嗚呼!米国駐在員。
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2006年08月09日(水) ハイウェイ逆走

通勤ではハイウェイでもローカルを利用しても大差ないのだが、今朝はハイウェイを使うことにした。
普段は譲り合い精神旺盛でジェントルなアメリカ人も、一般道での朝の通勤ではF1レーサー気取りでスキルもないのにジグザグ運転をするので、非常に危ない上に一々頭にくることが多いからである。ちなみに、SUV及び2ドアクーペのアメリカ女性の運転はひどすぎる。運転までLadyファーストを持ち込むから、本当に自分勝手である。特に朝の通勤は、電話か化粧か食事をしながら運転しているので危険そのものだ。ところがハイウェイであれば直線一本なので、車の流れに乗ってのんびりしていれば良いから精神的にも良い。


というわけで今朝はハイウェイに乗ったのだが、5分くらい走るとすぐに渋滞に入り流れは止まってしまった。
普段はスイスイなので珍しい。と、側道をパトカーが何台も通り抜けていく。こりゃ事故だな、と思い、エンジンを止めて様子を見ることにした。

当然の事ながら、車に乗っていると数マイル先で何が起きているか分からない。
そのまま15分経過したが車は動かない。3車線もあるのだから少しでも動きがあればまだしも、全く動かない状態はツライ。目の届く範囲、数マイル先まで数千台という車が微動だに出来ずに事故処理を待っている。

と、右車線で止まっていた車が右の側道に入りバックを始めた。そして、2台、3台、とマネをして右の側道に入り戻っていく。
そこはハイウェイの入り口を半マイルほど過ぎた場所だったので、その入り口を逆走して一般道に出るつもりだろう。アホやな、と思ってみていたが、そのうちにほとんどの車が右の側道を戻りだした。数十台が連なってバックしていく光景も珍しい。そして、そこはいつの間にかバックする車さえなくなり、堂々と完全に逆走する大きな流れになっていた。ハイウェイに入ってくる車があったらどうなるんだろう、と思ったが、ハイウェイから救いを求めるように次から次へと流れ出る車を見てそこに飛び込むアホはさすがにいない。

ハイウェイの方向とは完全に逆の流れとなった右の側道。渋滞で止まっている車に逆行して流れる車の列。いつかはその逆走ルートも渋滞すると思いきやスイスイと車は流れる。

それを見て我慢できずにハンドルを切ってその中に加わった。
そして無事に一般道に出て会社にたどり着いた。普段は20分の通勤が、1時間30分もかかってしまったが、ハイウェイを逆走という貴重な体験をした1日であった。




2006年08月07日(月) カメダってそんなに悪いことをしたのだろうか?

WBA世界ライトフライ級王者、カメダコウキ。
どうやら“疑惑の判定”で、日本中でバッシングの嵐にあっているようだ。

カメダ3兄弟は2年前にレンタルビデオで一度見たことがあるが、なんとも怖いものしらずの生意気な若者という印象。一方で、「オヤジの為に」と連発しており、妙に感心した記憶がある。ともかく、一芸に秀でる、ここまで出る杭になる、という事は自分には出来ないから、ある意味でスゴイなあ、と思った。

そのカメダ長男が世界王者になった。
いや、これはスゴイ事だ。ボクシング指導は素人のオヤジ。ほんとうに「快挙」だ。19歳の新チャンピオンを日本中が祝福しているはずだろう。

記事だけを読めばそう思う。

ところが、実際には「疑惑判定」で日本中がカメダに大バッシング。今回は試合を見ていないけから実際には何が起きたか分からないが、WBCだってオリンピックだって、普通は日本側に不利な判定な場合に不満が出るのであって、今回のように日本人カメダが有利な判定なのにこれだけ騒ぎになるのはどういうことだろうか?ボクシングなんて、KOしなければ最後は人間が採点して判定する単なる興行だし、ホームが圧倒的に有利なんだから、誰にとっても納得いくケースの方が少ないだろう。根回しも含めての勝負にカメダ陣営が勝った、というだけのことじゃないのか?19歳の世界王者に本当に祝福の声はなかったのだろうか。日本中を敵に回す事になって王者になったカメダは、一体何をしでかしたのか?

色々ネットを見ると、数々の「カメダ語録」が相当日本国民を不愉快にさせたようである。不愉快に感じるどころか、わざわざ抗議の電話やメールをした人が数万人にのぼったというから、そこまで自分のエネルギーを使ってでも文句が言いたくなるほど、腹が立ったのだろう。でも、カメダが本当にくだらない奴でどうしようもないボクサーであったら、誰も無視して相手にもしないだろうから、やっぱり日本はカメダが気になってるんじゃないか。そんな気がする。

こうしてアメリカにいると、カメダが何を発言して行動してきたのか、どんな試合をしたのか分からないから、新たな日本人チャンピオンに一斉に文句をつける日本国民というのが本当に不思議な現象に思える。カメダが犯罪やドーピングしたならまだしも、やっぱりこんな国って日本だけじゃないのか? 

まあ、自分も日本にいたらカメダバッシングをした1人になっている可能性は大きいけど、何かの拍子にこうした妙な「団結力」は日本のメリットでもありデメリットでもあるな。但しそれはスポーツや芸能ばかりで、決して政治や経済では見られないけど。

カメダは才能あるんだろうから、日本を飛び出して、欧米で黒人や白人を相手にリングで実力を見せるべし。



2006年08月03日(木) カブトムシ大集合

今日インディアナからルート65を通ってルイビル方面に向かう際、ハイウェイ入り口を通り過ぎるたびにカブトムシのような車が何台も合流してきて、ルイビル周辺のハイウェイ上ではものすごい数になった。そして、すべてのカブトムシが1つのExitに向かっていく。その先のスタジアムに目をやると、広大なパーキングスペースには、数え切れないほどの色とりどりのきれいなカブトムシが駐車されていた。遠くから見てもそれは圧巻だった。

そのまま取引先に向かって商談を済ませた後、夕刻にホテルにチェックインしてまたびっくり。

駐車場にはイベントを終えた無数のカブトムシがきれいに並んでいる。そしてズラリと並んだ車の前でイスに座って車を眺めながら満足げに談笑しているアメ人オヤジ軍団。駐車場には特設洗車場まで設けられている。中には運転せずに大事にトレーラーに積み込んできているのもある。


それにしてもなんだこの車は?

なんだこのお揃いのTシャツを着たオヤジ達は?





カブトムシの横に自分の汚いレンタカーのシェビーを申し訳なさそうに止めて、早速部屋のネットで調べてみると、どうやら今日から、「Street Rod Nationals」という世界最大のイベントが開かれているようだ。全米中から、自慢のカブトムシを見せにココに集まってきたという訳か。

このカブトムシ、いや、Street Rodとは、いわゆるホットロッドと呼ばれる車輌の中でも1948年式までの車輌を対象とした年式限定のカスタムカー。主に1930年代のフォードがベース車となっている。なるほど、よく見れば同じ車が全く無いし実に個性的だ。

それにしても全米からここに集まる年配のオヤジ達は実に粋である。
週末までは家族から離れて年に1度のイベントを楽しむのだろう。アメリカ人親父は、男の友人同士で飲みに行ったり旅行に行ったりという機会がほとんどないから、こうしたイベントを本当に楽しみにしているように見える。それにしても、見たら分かるがなにせ規模が圧巻だ。よくも古いカスタムカーがこれだけ一箇所に集まったもんだ。

少し会場に立ち寄るべきだった、と後悔。





2006年08月02日(水) 猛暑 / ケンタッキー

それにしても猛暑が続く。連日100度越え。Heat Waveというか、外に出るとまるで暖房が入っているような熱風がやってくる。でも休日のゴルフがしんどいくらいで、室内は冷房がガンガンで快適。この国にはクールビズなんてありえない。冬の寒さに比べればずっといい。

今日は出張でケンタッキー。タクシーの韓国人運転手が、「ちょっと郵便出したいから待っていて。」と言いながら車を止め、慌しく運転席でチェックを書いている。「もうDueを過ぎているから大変だ。」  と、慌ててタクシーを飛び出していった。それにしても、なんで客を後ろに乗せている時にやるかね!?

プサン出身、在米12年というこの韓国人のオッサン、「やっぱりアメリカはいいよねえ」とつくづく。「俺なんかタクシー運ちゃんだから、暇になればゴルフに行ったり家でのんびりすればいいし、それでも贅沢しなければそこそこ食っていけて旅行だって出来る。韓国では、上司が帰るまでいつまでも会社に残ってなきゃいけない雰囲気だし、それからだらだら食事して飲みに行って午前様。休日にぐったりしていりゃ、女房からはなじられるし、ありゃ人間らしい生活できないよ。日本だって韓国と一緒でせわしないんだろ?親が韓国に戻れっていうんだけど、俺は戻るつもりないよ。」

確かにその通りだな。こちらで5時ピタでアメリカ人と一緒に退社する生活をしていると、日本で後輩なんかに囲まれてたまには飲みに連れて行かなきゃいかんなあ、などと考えるのが面倒くさい。上司の顔は気にしないからそっちは問題ないんだけど。

行きの機内では、ドリンクサービスがなかった。本を読んで気が付かなかっただけかもしれないけど、水の一杯も出さないとはあんまりだ。さすがUnited.それにしても、2列後ろのデブオヤジ2人がぺちゃくちゃ喋りまくっていてとにかくうるさかった。

レンタカーは、Chevyのモンテカルロ。お粗末な車だ。地図を頼りに1件米系企業を訪問して、80マイルほど移動してホテルにチェックイン。夕食はホテル裏のウェンディーズ。小さなフレンチフライにケチャップをくれ、というと、両手一杯トレーに乗せやがる。その数は約15個。こんな無駄ばかりだな。「女系家族」を読みながらコーラとバーガーをほおばる。夜8時なのに真昼のようだ。ホテルに戻ってフロントの姉ちゃんにインターネットのパスワードを書いてもらう。「私、字が得意じゃないの・・・」といって差し出した用紙には、「4RRSED」とある。ちゃんと読めるよ、と言って確認すると、「いいえ、YRRSEAって書いたんだけど」だって。お前はアメリカ人だろ、と突っ込みたくなった瞬間。


Kyosuke