2004年06月22日(火)
一夜明けて
猫をケージに入れ、車に乗り、動物病院へ向かう。
車の中のケージの中で、猫は不安そうな声で鳴く。
その度に私は、大丈夫、大丈夫、と声をかける。
一体何が、「大丈夫」なのだろう?
猫の病気は治らないのに。
だけど、私は此処にいる。この子の傍にいる。
だから「大丈夫」
どうか怯えないで、恐れないで。
口内炎が腐食して、猫の顎には穴が開いていた。
今日はその治療。
傷口を消毒し、筋肉注射を打つ間、私は猫の体を支えていた。
治療から逃げないように押さえるのではなく、じりじり後退ろうとするその背中を、そっと両手で支えるだけ。
大丈夫だから、怖くないから、ね?
治療が終わって、医師が言う。
「今日はノラちゃん、全然鳴かないし、逃げないし、偉かったね」
母が応える。
「今日はお姉ちゃんの後ろ盾があるから。食事もお姉ちゃんが来てから、沢山食べるようになって、たった一日でずいぶん元気になったんですよ」
そうか、愛ってこういう事なのか。
私は医者じゃないからこの子を治す事は出来ないけれど、この子に力を与える事は出来るんだ。
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