Howdy from Australia
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2003年11月17日(月) 無料相談

自分で申請するという手段もあるのだけれど、移民法は本当によく変わる。万が一書類の不備等で申請が却下されてしまったら取り返しのつかないことになってしまうし、卒業後六ヶ月以内に申請する必要があるのでまさに時間との勝負。これまで留学中に経験した事務手続き上の手違いや二度手間の数々を思い返しても、移民局とのやり取りが万事順調に行くとは思えなかった。専門家に任せた方が問題も少ないだろうし、後悔しなくて済むのではないかと考え、日本語情報誌でもおなじみの移民コンサルタントに電話をかけて、予約を取ることにした。初回相談無料とある。

予約当日、「かなり儲かってます」と言わんばかりのぴかぴかのオフィスに圧倒されながらも、エージェントと挨拶を交わし部屋に通される。パスポートと簡単な履歴書を見せて、永住権取得の意志を伝えると、年齢、英語力、学歴、職種、職務経験などを基に自分の現在の持ち点を計算してくれた。それによると、「ぎりぎり」らしい。ぎりぎりでも点数に達しているから喜ぶべきなのか、ぎりぎりなので考え直した方がいいのか、よく分からない。

それから、必要な書類(戸籍謄本、大学の成績証明書など)や申請手順に関して簡単に説明を受け、ここで初めて実際にかかる費用の総額を知る。翻訳、健康診断、申請料、代行手数料、技術査定、無犯罪証明など合わせて総額5200ドル。友人・知人から話を聞いていたので、覚悟はしていたものの、結構な値段にびっくり…。

しかも、卒業後6ヶ月以内に申請しなければならないのに、この「卒業」という定義が何ともややこしい。博士課程の場合は最終論文を提出して大学側から正式に「修了しました」という手紙を受け取るまでは「卒業」とみなされないというのだ。最初に論文を提出してから3人の審査員からの報告が届くまでにざっと3ヶ月、報告に基づき変更や修正を重ねて論文を再提出するまでにさらに1ヶ月かかるとして、その間一体何ができるというのだろう。永住権に申請し就労可能なビザに切り替わるまでは就職活動もできない。また、最初に論文を提出してからすぐに学生ビザが切れてしまった場合、その学生ビザが失効した日から数えて6ヶ月以内に永住権申請の手続きをしなくてはならないのだという。「卒業後6ヶ月以内」とはそれでは何なのか、何だかもう訳が分からない。

説明を聞けば聞くほど、移民法がいかに複雑で分かりにくいものなのかということを実感。また、現在は「ぎりぎり」という私の得点もあくまでも現時点での評価なのだと強調された。つまり法改正によっては今後申請できなくなるという可能性もある。もらえるものはもらっておこうと思ったけれど、もらえるうちにもらっておかないと!という方が正確かもしれない。


2003年11月16日(日) 永住

日本語教育の修士取得を目指し渡豪した当初、長くても2年から3年で引き上げる予定だった。そのはずが、オーストラリアに魅せられ、まるで帰国する日を一日、いや一分、一秒でも延ばそうとするかのように、文系から理系に進路を変えて学士を取得し、さらには大学院に進学。ついこの間までは「論文さえ終れば日本に帰ることができます」とか、「来年の誕生日は一緒にお祝いできますね。楽しみにしています。」などと家族に宛ててメールを書いていたのに、永住の方向へ気持ちが傾く。

思い返せば2003年4月、ハーバークルーズで友達の友達である日本人留学生を紹介された時のこと。大学で日本語教育の1年コース(graduate diploma) を取り始めたばかりの彼女たちに、日本語教師を一度は目指していたものとして興味があり、コースについて尋ねたのだが、返ってきたのは

「全然だめなんです〜」

という答え。

驚いて思わず聞き返してしまったのだが、よく聞いてみると、講義内容や実習に問題があるからというのではなく、移民法の改定に伴いそのコースを修了しても永住権が申請ができなくなってしまったため、「全然だめ」ということが判明した。永住権取得が留学の目的になるなんて、それまで考えたこともなかった。(ちなみに彼女たちは移民法改正時にすでに就学中であったことから、永住権を無事に申請することができたそう。)

日本帰国後の自分の姿を思い浮かべる。

オーストラリア生活を懐かしく恋しく思う毎日?

例え永住できても選挙権のない自分を想像する。

就職は?どうあがいても克服できない言葉の壁は?

日本にいる家族は?老後は?将来の子供の教育は?

その後の人生を大きく左右する決断ゆえ、そう簡単には答えが出ない。でも、職業経験が問われずに永住ビザに申請できるのは卒業後6ヶ月以内だけ。つまり、この機会を逃すと、永住権取得は限りなく難しくなってしまう。

それだったら、もらえるものはもらっておこうかな

それが始まりだった。


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