| 2008年05月31日(土) |
デイ・オブ・ザ・デッド、レッドライン、カンフー・パンダ、12人の怒れる男、1000の言葉よりも、小さい赤い花、TOKYO! |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『デイ・オブ・ザ・デッド』“Day of the Dead” 1968年から、78年、85年と発表されたジョージ・A・ロメロ 監督による元祖ゾンビ3部作。その最終章『死霊のえじき』 のリメイクとされる作品。 ロメロ監督のオリジナルは、ゾンビによって地上がほぼ制圧 された後の世界を描いたもので、前半は何か牧歌的な雰囲気 の作品だった記憶がある。それに対して本作では、ゾンビ発 生の状況から説明されているもので、オリジナルはそんな話 ではなかったから、これでどこがリメイクなのかという話に もなるものだ。 でもまあ強いて言えば、主人公にフレンドリーなゾンビが出 てきたり、廃棄された軍事基地が舞台だったりとか…となり そうだが、正直なところはあまり関係はない。しかし本作の 権利関係はいろいろ複雑なようで、本作はちゃんとロメロの 名前がクレジットされた作品になっている。 そんな作品だが、脚本は2000年の『ファイナル・デスティネ ーション』第1作(これは秀作)を手掛けたジェフリー・リ ディックで、監督は1986年の元祖ホラコメ『ガバリン』や、 1999年『UMA/レイク・プラシッド』などのスティーヴ・ マイナーだから、それなりの作品ではある。 しかも出演は、主演が1999年『アメリカン・ビューティ』で 正にタイトルロールを演じたミーナ・スヴァーリ、相手役に は最近歌姫との電撃結婚が話題のニック・キャノンという… この手の作品にしてはかなり話題豊富な顔ぶれなのだ。 ただし登場するゾンビは、2004年リメイク版『ドーン・オブ ・ザ・デッド』を引き継ぐ走り回る奴で、この設定にも最初 はかなり面食らったものだが、結局今回のリメイクシリーズ はそういうコンセプトになったようだ。 で、お話はというと、オリジナルが好きだった『ドーン…』 に比べると、まあ許せるというか、それなりにはなっている ものだ。特に若者向けには、地名や固有名詞などでいろいろ とくすぐりも入っていて、その辺は上記の出演者と共に話題 にしてもらえそうだ。 これ以上はとやかく言っても始まらないので、オールドファ ンとしてはこんなところで終りにしておきたい。なおこれで 元祖ゾンビ3部作は全てリメイクされたことになるが、これ で終りと思いきや、情報では“Dawn of the Dead 2”という 計画も進んでいるようだ。
『レッドライン』“Redline” 時速360kmで疾走するスポーツカーを描くアクション映画。 物語は、映画プロデューサー、東洋人の企業家?、宗教家、 ミュージシャンという4人の金満家が大金を賭け合って開催 する違法な路上レースや、サーキットレースを背景としたも の。そのレースは高度にチューンアップされた世界の名車で 争われるというお話だ。 そのレースに自動車整備工場の一家が巻き込まれるのだが、 この整備工場というのが母親中心で運営されていて、何とな くウォシャウスキー兄弟監督の『スピード・レーサー』を思 わせ、さらにその娘のドライヴテクニックが抜群で…という 展開になって行く。 映画全体のコンセプトは、ロブ・コーエン監督の『ワイルド ・スピード』に共通する(因に、『ワイルド…』の製作中の タイトルは“Redline”だった)が、コーエン作品が純粋に スピードと、また路上では華麗なカースタントで魅せていた のに対して、本作はかなり強引で泥臭く、これこそワイルド という感じなものになっている。 つまり本作は、上で引き合いに出した2作の影響下で作られ たことは明らかだが、ここには正にBムーヴィの精神と呼べ るものが生きている感じもして、その辺は嬉しくもなってく る作品だった。 監督は、2006年に公開された『エンド・ゲーム』のアンディ ・チャン。彼はジャッキー・チェンのスタント吹き替えでも 知られる人物だが、その他にスタントマンとして、2003年の 『デアデビル』『ランダウン』や、2006年『M:i:�掘戮覆匹� も参加しているようだ。 一方、出演者では、日本で知られるスター俳優はあまりいな いようだが、中で主人公ナターシャを演じているナディア・ ビョーリンは、1965年に放送開始の長寿シリーズ“Days of Our Lives”で、1999年から現在までレギュラーを務めてい るそうだ。 他に、2006年『スネーク・フライト』のネイザン・フィリッ プス、『ソウ3』『ソウ4』のアンガス・マクファデンらが 共演している。 でも、この作品で本当の話題になりそうなのは、出演者より 出演車の方で、ここにはエンツォ・フェラーリ、フェラーリ F430、アストン・マーティンV12ヴァンキッシュ、フ ォードGT、ディアブロ、ムルシエラゴ、メルセデス・ベン ツSLRマクラーレン、サリーンS7、ポルシェカレラGT などの名車がずらり並んでいる。外車マニアはそれを観るだ けでも楽しめそうだ。
『カンフー・パンダ』“Kung Fu Panda” 『シュレック』などのドリームワークス・アニメーションの 今年の新作。中国奥地の村を舞台に、ひょんなことから村の 平和を守る「龍の戦士」に選ばれたパンダが、自らを見つめ 直し使命に目覚めて行く姿が描かれる。 パンダのポーは、食べることが大好きで、かなりメタボな若 者。しかし夢の中では、トラ、ヘビ、サル、カマキリ、ツル の戦士たちと共に、村を守るカンフー・ヒーローとして活躍 していた。 でも現実は、父親(大型の水鳥?)が営むラーメン屋の手伝 いながら、いつもはぐうたらと暮らしていたポー。そんな彼 の住む村には伝説の翡翠城があり、そこで鍛練を積む戦士た ちによって村の平和は守られていたのだった。 ところがある日のこと、翡翠城で伝説の「龍の巻物」を継承 する戦士を選ぶ武闘大会が催され、それを見物に行ったポー は偶然その戦士に選ばれてしまう。この決定に長く鍛練を積 んできた戦士たちは不満顔だったが決定は覆らない。 しかもそこに、元は翡翠城で最強だったヒョウの戦士が、厳 重に見張られていた監獄から脱獄したとの知らせが入る。そ のヒョウの戦士は、トラ、ヘビ、サル、カマキリ、ツルの戦 士たちが束になっても叶わない戦闘力の持ち主だった。 そのヒョウの戦士に対抗するべく、パンダのポーの鍛練が始 まるが… このパンダの声優をジャック・ブラックが担当、師匠のレッ サー・パンダをダスティン・ホフマン、さらに戦士のトラを アンジェリーナ・ジョリー、ヘビをリューシー・リュー、サ ルをジャッキー・チェンらが務める。他にイアン・マクシェ ーン、マイクル・クラーク=ダンカンらも出演している。 物語の全体は、ジャッキー・チェンやブルース・リーらのカ ンフー映画にオマージュを捧げているような部分も多々観ら れ、キャラクターの設定や背景などには、ファンがニヤリと するところも続出する作品となっている。 それにアクションは、アニメーションらしい奔放さと、過去 のカンフー映画をよく研究していると感じさせる動きも登場 して、これもファン泣かせという感じのものだ。特にチェン のコミカルカンフーを再現している部分は、若い観客にも受 けることだろう。 師匠とヒョウの戦士との確執など、もう少し描き込んで欲し かった感じのするところもあるが、まあエンターテインメン トとしてはこんなところなのかも知れない。また、カンフー 映画だけではない、いろいろなパロディも楽しめた。 なお、本作の物語はちゃんと決着しているものだが、本作の キャラクターからは、製作中の第4作で完結する予定の『シ ュレック』に代わる新シリーズを始める計画もあるようだ。
『12人の怒れる男』“12” 1957年のシドニー・ルメット監督による名作をロシアの現状 を背景にリメイクした作品。父親殺しの罪で裁かれる少年の 罪状を巡って、12人の陪審員たちの論争が描かれる。 その裁判は3日間の審理を経て、少年の犯罪は明らかなよう に見えた。しかもそこには、目撃者やその他の証言などの証 拠も揃っている。そこで陪審員たちは、有罪に即決して審議 を終えようとするのだが、そのとき1人の陪審員が反対を表 明する。 それは単に、証拠調べもせずに結論を出してしまうのはどう かというだけ考えだったが、全員一致の結論が必要な審議は それで終了できなくなる。こうして開始された審議では、い ろいろな意見が交錯して行く。 元々は1954年に“Studio One”という1時間枠のテレビ番組 で放送されたドラマがあり、そのオリジナルも手掛けたレジ ナルド・ローズが97分の作品に仕上げたのが1957年の作品だ った。因にローズは、1997年に放送された117分のテレビド ラマ化も手掛けている。 その作品のロシア版となるが、今回の上映時間は160分。最 初の試写の案内では、153分のインターナショナル版の予定 だったが、日本公開は7分長いロシア国内版で行われること になったようだ。 つまり最初のテレビドラマからはほぼ3倍に伸びている訳だ が、そこに描かれているのはロシアの現状を克明に描いたも のとなっている。特に、被告の少年がチェチェン出身者とさ れているなど、ロシアが抱えるさまざまな問題が描かれてい るものだ。 その内容は、ロシアの政府機関紙イズベスチャが、「観るも のの心は痛み、情けないという感情さえ覚えさせ、涙までも 溢れてくる」と論評したものだが、日本人の観客としてそこ までの気持ちは抱かないまでも、映画製作者の持つロシアの 現状に対する懸念のようなものは如実に感じられる思いがし た。 恐らくそれは、ロシアの現状であると共に、その現状に無関 心な国民にも向けられているものと思われるが、その状況は 日本人にもあまり変わりはないのではないかとも思える。そ してそれは、現代の世界中の国々に共通する問題のようにも 思えた。 なお本作は、今年のアメリカ・アカデミー賞外国語映画部門 にノミネートされた。
『1000の言葉よりも』“...More Than 1000 Words” イスラエル人のフォトジャーナリスト、ジヴ・コーレンを追 ったドキュメンタリー作品。なおコーレンは、1995年に撮影 のイスラエルのバス爆破事件の写真が、2000年に選出された 「過去45年間に撮影された最も重要な写真200」の1枚に選 ばれている。 カメラマンに関するドキュメンタリーでは、昨年10月に『ア ニー・リーボヴィッツ』を紹介しているが、それとはかなり 違うものだ。もちろん、彼が報道写真家というところもある が、コーレンの写真は人間をより人間として撮影している感 じがした。 それは戦場という生死を賭けた世界で撮影しているためでも あるのだろうが、コーレンの写真には、仮に被写体が非戦闘 員の子供であっても、そこには生きていることの証が写し取 られている感じがしたものだ。 結局、リーボヴィッツの写真はフィクションであり、コーレ ンの写真はノンフィクションなのであって、その優劣は一概 には言えないが、優れたノンフィクションがフィクションに 勝ることは致し方ない面もあると言うことだろう。フィクシ ョンにはフィクションの面白さがあることも確かだが。 実は、少し前に写真映画と称するスチルのみで構成された映 画作品の試写を観て、その時にはスチルはムーヴィより情報 量が少ないと感じていた。しかし本作では、優れたスチルは ムーヴィに劣らない情報量を表現できることも確認できた。 特に、映画の中で撮影される何枚かの写真では、ムーヴィか らシャッター音でスチルに切り替わる構成となっているが、 そのスチルに捉えられた感動の強さには、ムーヴィ以上のも のが感じられた。 その他にも、戦闘の前と後に撮られた写真の比較映像なども 登場し、そこから受けるインパクトの大きさも、ムーヴィよ りスチルの方が大きいものだった。そういうことがいろいろ と判りやすく映像になっている作品でもある。 因に、監督のソロ・アヴィタルは元特撮のスペシャリストだ そうで、本作にはその特徴もよく出ていたようだ。その監督 の次回作はユダヤ人のユーモアを題材にしたものだが、同時 にそれは第三次世界大戦にも関連するテーマだそうで、その 作品にも期待したいものだ。
『小さい赤い花』“看上去很美” 中国の幼児教育を描いて、2006年のベルリン映画祭で評論連 盟賞を受賞した作品。 主人公のチアンは4歳の男の子。母親が軍務で地方転属とな り、空軍パイロットの父親も家を空けがちなことから、幼い チアンは全寮制の幼稚園に預けられることになる。 ところが、その幼稚園は何もかもが成果主義で、教師が口う るさく指示を出し、その指示に従えば赤い花が貰え、反抗す ると花を取り上げられる。そして、その花の数でその子の評 価が定まるという場所だった。 しかし、新入りのチアンにはそんなやり方が判らず、反抗的 でもある彼の評価はどんどん下がって行く。そんな中でも、 チアンは持前の想像力で先生を妖怪に見立てたり、騒ぎを巻 き起こす。そしてそんな彼の想像力は徐々に周囲の子供たち を巻き込んで行くが… 溝状のトイレに子供たちを並べてしゃがませて、早く排便し たものに花を与えたり、オネショをした子からは花を取り上 げたり、とにかく画一的な成果主義の教育が展開される。そ の酷さには驚かされるものだ。 映画には原作があり、その物語は文革前の1960年代初頭を背 景としているようだが、実は中国の幼児教育は今も同じよう なものなのだそうだ。こんな教育からはイエスマンしか育た ないようにも思えるが、実際、教育担当者はそれが狙いでも あるのだろう。 これでは子供の創造性も何もあったものではないが、それが 40年以上も続けられ、それで今の中国の国力があると言われ れば、仕方ないところもありそうだ。映画に登場する子供た ちの大半が、それを嬉々として受け入れているのも恐ろしく 感じられた。 でもまあ、この映画はその体制をかなり批判的に描いている もので、それにはほっとするところもある。脚色と監督は、 2006年1月に紹介した『ウォ・アイ・ニー』などのチャン・ ユアン。以前に紹介した作品も、中国社会に潜在する矛盾が 描かれていたように思うが、それを男女の物語にしてうまく ごまかしていたものだ。 それは本作でも、子供たちの姿をユーモラスに描くことで、 本当に描いていることへの批判を躱そうという考えはあるよ うだ。それが中国で映画を作り続けるための知恵なのかもし れない。難しい体制の中で今も頑張っている監督の作品と言 えそうだ。
『TOKYO!』“Tokyo!” ニューヨーク在住のミシェル・ゴンドリー監督と、パリ在住 のレオス・カラックス監督、それにソウル在住のポン・ジュ ノ監督が、それぞれ東京を舞台に撮り上げた3本の中編作品 からなるオムニバス映画。 一つの都市を舞台にしたオムニバスでは、2006年12月に紹介 した『パリ、ジュテーム』の先例があるが、その紹介の時に も期待した東京が舞台のオムニバスが製作された。しかも今 回は、製作された3本がいずれも本格的なファンタシー作品 という嬉しいものだ。 因に、『パリ…』の中にも吸血鬼ものや、ちょっと異世界も ののような作品も含まれていたが、ファンタシー度では本作 の方が断然上回っている。そんな嬉しい作品が3本揃えられ た。 その最初の作品は、『エターナル・サンシャイン』などのゴ ンドリーの監督で、映画青年と一緒に上京してきた女性を主 人公にしたもの。彼女は都会の生活に疎外感を感じ始めてお り、それでも彼のために一所懸命に頑張っていたが… 実は、ここからがちょっとびっくりするくらいにファンタス ティックな展開になっているもので、これには感動させても らった。出演は藤谷文子と加瀬亮。特に藤谷はかなり体当た りの演技も見せてくれている。 2作品目は、『ポンヌフの恋人』などのカラックス監督で、 物語は巻頭から『ゴジラ』のテーマが鳴り響き、それに合せ て下水道から現れた怪人が、銀座通りなどで大暴れするとい うもの。 この怪人役には、カラックス作品には常連のドゥニ・ラヴァ ンが扮して、かなり奇矯な怪人役を演じている。また共演の ジャン=フランソワ・バルメールとの、謎めいた言葉合戦も 楽しめた。石橋蓮司、嶋田久作らが共演。 そして3作品目は、『グエムル』などのポン・ジュノの監督 で、引き込もりの青年と、その部屋にピザを配達にくる女性 との交流が描かれる。そこに地震が起こり、彼女も引き込も りになったと知った青年は、ある行動に出るが… この青年を香川照之、女性を蒼井優が演じて、これもまたか なり不思議なムードの物語が展開するものだ。 2作品目の『ゴジラ』のテーマが象徴するように、この監督 たちは東京にかなりファンタスティックなイメージを持って いるようだ。それが一般の観客にどのように受け取られるか は判らないが、僕にはどれも痛快に感じられる作品だった。
| 2008年05月25日(日) |
同窓会、天安門、落語娘、次郎長三国志、コレラの時代の愛、ホット・ファズ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『同窓会』 NHK大河ドラマ『新選組』などに出演の俳優宅間孝行が、 2007年9月に紹介した『ヒートアイランド』などの脚本家サ タケミキオとして監督脚本を手掛け、主演した作品。 永作博美の共演で、離婚した夫婦の機微が描かれる。 2人は高校時代からの友人同士。主人公の克之は監督を目指 して映画研究会で頑張っているが、その被写体の多くは雪と いう名の同級生だった。しかしその彼女は、いつも別の男子 生徒と一緒で、克之にはチャンスが訪れそうもない。 そんな状態のまま卒業して、それぞれ東京に出てきた2人だ ったが、あるきっかけで再会し、ついにプロポーズした克之 に雪はOKと応えてくれた。そして、その時は助監督だった 克之もやがて監督作品をものにし、その成功でプロダクショ ンを興すまでになる。 ところが芸能界の誘惑の中で、克之は出会った女との浮気が 本気になってしまう。そして離婚を切り出した克之に、雪は あっさりと承諾してくれるが… 映画の半分は2人の故郷とされる島原が舞台となり、故郷の 情のようなものも濃く描かれた物語が展開する。そこでは、 特に雪の傍に居た男子生徒の存在が大きく、後半ではその所 在捜しの話もタイミングよく挿入されてくることになる。 『ヒートアイランド』の時も感じたが、サタケミキオという 脚本家は、日本には珍しく理詰めで物語を作る人のようだ。 その部分では実に納得のできる話だったし、恐らくほとんど の観客は最後にハタと膝を打つ作品になっているものだ。 ただし、物語の中で一緒にいた男子生徒の種明かしは良いと しても、もう1点の種明かしは少し気に入らなかった。実際 に物語の展開の中で、克之が電話で受ける報告には最初から 違和感があったし、僕はこういう誤解はしなかったと言うと ころだ。 つまり、その誤解に基づく主人公の行動が、僕には全く解せ なかった訳で、その影響を引き摺って映画の鑑賞中はかなり 退いてしまってもいた。結局その点で言えば、克之がこの誤 解をしてしまう必然性が映画の中に充分には描き切れていな かったと感じる。 それに、いずれにしても人の生き死にを、このように軽々に コメディにしてしまうのも、僕にはちょっとどうかと思って しまうところだ。世間一般には、そんな風潮が蔓延している ことは確かかもしれないが。
『天安門、恋人たち』“頤和園” 一昨年のカンヌ映画祭で上映されて物議を醸した中国映画の 第6世代の旗手とも言われるロウ・イエ監督による2006年の 作品。 映画祭での上映が政府の事前許可を得ていなかったこともあ って、その後、中国政府からは「技術的に問題がある」との 理由で国内上映が禁止され、監督には5年間の表現活動禁止 の処分が出された…という問題作が、北京オリンピック開催 の今年公開される。 物語は、1989年6月の天安門事件を背景に、当時の北京に暮 らす大学生の姿を描く。 主人公は、地方から上京してきた女子学生のユー・ホンと、 彼女が好きになった男子学生のチョウ・ウェイ。2人は、自 由と民主化と改革を求める嵐が吹き荒れる学園で、狂おしい までに愛しあうが…その先には、政府による激しい弾圧が待 ち構えていた。 そして映画は、その後の2人の行動なども描いて行くが、基 本的にはロウ・イエ監督もその一員だったという、天安門事 件当時の北京の大学生の姿を描いたものだ。 ただし、表現活動禁止という処分には政府の相当の嫌悪感を 感じるものだが、かなり深刻に描かれているのかと予想して いた天安門事件の部分は意外なほど淡泊で、かえって過敏な 中国政府の態度に驚かされるところだった。 それより本作は、自由への願望に踊らされた当時の学生たち の生態を描くもので、その意味での青春ドラマとして観るこ とが重要な作品のように感じられる。特に、自分が愛してい ることを解っていながら将来に不安を抱く女性の心理などが 巧みに描かれていた。 しかし映画では、同じ時期に起きたベルリンの壁の崩壊など の映像を交えながら、ある意味当時の若者たちの活動の熱気 へのオマージュみたいなものも感じられる。それが物語の後 に続く軍事訓練などで冷めていく様子には、監督の哀しみも 感じるものだ。 因に、この大学生参加の軍事訓練の実施によって軍隊と学生 との融和が謀られ、学生運動が沈静化したというのは事実の ようだ。そんな歴史に振り回された若者たちの姿が描かれ、 この辺が政府の逆鱗だったかとも思われた。 なお、チョウ・ウェイ役を、2003年東京国際映画祭でグラン プリを受賞した『暖〜ヌアン(日本公開名:故郷の香り)』に 主演のグオ・シャオドンが演じていて、当時会場でサインを もらったことを思い出した。
『落語娘』 永田俊也による同名原作小説の映画化。 子供の頃から落語好きで、大学在学中は落研のプリンセスと 呼ばれた女性が、いざ本物の落語界に入ってみると、そこは 男尊女卑が罷り通る世界。それでも何とか師匠を見つけ弟子 入りはするが、今度はその師匠が粗相をし出かして謹慎処分 になってしまう。 そんな中でも必死に頑張る彼女にもたらされたのは… 原作は知らずに観に行った。去年は『しゃべれどもしゃべれ ども』があったし、またまた落語家の話か…、でもまあ主人 公が女性ならちっとは違うかな?何て思いながら、正直期待 半分という感じで観に行ったのだが、これが物語の意外な展 開に恐れ入った。 その展開は、謹慎中の師匠が、過去に演じようとした噺家が 次々不慮の死を遂げたという禁断の落語に挑戦する…という もの。それにはテレビ局のプロデューサーがバックにいて、 オカルト番組の仕立てとなるのだが… この「緋扇長屋」と称する禁断の噺を演じるシーンも登場す るが、これが意外と良く出来ていて、その高座の様子も楽し めた。もちろん噺自体は原作者の創作だが、それを如何にも 落語の一席らしく仕上げてあるのにも感心したところだ。 しかも、そこまでの展開がそれなりの因縁話で、VFXも使 ってちゃんとファンタスティックに描かれていたのも嬉しく なった。最近の映画で嬉しいのは、こういうシーンが真剣に 作られていることで、こういうところにもファンタシーが認 知されていると感じられるのだ。 出演は、若手女優のミムラとベテランの津川雅彦。ミムラは 「景清」「たらちね」「寿限無」を演じているが、『しゃべ れども…』の国分同様、なかなかの出来に観えた。それに子 役の藤本七海が演じる「景清」も良い感じのものだった。 その他にミムラは、出囃子の太鼓なども叩いており、台詞を 喋りながらも手を止めずに叩き続ける姿には感心した。それ でも、映画の中では評論家風情のなぎら健壱が呟く、「熊が オカマになってら」というのも理解できるところで、その見 識にも納得したものだ。 その他の物語の展開も、いちいち納得できるもので、最後の 種明かしまで存分に楽しめる作品になっていた。
『次郎長三国志』 日本映画の父と呼ばれる牧野省三の孫で俳優の津川雅彦が、 叔父にあたる監督マキノ雅弘の手掛けた名物シリーズを、映 画監督マキノ雅彦としてリメイクした作品。 幕末期に清水港に権勢を張り、街道一の大親分と謳われた清 水の次郎長を中心に、女房のお蝶や子分たちが織りなす物語 が展開される。 そのお蝶との祝言の最中、捕り方に家を囲まれた次郎長は、 配下の大政、鬼吉、綱五郎らと共に囲みを破って渡世修業の 旅に出る。そして3年、各地で男を上げた次郎長は、法印の 大五郎や森の石松らの子分も増えて清水に戻ってくる。 しかし、さらに地元で相撲興行を打ったり、花会を開いたり と、世間に名前を轟かせて行く次郎長には、甲州に勢力を張 る黒駒の勝蔵や、極悪人の三馬政など仇も増えていた。 こんな物語を、次郎長に中井貴一、お蝶に鈴木京香、また岸 辺一徳、近藤芳正、山中聡、笹野高史、温水洋一といった顔 ぶれで描いて行く。さらに北村一輝、佐藤浩市、高岡早紀、 木村佳乃など、最近の日本映画の顔も勢揃いといった感じの 作品だ。 今の時代に幕末時代劇というのが、どれほど勝算があるのか は判らないが、最近の映画に欠けている粋な風情も楽しめる 作品で、そんな気分に浸れるのも嬉しかった。一方、殺陣の シーンでは、かなり体力の要りそうな大立ち回りもあって、 それも楽しめた。 CGIを使った背景などには、日本映画の現状が出てしまう ような部分もあったが、それを別にすれば、多分僕ら以上の 年代の人には、それなりにノスタルジーを感じさせるところ も出てきそうな作品ではある。 しかしその年代の男性は、実は一番映画を観ない観客層でも ある訳で、それをこの作品で打破できるかどうか、そのアピ ールを存分に仕掛けることが宣伝担当者の腕の見せ所となり そうだ。試写会での反応は悪くはなかったし、あとは自信を 持って仕掛けてもらいたい。 ただし、映画全体が粋に作られている中で、宇崎竜童が歌う 主題歌「旅姿三人男」には、ちょっと外された感じがした。 「茶っ切り節」があんこで入る構成も在来りだし、ここはも っとロックで欲しかったところだが…出来なかったのかな。 これは残念だった。 因に、今回は第1作のリメイク、オリジナルは最大9部作に もなっている作品で、評判作はその後半の方にもあったりも する。できれば続編の映画化も期待したいところだ。
『コレラの時代の愛』“Love in the Time of Cholera” ノーベル文学賞受賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスに よる同名原作小説の映画化。 19世紀末から20世紀に掛けての時代。疫病コレラの蔓延と内 戦の勃発で混乱する南米コロムビアを舞台に、51年9カ月と 4日の歳月を一途に1人の女性を思い続けた男性と、その愛 に翻弄された女性の姿が描かれる。 物語の始まりは1879年。まだ少年の主人公は電報局の配達係 をしていたが、ある日、配達先で1人の娘に出会う。 その娘は無教養なラバ飼いの父親に育てられていたが、上昇 志向の父親は貧乏な主人公には目もくれず、それでもしつこ い彼から娘を遠ざけるために、引っ越しまでしてしまう。し かし主人公は彼女に手紙を送り続け、娘もその思いに答えて くれるように観えた。 ところがその地域にコレラが蔓延し始め、その治療に訪れた ヨーロッパ帰りの医者が彼女に目を留める。そして当然父親 のお眼鏡にも叶った医者は、彼女の心も掴んで結婚。2人は ヨーロッパに新婚旅行に旅立ってしまう。 こうして失意の底に沈んだ主人公だったが、やがて叔父の仕 事の手伝いを始めたことから頭角を現し、徐々に金持ちにな って行く。それでも初恋の娘を思う心は変わらず、一途に彼 女が自分の許に帰ってくる日を待ち続けたが… この主人公を、今年のオスカー助演男優賞に輝いたハヴィエ ル・バルデムが演じて、娘からは「影のような人」と呼ばれ てしまう、ちょっとオタクな青年から老年になるまでを見事 に演じ切っている。 書き出すとかなり壮絶なラヴストーリーという感じだが、物 語はガルシア=マルケスらしい捻ったユーモアにも満ちたも ので、結構笑いながら面白く観ることのできる作品。その辺 のバランスを、監督のマイク・ニューウェルと主演のバルデ ムが見事に取っている。 特にニューウェルは、『炎のゴブレット』の次の作品という ことで、何となく伸び伸びと撮っているような感じもした。 その余裕のようなものも、この映画の雰囲気にはピッタリと 合っているものだ。 コロムビアでの現地ロケを敢行した町並や雄大な自然の風景 と、ガルシア=マルケス本人にも面会して、その意見も取り 入れたというバルデムの演技の両方が楽しめる。そんなお得 な作品とも言えそうだ。
『ホット・ファズ』“Hot Fuzz” ゾンビ・コメディ映画の『ショーン・オブ・ザ・デッド』を 手掛けたエドガー・ライト&サイモン・ペッグの脚本から、 前作同様、ライト監督、ペッグ主演で作られた警官コメディ 映画。本国イギリスでは2007年2月に公開されて3週連続の トップに輝いたとのことだ。 主人公は、生まれも育ちもロンドン。子供の頃から警官を目 指し、大学を主席で卒業後に勤務した首都警察では、犯罪者 の検挙率が他の警官の4倍というスーパーコップ。しかし、 その優秀さが祟って周囲から疎まれ、ついに地方の警察署に 転属となってしまう。 そしてやってきたのは、ヴィレッジ・オブ・ザ・イヤーにも 選ばれ、ここ数10年は犯罪など起きたことがないという田舎 の村。そんな中でも常に優秀な警官として行動する主人公の 姿は、呑気な村の警察署では浮いてしまうばかり。 こうして、自動車の衝突で生首が転がっていたり、ガス爆発 で邸宅の主人が黒焦げ死体になっていても、全ては偶然の事 故で片付けられる田舎の警察署で、全てに疑いの目を向ける 主人公の活躍が始まるが… 物語の設定からパロディを予想して観に行ったが、物語は予 想以上にしっかりしていて、コメディとしての笑いもまとも なもの。中には『わらの犬』からジョン・ウー監督まで、過 去の名作を思い出させるシーンも登場するが、そこはかえっ て真剣に演じられていて、パロディというよりオマージュと いった感じになっている。 このためコメディ自体はそれなりに予想が付いてしまうもの もあるが、それを上回る展開の面白さで最後まで一気に楽し ませてくれた。しかも、笑いをためらうような下品なくすぐ りなどは出てこないから、誰でも何時でも安心して笑える作 品になっているものだ。 ただし、前作がゾンビ映画という監督たちの特性はそれなり に発揮されていて、上記の生首が転がっているシーンや、こ の後にもかなり強烈なスプラッターは登場する。その辺は多 少注意して観に行って欲しい作品。と言ってもR指定は受け ていないようだが。 共演は、『ショーン…』にも出演のニック・フロスト。それ に加えて、元007のティモシー・ダルトン、『POTC』 のビル・ナイ、『ライオンと魔女』ジム・ブロードベント、 『イン・アメリカ』パディ・コンシダインなど錚々たる顔ぶ れが脇を固める。 さらにクレジット無しのカメオ出演では、ケイト・ブランシ ェット、『銀河ヒッチハイクガイド』の監督スティーヴ・ク ーガン、ピーター・ジャクスンも出演しているとのことだ。 何でこんなにと言われそうだが、前作の評判で本作の製作に はそれだけの注目が集まったとのこと。それにしても、すご い顔ぶれが揃ったものだ。
| 2008年05月18日(日) |
今日という日が最後なら、カスピアン王子、イントゥ・ザ・ワイルド、落下の王国、スピード・レーサー、8½、帰らない日々、BUG |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『今日という日が最後なら、』 1983年鹿児島生まれ、アメリカの高校在学(留学?)中に短編 映画で現地の映画祭で優秀賞を受賞、帰国後に慶應大学に入 学、さらにテレビのオーディション番組でグランプリを受賞 したという女性カメラマン=柳明菜による初脚本監督作品。 八丈島を舞台に、島興しの祭り開催に尽力する女性と、彼女 が生き別れた母親、及び母親に連れられて行った双子の姉妹 との交流が描かれる。 20年前、八丈島で1組の双子が生まれた。舞子と聖子。しか しその後に母親は島から出て行くことになり、そのとき母親 は聖子だけを連れ、身体の弱かった舞子は島の祖母の許に残 された。そして2人が成長した今、舞子は島興しの祭りの準 備をしていたが… その祭りの日も近づいたある日のこと、舞子は「今日という 日が最後なら、何をしたいか考えました」という書き置きを 残して島を出て行く。その舞子が向かった先は東京、そして 聖子の住む家を捜し出した彼女は、聖子に島に来ることを誘 う。 まあ、いろいろとお話はあるのだが、全体的には多少の幼さ は感じられる。でも、監督がカメラマンという特性は活かさ れている感じで、特に八丈島の風景を写した映像は感性が感 じられるものだった。 ただし物語の展開では、祭りに関しての島民たちの対立の理 由がよく判らないし、それが解消される経緯も不明瞭だ。特 に、予算、予算と言っている役場が、母親の登場だけで簡単 に覆ってしまうはもどうかと思ってしまう展開だ。 その他の島民も、ただ「そんなこと出来ない」と言っている ばかりで、その理由付けが不明確だし、さらにそれが、いと も簡単に覆るのだから、観ていて狐に摘まれたような感じも した。 これは、例えば舞子がいない間に嵐が来て、それまでの準備 がご破算になったとか、何か理由をつけて、そこから立て直 すまでの経緯は考えられそうなものだが…もう少し脚本を練 って欲しかったという感じはしたものだ。 でもまあ、多少幼くても何か許せるような、そんな雰囲気は 感じられる作品だった。 出演は、聖子役が、『ブラブラバンバン』などの森口彩乃、 他に『スカイハイ2』の本多章一、さらに藤谷文子など。ま た、舞子役を演じている柳裕美は、監督の妹で映画初出演だ そうだが、島生まれという感じの野性味もあってなかなか面 白かった。 なお、本作は慶應大学150周年記念認定作品となっている。
『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』 “The Chronicles of Narnia: Prince Caspian” C・S・ルイス原作の映画化第2作。『第1章:ライオンと 魔女』での冒険から帰還した4人の子供たちが再びナルニア 国を訪れる。しかしそこでは1300年の歳月が流れ、彼らが統 治していた王国は荒廃し、ドワーフ達は姿を消し、森は歌を 忘れていた。 そしてナルニア国の近隣には、新たに人間たちの王国が築か れていた。その王国に1人の男児が生まれるところから物語 は始まる。その男児は王国の継承者であるカスピアン王子の 叔父の子供であったが、その誕生によってカスピアンは窮地 に陥ることになる。 つまり母親が王家の血筋を引くその男児は、王位継承者順位 の第2位となり、これで王子が亡き者となれば、叔父が実質 的に王国を支配できるのだ。そして直ちに陰謀の動き始めた 王宮から辛くも脱出した王子は、謎に満ちたナルニアの森へ と逃れるが… 『ライオンと魔女』の子供たちはまだ幼くて、物語も純粋に 冒険に満ちたものだったが、本作では一度は国を統治した経 験も持つ子供たちがその知識の上に立って、なおかつ困難に 見舞われることになる。 それは、一面では大人の愚かさにも通じるところがあって、 第1作とは違った意味での深い物語が描かれているものだ。 しかし、そこには子供たちの一途さも描かれていて、第1作 を観てから少し成長した子供たちには格好の物語となってい る。 そして物語は、人間とナルニアの住人たちとの決戦へと発展 するが、その闘いのシーンは第1作を倍加する迫力で描かれ る。特に人間たちの繰り出す大型兵器の威力が見事に映像に なっていた。 出演は、前作の4人の子供たちは揃って再登場し、それに加 えて本作からカスピアン王子が新登場する。演じるベン・バ ーンズは1981年生まれ。舞台出身とのことだが、その凛々し い立ち姿などは、まさに王子という感じがするものだ。 その他に、CGIが駆使された動物たちの新キャラクターも いろいろ登場して、物語を賑やかしている。また、木や水の 精霊たちや意外な人物の登場もうまく描かれていた。 なお、物語はカスピアンと子供たちが活躍する“The Voyage of the Dawn Treader”へとの継続し、新たにマイクル・ア プテッド(007/ワールド・イズ・ノット・イナフ)の監 督で製作される第3作は、2010年5月の公開予定となってい る。
『イントゥ・ザ・ワイルド』“Into the Wild” 1992年の夏にアラスカの荒野で遺体となって発見されたクリ ストファー・マッカンドレス。当時24歳の若者は何故そこで 死んでいたのか。その謎を追った実話に基づく原作の映画化 を、10年越しで権利を獲得した俳優のショーン・ペンが、自 らの脚色監督で実現した。 オスカー受賞俳優でもあるペンは、監督としては既に1995年 の『クロッシング・ガード』と、2001年『プレッジ』を手掛 けている。しかしこれらの作品は、『プレッジ』の題材は多 少風変わりではあったが、いずれもオーソドックスな手法に よるドラマだった。 それが今回は、主人公の荒野での苦闘を描きながら、それま での旅の様子がいわゆるロードムヴィ形式で順番に描き出さ れて行くもので、かなりのテクニックも駆使された作品。し かも、これには監督のこだわりもあるのだろうが、ほとんど が現地に赴いて撮影されているのも見所という作品だ。 主人公のクリスは裕福な家庭に育ち、大学もオールAの優秀 な成績で卒業。しかし両親の喧嘩の絶えない家庭に絶望して いた彼は、「名誉も金も要らない、欲しいのは真理だ」とし て家を出て行く。映画は、そこからアラスカで発見されるま での軌跡を追って行く。 その放浪の旅で訪れる場所は、カリフォルニア州が主だが、 アリゾナからサウスダコタ、コロラド川からメキシコにまで 及んでいる。そしてこれらの見事に美しい舞台の中で、それ ぞれの素晴らしい物語が展開されて行く。そこには愛や友情 や信頼が描かれる。 しかもこれらのドラマが、全く違う風景の中で、全く違うシ チュエーションで描かれるのも見事な構成で、その脚本の素 晴らしさと、さらに1つ1つシーンが丁寧に演出されている のにも、観ていて感動を覚えた。 出演は、クリス役に今夏の大作『スピード・レーサー』にも 主演しているエミール・ハーシュ。彼の母親役にマーシャ・ ゲイ・ハーデン、父親役にウィリアム・ハート、妹役には、 『コンタクト』などのジェナ・マローンが扮してナレーショ ンも務めている。 また、それぞれの場所で出会う人々には、『カポーティ』の キャサリン・キーナー、『ブラザー・サンタ』のヴィンス・ ヴォーン、『パニック・ルーム』のクリスティン・スチュワ ート、それに本作でオスカー候補になったハル・ホルブルッ クらが配されている。 上映時間は148分という長尺の作品だが、観ている間は全く 飽きさせることがなかった。それに、最後は体重を18キロ落 として撮影に臨んだというハーシュの頑張りにも注目したい 作品だ。
『落下の王国』“The Fall” 2000年の『ザ・セル』で衝撃的な映画監督デビューを果たし たMTV及びCF監督のターセム・シンによる劇場用映画の 第2作。2006年の作品。 ターセムは、この他にホームページ2004年2月1日付で紹介 した“Nautica”や、2005年8月15日付紹介の“Westworld” などの企画に関わっていたはずだが、今のところ実現したの は本作だけとなっている。 その本作は、ターセムが自費を投じて製作、脚本、監督した 作品とのことで、正しく個人映画となっている。しかもその 映像は、世界遺産13カ所を含む世界24カ国以上を巡って撮影 が行われたもので、思う存分、お金と時間を掛けて作られた 作品のようだ。 これはスタジオ絡みでは到底無理な話で、個人映画でないと 実現できないものだろう。 その物語は、1915年のハリウッドで始まる。主人公は映画の スタント俳優だったが、鉄橋からの落下シーンの撮影で両足 骨折の重傷を負い、再起はおろか、再び歩けることも覚束な くなる。しかも他にもいろいろあって、自殺願望に取り憑か れている。 しかしそこに、ルーマニアからの移民の子で、オレンジ農園 での収穫作業中に樹から落下して腕を骨折したという幼女が 現れる。そして、その子にせがまれるまま主人公は空想のお 話を始めるが… そのお話は中東らしい異国が舞台。そこで横暴な領主に反抗 するいろいろな人種・職業の6人の男たちの冒険物語が始ま る。その中には、幼女の父親やチャールズ・ダーウィンもい るようだ。 この冒険物語の背景が、プレス資料によれば、ナミビアから フィジー、インド、バリ、イタリア、ドイツ、さらに、ブエ ノスアイレス、プラハ、イスタンブール、ペルー、アンコー ルワット、エジプトのピラミッド、万里の長城など、世界中 で撮影されているものだ。 因に他の資料では、ネパールやルーマニアなどでも撮影され ているようだ。しかもこれらの風景が、恐らくターセム自身 が美しいと感じたそのままに描かれているもので、まさに世 界中の美しい風景がこの1本の映画の中に納められている。 さらに、1915年のカリフォルニアのシーンは、サイレント映 画の撮影風景やオレンジ果樹園も含めて、南アフリカで撮影 されたそうだ。なおエンディングクレジットでは、これら撮 影に関わった人たちの名前が延々と出てくるのも凄かった。 こんな風景映画のような作品だが、その中での物語は、あま り大げさにならないように、子供の登場人物を配することで うまく計算されて作られている。その構成も巧みに感じられ た作品だった。 なお、映画の最後にはサイレント映画で活躍した先人たちへ のオマージュとも思える映像が登場して、それも楽しませて くれるものになっている。
『スピード・レーサー』“Speed Racer” 1967年−68年に放送された和製アニメ作品『マッハGoGoGo』 を、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟の脚本、監督 で実写映画化した作品。アニメの奇想天外なカーレースが、 豪華絢爛のCG映像の中で再現される。 物語は、一家でスピードレースに賭けているレーサー一家の 次男を主人公に、レースを牛耳る巨大企業の圧力や妨害に屈 することなく、自らの目標に向かって突き進んで行く彼らの 姿が描かれる。 これに、レースの不正を調べている機関の調査員やライヴァ ルのレーサーなどが絡んで、サーキットレースやラリーレー スでの激しい闘いが展開される。さらにそこには忍者アクシ ョンなども登場するという代物だ。 オリジナルのアニメシリーズは、実は当時の製作者たちに運 転経験が無く、運転の常識も知らないままに作り出したとい う説もあるもので、お陰で常識外れの映像が次々に展開され て、それが受けたということになっている。 本作はそれをウォシャウスキー兄弟が、そのオリジナルのイ メージのままに実写(CG)映像化したもので、その意味で はオリジナルの無邪気さみたいなものが見事に映画の中に再 現されているものだ。 従って観客も、その無邪気さの中に浸り込んで観るべきもの で、そこに小賢しい文句などを付ける必要はない。ただ単純 に物語を楽しめばいいと言える作品だ。 しかもその作品に、主演のエミール(イントゥ・ザ・ワイル ド)ハーシュを始め、スーザン・サランドン、ジョン・グッ ドマン、クリスティーナ・リッチ、マシュー・フォックスら が顔を揃えているもので、特にサランドンが見事に母親役を 演じているのも楽しめる。 その他には、韓国スターのピ(レイン)や、日本から真田広 之、『シャフト』のリチャード・ランドトゥリーらも参戦し ている。 海外興行はちょっと厳しいスタートになったようだが、この 面白さには尋常でないものを感る。特に、50インチでも足り ない大画面の迫力を堪能させてくれることは間違いなし、こ れを劇場で観なかったら、きっと後で後悔することになる… という作品だ。
『8½』“Otto e mezzo” フェデリコ・フェリーニ監督による1963年作品。初期のネオ レアレスモと呼ばれた作風から、幻想的な作風へと進んで行 く転機の作品とも言われている。その作品が、ディジタルリ マスターによりクリーンな画像となって再公開される。 物語は、マルチェロ・マストロヤンニが扮するフェリーニ自 身とされる映画監督を主人公に、新作の製作準備を進める神 経症的な状況の中で、過去や現在に関った女性たちの幻想や 現実に悩まされる…というもの。 これに、クラウディア・カルディナーレ、アヌク・エーメ、 サンドラ・ミーロ、バーバラ・スティール、ロッセラ・ファ ルクらの女優が花を添える。特に、巫女役で登場のカルディ ナーレの美しさが楽しめた。 実は、本作で主人公が準備している新作が、宇宙ロケットも 出てくるSFとなっており、その確認もしたくて再公開を楽 しみにしていたが、そのお話は地球規模の災害が迫って、地 球を脱出するというものだったようだ。映画の中にはセット として建てられた発射台の風景や、ミニチュア、コンセプト アートのようなものも登場していた。 この他、子供時代の思い出のシーンなども登場して、全体的 にはフェリーニの自伝的要素も観られる作品ということだ。 ただしこの後にSF映画は撮ってくれなかったが。 なお、本作の物語は近年ブロードウェイでミュージカル化さ れて、そのミュージカル版が『シカゴ』などのロブ・マーシ ャル監督で映画化の予定になっている。 その主人公役には、当初は今年のアカデミー賞で助演男優賞 を獲得したハヴィエル・バルデムが予定されていたが、脚本 家ストライキの影響による撮影開始の遅れでスケジュールが 不調になり降板が発表された。 これに対して最近の情報では、その代役を今年のアカデミー 賞で主演男優賞に輝いたダニエル・デイ・ルイスが交渉され ているとのことで、これも期待が高まるところだ。 なお共演の女優陣には、ペネロペ・クルス、マリオン・コテ ィアール、ソフィア・ローレン、ニコール・キッドマン、ジ ュディ・ディンチが発表されているものだ。
『帰らない日々』“Reservation Road” 交通事故で最愛の息子を亡くした一家が送る日々を描いた作 品。最近日本映画でもよく似た設定の作品があったが、本作 では、実はかなり特別なシチュエーションではあっても、現 実的な綺麗事ではない物語が展開される。 主人公の一家は、息子が晴れの演奏会で立派な演奏を見せた 後、自動車で帰宅中に道路沿いのサーヴィスステーションに 立ち寄る。ところがそこで息子がひき逃げに遭ってしまう。 しかもそこに至るいろいろな経緯があり、それが家族を苦し めて行くことになる。 一方、ひき逃げをしたのはその町の法律事務所に勤める弁護 士。その日は離婚した妻と暮らしている息子との週に1回の 面会日で野球観戦に行き、試合が長引いたために急いで妻の 家に向かっている途中だった。 こうして被害者と加害者になってしまった2人だが、被害者 の父親が警察の捜査の遅さに業を煮やして法律事務所に調査 を依頼したことから話がややこしくなる。その担当者に、ひ き逃げした加害者の弁護士が選ばれたのだ。 というちょっと特殊なシチュエーションだが、物語は、その 中での被害者、加害者の葛藤が描いて行くことになる。また そこには、捜査を行う警察の実態なども垣間見られたり、ひ き逃げという重大犯罪にも、刑罰が軽微であるなどの社会的 な問題も描かれる。 癒しが主なテーマだった日本映画とは、根本的な発想の異な る作品だが、かなり無理があるようにも見えるシチュエーシ ョンを、力づくで納得させてしまうような演出は、ある意味 フィクションの醍醐味を感じさせる作品でもあった。 監督は、『ホテル・ルワンダ』のテリー・ジョージ。前作は 国際問題、今回は国内の問題だが、いずれもしっかりした社 会問題を描き、特に今回は登場人物たちの葛藤も丁寧に描き 出している。 出演は、ホアキン・フェニックス、マーク・ラファロ、ジェ ニファー・コネリー、ミラ・ソルヴィノ。さらに、エル・フ ァイング、エディ・アルダーソンの2人の子役が見事な演技 を見せてくれている。
『BUG』“Bug” 『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン監督が、オフ ・ブロードウェイで上演された舞台劇を基に描き出す恐怖物 語。 物語の舞台はとあるモーテルの1室。そこには仮釈放される 暴力的な夫から逃れようとする1人の女性が宿泊している。 そこに掛ってくる無言電話。おびえる女性は、女友達から紹 介された男性を部屋に呼び寄せるが… 互いに似たところもあり、次第に打ち解けて行く2人だった が、その2人の耳に虫の鳴き声が聞こえ始める。それはただ の虫ではなく、やがてその虫の存在が2人を恐怖の世界へと 誘って行く。 背景には、湾岸戦争やその他の出来事に起因するconspiracy theoryのようなものが巧みに織り込まれていて、日本人の目 からするとかなり奇異な感じもしてしまうところだが、多分 アメリカ人には現実的な恐怖として映るはずのものだ。 アメリカでは、最近もMorgellons病とかいう奇病が報告され ているようだが、政府や軍による秘密実験という噂話は常に 流されている。そんな背景があると、この映画の物語もそれ なりの現実味を帯びてくる。 それを一概に馬鹿々々しいと言ってしまえる日本人は、果た して己の考えを正しいと言い切っていいのか、自分たちの考 えこそが無知蒙昧の結果ではないのか、脳天気国民の日本人 にはそんなレヴェルからこの作品をアピールする必要があり そうだ。 原作の舞台劇と映画化の脚本も手掛けたトレイシー・レッツ は、1998年のトミー・リー・ジョーンズ主演作『追跡者』な どにも出演していたという俳優で、脚本家としては作品がタ イム誌選出の年間ベスト10にも選ばれたことがあるそうだ。 出演は、アシュレイ・ジャド、マイクル・シャノン、リン・ コリンズ、ハリー・コニックJr.。ちょっと癖のある顔ぶれ が強烈な演技を見せてくれている。なおシャノンは、原作の 舞台でも同じ役を演じていたそうだ。 物語を信じる信じないかは別にして、見事に舞台劇を観てい るという感じにもさせてくれる作品。その感覚も楽しめた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※ ※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※ ※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 今回は記者会見の報告から。 20年ぶりのシリーズ復活にして第4作の『ランボー/最後 の戦場』の公開を前に脚本、監督、主演のシルヴェスター・ スタローンと共演者2人による来日記者会見が行われた。 その模様はすでに各社報道でも紹介されているものだが、 ここでは少し補足させてもらうことにしたい。それはまず、 シリーズの次回作について、メキシコで現実に起きている女 性の行方不明事件を扱い、すでに500人以上が拉致されたと 見られる女性たちの救出に向かう内容にするという点だ。 ここまではすでに報道されているものだが、実は、会見で はその前にスタローンが邦題につけられた副題について通訳 の人に質問していて、通訳はそれに“final battlefield” と答えているように聞こえた。そこでスタローンは、次回作 の質問が出たときに、「もはやランボーが戦場に向かうこと はないと思う。しかし彼は常に戦うヒーローだから、今後は このような身近な問題でその能力を発揮するのだ」と説明し ていたのだ。 つまりこれは、配給会社が付けた副題にも花を持たせたも ので、なるほどと思わせる上手い回答だった。もちろん続編 の計画は実際にもあるのだろうが、ここではいろいろな状況 も判断しての発言という感じで、スタローンの気配りにも感 心させられた。 因にこの作品の原題は、ただ“Rambo”というだけだが、 これにはちょっと経緯がある。実は1982年の第1作の原題は 原作の小説に沿ったもので“First Blood”とされていた。 そして第2作では“Rambo: First Blood �供匹搬蠅気譟�第 3作で“Rambo �掘匹箸覆辰拭�つまり“Rambo”単体の原題 は今までにはなく、それが第4作にして初めて付けられたの だ。従ってそれなりの拘わりのある原題だったとも思える。 という原題の経緯だが、日本の場合は第1作の時にすでに 『ランボー』の邦題が付けられていたもので、今回の第4作 を直訳では第1作と同じになってしまう。そこで『ランボー /最後の戦場』という邦題になっている訳だが、上記の発言 では、この邦題に対しても、スタローンから直々のお墨付き を貰えたという感じになったものだ。 ただし、これで次回作が出来ても邦題はOKだが、原題の 方は一体どうするのだろう。ちょっと気になるところだ。 * * ところで、『ランボー/最後の戦場』の日本配給はギャガ ・コミュニケーションズが行うが、実はこの会見の直前に、 同社の配給で3月9日付で特別映像を紹介した『センター・ オブ・ジ・アース3D』の公開が延期になったことが報じら れた。そこで会見の前に個人的にギャガの担当者を捉まえ、 そのことを質問してみた。 その回答によると、実は全国的な3D上映を目指して、デ ィジタル館以外でも3D上映できるシステムを検討したが、 結局、2種類の上映形態を実施するのは、フィルムの準備な どでかなり経費が増大することが判明した。それなら今秋以 降ディジタル館の館数が拡大するという情報もあり、特に、 来年3月以降には3D映画の公開も相当に増えるので、その 直前のお正月映画として公開するのがメリットが大きいとい う判断になったそうだ。 僕自身、ディジタル以外の3D上映を併用するのは画質の 点などで危惧もあったので、この判断は正しいと考えるが、 担当者氏は、「公開は必ずしますので、よろしくお願いしま す」とのことなので、それまでじっくり待つことにしたい。 なおディジタル化の進んでいるアメリカでの公開は予定通り 8月末に行われる模様で、その評価も楽しみなところだ。 * * 以下は、いつもの製作ニュースを紹介しよう。 まずは続報で、2007年3月15日付第131回で一度紹介した ブライアン・セルズニック原作の児童向けファンタジー小説 “The Invention of Hugo Cabret”の映画化に、2002年公開 『アイス・エイジ』を手掛けたクリス・ウェッジ監督の起用 が発表された。 そしてワーナーで進められているその製作に、ジョニー・ デップ主宰のプロダクション=インフィニタム・ニヒルが製 作会社として参加することも発表されている。 原作の物語は、1930年代のパリの鉄道駅を舞台に、父親の 跡を継いで駅舎の時計の修理を担当している少年が、不思議 な事件に巻き込まれるというもの。そこには父親の遺した壊 れたロボットなども登場するというものだ。そしてこの原作 に対しては、今年1月に発表されたアメリカ図書館協会選定 の児童文学賞で、ニューべリー賞の絵本部門に相当するコル デコット賞も贈られた。 因に、この賞では、過去にディズニーが中編アニメ化した “The Little House”や、すでに映画化された“Jumanji” “The Poler Express”、さらにスパイク・ジョーンズ監督 による映画化が来年公開予定になっている“Where the Wild Things Are”なども受賞しているものだ。 その原作を、今回の映画化では『スウィニー・トッド』な どのジョン・ローガンが脚色。以前の報告では、マーティン ・スコセッシの監督が予定されていたものだが、これは前回 も報告した諸般の事情で交替になったようだ。 なお新たに監督に決ったウェッジは、1998年度のオスカー 短編賞を受賞、長編作品では2005年『ロボッツ』の監督も手 掛けているが、いずれもアニメーションだったもので、今回 は初めて実写映画を監督することになる。 現時点でジョニー・デップの出演があるかどうかは不明だ が、主人公の少年役には注目が集まりそうだ。 * * ついでにジョニー・デップ関連の話題で、彼の出世作とも 言える日本未放映のテレビシリーズ“21 Jump Street”を、 劇場版リメイクする計画がコロムビアから発表された。 オリジナルは、1987年から91年まで5シーズンに亙って製 作されたもので、内容は、若い警官が学園に蔓延する青少年 犯罪を防止するために、最初は高校生となって潜入捜査に従 事するというもの。5シーズン続いた後半では、主人公は大 学生になっていたようだ。 その物語を、昨年大ヒットしたコメディ作品“Superbad” のジョナー・ヒルの脚本主演でリメイクする計画で、製作は 『スティルス』などのニール・モリッツが担当している。因 に、ヒルは全米公開中の“Forgetting Sarah Marshall”や “This Side of The Truth”などにも出演しているが、いず れもコメディ作品とのことで、本作もコメディ化される可能 性は高そうだ。 しかしながらコメディ作品は、アメリカで大ヒットしても なかなか日本では公開されず、その辺の状況も何とか打破し て貰いたいものだ。因に今回の製作には、テレビシリーズ当 時の製作者も名を連ねており、これでデップがカメオ出演で もしてくれると、日本公開の可能性も高まるのだが… * * お次は、メル・ギブスンによる2002年の『サイン』以来と なる主演作の計画が発表された。 計画されているのは“Edge of Darkness”という作品で、 内容は、活動家の娘を殺害された警官がその死の謎を追って 行く内に、組織的な汚職事件を解明することになる…という もの。ギブスンは娘を殺された警官役を演じる。 作品は、1985年にBBCで製作されたミニシリーズを原作 とするもので、そのオリジナルも手掛けた『カジノ・ロワイ ヤル』などのマーティン・キャンベルが映画版も監督。脚本 には『デパーテッド』でオスカー受賞のウイリアム・モナハ ンが起用されている。また製作も、『デパーテッド』のグラ ハム・キングが担当するものだ。 因に、ギブスンは原作ミニシリーズの大ファンだったのだ そうで、キングとキャンベルからのオファーには二つ返事で OKしたとのことだ。一方、ギブスンは『サイン』以降は、 『パッション』と『アポカリプト』の監督はしているが、映 画出演は、2003年“The Singing Detective”に準主役級で 出ている他は公式にはなく、またユダヤ人問題での舌禍事件 の後は多くの計画がキャンセルされたようだ。 しかし今回は、キングがそれを押してのオファーをしたと のことで、これを機会に過去の作品の全世界興行収入合計が 50億ドルを超えると言われるギブスンの復活が期待される。 ただし本作に関しては、キングが自費で製作を進めるとして いるもので、撮影開始は8月と発表されているものの、配給 会社等は決っておらず、まだ多少前途は多難なようだ。 * * アメリカの宇宙開発の初期に関った人々を描いた『ライト スタッフ』や、ブルース・ウィリス主演『虚栄のかがり火』 などの原作者トム・ウルフが、2004年に発表した小説“I Am Charlotte Simmons”の映画化を、アントニオ・バンデラス 主演『レッスン!』などのリズ・フリードランダー監督で進 めることが発表された。 原作は、1931年生まれのウルフが現代の大学生たちの繰り 広げる学園生活を描いたもので、この取材ためウルフは実際 に学生寮に長期滞在してその実態を観察したとされている。 このため会話などはかなり斬新なものになっているとのこと だが、実のところこの原作にはかなりの賛否両論があるもの で、その映画化にはいろいろな意味で注目が集まりそうだ。 製作と脚本は、1991年のケヴィン・コスナー主演作『ロビ ン・フッド』などを手掛けたジョン・ワトソンが担当。MT V出身のフリードランダー監督は『レッスン!』では手堅い 演出だったと思うが、さて今回はどのような作品が出来上が るか、楽しみなことだ。 * * ここからは、SF/ファンタシー系の情報を紹介しよう。 まずは“Iron Man”が爆発的なヒットとなったマーヴル・ スタジオから、2011年までの計画が発表されている。 それによると、エドワード・ノートン、リヴ・タイラー、 ティム・ロス、ウィリアム・ハート共演による第2弾“The Incredible Hulk”は、アメリカではユニヴァーサルの配給 で6月13日に公開される。 因に、この2作の日本公開はソニーの配給で行われること になっており、この内“Hulk”の公開は8月1日の予定で、 9月20日公開予定の“Iron Man”より先になる。アメコミの 映画化は、日本では微妙なところにあるが、いずれにしても 知名度の高い『ハルク』を先にするのは正解だろう。 そして本国での第3弾には、2010年4月30日の公開予定で “Iron Man”の続編の製作を進めることが発表された。実際 のところ第1作をまだ見ていない状況では、僕自身の判断は 出来ないが、実はこの続編製作の情報はアメリカでの第1作 公開の前日にすでに流されたもので、マーヴェルの自信のほ ども伺わせたものだ。 ロバート・ダウニーJr.、テレンス・ハワード、ジェフ・ ブリッジス、グイネス・パルトローら出演者の続編契約がど うなっているかは不明だが、もともと巨額の製作費が注ぎ込 まれる作品で、第1作がこのヒットなら問題はなさそうだ。 また2010年6月4日には、マシュー・ヴォーン監督による “Thor”の公開も予定されている。 この作品については、第111回、第115回などでも紹介して いるが、北欧神話に基づくスーパーヒーローが活躍するもの で、脚本は『ポセイドン』などのマーク・プロトセヴィッチ が担当。ストーリーには『ブレイド』などのデイヴィッド・ ゴイヤーが参加したという情報も一時流された。キャスティ ングは未発表だが、前2作並の大物起用が期待できそうだ。 そして2011年には、まず5月6日に“The First Avenger: Captain America”が登場。この作品についても第111回で紹 介しているが、元祖アメコミヒーローとも呼ばれる星条旗の コスチュームを纏ったスーパーヒーローがついにスクリーン に登場する。脚本は『X−メン2』などのザック・ペン。 さらに同年7月の公開予定で、そのCaptain Americaを初 め、Iron Man、Hulk、Thorも勢揃いする“The Avengers”の 計画も、ザック・ペンの原案で進められるようだ。 以上が2011年までの計画だが、実は、第111回の紹介では もう1本“Ant-Man”という計画も報告していた。しかし、 “Shaun of the Dead”などのエドガー・ライトの脚本監督 によりコメディ化して進められるその計画は、まだ公開時期 の発表には至っていないようだ。 一方、今回の発表では2009年の公開予定が抜けているが、 これは脚本家ストライキの影響で製作準備が整わなかったも ので、新興勢力としてはその辺の調整が難しかったようだ。 しかし直接配給を手掛けないのであれば、作品が1年間空い ても問題が生じることはない。 その他、マーヴェルの作品では“Spider-Man”“X-Men” “Fantastic Four”がソニーとフォックスで映画化されてい るものだが、この内“Spider-Man 4”に関しては、現在進行 中であることが明言されており、マーヴェルではかなり強力 に後押しをしているようだ。 * * 続いては1984年『グレムリン』などのジョー・ダンテ監督 の計画で、本格的なホラー映画を2本続けて撮ることが発表 された。 その1本目は“The Hole”と題された作品で、2人の少年 が自宅の地下室で偶然見つけた穴を探る内に、暗い恐怖に遭 遇する…というもの。脚本は、ケイト・ベッキンセール主演 『モーテル』などを手掛けたマーク・スミスが担当し、今夏 の終りごろの撮影予定となっている。 因に『モーテル』は、地下に掘られたトンネルなどの展開 が面白かった作品だが、同じ脚本家が超常現象系の本格的な ホラー作品でどのような手腕を見せてくれるか、ダンテの演 出共々楽しみなことだ。また、本作の製作者マイクル・リト ヴァックはダンテについて、「このジャンルでは伝説のよう な監督。彼はこの作品に絶妙な捻りを加えてくれるだろう」 と期待を寄せている。 そしてもう1本は“Bat Out of Hell”の題名で、危険な 貨物を運んでいた飛行機がハイジャックされたことに始まる 恐怖が描かれる。ドリュー・マクウィーニーとスコット・ス ワンの脚本で、今年の後半に撮影されるものだ。なお本作の 製作者には、『ファイナル・デスティネーション』などのウ ォーレン・ザイドが名を連ねている。 最近の作品は、2003年『ルーニー・チューンズ』、1998年 『スモール・ソルジャー』など、比較的軽い作品が多かった ダンテ監督だが、ここらできちっとしたホラーも見せてもら いたい。なお、この他のダンテ監督の関連情報では、前回も 報告したように、出世作とも言える『ピラニア』の3Dリメ イクが、『ハイテンション』などのアレクサンドル・アジャ 監督の手で進行中のものだ。 * * 今春開催されたニューヨーク・トライベカ映画祭で、グラ ンプリを受賞したスウェーデン映画“Lat den ratte komma in”(英題名:Let the Right One In)を、英語版リメイク 権を、イギリスのハマー・フィルムスと、ロサンゼルスに本 拠を置くスピットファイア・ピクチャーズが共同で獲得した ことが発表された。 物語は、12歳の少年と、その隣の家に住むヴァンパイアの 少女との初恋物語とのことで、一般映画も参加する大規模な 映画祭で、このようなジャンル映画のグランプリ受賞は珍し いものだ。因に、今回の映画祭には世界40カ国から120本の 参加があったとされており、審査は、『アバウト・ア・ボー イ』などの脚本家ピーター・ヘッジスや、『カサノバ』など の俳優オリヴァー・プラットらによって行われた。 という受賞作品のリメイクが行われるものだが、権利を獲 得したハマー・フィルムスというのは、1950年代、60年代に クリストファー・リーの『ドラキュラ』などで一世を風靡し たあのハマーのことで、実は、昨年オランダの投資グループ によって所有の権利が買収されて再建が行われているもの、 もちろんライブラリーからのリメイク権も多数保有している もので、今回の発表ではホラーの老舗が復活の狼煙を上げた ことにもなりそうだ。 * * ワーナーから、“The Ditch”と題されたオリジナル脚本 の権利を獲得したことが発表された。 この脚本は、MTVやドキュメンタリーの製作者サッシャ ・ペンが手掛けたもので、物語の背景は未来。木星の衛星に 設置された最高級のセキュリティを有する監獄を舞台に、看 守の家族が人質に取られ、その日に処刑の予定だったテロリ ストの解放が要求される…というお話だそうだ。 木星の衛星が舞台というと、1981年に公開されたショーン ・コネリー主演『アウトランド』が思い浮かぶが、宇宙西部 劇とも呼ばれたこの作品で、この領域はいわゆる辺境の町と いうイメージで使われていたものだ。それ自体安易な発想の ようにも思えるが、実際のところ小惑星帯の外側で、木星も 含めそれより先は土星、天王星、海王星など大惑星の領域と なると、そのイメージも間違いではないだろう。そんな辺境 を舞台に、今回はどんなドラマが展開されるのだろうか。 因にペンは、2005年にドイツで製作された“Antikorper” (Antibodies)という連続殺人鬼を描いたホラーサスペンス の英語版リメイクの脚色なども手掛けているようだ。 * * 『パイレーツ・オブ・カリビアン』などのゴア・ヴァビン スキー監督の計画で、“Bioshock”と題されたヴィデオゲー ムの映画化を、ユニヴァーサルで進めることが発表された。 オリジナルのゲームは、昨年発表されて200万本を越す売 り上げを記録し、さらに各種の賞も受賞するなど高い評価を 受けた作品だそうだ。その作品の映画化権をユニヴァーサル が獲得したものだが、その契約金額は数100万ドルとも言わ れ、これはマイクロソフト社とユニヴァーサル及びフォック スで結ばれた“Halo”の契約(500万ドル)に次ぐものと言 われている。 物語は、人々が自由な生活を送っている未来の海底都市を 舞台に、偶然の事故からその海底都市に隠された秘密が明ら かにされて行くというもの。ユートピアが崩壊して行くドラ マを描いたかなり物語性の強い作品とのことだ。 そしてその映画化を、ヴァビンスキーの製作監督で進める ものだが、脚本にはジョン・ローガンの起用も話し合われて いるとのことで、かなり大型の作品になりそうだ。少なくと も上記の契約金に見合うには、かなりの規模の作品になるこ とは間違いない。 製作時期などは未発表だが、注目して置きたい作品だ。 * * 最後にMGMの計画で、“Executive VP David M.Murch's Adventure in Zametherea”というオリジナルのコメディ作 品の権利を獲得したことが発表された。 この作品は、1999年に“Freak Talks About Sex”という 作品を発表しているピーター・スピークマンとマイクル・M ・B・ギャルヴィンのコンビが執筆したもので、現代版『オ ズの魔法使い』とも呼ばれている。 内容は、仕事重視で冷酷な証券マンの男性が、疎遠になっ ている10歳の息子を救出するため、子供の頃に訪れた魔法の 国を再訪しなければならなくなるというもの。そのままスト レートのドラマにしても良さそうなお話だが、さらにそれが コメディになっているようだ。 監督は未定だが、製作に『シューテム・アップ』を手掛け たリック・ベネイタールの名前があるのも気になる作品だ。 なおMGMでは、前々回紹介したように元ユニヴァーサル のメアリー・パレントを新代表に招いて、いろいろ活発に動 き始めているようだ。
| 2008年05月11日(日) |
近距離恋愛、ビルと動物園、カンフー・ダンク、マーキュリーマン、シティ・オブ・メン、ラストゲーム |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『近距離恋愛』“Made of Honor” 『魔法にかけられて』のジャック・デンプシー主演のラヴ・ コメで、先の全米興行では、第1週に超大作の『アイアン・ マン』に次ぐ第2位と健闘した。 大学時代からの親友同士の男女が、女性が別の男性との結婚 を決めたことから、近すぎた関係だった2人の感情に微妙な 変化が訪れる。映画を観ているときに、もはや死語かもしれ ない「初恋」なんて言葉を思い出した。 2人の出会いは最悪だった。ハロウィンで大騒ぎの大学で、 女性から貰ったメモを頼りに女子寮に潜り込んだ主人公が、 そこにはいないはずだったルームメイトの女性を間違えて襲 ってしまったのだ。 彼女はそんな大騒ぎの中でも浮かれず自己を守れるような、 ちょっとお固い感じの女性。でも、何となく馬が合ってしま った2人は、卒業後も交際を続けるが、生来がプレイボーイ の男性と卒業後は仕事一筋の女性は結婚なんて、端から考え ていなかった。 しかし、彼女がイギリス出張でしばらく会えなかったとき、 彼の心に何かが生じ始める。ところが出張から帰ってきた彼 女からは意外な報告が…出張先で現地の男性と恋に落ち、彼 と結婚するからその花嫁の介添え人を頼みたいと言うのだ。 その頼みに主人公は… 原題はMaid of Honorのもじりと判るが、何故Madeなのかは 不明。本来は男性にその役が回って来ることはないはずのも ので、その辺のすったもんだもお笑いの対象になっている。 それとアメリカ人のイギリスに対するコンプレックスみたい なものも面白かった。 ただし物語のメインテーマは、彼女の心を取り戻すために、 真の男になろうと努力する主人公を描いて行くもの。その涙 ぐましい努力が笑いと感動を呼ぶものだ。 物語の前半は、現代アメリカを象徴するような都会の背景か ら、後半はスコットランドの意外なほどに雄大な自然の中で 物語が進む。湖の辺の古城や教会など、そんな背景の美しさ も楽しめた。 共演は、『M:i:�掘戮離潺轡Д襦Ε皀淵魯鵑函▲�スカー監督 賞受賞者でもあるシドニー・ポラック。なお、共演「者」で はないが、主人公が犬好きという設定になっているため、何 種類かの犬が登場する。それがちょっと物語のキーになって いるのも、犬好きには嬉しい作品だった。
『ビルと動物園』 坂井真紀と小林且弥の共演で、現代生活の中で自己の目標を 見失った男女の出会いを描いた作品。短編映画で受賞歴のあ る齋藤孝監督の長編第1作。 男性は21歳、北関東の出身で音大に通う4年生だが、将来の 目標もなく、ビルの窓拭きのアルバイトの忙しさを理由に、 就職活動や教育実習も怠っている。そんな彼が、ある日、ビ ルのオフィスで働く女性と窓越しに目を合わせる。 女性は29歳、彼女も地方出身者で、実は上司との不倫関係に あったが、それも解消を迫られている。そして地元で一人暮 しの父親からは、地元の青年の見合い写真が送られてくるよ うになっていた。 そんな2人があるきっかけで交際を始めるが、なかなか解か り合えるまでには至らない。しかしお互いを思う気持ちが、 徐々に彼ら自身を変化させて行く。 題名は、主人公の同僚がビルの窓を動物園に見立てた発言を 元にしているが、その発想自体は物語にそれほど活かされて いる訳ではない。その発想自体で、もっとコメディな作品が あってもいいようにも感じたが、本作はどちらかというと真 面目に、現代に生きる若者の姿を描いたものだ。 僕自身は、東京には通えるところに生まれ育ったし、そのま ま結婚してしまったから、このような地方から来て一人暮し をしている人たちの寂しさとか不安などは良く判らない。そ んな目で見ていて、この人たちの姿は、羨ましくもあるし、 本当はそんなこと言っていられないほど厳しいものでもある のだろうか…とも思ってしまう。 結局、僕にはこの登場人物たちの心情などは、正確には理解 できていないのだろうなと思いながらも、何となく青春の一 途さみたいなものは、この映画の中に良く描かれていたので はないかとは思えたところだ。 正直には、最近の映画では、渋谷や新宿辺りを舞台にしたこ れが本当に今の若者の姿なのか…?と思ってしまうようなも のも観てきた目には、この純粋さはほっとするところでもあ ったし、本当はこうであって欲しいとも思ったところだ。
『カンフー・ダンク』“功夫灌籃” 『頭文字D』『王妃の紋章』のジェイ・チョウ、『暗いとこ ろで待ち合わせ』のチェン・ポーリン、『ツインズ・エフェ クト』のシャーリン・チョイの共演で、バスケットボールを 題材にしたVFXアクションコメディ。 主人公は、赤ん坊の時にバスケットコートの傍に捨てられ、 その後はカンフー学校で育てられたが、ある出来事から破門 させられる。しかし、飲料の空缶を遠くのごみ箱に投げ入れ るコントロールの良さを見いだされ、エージェントの差し金 で大学のバスケ部にスカウトされることになるが… スポーツを題材にしたVFXアクションコメディというと、 周星馳(チャウ・シンチー)の『少林サッカー』が思い浮か ぶところだが、基本的に題材にされるスポーツのルールが尊 重されていないと観ていて白けてしまうものだ。 その点、この作品ではチョウが以前からバスケットが好きだ ったとのことで、それなりにしっかりと作られている感じが した。それにゲームの決着の付け方に関しても、ちょっとし たセオリーもあってうまく考えられていたものだ。 しかも、そこにSF的な要素が付けられていたのは、単純な VFXアクションだけでは先行作を越えられないとの判断も あったのだろうが、それはかなり強引ではあるもののそれな りの辻褄は合っていて、ファンとしては楽しめたところだっ た。 ただ、『少林サッカー』は人間ドラマなどどこ吹く風で、そ れはそれで良かったが、本作はそれなりに人間ドラマを作っ ているのが、逆にその部分が多少物足りない感じがして、ち ょっと勿体無くも感じられた。 特に、エリック・ツァンが演じるエージェントとの関係は、 お互いにそこまで思い入れる理由付けがもう少し明白にあれ ば、多分感涙ものになったと思うのだが…。何かそれをした くないという意識でも働いたのだろうか。 バスケットボールのコミックというと、昔はハーレムクラウ ンズなんていう実演チームの来日パフォーマンスを観たこと もあるが、VFXではこんなパフォーマンスも実現できてし まう。そんなド派手なパフォーマンスが観られるのも面白い ところだった。
『マーキュリーマン』“มนุษย์เหล็กไหล ” 以前に紹介した「タイ式シネマ・パラダイス」とは別口で公 開されるタイ映画。 2004年『マッハ!』、2007年『ロケットマン』などのパンナ ー・リットグライがアクション監督を務めるタイ映画初(?) のスーパー・ヒーロー作品。古来から伝わる「太陽の護符」 を体内に納めた主人公が、金属と炎を操るマーキュリーマン となって活躍する。 古来から伝わる「太陽の護符」と「月の護符」。その2つが 合わさると途轍もない力が発揮されるという。その「月の護 符」が、アメリカへの無差別テロを企むテロリストの手でチ ベットの密寺から強奪される。 一方、ある偶然から「太陽の護符」を体内に納めることにな った主人公は、「月の護符」を追ってきた守護者の女性から その脅威の力を教えられる。しかし、それを自分の力として コントロールするためには、彼自身も修業を積まなくてはな らなかった。 こうして修業が始まるが、その間にもテロリストの魔手は、 徐々に主人公と彼の家族に迫っていた…という展開で、主人 公とテロリストとの死力を尽くした闘いが描かれる。そして その闘いのメインとなるのがムエタイなどの格闘技、という 作品だ。 しかもこの格闘技を演じるのが、主には女性というのも見所 の作品で、テロリストの右腕役と「月の護符」の守護者役の 女優2人が見事な格闘技を見せてくれる。タイ女優のアクシ ョンの良さは他の作品でも確認済みだが、この作品でもそれ は堪能できる。 もちろんその格闘技は、リットグライの手で演出されたもの ではあるが、かなりハードに見事に演じられている。実は、 主演男優と女優の1人は本業がモデルとのことで、体型を維 持するための鍛練がアクション演技に活用されているのだそ うだ。 もう1人の女優は元々がテコンドーの名手ということだが、 こちらもモデル顔負けの風貌でいずれもスター性のある俳優 たちと言えるものだった。 その他は、タイ映画には定番のオカマキャラも登場するが、 こちらは元ムエタイ選手で、競技で得た賞金で手術を受けた と言う本物。その半生は、2005年に日本でも公開された映画 『ビューティフルボーイ』の元になっている人だそうだ。 この作品も、人間ドラマにはちょっと物足りなさもあるが、 アクションは本物が楽しめる作品となっている。
『シティ・オブ・メン』“Cidade dos Homens” リオデジャネイロのスラム街=ファヴェーラを舞台に、幼く して銃を持ち、危険なギャングとしての生活を送る子供たち の描いた2002年フェルナンド・メイレレス監督作品『シティ ・オブ・ゴッド』の兄弟編とも呼べる2007年の作品。 オリジナルは、2002年の東京国際映画祭で上映され、翌年に 日本公開もされている。ただし本作に関しては、2002年から 05年にブラジルで同名のテレビシリーズが製作されており、 その続きという性格が強いものだ。 その本編の舞台は、Dead End Hillと呼ばれるリオデジャネ イロの丘陵地区のスラム街。主人公のアセロラとラランジー ニャは、そこで兄弟のように育ってきた。この2人を『…ゴ ッド』にも出ていた当時の子役が演じているが、役名は異な っている。 この他にも共通して出演している俳優は複数いるが、いずれ も役名は異なっている。因に『…ゴッド』は、リオの西部に ある平地のスラム街を舞台にしていたもので、本作とは舞台 も異なっているものだ。 ということで、『…ゴッド』との関連性はちょっと希薄なも のだが、そこで展開される物語は、『…ゴッド』と同様の貧 困とギャングたちに囲まれて、毎日がサヴァイヴァルという 極限の生活。そんな物語が今回も展開される。 ただし前作では、スラム街で行われている麻薬取り引きを背 景に、それに伴うギャング団の抗争がヴァイオレンスたっぷ りに描かれた。それに対して本作では、麻薬の存在はかなり 希釈されて、縄張り争いが抗争の原因とされている。 これはテレビシリーズとの兼ね合いもあるのだろうが、これ により抗争している若者たちの間には、特に込み入った話も なく、すっきりとした物語になっている。とは言え銃撃戦な どは迫力満点に仕上げられているものだ。 そんな全体の物語の中で、主人公のアセロラには18歳にして 2歳の息子がおり、一方のラランジーニャは生き別れた父親 を探している。そして物語の中で2人は、それぞれが未来に 向かっての岐路に立たされて行くことになる。 『…ゴッド』はかなりネガティヴな面も強く、それはそれで 見事な作品だったが、本作はそれよりも未来に向かうポジテ ィヴな面も描かれて、全体的な印象は好ましい感じの作品に なっている。 とは言え、描かれる彼らの生活は強烈で、その描写の多くは 実話に基づいているということでは、『…ゴッド』と同様か なり衝撃的な作品ではある。 日本とはかなりかけ離れた社会の物語ではあるが、世界には まだこんなこともあるのだということを教えてくれる作品。 しかしそこで繰り広げられる友情の物語は、どんな世界にも 不変のものだ。
『ラストゲーム/最後の早慶戦』 1943年10月21日、雨の降り頻る明治神宮外苑競技場で行われ た学徒出陣式(出陣学徒壮行会)。それは、それまで大学生 に認められていた兵役の猶予を停止し、当時10万人いたとさ れる大学生の多くを戦地に送り出すものだった。 その出陣式の5日前の10月16日に、東京早稲田の戸塚野球場 で早稲田大学野球部対慶應義塾大学野球部の対抗試合が行わ れた。その年の4月には東京六大学リーグが解散させられて おり、それは学徒出陣を前にした「最後の早慶戦」だった。 この野球試合が実現されるに至る物語が、早稲田大学野球部 顧問飛田穂洲を中心に描かれる。その経緯は、関係者には知 られた事実かも知れないが、僕のような部外者にはいろいろ と興味深いものだった。 飛田は、学生野球の本分は練習にあるとの信念から、試合の 出来る見込みのない部員たちに練習を続けさせていた。従っ て、飛田自身は再び野球が出来るとは考えていなかったよう だ。しかし学徒出陣が決まり、部員たちに思い出を残してや りたいとは考えていた。 その思い出作りのチャンスは思いも掛けぬ方向から舞い込ん でくる。慶應義塾大学塾長の小泉信三が早慶戦の申し入れを してきたのだ。その試合は、最初は神宮球場で行いたいとい う話だった。 ところが、その計画に早稲田大学総長田中穂積が反対する。 それは一つには、観衆が5万にもなるかと予想される人々を 一カ所に集めるのは、戦時には敵の格好の攻撃目標になる心 配。今一つは、すでに軍部から目を付けられている早稲田大 学自体を案じてのことだった。 こうして計画は潰えたかに見えたが… 各人の思惑が明白で、その考え方も理解できるし、その辺は 実に判り易く作られた物語となっている。その他の登場人物 も含めた心の変節も、そこにはそれぞれ決めせりふみたいな ものもあって、納得が行くように描かれていた。 それはこの種の物語では定番の描き方かも知れないが、それ を真正面から描いた心地よさも感じられる作品。応援団のエ ールの交換や、その感動から間なしに展開される過酷な戦時 の姿など、物語の構成も見事な作品だった。 反戦的な意味合いも強く、その点でも評価できる作品だ。
| 2008年05月04日(日) |
ランボー最後の戦場、グーグーだって猫である、アクロス・ザ・ユニバース、スカイ・クロラ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ランボー最後の戦場』“Rambo” 1982年から88年に3作品が製作された『ランボー』シリーズ の20年ぶりの第4作。なお本シリーズでは初めてシルヴェス ター・スタローンが監督も務めている。 第1作ではアメリカ国内で帰還兵の怒りを描き、第2作はヴ ェトナムを舞台に未帰還兵の奪還を行う。そして第3作では アフガニスタンでソ連の軍団と戦ったジョン・ランボー。そ のランボーが第4作で登場するのはビルマ国境のジャングル 地帯。 ここでランボーは、小さなボートを操り、蛇を採集するなど して静かに暮らしていた。ところがそこに、ビルマのカレン 族に医薬品を届けようとする宗教家の1団が現れる。その熱 意にほだされたランボーは、彼らを危険な川の上流に送って 行くことにするが… それから何日かたったある日、1人の男が現れ、先に送られ たグループが帰還しないため傭兵を雇ってその奪還に向かう から、彼らを送った先まで連れて行ってくれと頼まれる。そ してその依頼を受けたランボーの内には、フツフツと戦士の 血が滾り始めていた。 極めて微妙な地域を舞台にした作品だが、映画自体は戦争ア クションとして普通に楽しめる娯楽作品になっている。ただ その背景は多少なりと描かれてはいるもので、注意して観て いればミャンマーの現状も垣間見えてくるものだ。 それは、今年1月に紹介した『ビルマ、パゴダの影で』では 描き切れなかった部分が、ここに再現されているとも言える 作品になっている。とは言っても、娯楽作品の範囲であるこ とは変わりないものだが、そんな制約の中では良くやってい る方だろう。 正に秒殺と言えるランボーのテクニックなどは健在で楽しめ るし、また今回は撮影にタイ映画のスタッフが加わったよう で、その物量を掛けた戦闘シーンにも見応えがあった。 共演は、『バイオハザード3』や『アナコンダ2』にも出て いたマシュー・マースデン、次回“Saw V”に出演している ジュリー・ベンツなど。 因に、本作の日本公開ではR−15指定を受けることになって いる。これは地雷爆発のシーンなどがリアルに描かれている ためで、それは修正することもできたが、これらのシーンは 映画がミャンマーの実情を描くために必要なものだとして、 あえて修正せずにそのまま公開に踏み切るとのことだ。 ただし、原語の台詞でははっきりとBurma(ビルマ)と発音 されているものが、字幕ではミャンマーとなるのは、政治的 に仕方がないことのようだ。
『グーグーだって猫である』 大島弓子原作の自伝的エッセイ漫画の映画化。原作は現在も 角川書店発行『本の旅人』に連載中とのことだ。 東京の吉祥寺を舞台に、人気漫画家の許にやってきた猫と、 漫画家やそのアシスタントたちの生活が描写されて行く。 その漫画家は、サバと名付けた猫を10年以上に亙って飼って いたが、ある締め切りに追われて徹夜した日に、その猫は誰 にも看取られないまま死んでしまう。そのショックで腑抜け のようになってしまった漫画家は、やがてグーグーと名付け る別の猫を飼うが… この猫を縦糸に、漫画家の淡い恋物語やアシスタントの決心 などが、井の頭公園や動物園などの四季の風景と共に描かれ る。また、吉祥寺の街もいろいろ描かれ、ちょうど試写会の 前日にサトウのメンチを食べたばかりの僕には、特に嬉しい 作品だった。 出演は、漫画家役に小泉今日子、そのアシスタント役に上野 樹里。他に、加瀬亮、林直次郎、お笑いトリオの森三中、小 林亜星、松原智恵子らが共演。また『SAYURI』で主人 公の少女時代を演じた大後寿々花も出演している。 脚本・監督は、『ジョゼと虎と魚たち』や『メゾン・ド・ヒ ミコ』の犬童一心。監督は年1作程度のペースで撮っている ようだが、僕が観たのは上記を含めて3作目で、前2作がか なり強烈なキャラクターの登場する作品だったのに比べると 大人しい作品に観えた。 それでも、基調となる人への思いやりの様なテーマはしっか りと描かれているもので、それは心地よいものだった。それ に以前に猫を飼っていた身としては、登場する猫の愛らしさ には思わず相好を崩してしまうものだ。 因に犬童監督は、1982年『赤すいか青すいか』、99年『金髪 の草原』に続いて3作目の大島原作の映画化となるもので、 試写会の舞台挨拶でも大ファンと称していたが、それは確か なようだ。 一方、主演の小泉も大島のファンとのことで、また自身が猫 好きであることも本作には良い効果をもたらしているように 見える。 なお、映画の物語は原作者の年譜に従うと1995年から98年頃 を背景にしているものだが、ここには生きる勇気などが凝縮 して描かれている。
『アクロス・ザ・ユニバース』“Across the Universe” 『ライオン・キング』のブロードウェイ・ミュージカル版を 手掛け、映画では『タイタス』『フリーダ』を監督している ジュリー・テイモアが、満を持して映画ミュージカルに挑戦 した作品。しかも登場する33の楽曲が、全てビートルズとい う画期的な作品だ。 物語の背景は1960年代。主人公はリヴァプール!!の造船所で 働いていたが、ある日職を辞してアメリカ行きの貨物船に乗 り込む。一方、アメリカの若者たちは義務兵役でヴェトナム 戦争に狩り出され、日々その戦死者が増加していた。 そんな時代、アメリカにたどり着いた主人公は1人の青年と 意気投合し、彼の両親の家で開かれる感謝祭のディナーに招 かれ、そこで青年の妹と巡り会う。 やがて、ニューヨークにやってきた主人公と青年は、女性歌 手のコンドミニアムで共同生活する若者たちのコミューンに 加わり、そこでいろいろな出会いと別れを経験することにな る。こんな物語が、ビートルズの数々の名曲に乗せて綴られ て行く。 1960年代。音楽やアートに若者文化が勃興し、もしかすると 若者が最も元気だった頃かも知れない、そんな時代の若者た ちの物語。しかし、そこにはヴェトナム戦争が影を落とし、 反戦運動や学園紛争も起き始めている。 監督と原案も務めたテイモアは、1952年生まれということな ので、1960年代にはちょっと出遅れているかもしれないが、 そんな彼女が多分憧れを感じて見ていた時代を描いているの だろう。そんな気分は1949年生まれの僕には痛いほどに判っ た気がした。 ちょっとドラッグや、ちょっとセックスも登場するが、若者 が今よりもっと純粋で希望を持ち、何かしようと、何かでき ると思っていた時代。そんな素晴らしい時代が描かれる。そ してそこには素晴らしい恋も待っている。 主演は、この作品の後に『ラスベガスをぶっつぶせ』に抜擢 されたジム・スタージェス、『敬愛なるベートーベン』など のジョー・アンダースン、『シモーヌ』『ダウン・イン・ザ ・バレー』『ママが泣いた日』などのエヴァン・レイチェル ・ウッド。 その他、脇役には、本業は歌手やダンサーのデイナ・ヒュー クス、マーティ・ルーサー・マッコイ、T.V.カーピオらが 配されている。さらに、『フリーダ』のサルマ・ハエック、 ミュージシャンのボノ、ジョー・コッカーらのゲスト出演も 見ものだ。 それにしても、ビートルズの楽曲が見事に当時の世相を切り 取っていたことが、この作品で良く判った。その歌詞の意味 を改めて理解できたのも嬉しかった。 ただし、主人公の名前がジュードというのは、どう考えても ネタバレになる気がする。 それから、クライマックスにはAll You Need Is Loveが流れ るが、そこにShe Loves Youが挿入されるのは、多分BBC の世界同時中継Our Worldの時と同じタイミングと思われ、 当時の生放送を見ていて喝采した記憶のある者としては、嬉 しい再現だった。
『スカイ・クロラ』 『攻殻機動隊』押井守監督による、劇場用のアニメーション では2004年の『イノセンス』以来となる新作。森博嗣原作の 小説シリーズからの映画化で、我々の住む地球と似ているが ちょっと違う星の物語。 青空に白い雲の浮かぶ中を単座の戦闘機に乗った若者が、新 たに配属された航空基地へと降り立つ。その基地では彼が乗 ってきた戦闘機は回収され、新しい(?)機体が用意されて いる。 その基地には3人の先任パイロットがいる。また、若い女性 の基地司令も以前は戦闘機に乗っていたらしい。そして彼は 敵戦闘機との戦いの任務につく。そんな戦いの合間には、戦 友と酒を酌み交わし、娼館で女を抱く、普通の戦時の生活が 繰り広げられるが… やがて物語が進む内に、彼らがキルドレと呼ばれ、思春期の まま年をとらない存在であることが明らかにされる。そして 彼らが死を迎えるのは、戦闘中の戦死だけであることも。 原作は、すでに5冊が刊行されているほどの人気シリーズで あるらしい。このような代理戦争ものはSFでは珍しくはな いし、本作のどこが(何が)評判になっているのかも、僕に は判っていない。 ただ、プレス資料によると、押井監督はこの原作に、サリン ジャーの小説のような若者の生き様を感じたとされている。 そして監督は、2005年『春の雪』を手掛けた当時23歳の新鋭 伊藤ちひろを脚本家に招請し、若者の視点で脚色することを 求めたようだ。 従ってこの作品は、SFの視点では語られていない。ここに あるのは、一種異様なシチュエーションの中で生きる若者た ちの姿だ。 ただし、そこで彼らが直面するのは、どうにも越えられない 壁に対抗する空しさであったり、そこから生じる厭世感であ ったり…。それらは現代の若者にも通底するものでもあるの かもしれない。そんなところが、この原作の魅力なのかなと も思わせた。 SF的なシチュエーションの作品ではあるし、そのシチュエ ーションはそれなりに面白いものではある。しかしそのSF 的なシチュエーションは映画の中では明確にされない。この ため、この映画をSFで評価するのはかなり難しそうだ。 でもまあ、しち面倒臭いSFなどは元々制作者の眼中にない のだろうし、それはそれで一般的な青春映画として観れば、 それでも良いのではないか…と思わせる作品にはなっている ものだ なお声優は、菊池凛子、加瀬亮、栗山千明、谷原章介らが担 当している。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※ ※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※ ※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ まずは、ファンには待望のこの情報から。 前々回、ワーナー+ニューラインの記事でも触れた『LO TR』の前日譚“The Hobbit”の映画化について、『パンズ ・ラビリンス』のギレルモ・デル=トロ監督の起用が正式に 発表された。なお、この正式発表は4月24日に行われたもの だが、デル=トロ監督が数日前からファンサイトへの書き込 みで、状況を匂わす暗号文を提示するなど、大いに盛り上が っていたものだ。 そして映画化は、まず原作者JRR・トーキンが執筆した 『ホビットの冒険』に基づく第1部と、その結末から『旅の 仲間』に繋ぐ60年間を描く第2部が創作されて、2部作にな るとのこと。製作はニューラインとMGMの共同で行われ、 アメリカ国内の配給はワーナー、海外の配給はソニー傘下の MGMが担当する。 一方、キャスティングは未発表だが、前々回も紹介したよ うに魔法使い灰色のガンダルフ役には、2部作の製作総指揮 を担当するピーター・ジャクスンとフラン・ウォルシュが、 「イアン・マッケラン抜きには考えられない」と発言してお り、マッケランも、「俳優として、そのように言われるのは 名誉なこと、2009年のスケジュールは空けてある」としてい たものだ。 そして今回の発表に関連して、マッケランの反応も紹介さ れていたが、それによると、「ギレルモが同席している場所 でピーターからオファーを受けた。自分が再びガンダルフを 演じるのは間違いない。ギレルモは、製作中の“Hellboy2” を終えた後に脚本の執筆に取り掛かり、それに6週間を掛け るようだ」としている。 以前の情報では、ジャクスンが自らのアイデアに基づいて 脚本を手掛けるという話もあったが、現状のスケジュールで はそれも儘ならなかったようだ。しかし、それがデル=トロ なら信用できるところで、特に“The Hobbit”は、本来が子 供向けに書かれた物語であることを考えると、『パンズ…』 のイメージはジャクスンより適任ではないかとも思える。た だし、前述のマッケランの発言の続きによると、「ギレルモ はまだ具体的なことは何も話してくれていない」そうだ。 ところで、“The Hobbit”では、ガンダルフは60歳以上若 返らなくてはならない訳だが、元々が魔法使いの役ではあま りその辺は気にしていないようだ。因に、『X−メン3』で は若返りのVFXも体験したマッケランだが、現在計画中の “X-Men Origins: Magneto”に関しては、「いくらなんでも 19歳の役はね…」としていた。 撮影は2009年にニュージーランドで開始、公開は2010年、 2011年に連続で行う計画となっている。 * * お次も待望の情報で、2006年に公開されて世界的なヒット となったミステリー大作『ダ・ヴィンチ・コード』と同じく ロバート・ラングドン教授を主人公にした作品で、原作者の ダン・ブラウンが先に発表していた“Angels & Demons”の 映画化が、前作と同じトム・ハンクス主演、ロン・ハワード 監督で6月5日に撮影開始されることになった。 原作の物語は、2006年6月1日付第112回でも紹介してい るように、世界を破滅させる力を持つ反物質の研究をしてい た物理学者が殺害され、その技術が対立する宗教家グループ の手に渡ってヴァチカンが脅迫される。一方、殺された学者 の娘から事件の解明を依頼された教授は、お得意の暗号解読 の能力を駆使して事件に取り組むが、それは宗教の裏に潜む 巨大な陰謀を暴くことに繋がって行く…というものだ。 先の映画化ではヴァチカンから異端の内容と批判されたも のだが、本作ではそのヴァチカンを救うことになるのかな? 脚色も前作と同じアキヴァ・ゴールズマンが担当している。 そして本作のヒロイン役に、2006年の『ミュンヘン』や、 今春公開された『バンテージ・ポイント』にも出演のイスラ エル人女優アイェレット・ゾラーの起用が発表された。因に このヒロインの配役には、一時はナオミ・ワッツが発表され ていたが、脚本家ストライキによる製作の遅れでスケジュー ル調整ができなくなったとしてキャンセルされていた。 さらに、教授の協力者の役でユアン・マクレガーの共演も 発表されたようだ。 現状では、物語がPrequelになるのか、それともSequelな のかも明らかにされていないが、それとは別にハンクスが、 前作と同じ髪型で登場するかどうかも注目になりそうだ。全 米公開は2009年5月15日に予定されている。なおコロムビア が所有する映画化権は、原作者との間でシリーズ第3作まで 契約されているものだ。 * * キリスト教に絡む題材の作品が目に付くが、お次は16世紀 初めに興った宗教改革を背景にしたアクション・アドベンチ ャーの計画が発表された。 この計画は、ハヴィエル・ロドリゲスが執筆したオリジナ ル脚本“The Heretic”に基づくもので、その映画化権を、 『ゾディアック』などのフェニックス・ピクチャーズが契約 している。 物語は、元司祭だったが墜ちて殺し屋となった主人公が、 ローマ大司教の密命を受けて、宗教改革の旗手だったドイツ の神学者マルティン・ルターの暗殺に向かうというもの。因 に史実によればルターは62歳まで生きているので、物語では その暗殺未遂に絡むいろいろな裏事情が描かれることになる ようだ。 監督やキャスティングは未発表だが、フェニックスでは、 タイミング的に今が題材の旬と考えているようで、映画化は 緊急に進めるとしている。16世紀は、いわゆるルネッサンス 時代ということでもあり、出来たらその時代の文化の再現も 楽しめる作品にして欲しいものだ。 なおフェニックスでは、2007年11月1日付第146回で紹介 したレオナルド・ディカプリオ主演、マーティン・スコセッ シ監督によるミステリー作品の“Shutter Island”が撮影中 の他、ジョン・キューザック、渡辺謙、コン・リー共演で、 1941年の中国本土を舞台にしたアクション作品“Shanghai” の撮影が近日中に開始の予定になっている。 * * 『ジェシー・ジェームスの暗殺』でオスカー候補になった ケイシー・アフレックが、今度は同作で製作を務めたリドリ ー・スコットの監督作品に主演する計画が発表された。 作品は、2000年にサム・ライミ監督で映画化されたホラー ・ミステリー『ギフト』も手掛けた脚本家のトム・エパーソ ンが、今年1月に小説として発表したもので、題名は“The Kind One”。1930年代のロサンゼルスを舞台に「親切な奴」 というニックネームで呼ばれた記憶喪失の殺し屋と、彼が恋 した女性の物語とのことだ。 記憶喪失ものは、次から次へとブームのようになっている 感じだが、この計画については、『ジェシー…』も担当して 本作の共同製作も務めるジュールス・デリーから、「今まで リドリーが手掛けたことのない題材なので、彼がどう料理す るか楽しみ」という発言もあって、いろいろ興味深い作品に なりそうだ。 なお、リドリー・スコットの監督作品では、レオナルド・ ディカプリオとラッセル・クロウ共演で、イラク戦争を背景 にCIAの活動を描く“Body of Lies”が、既に撮影を完了 して今秋ワーナーから公開予定になっている。それにしても ディカプリオは、次々に出演作が続くようだ。 * * 『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』に も出演のシャイア・ラブーフが、ユニヴァーサルで進められ ている“Dark Fields”というテクノスリラー作品に主演す ることが発表された。 作品は、アラン・グリンという英国作家が2001年に発表し たデビュー作に基づくもので、原作には「ブレイン・ドラッ グ」という邦題で翻訳もあるようだ。その物語は、謎の錠剤 を飲んだ若者が瞬く内に仕事で成功を納めるようになるが、 やがて彼は手酷いしっぺ返しを受けることになる…というも の。因に原作は、英国推理作家協会の処女長編賞の最終候補 にも残ったとされている。 そして今回の計画では、1999年の『トーマス・クラウン・ アフェア』や2000年の『ペイ・フォワード』、さらに2007年 のミュージカル版『ヘアスプレー』などを手掛けた脚本家の レスリー・ディクストンが自ら映画化権を獲得して脚色と製 作も担当するもので、脚本家は自ら製作も担当することにつ いては、「映画の全体をコントロールできる立場にいたいか ら」と発言している。 そして本作の監督には、今年3月9日付で紹介した『幻影 師アイゼンハイム』のニール・バーガーの起用が発表されて いる。この監督の才能については、映画の紹介文の中でも高 く評価したつもりだが、今回の状況では、監督と脚本家/製 作者との意見がぶつからないことを祈りたいものだ。 * * ソニー傘下のコロンビアが、ジョニー・ローゼンタールと いう脚本家による“Iron Jack”と題されたオリジナル作品 の映画化権を、MGM、CBS、スパイグラスなどとの争奪 戦の末に、200万ドルで獲得したことが発表された。 内容は、1930年代を舞台に、人気作家が伝説の宝物捜しを 行うというもの。ジャンルはアクションアドヴェンチャーと いうことだ。 因にローゼンタールは、まだ映画化が実現された長編作品 はないようだが、パラマウントでアレック・ボールドウィン 主演による“Friendly Skies”というコメディ作品が製作準 備中になっており、さらにファミリーコメディのテレビシリ ーズも手掛けているとのこと。その路線からは、本作もアド ヴェンチャーコメディという可能性は高そうだ。 ただ、上記の設定だけを聞くと、1984年に公開されたロバ ート・ゼメキス監督、マイクル・ダグラス、キャスリーン・ ターナー、ダニー・デヴィート共演の『ロマンシング・スト ーン』を思い出しそうだが、争奪戦まで行われたというのな ら、それなりのオリジナリティはあるのだろう。楽しい作品 を期待したい。 それにしても、何もコロムビアがMGMと争奪戦をしなく てもいいと思うのだが… * * ここからは、SF/ファンタシー系作品の話題を中心に紹 介しよう。 まずは、トム・クルーズ/ポーラ・ワグナー率いるユナイ テッド・アーチスツ(UA)が、すでに2009年までの放送が 決定している人気SFシリーズ“Battestar Galactica”の 脚本家/製作者ロナルド・D・モーアと、SF映画3部作の 立案及び脚本の契約を結んだことが発表された。 この作品の具体的な内容について、UA側は情報を開示し ていないが、モーアは“Star Trek: The Next Generation” (新スタートレック)シリーズの脚本と、後半は共同製作者 としても活躍した人であり、その他にも、映画版の『スター トレック/ジェネレーションズ』や、『ファーストコンタク ト』など、ファンをニヤリとさせる作品を手掛けていて、彼 が手掛けるSF映画なら期待を持ちたいところだ。 またモーアは、クルーズの主演でジョン・ウーが監督した 2000年『M:I-2』のオリジナルストーリーも手掛けていたも ので、今回の契約はその関係で結ばれたようでもある。この 点についてワグナーは、「モーアがその才能を映画界にもた らしてくれることに期待する。そしてそのパートナーに我が スタジオを選んでくれたことを歓迎する」というコメントを 発表している。 どんな作品が出てくるか、その規模や時期も未定だが、取 り敢えずは期待の膨らむ情報ということになりそうだ。 なお、クルーズ/ワグナーが率いるUAでは、すでに公開 された“Lions for Lambs”に続いては、“Valkyrie”の公 開が来年2月に予定されており、さらにジェシカ・ビール主 演の“Die a Little”という作品が準備中。また、ギレルモ ・デル=トロ監督によるSF作品で“The Champions”が計 画中となっており、これらの作品リストの中に今回のモーア の計画も組み込まれることになるようだ。 * * 1957年製作のSF映画の古典“The Incredible Shrinking Man”(縮みゆく人間)を、エディ・マーフィ主演でアップ デート/リメイクする計画がユニヴァーサルから発表され、 その監督を、『ラッシュアワー』シリーズなどのブレット・ ラトナーと交渉していることが報告された。 オリジナルは、『アイ・アム・レジェンド』の原作でも知 られるリチャード・マシスンが1956年に発表した原作小説を 映画化したもので、事故で放射能を浴びたことから身体が小 さくなり始めた主人公が、縮小が止まらないという究極の事 態の中で、最後まで人間の尊厳を失わずに困難に立ち向かっ て行く姿を描き、正に1950年代のSF黄金時代を代表する作 品の1本とも言われている。 その原作からは、1981年にリリー・トムリンの主演による 女性版“The Incredible Shrinking Woman”(縮みゆく女) も作られているが、実は僕自身の記憶では、恐らく著作権は 無視して製作されたと思われる1961年放送のテレビシリーズ “The World of Giants”(縮小人間ハンター)が、子供心 の印象に残っているものだ。 という名作のリメイクだが、今回は今年2月3日に紹介し た『燃えよ!ピンポン』や『ナイト・ミュージアム』などの ロバート・ベン・ガラントとトーマス・レモンが脚色を担当 しているもので、アップデートと同時にコメディでのリメイ クとなる。因に、過去の作品では1981年の女性版もコメディ 仕様だった。 なおこの計画に関しては、実は2003年10月15日付け第49回 でも題名だけ紹介していて、当時の計画では配給はソニーと なっていた。それが現在はユニヴァーサルとなっているもの だが、その間には監督も、ピーター・シーゲルやキーナン・ アイヴォリー・ワヤンスなどいろいろ取り沙汰されていたよ うだ。そして今回はラトナーということで、何とかこれで決 まりになって欲しいものだ。 * * 次もユニヴァーサルの計画で“Source Code”と題された 内容未公表のSFスリラーの監督に、オーストラリア出身の シェーン・アビスの起用が発表されている。 この計画は、2004年“Species III”と2007年“Species: The Awakening”を手掛けたベン・リプリーによるオリジナ ル脚本を映画化するもので、実は以前にも1度『スパイダー マン3』のヴェノム役=トッファー・グレイスの主演で進め ると発表されたことがある。その時の報道でも、物語の詳細 は隠されていたが、一部にはタイムトラヴェルが絡む話とい う情報もあったようだ。 しかしその計画はそのまま停滞していたようで、今回それ が再開されたものだが、すでにグレイスの主演はキャンセル されてしまっていた。従って、これからアビス監督の許では キャスティングから再検討されることになるものだ。 因にアビス監督は28歳、オーストラリアCF界の出身で、 2007年に20万ドルで自主製作した“Gabriel”と題されたゴ シックSFスリラー作品が、本国で120万ドルを稼ぎ出し、 この作品はアメリカではソニー傘下のスクリーン・ジェムズ が契約してDVD発売がされている。そして今回の作品で、 念願のハリウッド監督デビューとなるようだ。 製作は、2005年ヒース・レジャー主演『カサノヴァ』など のマーク・ゴードンが担当している。 * * 後は少し短いニュースを紹介しておこう。 まずはコロムビアが、“Battle: Los Angeles”と題され たオリジナル脚本の権利を獲得した。 この脚本は、1999年公開の『将軍の娘/エリザベス・キャ ンベル』を手掛けた脚本家クリストファー・ベルトリーニが 執筆したもので、内容は異星人の侵略を描いている。そして 本作で異星人はサンタモニカに上陸し、ロサンゼルスを目指 して東進してくるということだ。何ともローカルな設定の作 品だが、それだけリアルな映像化も求められることにもなる もので、CGIの時代には好適の作品と言えそうだ。 実は、先日公開された『クローバーフィールド』では、当 初の予告編の印象で侵略ものを期待したこともあって、本編 を観たときにはちょっとがっかりしたが、今度はそれが満足 できそうだ。コメディかシリアスかも定かではないが、サン タモニカ大通りを進軍してくる異星人軍団というのも映像が 浮かんで来そうで、出来るだけリアルなものを期待したいと ころだ。 * * 続いては、2005年12月29日付けで紹介した『ジャケット』 などのサミット・エンターテインメントが、“Arena”と題 されたアクションSFスリラーの脚本を契約した。 この脚本は、トビー・ワグスタッフとダレン・ハウェルと いう新人脚本家のコンビが執筆したもので、物語は、現代の 兵士のグループが不思議な力によって地球とは似て非なる風 景の場所に移動させられ、そこでいろいろな場所や時代から 集められた戦士たちと命を掛けた闘いをしなければならなく なる…というもの。 「アリーナ」テーマというのは、『宇宙大作戦』の第1シ ーズンにも同じ題名の付けられたエピソードがあるくらいの ものだが、グループ戦というのはちょっと新機軸になりそう で、またいろいろな場所や時代から集められた戦士たちとい うのも、地球の歴史の中からだと面白いものになりそうだ。 つまり現代の兵士たちは、スパルタ軍やモンゴル軍と闘うこ とになるのかな?でも、時代考証や、特に戦術の考証なども 大変になりそうで、頑張って良い作品を作ってもらいたいも のだ。 * * お次はリメイクで、1978年ジョー・ダンテ監督で映画化さ れた“Piranha”(ピラニア)ではなく、1981年ジェームズ ・キャメロン監督の長編デビュー作の“Piranha Part Two: The Spawning”(殺人魚フライングキラー)を、『ハイテン ション』などのアレクサンドル・アジャ監督で3Dリメイク する計画が発表されている。 オリジナルは、何と言ってもピラニアと飛び魚を合体させ るという凄まじいアイデアが見事に描かれたもので、そのピ ラニアが空中を飛んでガラス窓などを打ち破ってくる様は、 これは3Dで観たくなったものだ。もちろんそれは、1981年 当時の技術では難しかったが、今のCGI技術でなら充分に 実現できる。それをアジャ監督が行う。 因に、リメイクはR指定を承知で進めるとのことで、最近 の3D映画では初めてお子様の入場が制限される作品になり そうだ。製作はディメンション。全米公開は2009年7月24日 に決定となっている。 なお、これに伴いアジャ監督は、先に計画されていたスプ ラッターホラー“Silent Night, Deadly Night”のリメイク からは降板したようだ。 * * 最後にもう1本。 2004年のサンダンス映画祭などで評判になったSF短編映 画“Tomo”が、オリジナルを手掛けたポール・キャトリング 監督の手で長編リメイクされることになった。物語は、氷の 惑星に不時着した男女2人の宇宙パイロットによるサヴァイ ヴァル劇を描いたもの。オリジナルはサンダンスとボストン 映画祭でも批評家賞の受賞を果たしている。 その長編版は、イギリスに本拠を置くシーソー・フィルム スの製作で進められ、今年の後半にノルウェーとイギリスで 撮影されるとのことだ。なお製作者には、2007年のカンヌ映 画祭でカメラドールに輝いた『コントロール』なども手掛け たイーアン・カニングが名を連ねている。 イギリス公開は、2009年に予定されている。
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