Howdy from Australia
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2005年03月30日(水) 嗅覚

職場で部屋の模様替えがあった。今まで同室だった気分屋の同僚は上司と一緒の部屋になり、私は博士課程の学生と同室になることに。電話魔の彼女と別々の部屋になるのはかなり嬉しいかも。

その話を聞いた同僚は、上司と一緒の部屋になったら毎日喧嘩になるわよ、冗談じゃないわ!とものすごい剣幕で怒っていたが、そんな彼女を職場の皆は温かく見つめているだけであった。

今日は上司も同僚も仲良く談笑していて、なかなかいい雰囲気だった。このまま平穏な日々が続くかどうかは分からないけれど、模様替え第一日目も無事終了。

しかし、今まで上司が使っていた部屋に移動し、学生が入ってくるまでの間は広い部屋を独り占め状態なのだが、部屋が一人暮らしの男性のお住まいみたいな匂いがするのがちょっと気になる。


2005年03月29日(火) 味覚

今日は上司の誕生日。皆にお祝いされて照れくさそうだったが、甘いものが大の苦手という前評判の割にはケーキは普通に召し上がっていたような…(←ちょっとがっかり)。私も朝5時10分に起きて作ったいなり寿司を持参。れんこんこそ入っていないけれど、にんじん、白ゴマ、干ししいたけが入って私にはとても懐かしい味。しかし、見慣れぬ茶色い物体に「これは何?中に何が入っているの?」と注目を浴びる。食べた後に皆「美味しい♪」と言っていたが、果たして本心なのかどうか…。

学生の頃、同じものを作って研究室に持って行った時に大好評で、とりわけ友人Gからは「作り方教えてくれ〜!」「最後のひとつ、おれがいただき」と言われるほど気に入ってもらえたので、いなり寿司はオーストラリア人にも受けるものなんだと思っていたけれど、友人Gが実は変わり者・少数派だったのかも。次は無難にから揚げとかにしようっと。

上司に連休はどうだったか尋ねると、友達の別荘があるブルーマウンテンで乗馬をしていたんだって。自分が受け持っているクラスの採点も休み中にやっていたんだよ…と笑いながら付け加えていたが、中華街の市場でキロ当たり1ドルの果物や野菜をまとめ買いして幸せな気分に浸っていた私の休暇と何だか差がありすぎ。連休最終日なんてどこにも出かけずに勉強していたし。いや、その割に理解が深まっていないのが問題だけど…。


2005年03月25日(金) 受信箱新着五件

研究室の皆で会う日取りがようやく決まった。それにしても、2月から連絡を取り始めたというのに、実際に会うのは5月1日。

一時は10名近くいたメンバーも、出身地(メルボルン)や母国(台湾、ドイツ、オーストリア)に帰ったりしたので、現在シドニーで集合できるメンバーは私を含めてたったの6名。それなのに、全然日程の調整がつかず、一時はどうなることかと思った。これで、何とか全員揃ってKの論文発表のお祝いが出来る。皆からそれぞれ「ありがとう!」というメールをもらい、ちょっと救われるのだった。

昨晩は留学当初からの友達Yがうちに泊まりに来てくれ、とても楽しいひとときを過ごすことができた。連休中は勉強するぞ!と意気込んでいたが、やっぱりそれだけでは寂しいものがある。私の気持ちを察するかのように、夕方、携帯にメッセージが入り、「一杯どうよ?」とお誘いが。

しかし、軽く一杯で済むわけがない。白ワイン持込でお寿司屋で食事をし、韓国映画のDVD(『猟奇的な彼女』)まで借りてきて見て、それからさらに話題は尽きることなく、結局寝たのは午前2時。翌朝は一緒に食料品の買出しに出かけ、カフェでお昼も取り、別れた時にはすでに午後3時を回っていた。病院の図書館で借りてきた本にはまだ手を触れてもいないが、連休の滑り出しはなかなかよいかもしれない。


2005年03月23日(水) 勉強不足露呈

昨晩はごうごうという風の音と窓ガラスを打つ雨の音がうるさくて、夜中に何度も目が覚めた。しかも、朝から暴風雨でかなり憂鬱になる。自宅からバス停、バス停から職場までの短い距離を歩いただけなのに、傘は強風で裏返しになるわ、ズボンはびしょびしょに濡れるわで悲惨だった。

午前中は同僚の仕事が時間内に終わらないというのでその手助けに借り出され、午後はうちの研究所所長と上司と私の三人で面談があった。

産婦人科医でもあり大学教授でもある所長は、患者さんも院生も多数抱えていて、かなり多忙な様子。こうやって時間を取って話をする機会が持てたのは、実は就職してから何と初めて!

いつも挨拶程度の会話だけしか交わしたことがなかったので、面と向かって研究について具体的に質問されると、と〜っても緊張してしまい、しどろもどろになってしまった。勉強不足露呈。

上司が補足説明してくれて、さらに自己嫌悪に襲われる。ここ三週間頭に詰め込む作業ばかりで、分かった気分になっていただけだったのかも。物事を筋道立てて説明できるまでの理解力は養われてないのを実感。

面談の最後に近いうちに今後の研究の方向性や意義について発表をしてみないかと所長直々に尋ねられ、快く引き受けたものの、これで私の今週末の大型連休の予定は決まったな…と学生の頃に戻ったような気分になる。

でも、周産期医学、免疫学、内分泌学、これ全部まともにやろうと思ったら、4連休ぐらいじゃ足りないわけで。ま、地道に頑張るしかないか…。


2005年03月22日(火) 几帳面

トリプシン処理をしてから一週間ぐらいはそのまま様子を見ようということで、細胞の成長を待つ日々。

細胞が愛されていないって思わないように出社と同時に細胞の観察をするのが秘訣なんだよ〜と、上司に言われたが、細胞相手に「愛」を語られ、文化の違いを感じる。

考えてみると、これまで大学院や病院でお世話になった先生方は皆女性だったので、男性の上司に指導を受けるというのはこれが初めて。

今の上司はこの国では珍しく時間前行動をするタイプで、細やかな気配りもできる。行動力も責任感もあるし、何よりやる気に満ち溢れている。しかも、上司が昔つけていた実験ノートを参考までに見せてもらったら、その几帳面さにはただただ驚くばかり。

おお、重要な箇所には二重線が、定規でひいてある!自分の実験ノートと照らし合わせると、私のは殴り書きというか落書きに近い…。

この上司の誕生日が来週の火曜日なのだが、職場の皆で上司には内緒でお祝いをしようということになっている。実は、上司は甘いものが大の苦手で、ケーキ類は一切口にしないらしい。自分の誕生日を祝ってもらうことすら本当はいやなのだとか。しかし、共に働くものとしてはそこがまさに狙い目。去年も、「1年に一度くらいは食ってみろ〜!」みたいな勢いで無理やりケーキを食べさせたらしい。これは楽しみ。

日本食が好きだと聞いていたので、巻き寿司でも作ろうかと思ったが、当日人様にお見せできないものを作ってしまっても困るので、ここは無難にいなり寿司にしようかな。家で食べる分には少々見栄えが悪くても目をつぶってもらえるが、高さがまちまちで、具が中央に集まっていない巻き寿司を持っていくのは、やっぱり考えもの。


2005年03月15日(火) 実験開始

只今細胞株を培養中。と言いつつ、実際には上司が手際よく作業を進め、私は横で見学しているだけ。この手の実験は未経験なので、見るもの全てが新鮮で培養液ひとつ作るのですらおもしろい。ヒトの癌細胞に由来するとはいえ、ちゃんと培養容器に接着して増殖している所を見ると、お仕事ご苦労さんって声をかけたくなる。自分でもかなり怪しい…。明日はトリプシン処理。実験が入ると一日があっという間に過ぎるので得した気分。

来月から友達が企画しているシドニー在住の日本人の集まりに参加することにした。今の職場では日本人と知り合う機会もなかなかないし、行動範囲と友達の輪を広げないと!

そういえば、研究室の仲間とも先月から集まろうと企画をしているのに、実現していない。皆、「この日は先約がある」「土曜日は仕事が入っている」と自分の都合ばかり言ってくるのでちょっと閉口気味。Kが論文を提出したのでお祝いをしようと思っていたのだが、このまま時間ばかりが過ぎてしまうのだろうか。指導教授の部屋に毎週定期的に集まっていたあの頃が懐かしい。


2005年03月10日(木) 永住権取得

本日、移民コンサルタントから連絡があり、永住権が下りたことを知らされた。

やった!

この日が来るのをどれだけ待ち焦がれたことか。これまでずっと「本当に大丈夫なんだろうか」という不安が頭の隅にあった。何はともあれこれで一安心。

すでに仕事も始めているので、特に今日から何かが変わるわけではないのだけれど、じわりじわりと嬉しさがつのってきた。

早速上司にも報告。何を隠そう、面接で「永住権に申請中ということだけれど、万が一永住権が下りなかった場合はどうするのですか。」と、質問されたのだった。

「必要な得点に達しているのでその件に関しては問題は全くありません。」と、その場では自信満々に答えたものの、正直言って永住ビザがもらえなかった場合のことなど想定してもいなかった。

永住ビザもないのに結局雇ってもらえて、この病院で働き初めて二週間。一日の大半を文献検索や要約などに費やす毎日。上司とも頻繁にミーティングがあるので、絶えず緊張感を持って取り組んでいる。

上司は若く、エネルギーに満ち溢れていて、日々前進していないと気が済まないのだと言う。何か質問すると誠心誠意答えてくれ、何か物事を頼むとその日のうちに行動を起こしてくれる。

この上司の下で研究が出来るのはかなり恵まれているのではないかと思う。二週目にして研究の方向性を絞り、実験方法を模索する段階に入ってきたけれど、新しいことを学ぶということは興味深い反面、かなり辛い作業。家が近いとはいえ、平日は何もする気が起きないほどくたくただったりする。

ちなみに、同じ部屋の同僚の機嫌の良し悪しは、朝部屋に入ってくる時の声の調子で、判断できるようになってきた。

最初の数日は、

「私、何かした?」

と、自分を責める気持ちがあったけれど、慣れてきたら、虫の居所が悪い時は電話にもプリンターにも上司にも八つ当たりをする性格なのだということが分かって、随分と気が楽になった。


2005年03月01日(火) 戦々恐々

再就職して二日目。

私の直属の上司にはもう一人部下がいるのだが、彼女は臨床専門でダウン症が生まれる確率を調べる血液検査を担当している。そして私は研究専門に雇われたので、同じ上司を持ち同じ部屋に机を持つ身だけれども、彼女とは仕事上そこまで接点はない。

しかし、今日、「何度言ったら分かるの?あなたとは付き合えないわ。私、束縛されるの嫌いなの。これが私の性格だから。」と、携帯で男性と思しき相手と感情的に長々と議論をしていてたのには、呆気に取られた。

大体こういう男女間の話というのは堂々巡りが多く、聞きたくもないのに耳に入ってくるのはかなり苦痛。相手の男性も仕事中だろうに、付き合う気がないならなんで連絡するんだろう。昨日実験を見学させてもらったときは、丁寧に説明してくれて感じがよかったのに。

もしかして、恐怖の気分屋さん?

仕事はできるのかもしれないけれど、ちょっと距離置こうかな〜なんて思ったりして。

それから、もう二度と「安月給」と文句を言うのはやめよう。上司のいないときに研究室にFAXが届き、緊急の用件かどうか確認するためにちらっと見たら「あなたたちの研究に非常に興味があります。是非とも私を雇ってくださいませんか。」という内容のものだった。

大規模な研究グループだけに、そこで働いて実績を積みたいと志願する人は後を絶たないのだろう。つまり、私の代わりなんていくらでもいるので、結果を出さなければいつ首になるか分からないってこと?

税金を引かれたら手元に残るのはすずめの涙程度…と月給にばかり心が奪われている場合ではない!


yumiko |mail

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