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風にのって龍が翔ぶ
瑠奈
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2004年10月08日(金)
軌保博光との出あい

知らなかった、こんな人がいることを。初対面の人と言葉はなにも交わさず数秒見つめあった後、その人のことをインスピレーションで言葉で書きあらわす。1998から原宿あたりで始めたそうだが地方に住むわたしは知らなかった

 先日骨董市を見に行ったときのこと、路上に人だかりが、、、まわりに色紙に書いた書が飾ってあったからちらっと興味をもった どんな人が書いているのかしら・・・その男性は台の上であぐらをかいてヘッドフォンをして音楽を聴きながら、首を大きく揺らしながら書いているではないか。きちっとした書法にのっとった書をやっている私から見れば嫌なものをみてしまったとさえ感じた しかし時間はあるしもう少し近くでどのような字を書くかみてやろうと思った 直ぐ側で見た彼の字とその姿はわたしを惹きつけるものがあった あれほど首をふっていてなぜ書けるの?あんなんじゃ自分の書く字を見ることさえできないじゃないの それにちょっと人をみただけでその人の何がわかるの 心の中までわかるの?この人の前に座って確かめてみたいと思った 

その時がきた 彼はべつに鋭い眼差しでもなく決して観察してやろうというふうでもなく ほんの数秒の間だった 目をあわせた 
わたしは少し微笑みそして心の中で「なにがみえるのかな?」と問いかけた
そしてお互いに一呼吸おいてもう一度見つめあった 

彼はもうわたしを見ることはなかった なにかが彼の頭の中にすうっと入ったようにさらさらと言葉を書いていった


その愛
そのやさしさは
えんりょしないで届けてあげて
瑠奈(本名)がそこにいて
微笑むだけでがんばれる


そんな言葉が書かれていた ドキッとした
嬉しいというよりもなにかこわかった
「自分が必要とされていることを信じていきなさい」
そんなふうに感じ取ってもらえたことが救いだった

そして書いてもらった言葉よりもなによりも彼の無心に書いている姿に打たれた 自分が生涯をかけて打ち込むべきものをあらためて感じとった 
私の中で情熱と信念がみなぎってきた




あの日あの時偶然に出あえたことを幸運に思う
わたしは持っていた文庫本にはさんであった
「美しいこころ」と書いたわたしの栞をそっと手渡した
彼は静かにうなずいてくれた