 出演も魅力的だ。その他にもファッション関係のゲストもい ろいろ登場しているそうだ。 基本的には女性による女性のための作品という感じの作品だ が、中には人生の全般に対する示唆のようなものもあって、 男性でもそれなりに楽しめる。それに本作では、巻頭のミネ リのショウを含むパーティシーンがゴージャスで、それを観 るだけでも堪能できた。 さらにはアメリカ人のアラブに対する偏見のようなものもい ろいろ笑えるが…。因にアブダビのシーンは主にモロッコで 撮影されていたようだ。 * * 今回の製作ニュースはリメイクの話題から。 まずは、2007年9月15日付第143回などで報告した1976年 公開“Logan's Run”(邦題:2300年未来への旅)をリメイ クする計画で、その監督にCM出身のカール・ラインシュと いう名前が挙がってる。 オリジナルは、ウィリアム・F・ノーランとジョージ・ク レイトン・ジョンスンが1967年に発表した長編SF小説に基 づくもので、物語は、30歳になると儀式によって消滅するこ とが定めとなっているドーム都市に暮らす男性を主人公に、 その定めに疑問を持った主人公が生き延びて行く冒険が描か れた。また撮影には当時最新鋭だったシュノーケルカメラな どが採用され、巨大なドーム都市の景観などがそれなりの迫 力で描かれていたものだ。 主演は、マイクル・ヨークとジェニー・アガター。他に、 ファラ・フォーセットやピーター・ユスチノフらが共演して いた。ただし映画自体は多少大味な感じで、僕自身はあまり 評価しなかったが、『スター・ウォーズ』前年の作品で、翌 年にはテレビシリーズ化もされていた。 という作品のリメイク計画では、ここ10年ほどの間に監督 としてブライアン・シンガーやジェームズ・マクティーグら の名前も挙げられていたが、実現には至らなかった。そこに ラインシュの名前が登場したものだが、彼はリドリー&トニ ー・スコットの許でメルセデスやスプライト、BMW、ハイ ネケンなどのCMを手掛けてきたとのことで、映像的には優 れたものが期待できそうだ。 また、すでに昨年キアヌ・リーヴスの主演で『忠臣蔵』を 映画化した“47 Ronin”を監督、映画デビューも果たしてい るとのことで、実績も信頼できそうだ。因に彼の作品では、 “The Gift”という短編がYouTubeに挙がっていたが、その 映像感覚なども中々良さそうな感じだった。 キャスティングなどは未発表だが、一応2012年の公開リス トに入っているようだ。 * * お次は、ラルフ・バクシとファンタシー画家フランク・フ ラゼッタの原案に基づき、1983年にバクシの監督でアニメー ション化された“Fire and Ice”を、ロベルト・ロドリゲス 監督で実写リメイクする計画が発表されている。 物語は、氷河期の世界を背景に、邪悪な氷の帝王に誘拐さ れた火の国の王女を救出するため、若き勇者が冒険を繰り広 げるというもの。オリジナルは日本では未公開のままだった ようだが、フラゼッタの魅惑的なキャラクターがそのまま動 けば、もはやそれだけで満足とも評価されている作品だ。 という作品に今回は、ロドリゲスが実写で挑戦することに なるものだが、ロドリゲス自身は、「フラゼッタは数多くの 芸術家や映画作家に影響を与えてきたが、彼の世界が真に実 写で描かれたことはなかった。それをこの作品で実現してみ せることが我々の望みだ」として、映画化への決意を語って いたようだ。 ただしロドリゲスは、過去に数多くの企画が立上げられて は実現しないままになっている監督の1人とされているよう だが、今回の計画に関しては、「過去の計画ではいろいろな 方面からの種々の理由で計画が頓挫することが多かったが、 この作品では自分で権利をコントロールできるようにした」 との発言もしており、これは早急に実現の可能性がありそう だ、とのことだ。 フランク・ミラーとの“Sin City 2”の計画も中々進まな いロドリゲスだが、今回は彼の発言を信じて期待して待つこ とにしよう。 * * もう1本のリメイク情報は、こちらはちょっと残念な報告 で、4月4日付でポール・グリーングラス監督が興味を示し ていると紹介した“Fantastic Voyage”(ミクロの決死圏) の3Dリメイクの計画から、監督の離脱が発表された。 この計画では、ジェームズ・キャメロンが『アバター』で 採用した3D撮影システムと、手持ちカメラでの撮影が特徴 とされるグリーングラス監督とがどのようにマッチングする かにも興味が湧いていたのだが、結局のところは監督が契約 書にサインするまでにも至らなかったようだ。しかし2007年 『AVPR』などのシェーン・サレルノが執筆した脚本は、 すでに他の有力監督の許にも送られているとのことで、監督 が決定されるのもそう遠くはなさそうだ。 一方、グリーングラス監督はすでにワーナーが進めている “Treasure Island”(宝島)をスタイリッシュに再映画化 するという計画に全エネルギーを傾注しているとのことで、 『シャーロック・ホームズ』のライオネル・ウィグラムが製 作を手掛けるこの冒険作品が、3Dではないようだが監督の 次回作になりそうだ。 * * 後半は、新しい話題いくつか纏めて紹介しよう。 まずはディズニーとジェリー・ブラッカイマーの計画で、 “Lightspeed”と題されたSFテーマの脚本を350万ドルの 契約金で獲得したとの発表が報じられた。 この脚本は、2006年12月紹介『デジャ・ヴ』を手掛けた脚 本家チームのテリー・ロッジオとビル・マーシリィが新たに 執筆したもので、物語は惑星間スピードレースに挑む若き宇 宙パイロットを主人公にしたものとのこと。そして彼は、戦 争の気配が漂う銀河系を抜ける旅を余儀なくされるという展 開になるようだ。 まさにバリバリのSFという感じの物語だが、ブラッカイ マーはこの作品を3Dの実写で映像化したいとしており、夏 向けの大作として進める計画になりそうだ。 お次はレジェンダリー・ピクチャーズの計画で、エレクト ロニック・アーツが開発しているヴィデオゲーム・シリーズ “Mass Effect”の映画化権を獲得し、ワーナーとの共同で 映画化を進めると発表した。 物語は、2183年の未来世界を背景に、5万年ごとに銀河を 襲って文明を根絶やしにするとされるエイリアンの侵略を阻 止するミッションに従事するチームを描いたものとのこと。 ウェブでプロモーションを観るとアクションゲームのように も観えるが、背景の物語はそれなりにあるようだ。 そして今回は、この映画化に向けた脚色に『アイ・アム・ レジェンド』を手掛けたマーク・プロトセヴィッチが契約し たことも発表されている。プロトセヴィッチならしっかりし た世界観も期待できるし、かなり本格的な未来物にもなりそ うで楽しみだ。 そしてもう1本もレジェンダリーの計画で、『タイタンの 戦い』を手掛けたトラヴィス・ビーチャムによる“Pacific Rim”というSFプロジェクトを進めることが発表された。 物語は、強力な異星人の侵略を打ち破るために団結する地 球の住民たちの姿を描くとのことで、上の作品と似てなくも ないが、自ずと違う話にはなりそうだ。 なお、この作品もワーナーとの共同製作だが、両社ではこ の他に、“Godzilla”やサム・ライミ監督による“World of Warcraft”といった作品も進められている。
| 2010年05月23日(日) |
恋するナポリタン、グッドモーニング・プレジデント、君が踊る夏、仁寺洞スキャンダル+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『恋するナポリタン』 相武紗季、眞木大輔、塚本高史のトリプル主演によるちょっ とファンタスティックなラヴストーリー。 物語の中心は相武が演じる雑誌のグルメ担当記者。彼女には 中学時代から料理を作ってくれる幼馴染みがいて、イタリア 帰りでナポリと仇名された塚本演じるその若者は、今やイタ リア仕込みの料理で人気のオーナーシェフとなっていた。 しかし彼女と若者の関係は常にプラトニックで、彼女は何か に行き詰まると彼の料理を食べに行って幸せになり、彼はそ んな幸せそうに食べる彼女を観ているだけだった。実は彼女 には仄かな恋心もあったのだが… そんな彼女が別の男性にプロポーズされ、彼女が架けた相談 の電話は直ぐには彼に伝わらなかった。ところが、漸くその メッセージを聴いた彼は慌てて彼女のいる場所に駆けつけ、 彼女に何かを告げようとしたそのとき…落下してきた人体が 当って彼は死んでしまう。 落ちてきたのは眞木が演じる男性。その男性は奇跡的にほと んど無傷で助かるが、昏睡から覚めた男性には過去の記憶が 全て失われていた。ところが、ふとした切っ掛けからその男 性が料理を作り始め、それは見事なイタリア料理を完成させ て行く。 一方、死亡した彼への思いから結婚に踏み切れなくなった彼 女の前に、その原因となった男性が現れる。その男性は最初 は謝罪を口にしているが、その態度が徐々に変り始める。そ の男性も何かを彼女に伝えたいようなのだ。 人間の死が関る物語は、常に慎重に扱わなければいけないと 思っている。ましてやそれが自殺を連想させるときは、正直 僕には受け入れられないことが多い。従ってこの作品も、映 画の前半ではかなり退いた気分で観ていたものだ。 しかし、その物語の中に提示された謎が解き明かされて行く 内に、なるほどこんな物語も成立するのだということに気付 いて感心させられた。この物語はかなりトリッキーに、でも 納得できるように作られていたものだ。 脚本は、テレビで『世にも奇妙な物語』などを手掛る一方、 舞台では北大路欣也主演『フロスト/ニクソン』など年10本 以上の演出を手掛けているという鈴木勝秀。監督は、テレビ 出身で、映画は助監督の経験はあるが今回が長編デビュー作 の村谷嘉則。 共演者では、ジュノンボーイ出身の市川知宏、歌舞伎役者の 市川亀治郎、元宝塚月組トップの真琴つばさ、今年3月紹介 『矢島美容室』にも出ていた子役の岡山智樹、それに北大路 欣也らが脇を固めている。 なお映画の中では、キーとなるオムライスを始めいろいろな 料理が披露されるが、それらはマクロビオティックの実践者 で歌手マドンナのプライベートシェフなども務めていた西邨 マユミという人が担当しているそうだ。
『グッドモーニング・プレジデント』“굿모닝 프레지던트” 2005年12月に紹介の中国映画『PROMISE』にも出演していた 韓流スターのチャン・ドンゴンが、同年の『タイフーン』以 来となる4年ぶり韓国映画への復帰を果たした作品。韓国で は250万人動員の大ヒットを記録したそうだ。 韓国ソウルの青瓦台。その韓国大統領官邸で料理人を務める 男性の回想録という形式で、韓国国民にとっての理想の大統 領の姿が描かれる。 その1人目は老境に差し掛かった男性の大統領。任期をあと 半年として平穏に終わらせたい大統領に個人的な問題が発生 する。それによって政治家と個人の板挟みに悩む大統領は、 それとなく料理人に相談を持ちかける。 その跡を継いだのは、前大統領の盟友の息子だった青年大統 領。妻に先立たれて男ヤモメの大統領には幼い1人息子がい て、さらにその任期中に日本海で日本軍が軍事訓練を開始、 半島が一触即発の事態になったり、大統領自身の身体に関る 問題が発生したりもする。 そして3人目は韓国初の女性大統領。彼女は辣腕を発揮して 困難な政策を次々実現して行くが、その足を引っ張ったのは 韓国初のファーストジェントルマンとなった夫だった。大統 領の支持率が低下したとき、その夫が取った行動は… 韓国の大統領というと、ファーストレディが狙撃で暗殺され たり、強権を発動したり、在任中の汚職で訴追されたりと、 とかく強面の印象があるのは、軍人上がりの1人の大統領の せいだけなのかな。 そんな公人でもある韓国大統領が、この作品では個人的な側 面から見事に人間的に描かれている。これは監督自身が「大 韓民国が夢見る大統領」と表現している通り、本当にはいた ことのない理想の大統領を描いた作品のようだ。 脚本と監督は、2001年『ガン&トークス』などのチャン・ジ ン。実は監督の作品は今まで観ていなかったが、2006年8月 紹介『トンマッッコルへようこそ』の製作を担当してた人物 と聞いてなるほどと思えた。ユーモアや風刺性などが良く似 た風合の作品だ。 出演はドンゴンの他に、自身が国会議員の経験もあるという イ・スンジェと、韓国の母とも呼ばれるコ・ドゥシムが3代 の大統領を演じ、さらに『トンマッコルへようこそ』などの イム・ハリョン、『秋の童話』などのハン・チェヨンらが脇 を固めている。 日本人の観客としては、日本軍の軍事訓練の話などにはニヤ リとさせられる。映画の全体はユーモラスなのだが、そこに 描かれた個々のエピソードにはかなり辛辣なものも多い。そ してそれは、日本の政治家の姿勢にも通じるものにもなって いる。 政治の内幕ドラマとしても面白かった。
『君が踊る、夏』 高知県高知市で毎年8月9−12日に開催されるよさこい祭り を背景に、地元を離れて東京での成功を夢見る若者と、東京 に憧れながらもある事情から地元に残ることを余儀なくされ た女性の姿を描いた作品。 この映画のプロデューサーは、以前別の映画のキャンペーン で四国を訪れた際によさこい踊りに遭遇し、その見事に振り 付けられた踊りと踊り手たちの満面の笑顔から、それを題材 にした映画を作れないかと考えたそうだ。 しかし映画化のための物語の創作に難渋していたとき、彼の 耳に、MRTKという悪性の小児ガンと闘いながら踊り手と して参加する少女の話が届く。そして事実の確認に訪れた彼 が踊る少女の姿を目撃したとき、この物語が誕生した。 物語の主人公は故郷高知を離れ、東京でカメラマン助手とし て働きながら5年目を迎えた若者。彼には高校卒業の時、一 緒に東京に出ようと約束したガールフレンドがいたが、彼女 は出発の直前に行けないと告げた。以来彼は一度の帰省もし ていなかった。 そんな彼に母親から入院したとの電話が架かり、慌てて帰省 した彼は、同じ病院に来院していた幼い少女の姿を目に留め る。その少女はガールフレンドの妹だった。そして妹は姉に 若者に会ったと告げ、姉と若者が先陣だったよさこい踊りの チームで踊りたいと言い出す。 MRTK=腎悪性横紋筋肉腫瘍様腫瘍、その病気は当時の医 学では発症から5年を超えて生存した例は無いとされ、その 時、すでに彼女の妹は発症から5年目を迎えていた。こうし て5年前のチームを再結成すべく、彼女は動き始めるが… 若者の夢の実現のためそっと身を退こうとした女性や、その 周囲の人たちの思惑、さらに若者自身の夢との葛藤などが絡 んで、もしかしたら今年が最後になるかも知れない妹の夏に 向けたドラマが展開される。 出演は、2008年11月紹介『赤い糸』で日本アカデミー賞新人 賞受賞の溝端淳平、映画『20世紀少年』などに出演の木南晴 夏、『ウルトラマンメビウス』に主演の後『ROOKIES』で人 気沸騰の五十嵐隼士、そして2008年9月紹介『252』など の大森絢音。 他にミュージシャンのDAIGO、藤原竜也、本田博太郎、 宮崎美子、隆大介、高嶋政宏、高島礼子が脇を固めている。 監督は1996年『不法滞在』などの香月秀之。また本作に向け て書き下ろしの主題歌を、東方神起が歌っている。 難病物の作品ではあるが、最初のコンセプトが満面の笑顔と いうことで、映画はお涙頂戴に落としていない。僕はプレス 資料に書かれた映画製作の経緯を読んでいて目が潤んだもの だが、映画がそうしなかったのは見事なものだ。 それにこの映画では、物語の中でのある約束が最後までしっ かり守られていることにも感心した。映像を優先する作品で は意外とこのような約束事が蔑ろにさせることが多いが、本 作はそうではなかった。この点もこの作品では気に入ったと ころだ。 そしてそのクライマックスになるよさこい踊りでは、出演者 一同が見事なチームワークで踊って見せるのも素晴らしい仕 上がりになっている。因にこの踊りや、溝端、五十嵐が振る 纏の演技には、地元を代表するチームが指導に当っているそ うだ。 それにしても、4月に紹介した『小さな命が呼ぶとき』のポ ンペ病に続いての小児難病を扱った作品だが、自分の子育て ではいろいろなことがあっても、このようなお子さんを抱え た親たちに比べれば自分は幸運だったと言わざるを得ない。 今回の記事を書くために検索をしていたらいくつかのブログ がヒットした。その中には、治療途中で更新が途切れている ものもあったが、5月18日付の更新で退院から1ヶ月が過ぎ て快調と書かれているものもあって嬉しくなった。 本作の基となった実話の少女の例では、8年目を迎えて今年 も踊りに参加するとのこと。医学の進歩でこの種の難病も克 服されつつあるようでもあるし、この子たちにはいつまでも 笑顔で踊り続けて欲しいものだ。 それからこの作品を観ていて、これが3Dだったらどうだろ うかと考えてみた。物量面で適うはずのないハリウッド映画 を真似るのではなく、もっとシンプルにこのような祭りを写 した方が、3D効果も面白くなるのではないかとも思ってし まったものだ。誰かそれは考えているのかな。
『仁寺洞スキャンダル』“인사동 스캔들” 韓国ソウルの骨董街・仁寺洞を舞台に、占領下で日本に持ち 去られたとされる骨董美術品を巡って、凄腕のバイヤーや闇 のシンジケート、そして絵画の修復師らが暗躍するサスペン スドラマ。 主人公は、神の手を持つ男と呼ばれた絵画の修復師。しかし 彼は、以前に修復した朝鮮王朝期の水墨画家・安堅の「夢遊 桃源図」が、その後に日本に密輸されたことから、その首謀 者と疑われ、証拠不十分で訴追は受けなかったものの業界か らは姿を消していた。 ところが、同じく安堅の作品で長く失われたと見られていた 「碧眼図」が京都で発見され、仁寺洞のバイヤーを通じて韓 国に帰還することが発表される。それは修復に成功すれば時 価数千億ウォン(1ウォン=0.08円)にもなるという貴重な 代物だった。 そしてバイヤーは、主人公をその修復師として契約、彼は復 活のチャンスを得るのだが…そこには、闇のシンジケートや 「夢遊桃源図」を所蔵する日本人コレクターなど、様々な人 物の思惑が絡んでいた。さらに以前の事件を立件できなかっ た警察も動き出す。 主演は、2005年4月8紹介『マイ・リトル・ブライド』など のキム・レウォン。現在兵役中の人気俳優がその前の最後の 作品に選んだものだそうだ。共演は、人気歌手でもあるオム ・ジョンファ、『グッドモーニング・プレジデント』にも出 ていたイム・ハリョン。 他に、2009年1月紹介『映画は映画だ』などのホン・スヒョ ン、2002年3月紹介『友へ、チング』に出ていたキム・ジョ ンテ、それに日本から1997年『HANA-BI』などの白竜らが出 演している。 脚本と監督は本作でデビューを飾ったパク・ヒゴン。それ以 前の経歴は不明だが、本作の脚本には3年の準備期間が掛け られたとのこと。絵画修復の手順なども細かく再現され、さ らにアクションも満載でエンターテインメント性の高い作品 に仕上げられていた。 因に、本作で問題となる「夢遊桃源図」(現存する安堅唯一 の真筆とされる)は、現在は日本の天理大学附属天理図書館 に所蔵されていて、国の重要文化財に指定されているとのこ とだ。つまりその辺は実話に基づくもののようだ。 * * 製作ニュースはこんな話題から。 4月に『サバイバル・オブ・ザ・デッド』を紹介したとき には次回作が決まっていないと報告したジョージ・A・ロメ ロ監督が、同じ回で『4匹の蠅』を紹介したダリオ・アルジ ェント監督が1975年に発表し、日本では『サスぺリア2』の 題名で公開された“Profondo rosso”(英題名:Deep Red) を3Dでリメイクすると発表した。 アルジェントとロメロの関係というと、1978年ロメロ監督 の“Dawn of the Dead”(ゾンビ)の製作にアルジェントが 手を貸したことは有名な話だし、2005年の『ランド・オブ・ ザ・デッド』にはアルジェントの娘アーシアが出演。また、 1990年には2人の共同監督で“Due occhi diabolici”とい う作品も作られているようだ。 というロメロがアルジェントの過去の作品を3Dリメイク するという計画だが、オリジナルは、偶然殺人現場を目撃し てしまった作曲家を主人公に、数10年前に起きた殺人事件や その真犯人を察知してしまった霊能力者などが関係し、主人 公に襲いかかる恐怖を描いた作品。 実は、日本では1977年公開『サスペリア』でアルジェント の名前が一躍高まった後に、配給会社が勝手に『2』の題名 を付けて公開(1978年)したもので、物語的には何の繋がり もない。因に、2009年2月紹介の『サセペリア・テルザ』は 3部作の完結編となっているが、1980年『インフェルノ』を 第2作としての第3作で、本作は関係ないものだ。 そして今回の計画では、オリジナルの製作総指揮を手掛け たダリオの弟のクラウディオ・アルジェントが製作と脚本も 担当しているもので、ロメロとしては、ゾンビをちょっとお 休みしてのゲスト監督という感じかも知れない。とは言え、 ロメロはこれで3Dにも初挑戦することになり、今後のゾン ビの展開にも興味が生じるところだ。 イタリア=カナダの共同製作による計画で、撮影はカナダ で今秋に開始される。なおダリオ・アルジェントは、ロメロ のリメイクには一切口を挟まないことにしているそうだ。 * * 続いても3D製作の情報で、ディズニーが今夏に撮影を予 定しているシリーズ第4弾“Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides”の撮影を、Disney Digital 3Dシステムで 実施すると発表した。 この計画では、3Dで公開することは先から発表されてい たものだが、当初の計画では撮影は2Dで行った後に3Dに コンヴァージョンするとされていた。ところが、今春同様の 方式で公開された『タイタンの闘い』に関しては、その3D コンヴァージョンに今一つ良い評価が得られておらず、本作 では撮影から3Dで行うことが決断されたようだ。 因にディズニーでは、昨年12月紹介した『Gフォース』は 2Dから3Dにコンヴァージョンしたと伝えられているが、 僕自身は『タイタン』ほどの違和感は感じなかったし、その 出来映えには納得していた。従って3Dの出来映えはコンヴ ァージョンを行った技術者の技量に拠るとも言えそうだが、 今回の評価はマーシャル監督自身も加わって下されたとのこ とで、その判断は絶対と言えそうだ。 ただし、Disney Digital 3Dという名称では、今まで上映 システムとしては発表されていたが、撮影システムがどのよ うなものかなどは明確でなく、撮影カメラが尋常でなく巨大 とされる3Dの撮影には相当の困難も予想される。しかも今 回の発表で、2011年5月20日の全米公開日は変更されないと のこと。つまり監督のロブ・マーシャルらには、相当の覚悟 があると思われるものだ。 出演者では、ジャック・スパロー役のジョニー・デップと バルバロッサ役のジョフリー・ラッシュの再登場の他、イア ン・マクシェーンが海賊黒髭、ペネロペ・クルスがその娘を 演じることも発表されており、撮影はハワイ周辺で行われる ことになっている。 * * ということで“POTC 4”の撮影はスタートされるが、次は その影響をちょっとだけ受ける作品の話題で、テリー・ギリ アム監督が2000年に撮影を開始しながら挫折した“The Man Who Killed Don Quixote”の計画が再開し、主人公にユアン ・マクレガー、ドン・キホーテ役にロバート・デュヴォール を起用しての撮影を行うことが発表された。 この計画では、元々はジョニー・デップが主人公を演じて 撮影が開始されたものだが、ドン・キホーテ役だったジャン ・ロシュフォールが体調を崩すなどのトラブルが続出し、結 局は保険会社との取り引きで撮影が中止されてしまった。 その計画が、保険会社から権利を買い戻すなどして復活し たものだが、主演を希望していたデップは上記“POTC 4”の 撮影との関係でスケジュール的に困難となって断念。替って マクレガーの出演が発表されたものだ。因に、マクレガーに ついてギリアム監督は、ロマン・ポランスキー監督の2010年 “The Ghost Writer”での演技を絶賛しているが、同時に、 「彼にはいろいろな色彩があり、この作品では彼の別の面を お見せする」と彼の演技に期待しているようだ。 一方、ドン・キホーテ役もデュヴォールに交代となってい るが、こちらはオスカー受賞者でもある彼には「1点の問題 もない」としており、特に元西部劇スターの彼は乗馬も得意 で、正にこの役柄にはピッタリという配役になりそうだ。 撮影は9月に開始されることになっている。 * * 最後は2009年1月15日付第175回で報告したディズニーが 進める“20,000 Leagues Under the Sea: Captain Nemo”の 計画で、実はMcG監督の降板がすでに発表されていたものだ が、それに替る監督としてデイヴィッド・フィンチャーの名 前が浮上している。 フィンチャーと言えば、1999年『ファイト・クラブ』や、 2007年『ゾディアック』など、かなり強烈な作品が印象に残 る監督だが、その後は2008年『ベンジャミン・バトン』のよ うな作品も手掛けて、その面からは冒険映画にも適している のではないかと言う判断がディズニー内に生まれたようだ。 なお脚本には、2007年『ボーン・アルティメイタム』などの スコット・Z・バーンズの起用も発表されており、バーンズ からは『SW:ESB』のような冒険作品を狙うとの発言も 出されているそうだ。 ただしフィンチャーは、現在はFacebook誕生の背景を描い た“The Social Network”という作品の仕上げをしていると ころで、その後には“The Girl with the Dragon Tattoo” のハリウッドリメイクの計画も発表されており、今回の作品 の実現までには少し時間が掛かりそうだ。
| 2010年05月16日(日) |
サイタマノラッパー2、結び目、氷雪の門、バウンティー・ハンター、アムステルダム国立美術館+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『サイタマノラッパー2』 昨年冬のゆうばりファンタスティック映画祭でグランプリ、 韓国・富川ファンタスティック映画祭でもアジア映画最高賞 という賞を獲得した入江悠監督作品の続編。 入江監督の作品では、実は2006年に製作された長編第1作を 試写で観せて貰ったが、その紹介文は、仲間内のメールには 送ったもののサイトにはアップしなかった。つまり僕はその 作品を気に入らなかったと言うことだ。 その入江監督の第2作だった前作の『サイタマノラッパー』 は、試写会場でチラシなどは見掛けたが、僕には試写状が届 かなかったので観なかった。ただまあ、タイトルからはあま り食指が動かなかったのは事実と言える。 その作品が上記のような話題となり、気になっていたところ に続編の試写状が届いた。しかし続編と言うのは、前作を観 ていない者にはいろいろ気になってしまうもの。でもまあそ れでも観るのが自分の役目なので観に行った。 物語は、前作の主役だったという男性2人が、前作にも拘っ ていたらしい伝説のラッパーの軌跡を辿って群馬の田舎街を 徘徊しているところから始まる。そして2人は、地元で蒟屋 の跡を継いでいる1人の女性と遭遇するのだが… 本作の物語自体は、この女性を中心とした女5人のグループ ラッパーの姿を描いているもので、前作の物語との繋がりは ほとんど無く、その点では、前作を観ていない者にも気軽に 楽しめるように作られていた。 前作を観ていれば其なりのシーンもあったかも知れないが、 その辺は観ていない僕にも気にはならなかったし、そんなこ とより本作では、地方で燻っているというか、そうならざる を得ない若者たちの姿が実に丁寧に描かれていたものだ。 しかも、そんな中でも夢を忘れない若者たちの姿が、一種の 爽快感も感じさせるように描かれていた。 因に、監督の第1作の時に仲間内に送った文章を読み返して みたが、前の作品では何か悶々とした感じが映画全体の演出 や映像の造り方を中途半端にしていたように感じたもので、 その辺が本作では、何か吹っ切れた…ようにも感じられた。 主演は、2009年に映画デビューしたというが、プロフィール もあまり出ていない山田真歩。共演は2007年9月紹介『風の 外側』などの安藤サクラ(ラップもこなしている)、さらに 舞台女優の桜井ふみ、増田久美子、加藤真弓らが脇を固めて いる。 また、前作の主演2人(駒木根隆介、水沢紳吾)が狂言回し 的に登場する他、ベテラン俳優の岩松了が良い雰囲気で父親 役を演じていた。 ラップというのは、2003年3月紹介『8 Mile』などの 印象で、海外のものは格好は良いが歌詞を字幕で読むのには 違和感があった。それに対して日本のものは、歌詞は判るが 韻律などがどうもしっくり来ない感じがしていた。 その点でこの作品に登場するラップは、専門家の評価は判ら ないが、僕にはそれなりに聞けた感じがした。特にそれらが 生活の一部になっているという雰囲気が、違和感無く観られ たものだ。 そしてそこに描かれる若者たちの苦悩が、今の時代背景だけ でなく、切実でしかも前向きに描かれていたのは、多分前作 でもそれが観客に共感されたのだろう。少なくとも本作では その点に納得した。 前作を観ていなくても楽しめたし、さらに続きもありそうな ので、今回はしっかりと観ておきたい作品だ。
『結び目』 昨年6月紹介『童貞放浪記』などの小沼雄一監督の新作。前 作を紹介の時は寡作な監督だったようだが、2年続けての新 作とは何かで勢い付いたのかな。 物語は、川や山も近くにある田舎町が舞台。主人公の女性は 痴呆気味の義父の世話に手は焼いていたが、自動車修理工場 を経営する夫とは平穏に暮らしていた。 ところがある日、腕が良いと紹介されたクリーニング店に服 を預けに行った彼女は思わぬ再会(?)を果たす。その店を 若い妻と共に切り盛りする職人は、主人公と前に何か関係が あったようだ。そんな謎めいた状況から徐々に過去の事件が 明らかにされて行く。 実は映画の始まり方が、僕の苦手とする某監督の雰囲気に似 ていて、ちょっと退いた感じで観始めてしまった。内容的に も過去の事件というのが子育てを経験した者には多少きつい ものだったりもして… でも映画の結末は、それなりに常識的なところに納まってい るし、観終ればそれほどひどい作品でもなかったような印象 になった。まあこんなこともあるのだろうし、それで主人公 たちが納得しているなら、それもそれで良いという感じの作 品だ。 主人公の女性を演じるのは、2008年11月紹介『かさぶた姫』 にも出演していたらしいが、女優・脚本家・演出家で、劇団 も主宰しているという赤澤ムック。かなり起伏のある役柄を がんばって演じている。 その相手役に、2008年11月に紹介した『ポチの告白』などの 川本淳市。他に、昨年10月20日付東京国際映画祭出品作品で 紹介した『つむじ風食道の夜』などの広澤草、昨年4月紹介 『蟹工船』などの三浦誠巳らが共演。日本映画界ではそこそ この中堅が集まっていた。 ところで、本作の撮影にはニコンディジタル一眼レフカメラ D90の動画撮影機能「Dムービー」が使用されたとのこと で、試写会ではその画質にも注目していた。しかしプロジェ クターとの相性が良くないのか、期待ほどの成果は挙がって いないように感じられた。 試写会場は、以前Blu-Rayの上映ではそれなりの画質で鑑賞 したことのある場所だったが、今回は画質も甘く満足できる ものではなかった。いろいろ試行錯誤の最中だろうが、折角 高画質で撮影したのなら、それなりの良い画質の上映を期待 したいものだ。
『樺太1945年夏 氷雪の門』 終戦後の1945年8月20日に、当時は日本の領土だった樺太庁 真岡郵便電信局で起きた9人の女性交換手にる集団自決事件 の実話に基づくドラマ作品。本作は1974年製作だが、当時の ソ連政府からの抗議で一般公開の中止された作品が、改めて 公開されることになったものだ。 物語の舞台となる南樺太は、九州ほどの広さがあり、そこに 40万人ほどの入植者が暮らしていたと言われている。全体で は北海道より少し小さい程度の樺太島の南半分を占め、北部 をソ連が支配していたそこは、本土唯一の陸上に国境線を持 つ場所でもあった。 そんな樺太の西岸に位置する湊町の真岡には南樺太全域の電 話の中枢となる真岡郵便電信局があり、軍部から民間への発 令の伝達や一部には軍部の情報の伝達の役目も担っていた。 そして物語は、1945年8月15日の数日前から始まる。 日本の敗色が濃くなった8月9日、ソ連は日本のポツダム宣 言受諾拒否などを理由に対日宣戦を布告。国境線から侵攻を 開始する。これに対して日本の軍部は積極的な交戦を回避、 さらに8月15日の玉音放送の後は戦闘は終るものと考えてい たようだ。 ところがその後もソ連軍の侵攻は止まず。軍部は急遽、婦女 子を中心とした本土への避難を開始するのだが… そんな中、真岡郵便電信局では一部の女子交換手たちが通信 の重要性に鑑み、最後まで職務を続ける覚悟を決めていた。 それは進駐してくる兵士たちによる略奪や暴行などの事態も 予想される中での重大な決意だった。 そして8月20日、真岡沖に現れたソ連艦からは艦砲射撃の後 に兵士の上陸が開始される。やがてその兵士が郵便電信局に 侵入したとき、交換室にいた9人の女性たちは「みなさん、 これが最後です」の言葉を送信し、青酸カリを飲んで自決し てしまう。 この女性たちの物語を中心に、国境警備隊の兵士や軍部の対 応の様子、また北部国境近くにいた住民たちの避難の様子な どを絡めて描かれる。さらに、ミニチュア特撮によるソ連艦 船の航行や砲撃による町の破壊の様子が描かれる。 出演は、二木てるみ、岡田可愛、藤田弓子、木内みどりらが 交換手を演じる他。若林豪、黒沢年男、南田洋子、千秋実、 赤木春恵、栗田ひろみ、浜田光夫、織本順吉、久米明、丹波 哲郎、田村高廣、島田正吾らが共演。 元北海タイムズ記者・金子俊男の原作から、1961年『怪談蚊 喰鳥』や1970年『富士山頂』などの国弘威雄が脚本を執筆。 1957年『透明人間と蠅男』やテレビ『ザ・ガードマン』など の村山三男が監督した。 戦争の悲劇を描いた作品ではあるが、特に自分の世代には、 主人公の交換手たちを演じている当時の人気若手女優たちの 姿が懐かしく楽しめる作品でもあった。また陸上自衛隊の全 面協力による映像や、ミニチュアワークにも懐かしさが感じ られた。 ただ事件そのものは、調べるといろいろ裏があるようで、実 際に自決した9人以外の交換手は無事に帰還しているなど、 自決自体が誤った判断の結果であった可能性は拭えない。こ のことは映画でも仄めかされてはいるが、曖昧にされている ような印象も受けた。 その他の描写でもソ連軍の行動に関しては疑問に感じる部分 もあったし、中には20日より後に起きた事件があえて言及さ れていたりもしていたようだ。その辺が当時のソ連当局の癇 にも障ったのだろう。 それに製作総指揮として、この映画の製作当時に郵政大臣を 務めていた三池信が名前を連ねていたのも、国策映画とする ソ連の主張を覆せなかった理由とも考えられる。それらの理 由により、この映画は一般公開が中止されたものだ。 ただ、この悲劇が起きたことは事実ではあるし、その原因が どこにあるにせよ、その事実は伝えるべきものだろう。その 意味では貴重な作品と言えるものだ。
『バウンティー・ハンター』“The Bounty Hunter” 2006年4月紹介『迷い婚』などのジェニファー・アニストン と2008年6月紹介『P.S.アイラヴユー』などのジェラル ド・バトラー共演によるアクション・ラヴコメディ。 バトラーが演じるのは、元は優秀な警官だったが何故か退職 し、今は保釈中の逃亡者などを捕えてはその保証人から報奨 金を得るバウンティー・ハンター。そんな男が新たに依頼さ れた逃亡者は、退職時に別れた元妻だった。 その元妻は、アニストン演じる敏腕な新聞記者。彼女は警察 関係者の自殺事件に疑問を持ち調査を進めていた。そんな彼 女は自ら起こした交通事故で裁判所に召還されていたが、そ こで重要な情報が入り裁判をすっぽかしてしまう。 こうして被告人不在のままの裁判で執行猶予を取り消された 彼女は、バウンティー・ハンターの標的になってしまったの だ。しかもハンターの元亭主は彼女の行動を読み切って、彼 女を簡単に捕えてしまうのだが… という2人の物語が、自殺事件の調査に絡むカーチェイスな どのアクションと共に描かれて行く。しかもその展開では、 互いを良く知る2人が互いの裏を掻いたり、相手の行動を読 み切ったりの虚々実々の手段で、それぞれの目的に向かって 行くものだ。 共演は、2008年『マンマ・ミーア!』などのクリスティー・ バランスキー、2006年『幸せのセラピー』などのジェイスン ・サダイキス。 監督は、2008年4月紹介『フールズ・ゴールド』などのアン ディ・テナント、脚本は、2004年8月紹介『ツイステッド』 などのサラ・ソープ。そして製作が、アイデア一杯の小品か ら大作までアクション映画で手腕を発揮するニール・H・モ リッツ。 本作は大作と呼ぶほどの規模の作品ではないと思うが、バト ラーとアニストンが見事に填った役柄で、共に1969年生まれ の男女の関係もなるほどと思わせる展開で進められて行く。 しかもアクションもユーモアも満載という、誰でも楽しめる 作品になっていた。 さらにニューヨークのクイーンズ、ブルックリン、アトラン ティック・シティなどで撮影された風景も楽しめる。因に、 映画に登場する保釈金立替業社のオフィスは、クイーンズに 実在していたものだそうだ。
『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』 “Het Nieuwe Rijksmuseum” レンブラントの「夜警」などを所蔵するアムステルダム国立 美術館の改築を巡って起きた計画反対運動の模様と、それに もめげずに改築を進めようとする美術館の前館長の奮闘ぶり などを描いたドキュメンタリー。 国立美術館の改築は1999年オランダ議会で承認され、2001年 には公募コンペティションでスペイン人の建築デザイナーが 選ばれるなど着々と準備が進められた。そして19世紀に建て られた元の建物の装飾の調査や解体作業が開始される。 ところが、改築の計画案が発表されると、建物の中央を貫通 している通路での自転車走行の問題や、併せて新築される建 物の景観などに反対意見が提出され、計画評価の公聴会の開 催が求められる。そして公聴会は紛糾し、工事は中断を余儀 なくされてしまう。 しかしその問題も前館長の奮闘などでようやく解決されるの だが…。今度は計画の遅れの影響などからか工事業者の入札 が不調となってしまう。こうして、またまた工事の中断を余 儀なくされた国立美術館は… その一方で、改築された新美術館での展示に向けて絵画の修 復や、日本からは新たに金剛力士像が購入されるなど、展示 の準備も着々と進められて行くのだが、設計の変更などでそ の思惑も外されて行く。 こうした中、美術館のスタッフたちからも諦めて離職する人 が現われる。中でも金剛力士像の購入を進めた東洋美術部門 のスタッフの到着時の輝くような笑顔や、その後の設計変更 に落胆する姿が印象的に紹介される。 オランダの公共施設の建築事情などは良く判らないが、今ま で通行していた自転車の走行に障害が生じると言うサイクリ スト協会の意見だけで計画全体が白紙撤回に近い状態にされ てしまう。何とも民主主義という感じの展開だが、この辺は 監督のウケ・ホーヘンダイクもちょっと皮肉を込めて描いて いるようだ。 そしてそのホーヘンダイクは、当初はもっと単純に新美術館 の建設を取材する計画が、想いの外の人間ドラマを描くこと になってしまった。それは監督にとってラッキーと言えたの かどうか。取材はまだまだ続いているようだ。 因に、現状の計画では新美術館の完成は2013年に予定されて いるようで、完成したら、特に東洋館の金剛力士像がどのよ うに飾られているか、観に行きたくなってきた。 * * 今回の製作ニュースは、ビッグなプロジェクトになりそう なこの話題から。 限定された空間の中で小数の登場人物のみによって描かれ るソリッド・シチュエーション・スリラー、その元祖とも呼 ばれるカナダ映画『CUBE』などのヴィセンツォ・ナタリ 監督。現在はH・G・ウェルズ原作『獣人島』の現代版とも 目される新作“Splice”の6月4日全米公開に向けて忙しい 監督が、次回作としてニューウェーブSFの旗手J・G・バ ラード原作の“High Rise”の準備を進めているのに続き、 さらにサイバー・パンクの旗手ウィリアム・ギブスン原作の “Neuromancer”を映画化すると発表した。 まず“High Rise”は、1975年に発表されたバラード7作 目の長編小説で、日本でも1980年に翻訳が出ていたようだ。 内容は、その中にプールや学校からスーパーマーケットまで 設けられ、高速エレベーターでそれらを行き来するだけで生 活のできる超高層ビルに暮らす人々を描いたもの。その中で の上下階層間での住人の諍いなどがバラードの筆致で描かれ ている。 そしてこの作品は、実は70年代の後半にニコラス・ローグ の監督で映画化が計画されたことがあり、翻訳が早く出され たのもその影響があったのかも知れない。しかし計画は頓挫 していたものだ。その映画化にナタリ監督が挑んでいるもの で、現在は自ら脚本を執筆中とも伝えられている。 一方、“Neuromancer”は1984年にカナダで初出版された ギブスンの最初の長編作品で、何故か日本の千葉を舞台に近 未来の電脳社会の様子が描かれる。この作品では、インター ネットの成立以前の創作でありながら、必ずしもバラ色では ない未来が電子情報網の展望と共に描かれており、1982年に 公開された映画『ブレードランナー』と共にサイバーパンク SFの嚆矢とされているものだ。 そしてこの作品にも、過去何度か映画化の計画があったも ので、ギブスン自身が脚本を担当した1995年『JM』(ナタ リがストーリーボードを手掛けたとも伝えられている)や、 ウォシャウスキー兄弟の『マトリックス』3部作も、実はこ の原作の映画化が頓挫して、そこからの派生で製作されたも のとも言われている。 という2作品の映画化がナタリ監督の手で進められている ものだが、特に“Neuromancer”に関しては、さらに1986年 発表“Count Zero”、1988年発表“Mona Lisa Overdrive” へと続く3部作の第1作とも考えられているもので、今後は それらの映画化も含めて期待が高まる。具体的な計画の進行 はナタリが“Splice”のプロモーションを終えてからになる と思うが、期待して待ちたいものだ。 * * 以下はドリームワークスの情報を3つほど。 最初は、実はすでに製作が進められている作品で、2006年 『ナイト・ミュージアム』などのショウン・レヴィ監督が、 ヒュー・ジャックマンを主演に迎えて“Real Steel”と題さ れたロボット物の映画化を準備している。 この作品は近未来を背景にしたもので、ジャックマンが扮 するのは人間に代ってロボット同士が戦う時代のロボット・ ボクシングのプロモーター。実は、彼は人間同士が戦ってい た時代の最後のチャンピオンだったが…というもの。そこに 父親の真の姿を知りたい主人公の11歳の息子や、ボクシング のトレーナー、主人公のガールフレンドなどが関って物語が 展開されるようだ。 原作はリチャード・マシスンの短編小説によるもので、現 在はプレプロダクションの状況だが、出演者も続々と決定さ れている。 続いては、ドリームワークスが“Monsterpocalypse”とい うミニチュアゲームの映画化権を獲得し、その製作にティム ・バートンが参加するとの情報だ。 このゲームは、ミニチュアの怪獣人形を使って『ゴジラ』 のようなバトルと行うものということだが、果たしてその映 画化は…、やはり『ゴジラ』のような作品になってしまうの かな? しかもそこにバートンの参画とはなかなか興味深い 作品になりそうだ。 ただしバートンの周囲には、常に大量の計画が発表されて いるから、本作がどこまで本気で関るものはかは明らかでは ない。ただミニチュア人形ということでは、先に製作を担当 した今年2月紹介の『9』にも通じるところがあり、もしか するとその辺の絡みでの製作の可能性もあるかもしれないと いうところだ。 そして最後に、『T4』『アバター』『タイタンの戦い』 に主演したサム・ウォーシントンが、ライダー・ハガードが 創造した冒険家アラン・クォーターメインを演じる計画が発 表されている。 このキャラクターは、過去には1950年の『キング・ソロモ ン』でスチュアート・グレンジャー、1980年代にはリチャー ド・チェンバレンで2作、さらにショーン・コネリーも挑戦 したことがあるものだが、今回は1994年『タイムコップ』な どのマーク・ヴァーヘイデンがキャラクターに基づく原案を 執筆し、『ハムナプトラ3』などのアルフレッド・ゴーフと マイルズ・ミラーが脚本を手掛けているそうだ。 ニューヒーローの誕生なるか。楽しみな計画だ。
| 2010年05月09日(日) |
おのぼり物語、エルム街の悪夢+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『おのぼり物語』 大阪・枚方生まれの漫画家志望の若者が一念発起して上京、 様々な体験の中で成長して行く姿を描いたカラスヤサトシ原 作の自伝的4駒漫画シリーズからの映画化。 大阪で生まれ育った漫画家志望の青年が、漫画賞の受賞や、 一応は東京の雑誌に連載を得て30歳を前に上京。ところが頼 りにしていた雑誌が上京まもなく休刊してしまい… それでも漫画家を夢見る青年が、入居したアパートの奇妙な 住人たちや、元同級生なのに仇名は「先輩」の女性、さらに 口先だけの編集者など、いろいろな人物と交流しながら徐々 に東京での居場所を作り上げて行く。 4駒漫画が原作の映画化というのも何本か観ているが、特に 原作がギャグ漫画だったりすると、単にギャグの羅列になっ たりして、映画としての面白さの発揮できていない作品が多 いように思える。 つまり長編映画である以上は、それなりの物語が必要になる と思うが、日本の脚本家の多くは、自分勝手な物語は作れて も他人の作品を、その原作の思想を活かして脚色するのはど うも苦手のようだ。 そのため、無理矢理に付けられた物語が原作の思想に上手く マッチしていないと思えることが多いようにも感じる。その 点で言うとこの作品は原作自体が叙情的だそうで、その辺の 感性が脚本家にも理解しやすかったのか、良い感じの物語に なっていた。 特に、カメラマン志望の「先輩」との物語は良い感じに作ら れていたし、他にもアパートの住人たちやアパートの大家、 さらに主人公自身の家族の物語など、いろいろなものが盛り 沢山に描き込まれていた。 出演は、主人公の青年役にミュージカル俳優で受賞もしてい るという井上芳雄が扮して長編映画の初主演を飾り、その相 手役の「先輩」に2004年東京国際映画祭で芸術貢献賞受賞の 『ニワトリはハダシだ』などの肘井美佳が扮している。 その他、編集者役で八嶋智人、大家役で哀川翔、主人公の父 親役にミュージシャンのチチ松村が映画初出演など。脚本・ 監督は、高橋伴明や黒沢清、塩田明彦らの助監督を務めてき た毛利安孝の第1回作品だそうだ。 悪い作品とは思わない。でも、何か一つこれは…と思う所が ないというか、全体が卒なく納まりすぎている感じがする。 配役も真面も過ぎて、折角のミュージカルスターの映画初主 演なのに、全体に何か華やかさに欠ける感じの作品だった。 それが狙いだったとは思うのだが…
『エルム街の悪夢』“A Nightmare on Elm Street” 1984年製作の名作ホラー映画のリメイク。前作ではロバート ・イングランドが扮した殺人鬼フレディ・クルーガー役を、 2006年『リトル・チルドレン』でオスカー・ノミネートを果 たしたジャッキー・アール・ヘイリーが演じる。 その殺人鬼は夢の中から襲ってくる。だからそいつに遭遇し たら…2度と眠っては駄目。そんな夢魔の殺人鬼が再び若者 たちを襲い始める。エルム街に住み、高校で同級生になった 若者たち、お互いはそれまでに関係なかったはずの彼らが同 じ夢魔に襲われる。 それは眠った瞬間に別世界に連れ去られ、そこで襲ってくる 夢魔が現実に人を殺すのだ。そして次々仲間が襲われる中、 2人の若者がその謎を解こうとするのだが…そこには、その 街に秘められた忌まわしい過去の事件が隠されていた。 昔、オリジナルを観たときには本当に恐いと思った記憶があ る。当時はもうこういう仕事もしていたから、この手の作品 には馴れているはずだったが、夢の中で襲ってくるという発 想が、若い頃に金縛りを何度も経験している自分には、正に 壺を突かれた感じだった。 それに物語の全体に破綻が少なく、普通なら「これはない」 と思える部分が見当たらないから、正に論理的にも逃げ場が ないという感じにもさせられた。そのくらいに良くできた脚 本に正直脱帽した作品だった。 そしてオリジナルからは何本もの続編とテレビシリーズも作 られ、中には矛盾する作品もあったが、概ねオリジナルの思 想は受け継がれて、その他のスプラッター作品とは一線を画 した作品は、僕にはお気に入りのシリーズだった。 そんな作品のリメイク。僕にとって再訪の世界は、手の内が 判っている分、昔の恐怖感は多少は薄れたが、それでもタイ ミングの良いショックシーンの演出には嬉しくもなった。正 直には、もう一度「初めて」見たかったものだ。 出演は、2009年12月紹介『エクトプラズム』などのカイル・ ガルナー、今年10月に新作の“The Scial Network”が全米 公開されるルーニー・マーラ、昨年6月紹介『96時間』に 出ていたケイティ・キャシディ。 さらに2008年10月紹介『サラ・コナー クロニクルズ』でジ ョン・コナー役のトーマス・デッカー、2009年1月紹介『ト ワイライト』以降のシリーズに出演しているケラン・ラッツ らが若者たちを演じている。 ウェス・クレイヴン創造のキャラクターを基にした脚本は、 2002年3月紹介『グラスハウス』などのウェズリー・ストリ ックと、現在撮影中“The Thing”のリ・リメイクも手掛け たエリック・ハイセラー。監督はMTV出身のサミュエル・ ベイヤー。製作は『トランスーマー』などのマイクル・ベイ 監督主宰のプラティナム・デューンが担当した。 本作では基本の世界に立ち返って、殺人鬼が再びシリーズを 歩み始める。心機一転の作品で新たなファンを獲得し、新規 のシリーズが発展することを期待したい。 * * 今週はゴールデンウィーク明けで観に行った試写会の数が 少なかったので、今までに紹介しそびれた作品も含めて製作 ニュースを纏めて紹介しておこう。 まずは続報で、前回IMAXから発表された“The Hobbit”の 上映計画に絡めて報告した“Batman 3”に関して、その全米 公開日を2012年7月20日とすることが、ワーナーから公式に 発表された。 その発表によると、脚本は前2作の監督を務めたクリスト ファー・ノーランのアイデアに基づき、『ダーク・ナイト』 を担当した実弟のジョナサン・ノーランと、『バットマン・ ビギンズ』で協力したデイヴィッド・S・ゴイヤーが共同で 執筆しており、それが完成し次第クリストファーの監督で映 画化が進められるとのことだ。 因に、2005年に公開された『バットマン・ビギンズ』の興 行成績は全世界で3億5200万ドル、2008年公開の『ダークナ イト』の成績はいろいろあって10億ドルにも達したとのこと で、その第3作への期待は極めて大きいようだ。 なお前回の報告の中で、この他に挙がっていた作品につい ても説明しておくと: まず“Dark Shadows”は、2008年6月15日付第161回でも 紹介した往年のテレビシリーズの映画化で、以前の情報では ジョニー・デップが主演を希望し、ティム・バートン監督の 期待もあるものだ。 “Fury Road”は、2009年11月8日付などで紹介した“Mad Max 4”のことで、ジョージ・ミラー監督が計画を進めてい る。以前の紹介では、シャーリズ・セロンの出演の情報があ ったが、それはキャンセルされたようで、前回紹介のトム・ ハーディ(今年3月紹介『ザ・エッグ』にも出ていた)の他 には、『タイタンの戦い』のニコラス・ホルト、2007年11月 紹介『ディセンバー・ボーイズ』などのテレサ・パーマー、 2007年9月紹介『ブレイブワン』のゾーイ・クラヴィツらの 出演が発表されている。 “Gravity”は、今年2月頃にアンジェリーナ・ジョリー 主演のSF作品ということで突然話題になった作品で、実は ここでも取り上げるつもりだったのだが、原稿を書き始めた 直後にジョリーの出演がキャンセルされたと報じられ、掲載 を取り止めていた。因に脚本と監督はアルフォンソ・キュア ロンが手掛けるもので、大宇宙が舞台のスリラーと紹介され ていた。 そして“Superman”は、現状はクリストファー・ノーラン が製作総指揮を務め、デイヴィッド・S・ゴイヤーの原案・ 脚本で進める計画が濃厚となっており、公開は2013年の予定 とされている。 ということで、現状“Fury Road”以外はかなりあやふや な感じの計画ばかりだが、どの作品もSF/ファンタシー系 と言ってよい作品なので、期待して待ちたいものだ。 * * 次も続報になるが、前々回紹介した“Men in Black 3”に 関して、ウィル・スミスの主演とバリー・ソネンフェルドの 監督、さらに2012年5月25日の全米公開日と、撮影を3Dで 行うことがソニーから正式に発表された。なお公開日は前回 は別の日付を報告したが、それは誤報だったようだ。 また脚本は、ローウェル・カニンガムの原作コミックスに 基づいて『トロピック・サンダー』などのイーサン・コーエ ンが執筆したシナリオに対して、現在は『天使と悪魔』など のデイヴィッド・コープが磨きを掛けており、そのシナリオ に基づく撮影は今年の秋に開始されるとのことだ。 因に配役で、もう1人のエージェントKを演じるトミー・ リー・ジョーンズ及び若き日のKを演じるジョッシュ・ブロ ーリンは、最終的な交渉に入っているとのことだが、サッシ ャ・バロン・コーエンについては決定ではなくなっていた。 いずれにしてもエージェントJが時間流を遡る冒険は間違い なさそうだ。 ただしこれで3月28日付紹介の“The City That Saild” へのウィル・スミスの出演は無くなることになりそうだが、 その作品もSF/ファンタシー系と言えるもので、その辺は ちょっと残念な感じもする。何とかどの作品もポシャらずに 実現して欲しいと思うものだ。 * * 続いてはいろいろ関連する情報で、まずはトム・クルーズ の主演によるシリーズ第4弾“Mission: Impossible 4”の 全米公開を、2011年12月16日に行うことがパラマウントから 発表された。 また、このアクション映画の監督を、2004年『ミスター・ インクレディブル』や、2007年『レミーのおいしいレストラ ン』などのアニメーション監督ブラッド・バードが行うこと も併せて発表されている。因にバード監督には、“1906”と いう作品で先に実写デビューという計画もあったはずだが、 その前に本作を手掛けることになるようだ。 脚本は、クルーズと、シリーズ前作を手掛けたJ・J・エ イブラムスの原案から、エイブラムス製作のテレビシリーズ “Alias”などを手掛けているジョッシュ・アップルバウム とアンドレア・ネメックが執筆したもので、内容は明らかに されていないが、シリーズ前作もよく似た体制で作られてい たから、大体同じような展開のものになりそうだ。 一方、前作を監督したエイブラムスには、スティーヴン・ スピルバーグとの共同製作で“Super 8”という作品を監督 することが発表された。 この作品は、「スーパー8」という言葉が昔の8ミリフィ ルムのカメラを指すことから、一時はエイブラムスが2008年 に製作した『クローバーフィールド』の続編ではないかとい う情報も流されていたが、現状でそれは否定されたようだ。 ただし内容については、エイブラムスが「自分が若い頃に大 好きだったスピルバーグの初期の作品からヒントを得た」と の発言もしているもので、ファンタスティックな内容が期待 されている。 そしてこの作品が2011年の公開に向けて今年の秋に撮影さ れると、それに続けてエイブラムスは、2009年に前作を発表 した“Star Trek”の続編を、2012年の公開に向けて製作す る計画とのことだ。 この続編に関しては、昨年4月1日付第180回でも報告し ているが、パラマウントではかなり早い時期から契約も進め ていたもの。後はエイブラムス側がそのタイミングを観てい たようで、今回の発表でそれが2012年と確定されたものだ。 主な出演者も再登場する見込みだが、これで新たなシリーズ が定着することを期待したいものだ。 ということで、2012年には“Star Trek”の続編も観られ そうだが、上記の“Batman 3”“Men in Black 3”もこの年 の公開予定だし、さらにこの年には“The Hobbit”の第1作 や1月17日付で報告した“Spider Man”の新作、前々回報告 の“Monsters,Inc.”の続編、4月4日付報告のワーナー版 『ゴジラ』、1月3日付で報告の“John Carter of Mars” なども予定されていて、何とも華々しい年になりそうだ。 * * もう一つ続報で、4月25日付で報告した1982年公開『ダー ク・クリスタル』の続編“Power of the Dark Crystal”の 製作を、オーストラリアで3Dで開始するとジム・ヘンソン ・カンパニーから発表された。 この計画では、2006年2月15日付第105回でも紹介したよ うに再び力を持ち始めたクリスタルを永遠の葬るまでの冒険 が描かれることになっているが、その脚本にはバズ・ラーマ ン監督の『ムーラン・ルージュ』などを手掛けた脚本家のク レイグ・ピアースも参加しているようだ。そして監督には、 昨年のトロント国際映画祭で、“Daybreakers”というSF スリラー作品を発表したピーター&マイクル・スピーリグと いう兄弟監督の起用も発表されている。 愛嬌のある人形劇で知られるマペッツだが、そこに登場す るのはモンスターたちであり、その世界観には独特のものが ある。そんな世界観の極致とも言えるのが1982年の作品。そ こに描かれた世界が再び観られるのも楽しみだ。 * * 最後はヨーロッパ発の情報で、2008年3月と2009年10月に 紹介した『●REC』シリーズ。その第3作、第4作の計画 が、スペインのFilmax社から発表されている。 全編が登場人物によるヴィデオカメラで撮影されたという 設定のこの作品は、巧みなカメラワークと、特に第2作では その編集の上手さでも、先行の類似作品を見事に超える作品 になっていた。その作品は、実は前2作はいずれもジャウマ ・バラゲロとパコ・プラザという2人の共同監督だったが、 今回の発表では、2011年秋に公開予定の“[Rec] Genesis” がプラザ、2012年の公開予定の“[Rec] Apocalypse”はバラ ゲロの監督とされており、それぞれが単独で手掛けることに なるようだ。 その理由は明らかにされていないが、2人の監督は以前は それぞれ独立して監督をしていた人たちであり、また今回は バラゲロが別の監督作品を単独で手掛けるという状況もある ようで、そのため第3作はプラザが単独で監督し、その後に バラゲロがシリーズ・ファイナルとされる第4作を手掛ける ことになったのかもしれない。 いずれにしても、シリーズの第3作と第4作はあまり間を 置かずに観られることになりそうだが、第1作の単独カメラ から第2作ではマルチカメラに進化したカメラの活用が、今 度はどのような進化形をとるか、その完成が待ち遠しい。
| 2010年05月02日(日) |
ブレイキング・バッド、チョルラの詩、ロストクライム、アイスバーグ/ルンバ、ラスト・ソング、ゾンビランド+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ブレイキング・バッド』“Beraking Bad” アメリカでは、2008年1月から放送が開始されて2年連続で エミー賞主演男優賞を受賞、現在第3シーズンが放送中とい うドラマシリーズが日本ではDVD公開されることになり、 その第1回及び第2回放送分のサンプルが届いたので、6月 16日の発売に先駆け鑑賞した。 DVDに添付されたプレス資料には「地上波でのオンエアは 絶対不可能」との記載もあったが、確かにそう言い切っても 構わないような衝撃的な作品だ。しかし、その衝撃の中には 巧みなユーモアも仕込まれていて、危険だが納得のゆくエン ターテインメント作品が作られていた。 物語の主人公は高校の化学教師。「ロスアラモスでノーベル 賞受賞の研究に協力」という表彰額も持っているような科学 者だが、今は出来の悪い生徒を前に悪戦苦闘の毎日。さらに 家には脚に障害を持つ息子がいたり、妻はネットオークショ ンに填っていたり、おかげで彼は洗車場でアルバイトしなけ ればならないほどの生活状況のようだ。 そんな主人公が医者から、末期ガンで余命2年と宣告された ことからドラマが始まる。そこで家族に何か残さなければな らないと考えた主人公が思いついたのは、化学の知識を駆使 してのドラッグ密造… いやはや飛んでもないお話だが、アメリカでのドラッグの蔓 延を考えると、こんなこともある程度はあると考えられてい る範囲なのかな。とにかくエミー賞が授与されるほどに受け 入れられている作品であることは確かなのだろう。 それは兎も角、本作ではそこからの展開が見事で、主人公は 第2回放送分までですでに、麻薬の密造から殺人、死体遺棄 とかなりの重大犯罪に手を染めることになってしまう。その 落ちて行き方が尋常ではなく見事に描かれていた。 物語の発想自体は、真っ当に生きている日本人の我々からは 特異なものかどうかも判らないが、そこからの展開は見事と しか言いようもなく描かれている。これは確かに賞に値する 作品と言えるものだ。因にエミー賞では、編集賞も受賞して いる。 主演は、2012年公開“John Carter of Mars”にも出ている ブライアン・クランストン。共演は2002年4月紹介『光の旅 人』に出ていたというアーロン・ポール。他に、アンナ・ガ ン、R・J・ミッテらが出演。 なお、物語の序盤で東洋人の売人が出てくるが、演じていた のはジョン・コヤマという日系3世のスタントマン。 実は、先日紹介の『ザ・ウォーカー』では脇役の胸にKOYAMA という名札があって気になったが、コヤマはその作品でスタ ントコーディネーターを務めると共に、別の狙撃手の役で出 演もしていたようだ。 名札とは言えわざわざ画面に名前を出すのは、それなりにリ スペクトされている現れとも思えるが、彼は来年公開“The Green Hornet”にも関っているようで、活躍が楽しみだ。
『チョルラの詩』 日本人監督の山口浩史が単身韓国に赴き、韓国人の俳優を使 って制作したラヴストーリー。 物語の時代背景は1987年。ソウルオリンピックの開催を翌年 に控えて朝鮮半島全体がその成功に向けて頑張っていた頃の お話。そんな折、在日韓国人の詩人で非常勤の高校教師をし ている主人公の許に、韓国の祖父が亡くなったから葬儀に出 るようにとの連絡が入る。 こうして主人公が向かったのは、韓国南部に位置する全羅南 道の島の寒村。満潮の時には水没する干潟の中を走る歩道を 介して本土と繋がっているその島には、叔母とその息子が暮 らしており、主人公も幼少時にはそこで暮らしていたことが あるようだ。 そしてその近所には、今はソウルで1人暮しをしている幼馴 染みの女性がいて、叔母の息子はその女性に恋心を持ってい たが、貧しい家庭の息子は彼女の母親に嫌われていた。それ でも息子は主人公から愛の詩の書き方を学び、彼女に送り続 けるのだが… 全羅南道、朝鮮八道の1つ全羅道の南半分を分離して定めら れたこの行政区には、2008年3月紹介『光州5・18』の事 件が起きた光州市なども所在するが、その市自体は現在は特 別区として独立されているそうだ。 そしてこの全羅南道は、政治家金大中の出身地として知られ るが、韓国の中では貧しい地方として認識されることが、先 の映画の中でも語られていたように記憶している。 そんな全羅南道が、道路建設などのオリンピック特需で生活 も向上してきた頃。本作は、そのような時代背景も踏まえて 描かれた作品となっている。 出演者では、『春のワルツ』などのドラマ作品で人気のソ・ ドヨンが映画で初主演を飾り、相手役には『チェオクの剣』 などのキム・ミンジュン。その幼馴染み役で、2007年『僕の 彼女のボーイフレンド』という作品に出ていたキム・プルン が共演している。 実は、監督の前作も先に観ているが、その時は日本を描いた 名作の舞台を外国に改変し、自己の政治的な発言に利用して いるような作品の作りが気に入らなかった。従って今回も、 日韓の歪な政治問題が描かれるのではないかと心配したが、 そのようなことはなかった。 元々監督にはそのような意識はないのかも知れないが、前作 の時はどこからそれが吹き込まれたのか…因に、本作のプロ ローグでは日本の教員と国籍の問題が出てくるが、1991年に 当時の文部省から「常勤講師に限り認める」との通達が出さ れているようだ。
『ロストクライム/閃光』 1968年12月10日に起きた府中三億円強奪事件。その事件を題 材にした永瀬隼介による原作小説の映画化。 三億円事件の犯人はなぜ捕まらなかったのか、その事件の裏 にあったのは身内の不祥事を隠蔽しようとする警察機構の体 質だった…2002年の東京湾に浮かんだ他殺死体が、35年前の 事件の真相に繋がる扉を開く。 2008年11月紹介『ポチの告白』など、最近警察の腐敗を描く 映画作品が多くなっていような気がするが、この作品もその 類のものと言えるだろう。三億円事件の真犯人が警察幹部の 身内だったら?という発想で、その隠蔽体質の実態が描かれ て行く。 ただそれが、自分の頭で読み進む小説だとそれなりの説得力 を持たせられるのだろうが、映像を伴う作品だと観客は客観 的にならざるを得ず、その距離感が物語に小説ほどの説得力 を持たせることができなくなってしまうことは否めない。 また上記の『ポチの告白』やその翌月に紹介した『チェンジ リング』のような作品だと、描かれる事件そのものに馴染み が無いから、観客も更な気持ちで物語に入れるが、本作のよ うに事件そのものが著名だと、観客自身の認識とも絡んでさ らに難しくなる。 その辺がかなり難しいチャレンジと言える作品だ。それに対 して本作では、物語の後半にさらなる仕掛けを置いて、そこ からが映画として面白くなるように作られており、その点で は認められる作品になっていた。 出演は、渡辺大、奥田瑛二。他に、河村ゆきえ、武田真治、 原田芳雄、夏八木勲、かたせ梨乃、宅麻伸らが共演。さらに 『ポチの告白』に主演していた菅田俊らの警察ものには欠か せない面々が脇を固めている。 監督は、1998年の『プライド・運命の瞬間』で物議を醸し、 以来のドラマ作品となる伊藤俊也。脚色は伊藤と、テレビの 刑事ものでは定評のある長坂秀佳が担当した。因に、事件の 再現シーンは昨年12月10日が晴天だったため、翌11日の本雨 の日に行われたそうだ。 それにしても、日本警察はとことん性根が腐っている…とい うのが、一般の受け入れやすい認識なのかな。
『アイスバーグ』“L'iceberg” 『ルンバ』“Rumba” ベルギー生まれのドミニク・アベルとオーストラリア生まれ のフィオナ・ゴードンという、共にフランスのパリで舞台の 道化師(クラウン)の修業を積んだ2人が、もう1人の道化 師ブルーノ・ロミとチームを組んで作り上げた2作品。 それぞれ2005年と2008年に製作の独立した作品だが、日本で は2本立てで公開されるとのことで、試写も同様の2本立て で行われた。 2005年製作の『アイスバーグ』は、ファストフード店に務め る主婦の女性が主人公。彼女は事故で冷凍庫に1晩閉じ込め られるが、そこで2つのピークを持つ氷山の幻想を得る。そ してその場所を求めて家族も捨てて北を目指し始める…とい うもの。 その幻想を得るシーンなどは、僕らには『未知との遭遇』を 思い出させるものにもなっているが、さらに映画では、北に 向かうためには形振り構わぬ主婦の姿と、その主婦の後を追 う夫の姿がほとんど台詞なしの演技だけでユーモラスに描か れている。 さらにこの映画の巻頭には、カナダ先住民イヌイットの女性 が、イヌクティトゥット語という民族の言語で物語の概要を 述べるシーンが設けられていて、その美しい響きも心地よく 聴ける作品になっていた。 一方、2008年製作の『ルンバ』は、同じ小学校に勤める女性 英語教師と男性体育教師の夫妻が主人公。彼らは地元のダン ス大会で優勝するが、その帰路で事故に逢い、女性は身体障 害、男性は記憶障害になってしまう。そんな2人の葛藤が、 この作品もほとんど台詞なしの演技だけで描かれる。 またこの作品では、スクリーンプロセスなどかなりアナログ な映像技術が随所に使われていて、それはサイレント映画を 髣髴とさせる物にもなっている。正しくチャップリンやキー トン映画へのオマージュといった感じの作品だ。 両作共にアベルとゴードンが主演しており、さらに道化師の フィリップ・マルツが両作で共演。また、共同監督のロミも 2作にちょい役で出ている他、撮影は共にベルギーの北部で 行われていて、エキストラにも共通の人々が多く出演してい るようだ。 イギリスとも違うヨーロッパ大陸のコメディといった感じの 作品で、ハリウッド程には洗練されていないが、観ていて心 暖まるというか、そんな感じの作品だ。ただ、『ルンバ』の 方には最後にちょっと引っ掛かるところはあったが、最近の 観客は気にしない人も多いのだろう。
『ラスト・ソング』“The Last Song” 2004年11月紹介『きみに読む物語』などのニコラス・スパー クスが、昨年12月紹介『ハンナ・モンタナ』などのマイリー ・サイラスのために書き下ろしたとされる作品。 ピアノの才能を持ちながら両親の離婚から荒れた生活になっ ている少女が、夏休みを弟と共に父親の許で暮らすことにな り、父親との葛藤や様々な出会いなどを通じて成長して行く 姿が描かれる。 『ハンナ…』では溌溂とした姿を見せるマイリーだが、今回 は多感な少女を演じるということで、それなりに一所懸命に 頑張っている感じはする。ただまあそれほどには演技力を要 求される役柄でもなく、その辺はそつ無くという感じだ。 ただし、テレビ出身で本作が長編映画デビューのジュリー・ アン・ロビンスン監督の演出があまり冴えていない感じで、 本来ならもっと感動的であるはずの物語が多少凡庸になって しまっている。実際、マイリーにはもっと演技を要求しても 良かったとも思えた。 でもまあその辺がアイドル映画の限界と言うところではあり そうで、ファンはこれで充分に満足してくれるのだろう。そ れにマイリーは主題歌を2曲も歌っているのだから、これで 満足してもらわなければ困ると言うところだ。 なお脚本は原作者のスパークスと、彼に本作とは別のアイデ アを送って気に入られたというジェフ・ヴァン・ウィ。本作 には原作者の要請で参加し、彼のアイデアによる作品の映画 化もすでに進められているそうだ。 共演は、父親役に2004年11月紹介『ふたりにクギづけ』など のグレッグ・キニア、弟役に2005年9月紹介『理想の恋人. com』に出演のボビー・コールマン、恋人役に『ノウイン グ』などのリアム・ヘムズワース。この中ではコールマンの 演技が良かった。また、母親役でジョン・トラヴォルタ夫人 のケリー・プレストンが出演している。 スパークス原作の映画化は日本で公開されたものは大体観て いるが、どの作品も物語的にはあまり画期的というものでは なく、有り勝ちなお話を上手く纏めているという感が強い。 本作もそれに違わない作品で、出演者のファンにはお勧めと いう感じのところだ。
『ゾンビランド』“Zombieland” 2001年の『モンスターズ・インク』の脚本にも関っていたと いうレット・リーズと、テレビ出身のポール・ウェルニック という2人の構成作家が執筆した脚本から、MTVやCM、 短編映画などを手掛けてきたルーベン・フライシャーが監督 したゾンビ・コメディ。 その作品に、2006年9月紹介『イカとクジラ』などのジェシ ー・アイゼンバーグ、2009年11月紹介『2012』にも出て いたウッディ・ハレルソン、2009年“Ghost of Girlfriends Past”などのエマ・ストーン、2006年『リトル・ミス・サン シャイン』でオスカー候補のアビゲイル・ブレスリン。 さらに新作“The Rum Diary”でジョニー・デップの相手役 を務めるアンバー・ハード、『ゴーストバスターズ』のビル ・マーレイなど錚々たる顔ぶれが集まっている。その他にも クレジットの出ない著名な出演者が多数いるようだ。 お話は、ゾンビが蔓延して普通の人間がほとんどいなくなっ た世界が背景。主人公はそんな世界を自ら考案した32のルー ルに従って生き延びてきた。そのルールとは、�.哨鵐咾鮨� り切るための有酸素運動、��二度撃ちして止めを刺せ、��ト イレに用心、�ぅ掘璽肇戰襯箸涼緲僉�等々。 そして彼はテキサス州ガーランドからオハイオ州コロムバス にある両親の家を目指していた。そこが無事かどうかも判ら ないまま… やがてフリーウェイを徒歩で移動していた彼は、大袈裟なバ ンパーの付いた車を運転するマッチョな男と遭遇する。その 男はゾンビを容赦なく次々に打ち倒しながら、ある目的のた めに行動していた。 その後、ショッピングセンターで物資の調達をしていた2人 は、倉庫に隠れ住んでいたが妹がゾンビ病に感染したという 姉妹と出会い…。パシフィックランド(遊園地)ならぬゾン ビランドでの攻防戦など、見事な物語が展開される。 監督は、今まであまりゾンビには興味が無かったそうで、今 回はオファーを受けてから研究をしたそうだ。そのゾンビの 設定は、ロメロ版よりは機敏そうだが走れば振り切れる程度 の走力で、止めを刺すのは頭を撃ち抜くこと。 つまり概ねロメロのゾンビを踏襲している感じで、これがや はりゾンビとして適切な設定なのだろう。そして本作では、 このゾンビの設定を尊重しながら見事にユーモラスな物語を 展開している。 その辺がゾンビファンとしては実に納得できるもので、僕は 観ていて嬉しくて仕方なかった。前回書いたようにロメロ版 のゾンビは次の予定が無いが、本作はすでに続編の計画も発 表されているようで、これは期待できそうだ。 * * 製作ニュースは、前回の心配が払拭されたこの情報から。 前回の記事で“Bond 23”の無期延期に関連して心配した “The Hobbit”の製作だが、こちらは2012年12月の公開とい う新情報が報告された。 この情報は、“The Hobbit”の全米配給を手掛けるワーナ ーとの間で多くのコラボ作品を発表しているIMAX社が、今後 の計画として2013年までの2年半の間に20本のワーナー作品 をIMAX及びIMAX-3Dで公開すると発表、その中に2012年12月 “The Hobbit”を公開するとあったものだ。 因に発表されたラインナップでは、まず今年の9月24日に アニメーションの“Legends of the Guardian: The Owls of Ga'Hoole”、続く11月19日“Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 1”、2011年7月15日に“同 Part 2”、また 11月18日にアニメーション“Happy Feet 2”、そして2012年 12月に“The Hobbit”となっている。 さらにその他の15本には、“Gravity”“Dark Shadows” “Fury Road”“Batman 3”と“Superman”が含まれるとの ことだ。もっともこの中には、現在製作はあやふやなものも 含まれており、全部が2013年までに公開できるかどうか疑問 のものもあるが、取り敢えず上記の“The Hobbit”までは、 公開時期も含めた発表になっていて、それなりの目処がある ということだろう。特に“The Hobbit”は、後半の作品とは 別に名指しで発表されており、その期待度の高さも表わされ ているようだ。 撮影が何時になるかもまだ正式発表の無い“The Hobbit” だが、一応は2012年12月の公開ということで期待を持ちたい ものだ。 * * お次はビッグ・プロジェクト始動の情報で、スティーヴン ・キング原作のファンタシー・シリーズ“The Dark Tower” を、『ダ・ヴィンチ・コード』などのロン・ハワード監督で 映画化する計画が報告された。 原作の執筆は1970年代から進められていたとも言われて、 1982年に第1巻を刊行、その後の2004年までに7冊が発表さ れたキングの集大成とも呼ばれるこの作品の映画化に関して は、一時期は1999年『グリーン・マイル』などを手掛けたフ ランク・ダラボンが希望して、キングが許可したとの情報が 流れたこともあり、2007年『ミスト』に続けて映画化の期待 が高まったこともあったようだ。 さらに昨年には、『スター・トレック』のJ・J・エイブ ラムスがテレビシリーズ“Lost”の後に映像化するとの情報 も流され、テレビ化か映画化かは不明だったが、これも期待 されていた。しかしそのどちらもが実現には至らなかったも のだ。なおエイブラムスに関しては昨年末に正式に断念が報 告された。 西部劇を思わせる荒野を舞台に、最後のガンスリンガーと 呼ばれる主人公と、いろいろな時代のニューヨークに暮らし ていた仲間たちが、魔法の扉を通じて集められ、並行世界を 束ねる力の源であるダークタワーを捜し、それを守るための 探究の旅を繰り広げる…というお話は、言うまでもなく『指 輪物語』から発想されたものだが、さらに本作では物語の中 にキング本人も登場して、それまでのキングの著作も束ねる 作品となっているようだ。 そして物語の中では、初めは冷酷だった主人公が徐々に人 間性を取り戻して行く姿や、その他の登場人物たちの葛藤も 見事に描き込まれているとのことで、その評価は2005年度の 英国幻想文学大賞を受賞するなどのものとされている。 その作品の映画化に今回は、ハワードと製作者ブライアン ・グレーザーが主宰するイマジン・エンターテインメント、 キングと脚本家のアキヴァ・ゴールズマンが主宰のウィード ・ロードの両製作プロダクションが共同で挑戦し、ハワード の監督作品として進められるとのことだ。因に、イマジンは ユニヴァーサル、ウィードはワーナーに本拠地を置いている そうで、完成品の配給はそのどちらかということになる。 また脚本はゴールズマンが担当すると思われるが、報道で は全7冊を3部作にして映画化するとの情報もあるようで、 その脚色には最大限の注意が必要になりそうだ。 なお、この原作は7冊で完結とされていたものだが、昨年 の報道ではキング自身が8冊目を執筆中と発言したとの情報 もあり、ファンタシー・ワールドでの冒険はまだ終っていな いようだ。
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