井口健二のOn the Production
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2003年03月16日(日) Nセキュリティ、マイ・ビッグファット、めぐりあう時間たち、D.I.、メラニーは行く、ヤァヤァ・シスターズ、母と娘、Taxi��

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。       ※
※一部はアルク社のメールマガジンにも転載してもらって※
※いますので、併せてご覧ください。          ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『ナショナル・セキュリティ』“National Security”   
『バッド・ボーイズ』が評判の黒人スターのマーティン・ロ
ーレンスと、『クリムゾン・タイド』などのスティーヴ・ザ
ーン共演のバディコメディ。              
バディコメディというのは、男同士または女同士が反発した
り協力したりしながら話を進めるタイプのコメディで、ハリ
ウッド映画では昔からよく作られている形式の一つ。特に警
官ものに人気作が多いようだ。             
基本的には2人のキャラクターに魅力があれば、特別に大げ
さなアクションや特撮も不要で、どちらかというと、それほ
ど製作費を掛けないBムーヴィ的な作品に向いていると言え
る。そしてこの作品は、そんな系統としては典型的な1作と
言えそうだ。                     
一方は、警官志望だったが派手にやりすぎて警察学校を退学
になり、警官を逆恨みしている黒人男性。他方は、その男を
暴行しているかのように市民のヴィデオに撮影され、陪審員
裁判で有罪となって警官を退職させられた元白人警官。  
当然犬猿の仲の2人が、共に警備会社の警備員となり、とあ
る事件から警察内部の腐敗を察知し、その追求のために協力
していかざるを得なくなる。              
上にも書いたように大げさなアクションや特撮がある訳では
ないが、その分、物語が丁寧に作られているというか、上映
時間が1時間28分の割には起承転結のしっかりしたお話にな
っていた。                      
製作も兼ねるローレンスは、それなりに黒人らしい乗りの演
技をしているが、ザーンの方は、かなり屈折した設定で、ほ
とんどのシーンは苦虫をかみ潰したような感じ。それがまた
良いコントラストになっている。            
それほど製作費の掛かった作品とは思えないが、アメリカで
はそこそこの興行成績を上げている。アメリカ人がこの手の
作品が好きということもあるのだろうが、それなりにしっか
りと作られていることも評価されたのだろう。      
なお、タイトルは実在の警備会社の名前で、製作にも協力し
ているようだが、その辺の親しみ易さもあったのかも知れな
い。                         
                           
『マイ・ビッグファット・ウェディング』        
             “My Big Fat Greek Wedding”
ギリシャ系カナダ人女優ニア・ヴァルダロスが、自分自身の
結婚にまつわる実話に基づいて書き上げた舞台劇の映画化。
ギリシャ系の女性が非ギリシャ系の男性と結婚式を挙げるま
での顛末が描かれ、アメリカではすでに1年近いロングラン
で、興行収入2億ドルを越える大ヒットを記録。今年のアカ
デミー賞脚本部門の候補にもなっている。        
主人公は30歳独身の女性。典型的ギリシャ人の父親は、娘は
ギリシャ人の男と結婚して夫につくし、子供を3人生むもの
と決めている。彼女はもっと自立した女性像を目指している
のだが、現実は父親の経営するギリシャ料理店の手伝いをす
るしかない。                     
そんな彼女に転機が訪れる。またまた店にやってきた非ギリ
シャ人の男性に、一目で恋をしてしまったのだ。彼女は父親
を説得してコンピュータの講習に通い始め、叔母の経営する
旅行代理店を切り盛りするようになる。         
そんな彼女のところに、件の男性が再び現れ、二人は順調に
愛を育むのだが、父親は当然のように反対。しかしその苦難
にめげず、ついに結婚式に漕ぎ着けるまでの物語だ。   
描かれているのは、ギリシャ人と、ミラーという苗字が何系
かは知らないが、非ギリシャ系男性が繰り広げるカルチャー
ギャップの面白さみたいなもので、この手の可笑しさは、別
段それぞれのカルチャーを知らなくても充分に伝わるところ
だ。                         
というより、あまり深くないところでその可笑しさを描いた
ところに、アメリカでの大ヒットの要因があるような気がす
る。つまりその可笑しさは、日本人にも充分に伝わるはずの
ものということだ。                  
ニア本人が主演して、巻頭、ぶすの典型のような容姿で現れ
る主人公が、徐々にギリシャ彫刻のような美人に変身して行
く辺りも、映画の構成として見事に決まっている。    
                           
『めぐりあう時間たち』“The Hours”          
1923年、『ダロウェイ夫人』を執筆中のヴァージニア・ウル
フ。1949年、その『ダロウェイ夫人』を読みながら夫の誕生
パーティの準備をするローラ・ブラウン。そして2001年、文
学賞に選ばれたもののエイズが発病して死を間近にした詩人
のためにパーティを準備するクラリッサ・ヴォーン。この3
つの時代、3人の女性を巡る物語。           
少し前の『抱擁』でも、2つの時代を行き来する構成が使わ
れたが、この映画では3つの時代が交錯する。しかもこの作
品では、それぞれ時代に、ニコール・キッドマン、ジュリア
ン・ムーア、メリル・ストリープを配することで、本当に途
切れなく自在に時代を切り替えて行く。その手法は、小気味
よいほどに見事に映画的に決まっている。        
ヴァージニア・ウルフで象徴されるように女性のための作品
で、男の僕は蚊帳の外のようにも思えるが、それぞれの時代
に生きた女性達の思いは、それぞれ強く生きようとした姿で
あるだけに、男の僕にも理解できる感じがした。     
キッドマンが主演女優、ムーアが助演女優、それに詩人を演
じたエド・ハリスが助演男優にノミネート。特に、キッドマ
ン、ムーアの変貌ぶりは見事だ。            
他に、ストリープとローラの夫を演じたジョン・C・ライリ
ーは、それぞれ別の作品で助演賞の候補になっている。また
ムーアは別の作品で主演賞の候補にもなっており、とにかく
演技賞候補だらけの作品と言えそうだ。         
                           
『D.I.』“Yadon Ilaheyya”             
昨年のカンヌ映画祭にパレスチナ映画として初めて公式にエ
ントリーされた作品。映画祭では、国際批評家連盟賞及び審
査員賞をW受賞している。               
ナザレ、東エルサレム、ラマラとエルサレム間の検問所の3
地点を主な舞台に、いくつものコントを積み重ねて作られた
コメディ作品なのだが…。               
正直に言って僕は全く笑えなかった。というか、多分笑える
ところはあったのだけれど、その描き方が、妙に現実味があ
って、笑っていいのかどうか迷ってしまったのだ。    
例えばテロリストに火炎瓶を投げつけられても1本の消火器
で平然と消してしまう家がある。すると次にテロリストは、
その家に機関銃を乱射する、といった繰り返しギャグが登場
するのだが、これを見て笑うことが僕にはできなかった。 
だから、最後に突然展開される大アクションシーンは、それ
自体は笑っていいものだと思うのだが、それまでの経過を見
ていると笑いを躊躇してしまう感じなのだ。試写会場の全体
の雰囲気もそんな感じだった。             
当事者が作った映画なのだから、当然笑っていいはずだし、
カンヌで2冠というのは、それが評価されたのであろう。ヨ
ーロッパ人はこれを笑い飛ばせるのだと思うと、逆に距離的
には遠い我々の方が意識し過ぎてしまっているのかも知れな
い。ある意味、究極のブラックユーモアとして見ればいいの
だろうが…。                     
                           
『メラニーは行く』“Sweet Home Alabama”       
『キューティー・ブロンド』で大人気リース・ウェザースプ
ーン主演のコメディ。アメリカでは1億ドル突破の大ヒット
を記録した。                     
主人公のメラニーは、故郷アラバマの田舎町から家出同然に
ニューヨークにやって来る。そして新進デザイナーとして成
功を納め、キャンディス・バーゲン扮するニューヨーク市長
の息子から結婚を申し込まれるまでになるのだが…。   
彼女には10代で結婚し、現在も離婚に応じてくれない夫がい
た。彼女は、離婚届けに夫のサインを貰うため、数年ぶりに
故郷の田舎町に戻ってくる。そして彼女を待ち受けていたの
は、昔と変わらぬ田舎の暮らしだった。         
普通ではほとんどありえないシチュエーションで、これがな
ぜアメリカ人の共感を呼んだのか不思議な感じなのだが、映
画を見ると理解できる。何しろ脚本が上手いのだ。    
無茶苦茶無理な設定を納得できるように納めて行く手際の良
さ。しかも素性を隠している主人公にはそれがばれそうにな
る危機の連続。そして見事な結末。ハリウッド映画の典型を
見せられたような作品だ。               
宣伝コピーにあるように、主人公は目茶苦茶わがままと言え
ないこともないが、彼女なりに悩み苦しんでいる姿が気持ち
良く描かれているところにも、共感が得られたのだろう。男
性にだってこの気持ちは理解できるところだ。      
                           
『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密』         
      “Divine Secrets of the Ya-Ya Sisterhood”
サンドラ・ブロック、アシュレー・ジャド、エレン・バース
ティン共演の母と娘もの。               
ブロック扮するシッダは劇作家として成功し、雑誌のインタ
ビューで母の思い出を語る。しかし、子供の頃に母にベルト
で鞭打たれたと語ったことが大きく記事にされたことから母
親の逆鱗に触れ、電話口で大喧嘩になってしまう。    
そこに立ち上がったのがヤァヤァ・シスターズ。彼女の母親
を中心に結成された4人のメンバーの内、母親を除く3人が
彼女の元へ現れ、彼女を拉致して故郷の湖畔のロッジに連れ
行き、母親との和解の策を練り始めたのだ。       
原作の翻訳もあるようだが、その内容も知らず題名から想像
しただけで気楽に見に行った僕は、予想外の展開に思わず居
住まいを正してしまった。母親と娘の確執というのは、どこ
の国にでもある話なのだろうが、ここまで見事に描かれると
…。                         
確かに、シチュエーションはかなり特異なものになっている
が、そこに描かれているのは一歩踏み間違えればどこにでも
起こりうる話。原作がベストセラーという理由も良く判る感
じがした。しかも、見事にコメディのオブラートに包んでい
るのだ。                       
上記以外に、ジェームズ・ガーナー、マギー・スミスらが共
演、この顔ぶれでは、題名から想像されるようなお話である
はずがなかったのだ。主演というか、キャストのトップはサ
ンドラ・ブロックだが、アシュレー・ジャドの熱演が光って
いた。                        
                           
『母と娘』“Anak”                  
日本でもカバーされた70年代のヒット曲をモティーフにした
フィリピン映画。フィリピンでは00年に公開され、同国映画
史上歴代トップの大ヒットを記録したそうだ。      
主人公は香港に家政婦として出稼ぎに行っていた女性。6年
間の仕事を終えてようやくマニラに帰ってくる。その間、事
故死した夫の葬儀にも帰国を許されず、残した家族は、現在
は高校に通っている長女と長男、そして1歳の時に別れ7歳
に成長した次女。                   
しかし彼女は、空港に迎えに来た長男と次女を見つけること
ができず、長女は出迎えにも来ない。長女は父の葬儀に帰国
しなかった母親を許していなかったのだ。母親は6年間で貯
めた資金で事業を興し、もう家族の基を離れないと言うのだ
が…。                        
フィリピンの人口7650万人に対して、海外に出稼ぎに行く人
は500〜600万人と言われ、もはや一つの産業と呼べるもの。
しかしその陰でが多くの悲劇も生まれていることだろう。こ
の作品も取材された実話に基づいているということだ。  
映画の作りは古臭く、ハリウッド映画のような派手さはない
が、同じ東アジアの近隣の国がこういう現状にあることを、
我々はもっと知らなくてはいけないと感じた。      
                           
『Taxi ��』“Taxi 3”              
リュック・ベッソン脚本の人気シリーズの第3弾。    
スピード狂の主人公が運手するタクシー仕様のプジョー40
6が、今回は強盗団を追ってフレンチアルプスのゲレンデを
疾走する。                      
サンタクロースの服装をした強盗団が登場。彼らは全く証拠
を残さずに次から次へと犯行を繰り返す。その捜査で頭が一
杯のマルセイユ警察の刑事エミリアンは妻の異変にも気づい
ていない。                      
一方、スピード狂のタクシー運転手ダニエルは今日も徹夜で
愛車の改造に余念がないが、ついに愛想をつかした恋人のリ
リーは実家に帰ってしまう。              
そして今回、ダニエルが改造したプジョー406は、最高時
速300キロを突破。TGVも追い抜くスピードで町を疾走す
る、というお話。                   
今回の映画のアイデアは、プジョーがゲレンデを突っ走ると
いう一点で、それ以外は、そこに持って行くための無理矢理
な展開という感じだが、でもそれがこのシリーズの魅力な訳
だし、それで良いのだ。                
スタッフ・キャストは、全員前2作の顔ぶれが揃っている。
それに今回は謎の中国人女性の役で『ワイルド・ワイルド・
ウェスト』などのバイ・リンが登場。さらにプロローグには
サプライズ・ゲストも登場する。            



2003年03月15日(土) 第35回

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 今回はいろいろの情報が集まっている。早速始めることに
しよう。                       
 まずはドリームワークスから、ちょっと面白くなりそうな
企画が発表された。                  
 企画の名称は、film samplingと呼ばれているもので、そ
の内容は、完成された映画作品に、さらに別のタレントが台
詞を追加して別の作品にしてしまうというもの。つまり、ラ
ップのバックに流されるアナログレコードのサンプリングの
イメージを、映画フィルムでやってしまおうというものだ。
 そしてこの企画を進めているのが、ドリームワークス製作
の『シュレック』で主人公の声を担当したマイク・マイヤー
ズ。もちろん『オースティン・パワーズ』のマイヤーズだ。
 因みに同様の企画としては、ウッディ・アレンが64年製作
の東宝映画『国際秘密警察・鍵の鍵』の台詞を全部入れ替え
て“What's Up Tiger Lily”にしてしまった作品が有名だ
が、この他にもアメリカのテレビCMでは近年クラシック映
画の台詞を入れ替えるのが流行だそうで、最近ではジョン・
ウェインがビールの宣伝をしたり、ハンフリー・ボガートが
ソーダ水、フレッド・アステアが電気掃除機の宣伝をしてい
るものまであるということだ。             
 一方、マイヤーズは、自作の中でも数多くの名作映画のパ
ロディを行っており、今回の企画には好適なタレントという
ことができる。                    
 なお、具体的な元となる映画作品の題名は発表されていな
いが、すでにマイヤーズとドリームワークスでは複数の作品
を候補に上げてその改作の許可を得る交渉を始めているよう
だ。またこの企画には、『オースティン・パワーズ』のジェ
イ・ローチ監督の他、俳優のデイヴ・フォーレイ、脚本家の
ジェイ・コーガンらも参加しているということだ。    
 アレンの作品に限らず、監督のピーター・ボグダノヴィッ
チはロジャー・コーマンの下で当時のソ連製のSF映画の改
作を行っているし、『ゴジラ』や『日本沈没』といった日本
映画も、アメリカ公開時には追加のシーンを入れて再編集す
るのが通例だった。しかし今回は、発表の流れから見てハリ
ウッド映画を元にしているような感じで、これが実現したら
かなりのものになりそうだ。              
        *         *        
 お次も、ドリームワークスの話題で、スティーヴン・スピ
ルバーグ監督が、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
に続けてトム・ハンクス主演の作品を手掛けることが発表さ
れた。                        
 作品の題名は、“Terminal”。空港を舞台にしたコメディ
作品ということで、具体的には、ハンクスが扮するのは東ヨ
ーロッパ出身の移民の男。戦争の勃発で彼の母国が消滅し、
パスポートが無効になってニューヨークの飛行場で暮らさざ
るをえなくなる。そして彼は飛行場の係官と友人になり、さ
らにフライトアテンダントと恋に落ちるというもの。   
 脚本は、『キャッチ・ミ…』のジェフ・ネイザンスンと、
“Simone”という作品のサーシャ・ゲルヴァジーが手掛けた
もので、元々ハンクスの主演作品として、“Simone”や『ガ
タカ』のアンドリュー・ニコルの監督で計画されていた。と
ころが監督が別の作品の計画で降板し、宙に浮いていたもの
をスピルバーグが引き継ぐことにしたものだ。撮影は今年の
年末の開始が予定されている。             
 因に、スピルバーグは現在休養中だが、今年の夏には、フ
ランク・ダラボン脚本による“Indiana Jones”の第4作の
撮影が予定されており、今回発表された作品はそれに続けて
の撮影ということになりそうだ。            
 一方、“Indiana Jones”には、すでに主演のハリスン・
フォードもスケジュールを空けて待っているということで、
その撮影は少し早まる可能性もあるということだ。なお第4
作の公開は、一応05年の夏が予定されているが、配給担当の
パラマウントとしてはできれば04年公開を希望しており、ス
ケジュールが繰り上がる可能性は大きいようだ。     
        *         *        
 もう1本、スピルバーグの計画で、以前からジム・キャリ
ーの主演で計画されていた“The Secret Life of Walter  
Mitty”(虹を掴む男)のリメイクに、スピルバーグが監督
として参加、パラマウントで製作されることが発表された。
 この計画は、47年にダニー・ケイ主演のオリジナルを手掛
けた製作者サミュエル・ゴールドウィンの息子のサミュエル
・ゴールドウィンJr.が、10年以上も前から進めていたもの
で、当初からジム・キャリーの主演を希望して94年に『マス
ク』を公開したばかりのニューラインに企画が持ち込まれて
いた。ところが、ニューライン側とキャリー側の製作上の意
見が一致せず、長らく棚上げになっていたものだ。    
 そこでゴールドウィンJr.はニューラインから企画を引き
上げて、他社での計画の立直しを図ったのだが、かなりのヒ
ットの期待されるこの作品を、ニューライン側がおいそれと
手放す訳もなく、結局裁判となってしまっていた。その裁判
がようやく結審したもので、ゴールドウィンJr.の権利が認
められて、晴れて再出発となっている。         
 そしてその新たな相手先としてパラマウントの名前が挙が
っているもので、同社からの公式発表はまだ無いようだが、
ドリームワークスとパラマウントでは、先に共同で“Lemony
Snicket's a Series of Unfortunate Event”という作品
をキャリーの主演、ブラッド・シルバーリングの監督で進め
ており、今の時期には願ってもない提携先ということだ。  
 なお、キャリーとスピルバーグは、以前から一緒に仕事を
することを希望しており、ジェイ・ローチ監督、ベン・ステ
ィラー主演で映画化された『ミート・ザ・ペアレンツ』も、
一時は彼らの計画として進められたこともあったようだ。そ
して今回“Lemony Snicket's…”の企画会議で2人が顔を
合わせ、その席で“Walter Mitty”の話が出て、即座に話が
まとまったということだ。                
 ゴールドウィンJr.の発表によると、製作は12カ月以内に
開始されるということで、来年早々に撮影開始の可能性が高
いということ。ということはつまり、上記のトム・ハンクス
作品の次ということになりそうだ。           
 ただし、この計画には、過去にチャック・ラッセルからロ
ン・ハワードまでいろいろな監督が関わっており、その間に
多数の脚本が完成されているが、今回の発表でキャリーとス
ピルバーグは新たな脚本で再出発を図るということで、その
新脚本の完成が最初のポイントになりそうだ。      
 因に、47年製作のオリジナルは、ノーマン・Z・マクラウ
ド監督、ヴァージニア・メイヨ、ボリス・カーロフらの共演
で、厳しい現実と幻想的な白昼夢の世界の狭間に生きる主人
公が、夢の力でいろいろな活躍をするというもの。キャリー
のキャラクターにピッタリの作品と言えるものだ。    
        *         *        
 ついでにリメイクの話題をいくつか紹介しておこう。  
 まずは新たな情報で、54年にユニヴァーサルで製作された
“The Creature From the Black Lagoon”(大アマゾンの
半魚人)のリメイクが計画されている。          
 オリジナルは、『ハムナプトラ』の“The Mummy”と並ぶ
ユニヴァーサルのオリジナル怪物で、つまり『ドラキュラ』
や『フランケンシュタイン』などのような原作を持たず、ユ
ニヴァーサルで独自に開発された作品。邦題の通り水中でも
呼吸のできる半魚人(原語ではGill Man=鰓男と呼ばれる)
が、水中から美女を襲うというもので、水面近くを泳ぐ美女
を海中から狙うシーンは、『ジョーズ』の巻頭シーンの元に
なったとも言われている。               
 そして今回リメイクを計画しているのは、そのオリジナル
の脚本を担当したアーサー・ロスの息子のゲイリー・ロス。
そのロスが製作を担当し、脚本には、“Terminater 3: Rise
of the Machines”のテディ・サラフィアンの参加が発表さ
れている。因にロスは、『スパイダーマン』のトビー・マグ
ワイアの主演で、7月に全米公開が予定されている競馬映画
“Seabiscuit”では脚本監督を手掛けているが、本作では製
作に専念するようだ。一方サラフィアンには、「キャメロン
の脚本以外には絶対に出演しない」と言っていたアーノルド
・シュワルツェネッガーを翻意させた手腕が期待される。 
 その他のスタッフ・キャストは未発表だが、ユニヴァーサ
ルのクラシックホラーのリメイクでは、04年はスティーヴン
・ソマーズの監督、ヒュー・ジャックマン主演による“Van
Helsing”が公開予定ですでに撮影開始されており、順調に
行けばその次ぐらいが期待できそうだ。         
        *         *        
 お次はディズニーから、37年製作の“Topper”という作品
のリメイク計画が発表されている。           
 このオリジナルは、日本では『天国漫歩』という邦題で戦
前に公開されているようだが、『虹を掴む男』と同じノーマ
ン・Z・マクラウド監督の作品で、ケーリー・グラント、コ
ンタンス・ベネットが主演した幽霊コメディ。アメリカのガ
イドブックでは星3つ半の高い評価で、39年と41年に続編も
公開されている。また79年にはケイト・ジャクスンの主演で
テレビ版リメイクもされており、さらに85年にコンピュータ
ーでカラー化された第1号の作品だということだ。    
 これほどの、いろいろな意味で映画ファンに愛された作品
のリメイクということだが、今回計画しているのは、01年の
『ウェディング・プランナー』を手掛けたアダム・シャンク
マン監督とコメディアクターのスティーヴ・マーティン。2
人は、3月第1週公開の“Bringing Down the House”とい
う作品が、全米第1位の興行成績を記録したばかりで、その
余勢を駆っての今回の発表のようだ。          
 ただし、マーティンは3月末からショウン・レヴィ監督で
これもリメイクの“Cheaper by the Dozen”(一ダースな
ら安くなる)の撮影が決まっており、今のところシャンクマ
ン監督の次回作という訳でもないようだ。         
        *         *        
 後は以前から紹介していると思うが。         
 ニコール・キッドマン主演、フランク・オズ監督で、6月
からの撮影が決まっている“The Stepford Wives”のコメ
ディリメイクに、今年のオスカー助演賞候補になっている
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のクリストファー
・ウォーケンと、グレン・クローズの共演が発表されている。
この計画には先にキッドマンの夫役でジョン・キューザック
と隣人の主婦役でジョアン・キューザックの姉弟の共演と、
主人公を助けるゲイの男の役でロジャー・バートの出演も決
まっており、かなりにぎやかな作品になりそうだ。     
 一方、ジョージ・A・ロメロ監督が79年に発表したカルト
作品“Dawn of the Dead”(ゾンビ)のリメイクに、コマ
ーシャル出身のザック・スナイダー監督の起用が発表されて
いる。『ゾンビ』はロメロの3部作の中では最も高い評価を
受けている作品だが、その描写も最も過激な作品で、そのリ
メイクに表現も注目される。因にスナイダーは一時コロムビ
ア製作の“S.W.A.T.”の監督に起用が決まっていたが、彼が
Rレイトを主張したために降板した経緯があるようだ。リメ
イクは『スクービー・ドゥー』のジェームズ・ガンの脚本で、
6月撮影開始、アメリカはユニヴァーサルが配給する。  
 もう1本、50年製作でジミー・スチュワートがオスカー候
補になった“Harvey”(ハーヴェイ)のリメイクに、ジョン
・トラヴォルタの主演が発表されている。元々はメアリー・
チェイスのピュリッツァー受賞戯曲を映画化したものだが、
主人公以外には見えない巨大なウサギが登場するちょっとフ
ァンタスティックな作品で、このアル中気味の主人公をトラ
ヴォルタがどのように演じるかも楽しみだ。MGMとディメ
ンションの共同製作作品。               
        *         *        
 続いては、CGI絡みの計画が2つ発表されている。  
 まずはドリームワークスから、ロックンロール音楽の歴史
をCGIアニメーションで描く計画が発表されている。  
 この計画は、ドリームワークスの首脳の一人のジェフリー
・カツェンバーグと、00年製作“The Family Man”(天使
のくれた時間)などのデイヴィッド・ダイアモンド、デイヴ
ィッド・ウェイスマンの脚本家チームが会談した中から生ま
れたもので、元々彼らが01年公開の“Evolution”(エヴォ
リューション)の脚本を検討していたときに、その後には何
をやりたいかという話になり、そこにアニメーション部門の
ヘッドのアン・デイリーが参加、彼らが皆ロックンロールを
愛していたことから、それらの音楽をCGIの中で活かせな
いかということになったようだ。             
 従ってこの計画は00年頃にはスタートしていたようだが、
このほどその計画にゴーサインが出て、脚本家チームと7桁
($)の契約が結ばれたことが発表されたものだ。そして、
この計画では声の出演者に、ウィル・スミス、ロバート・デ
=ニーロ、マーティン・スコセッシというキャスティングも
発表されている。まあ、スミスは元々ラップアーティストで
もあるから判るとして、デ=ニーロも最近の『アナライズ・
ユー』で美声(?)を披露していたが、それにスコセッシと
いうのは、一体どういうことになるのだろうか。     
 なお製作は、新作“Sharkslayer”のアリスン・セイガン
が担当、04年の公開が予定されている。         
        *         *        
 もう1本はディズニーから、ケネス・グレアム原作の児童
小説の古典“The Wind in the Willows”(楽しい川べ)を
CGIと実写の合成で映画化する計画が発表され、『ブレイ
ド2』のギレルモ・デル=トロの脚色と監督が契約された。
 この計画については、以前からデル=トロが希望していた
もので、彼と『ミミック』の脚本家のマシュー・ロビンスが
共同で脚色を担当し、さらにデル=トロは合成されるCGI
についても全面的に監督することになっている。     
 また、今回の計画では未来物の要素を入れた物語になるよ
うで、デル=トロとロビンスの長年のパートナーのバルーク
・インバーが手掛けたコンセプトアートや、マテリアルのデ
ザインもすでに契約されているということだ。      
 なお同じ原作は、日本でも児童演劇で上演されるなど、ア
ニメーションや実写のテレビシリーズも数多く作られている
ようだが、最近では、97年に元『モンティ・パイソン』のテ
リー・ジョーンズが監督、エリック・アイドルやジョン・ク
リースの出演で、イギリスで映画化された作品も公開されて
いる。                        
        *         *        
 後半は短いニュースをまとめておこう。        
 またまたユース・ファンタシーの計画で、アメリカで3月
に発行されたばかりの中国系アメリカ人作家ローレンス・イ
ェップ原作による“The Tiger's Apprentice”の映画化権
がミラマックスと契約され、すでに“Ella Enchanted”な
どを手掛けているジェーン・スターツの製作で映画化される
ことになった。物語はサンフランシスコで祖母の手で育てら
れた中国人の少年が、実は不死鳥の卵の守り手であった祖母
の跡を継いでその守護者になるというもの。3部作だそうだ。 
 次も映画化権の契約で、00年の『スペース・カウボーイ』
に監督主演したクリント・イーストウッドとワーナーが、ピ
ュリッツァー賞候補作家のジェイムズ・R・ハンセンが執筆
中の人類最初の月面到着者ニール・アームストロングの伝記
の映画化権を獲得した。この本は、“Firsy Man: A Life
of Neil A. Armstrong”と題されるもので、アームストロ
ングが朝鮮戦争に従軍した戦闘機パイロット時代からの半生
を記録、04年の出版が予定されているということだ。     
 最後はインディペンデンスの話題で、『A.I.』などの俳
優ジュード・ロウが自ら製作を買って出た“The World of
Tomorrow”の撮影が3月に開始された。この作品は第2次世
界大戦前を背景にしたSFドラマで、グウィネス・パルトロ
ウとアンジェリーナ・ジョリーが共演。ロウとジョリーは互
いに競い合うパイロットで、パルトロウは彼らを追い回すジ
ャーナリストという役柄だそうだが、これでどうしてSFス
リラーなのだろう。他に、『ギフト』のジョヴァンニ・リビ
ージと、『Taxi��』のバイ・リンの参加も予定されてい
るそうだ。脚本監督は、本作がデビュー作のケリー・コンラ
ン。製作総指揮はアウレリオ・デ=ラウレンティスとラファ
エラ・デ=ラウレンティスが担当している。




2003年03月03日(月) コーリング、アナライズ・ユー、ブラック・ダイヤモンド、ハムバット〜蝙蝠男の復讐〜

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。       ※
※一部はアルク社のメールマガジンにも転載してもらって※
※いますので、併せてご覧ください。          ※
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『コーリング』“Dragonfly”              
ケヴィン・コスナー主演のスーパーナチュラル・ムーヴィ。
シカゴの小児病院で、ERに勤務するジョーと、ガン病棟に
勤務するエミリーの医師夫妻は、最強と言われたコンビだっ
た。しかし、赤十字の要請でヴェネズエラの奥地の村に赴い
たエミリーは、雨季の突然の増水に巻き込まれ、帰らぬ人と
なってしまう。                    
そして遺体の無いまま葬儀の日、ジョーは悲しみを紛らわす
ようにエミリーの勤務していたガン病棟を訪ねるが、そこで
彼の目の前で心停止から甦った少年の口から、臨死体験の中
でエミリーに逢い、そこでジョーを呼んでいたという話を聞
かされる。                      
さらにジョーは、同じ話を昏睡状態で運び込まれた別の子供
からも聞かされる。しかも彼らは共通に、ジョーがゼリーで
できた十字架と呼んだ謎の図形を描いてみせる。そしてその
図形は、エミリーが可愛がっていたオウムによっても描かれ
る。                         
エミリーはジョーに何かを伝えたがっている。しかし、その
思いが高じて病院内で問題を起こしたジョーは、子供たちに
会う術を失ってしまう。果たしてエミリーが伝えたがってい
ることとは何か、ジョーに残された手掛かりは謎の図形しか
なかった。                      
『フィールド・オブ・ドリームス』ではシューレス・ジョー
の声を聞いてコーン畑にグラウンドを作ってしまったコスナ
ーが、今度は亡き妻の声ということで、亡霊と現世の関わり
を描いたお話はいろいろあるが、それに2回も主演するとい
うのは珍しいことだ。                 
お話自体は悪くないし、結末もなるほどと思わせるところは
ある。コスナーファンには良いプレゼントと言うところだろ
う。                         
なおエミリー役を、『スター・トレック/ヴォイジャー』に
ボーグ・クィーン役で出演していたスザンナ・トンプスンが
演じている。                     
                           
『アナライズ・ユー』“Analyze That”         
99年公開の『アナライズ・ミー』“Analyze This”の続編。
今回もまた、ビリー・クリスタル演じる精神分析医が、ロバ
ート・デ=ニーロ演じるマフィアのボスに振り回される。 
マフィアのボスは服役中。しかし街の抗争は刑務所の中にも
影響し、ボスは命を狙われることに。そこで一計を案じたボ
スは、昔馴染みの精神分析医を利用して精神異常を装い、首
尾よく仮出所となるのだが…。             
それは彼を出所させることで、マフィアの抗争を激化させよ
うというFBIの思惑に乗せられたものだった。しかしボス
は、マフィアもののテレビシリーズの監督を利用して撮影所
に乗り込み、そこでとんでもない計画を立て始めた。   
前作は全米で大ヒットを記録したものだが、さすがに二番煎
じでは厳しいものがある。デ=ニーロが、『ウェストサイド
物語』の楽曲を次々に歌い上げるシーンは、アメリカでは大
受けだろうが、日本の観客はどう反応するか。僕は、エンデ
ィングでは思わず一緒に口ずさんでしまったが。     
とは言え、9/11後のニューヨークで大々的なロケーション
撮影を敢行するなど、ニューヨーク支援の成果は充分に上が
ったようだ。                     
脇役まで、全員が前作通りそろっているのも見事だ。   
                           
『ブラック・ダイヤモンド』“Cradle 2 the Grave”   
ジェット・リーとラップ・アーティストのDMX主演による
アクション作品。製作と監督は、リーのハリウッド初単独主
演作品『ロミオ・マスト・ダイ』のジョール・シルヴァとア
ンジェイ・バートコウィアク。なお、DMXは『ロミオ…』
にも出ていたそうだ。                 
物語は、DMX扮するトニー率いる窃盗団がダイヤモンド金
庫を襲うところから始まる。彼らは依頼主から、そこに納め
られたブラックダイヤモンドを求められ、それ以外は彼らの
取り分として仕事を引き受けたのだ。          
しかしそこにリー扮する台湾秘密警察の捜査官スーが現れ、
ブラックダイヤモンドには手を触れるなと忠告される。忠告
は当然無視して、ブラックダイヤモンドを手に入れたトニー
達だったが、それは巨大組織に挑戦する事態を引き起こす。
そしてトニーの愛娘が組織に誘拐されたことから、トニーと
スーは手を組んで組織に対抗することになるのだが…。  
とりあえず、ジェット・リーのアクションが楽しめる作品。
超大作ではないが、それなりにまとまった作品と言えるだろ
う。なお、原題の「2」は「to」の意味で、シリーズの2作
目ということではない。                
                           
最後にお芝居を一つ。                 
                           
『ハムバット〜蝙蝠男の復讐〜』            
僕は、舞台の芝居は滅多に見ない。実際、小劇場ブームとや
らの影響で、その種の劇団が作った「映画」は何本か見てい
るのだが、そういう試写では、いつも決まって、面白くもな
いところで馬鹿笑いする連中がいて、困惑してしまう。  
結局、観客と舞台の一体感とやらで、場を共有している観客
がそういう反応をするらしいのだが、そういう状況を見せつ
けられると、自分が場違いに感じて、余計に舞台から足が遠
のく結果になってしまうのだ。             
実は、この公演をした劇団オルガンヴィトーの不二藁さんと
いう方も、以前に一度映画を作ったことがある。ただしその
作品は、観客との間に一線を画して、観客に映画を見せよう
という意志が明確な印象のもので、僕なりに評価をした作品
だった。                       
そしてその作品を見せてもらって以来、公演のあるごとに案
内はもらっていたのだが、なかなか足を運ぶチャンスが無か
った。普段は下北沢で公演をしている劇団のようだが、今回
は劇団の新宿進出ということで、初めて見させてもらったも
のだ。                        
舞台のセットは、両袖には工事現場の防水シートのようなシ
ートが掛けられ、公演の始まる前からかなりの量の水が滴り
落ちている。カーテンのない舞台の中央には、巨大な人間の
脳味噌を思わせるオブジェが剥き出しで置かれている。  
物語は、狂言回しと思われる女性弁護士が、東京拘置所の地
下に迷い込んだところから始まる。彼女が接見する予定だっ
たのは父親殺し容疑の青年。しかし彼を探す内に、弁護士は
一人の若者に出会い、彼と共に迷宮を旅することになる。 
そしてその迷宮では、殺された父親の資産を狙う叔父をはじ
め、いろいろな男たちが蠢いている。さらにバットマンまで
もが登場する。ということで、中央に置かれた脳味噌の意味
はよく判るというところだ。              
正直に言って面白かった。まず舞台の雰囲気が良い。そして
映画のときと同様、この作品でも、物語を語ろうという姿勢
は明確に伝わってくる。この物語性の豊かさで、僕は舞台に
躊躇無く入って行くことができた。           
以前に映画を見せてもらったときに、僕はジョージ・A・ロ
メロと比較した。それは画面にぶち撒けられる内臓物の衝撃
によるものだった。今回の作品でも、舞台中央の巨大な脳味
噌から感じる内臓物への思い入れは、劇団名共々、健在のよ
うだ。                        
しかし今回の作品は、バットマンの登場からも判るようにテ
ィム・バートンを意識しているようだ。照明を落とした舞台
の雰囲気や、見ることはできないが遊園地の存在などにはそ
の雰囲気が伝わってくる。この雰囲気がまた心地よいものだ
った。                        
この延長線では、ぜひとも江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』
をやってもらいたいものだ。              



2003年03月02日(日) 8 Mile、ネメシスS.T.X、ハッピー・フューネラル、ボイス、武勇伝、アバウト・シュミット、サラマンダー、ブルークラッシュ

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。       ※
※一部はアルク社のメールマガジンにも転載してもらって※
※いますので、併せてご覧ください。          ※
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『8 Mile』“8 Mile”              
人気白人ラップ・アーティスト、エミネム主演による彼自身
の半自伝とも言えるデトロイトを舞台にした音楽映画。題名
は、デトロイト北側の市街と郊外を分ける道路に付けられた
名前で、原題もsは付かない。             
主人公ラビット(愛称)は、母親と幼い妹の3人家族。母親
は、愛人と共に8マイルの南側でトレーラーハウスに住み、
そこには幼い妹も一緒だ。彼は、プレス工場で働きながら一
流のラッパーを目指しており、そのためいつも言葉のメモは
欠かさない。                     
そんな主人公は、ストリートでは白人のラッパーとしては最
高と言われているが、臨んだバトルではステージで声が出せ
ず、パパ・ドクと名乗る黒人アーチストの負けてしまう。し
かし、いつもつるんでいる連中とは、いつかビッグになるこ
とを夢見ている。                   
そしてそんな彼の周囲には、大物プロデューサーに売り込ん
でやると言い寄る奴や、モデルを夢見ている少女などが集ま
っている。そんな連中との、喧嘩や恋や、裏切りや友情など
が綴られて行く。                   
まあ、半自伝の成功物語ということになるが、監督を『L.
A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソンが手掛け
たことだけはある、結構見応えのある作品になっていた。エ
ミネムの演技力も問題はない。             
主人公の母親役を、『L.A.コンフィデンシャル』でオス
カーを受賞したキム・ベイシンガーが演じて、全体を引き締
めている。                      
                           
『ネメシスS.T.X』“Star Trek Nemesis”      
79年にスタートした『スター・トレック』の映画シリーズの
第10作。“Next Generation”のクルーでは4本目の作品だ
と思うが、一応これが最後となるようだ。        
映画は、副長ライカーとカウンセラー、トロイの結婚式から
始まる。                       
プレスでは、今までのシリーズを知らなくても楽しめるとい
うことだが、ここでのウォーフの落胆ぶりなどは、シリーズ
の後半の話を知っていないと判らない。つまりそういうエピ
ソードはいろいろ盛り込まれているということだ。    
しかし映画の全体は、レギュラーの登場人物の説明などもさ
りげなくされていて、今までを知らなくても理解できるよう
には工夫されているのだろう。といっても僕は、一応はシリ
ーズの方も見ている人間だから、本当のところは判らない。
物語は、“Next Generation”シリーズでの宿敵ロミュラン
から和平の申し入れがあり、ロミュラン領域の一番近くにい
たエンタープライズが、領域奥深くの主星ロミュラスに赴く
ことになる。                     
ところが、待ち受けていたロミュランの法務官は主星ロミュ
ラスの生れではなく、植民星レムスの出身者であることが判
明。しかもその男はピカード艦長の若きクローンであり、ピ
カードと同じ能力を持って、地球侵略を企んでいたのだ。 
一方、アンドロイド・データの前にも、生みの親のスン博士
がデータより前に作ったプロトタイプと思われるB−4(ビ
フォー)が登場する。                 
こうして、ピカードとデータのそれぞれに、自分自身を巡る
ドラマが始まる。                   
確かにいろいろなものを引き摺っているシリーズだから、そ
れを、それ以外の人にも見せられるようにするというのは並
大抵のことではない。今回は、アクションを大量に入れるこ
とで、その辺はクリアしていると言えるのだろうか。   
しかし知っていれば知っているほど面白いことは間違いない
と思う。                       
                           
『ハッピー・フューネラル』“大腕”          
中国No.1ヒットメーカーと言われるフォン・シャオガン監督
の01年の作品。                    
巨大なセットでアメリカ人監督が『ラスト・エンペラー』の
リメイクを撮影している。しかし彼は演出に行き詰まってお
り、プロデューサーからは代役監督を立てることを提案され
ている。といっても、大物である彼の名前は外せないとも言
われる。                       
主人公は、そんな監督をテーマにメイキングを作るために雇
われた中国人カメラマン。彼は、英語はほとんど喋れないの
だが、監督の助手兼通訳の中国人女性と共に、監督の全てを
記録している内に、片言の英語で監督と語り合うようになっ
て行く。                       
そんな中で、彼は中国では70歳を超えた老人の葬式は、大往
生を祝う「喜葬」を行うと話し、監督はその言葉に関心を持
つ。そしてある日、監督のトレーラーに呼ばれた彼は、監督
から自分の「喜葬」を頼むと言われ、その直後に監督は昏睡
状態となる。                     
こうして主人公は、監督の「喜葬」を実現すべく奔走し始め
るのだが、イヴェントプロモーターを巻き込んだところで資
金の無いことを知らされる。そして資金集めのためにスポン
サーを集め始めたことから、大混乱が始まってしまう。  
しかも、監督は昏睡状態ではあるものの、死亡してはいなか
ったのだ。                      
シャオガン監督は、黒澤明監督の葬儀の模様を見てこの物語
を思いついたそうだ。日本でも葬式がテーマの映画は何本か
あるが、この作品は、葬式と言うよりはイヴェントがテーマ
な訳で、そこに葬式を持ってくることで、ちょっとした人情
話にしているものだ。                 
そして配役では、アメリカ人監督役にドナルド・サザーラン
ド、プロデューサー役にポール・マザースキーを招いて、か
なりしっかりした作品になっている。          
結末は見てのお楽しみだが、ほのぼのとしてちょっと良い感
じだった。なお原題は、大物監督という意味だそうだ。  
                           
『ボイス』“Phone”                  
台湾、スペインに続いて、今度は韓国から、かなり強烈な 
chillerが届いた。なお原題は、英語の上にハングルが重な
って表示されるが、ハングルは立の上の点が無い形の下に亡
の字がある様な文字で、これでフォンと発音するようだ。 
事件は、援助交際を告発する特集記事を書いてストーカーに
襲われるようになった女性記者が、携帯電話を変えたことか
ら始まる。その携帯には、取り扱い店で番号が一つしか指定
されず、その番号を付けたのだが、そこに謎の電話が掛かっ
てきたのだ。                     
さらにストーカーから身を隠すために、知人の富豪の引っ越
し前の家で暮らすようになった彼女の周囲で、いろいろな異
変が起こり始める。そしてその標的に、富豪の子供が選ばれ
てしまう。しかも彼女には、その子供に対する特別な事情が
あった。                       
自分のため、そして標的にされた子供を救うために、彼女は
真相の追求を始める。                 
韓国では、昨年の夏に公開されて『スター・ウォーズ・エピ
ソード2』を超える大ヒットを記録した作品だそうだ。この
作品も、chillerの演出が巧みで、好きな人にはたまらない
と言うところ。                    
しかも物語は、全体として因果の結び方が上手く、細かい突
っ込みはいろいろできるけれど、結構良くできていた。特に
テーマ曲となっているベートーベンの「月光」が最後に流れ
るシーンには、ちょっとしたカタルシスも感じられた。  
それと、出演者の中で幼い少女を演じた子役の演技がもの凄
く、試写会では「白木みのる」説まで出たほど、これは見事
だった。                       
なお、プログラムその他で監督インタビューが載っていたら
要注意、その中で見事にネタばらしをしてしまっている。観
る前には読まないほうが良い。             
                           
『武勇伝』                      
ハリウッド製作の『ストリートファイター』に出演した澤田
謙也が企画主演した喧嘩映画。             
ネットの情報では、ストーリーなどほとんど無い、殴り合い
ばかりの作品ということで、ちょっと退いていたのだが、特
殊メイク原口智生というのにも引かれて、最終試写を見に行
ってしまった。                    
で、ネットの情報というのが如何に当てにならないかという
ことになるのだが、確かに殴り合いがメインの作品ではある
が、物語もそれなりに作られていて結構面白かった。   
実際のところ、この映画の物語性は、殴り合いの必然性をど
う捉えるかということになるのだが、主人公は、何しろ喧嘩
が好きという設定で、そこから進めばこの物語にはかなり必
然性はあるということになる。             
この設定は、物語の後半でヒロインが拉致されている廃校に
主人公が登場するシーンの台詞によく現れている。その台詞
を聞いた途端に、僕はこの映画が好ましいものになった。そ
の意味では、これは名台詞と言えるかも知れない。    
物語は、設定でも書いたが何しろ喧嘩が好きな男が二人。一
人は元ボクサーだがデビュー前に正当防衛で人を殺してしま
った男。もう一人は元自衛官で寂れたバーを営んでいる。こ
の二人が、新宿の歌舞伎町でいろいろな抗争などに巻き込ま
れ、喧嘩に明け暮れる。                
何しろ喧嘩が始まれば、主人公が絶対勝という展開なのだか
ら、見ていてこんなに気楽なことはない。まあ、単純にはス
トレス解消映画というところだ。それから、僕にとっては普
段見慣れた新宿の町が、いろいろな角度から観られるのも楽
しかった。                      
                           
『アバウト・シュミット』“About Schmidt”       
ジャック・ニコルスンがオスカー候補になっている作品。 
主人公は66歳。長年勤めた勤務先をそこそこの地位で定年退
職し、後は42年連れ添った妻と、大型のキャンピングカーで
いろいろな土地を旅して歩く計画だったのだが、その妻はあ
っけなく他界してしまう。               
夫婦の間には一人娘がいて、その娘はかなり婚期が遅れた挙
げ句に主人公の気に入らない男と結婚しようとしている。一
方、主人公は、アフリカの孤児の少年に毎月22ドルの資金援
助をする手続きをし、その小切手に添える手紙に心情を綴っ
て行く。                       
そして主人公は、自分の今までの人生を振り返り、結局自分
が何も残していないことに気づき悲嘆にくれる。     
何しろ、手紙文という形で心情を直接吐露されてしまうのだ
から、こんなに判りやすい話はない。          
僕自身、主人公ほどではないにしても、そろそろ人生の後半
に入ってきて、自分のやってきたことを考えてしまうことも
ある。多分、アメリカでもベビーブーマー世代にとっては、
この物語はかなり切実に感じられるのだろう。      
試写会では、若い人でもかなり感動していた人もいたようだ
が、若い特に男性では、主人公の心情を理解できなかった人
もいたようだ。                    
                           
『サラマンダー』“Reign on Fire”           
近未来のイギリスを舞台にした終末もの。        
物語は、現代のロンドンから始まる。地下鉄の工事現場で巨
大な空洞が見つかり、その中に化石のようになって潜んでい
た生物が甦る。それは6500万年前、当時の地球に君臨してい
た恐竜を絶滅に追い込んだサラマンダーの復活だった。  
サラマンダーは瞬く間に増殖し、人類に襲いかかる。空を飛
び、火を吹き、その焦土を食らうサラマンダー。その急速な
増殖になす術のなった人類は、ついに核攻撃を仕掛け、それ
によって自らの文明を破壊してしまう。         
そして20年が過ぎ、もはや人類は一握りの生き残りが砦の中
に潜んで暮らすだけとなっていた。その中には、ロンドンで
の最初の目撃者だった少年の長じた姿もある。彼らは、サラ
マンダーの自滅を願いながら、密かに暮らしていた。   
そこへケンタッキー義勇軍と自称するアメリカ人の一団が現
れる。彼らは、サラマンダーの繁殖は1匹の雄に掛かってお
り、その唯一の雄がロンドンにいる。それを倒せばサラマン
ダーは繁殖の術を失い、絶滅すると説明する。      
そして薄暮の時間帯はサラマンダーの視覚が鈍り、その間に
雄を倒すという計画を述べ、雄のいる空洞の場所を知る主人
公に協力を求めるのだが…。              
サラマンダーのデザインは、小さな翼の付いた恐竜で、『シ
ュレック』や『眠れる森の美女』などに登場する、いわゆる
西洋の竜のイメージ。これには多分の欧米の観客は大歓声と
いうところだろう。僕もまったく違和感はなかった。   
そしてそれが暴れ回るシーンの迫力も見事なものだ。ただ主
人公が取る行動などには、もう少し説明が欲しかった感じも
する。まあ、誰かがサラマンダーをやっつけなくてはいけな
いのだから、それに沿った行動は当然なのだが。     
それにしても、ロンドンの地下鉄工事現場、大繁殖する凶悪
な怪物、というとどこか懐かしい展開で、これはもしかして
『クォーターマス』へのオマージュなのだろうか。    
                           
『ブルークラッシュ』“Blue Crush”          
ハワイ・オアフ島を舞台に、パイプライン・マスターズと呼
ばれる最も危険なサーフ競技に挑む女性サーファーを描いた
青春映画。                      
主人公のアン・マリーは、反抗期の妹と2人のサーフィン仲
間と共に、昼間はホテルのメイドをしながら、サーフィンに
明け暮れている。彼女は以前にジュニア大会で優勝し天才と
言われながら、その後の事故のために大きな波には挑めなく
なっている。                     
しかし、妹の学費などを工面するためには、大きな大会で注
目を浴び、スポンサーが付くのを待たなければならない。そ
の大会が、パイプライン・マスターズ、それは一歩間違えば
死と隣り合わせの危険な大会だった。          
見るまでは、たかがサーフィンを扱った青春映画くらいにし
か思っていなかった。確かに映画は、彼女を見初めるNFL
のクォーターバックなども登場して、見事に青春映画の乗り
なのだが…。                     
これがまず、海中撮影を多用してサーフィンを写したシーン
の美しさとダイナミックさに目を奪われる。ここでサーフィ
ンがなまじのスポーツでないことを教えられる。そして、さ
らに後半の大会のシーンでの、脚本のしたたかな展開に舌を
巻いた。                       
スポーツを扱った青春映画もいろいろあるが、ともすればク
ライマックスを盛り上げるためにスポーツのルールをないが
しろにしてしまうことが多い。しかしこの脚本では、大会の
ルールに則って、見事に最後を盛り上げているのだ。   
その展開については書かないが、なるほどこれなら、ライヴ
ァルたちも含めて、浜辺の全員が彼女を応援したくなるよう
な、そんな展開が見事に作られている。脚本は、リジー・ウ
ェイスという新人のようだが、ちょっと注目したい。   
それから、妹役のミカ・ブーレムと、サーフィン仲間役で、
本職はプロサーファーだというサノー・レイクが良い。レイ
クは、映画初出演とは思えない演技ぶりだし、ブーレムは、
『スパイダー』でも注目したが、今回も良かった。    



2003年03月01日(土) 第34回

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 今回は、ちょっと野次馬的なこの話題から。      
 まずは、ソニー傘下のコロムビアから、42年に公開された
ルネ・クレール監督作品“I Married a Witch”を、トム・
クルーズの製作主演、ダニー・デ=ヴィートの監督でリメイ
ク計画が発表された。                 
 オリジナルは、フレデリック・マーチ、ヴェロニカ・レイ
ク主演で映画化されたもので、セーラムの魔女狩りで火炙り
になった魔女が復讐のため甦るが。現代社会に振り回される
内に、自分を火炙りにした男の子孫の政治家に恋をして…、
というコメディ作品。日本では、51年に『奥様は魔女』とい
う邦題で公開されたが、アメリカのガイドブックでも星3つ
の評価を得ている作品だ。               
 この作品を、クルーズの主演でリメイクする計画だが、当
然クルーズの役は、マーチが演じた政治家ということになる
のだろう。リメイクの脚本は、デ=ヴィートの監督第2作の
『ローズ家の戦争』も手掛けたマイクル・リースンが担当。
相手役は未定だが、デ=ヴィート監督の次回作として、今年
の年末からの製作を予定している。           
 とまあ、これはちょっと楽しめそうな期待作なのだが…。
 実は、コロムビアにはもう1本魔女ものの計画があって、
こちらは64年から72年まで放送されたエリザベス・モンゴメ
リー主演の人気テレビシリーズ“Bewitched”を映画化しよ
うというもの。                    
 このシリーズは、日本では『奥様は魔女』の題名で放送さ
れ、今でも再放送が絶えないほどの人気シリーズだが、この
邦題からも判るように、元々極めて似通った設定の作品で、
一部にはテレビ版リメイクという情報もあるほどのもの。少
なくともインスパイアされた作品であることは間違いない。
 そしてこの映画化の計画では、『めぐり逢えたら』などの
ノーラ・エフロンが脚色と監督を担当し、ニコール・キッド
マンの主演が予定されているというものだ。       
 ここでこのように似た企画が、しかも同じ製作会社で計画
された場合には、これらを一本化してしまうのが通例なのだ
が、今回の企画ばかりは主演者の関係でそういう訳には行き
そうにない。                     
 コロムビアとしては、クルーズの製作主演作品は絶対に手
放せないし、一方、キッドマン+エフロンの計画は、かなり
以前から進められていたもので、特に今年もオスカー候補に
なって、今乗っているキッドマンの主演は外せないところ。
さてこの結末は、一体どういうことになるのでしょうか。 
        *         *        
 お次はキャスティングの情報で。           
 まずは、前回報告した“Superman”の主演の行方がまた判
らなくなっているようだ。               
 前回は、カナダ出身のヴィクター・ウェブスターの抜擢が
有力と報告したが、その後ワーナー側は、やはり有名スター
の起用を希望、その候補としてジョッシュ・ハートネットの
名前が再浮上してきている。              
 ハートネットは、最近は『パールハーバー』や『ブラック
・ホーク・ダウン』などで活躍しているが、その前には『パ
ラサイト』などでジャンルのファンにも馴染み深い。風貌な
どは、確かにクリシトファー・リーヴにも似て、特にあごの
張っている辺りはスーパーマンにピッタリというところだ。
 ウェブスターの風貌は判らないが、大体この2人には絞ら
れてきているようだ。前回も書いたように、2作の続編も計
画されているということで、いずれにしても早く決めて、再
開第1作の製作に取りかかってもらいたいものだ。    
 なお、監督のブレット・ラトナーに関しても、一時期別の
監督名が上がったようだが、こちらはほぼ決定のようだ。 
        *         *        
 続いては、これもワーナー作品で気になる“Harry Potter
and the Prisoner of Azkaban”の配役で、故リチャード・
ハリスが演じたダンブルドア校長役の後任には、やはりイギ
リス俳優のマイクル・ガンボンの起用が発表された。   
 ガンボンは、日本では昨年公開された『ゴスフォード・パ
ーク』での館の主人役などで知られるが、98年にナイトの称
号を受けるなどイギリス演劇界の重鎮。また、ロバート・ダ
ウニーJr主演の映画版リメイクがサンダンス映画祭で上映さ
れた“The Singing Detective”のオリジナル版テレビミニ
シリーズの主演でも人気があるようだ。              
 なお、この配役には、イアン・マッケランやクリストファ
ー・リー、それにハリスの親友ということでピーター・オト
ゥールらの名前も挙がっていたが、結局は落ち着くべきとこ
ろに落ち着いた感じだ。またこの情報は、昨年末にネット上
に登場したが、今回はワーナーが公式に発表したものだ。 
 その他のレギュラーは前作と同じで進むようだが、さらに
今回、新たに登場するタイトルロールのアズカバンの囚人、
ことシリウス・ブラック役には、『ハンニバル』などの名優
ゲイリー・オールドマンが発表されている。ブラックは、と
りあえず次回の“Harry Potter and the Goblet of Fire”
でも活躍する役なので、この配役には期待したいところだ。
        *         *        
 もう1本、シリーズの新登場キャラクターの配役で、4月
に撮影開始予定の第2作“The Amazing Spider-Man”の新
敵役がドック・オック、ことドクター・オットー・オクタヴ
ィアスに決まり、その配役として、『ブギー・ナイツ』や、
今年のアカデミー賞で主演のサルマ・ハエックなど6部門の
候補になっている“Frida”に、主人公の夫ディエゴ・リヴ
ェラ役で出演したアルフレッド・モリナの起用が発表された。
 実はこの敵役についてはかなり早くから噂に上っており、
その配役にはロビン・ウィリアムスなども期待されていたよ
うだったが、それは叶わなかったようだ。なおこの敵役は、
日本ではドクター・オクトパスの方が通り易そうだが、胸に
自在に動く8本の腕を付けたマッドサイエンティストで、こ
のキャラクターはCGIには持ってこいと言えそうだ。  
 キャラクターの使用権を巡って、ソニーと原作者のスタン
・リーと発行元のマーヴルで三つ巴の裁判もあるようだが、
第2作の映画化はそれとは関係なく、トビー・マクガイア、
キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコの主演、サ
ム・ライミの監督で行われる。             
        *         *        
 キャスティングの最後は新作で、3月に撮影が開始される
ジョナサン・フレイクス監督作品“Thunderbirds”の映画化
の主な配役が発表された。               
 それによると、まず国際救助隊の創設者でメムバーの父親
のジェフ・トレイシー役には、『フレイルティー/妄執』で
監督デビューを果たした『ツイスター』などのビル・パクス
トンが発表されている。                
 これに対して、5人の息子の内の4人はいずれも新人で、
スコットは『パトリオット』にちょい役で出ていたというフ
ィリップ・ウィンチェスター。ジョンは『K−19』でロシア
クルーの一人を演じていたレックス・シュラプネル。ヴァー
ジルはBBC放送の“The Lost Prince”に小さい役で出て
いたというドミニク・コレンソ。ゴードンは全く資料無しの
ベン・トーゲスンとなっている。            
 一方、レディ・ペネロープ役にはソフィア・マイルズ、パ
ーカー役にはロン・クックという配役も発表されている。 
 そして、国際救助隊の頭脳でもあるブレインズ役に、テレ
ビシリーズ『ER』のグリーン医師役で人気のアンソニー・
エドワーズの出演が発表された。            
 なお、もう一人の息子のアランと、悪漢フッドの配役はま
だ判明していないが、3月から撮影は、『スコーピオン・キ
ング』などのウィリアム・オズボーンの脚本で、ロンドンの
シェパートン撮影所とインド洋のセイシェル諸島で行われる
ことになっている。                  
        *         *        
 前回は、『シュレック』を製作したヴァンガードがディズ
ニーと手を結んだことを紹介したが、今回は逆に、『トイ・
ストーリー』などを製作したCGIアニメーションの老舗ピ
クサーからディズニー離れの情報が伝わってきた。    
 ディズニーとピクサーでは、95年の『トイ・ストーリー』
以来、『バグス・ライフ』『トイ・ストーリー2』『モンス
ターズ・インク』を発表して、その総興行収入は17億ドルに
達していると言われている。そして今年の夏には“Finding
Nemo”が公開され、さらに04年には“The Incredibles”、
05年には“Cars”と続くのだが、実は両社の契約はここまで
で、06年以降の契約はされていないのだ。        
 これに対してピクサーから、新たにエミリー・クックとキ
ャシー・グリーンバーグという脚本家の起用が発表され、2
人が執筆した大型レストランの中でのネズミ達の冒険を巡る
物語について来年度に最優先での製作を行うこと、そのため
2人をピクサー社の本拠のあるサンフランシスコに呼び寄せ
て、アニメーション制作者達との関係を密にして製作を進め
るという計画が発表された。なおこの計画についてピクサー
からは、物語のキーポイントはおろか、題名も発表されない
という、完全な秘密主義で製作が進められるというものだ。
 そしてこの新作について、その配給をディズニーが行うか
否かは決定しておらず、場合によっては他社からの配給もあ
り得るということだ。                 
 とは言うものの、ピクサー作品の過去の製作費は7500万ド
ルから1億2500万ドルが掛けられているということで、今回
の計画もその最高レベルの製作費が見込まれているというこ
とだが、前回紹介したヴァンガード製作費は1本当たり3000
〜4000万ドルということでその差は余りにも大きい。経費を
削って、劣った作品を作られるのは願い下げだが、それにし
てもこのままでディズニーがすんなりとOKしてくれるかど
うかは判らないし、他社がそれを引き受ける可能性も…とい
う感じなのだが。                   
 どこの世界でも、事業の効率化は難しいところに来ている
ようだ。                       
        *         *        
 次も続報で、前々回04年の公開予定で紹介したトム・クル
ーズ主演、パラマウント製作の“Mission: Impossible 3”
の監督に、昨年末にアメリカで“Narc”という作品が公開さ
れたジョー・カーナハンという監督の抜擢が発表された。 
 なお、この“Narc”という作品は、日本では5月の公開が
予定されているが、レイ・リオッタとジェイソン・パトリッ
クの主演で70年代を背景にした警官スリラー。かなりハード
な切れ味の良い作品と紹介されていた。そして、実はこの作
品の製作総指揮を勤めたのがクルーズということで、その手
腕を認めての今回の抜擢となったようだ。        
 それで一方、当初予定されていたデイヴィッド・フィンチ
ャーだが、実は彼にはその前にソニー製作の“The Lords of
Dogtown”という作品の計画が発表されており、このときの
説明では“M:I 3”の撮影は04年になってからとされていた
のだが、結局04年5月の公開が優先されることになったとい
うことなのだろう。                  
 因みに、フィンチャーの作品は、70年代のロサンゼルスを
舞台に、サーフィンやスケートボードのカルチャーのルーツ
を探るもので、フィンチャー自身がニューラインで計画を立
上げ、このときはプロデューサーの立場だったようだが、そ
の企画をソニーが買い上げて、フィンチャーの監督作品とし
て立て直したものということだ。            
 またソニーも、同じテーマの“Dogtown and Z-Boys”と
いうドキュメンタリー作品を01年にクラシックレーベルで配
給しており、当時のカルチャーリーダー達とのコンタクトも
あったということだが、その内のスケートボードの創始者と
いわれるペラルタがフィンチャー企画の初期のドラフトを手
掛けるなど、両者の思惑の一致した作品になったようだ。な
お撮影台本は、ロジャー・アヴェイリーが執筆している。  
 ということで、フィンチャーの計画も“M:I 3”も進むこ
とになった訳だが、ちょっと気になるのは、第29回で紹介し
た“Rendezvous With Rama”(宇宙のランデブー)の映画
化で、パラマウントでの製作が決まったこの作品は、果たし
てフィンチャーの監督で進められるのだろうか。      
        *         *        
 続いては、テリー・ギリアム監督の動向で、第32回で紹介
した新作“Brothers Grimm”の撮影を、6月にプラハの撮
影所で開始することが発表された。            
 この計画では、先にプラハの撮影所が準備に入っているこ
とが報じられていたが、今回はその出演者として、ヤーコブ
とウィルヘルムのグリム兄弟にマット・デイモンとヒース・
レジャー、他に悪漢役でロビン・ウィリアムスとジョナサン
・プライスという豪華な顔合せが実現し、製作開始が正式に
発表されたものだ。なお、ウィリアムスは『バロン』、プラ
イスは『ブラジル』の出演者でもある。         
 また、脚本は『ザ・リング』のアーレン・クルーガーが手
掛けたもので、ジェイクとウィルと名乗る兄弟が、村から村
へ民話を集める旅を続け、その間にいろいろな怪物や神秘に
出会うという、かなり物語化されたお話になるようだ。しか
も全体のジャンルは、コメディックアクションと紹介されて
いる。                        
 まあ、虚実を取り混ぜるのはギリアムの一番得意とすると
ころで、今回は彼自身の脚本ではないが、その意味で好適な
作品に出会えたと言えるだろう。配給はMGM、製作は『12
モンキーズ』を手掛けた人たちのようだ。しかし、これで第
32回に書いた“The Man Who Killed Don Quixote”の製作
再開は、少し先に伸びることになりそうだ。        
        *         *        
 後半は短いニュースをまとめておこう。        
 『フレイルティー/妄執』の脚本を手掛けたブレント・ハ
ンリーが、ニコラス・ケイジの製作主演でニューラインで計
画進行中の“The Volunteer”という作品の脚本のリライト
に招かれている。この作品は、テレビの『アウター・リミッ
ツ』などの製作者サム・イーガンが原案を書いたもので、主
人公は地球の人口がすでに異星人によって侵食されているこ
とを発見する、というもの。前の作品から考えてコメディと
は思えず、そうなるとかなり恐い作品が期待できそうだ。製
作時期は未定。                    
 アメリカのSF作家ピアズ・アンソニーが発表した全7冊
のファンタシーシリーズ“On a Pale Horse”の映画化権を
ディズニーが獲得し、ジェイミー・フォックスの主演で製作
することが発表された。物語は、自殺しようとしたが死に切
れず、しかもパニックの中で早く現れ過ぎた死神を撃ってし
まった主人公が、死神に替って仕事をする羽目に陥るという
もの。一種のスーパーヒーローもののようだが、脚色は、ジ
ム・キャリー主演『ライアーライアー』などのポール・ガイ
が担当。また、製作はアメリカ第3位のコミックス出版社ト
ップ・カウとの共同で行われ、トップ・カウでは併せてコミ
ックス化も進めるという計画だそうだ。         
 昨年第2作が公開された『スパイ・キッズ』シリーズの第
3弾“Spy Kids 3-D: Game Over”に、敵役としてシルヴェ
スタ・スタローンの出演が発表された。スタローンの役柄は
トイメーカーと呼ばれる敵の首領で、主人公のコルテス一家
の永年の敵だったというもの。この男が、一家の長女カルメ
ンを罠に掛け、ヴァーチャル・リアリティのゲームに閉じ込
めるところから物語が始まるようだ。なお、父親役のアント
ニオ・バンデラス、姉弟役のアレクサ・ヴェガ、ダリル・サ
ハラはすでに参加が決定しており、母親役のカーラ・グギノ
も契約は済んでいるそうだ。監督は、もちろんロベルト・ロ
ドリゲス。公開は今年の7月に予定されている。     


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井口健二