世にもいい加減なネバーエンディング海外ドラマ
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2001年11月28日(水) 善良な魂 13

        アンディとモリス、行きかけるが、フィービーとパイパーを呼ぶ。
        玄関のドアを閉めながら、二人に「待ってて」と、目配せして、
        プルーは、一度、ヘンリーについて中に入る。


プルー   「・・・大丈夫?」
ヘンリー  「信じられない。二晩も続けて、知り合いが・・・。
       それに、彼は自殺じゃないと思うよ。結果を聞いて喜んで帰っていったんだから。
       気の毒に・・・。でもだからといって、誰かに恨みを買うような人でもなかった。
      ・・・とにかく、父さんに言わなけりゃならないが、言い出しにくいよ。プルー。」
プルー   「お察しするわ。」

         気配に気づいて、リサが出てくる。

リサ    「ヘンリー?」
ヘンリー  「(気を取り直し)あぁ、大丈夫だ。父さんは?」
リサ    「マイケルとまだ遊んでくれているわ。」
ヘンリー  「そうか・・・(プルーに気づき)プルー、色々、手数をかけたね。後はボクが・・・。」
プルー   「(うなずく)」
ヘンリー  「お疲れ様。」
リサ    「本当にありがとう。プルー。後で、電話するわ。」
プルー   「ええ、わかったわ。(何か声をかけようとするが、ふさわしい言葉が見つからず)
       じゃぁ。」

        と、その場を立ち去ろうとするが、何かの気配に気づくプルー。
        子供部屋で遊んでいるはずの、ランディの視線を感じた気がして、
        そちらを見るが、その時には、誰もいない。
        玄関に出る。車の近くで、アンディがパイパーたちに質問している。


アンディ  「君たちとここは、親しいのかい?」
フィービー 「私が小さかった頃だから、あまり覚えてないんだけどね。」
パイパー  「(いたずらっぽく)アルは、良く知ってるんじゃないの?」
フィービー 「(余計な事を、という風)まだ、よくも知らないわよ。」
モリス   「アル?」
パイパー  「アルバート・マクダウェル。今の、ヘンリーの弟で、歯医者さんなの。
       フィービーが狙ってるのよ。」
フィービー 「全然、関係無いと思うんだけど!」
アンディ  「同じ診療所内で?」
フィービー 「違う。彼は彼で、クリニックをやってるの。・・・あ、もしかして、
       お二人さん、ここんちの人、疑ってるの?」
アンディ  「そういうわけじゃないよ。」

フィービー 「ならいいけど。(子供に言うように)それに、みんな告別式でいなかったから、
       プルーが、子守りに来てたんだよ?」
アンディ  「アリバイ成立ってわけか・・・」
パイパー  「(言いよどんで)もし、自殺じゃないとしたら、ね?」
フィービー 「(改めて)そうか、みんな告別式だ。」
モリス   「今、君が言ったんだよ。」
フィービー 「そ、そうね。」

アンディ  「(プルーに気づき)やぁ、プルー、久しぶりだね。」
プルー   「ええ、ほんとに。」
アンディ  「事件と関係無いところでは、中々、会えない。」
プルー   「それって、嫌味?」
モリス   「(咳払い)」
アンディ  「すまない。プルー。(笑顔を見せて)今夜はここで、子守りだったって?」
プルー   「骨董や宝石以外に子供の面倒もみれるのよ。」
アンディ  「(微笑む)」
プルー   「(微笑み返して)告別式が急だったから、ベビーシッターがつかまらなくて
       頼まれたの。」
アンディ  「そう、ところで、どこの告別式?」
プルー   「(そういえば)あぁ、名前は聞いてないわ。でも、お父さんの患者だった人で、
       奥さんを亡くされて、後追い自殺だったらしいわ。悲しいわね。」
アンディ  「・・・悲しいね。」

       と、言いながら、冷静に、事務的に携帯電話を出す。
       モリスはやりきれないように


モリス   「何だって、この街は、急に自殺したがる奴が、増えちまったんだ?」
アンディ  「あ、アンディ・トゥルードだ。今までのリストの人物の通院履歴を当たって欲しい。
       至急だ。よろしく頼む。」
プルー   「今までのリスト?どういうこと?他にもいるの?」
パイパー  「それに、ねぇ、自殺したがる奴が増えたって、どういう意味なの?」

      フィービーは、自分の予知を反芻しながら、益々、魔物の関与を確信する。

つづく


2001年11月22日(木) 善良な魂 12

        扉を開け、外にいる刑事二人と対面する。二人は警察バッジを見せる。
        3姉妹は、少しあとずさって、様子を見ている。


アンディ  「遅くに申し訳ありません。ヘンリー・マクダウェル医師ですか?」
ヘンリー  「そうです。」
アンディ  「実は、今夜、ここから少し行ったところの空き倉庫で、
       ある人物の遺体が見つかりました。」
ヘンリー  「遺体?それと、私と何か?」
アンディ  「発見したのは、偶然にも、パイパーとフィービーの二人。
       ここに来る直前の出来事です。」

          なんとなくバツが悪いパイパーたち。

ヘンリー   「はぁ・・・。」
アンディ   「彼女達は、発見者として、必要な報告をしてこちらに向かう途中だと言って。
        そして、私は、その遺体の財布から、これを発見しました。奇遇です。」
ヘンリー   「(はっとして)うちの診療カードですね。」
モリス    「この人に心当たりは?」
ヘンリー   「ええ、うちの患者に間違いありません。どうして彼が?事故ですか?
        それとも何か事件に巻き込まれたのですか?・・・(深くため息)気の毒に・・・。」
モリス    「(アンディを意味深長に見ながら)調査中です。」
アンディ   「たくさんいる患者なのに、名前だけで、すぐわかるもんですか?」
ヘンリー   「ええ、彼は父の代から、うちをかかりつけにしくれました。最近、
        父がサンディエゴから戻って、家のほうにも何度か訪ねてくれたことがありますから。」

アンディ   「ほう、それは?」
ヘンリー   「それは、事件に必要な質問ですか?」
アンディ  「ええ、お願いします。」
ヘンリー  「父への直接の話は実のところわかりません。ただ、彼は(少しためらって)
       ・・・自分の病を不治のものと思い込んでいました。もちろん、
       検査の結果を待たなくてはならなかったのですが。」
アンディ  「それで?」
ヘンリー  「検査を受けに来る前と、結果を待っている間に、父を訪ねたようでしたので、
       恐らく、そのことについての相談か何かだと・・・。」
モリス   「検査結果は悪かったのですか?」
ヘンリー  「(少し驚いて)いいえ、良性でした。もちろん、命に別状はありません。」

        アンディとモリスは顔を見合わせ、

モリス   「そう、ですか。」
アンディ  「先生、確認しますが、その結果を彼は知っていたんですね?」
ヘンリー  「ええ、今日、わかったので、すぐに知らせました。」
アンディ  「本人の様子は?」
ヘンリー  「それは、安心して、喜んでいましたよ。」

       後ろで聞いていたフィービーが突然、探偵気取りで

フィービー 「じゃあ、病気を苦にして、っていう理由は成り立たないわね。やっぱり・・・」
プルー・パイパー  「(慌てて制し)フィービー!」
ヘンリー  「どういうことですか?ヘンリーの死因は、なんなんですか?」
アンディ  「実は、ビルの4階から飛び降りたようで・・・。自殺の可能性が高いと思われますが、
       多少不審な点が。そう、先生。彼は心臓は弱っていましたか?」
ヘンリー  「いいえ。年齢並みには丈夫でした。」
アンディ  「先生ならどう思われますか?飛び降りて地面にたたきつけられる前に、
       彼は死んでいたようなんです。」

       ぞくっ、としながら聞き入る3姉妹。やはり、魔物の存在が・・・
       思わずフィービーは


フィービー 「それって、殺人の可能性もあるっていうことじゃないの?」
プルー   「あんたは黙ってなさい。」

ヘンリー  「そうなんですか?」
モリス   「まだ、なんとも。」
ヘンリー  「それじゃ、どうして。」
アンディ  「すべては検死の結果待ちです。しかし、かかりつけの医者が、
       偶然にも彼女達の行き先だったもので。お伺いしてお話しを、と。
       ・・・出血の仕方など、通常の飛び降りの場合と異なるのです。」
ヘンリー  「それで、心臓の事を?もちろん、高齢ですから、ショックによる心停止が先だった
       とも考えられますが、何秒かのことですよね・・・」
モリス   「やはり、検死の結果待ちだよ、アンディ。とにかく病気の心配からも開放され、
       心臓も悪くなかった。それがわかった。上出来じゃないか。」

ヘンリー  「考えたくないが、自殺の原因があるとすれば、別の事でしょう。
       しかし、家族もいる。金に困っているようでもなかった。考えられないですよ。
       だいたい、状況が、飛び降りる前に死亡していたなんて、変じゃないですか。
       ・・・刑事さん、遺書でも持っていたんですか?」
アンディ  「調べてますが、まだ。(モリスを見て)」
モリス   「また、何かあったら、問い合わせにくるかもしれませんが、ご協力お願いします。」
ヘンリー  「ええ、わかりました。」
アンディ・モリス  「失礼します。」

つづく


2001年11月15日(木) 善良な魂 11

        同時刻、玄関の、パイパーとフィービーの会話。

フィービー 「ちょっと、パイパー、痛いよ、どうしたのよ、急に。」
パイパー  「ごめん、ごめん。気が付いたのよ。」
フィービー 「何を?」
パイパー  「・・・で、最初にごめん。」
フィービー 「何が?(もどかしい)」
パイパー  「あの、さっきの予知なんだけど、やっぱり、プルーに賛成、っていうのかな?
       ランディが魔物っていうのは、どうかしら?」
フィービー 「私だって、そう言い切ってるわけじゃないよ。ただ、見えただけだから。」

パイパー  「予知自体を疑うつもりはないんだけど、ひっかかるのよ。」
フィービー 「どのあたりが?」
パイパー  「うちのおばぁちゃん。」
フィービー 「うん?(飲み込めない)」
パイパー  「ほら、よぉく考えたら、亡くなったマリアナと、うちのおばぁちゃんて、
       すっごく仲良かったじゃない?」
フィービー 「私はあんまり覚えてないけど、だって、マリアナ、サンディエゴだっけ?
       行っちゃったし・・・」
パイパー  「(思い出してみて?という風に、じっと目を見る)・・・」
フィービー 「でも、そうね、よくうちに来てたかも。」
パイパー  「こちらのうちに、来る事もあって、私たち、マクダウェル先生、
       あぁ、ランディの方ね、結構遊んでもらったわ。」

フィービー 「だけど、外見上は人間と変わらないから、わからないじゃ・・・。あ!」
パイパー  「そう、普通ならね。」
フィービー 「そうだ。うち、魔女の家系な上、しかもおばあちゃんは、強力な、魔女!」
パイパー  「魔物と魔女が仲良くできると思う?こっちにその気があっても、
       むこうが黙っててくれないわよ。」
フィービー 「おばぁちゃんがすごすぎて、ずーーっと狙ってたけど、タイミングを逃した
       ・・・って、・・・長すぎだよね。(あまりの浅はかな意見に自分でも情なく笑う)」
アンディ(声)  「何のタイミング?」

        二人が玄関先を振り返るとアンディとモリスが到着している。

二人    「(とても驚いて)アーーンディ!!!いつの間に?」
アンディ  「今だよ。(少し笑って)驚かせたかい?」
パイパー  「ええ、少し。あんなことがあって、急に背後からだったから・・・
       ね。(にっと笑ってごまかす)」
モリス   「普通は、あのまま、話を聞かせてもらうんだけど。」
アンディ  「まぁ、いいじゃないか。」
フィービー 「私たちに話って、何?プルー、呼んで来る?」
アンディ  「いや、実は、あぁ、君たち2人にもいてもらいたいんだが、プルーか、
       そうだな、彼女に呼んで来て貰えないかな?」

二人     「?」
アンディ  「実は、話を聞かせてもらいたいのは、ここの先生なんだ。」
パイパー  「ヘンリー?!何で?」
モリス   「とにかく、呼んで来て貰えるとありがたい。中へ入ると、大げさになるだろ?」
アンディ  「(笑顔を見せて)そう。話はそれからだ。」
フィービー 「(仕方なく)O.K.」

        丁度、話が途切れた、つまり、プルーが、驚いてしまったところ、
        フィービーが、開いている扉をノックして、まずプルーだけを呼ぶ


フィービー 「(ノック)プルー・・・」
プルー   「(リサとヘンリーに)ちょっとごめんなさい。どうしたの、フィービー。」
フィービー 「アンディたちが、来たよ。」
プルー   「それで、私を連れて来いって?でも、どうして私が・・・。」
フィービー 「違うの、プルー。アンディたちが、話があるのは、ヘンリーなんだって。」
プルー   「どういうことなの?!」
フィービー 「まだ教えてくれない。とにかく、プルーに連れてきて貰えって。」
プルー   「とにかく行くしかなさそうね。」
フィービー 「・・・」
プルー   「先、行ってて。私から話すから。」
フィービー 「わかった。(戻る)」

プルー   「(二人の方に戻り)あの、実は・・・今、表に丁度・・・私の友人なんですけど、
       ・・・刑事をやっていて。なんていうか、よくわからないんですけど、
       今夜起こったことで、何かヘンリーに聞きたいらしくて。
       申し訳ないんだけど、玄関の方まで来てくれないかって。」
ヘンリー  「今夜起こったこと?何だろう?」
プルー   「うちの妹達が、偶然居合わせたことらしいんだけど。それだけしか・・・」
ヘンリー  「いいだろう。出よう。リサ、心配しないで、それから、
       父さんにも知らせなくていいから。」
リサ    「(顔色が優れない)ええ、わかりました。」

     リサは、子供部屋の方を見ながら、ランディたちが気づかない事を祈る様子
     玄関に向かいながら、ヘンリー


ヘンリー  「父が行方不明になっただろ?あの時、実際に、警察に足を運んで
       大変な苦労をかけたのは、リサだった。ようやく見つかった父は、
       やはり、少し尋問ていうのかな、何度か警察に呼ばれた。
       二人ともナーバスになっている。」
プルー   「本当はあなたもでしょう?」
ヘンリー  「(笑って見せて)そうだな。警察っていうところは、慣れる物じゃない。
       必死で家族を探したいだけなのに、親身になってくれる人は、多くはなかった。
       それどころかひどい事を言う人もいる。そうでなけりゃ、
       やっていけないのかもしれないが・・・。」

プルー   「私にも、何の話なのかわからないんだけど、たいしたことじゃないと思うの。
       ごめんなさい。」
ヘンリー  「君が謝る事じゃない。警察も仕事だ。さ、行こうか。」  

つづく


2001年11月12日(月) 善良な魂 10

       時間が戻った時のぎこちなさが残る。握手をしていたはずの手が
       離れていることが妙に思えて、手を見るランディ。マイケルが走ってくる。


マイケル  「おじいちゃん!おかえり!」
ランディ  「おぉ、マイケル。いい子にしてたかい?」
マイケル  「ちゃんとお留守番できたよ。それより遅いよ!
       もう、プラモデルも作っちゃったんだ。」
ランディ  「ごめん、ごめん。ほう、それより、一人で作ったのかな?(笑って)」
マイケル  「そうだよ!」
プルー   「そうね、マイケル。」
マイケル  「でしょ?ほら、おじぃちゃん、こっちこっち、見に来てよ!」

      ランディ、嬉しそうに、子供部屋へ、付いていく。

プルー   「(二人を見て)あのランディが、って、あなた達も思うでしょ?」
フィービー 「思いたくないけど・・・。でも、魔物が彼氏だった人もいるしね・・・」
パイパー 「フィービー!!」
プルー  「フィービー、いい加減にしなさい。
      言っていい冗談と、悪い冗談の区別くらいつくでしょ?」
パイパー 「もう、いいけど・・。ね、プルー、それにしても、ランディが魔物でないなら、
      その予知は、どう説明できると思う?」

      その時、普段着にきがえたヘンリーがやってくる。

ヘンリー 「父親不在でも、大丈夫だろ?挨拶も無しだ・・・。悲しいくらいだよ。
     (笑っている)父さんにはかなわない。」
プルー  「仕方ないわよ。私たちも、母が健在な頃から、おばぁちゃん子だったもの。」
パイパー 「あ!(と、突然、思いついて)」
ヘンリー 「どうかしたかい?」
パイパー 「いいえ、ちょっとこっちの話で、ごめんなさい。フィービー・・・
      (玄関の方に引っ張る)」
フィービー「え?え?(引っ張られながら)」

      ホームウェアに着替え、リサが入ってくる。

リサ   「お茶にでもしましょうか?」
プルー  「あ、すぐに帰るので、そんな気を使わないで。お疲れでしょう?」

      アンディたちが来るまで、居残らなければいけないことを思い出し、
      何かを話そうと考えていると、リサのほうから


リサ   「義父には、人を魅了する、何かがあると思うの。温かい何かが。
      子供にはそれがわかるのね。」
ヘンリー 「それじゃまるで、ボクが、温かみに欠ける人間みたいに聞こえるじゃないか?
      リサ、ひどいなぁ。」
プルー  「(笑って)」
ヘンリー 「プルー、妻まで、父の味方だよ。」
リサ   「(笑って)味方って、大げさなんだから。ヘンリー、でも、よかったわ。
      ヘンリーの両親にはとてもよくしてもらったの。お義母さんが亡くなった時、
      どうなるかって思ったけど、マイケルがいてくれて、よかった。
      私は何もできないけれど、マイケルが、義父をなぐさめてくれているわ。」
ヘンリー 「そうだな。マイケルが父さんの、支えなのかもしれないな。
      これまた、息子が二人もいて、不甲斐ない話しだけれど・・・。
      とにかくよかった。」

プルー  「そういえば、今朝、マイケルが幸せの全てだって、おっしゃってたわ。
      ・・・でも、その二人を産んで育てたのはあなた達二人だわ。」

ヘンリー 「確かにそうだが・・・(子供部屋を見やり)
      診療所に来る患者でも、昔馴染みの人は、父に相談に来るんだ。
      全く、ボクは、医者としても父を超えられそうに無い。(わざと、少し大げさに)
      哀れで、情なくなってくるよ。でも、父には、長年の経験と、医療技術とは別に、
      病人の心を見抜いたり、気持ちを上手く聞いてやったりする力があるんだな。」
リサ   「あなたもせいぜい経験を積むと、そうなるわ。息子なんだもの。」
プルー  「(羨ましそうに微笑んで)いいご夫婦だこと。」
ヘンリー 「ありがとう、プルー。」

      話が途切れてしまいそうになるが、まだアンディたちが来る気配はない。
      パイパーとフィービーも戻ってこない。プルーは、ふと思い出し


プルー  「ねぇ、リサ、帰りが遅くなったのに、ランディが・・・って、言いかけてたけど、
      具合でも?」
リサ   「あぁ、ごめんなさい、心配かけるような事言ってしまって。健康よ。
      ねぇ、ヘンリー?」
ヘンリー 「体はいたって健康だよ。安心してプルー。ただね、今日、亡くなった方は、
      父の患者だった人なんだけど、患者と医者以上。信頼関係というか、
      友情みたいなものがあったのかもしれないね。それで、告別式の終り頃かな、
      父が、一人で席をはずしてしまったんだ。誰にも言わずに。
      言っておいてくれれば良かったんだが、それで、少し探してね。
      遅くなったって言うわけさ。そういう意味でも、すまなかったね。」

プルー  「いえ、私はそんな、・・・その方、急に悪くなられたのかしら?」
ヘンリー 「(少し考えて)いや、そうじゃないよ。こればかりは、難しすぎる問題だね。
      精神科まで深く勉強していなかったし。父のところへは、何度か来ていたようだけど。」
プルー  「どういうことかしら?」
ヘンリー 「患者のプライバシーに関わる事かもしれないが・・・。」
リサ   「義父と同じ。奥様に先立たれたの。・・・・何度かお見えになったけど。
      最後にお見えになったのは先週だったかしら?笑顔で帰られたのに
      ・・・自殺だったの。」

プルー  「(内心、「また自殺」と驚いて)!・・・そう、自殺・・・ですか・・・。」  

つづく


2001年11月08日(木) 善良な魂 9

        居間に通されながら、フィービー、話しつづける。  

フィービー 「トムが飛び降りるの予知した時、魔物みたなの見たって言ったよね?それがさ、」
プルー   「(さえぎって)マイケルに聞こえないように、声を落として。」
フィービー 「あ、ごめん。トムとは違ったけど、飛び降りたビルの屋上から、トムの予知の時見た感じの、
       青白く光る人間ぽいものがふわあっと飛んで、消えたの。見ちゃったんだ・・・。」
プルー   「パイパーは?」
パイパー  「私は、車から飛び出して、死体を先に見つけたから・・・。そっちは見てない。」
フィービー 「トムの予知は、昼間だったから、今夜相談すればいいと思ってたの・・・。
       まさか、彼の隣の人もだなんて・・・。」
プルー   「驚いたわね。フィービー。大丈夫?」
フィービー 「なんとか・・・でも、まさか、間違えた道で、飛び降り、え?飛び降り?
       投げ飛ばされ?(説明に混乱して)ま、いいや、それに遭遇するなんて。
       それも別人だよ!!」

プルー   「間違えてその人にぶつかったってことは、ない?」
フィービー 「ない、ない、そっちもぶつかればよかったって、後悔してるくらいだもん。」
パイパー  「その人には気の毒だけど、せめてトムを助けなくちゃ。」
プルー   「そうね。」
フィービー 「どうすればいい?」
プルー   「とにかく早く、影の経典を調べたいんだけれど・・・。
       そうだ、トムについては、アンディに言ってみた?」
フィービー 「ううん。現実に見たことだけ、って言い聞かせてたから、言ってない。
       言った方が良かった?」

      携帯をとろうとするプルーに。

パイパー  「アンディに連絡するの?なら、必要ないと思う。(少し気まずそう)」
プルー   「なんで?」
パイパー  「んー、わかんないんだけど、ここで待ってろって、言われたの。」
プルー   「どういうこと?」
パイパー  「わかんない。その時にって。」
プルー   「仕方ないわね。どっちにしてもその時に、今回の亡くなった方の同伴者
       とういうことで、彼らにトムのことを探してもらいましょう。」
フィービー 「それより、もうすぐ帰ってくるんじゃない?」

プルー   「そうね、はぁ、(ため息)それにしても、今回はいつもと違う気がするの。」
二人    「どういうこと?」
プルー   「普通、魔物は他の獲物を追っていても、そこに魔女がいることがわかったら、
       見逃さない。
       ついでに、自分がより強力になるために、私たちの持つ力を欲しがるわ。」
パイパー  「そういえば、そうね。」
プルー   「それなのに、今回は、すぐ近くにあんたたちがいたのに、見向きもせずに飛び去った。」
フィービー 「気がつかなかったんじゃない?」
プルー   「そうなのかしら・・・」
パイパー  「他にもっと、急ぐ仕事(?)があったとか・・・。あ。」

        車止めに、車が入る。ヘンリーたちが、帰ってきたのだ。

プルー  「ヘンリーたちだわ。・・・
     (出迎えて)いいタイミングだったわ。妹達も丁度迎えにきてくれたの。」
リサ   「思ってたより遅くなってしまって。ごめんなさい。ちょっと、父が・・・
      (言いかけて)マイケルは?」
プルー  「あっちの部屋よ。」
リサ   「大丈夫だった?」
プルー  「ええ、全然、苦じゃなかったわ。大人しく遊んでたわよ。(奥に向かって)
      マイケル!!ママたちが帰ってきたわよ!(リサたちに)だからいつでも言って。」
ヘンリー 「本当、すまなかったね。ありがとう。」

       走りこんでくる、マイケル。

ヘンリー  「いい子にしてたかい?」
マイケル  「(プルーを見て)してたよね?」
プルー   「(にっこり笑って)してたわ。プラモデルも完成したしね?」

       マイケル、自慢げに笑う。
      ランディ、入ってくる。ちらっと、パイパー、フィービーを見て。


プルー  「おかえりなさい。あ、行きは、アルが送ってくれたけど、帰りのために、
      妹達に来てもらったんです。小さかった、パイパーとフィービーです。」
ランディ 「おぉ、そうか?君たちが・・・。大きくなって、きれいになって。
      町ですれ違っても、わからないなぁ。」
フィービー 「(先に手を出し、握手をしようとする)フィービーです。先生。」

      ランディも手を伸ばし、握手する。
      しかし、その瞬間、フィービーは、固く目をつむり、びくっと体が緊張する。
      それを見て取った、パイパーが、さっと手を振りかざし時間を止める。


パイパー  「どうしたの?何か見えたの?」
フィービー 「同じだったの。」
二人    「何が?」
フィービー 「こんなこと、信じられないけど、トムの時の予知とまるきりおんなじだったの!」
二人    「それって、どういうこと?」
フィービー 「・・・」
パイパー  「(替わりに)それって、屋上の上のもう一人の人物が、
       ランディかもしれないって、こと?」
プルー   「そんな?!それって、ランディが、魔物ってこと?!
       そんな馬鹿な事、あるわけないでしょ?」
フィービー 「・・・(気まずそう)」

プルー   「それより、アンディたちがここに来る、言い訳、考えなきゃ。」
パイパー  「でも、来る理由がわかんないのよ?」
プルー   「じゃ、また、ヘンな事言い出したら、
       (パイパーに)あんた、時間止めなさい。その間に考えましょう。」
パイパー  「その場しのぎーー。」
フィービー 「(ぴりぴりしてるプルーに)私情が2つ、もつれあってる。…アンディと、ランディ。」
二人    「フィービー!!」
プルー   「(フィービーに)あんたの私情は、さっさと帰ったわよ!ソフィーと!
       ・・・だいたい、あんた、よくこんな時にそんな事言えるわね?!」
フィービー  「ランディの予知だってしたくてしたんじゃないんだから・・・(少し悲しげ)」
パイパー   「(時間が)戻るわよ!!急いで!」

つづく 


2001年11月03日(土) 善良な魂 8

        数分後、アンディとモリスが、パイパーたちのいる現場に到着する。
        少しして、鑑識係なども到着する。
        警察が来たのが分かり、車から降りるパイパーとフィービー。


アンディ  「やぁ、パイパー、フィービー。連絡ありがとう。
      (少し含みがある言い方で)偶然、とおりかかったって?そりゃ、災難だったね。」
パイパー  「ええ、道を間違えちゃって。バックして出ようと思ったら、音が聞こえたの。」
モリス   「音?」
パイパー  「どさっていうか。物が落ちる、嫌ぁな感じの音。」
モリス   「車を運転しながら?」
パイパー  「あ、なんか、もしかして疑ってます?」

アンディ  「そうじゃないよ。警察は何でも、知っとかなくちゃいけないからね。
       それに聞きたがりなんだ。」
パイパー  「車は、思いっきり徐行だったし、(思い出すのも嫌な感じで)
       それでも聞こえるくらい、大きな音だったんです!」
モリス   「なるほど?」
フィービー 「それで、何だろうな、と思って戻ってみたら・・・(ギョッとした表情をする)」

パイパー  「・・・なんか、これ言うとまた更に疑われそうな感じがして嫌なんだけど。」
アンディ  「何だい?」
モリス   「疑われそうな事ほど、警察に言うべきだと思うけど?」
パイパー  「OK。近づいたら、やっぱり人っぽくて、それももう死んでる可能性大っていうか、
       多分、上から落ちたんだろうなって。(思い出して顔を歪ませる)
       でも、もしも、って顔を覗き込んだら、・・・」
アンディ  「覗き込んだら?」
パイパー  「やっぱり、間違いなく亡くなってる状態・・・。でも、実は、それが、
       うちの、クエイクのお客様みたいで。あの、最近来始めた方だったの。」

アンディ  「それだけ?」
二人    「それだけ」

      アンディとモリスは顔を見合わせる。他の検死官などは、建物の中に入っていく。
      妙な間に、たえきれずにパイパー、フィービー。


二人    「それだけじゃいけない?」
パイパー  「驚くには、充分でしょう?」
アンディ  「いや、いけなくないよ。充分な手がかりになるかもしれない。
       で、付近で、怪しい人物とかは?」
二人    「(やけにすばやく)見なかった。」
アンディ  「(少しひっかかりながらも)見ていない、となると。(上を見上げる)」
二人   「となると?」
        
       検死や、他の警察官が屋上に達したのを見、懐中電灯で、ビルを照らす。 

アンディ  「空きビルになって、だいぶ経つようだな。」
フィービー 「(パイパーに)となると、って何?」
パイパー  「(小声で)私に聞かれてもわかんないわよ。」

モリス   「ところで、こんな時間に、こんなところで、何を?」
フィービー 「え?だから道を間違えたって!」
パイパー  「(けんか腰のフィービーを、押さえて)あー!(アンディをチラッと見て)
       プルーを迎えに。ちょっと、彼女、友達の子供の留守番を頼まれてて。」
モリス   「ほう、プルーね。(アンディをチラッと見て)どこまで?」
パイパー  「○○番地のマクダウェル診療所よ。」
モリス   「それで、ここにプルーはいないわけか・・・。」
アンディ  「事件のあるところ、どこにでもプルーにいてもらっちゃ、かなわないね。」
モリス  「(アンディの耳元で)ほっとするのは、早いね。ここにいるのは、プルーの妹たちだ。」
アンディ  「いい加減にしてくれよ、モリス。(と、言いながら、トムのポケットの中を捜している)」

       財布を発見する。それを見て、モリスの目を気にしながら

アンディ  「プルーとは、終ったんだ。(と、モリスに小声でささやいてから、パイパーたちに)
       それにしても、君たちはよく死体を発見するね。」
二人    「(きっぱり)偶然です!」
モリス   「(仕方ないという風で)一筋間違えて入ったようだな。
       抜け道はやめて、大通り沿いに行った方がいい。」
パイパー  「もう、いいんですか?」
モリス   「とりあえず。今日のところは。」

       そそくさと、車に乗り込もうとするパイパー、フィービー。
       トムの財布から、アンディは、マクダウェル診療所の診察カードを見つける。


アンディ  「だが、(二人に向かって)またすぐに会うことになりそうだね。こっちが(ビルをさし)
       片付いてからで、悪いんだが、マクダウェル家にしばらくいてもらえないか?」

      プルーに会うためじゃないだろうな?という風のモリスにカードを見せるアンディ。

フィービー  「どういうこと?」
アンディ   「そのとき話すよ。じゃ、運転には気をつけて。(振り返り)
       モリス、屋上へ上がろう。」
モリス    「道草して、別の死体を発見しないでくれよな。(アンディのあとを追う)」
パイパー   「縁起でも無い!」
フィービー  「あれでも刑事?」
パイパー   「刑事だからじゃない?」

      二人はぶつぶつ言いながら、車を出す。パイパーが運転している間
      フィービーは、プルーに電話する。


フィービー  「プルー?疲れたよ。…え?・・・ええ、なんとか、うまくいったみたい。
        今からそっちへ向かうね。すぐ着くと思うけど、・・・皆、まだなの?」
パイパー   「好都合ね。でもいつ帰ってくるかわかんないんだから、早く、言っちゃいなさい。」
フィービー  「そこからの帰り道じゃ間に合わないみたいなんだけど。
        話していいかな?」
プルー(声)  「何が?」
フィービー  「魔物の話」

        同時刻、教会で、ランディが見つかる。アルは、自宅へ、残りはヘンリーの
        車へと2台は分かれて発車する。
        パイパー、フィービーは、アンディたちとのやりとりを説明している間に着いてしまう。


プルー    「さ、入って。」
フィービー  「さっきの続き、まだあるんだけど、大丈夫?」
プルー    「ええ、まだ、帰ってきてないわ。マイケルは、隣にいる。」
パイパー   「フィービーって、・・・意外と説明下手なんだ。」
フィービー  「うっるさい!」

つづく


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