一応バレ防止にて白文字。あくまで私的所感ということで。 やっぱり期待も大きかったので、その辺加味して7/10ってとこでしょうか。一小説として読んだ時にゲームやってない人が分かるとは思えない記述が多いのがマイナス1、逆に半端なゲーム中の状況説明部分が宮部作品としての文章の良さを削いでいるのがマイナス1、これを読んでもゲームの面白さにプラスαがあるかと言うとそうでもないからマイナス1、ということで。 「ICO」はアクション+謎解きゲーなので、本来の面白さの主体は動作感と「自分で解いた!」という部分にある訳で。もちろん舞台となる城や主人公と少女の美麗なグラフィック、不思議な世界観も魅力ではあるし、物語の成り行き・終焉にはぐっと来た。来たけれどもそこはサブとあえていいたい。だから小説としては難しい題材だと思うのね。宮部ICOでは、ゲーム中では語られなかった少女の心情や女王(敵方)と少女の過去、主人公の生い立ちを描いているのだけれども、それは知りたかった裏話というよりは、私としては「そういう事もあったかもね」としてゲーム中での感覚をより大事にしたいなぁという感じ。 もうちょっと具体的に書いてしまうと。物語の大筋としては、迷宮めいた城に捕われている少女と、そこに生け贄として一人置き去りにされた少年主人公が手に手を取って逃げ出す脱出活劇。でね、何故それを主人公たる少年イコが成し得たかの部分。私はそれを某ハリーポッターのアレではないけれど「自分がそれを望んだから」だと思っていたい。過去幾多の生け贄の少年達が城に飲まれて行った中で、何故イコだけは少女を助けて女王に打ち勝つ事が出来たのか。それはただ単に、本当に、イコ(=プレイヤー)が諦めなかったから、少女をどうしても救い出したいと願ったから、だと思っていたい。宮部ICOでは、イコは少女の力となるべき血を受け継いだ古の人物の末裔だったり、他の生け贄とは違い守護の力を与えられていたり、と何かと特別扱いなのがちと気に入らない。だってそんな事ゲームでは必要なかったもの。誰の助けが無くても、イコは一人で立ち向かって行く、そこが好きだったのだもの。敵方たる女王があまりにも完全な悪役なのも少々残念。描かれないが故に、ゲーム中では女王の悲哀を感じる事ができていた部分もあると思う。もう一つ、対決の後でやってくる少女が「白」として現れたのも、多分エンディングへの繋がりとして小説として不都合を感じてそう変えたのだろうとも思うのだけれど、それでもそこはやっぱり「黒」だと思う。だってだからこそ悲しかったのだもの。だからこその「さようなら」なのだと思うのだもの。 そんな訳で。ゲームの魅力はやっぱりゲームをプレイする事でしか伝えられないと思う。というか、そういうゲームこそが良質なゲームなのだと思う。宮部みゆきファンとしての自分は取りあえず置いておくことにして。
西UKO 27:11
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