| 2010年02月28日(日) |
幸福の黄色い…、グリーン・ゾーン、誘拐ラプソディー、スナイパー、川の底からこんにちは、てぃだかんかん、ねこタクシー、処刑人�� |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『幸福の黄色いハンカチ:デジタルリマスター』 『イエロー・ハンカチーフ』“The Yellow Handkerchief” 33年前の1977年10月に公開され、その翌年に行われた第1回 日本アカデミー賞で主要部門を独占した作品が、ハリウッド でリメイクされて凱旋公開。同時にオリジナルも最新のディ ジタル技術でリマスターされて再公開が行われる。 ピート・ハミルの原作は、ヴィエトナム戦争時代に帰還兵を 待つ妻たちに取材した物語だったそうだが、33年前の映画化 では刑期を終えて出所したばかり男が主人公になっている。 その男には刑に服する前に妻がいたが… 一方、ちょっと世間を拗ねている男と訳ありらしい女の2人 の若者が偶然出会い、男の車で旅を開始する。その旅に出所 したばかりの中年の男が加わって、中年の男が昔暮らした町 に向かうことになる。 その旅の道すがらで3人の過去が徐々に語られて行く。 この中年男を、この作品で主演賞を受賞した高倉健が演じ、 若者の男に映画初出演の武田鉄矢、女に桃井かおりが扮して それぞれ助演賞を受賞している。他に倍賞千恵子、渥美清ら が出演。またちょい役でたこ八郎らの姿も観られた。 物語はロードムーヴィの形を取り、北海道各地の名勝が登場 する他、そこに挿入される回想シーンでは北海道の四季も描 かれている。それはじっくりと描かれた作品であり、また今 に観ると夕張の炭住など、歴史が描かれた作品でもある。 そしてリマスターでは、画面の傷などの修復や退色した色彩 の補正・調整なども行われて、往年のフィルムの鮮やかさが 戻っている。また、音声もモノラル音源のまま再調整が行わ れているそうだ。 という作品が、2008年にハリウッドでリメイクされた。 こちらは、1985年の『蜘蛛女のキス』で英米のアカデミー賞 を始めカンヌ映画祭の主演賞も受賞したウィリアム・ハート が主演。相手役には2008年2月紹介した『美しすぎる母』の エディ・レッドメイン、『ザスーラ』や『トワイライト』で 人気沸騰のクリスティン・スチュワート。さらにマリア・ベ ロらが共演している。 物語は、日本映画とほとんど同じで正にリメイクといった感 じもの。上映時間が多少短い分エピソードが短縮されたり省 かれてはいるが、主人公がビールを飲むシーンから警察での やりとりまで、2作を続けて観ていると可笑しくなるほど同 じだった。 特に違いと言えば、桃井かおりがゲスト出演しているシーン と、写真に絡めたシーンぐらいかな。また妻の過去の経緯が オリジナルより明確に描かれていたようだ。これはオリジナ ルを観たときにもそんなニュアンスかなとも思っていたもの だが…
『グリーン・ゾーン』“Green Zone” 『ボーン・アルティメイタム』などのポール・グリーングラ ス監督、マット・デイモン主演のコンビで、湾岸戦争直後の イラク・バグダッドを舞台に、開戦の理由とされた大量破壊 兵器の行方を追う兵士たちの姿を描いた物語。 現在の認識では、イラクにおける毒ガス兵器など大量破壊兵 器の存在は全く虚偽の情報であり、戦争の大義も実は存在し ていなかったことになるものだが、アメリカ軍のバグダッド 進攻直後には、何時その兵器が発見されるのか世界中が固唾 を呑んでいたものだ。 しかし結局それらの兵器は存在せず、誰かが嘘を吐いてブッ シュに大量破壊兵器の存在を信じ込ませ、戦争に駆り立てた という筋書きが間違いないようだ。それなら一体誰がその嘘 を吐いたのか、この映画はそれに1つの回答を与えてくれる ものとなっている。 バグダッドに派遣された主人公の任務は、大量破壊兵器の発 見と処理。しかし、軍情報部から提示された兵器の保管場所 は何処に行っても空振りばかり。そこで意見を上申する主人 公だったが、回答はいつも「情報は精査されている。黙って 従え」の一点張り。 そんな状況が続く中、主人公は情報に従っての出動中に、近 くでアラブ人の有力者たちが集まっているとの情報を受け、 急遽独断でその場所を捜索する。そして手配中の元将軍の人 相を確認するが、間一髪逃げられてしまう。 しかも、さらに捜査を続けようとした主人公の前に軍情報部 の兵士が現れ、主人公たちが確保した関係者を連れ去ってし まう。しかしその行動に疑問を感じた主人公は、重要証拠の 手帳を隠し、独自の捜索を進めようとするが… これにウォール・ストリート・ジャーナルやCIAなど実在 のマスコミや政府機関の人物も絡まって、正に世界の闇とも 言えるイラク戦争の裏側が明らかにされて行く。 原作は、ワシントン・ポスト紙の記者ラジブ・チャンヂラセ カランが執筆。その原作から、1997年『L.A.コンフィデン シャル』でオスカー受賞のブライアン・ヘルゲランドが脚色 している。 現実に嘘を吐いたのは、CIAの可能性が一番高そうだが、 この作品ではさらにそこにも疑問を投げかけ、より奥の深い 国際政治の闇が描かれる。それが真実か否かは、現状では全 く判断のしようもないが、それはフィクションとも言い切れ ない微妙なものだ。
『誘拐ラプソディー』 金なし、家なし、仕事なしで人生に絶望した男が、最後の賭 けで見ず知らずの子供を誘拐するが、その子供はヤクザ組長 の一人息子だった…という萩原裕原作の映画化。 主人公は、長年務めていた工務店をちょっとしたいさかいで 飛び出し、その車で丘の上にやってくる。そこで自殺でもし ようと思い立つが失敗。全てに絶望したところで1人の男の 子に出会い、その男の子は丘から観える大きな邸宅を自分の 家と指さす。 その状況に、以前入った刑務所で誘拐の極意を学んでいた主 人公は、自分と全く繋がりの無い金持ちの子供を誘拐するの が成功の秘訣という教えを思い出し、咄嗟に誘拐を始めてし まうのだが… その誘拐した子供はヤクザ組長の一人息子で、警察と関わり たくないヤクザは密かに組員を使って捜索を開始する。それ は当然かなり手荒なものになって行くが、それが警察の目も 引くことになって、徐々に真相が明らかにされて行く。 一方、主人公と子供の間には、徐々に信頼関係も生まれてく る。そんな物語が、携帯電話の発信地表示など最新の技術も 背景に展開されて行く。因に映画の製作には、NTTDoCoMoが 参加しているものだ。 この主人公を、『特命係長 只野仁』などの高橋克典、誘拐 される子供を『非婚同盟』などの林遼威、その父親を哀川翔 が演じ、他にYOU、菅田俊、榊英雄、木下ほうか、笹野高 史、ベンガル、角替和枝、船越英一郎、美保純、山本浩司、 寺島進、品川徹らが脇を固めている。 出演もしている監督の榊英雄は、前作2008年9月紹介『ぼく のおばあちゃん』は多少トリッキーな作品だったが、今回は ストレート。でもちょっと普通でないシチュエーションをそ れなりにあり得そうに纏めている。 誘拐ものは過去にもいろいろあるし、基本的に卑劣な犯罪だ から犯人の描き方などにも気を使う必要があるが、本作の場 合は、結末も含めて適切な感じのものだ。途中のおや?とい う感じの展開も、納まるように納まるし、日本映画の脚色と しては良い方だろう。 因に脚本は、2006年12月紹介『素敵な夜、ボクにください』 などの黒沢久子が担当していた。
『スナイパー』“神槍手” プライベート写真の流出がスキャンダルとなり、香港芸能界 からの引退を表明した俳優エディソン・チャンによる香港映 画で最後の出演となった作品。台湾からリッチー・レン、本 土からはホアン・シャオミンを招いて壮絶なガンアクション が展開される。 最初の登場でチャンが演じているのは警官。手配された不審 車の捜索中にとある家に赴いた彼は、ギャングと狙撃隊の銃 撃戦に巻き込まれる。そしてギャングとの対峙で射撃の腕を 見せた彼は、レン扮する狙撃隊の隊長に見込まれ入隊が許可 される。 入隊後も射撃では抜群の能力を示す彼だったが、歴代の射撃 の名手たちの名前の中に、今は隊員でない男の名前を見つけ る。その男は唯一人、隊長にもできない500m先の標的を撃ち 抜く狙撃手だったというのだが、ある事件での出動中に誤っ て人質を射殺し、過失致死の罪で4年の刑に服していた。 ところがホアン扮するその男が出所し、その日から狙撃隊の 周囲で異様な襲撃事件が頻発し始める。それは出所した男か らの狙撃隊への挑戦状だった。そして男は、人質事件の犯人 とも共謀して狙撃隊を襲い続ける。 極めて困難な状況から立て籠り犯などを狙撃する。そんな狙 撃手たちの息詰まるような狙撃の模様や壮絶な銃撃戦など、 ガンアクションの好きな人には本当に堪能できる作品と言え そうだ。実際、知人のマニアの人の評価は極めて高いものだ った。 ただまあ、そういうシーンが壮絶である分、人間ドラマの方 は多少弱い感じもして、特にホアンが扮する犯人側の心理描 写は、いろいろ凝っている分だけかえって底が浅い感じもし てしまう。でもまあ、本作の場合は人間ドラマは添え物だか ら、これはこれで納得はできるものではありそうだ。 製作・監督・ストーリーは、2004年7月紹介『ティラミス』 などのダンテ・ラム。ファンタシーも上手い監督で、本作で はレンとホアンの役柄に関る女性の話がそれぞれ興味深く描 かれていたが…チャンのそれが欠落しているのは、スキャン ダルのせいではないよね。 因にチャンは、本作の前に『ダーク・ナイト』に出演、本作 の後はアメリカで新作も撮影完了しているようだ。
『川の底からこんにちは』 第19回PFFスカラシップにより製作された作品。同スカラ シップの作品では2008年3月に『パーク・アンド・ラブホテ ル』という作品を紹介している。 監督の石井裕也は1983年の生まれ、PFFアワード2007に出 品した『剥き出しにっぽん』という作品でグランプリを受賞 し、そのまま香港アジアフィルムアワードの第1回新人監督 賞も受賞しているそうだ。 物語の主人公は上京して5年目のOL。そして5年目の今、 5つ目の会社に勤め、5人目の彼氏で勤務先の上司でもある バツ1&子連れの男と共に、仕事も恋愛も「妥協」の2文字 を胸に悶々とした日常で暮らしている。 そんなある日、彼女の許に故郷の町でシジミの加工業を営ん でいた父親が倒れたのと報が届く。しかし彼女は、家を出た ときの経緯から故郷へは戻れないと主張。ところが、同居人 は何故か会社も辞めて帰郷を勝手に決めてしまう。 こうして、恋人とその子供も連れて故郷に戻ってきた主人公 だったが、そこには彼女が家を出たときの因縁が籠もってい た。しかも父親が営んでいた加工会社は、営業実績が上がら ず、従業員の志気も最悪で、2カ月先の資金繰りも目途が立 たない状態。 そんな中で、取り敢えず会社に出てきた主人公だったが…。 何事にもダメダメな主人公、それは現代の日本を象徴してい るようでもある。しかしそんな中からも雄々しく立ち上がろ う。そんな現代日本へのエールとも言える物語が始まる。 主演は満島ひかり。2008年11月紹介『プライド』以降、昨年 は一気にブレイクした感じの女優だが、本作の前半で演じら れる全てに妥協した挙げ句に無表情になってしまった主人公 には、以前「ウルトラマン」でアンドロイドを演じていた頃 が髣髴とされた。 共演は、2006年12月紹介『天国は待ってくれる』などの遠藤 雅と、ドラマ『風林火山』などに出演の子役の相原綺羅。他 にドラマ『時効警察』などの岩松了、1999年の映画『ワンダ フルライフ』などの志賀廣太郎。 この手の若い監督に有り勝ちな青臭さもあまり感じられず、 意外にすっきりとした後味の良い作品だった。
『てぃだかんかん』 2005年、養殖珊瑚では世界初となる産卵に成功した沖縄の自 然保護活動家・金城浩二氏の姿を描いた作品。 子供の頃から海が好きで、他のことは全て中途半端だった男 が、故郷の沖縄で海をテーマにした飲食店を開いて成功。し かし観光客を引率してのダイビング中に、死滅して白化した テーブル珊瑚を目撃したことから、飲食店を人手に渡して独 学で珊瑚の養殖と移植を開始する。 だがその行動は、その海で漁をする漁民や海岸の開発を進め ようとする行政や業者の反発に遭う。それでも彼は、上等の 海を取り戻したいという一念で活動を進めて行くが…。そこ にはいろいろな人々の思惑が関って、思いも掛けない展開と なって行く。 出演は、主人公の金城氏に岡村隆史が扮し、その妻役に松雪 泰子、母親役に原田美枝子。他にテレビドラマ『動物のお医 者さん』など吉沢悠、『KILL BILL』などに出演の國村隼ら が共演。また渡部篤郎、長澤まさみらが特別出演や友情出演 をしている。 監督は、2004年7月紹介『お父さんのバックドロップ』など の李闘士男。以前の作品紹介の時は多少苦言を述べたが、基 本的には好きな作風の監督と言えそうだ。今回も主人公たち を観る目が優しくて気に入ってしまった。 岡村は、テレビのレギュラーを務めながらの撮影だったとの ことで、スケジュールの調整や沖縄の方言にはかなり苦労し たようだが、元々の本人にも心酔していたようで、見事に填 り込んだ演技をしている。その岡村を囲む、松雪、原田らの サポートも見事だ。 それにしても、金城氏本人は「周りの人を傷つけないで」と 言っている割りには、主人公を批判する学者や行政の描き方 はかなり強烈で、映画を観る前には岡村主演の気楽な作品か と思っていたが、予想以上に厳しいシーンに思わず居住まい を正してしまった。 恐らく現実はもっと厳しかったのであろうし、そんな逆風に もめげずに偉業を達成した金城氏の活動に改めて感動してし まったところだ。それにしても、この人たちは今どんな気持 ちでいるのだろうか、映画が名誉毀損にならないか少し心配 にもなった。 珊瑚の産卵シーンは初年度からこんなに大量だったのか、そ の辺はちょっと疑問にも感じたが、幻想的なそのシーンは演 出上の嘘として容認したいところだ。
『ねこタクシー』 2007年4月『テレビばかり見ていると馬鹿になる』や、昨年 5月には『幼獣マメシバ』を紹介した亀井亨監督の新作。 2006年『イヌゴエ』『イヌゴエ幸せの肉球』、2008年『ネコ ナデ』、2009年『マメシバ』と来て、2010年5本目となるイ ヌネコシリーズだが、亀井監督自身は前作と『ネコナデ』の テレビ版も手掛けているようだ。 何しろ小動物の可愛さが前面にあってそこから始まる物語。 小動物の愛くるしい姿さえ写していれば良いと思われる作品 だが、亀井監督の前作と本作ではちょっと社会性のあるテー マも含まれて、作品に深みが付いてきている感じもする。 という本作の主人公は、前職をトラブルで退職し、タクシー 運転手になってから5年目という男。しかし小心者で人付き 合いが上手くなく、営業成績もなかなか上がらない。 そんな男がある日のこと、公園での休憩中に御大層な首輪を 付けた野良猫と出会い。その猫をこっそり助手席に乗せて営 業を開始すると…。猫を呼び水に乗客との会話も弾んで、営 業成績も上がり始める。 ところが、小動物を営業の手段とすることには動物愛護の面 (衛生面ではない)から問題があると指摘され、さらに運転 手本人の小動物の扱いに関する資格や、会社としての営業許 可も必要だと教えられる。こうして主人公の努力は水泡に帰 すかと思われるが… この主人公にカンニング竹山が扮し、その妻役の鶴田真由、 ちょっと反抗期気味の娘役の山下リオ、同僚運転手役の芦名 星、甲本雅裕、猫婆役の室井滋、行政官役の内藤剛志、さら に高橋長英、根岸季衣、それに主題歌も歌っている水木一郎 らが絡んで物語が展開されて行く。 2008年『ネコナデ』のときは、製作の意図は理解したが、社 会通念上で了解できない物語の展開にサイトでの紹介を取り 止めた記憶がある。 本作はその延長上にある作品となるが、本作では許認可の法 律上の問題や、さらに実施した場合の弊害など、いろいろな 面がかなり丁寧に説明され、実現する場合の問題点が相当に 突っ込んで描かれていた。その意味で本作は納得でき、満足 もできた。 その一方で、エピソード的に描かれる盲導犬の話など、本作 の成立の過程では描けない部分にも目配りがされており、そ の点でも感心させられた作品だった。 『イヌゴエ』から、映画版はずっと見続けてきたシリーズだ が、いよいよ成熟期に入ってきた感じかな。ここからの次の ステップが楽しみになってきた。
『処刑人�供戞�The Boondock Saints II: All Saints Day” 1999年に製作されたものの当時の社会的な状況などからアメ リカでは拡大公開が見合わされ、日本では2000年開催の東京 ファンタスティック映画祭に招待された後、2001年に一般公 開されたという作品から、実に10年ぶりに製作された続編。 しかも前作で主演したショーン・パトリック・フラナリー、 ノーマン・リーダスを始め、ビリー・コノリー、ボブ・マー レイ、ブライアン・マホニー、デイヴィッド・フェリーらの 脇役からゲスト出演のウィレム・デフォーまで、ほぼ全員が 揃って再登場している。 物語は、前作で神の啓示を受け、警察の力が及ばないボスト ンの暗黒街の顔役たち22人を粛正した兄弟が、再び戦場に戻 ってくるというもの。その切っ掛けは、ボストンの教会で兄 弟を真似た手口の殺人が発生したことによるが、その事件の 首謀者は… そして10年ぶりの兄弟の帰還を巡って、警察とFBI、さら にボストンの暗黒街の顔役たちが動き出す。一方、前作で兄 弟の協力者となった連中は… 作品の間隔が10年も空くと、その間を繋ぐ仕掛けがいろいろ 必要になるが、その点ではそれなりに納得の行く展開にはな っていた。特に主人公たちの事前の暮らしぶりが、ニヤリと いう感じにもなっているものだ。 ただまあこの手のお話では、そこから後が前作と同じような 展開にしか行けない訳で、そこはいろいろ目先を変える工夫 はしているが…。まあファンにはこれで満足はしてもらえる かな?という感じのところだろう。 前記以外の出演者では、2008年に『ランボー/最後の戦場』 『ソウ5』『パニッシャー:ウォーゾーン』と出演したジュ リー・ベンツと、2005年『カポーティ』で殺人犯を演じたク リフトン・コリンズJr.が新登場。他に、1985年『セント・ エルモス・ファイアー』などのジャド・ネルスン、またピー ター・フォンダも登場する。 脚本監督は前作も手掛けたトロイ・ダフィー。前作から10年 ぶりの第2作となるが、実はその間の5年間は、前作の配給 権やその他の権利を巡っての裁判をしていたそうで、それら が決着しての復帰となったようだ。 監督の仕事ぶりなどにブランクは感じさせなかったが、その 間にはPVの演出なども手掛けていたようで、これから先が 注目されそうだ。
| 2010年02月21日(日) |
獄に咲く花、RAILWAYS、ローラーガールズD、ドン・ジョヴァンニ、ウルフマン、クロッシング、ニンジャアサシン、Gフォース(追記) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『獄に咲く花』 現在放送中のNHK大河ドラマにも登場した吉田松陰。その 松陰(通称:虎次郎)の黒船への密航失敗後の生涯を描いた 作品。 安政元年(1854年)。松陰は密航を企てた罪で長州藩・野山 獄に幽閉される。そこでは外部との出入りは禁止だが、各独 房の扉に鍵はなく、囚人たちは自由に交流が可能だった。し かし松陰が投獄されたときの獄舎内は荒んでいたという。 その野山獄には1人の女囚がいた。その名は高須久。彼女は 部落民を家に招き入れた罪で投獄されたとあるが、その際に は「私は平人同様に扱っただけである。これが悪ければ仕方 がない」と語ったという。 そんな松陰と久との交流を軸に、野山獄に収監された人々に 希望をもたらした松陰の影響力、そして開国前夜の日本の姿 が描かれる。 映画の製作はグローカル・ピクチャーズ。この会社は2006年 12月に紹介した映画『長州ファイブ』も手掛けており、本作 はその第2弾となるものだが、いずれも幕末期の長州藩の偉 人たちを描いている。 また本作の物語は、古川薫の直木賞候補作「野山獄相聞抄− 吉田松陰の恋」を基にしているが、中で交わされる和歌など は実際に松陰と久が交わしていたものだそうで、そこから推 察するに2人の恋心は史実に基づいているのだそうだ。 ただし、そういう物語なので松陰自身の歴史的な背景などは 多少割愛されていて、特に老中暗殺計画の下りなどは、長州 の人にはこれでも良いのかも知れないが、僕のような外部の 人間には、何故突然そうなったのかなど映画だけでは分り難 くい部分もあった。 でもまあその辺をネットで調べていて、特に高須久という女 性にはかなり興味を持った。実は上記の投獄の際の台詞もネ ットで見つけたものだが、その他にも長州にはいろいろな女 傑がいたようで、グローカル・ピクチャーズの次回作には、 ぜひとも彼女達のことも描いて欲しいと思ったものだ。 出演は、久役に目黒祐樹の娘の近衛はな、松陰役は『長州フ ァイブ』にも出ていた山口出身の前田倫良。他に目黒祐樹、 赤座美代子、池内万作、勝村政信、仁科貴、本田博太郎、神 山繁らが共演している。
『RAILWAYS』 49歳でエリートサラリーマンの道を捨て、故郷で地方鉄道の 運転士になるという男の夢?を描いた作品。 主人公は、東京の企業で次期取締役の席も用意されている企 画室長という肩書のサラリーマン。しかし、その席に着くた めには同期の親友が長を務める工場の閉鎖とリストラを推進 する立場となる。 そんな主人公に故郷で一人暮しをしていた母親が倒れたとの 報が届き、仕事を中断してその病室に向かうが、さらにいろ いろな想いが彼の心を苛んで行く。そして彼は、エリートサ ラリーマンの道を捨て子供の頃からの夢だった電車の運転士 になることを志す。 出演は、中井貴一、本仮屋ユイカ、高島礼子、奈良岡朋子、 三浦貴大。三浦は友和・百恵夫妻の次男で本作が俳優デビュ ーだそうだが、かなりしっかりとした演技をしている感じが した。 他に、橋爪功、佐野史郎、宮崎良子、遠藤憲一、中本賢、甲 本雅裕、渡辺哲、緒形幹太、石井正則、笑福亭松之助らが脇 を固めている。 脚本監督は、2006年7月紹介『ミラクルバナナ』などの錦織 良成。脚本には、『L change the World』などの小林弘利と テレビシリーズ『相棒』などを手掛けるブラジリィー・アン ・山田が参加。 製作総指揮は、『ALWAYS三丁目の夕日』などの阿部秀司。い つもはVFX満載の作品が多い製作者だが、今回は島根県に 実在する一畑電車(畑電)を舞台に、昭和初期から現役80年の 「デハニ50形」電車の走行風景も登場する実写の作品となっ ているものだ。 しかも阿倍プロデューサー本人が相当の鉄道マニアらしく、 本作では車体の構造からブレーキ音にまで拘わった撮影との こと。他にも京王線を引退した2100系、5000系、南海高山線 を引退した3000系など、各地の鉄道を引退して畑電で余生を 送る電車たちが登場する。 物語自体は、実話に基づくと言ったようなものではなさそう だが、実際に東京の京王電鉄で行われる研修の模様や、運転 中にいかにもありそうなエピソードで綴られ、全体が心暖ま る作品に仕上がっていた。
『ローラーガールズ・ダイアリー』“Whip It” 女優ドリュー・バリモアによる初監督作品で、『JUNO』 のエレン・ペイジ主演によるローラーゲームにかける少女を 描いた青春ドラマ。 ローラーゲーム(Roller Derby)というと、日本でも1970年 前後にはテレビ中継やハワイに東京ボンバースなる日系人の チームが結成されるなどブームとなり、『カンサスシティの 爆弾娘』というラクウェル・ウェルチ主演の映画も公開され たものだ。 というローラーゲームのブームが、最近テキサスで再燃して いるとのことで、そんな状況を踏まえての本作では、2007年 に“Taking 5”という作品のあるショーナ・クロスという脚 本家が原作小説“Derby Girl”と脚本も手掛けている。 物語は、テキサスの田舎町に住む女子高生が主人公。彼女の 母親は美人コンテストこそが女性が幸せをつかむチャンスと 信じており、自らは郵便配達をしながら、主人公とその妹を コンテストに出し続けている。しかし主人公はそんな生活に 疑問を感じていた。 そんなある日、自分の失敗からコンテストに落選した主人公 は、落ち込む中でローラーゲームのチラシを目にする。そし てバイト仲間の女性と観戦に行った彼女は、そこで選手募集 のチラシを受け取り、両親には内緒にまま年齢を偽って応募 してみると… 小柄だがスピードのあるスケーティングのできる彼女は見事 合格。さらに試合にも出て得点を挙げ、弱小チームを勝利に 導いて…というもの。後は、親友との確執や試合上でのライ ヴァル、両親の問題、恋人の出現などなど、大体予想通りの お話が進んで行く。 内容的には、挫折あり、幸運ありの正に青春ドラマで、それ がいつも前向きなペイジの演技スタイルにもマッチしている という感じの作品だ。それ以上は可もなし不可もなしという 感じだが、ローラーゲームを楽しんだ世代には懐かしさもあ って心地良かった。 共演は、母親役にマーシャ・ゲイ・ハーディン。チームメイ ト役にはSNL出身のクリスティン・ウィグを始め、スタン トパースンのゾーイ・ベル、歌手のイヴ、バリモア監督、ラ イヴァル役にジュリエット・ルイスなど正に女性だらけの作 品になっている。 ただローラーゲームの試合の模様では、最近のゲームにはイ ンラインも使われているという話だが、映画に登場するのは 4つ輪の靴で、作戦もWレッグウィップなど40年前に観てい た頃から進歩もなく。これではなかなかブームも長続きしそ うもないと感じた。 でもまあそれが懐かしくもあって、映画ではそれで良い感じ ではあったものだ。
『ドン・ジョヴァンニ』“Io,Don Giovanni” 35歳で永眠したヴォルフガング・アマデウス・モーツアルト が31歳の時に発表した歌劇の成立までを、その台本を執筆し た劇作家のロレンツォ・ダ・ポンテを中心に描いた作品。 ユダヤ人で頭の良いダ・ポンテ(幼名エマヌエーレ・コネリ ャーノ)は、少年期にキリスト教への改宗を迫られ一度は拒 否する。しかし教会に所蔵された書籍に魅せられて改宗。や がて聖職者となるが、自由と芸術を愛し放蕩の末にヴェネチ アから追放される。 その時、旧知のジャコモ・カサノヴァの勧めもあってウィー ンに赴いたダ・ポンテは、紹介状を持って作曲家アントニオ ・サリエリ訪ねるが、その途上でモーツアルトと出会い、イ タリア語のオペラを構想していたモーツアルトと「フィガロ の結婚」を完成させる。 そして大成功を納めたダ・ポンテとモーツアルトは、次の作 品として、舞台劇としては知られていた「ドン・ジョヴァン ニ」のオペラ化に着手するが…。その頃からモーツアルトは 体調を崩し始め、一方、ダ・ポンテはその作品に自らの人生 を重ね合わせようとして行く。 映画の物語は、これにヴェネチアからウィーンを巡っての放 蕩の中でもダ・ポンテが心から愛し続けた女性アンネッタを 配するなど、虚実を織りまぜて展開されて行く。 監督は、ベルリン映画祭の金熊賞受賞や、1983年の『カルメ ン』ではカンヌ映画祭の芸術貢献賞、アメリカアカデミー賞 外国語映画部門ノミネートなどにも輝くスペインのカルロス ・サウラ。 撮影監督には、1979年『地獄の黙示録』と1981年『レッズ』 でアカデミー賞撮影賞受賞のヴィットリオ・ストラート。深 い陰影の映像や、主人公の2人が制作を続ける部屋からその まま野外の舞台に転換するなどの映像技術を駆使して物語を 描いている。 そしてそこには、モーツアルトの楽曲を始め、ヴェネチアの 大作曲家ヴィヴァルディや、モーツアルトが敬愛し息子とも 友人だったというバッハの楽曲も織り込んで、壮大な音楽劇 が繰り広げられる。 出演は、2007年3月紹介『ストーン・カウンシル』などのロ ッレンツォ・バルドゥッチがダ・ポンテ役、新人のリノ・グ ワンチャーレとエミリア・ヴェルジネッリがモーツアルトと アンネッタ役に扮する他、配役にはオペラ歌手も多数起用さ れて見事な舞台シーンが描かれている。 壮大なオペラが見事な映像演出で再構築された見応えのある 作品だった。
『ウルフマン』“The Wolfman” 1941年に全米公開されたユニヴァーサル・ホラー“The Wolf Man”からのリメイク作品。 1941年作はSF作家でもあるカート・シオドマクが脚本を手 掛けたもので、狼男役にはロン・チャニーJr.が扮して、狼 に変身する定めとなってしまった男が、自らの抑制の利かな い行動に苦悩しながらも、1人の女性との愛を貫こうとする 姿が描かれた。 本作はその作品を、2004年3月紹介『オーシャン・オブ・フ ァイヤー』などの監督だが、元々はILMでVFXのアート ディレクターとして『スター・ウォーズ』や『レイダース失 われた聖櫃』などを手掛けてきたジョー・ジョンストンの監 督でリメイクしたものだ。 因に、オリジナルの映像はすでにパブリック・ドメインにな っており、インターネット上でも観られるものだが、狼男の 変身で手足や顔に獣毛が生えてくるシーンやそれが消滅する シーンはストップモーションで描かれていた。 その作品が今回は最新のVFXで描かれ、そこでは骨格まで 変形して行く変身の様子が見事に表現されていたものだ。実 はオリジナルを観ていると、変身したチャニーJr.が爪先立 ちで歩く姿が多少滑稽だったりもするのだが、本作を観ると その理由が理解できる。 つまり本作では、狼の脚の構造に沿った変身シーンが丁寧に 描かれ、爪先立ちの理由が改めて理解できるのだ。その変身 シーンを含む特殊メイクアップデザインは、1981年『狼男ア メリカン』も手掛けたリック・ベイカーが担当している。 そして今回のリメイクでは、主演にベニチオ・デル・トロ、 その父親役にアンソニー・ホプキンス、さらに昨年10月紹介 『ヴィクトリア女王』のエミリー・ブラント、『LOTR』 のヒューゴ・ウィーヴィングらの共演で,オリジナルを大幅 に拡張した物語が描かれる。 その物語では、オリジナルでは最初に言葉が紹介されるだけ のLycanthropyに関しても、物語の重要なキーワードとして 描かれているし、特にホプキンスが演じる父親の存在が、オ リジナルとは違った意味での重要さを増しているものだ。 その脚本を手掛けたのは、1995年『セブン』などのアンドリ ュー・ケヴィン・ウォーカーと、2000年『13デイズ』など のディヴィッド・セルフ。2人がどういう関係で脚本を執筆 したか経緯は判らないが、オリジナルを深めた見事な人間関 係が描かれていた。
『クロッシング』“크로싱” 脱北者の問題を描いた韓国映画。 主人公は、北朝鮮の炭坑で働く男。元は将軍様から勲章を貰 うほどのサッカー選手だったらしく、鉱夫たちのチームでも 素晴らしいプレーを披露しているが、病弱の妻と1人息子を 抱えての炭住暮らしは周囲の鉱夫たちと同様に困窮を極めて いる。 そんな炭住街でも多少ましな暮らしをしている一家がいて、 その一家は大枚の賄賂を払って中国と往き来し、密輸を行っ ていた。そんな中で主人公の妻の病状が悪化し、主人公は北 朝鮮では手に入らない治療薬をその一家に頼むのだが… ところがその計画が破綻し、監視の目が厳しくなる中、主人 公は自ら中国に渡って金を稼ぎ、治療薬を購入して戻ってく る計画を立てる。そして中国国境の危険な渡河に挑んで行く のだが、それは思わぬ結果を招いてしまう。 前半の北朝鮮での暮らしぶりが、如何にも最近報道されてい る北朝鮮の悲劇風で、かなり偏りがあるようにも観えた。し かし後半に描かれる脱北者の姿には韓国側の対応の酷さも観 えて、何方も過剰さは感じられるものの、ある程度の真実は 描いているようだ。 さらに本作に描かれている脱北者を取り巻く支援体制など、 どのくらいの真実に基づいているのかは判らないが、如何に もありそうな出来事が描かれている。特に宗教との絡みは成 程と思えたものだ。 なおこの作品は、一昨年の東京国際映画祭でも上映されて、 実はその時にも観ているのだが、僕には結末が納得できなか った。そこで今回見直して、納得できないことには変わりは ないが、元々の支援体制の弱さがこの悲劇を生んでいるとい う解釈はできた。 それにしても、こんなお粗末な体制で「支援しています」と 言えた義理でもないと思うのだが。裏にはもっと複雑な事情 があるのだろう。 監督は、2005年2月紹介『オオカミの誘惑』などのキム・テ ギュン。主人公には、韓国ドラマ『星に願いを』などのチャ ・インピョが扮している。撮影は、韓国、中国北部、モンゴ ルのゴビ砂漠など実際の脱北ルートで行われ、撮影スタッフ には複数の脱北者が含まれているそうだ。
『ニンジャ・アサシン』“Ninja Assassin” ウォシャウスキー兄弟監督『スピード・レーサー』でハリウ ッドデビューを果たした韓国R&Bシンガーのピ(レイン) が、再びウォシャウスキー兄弟と組んで作り上げた忍者アク ション作品。しかも製作にはジョール・シルヴァも参加して いる。 シルヴァ+ウォシャウシキーとくれば『マトリックス』とな るが、本作は正にその忍者版とも言えそうだ。もちろん物語 のテーマなどは全く違うものだが、それでも本作を観ている とそこかしこにそのテイストを感じることができた。 物語の舞台は現代のドイツのベルリン。そこに本部を置くユ ーロポール(ヨーロッパ刑事警察機構)の女性捜査官が政治 的な暗殺事件にリンクする巨額の金の動きに着目する。それ は暗殺事件の度に所定の金塊の量に相当する金額が送金され ているものだ。 しかしそんな謎の暗殺組織など存在するはずがないと、最初 は上司にも見向きもされない捜査官だったが、やがて調査を 続ける捜査官の身辺に怪しい動きが生じ始める。そして彼女 が襲われたとき、一つの影が彼女の命を守り通した。 それは役小角の流れを汲む忍者集団。西暦797年に成立した 歴史書「続日本記」にもその名の登場する呪術者が忍者集団 を作り上げ、彼らは究極の暗殺者として各国の執政者と契約 を結び、その政敵の暗殺を行って来たというものだ。 しかし、命令されれば仲間をも殺害する戒律の厳しさに1人 の若者が疑問を持ち、最高の修業を積んだその若者は集団を 離脱。彼らに対抗して行く運命を背負う。そんな若者が女性 捜査官と行動を共にすることになるが… 原案の脚本は、元はアートディーラーというマシュー・サン ド。その原案から2008年12月紹介『チェンジリング』などの J・マイクル・ストラジンスキーが脚本を手掛けている。監 督は『Vフォー・ヴェンデッタ』などのジェイムズ・マクテ ィーグが担当した。 物語は有り勝ちに観えるが、注目すべきはそのアクション。 基本はレイン対忍者集団の闘いとなるが、そのシチュエーシ ョンが奇抜で、今までの忍者アクションとは比べようのない ものになっている。そこに『マトリックス』のテイストも感 じられるものだ。 ただしアクションの映像はかなり強烈で、これを観る観客に は多少の覚悟を決めて貰わなければならない。でも、間違い なく一見の価値はあるものだ。 共演は、『POTC』で女呪術師を演じたナオミ・ハリス。 『マリー・アントワネットの首飾り』などに出演のベン・マ イルズ。『ワイルド・スピード』に出演のリック・ユン。そ してハリウッド映画で忍者と言えばこの人ショー・コスギ。 因に、コスギは役小角を「えんのおづぬ」と名告って日本語 のキャスト表もそうなっているのに対して、レインが劇中で 「おづの」とはっきり発音しているのも面白かった。歴史的 にはどちらの発音も認められてはいるようだが。
『スパイアニマル Gフォース』(追記) 昨年12月に1度紹介している作品だが、3D上映による試写 が行われたので、改めてその報告をしておく。 実はこの作品の3D上映ではちょっと面白い試みがされてい て、2Dと3Dでスクリーンのサイズが異なっているのだ。 ただしワイドサイズの映像は同一で、3Dではその映像がビ スタサイズのスクリーンの中に填め込まれて上映される。 このため3Dでは、スクリーンの上下に黒味の部分が発生す るのだが、一部のシーンではその黒味の部分に映像がはみ出 して上映される場面が登場する。従ってこの黒味付きの上映 は意図的なものだと判るのだが… 因にこの作品では、巻頭の道端の樹木に落雷が生じるブラッ カイマーのロゴの部分で、それを意識した演出があり、それ は2Dでも観られるようになっているが、3Dではその演出 が本編中にも登場するのだ。 だから何だという演出でもないのだが、何とも不思議な感覚 のものになっていた。普通にお金を払って2Dと3Dを比較 して観る人などほとんどいないと思うが、僕はそれができる 立場にいさせて貰えたので、ここに報告して置く。それにし ても不思議な演出だ。 それからこの作品のタイトルだが、映画をオリジナルの音声 で観ると、主人公が「僕らはguinea pigだ」と称していて、 タイトルはそのGから来ているものと思われる。ただし原語 でもちゃんとした説明はなかったようだ。 しかも日本語版ではこれがモルモットと翻訳されてしまうか らさらに判らなくなってしまう物で、一応原語ではそういう 台詞があったことをここに紹介しておくことにする。
| 2010年02月14日(日) |
月と嘘と殺人、飛べペンギン、今このままがいい、オーケストラ、9+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『月と嘘と殺人』 共に『テニスの王子様』出身で、どちらも2007年12月に紹介 した『トリコン!!!』に主演の八神蓮と、『そして春風にさ さやいて』に出演の滝口幸広の主演による作品。この作品に は他に真山明大、森陽太、池田竜治、浜尾京介、佐藤永典、 高橋優太らの若手男優も出演している。 主人公の2人は警察学校の同期生で、その1人は殉職した父 の跡を継ぐため地域課に配属を希望し、いわゆる交番の巡査 になっている。そしてもう1人は同じ署内の銃器薬物対策係 で麻薬捜査の刑事をしているようだ。 そんな巡査の務める交番の担当区域で連続絞殺事件が起き、 その手口は巡査の父親が殺されたときのものと似ているよう に見えた。しかも、父親殺しの犯人と思しきやくざの男は証 拠不十分で不起訴となり、別件の軽罪の刑期を終えて町に舞 い戻っていた。 その一方で、バイクに乗った若者による引っ手操り事件が起 き、その現場も絞殺事件お現場に近かった。こうして起きた 2つの事件が思いも拠らぬ繋がりを見せ、事件の全容が明ら かになって行くが… この手の若手男優が揃った作品をここでも何本か紹介してい るが、今回の試写会は一般入場者も入って若手男優たちの握 手会とトークショウも付くというもの。これに似た試写会も 2008年8月紹介『キズモモ』で経験済みだが、そんな試写会 を久し振りに体験した。 それでまあ、そのような作品だろうと高を括って観に行った のだが…。何というか、内容が意外と重い作品で驚いてしま った。しかも、題名にある通りのシーンが何度か登場する。 R−12という指定も受けていて、ちょっと今までとは違う感 じだった。 確かに、主演の2人は共に1985年生まれとのことで、そろそ ろ『テニ王』でもないのかも知れないが、それにしてもこの 物語が会場を埋めた若い女性たちにどのように写ったか、ち ょっと心配にもなったところだ。そのくらいに重い作品にも 感じられた。 脚本監督は、2002年に鳥羽潤が主演した『RED HARP BLUES』 などの高橋正弥。以前の事件が起きたときに主人公の2人が どういう立場だったのか、その辺の時系列の辻褄がちょっと 合わないようにも感じたが…。これでいいのだろうか。 共演は、2008年12月期のBS-i系テレビシリーズ『東京少女』 に、当時16歳ながら自作脚本で主演したという福永マリカ。 他に、田中要次、でんでん、鳥羽潤、田中隆三らが脇を固め ている。
『飛べ、ペンギン』“날아라 펭귄” 前回も紹介した「真!韓国映画祭2009」で上映される作品の 3本目。 現代韓国の庶民の生活を描いたアンサンブル劇と言えるのか な。どこかの町の市役所の福祉課を課員を中心に繰り広げら れる4つの物語からなる。 その1つ目のは教育熱心な母親ととそれに振り回される息子 と夫の物語。学習塾にお絵描き教室、1学年上の勉強を進め る自宅学習など、休む暇もない息子の姿に父親は…韓国が教 育熱心な国というのは聞いているが、その一端が描かれる。 2つ目は、その母親が勤める福祉課に男女2人の新人が配属 されて、歓迎会や夜の飲み会などが続けられる。しかし、乗 りの良い女子に対して男子の乗りが今一で、1人の先輩が彼 に辛く当るが…日本の職場にもありそうな物語が繰り広げら れる。 3つ目は、課長の一家の物語。教育のために妻と2人の子供 はアメリカに移住。その家族が休みで帰国するが…。映画の 中では、子供の教育を親鳥に準えて、「ペンギンは1年に一 回しか子供に会えない」という台詞があり、題名もそこから 取っているようだ。 4つ目はその課長の両親の話で、老境迎えた夫婦が如何に付 き合うかが描かれる。韓国は今でも男尊女卑の風潮が強いの かな。夫の姿はかなり横暴に見えるが、妻もそれに負けては いない。これも日本でも同じような状況はありそうだ。 出演は、2004年1月紹介『Oasis』でも共演のムン・ソ リとソン・ビョンホが、それぞれ1話目の母親役と3話目の 課長役に扮している。その他、4話目を演じた老夫婦は韓国 テレビ界では大ベテランの人で、2話目の女性新人役は人気 の新進女優だそうだ。 脚本監督のイム・スルレは1996年に監督デビュー、過去には 300万人動員の記録を持っており、今回上映される4作品の 監督の中では一番実績のある人のようだ。そんな手堅さも感 じられた。 物語はそれぞれ独立していてアンサンブル劇というほどには 絡み合っていない。ただ、それぞれの物語の結論は明確には 述べられないが、それなりに丸くは納まっているようで、そ んな感じの心地良い作品だった。
『今、このままがいい』“지금, 이대로가 좋아요” 「真!韓国映画祭2009」で上映される作品の4本目。 2008年10月紹介『最強☆彼女』などのシン・ミナと、同8月 紹介『M』などのコン・ヒョジンの共演で、父親の違う姉妹 が、母親の死を切っ掛けに生き別れとなっている妹の父親を 探す物語。 シンが演じる妹はソウルでビジネスウーマンとして活躍して いるようだ。そんな彼女に故郷の済州島で暮らしていた母親 の死が告げられる。そして島に戻った彼女は、島で暮らすシ ングルマザーの姉と、母親と同居していた叔母と共に葬儀を 済ませる。 しかし、姉の父親の死後に母親と生活していた自分の父親で もある男性の存在が気に掛かる妹は、偶然見つけた母親宛の 手紙を手に父親の行方を探すことを決意し、その旅に父親の 顔を覚えている姉に同行してもらうことにするが… 性格のかなり違う姉妹が、互いに反発したり、和解したりし ながら、行方の判らない父親を探す。ドラマとしてはいろい ろなことが起こりそうな展開だが…。ここに描かれた展開だ けは全く予想もできなかった。しかもそれが見事な結末を作 り出す。これには参った。 脚本と監督は、ホン・サンス監督の『オー・スジョン』や、 イ・ジェヨン監督の『スキャンダル』の現場にも参加したこ とがあるというプ・ジヨン。作品はぴあフィルムフェスティ バルでも上映されたことがあるという女性の短編作家が満を 持して長編デビューを飾っている。 上映時間は90分と短めの作品だが、姉妹の旅に併せて過去の 映像や、叔母の手に託した娘の行動など、いろいろな要素が 手際よくちりばめられ、それらが互いを邪魔することなくそ れぞれの物語を作り上げている。その構成力にも感心させら れた。 なお、主演の2人は韓国では若い女性のファッション・リー ダーとしても認められているとのことで、特にコン・ヒョン ジンが映画の中で披露するカラフルな衣裳は、若い女性の関 心を呼びそうだ。 また、そんな2人が低予算のインディーズ作品で共演したと いうことでも話題になった作品のようだ。でもこの脚本を読 まされたら誰でも出演したくなるだろうな。それくらいに見 事な作品だった。
『オーケストラ!』“Le concert” ソビエト連邦当時に世界的に著名だったボリショイ交響楽団 の本拠地・ボリショイ劇場で清掃員として働く中年の男が、 ふとした偶然からパリのシャトレ劇場に寄せ集めの楽団員を 率いて出演してしまうという人情味溢れる音楽コメディ。 主人公のアンドレイは初老に近い男性、ボリショイ劇場で清 掃員をしているが、実は30年前には天才と呼ばれた交響楽団 のマエストロ(指揮者)だった。そんなアンドレイが1人で 支配人の部屋を掃除中に1通のFAXが届く。それはパリの劇 場からの招請状だった。 そのFAX紙を観たアンドレイの頭にとある発想が閃き、思わ ずFAX紙をポケットに押し込んだアンドレイは、自ら交響楽 団を率いてパリに乗り込むことを決意する。それに協力する のは30年前に共に楽団を追われた不遇な楽団員たち、しかも マネージャーを勤めるのは… 果たしてパリ公演は無事行われるのか。そしてそこにはアン ドレイの特別な思いも隠されていた。 ブレジネフ政権末期のソ連では、ユダヤ人に対する迫害が顕 著化し、ボリショイ交響楽団からも多くのユダヤ人が追われ たらしい。そんな30年前に政府の方針に楯突いたのが当時新 進気鋭の指揮者だったアンドレイ。以来彼とその中間達は不 遇の時を過ごしてきた。 そんな彼らが一念発起のパリ公演を目指す。しかも利用でき るものはとことん利用して。 物語の前半はかなりの無理もあるどたばたコメディだが、後 半になるに随って政治的な背景や、それに翻弄された人々の 苦しみなどが浮き彫りにされてくる。その構成の巧みさに感 動した。 音楽映画で泣かせるのは、映像と音楽の相乗効果もあるから 比較的容易なのかも知れないが、この作品の巧みさにはさら にしてやられた感じがした。本当に上手いと感じさせてくれ る作品だった。 出演は、主演にポーランド出身のアレクセイ・グシュコヴを 配し、相手役には2005年7月紹介『真夜中のピアニスト』に 出演のメラニー・ロラン。『トランスポーター』シリーズの フランソワ・ベルレアン。『恋愛睡眠のすすめ』などのミュ ウ=ミュウ。 さらにロシア人の役には、実際にロシアの俳優たちが配され て見事なアンサンブルが描き出されている。 なお映画の成立では、最初にシノプシスがあり、そのアイデ アから監督でもあるデュ・ミヘイレアニュが自ら脚本を書き 上げたとある。そこでクレジットには、collaboration byと して1987年『ニューヨーク東8番街の奇跡』などのマシュー ・ロビンスの名前があったが、彼が最初のシノプシスを書い たのかな。そんな味わいも感じられた。
『9』“9” 2005年の学生アカデミー賞に応募されて金賞を受賞、そのま まその年のアカデミー賞短編アニメーション部門の候補にも 挙げられたシェーン・アッカー監督による11分の同名作品の 長編版。 その経緯についてはサイトの2005年8月1日付第92回でも紹 介したが、長編化に当ってはティム・バートンが製作者とし て参加し、『コープス・ブライド』などの脚本を手掛けたパ メラ・ペトラーが協力して物語が完成されたとのことだ。 その物語は、未来かパラレルワールドかは不明だが、人類が マシーンとの戦いに破れて絶滅した後の世界が舞台。その廃 虚の中の一室で、背中に「9」と書かれ麻袋を縫い合わせた 様な1体の人形が目を覚ます。 その人形は部屋を出て廃虚の町をさまようが、やがて良く似 た感じの「2」と書かれた別の人形に出会う。しかしその直 後にマシーンビーストに襲われ、「2」の人形は主人公を庇 ってビーストに連れ去られてしまう。 そしてさらに別の人形たちにも出会った主人公は、連れ去ら れた人形を助けようと提案するが、「1」と書かれたリーダ ー格の老人の人形に拒否されてしまう。ところが彼の意見に 賛同する人形も現れ、彼らは仲間の連れ去られた廃虚へと向 かって行くが… こうして人形たちの冒険が繰り広げられるが、それは人類滅 亡の原因と、その滅亡後の世界で人形たちに託された使命を 解き明かす旅にもなって行く。 因に一見すると人形アニメーションのようなこの作品は、実 はCGIで作られているというのが第92回の当時の情報だっ た。それは長編化に当っても変えられていないはずだが、そ のアニメーションが見事な作品だ。 そして長編化に当っては短編では無言だった人形たちに新た に台詞が与えられ、その声優をイライジャ・ウッド、ジェニ ファー・コネリー、ジョン・C・ライリー、マーティン・ラ ンドー、クリストファー・プラマーらが担当している。 物語的には、多少説明不足が否めない部分もあるが、何しろ 世界観と造形の素晴らしさが目を引く作品。若い監督には今 後の作品も期待したいものだ。 * * 今回の製作ニュースは、シリーズの続編の話題が纏まって 届いている。 まずは気になる“Terminator”の権利に関するオークショ ンの続報で、実は前回ライオンズゲイトとソニーの一騎討ち になると紹介した争奪戦に、最終コーナーで新たにパシフィ カーという入札者が登場。先行2社を蹴散らして権利を獲得 するという事態になってしまった。 この新規参入社は2950万ドルの金額を提示して権利を一気 に奪取したというのだが、実はこの会社には倒産したハルシ オン社の前にシリーズの権利を持っていたマリオ・カサール が資金を提供しているとのことで、結局、カサールが3000万 ドルで売った権利を−50万ドルで買い戻したことにもなるよ うだ。 しかしこのパシフィカー社自体には当然のことながら大型 予算の映画製作をした実績はなく、カサールがバックアップ したとしても簡単に映画を作れるものではない。そこで同社 では、さらに次のステップとしてソニーまたはライオンズゲ イト社にその権利を転売する交渉をしていると言うのだが、 その金額は買い戻しの金額より高いのか低いのか、製作すれ ば1億ドル以上の儲けが期待できるシリーズには、いろいろ な思惑が絡んでいるようだ。 * * 後は何せ本数が多いので、一気に箇条書きで紹介してしま おう。現在、世界ではこんな続編が計画されている。 以下はアルファベット順で: “Asterix Chez les Bretons”は、2003年10月紹介『ミッシ ョン・クレオパトラ』などの“Asterix le Gaulois”シリー ズの最新作。1999年に第1作が公開され、2005年6月15日付 第89回で報告した第3作“Asterix aux jeux olympiques” も本国では2008年に公開されている。その第4作となる本作 では、脚本・監督に昨年“Le Petit Nicolas”という作品が 公開されたローラン・ティアールを起用、多少停滞気味の興 行成績に渇を入れたい意向のようだ。主演の2人には2008年 作のコンビが再登場する。 “Black Hole”は、今年はディズニーから1982年作品『トロ ン』の続編“Tron Legacy”が公開されるジョセフ・コジン スキー監督の次回作で、1979年の同名作品(オリジナルは前 にTheが付いていた)のreimaginingが行われるとのことだ。 因にコジンスキー監督は、“Tron Legacy”でも当初は続編 やリメイクでないreimaginingを行うと述べていたもので、 今回もシグナス号のその後が描かれる可能性は高そうだ。 “Enchanted 2”は、2007年『魔法にかけられて』の続編と なるものだが、この作品には新しい血が注入されることにな りそうだ。そこでまず脚本には2001年『アイ・アム・サム』 などのジェシー・ネルスン、監督には昨年8月紹介『あなた は私の婿になる』などのアン・フレッチャーの起用が発表さ れた。ただしこの作品には、エイミー・アダムス以下の前作 の出演者が再度揃うかという問題が重要な訳で、そのために も俳優たちの心に訴えるハイレヴェルな脚本と監督が求めら れているようだ。 “Fast Five”は、2001年から続く『ワイルド・スピード』 シリーズの第5作。2006年の『TOKYO DRIFT』以降の脚本を 担当するクリス・モーガンと、ジャスティン・リン監督が再 登板する。物語は前作での活動で官憲から追われることにな ったドミニクとブライアンのその後を描くもので、ヴィン・ ディーゼルとポール・ウォーカーの出演も決まっているよう だ。今年の年末から撮影、2011年の公開が期待されている。 なおディーゼルには、それに続いて“Riddick 3”の計画も あるようだ。 “Foundation”は、アイザック・アジモフ原作の映画化で、 新たな3部作を作る計画。この計画に付いては昨年2月1日 付第176回でも報告したように、コロムビアとローランド・ エメリッヒのセントロポリスが権利を獲得していた。そして 今回はエメリッヒ自身が、映画化はアジモフの最初の3部作 をそれぞれ1本ずつの映画とし、撮影は3Dで行う方針を明 らかにしている。ただし、撮影の時期などはまだ明確ではな いものだが、すでに1998年の『プライベート・ライアン』で オスカー脚色賞の候補になったロバート・ロダットが脚色を 進めているという情報もあるとのことだ。 “Ghostbusters 3”についても、昨年11月8日付で紹介した ようにリー・アイゼンバーグ、ジーン・スタピニツキー脚本 による準備が進められているものだが、今回の計画では前の 2作(1984年と1989年)で活躍したビル・マーレイ、ダン・ エイクロイド、ハロルド・ライミスらのチームは引退して、 新たにもっと若くてセクシーなチームがゴーストと戦ってい るようだ。しかもマーレイの情報では、彼自身はゴーストに なっていることを出演の条件にしたとのことで、これは手強 いゴーストになりそうだ。 “The Lost Symbol”は、昨年の『天使と悪魔』に続くトム ・ハンクス主演ロバート・ラングドン教授シリーズの第3弾 になるものだが。実は前作の全世界での興行成績が、2006年 に社会現象とまで言われた『ダ・ヴィンチ・コード』の7億 5800万ドルからほぼ半減の4億8600万ドルに終って、映画化 が危ぶまれていたようだ。そこで今回の映画化に当っては、 2002年の“Dirty Pretty Thing”でオスカー脚本賞の候補に なったスティーヴン・ナイトを招請して、新たな脚色を進め ることになっている。因にハンクスの出演は契約済みとのこ とで、計画では2012年の公開が目指されているようだ。 “Mission: Impossible 4”では、昨年の今頃に別の映画の プロモーションで来日したトム・クルーズが撮影中と発言し たと伝えられ、僕自身は「そんな話聞いてないぞ」と思って いたものだが、その計画に正式にGoサインが報告された。そ れによると、脚本は、テレビシリーズ“Alias”などを手掛 けたジョッシュ・アップルトンとアンドレア・ネメクがクル ーズのアイデアに基づいて執筆中、前作を手掛けたJ・J・ エイブラムスとクルーズの製作の許、準備が進んでいるよう だ。そしてエイブラムス監督の復帰はないものの、クルーズ の出演は契約されたとのことで、2011年5月27日(決定)の 全米公開に向けて製作が行われることになっている。 “Mr.& Mrs.Jones”は、2005年にアンジェリーナ・ジョリー とブラッド・ピットが共演した『Mr.& Mrs.スミス』の関連 作品。元々はテレビシリーズだったものだが、さすがに映画 版の結末からは続編は作れないと判断されたようで、新たに 別の登場人物で別のシチュエーションによる作品が検討され ているそうだ。従って主人公夫婦のの苗字も変わっている。 ブラピとアンジーは実生活でも一緒になったが、今度は一体 どんなカップルが主演するのだろうか。 この他に“New Year's Eve”は公開中の『バレンタインデ ー』の続編で、公開作の登場人物たちの関係がさらに絡み合 うことになるようだ。また“Spider-Man”の計画では、1月 17日付で紹介したマーク・ウェッブの監督が決定し、2012年 7月3日の全米公開を目指して3Dによる製作が計画されて いる。さらに“Superman”は、ワーナーが『リターンズ』の 続きではないシリーズ再開作をクリストファー・ノーラン監 督に依頼したとの情報もあるが、監督には先に“Batman”の 第3作が期待されているものだ。 ハリウッドのシリーズ路線はまだまだ続きそうだ。
| 2010年02月07日(日) |
後ろから前から、闇の列車光の旅、ダレン・シャン、アーサーと魔王マルタザールの逆襲、ビバ!ラブ、空を歩く少年+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『後ろから前から』 「ロマンポルノRETURNS」と題された企画シリーズの 第2弾。 前々回紹介の第1弾同様、往年の「にっかつロマンポルノ」 の作品と同じ題名を冠された作品で、今回は1980年末に公開 されて話題になった畑中葉子の主演作が、新たなスタッフ・ キャストで再製作された。 ただしこの作品も、物語はオリジナルとは異なっているが、 オリジナルより題名には合っていそうな感じのものだ。 主人公は女性タクシー運転手。しかし営業成績が上がらず、 営業所長からは文句を言われ続けている。そんな彼女に同僚 の女性運転手が、「女性の武器を使ったら…」とアドヴァイ ス、それを実行してたちまち成績は伸び始めるが… その所業がばれて会社は馘首。さらに売春容疑で警察にも追 われる羽目に。ところが最後の客と思って乗せた男性客に熱 海までの遠出を頼まれ、そこに向かう道中の道すがら、お互 い胸に秘められた過去が解き明かされて行く。 オリジナルは暴走族の話だったから全くお話は違うが、本作 では乗用車の玉突き事故で、正しく後ろから前から衝突され るシーンがあるなど、ちゃんと題名が物語の中にもはまり込 んでいるものだ。 それに本作では、脚本監督を、昨年11月紹介した『板尾創路 の脱獄王』で共同脚本に参加していた吉本興業の増本庄一郎 が担当して、ロマンポルノの中でもコメディ路線を復活させ たものにもなっている。 とは言うものの、映画の前半では物語を追おうとするあまり かギャグが空回り気味で、後半にアヴァンギャルドなシーン や、名作のパロディなどで持ち直しはするが、できれば前半 からこれくらいのパワーで飛ばして欲しかった。 主演は、3代目『ミニスカポリス』で人気を得た宮内知美。 オリジナルの当時話題になった主題歌(オリジナルは歌が先 で、そこからのインスパイアで映画が作られた)もリメイク されており、宮内の人気での観客動員は期待できそうだ。 なお、本作も日活と衛星放送スカパーの共同製作によるもの で、2月27日から劇場公開と同日でPPVによる放送も開始 されることになっている。
『闇の列車、光の旅』“Sin nombre” ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナが製作総指揮 を担当し、2009年のアメリカ・サンダンス映画祭で監督賞と 撮影監督賞を受賞したメキシコ映画。 ホンジェラスを出発、グアテマラとメキシコを経由して、徒 歩と貨物列車の屋根への無賃乗車でアメリカ国境を目指す少 女。その違法移民者を狙って金銭を巻き上げようとするメキ シコのギャング団。そのギャング団の若者と少女との出会い がドラマを作り出す。 主人公自身は違法移民であるから、正しいものではないが、 その苦難の旅程が丁寧に描かれている。そしてそこで育まれ る愛情や信頼が美しくも厳しく描かれた作品。その物語は各 地の映画祭での受賞や映画賞でのノミネートもうなずける。 脚本監督はキャリー・ジョージ・フクナガ。名前の通り日系 3世の新人監督だが、ニューヨーク大学で映画を学び、撮影 監督として北極圏から西アフリカまで旅した経験があるとの こと。 その監督が、違法移民がトラックに閉じ込められたままアメ リカ国内を移送中に窒息死した事件を描いたショートフィル ムを企画し、その背景を調べるためにメキシコなどでの調査 を行った際に、その調査の中で浮かび上がってきたのがこの 物語だそうだ。 そしてそのショートフィルムがサンダンス映画祭で上映され た際に、監督はその物語を描いた長編映画の脚本をサンダン ス・ラボに提出することを勧められ、その結果、この映画が 完成されたとのことだ。 主演は、ルイス・マンドーキ監督の『イノセント・ボイス』 などに出演のパウリーナ・ダイタン。ホンジュラスで行われ たオーディションで選ばれたエドガー・フロレス。それに、 2007年『スピーシーズ4』に出演していたというクリスティ アン・フェレール。 他に、昨年2月に紹介したベルナル初監督作品『太陽のかけ ら』に出演のテノック・ウエルタ・メヒアがギャングのリー ダー役で登場。いずれもラテン系の若者たちの共演が、見事 な雰囲気を醸し出している。 中米からアメリカへ向かう違法移民たちの苦難や悲しみが、 ロードムーヴィの体裁を取りながら見事に描かれた作品だ。
『ダレン・シャン』 “Cirque du Freak: The Vampire's Assistant” 主人公と同じ名前のダレン・シャンという作家による若年向 けホラーシリーズからの映画化第1弾。 ちょっと内気な主人公の少年と、大人の目から見れば不良だ が主人公にとっては大親友の少年。そんな2人の少年が親の 目を盗んでフリークスのサーカスを訪れたことから、2人は 思いも拠らない運命に翻弄される。 自分の失敗で親友が死の淵に立ったとき、あなたは親友のた めに死ねますか?いやそれは死よりも恐ろしい運命にあなた は立ち向かうことができますか?そんな究極の選択に主人公 は直面させられる。 元々原作物であるからネタバレにはならないと思うが、主人 公はここでヴァンパイアになることを要求され、家族や友人 とも離別してヴァンパイアとして生きる道を選択しなければ ならなくなる。しかも、命を助けた親友とも新たな関係に直 面する。 この主人公に新人のクリス・マッソグリアが扮し、親友役は 2008年『センター・オブ・ジ・アース』などのジョッシュ・ ハッチャースンが演じている。 その他、ヴァンパイア役で『シカゴ』でオスカー候補になっ たジョン・C・ライリー、サーカス団長役に『ラスト・サム ライ』で候補の渡辺謙。さらに『プラトーン』で候補のウィ レム・デフォー、『フリーダ』で候補のサルマ・ハエックら が共演している。 監督は2002年『アバウト・ア・ボーイ』などのポール・ウェ イツ、脚本は1997年『L.A.コンフィデンシャル』でオスカ ー受賞のブライアン・ヘルゲランド。 映画化は、原作シリーズの3巻目までに相当する物語とのこ とで、実は未だ主人公はヴァンパイアになるかどうか悩んで おり、徐々にその道が開かれて行く過程が描かれる。従って 物語は始まったばかりで、ぜひとも続編も見たいものだが… 未だその計画は発表されていない。 と言うのも、アメリカでは昨年10月25日の公開第1週の興行 成績が629万ドルの第3位でスタートしたものの、その後も 成績は伸び悩んで結局3週間で1370万ドルの成績しか上げら れなかった作品。従ってその程度の成績では続編には踏み切 れないようだ。 その理由は、豪華な配役の割に展開がお子様向けすぎるなど いろいろありそうだが、映画を観ていると、ライリー、渡辺 謙らの脇役陣が本当に楽しそうに演技をしており、それは観 客も楽しませてくれるものにもなっている。 ただ、派手なアクションシーンなどが少なくて、特に見せ場 になるべきシーンが観当らない。しかしそれはシリーズ第1 作の宿命のようなものでもあるし、これが第2作、第3作と 続けば『ハリー・ポッター』などより人間味のある話になる はずなのだが… 因に、映画をユニヴァーサルと共同製作しているリレイティ ヴィティ・メディアには、日本の広告会社の電通が出資して おり、エンドクレジットにも社名が登場している。だから、 何とか日本で大ヒットして続編の気運が生まれたら、それも 嬉しくなるものだ。
『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』 “Arthur et la vengeance de Maltazard” リュック・ベッソンが執筆したお子様向け冒険小説からの映 画化で、2007年4月に紹介した『アーサーとミニモイの不思 議な国』の続編。因に、本国のフランスではすでに第3作の “Arthur et la guerre des deux mondes”も製作されてい るようだ。 前作で魔王マルタザールからミニモイの王国を守って人間界 に帰還したアーサー。そんなアーサーに、10回の満月を経て 再びミニモイの国を訪れるチャンスがやってくる。しかし無 理解の父親によってそのチャンスは潰えそうになるが… 原作本は全4冊あるもので、その内の最初の2冊から第1作 の映画化が行われたようだ。このため今回の映画化は原作で は3冊目のお話となるものだが、前作は2冊分で内容が盛り 沢山だったのに比べると、多少物足りないのは原作が1冊だ けのせいなのかな。 でもまあ本作は、映画化第3作への繋ぎの部分である訳で、 この結末から第3作で起きそうな物語を考えると、この手の シリーズでは楽しみは後に残して置くのが常套手段なのかも 知れない。 出演は、フレディ・ハイモアとミア・ファーロウ、それに母 親役のペニー・バルフォーは前作に引き続き登場。ただし、 何かとひどい目に遭う父親役は、昨年3月紹介『お買いもの 中毒な私!』などに出演のロバート・スタントンに交替して いる。 一方、英語版の声優には、前作ではマドンナ、ロバート・デ ニーロ、デヴィッド・ボウイなど錚々たる顔ぶれが登場した が、今回はハイモアと王子役のジェイミー・ファーロン、マ ックス役のスヌープ・ドッグ以外は交替している。 そのセレニア姫役は『ハナ・モンタナ』にゲスト出演のある セレナ・ゴメス、マルタザール役には『ルル・オン・ザ・ブ リッジ』などのルー・リードと、いずれも歌手でも実績のあ る2人が担当した。また王様役は『バビロンA.D.』などの デイヴィッド・ガスマンが担当。 さらに『NINE』に出演のファーギーことステーシー・フ ァーガスンや、『ウルヴァリン』などに出演のウィル・アイ ・アムらが新たな声優として登場している。ただし、日本公 開は全て吹き替えになるようで、この声優が聞けるのは試写 だけだったようだ。
『ビバ!ラブ』“경축!우리사랑” 「真!韓国映画祭2009」と題して12月26日から名古屋の映画 館で上映されていた4本の韓国映画が東京のポレポレ東中野 他、全国の映画館で順次上映されることになり、その1本目 としてこの作品の試写が行われた。 物語は、娘が突然家を出て、結婚寸前だった娘の元カレを慰 める立場になった中年の主婦が、ふと情にほだされて21歳も 年下の若者と…それで妊娠までしてしまうというもの。 現実に起きてしまったらかなりの修羅場になりそうなお話だ が、これをある意味あっけらかんと、それでいてあってもお かしくないような物語に仕上げている。その辺の状況の設定 が実に巧みにされていた。それに何とも大らかな結末が嬉し い作品だった。 韓国映画と言えは、ここ何年かは韓流ブームということで、 韓流スターの出演する作品が持て囃されてきた訳だが、その 種の作品は韓国本国でも興行成績が頭打ちになっている状況 のようだ。 それに対して韓国でもインディペンデンスの映画はあるよう で、そのような作品を紹介する目的で始められたのがこの映 画祭のようだ。因に映画祭はこの後、全国を巡業することに なっている。 なお出演は、2008年8月紹介の『ファム・ファタール』で伝 説の女スリを演じていたキム・ヘシク(主演は初のようだ) と、2004年8月紹介の『春夏秋冬そして春』や、2007年12月 紹介の『アドリブナイト』などに出演のキム・ヨンミン。 監督は、本作が長編デビューとなるオ・ジョムギュン。短編 映画では受賞歴もあるようで、またすでにテレビ放送された 長編作品もあるが劇場用長編は初とのことだ。1959年生まれ とのことでかなり遅咲きだが、しっかりした演出はさすがの ものだった。 日本のインディペンデンスは、何だか青臭い作品が多い気が するが、このような年齢の監督がしっかりとした作品を撮れ るというのは、それなりの体制が整っているということのよ うにも思える。映画を文化として観る環境は、日本より韓国 の方が進んでいることは確かだ。
『空を歩く少年』“하늘을 걷는 소년” 「真!韓国映画祭2009」で上映される作品の2本目。 裕福な家に育ちながらも父親の再婚が認められず、家を出て 危険なバイク便の仕事をしている主人公が、仕事の依頼で訪 れたマンションに住む女性から幼い少年の輸送を頼まれる。 その配送先は結婚式場、そして受取人は新郎。 そんな荷物の受け取れるはずのない新郎は、元の住所への再 配送を要求するのだが…その少年とマンションに住む女性と の関係は…そして少年の出自を求めて主人公と少年の旅が始 まる。 まず題名を聞いたときに、「水の上を歩くキリスト」という 言葉が思い浮かんだ。それでこの映画を観ていると、実に数 多くのキリストとの暗喩が示されており、少年がキリストの 再来であるかのようにも描かれている。 しかし物語はそれを断定するものではなく、それが結末に微 妙な陰影を与えている。ただしそれも観客の判断に委ねられ ているものであり、映画には明確な答えが示されていない。 それがまたこの映画を興味深いものにもしている。 もっとも僕自身がキリスト教徒でないから、このようなこと を呑気に書いていられるが、これがキリスト教徒の多い韓国 ではどのように評価されたのか、そんな興味も湧いてくる作 品だった。 出演は、2008年2月紹介『ひまわり』(キム・ヘヨンも出て いた)などのホ・イジェと、1997年生まれの子役のカン・サ ン。特にカンが堂々とキリストの言葉を述べるシーンは見事 なものだ。 監督は脚本家として多くの作品を手掛けているノ・ジンス。 その長編監督デビュー作となる本作では、かなり捻った物語 を手堅くまとめている。ただし映画の前半の展開で、本来な らそこで数日が経過しているはずなのに、2人が一緒のまま なのは首を傾げた。 全体としては、乗用車による移動を描いたロード・ムーヴィ の要素もあって、その移動のシーンがエピローグにも活かさ れている。しかし、それをどう解釈すれば良いのかが難しい 作品でもあった。 * * 今回は、現地時間の2月2日に発表されたアカデミー賞の 各部門のノミネーションについて、SF/ファンタシー映画 の観点などから僕の個人的な見解を述べておこう。 まずは、発表された候補作を概観すると、何と3D映画の 『アバター』が作品、監督、撮影、美術、編集、作曲、音響 編集、音響、視覚効果の9部門で候補に挙げられ、前回作品 を紹介した『ハート・ロッカー』と並んでの最多候補となっ ている。ただしこの時点で、もはや11部門受賞の更新はなく なった。因に『ハート・ロッカー』は、作品、監督、撮影、 編集、作曲、音響編集、音響の各部門で対抗馬となり、他に 主演男優部門と脚本部門の候補となっている。 そしてこの2作は、前回も書いたようにジェームズ・キャ メロン監督と、キャサリン・ビグロー監督が元夫婦であると いうことでも話題になっているものであり、マスコミがそれ を話題にして盛り上がると、受賞もこの2作に集中してしま う可能性は高そうだ。そこでもしそうなった場合には、互い に対抗していない部門は受賞の可能性が高くなるものだが、 『アバター』の視覚効果は、この条件でなくても間違いない ところだろう。因に視覚効果部門の対抗馬は『第9地区』と 『スター・トレック』になっている。 一方、『ハート・ロッカー』の脚本部門も可能性は高そう だが、その他の『アバター』の美術部門と、『ハート・ロッ カー』の主演男優部門が受賞したら、それは話題の盛り上が りのお陰と言えそうだ。 この他のSF/ファンタシー映画ファンが気になる部門で は、メイクアップ部門を『スター・トレック』とイタリア映 画の一代記物“Il Divo”、歴史物の『ヴィクトリア女王』 が争っている。なおこの部門では、一昨年にもファンタシー (POTC3)とフランス映画の一代記物(エディット・ピ アフ)が争い、一代記物に軍配が挙がったから予断は許さな いところだ。因に『スター・トレック』は、上記の他に音響 と音響編集を含めて全4部門の候補になっている。 さらにVFX部門のもう1本の候補になっている『第9地 区』も、作品、編集、脚色を含めた全4部門の候補になって いるが、ただまあ、この辺の受賞はなかなか難しそうだ。 この他のSF/ファンタシー系の作品では、『ハリー・ポ ッターと謎のプリンス』が撮影、『Dr.パルナサスの鏡』が 美術と衣裳、『ラブリー・ボーン』が助演男優、『シャーロ ック・ホームズ』が美術と作曲、『トランスフォーマー』が 音響の各部門の候補になっている。 一方、長編アニメーション作品部門では、『コララインと ボタンの魔女』“Fantastic Mr.Fox”『プリンセスと魔法の キス』“The Secret of Kells”『カールじいさんの空飛ぶ 家』が争っている。この内の『カール…』は、さらに一般映 画に並んで作品、作曲、音響編集、脚本を含み、全5部門の 候補にも挙がっているものだ。 そして今年から候補が10本となった作品賞部門の候補は、 上記の4本(アバター、第9地区、ハート・ロッカー、カー ル…)に加えて、『しあわせの隠れ場所』『17歳の肖像』 などで争われるものだが、実は元々ドラマ部門とコメディ/ ミュージカル部門を合わせて10作品が候補だったゴールデン グローブ(GG)と比較すると、今年は見事に、GGでコメ ディ/ミュージカル部門の候補だった5作品が脱落し、アニ メーション部門の候補(受賞)だった『カール…』と、他に 4本のドラマ作品が選ばれる結果になっている。 アカデミー賞の作品賞候補が10本にされたのは、より広範 な話題作を候補作として記録に残したいという意図があり、 『第9地区』などが正にその恩恵に与ったものだが、それが 図らずもコメディに冷たいというアカデミーの実態も表わし てしまったようだ。 受賞式は3月7日(現地時間)に予定されている。 * * 最後にもう1つニュースで、昨年11月8日と今年1月17日 付でも報告した“Terminator”の権利に関するオークション について、ソニー・ピクチャーズが応札することが報告され た。 このオークションに関しては、先にライオンズゲイト社だ けが参加を表明していたものだが、その提示金額が倒産した ハルシオン社の希望よりかなり低く、そのままでは終わらな いのではないかと予想されていたものだ。そして今回は、前 作“Terminator Salvation”(T4)の海外配給を手掛けた ソニーの応札が発表されたものだが、これがハルシオン社側 の要請によるものか否かは定かではない。 なお、オークションへの応札の期限はすでに過ぎており、 従ってシリーズの権利はこの両社で争われることになりそう だが、いずれの会社が獲得しても、出来るだけ早期の続編の 製作を期待したいものだ。
| 2010年02月01日(月) |
ハート・ロッカー、隣の家の少女+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ハート・ロッカー』“The Hurt Locker” 2004年夏のイラクバグダッドを舞台に、米軍の中でも最も死 と隣り合わせの任務と言われる陸軍爆発物処理班の活動を描 いた作品。 当時のバグダッドでは時限爆弾や自殺テロなど毎日数10個の 爆発物が発見され、それらは爆発物処理班の手によって迅速 に処理されていたという。しかしその作業は、1歩間違えば 確実に死の時を迎える危険窮まりないものだった。 そしてその任務に当たるブラボー中隊は、すでに1年近い赴 任期間を経過して、帰国まであと38日というときを迎えてい た。ところがその矢先、処理中の手違いで隊員の1人が死亡 し、3人が基本の処理班は新たな隊員を迎えることになる。 その代役としてやってきた二等軍曹は、爆発物処理の能力は 抜群だったが、その他の規律は無視する規格外れの人物だっ た。そして次々に破天荒な手段で爆弾を処理して行く二等軍 曹の態度に、処理班内部での軋轢も発生するが… 神経の極限までも磨り減らす処理作業と、その後に訪れる解 放感。そんな気分が観客にも如実に伝わってくる。 脚本は、2008年2月紹介『告発のとき』の原案を提供したマ ーク・ボール。2004年当時に自身でバグダッドに赴き、処理 班と共に行動して取材したという迫真のレポートから自らの 手で脚色している。 そして監督は、2002年10月紹介『K−19』などのキャサリン ・ビグロー。本作はそれ以来の長編作品となるが、前作に続 いて殆ど女っ気の無い壮絶な作品をパワフルに描き切ってい る。 因に、ビグローは元ジェームズ・キャメロン夫人で、ゴール デングローブ賞では作品賞、監督賞を元夫と争い何れも破れ たが、キャメロンは本作の方が賞に相応しいと考えていたそ うだ。 主人公の3人組には、何れもノンスターのジェレミー・レナ ー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティが扮し ているが、その脇をデヴィッド・モース、レイフ・ファイン ズ、ガイ・ピアースらが固めている。 通常の戦争映画には殆ど登場しない爆弾処理という任務。こ の作品にはその任務の重さが見事に描かれている。
『隣の家の少女』“The Girl Next Door” 1958年にアメリカインディアナ州で発生した児童虐待事件の 実話に基づくとされるジャック・ケチャムの原作で、一部に は劇薬小説とも称される作品の映画化。 この作品を観るに当って興味本位の気持ちが無かったかと問 われたら、それを即座に否定することはできない。でもそれ は興味本位というよりも、そのとき予想していた内容だった ら作品を正視できるかという危惧が先に立っていたことにも 拠るものだ。 しかし映画を見始めると、そこには思わず居住まいを正した くなるほどの真剣且つ厳粛な物語が展開されていた。それは 誰もが陥りそして後悔の念に立たされる、そんな悲しい物語 が描かれていたのだ。 物語は、中年を過ぎたと思われる男性の回想の形で始まる。 それは彼がまだ少年だった頃の出来事。彼の住む家の隣の母 子家庭の家に、両親を交通事故でなくした姉妹が同居人とし て引っ越してくる。 その妹は事故の影響で下肢が不自由だったが、姉の方は事故 による傷跡はあるものの快活で主人公の少年ともすぐに仲良 くなる。そして主人公の少年は、実子は男子ばかりの隣家の 子供たちとも仲が良く、その家に泊まりで遊びに行くことも あったのだが… そこでは、口にするのも恐ろしい事件が進行していた。 本作の映画化は2007年に行われたもので、スティーブン・キ ングがその年のホラー映画の第1位に推すなど高く評価し、 自らの原作による『スタンド・バイ・ミー』と表裏一体をな す作品とも言っているそうだ。 確かに作家が子供時代を回想するというプロローグなど、映 画の構成には似たところも多いが、本作に描かれる内容は正 にアメリカの暗部とも言える出来事で、その社会的な問題提 起などはキング原作の映画化が及ぶべくものではない。 事件の原因が何であったかは明確には語られないが、その結 果では人間の本性の恐ろしさが見事に描き出される。特に恐 れを知らない子供の恐ろしさが、何よりの恐怖感を醸し出す 作品だった。 監督は本作が2作目というグレゴリー・ウィスン。出演者も 無名の俳優が多いが、母親役を演じているブランシェ・ベイ カーは往年の女優キャロル・ベイカーの娘だそうだ。また現 代の主人公の姿を、『ダイハード1・2』や『ラスト・サム ライ』にも出演のウィリアム・アザートンが演じている。 * * 今回の製作ニュースの最初は、『マトリックス』『地球が 静止する日』などのキアヌ・リーヴスの情報で、彼が本格的 な宇宙SFに挑戦する計画が発表されている。 作品の題名は“Passenger”(2008年12月にアン・ハサウ ェイ主演で似た題名の作品を紹介しているが、あれは複数形 だった)。内容は乗客たちが全て冷凍睡眠で移送されている 恒星間宇宙船を舞台に、何故か目的地到着より1世紀近くも 早く、1人だけで目覚めてしまった主人公を巡る物語とのこ とだ。つまりそれから100年間は誰も起きては来ない訳で、 従ってこの作品では単数形という訳だ。 因にこの脚本は、リドリー・スコットが監督すると噂され ている“Alien 5”にも関わっているジョナサン・スペイツ という脚本家が執筆したもので、いろいろな事情で映画化さ れない優秀な脚本を紹介するHollywood Blacklistの2007年 版に掲載された作品とのこと。 その作品にリーヴスが目を付け、実は昨年前半には2006年 のロバート・デニーロ監督作品『グッド・シェパード』など を手掛けたモーガン・クリークが製作にゴーサインを出して もいた。その計画に今回は、さらに監督として2006年ウィル ・スミス主演の『幸せのちから』などを担当したガブリエレ ・ムッチーノの起用が発表されている。 地球を離れた場所で1人だけというのは、前回の映画紹介 で『月に囚われた男』を取り上げたところだが、SFならで はの孤独や、その他の諸々の状況が描かれそうだ。なお物語 では、どういう状況か不明だが女性のキャラクターも登場す るそうで、ムッチーノはその配役に、無名かブレイク以前の 無名に近い女優の起用を希望しているそうだ。 順調に進めば今年夏の撮影開始が期待できるとのことだ。 * * お次は、現在はディズニー傘下にあるマペッツ(ジム・ヘ ンスン・カンパニー)の新作映画の情報で、その計画に人気 テレビシリーズ“The Flight of the Conchords”を手掛け るクリエーター/脚本家/監督ジェームズ・ボーリンの参加 が噂されている。 この情報で、新作映画の題名は紹介されていなかったが、 元々はコメディ作家/俳優のジェイスン・シーゲルとニック ・ストールの脚本から、ストールの監督で進められているも のとのこと。そして今回のボーリンの参加はそれに命を吹き 込むためというものだが…。この計画、もしかしたら2008年 3月15日付の第155回で紹介した“Dracula”のミュージカル 版の可能性がありそうだ。 この作品は、2008年11月に紹介した『寝取られ男のラブ♂ バカンス』の劇中劇として演じられた人形劇を原案とするも ので、映画ではシーゲル演じる主人公が、最後の決断として 完成させるものだった。因にその場面では、元々のマペッツ のキャラクターであるカウント伯爵が主人公となっており、 しかも劇中劇では、伯爵が自分が人間でないことを嘆くよう なシーンが演じられていたものだ。 という劇中劇がマペッツ側の気に入られ、その長編化を検 討するというのが以前の情報だったが、それがひょっとして 実現するかも知れないという訳だ。ただし、カウント伯爵と 言えば、昨年Googleのセサミストリート40周年記念ロゴでも 単独で登場するほどの人気キャラクターだし、そのイメージ を壊さないようにするにはいろいろ制約も多そうだ。そんな 制約の中でシーゲル、ストール、ボーリンがどんな物語を作 り出しているか、最近のヴァンパイア・ブームとも併せて、 楽しみな作品になる。 ただしボーリンには、シーゲル、ストールの師匠筋に当る ジャド・アプトゥから“Bridesmaids”という作品の監督の オファーも来ているそうで、その合間を縫っての脚本執筆と なるのか…。今後も紆余曲折がありそうだ。 * * 日本では3月12日公開予定の『シャーロック・ホームズ』 は、昨年末に公開されたアメリカを含む全世界での興行成績 がすでに3億8900万ドルに到達し、さらに日本、フランス、 ドイツなどが未公開ということでは、今後にかなりの上積み が予想されるものだ。今年のアメリカ正月映画にはお化けが いるから余り目立たないが、かなりのヒットになっていると 言える。そこで当然のことながら続編の情報が流れ始めた。 それはまず製作者のジョール・シルヴァがワーナーからの 「続編もガイ・リッチー監督を期待する」との要請を受諾、 一方、リッチー監督が次回作として検討していたDCコミッ クス原作のエイリアン・ハンター物で“Lobo”という作品に は延期の発表が行われ、さらにロバート・ダウニーJr.が、 主演の予定されていた西部劇SF“Cowboys and Aliens”か らの降板を発表…といった具合で、一気に話が進んでいるよ うだ。 ただし製作者のシルヴァは、「その前に、第1作のヒット の要因を分析する必要がある」として、性急な製作はしない 方針の様子だったが、チャンスは逃さないのがハリウッドで もある訳で、すでにキーラン&ミシェル・マロニーというコ ンビによる脚本が着手されているとの情報もあって、これは 本当に製作が早まりそうだ。 その続編では、いよいよ宿敵モリアティ教授(ブラッド・ ピットが演じるとの情報もある)との対決も行われることに なりそうだが、ダウニーJr.はともかく、ワトソン役のジュ ード・ロウのスケジュールはどうなっているのか、またレイ チェル・マクアダムスの出演はあるのかなど、気になるポイ ントはいろいろある。 取り敢えず今回は、続編が動き出したと言う報告をしてお くことにしたい。 * * 続いてもワーナーの話題で、元々は姉妹会社のニューライ ンが1995年と1997年に製作したヴィデオゲームを原作とする 映画シリーズ“Mortal Kombat” の第3弾の計画が報告され ている。 このシリーズでは、第1作はその後の2002年に『バイオハ ザード』も手掛けるポール・S・アンダースンが監督して、 それなりの評価を得ていたようだ。しかし“Mortal Kombat: Annihilation”と題された第2作は、第1作の撮影監督で、 2006年の『バタフライエフェクト2』なども手掛けるジョン ・R・レオネティが監督を引き継ぐものの、さほどの評価は 得られなかった。さらに第3弾に関しては、2006年2月15日 付第105回でも報告したように、ラッセル・マルケイ監督な どが計画していたこともあったものだが、結局その計画は頓 挫してしまったようだ。 そのシリーズが13年のブランクを経て復活するものだが、 今回はその脚本に、上でも紹介したHollywood Blacklistの 2009年版に“Shimmer Lake”という脚本が掲載されたオーレ ン・ウズィエルという脚本家の起用が発表されている。因に “Shimmer Lake”は、地方都市で起きた銀行強盗とその事件 を追うシェリフを描いているが、その時間経過は時制を遡る 形で進められ、全体としてはダークコメディのジャンルに入 る作品だそうだ。 という脚本家が第3弾を手掛けることになるようだが、コ メディは映画の基本の一つでもあるし、そのジャンルの脚本 で高評価を得ている人物なら、その手腕には期待したいとこ ろだ。なおデータベースで検索すると、本作は2010年公開の 作品としてチェックされるようだが、現時点で脚本家が決ま った程度ではそれは無理そうだ。 * * 最後にもう1本ワーナーの情報で、今年11月と来年7月に 公開される『ハリー・ポッターと死の秘宝』の上映が、3D で行われる可能性が出てきた。 『ハリー・ポッター』シリーズでは、過去にもその一部を Imax-3D化して公開するという噂があったが、今回は本格的 に全編を3D変換をして一般興行に出す考えがあるようだ。 ただしこれには、今年3月に全米公開される“Clash of the Titans”で先に同じ試みが行われ、その結果を踏まえて実施 の可否を決めるという但し書きが付いているが、昨年末から の『アバター』の大成功を見れば、やらない法はないだろう というのが一般的な観測のようだ。 とは言えワーナーには、2004年の『ポーラー・エクスプレ ス』で3Dに先鞭を付けたという自負があるようで、自社作 品の3D化が他社の成功に便乗したとは言いたくないところ なのだろう。何はともあれ“Clash of the Titans”の3D 化がそれなりの成績を収めれば、ホグワーツ魔法学校が3D で観られることになる。その他にハリーたちが繰り出す魔法 も、3Dなら一層の迫力になりそうだ。 そして『ハリー・ポッター』が成功すれば、まさに本格的 な3D時代の到来となりそうだが、こうして考えてみると、 ソニーが『2012』で3D化を試みなかったのは本当に惜 しまれるところで、ソニー・イメージワークスには『Gフォ ース』の3D化を手掛けたチームもあって、自社内での変換 も可能であったはずなのにと思うと、今更ながら残念に思え るところだ。
なお、次回はいよいよ発表されるアカデミー賞のノミネー ションについて書く予定です。
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