嗚呼!米国駐在員。
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2006年07月25日(火) 本当にUNITEDはバカにしてる

今日は出張。相変わらず空港のパーキングもセキュリティも一杯で、朝から歩きながらコーラ片手にピザ食ってるアメ人を横目にゲートに向かう。フライトは珍しく定刻通り。狭いシートに身を沈めて、うとうとしながら離陸を待つ。


と、突然エンジンが切られて機体の下でガタガタと作業の音が響きだした。

「機体チェックをしますのでしばらくお待ち下さい。2,3分ですから。」

そしてそのまま待たされること10分、15分・・・。嫌な予感が募りだした。


「UNFORTUNATELY, このフライトは機体トラブルの為キャンセルになりました。」



ため息だけが洩れて乗客は黙々と機体を降りる。
こういう、どうしようも無い事態でいちいち文句を言わないアメリカ人の対応は気持ちがいい。いくら文句を言っても飛行機は飛ばない。ただ、今回は天候が原因ではない。単なるUNITEDの管理不足だから、文句を言いたくもなる。


機体を降りてゲートに戻うと、カウンターは相変わらずの長蛇の列。
UNITEDからは、キャンセルになりました、だけで、どうしろとか何も説明はない。ここはアメリカ、全部自分でやらなくてはならない。

うまく次の便に取れたところでミーティングには間に合わないから取引先に訪問中止の電話を入れて、REFUNDの手続きを取ることにした。
どこからどうみても白髪の「おばあちゃん」のUNITED職員が1人、小さな背中を丸めてチンタラチンタラ画面を見て作業をしている。30分待ったが一向に列は短くならない。思い切ってセキュリティを元に戻り、UNITEDファーストクラスの発券カウンターで事のあらましを説明してREFUNDの手続きを取ってもらった。「あら、もう今日は飛行機乗りたくないの?」なんて言われたが、ファーストのカウンターはさすがに対応が良かった。

さて、UNITED。
自分の都合でフライトを土壇場でキャンセルして、いつもの通りお詫びも何もなしか。普通は無料航空券の一枚くらい渡してしかるべきじゃないのか。今年は6年ぶりに黒字復活なんて新聞記事に出ていたけど、このお気楽な企業体質は何も変わらないな。Northは少し離陸が遅れた位でも、丁寧にレターでお詫びと追加マイルが後日届くが、逆立ちしてもこんな対応はUnitedには無理だろう。
それにしても、マイルというのは怖いもので、これほどくだらない航空会社でも、マイルが溜めようと思うとついつい使用してしまう。期限は設けられていないし、日本に戻ればStar Allianceで全日空でも使えるのは魅力だし。

だが、そろそろ考え時だな。


2006年07月24日(月) 全英オープンのウッズとハプニング

日曜日は全英オープンを朝からTV観戦。

ドライバーを使わないウッズの手堅いゴルフを堪能。何せドライバーは初日に1度だけで、それが失敗すると2度と使わなかった。ほとんどは2番アイアンであったが、ボールは確実にフェアウェーを捕らえてキープ率は85%を超えてトップ。当たり前のように2打目がグリーンに乗り、チャンスがあればバーディを狙う。ぼやっと見ていると非常にゴルフが簡単なものと錯覚してしまう。ドライバーを使わないウッズがこれだけ怖いとは、新たな発見であった。 日本の谷原は一時4位タイにまで入ったのに、数回だけパットシーンが数秒間だけテレビに映るだけ。まあ世界ランク200位、日本人の自分でも知らない選手なので(調べると日本では賞金ランク3位だそうだが)やむなしか。日本人といえば、最終組ウッズとガルシアの背後でチラッチラッと映っていた坂田と青木功には笑った。日本の中継レポーターでもやっていたのだろうか。

中継を見ていて気に障ったのが、プレーヤーにカメラを向けるギャラリーが多かったこと。そのためにウッズは度々プレーを中断せざるをえなかった。キャディのスティーブが何度も怒鳴り声を上げていた。ウッズはもう慣れっこのようだったが、普通の選手であればショットに大きく影響したに違いない。PGAツアーであれば、入場ゲートで探知機にかけられ、たとえ電源を切るといっても携帯やデジカメの持込は厳禁なのだが、全英オープンというメジャー大会で、どうやらそこまでのセキュリティチェックはされていなかったのが不思議。

最終組18番、ウッズの2打目直前でグリーン脇のギャラリーからは大ブーイング。画面は18番グリーンをアップにしたのだが、なにやらペンキの入ったビンがグリーンに投げられて、ビンは割れてペンキは撒き散らされていた。他にもストーカーが登場したりして、一体セキュリティはどうなっていたのか本当に疑問。アメリカでの過剰対応は気になるけど、せっかくのイベントが台無しになるくらいならば徹底的にやるべきである。









それにしても、勝利を決める18番のパーパットを決めた後のウッズには驚いた。大きなガッツポーズをした後に、いつもの笑顔はない。キャディのスティーブと抱き合ったまま、しばらく号泣。驚いた。ウッズの中で如何に5月に亡くなった父親の存在が大きかったかが分かる。父を亡くしてからの全米オープンは、ショックから予選落ち、素人目には順調に手堅く優勝したように見える今回の全英も、実はラウンド中は不安で一杯だったのかもしれない。ウッズほど「勝ち慣れる」と、どうやってモチベーションを保つのか一般人としては不思議に思うのだが、超一流アスリートにとってはそんな愚問は気にしたこともないのであろう。










2006年07月18日(火) 意外とはまる小ゲーム

それにしても暑い。
週末から今週にかけて、一体どうしてしまったのだろう、というくらい暑い。気温は100度越えの酷暑、中途半端に風が吹くものだから、まさに熱風を浴びる。ゴルフをした後には立ちくらみしそうになったほど。

アメリカ人からは色々なお遊びメールが送られてきて、ほとんどが全く面白くないのだけど、Good Reflexes?という題名で送られてきたこのサイト(クリック)は、単純な割にはなかなか面白かった。仕事の手を休めてやっていると、意外とはまってしまった。

Turbo Chargeのチーターは無理でも、せめてロケットうさぎのレベルにまでは到達したいのだが・・・。一休みのようで、意外と集中力を使うので注意。


2006年07月14日(金) アメックスゴールド / ガソリン高い!

またガソリンが高くなった。
ガロン $3.38で、昨日の給油は44ドルもした。これがほぼ1週間の通勤費。2003年の駐在時には20ドルちょっとだったので、ほぼ倍増の感覚だ。原油相場は、中東情勢の緊迫化を受けて急騰。一時1バレル=78・40ドルをつけて初めて1バレル=78ドルを突破、取引中の最高値を更新した。その後も騰勢は衰えず、1バレル=80ドルに迫る水準で推移しているようだ。車が不可欠の国なんだから、せめて原油上昇手当てを出して欲しいと思うのだが、結局は各国駐在員はそれぞれの事情があって、日本の本社では一々耳を傾けていてはキリが無いので、相手にもされないだろう。



先日、いつものように舞い込むDMの中にアメックスゴールドの勧誘があった。これまでにも何度もあったのだが、開封もせずにその度に捨てていた。今回は何故か何の気なしに封を空けた。初年度会費は無料という他に、特に目をひくサービス内容も無い。

米国赴任初年度は、どんなに応募しても審査が通らなかったクレジットカードだが、赴任後3年を過ぎると手のひらを返したように各社からDMが毎日のように送られてくる。安定して年間5万ドル以上をカード決済、遅延ゼロの超優良カード利用者だから、それも当然というものだろう。

パンフレットではこれといったサービスはなかったのだが、カードというものは持ってみて初めて分かるサービスというのも多い。興味を引いたのはエンターテイメントのチケット取得サービス。コンサートやスポーツ観戦で、アメックスならいい席確保しているんじゃないか、という淡い期待感は持てる。アメックスはアメリカでは一流ブランドでステイタスも高い。サービス内容を吟味しようとサイトを覗いてみたのだが、どうやらアメリカのカードは日本で作ったアメックスとサービス内容が違う。

そもそも、会費は日本では27300円(家族12600円)なのにアメリカでは130ドル(家族35ドル)と安い。日本では魅力の空港送迎や手荷物無料宅配サービスは、アメリカのドル決済カードでもしっかりと適用されるのだろうか?日本に帰ったらそのままゴールドは継続されるのだろうか?ちょっと迷うところだが、まあ初年度無料だし(解約でさんざんごねられるのは目に見えているが)、1年だけでも入ってみるか、と思った。ちなみに、同じ会社の同僚はアメックスプラチナを使用しており、おそらく自分も応募すれば審査は通ると思うのだが、年会費395ドル(日本では85000円!)も高いし、何もそこまでは求めていないのでパス。

インターンネット申込みの場合は、初月使用から10ドル引き。
さっそくネットで申込みをしようと、規定のパスを打ち込むのだが、期限が切れているとして受け付けない。用紙は届いたばかりで、期限は8月25日とあるのだが、何度も番号を確認して何度もトライしたが駄目。頭にきてそのまま止めた。まあ無くても不自由はない。

アメックスゴールド、結局自分には縁がなかった。




2006年07月13日(木) 就業後の充実

就業後、久しぶりにゴルフ練習でもしようと早めに退社。

午後6時前、アメ人の帰宅ラッシュにはまり、普段は20分の帰宅時間が1時間近くもかかった。渋滞中、周りの誰もが仕事のトラブルや懸案事項をすっかり忘れて、家族と晩飯を食って団らんをすることを楽しみにしているように見える。実に平和だ。3台に1台は運転中でも構わずに何か飲み食いしながら電話をしている。家に帰るのが待ちきれずに家族に電話を入れているアメ人も多いことだろう。

家に帰ってバッグを積んでゴルフ場へ。
青空の下、屋外でボールを打つだけで気分がいい。家族連れとかレッスンだとかで賑わっていた。
そのうち、インド人のオヤジが子供やら奥さんやら知り合いやら5〜6人を連れてやってきた。心の中で、俺の横には来るな、と念じていたが、案の定、隣から6打席を独占。ボールかごは1つ。最初はオヤジがドライバーを握り、ヒンズー語と英語交えてスイングのウンチクを語る。うるさい。いよいよ打席に立って打つのだが、やっぱりちっとも当たらない。その内、全員が1つのバッグから適当にクラブをひっこぬいて思い思いにボールを取り出し打ち出した。打つボールは、キレイに右斜め30度に思いっきり飛んでいく。自分にあたりそうになった事数回。
さすがに練習を止めて動向を見守ると、案の定オヤジの中途半端なボールがこちらめがけて飛んできた。一睨み利かせると、インド人には珍しくバツの悪そうな表情をしたのだが、そのまままた打ち出した。危ない。ガキも滅茶苦茶にクラブを振り回す。いつこちらにヒットするかひやひやものであり、とても練習出来ない。彼らのかごのボールがなくなったので、ああ終わりか、と思ったら、チョロって芝に散乱しているボールを全員で回収しやがる。全く。そんなこんなで、いつものどかなゴルフ練習場だ。

そして家に帰って、車の洗車。
ワックスをかけて丁寧にホイールもキレイにした。それでも、まだまだ外は明るい。理論的には昼がだんだん短くなっているはずなのだが、陽はなかなか落ちない。午後9時過ぎまで外は明るいから、仕事の後の時間が有効に使える。ゴルフだってハーフ位なら全く問題ない。アメリカの夏はとても健康的である。





2006年07月10日(月) タイガーよりも人気のあるプロゴルファー

世界一のプロゴルファーといえば、タイガーウッズである事は誰もが認めることであろう。

豪快なスイングやバランスの取れた身体(最近は明らかに太ってきたが)、そしてタイガーチャージと呼ばれる最終日の猛烈なバーディラッシュは、世界中のファンを引きつける。年収は100億円ともいわれ、名実共に世界一のアスリートである。


ところが、アメリカではタイガー以上ともいわれる人気を誇るプロゴルファーがいる。フィル・ミケルソン。無冠の帝王と言われたが、2004年のマスターズ以来、既にメジャー3冠。

タイガーとフィルのプレーを見る機会に恵まれたのだが、ファンが唯一近づくことの出来るコース間の移動の際、フィルに対しては周りのみんなが暖かい声援を送る。声援はどれも親しみを込めたものだ。


「フィル! 俺も同じレフティなんだ。」

「フィル! さっきのボギーは忘れろ!次頑張ればいいさ。」


そして、どんなに不調でもファンの声援を無視しないミケルソン。グリーン上の大声援の中、パットを終えてボールを取り上げる際に帽子のひさしに手をやって声援に応える姿は独特である。ラウンド後も、20分間に渡ってファンにサインを続けるという。




一方のタイガーは、噂通りにファンが嫌いのようだ。
修行僧のような形相で正面を見据えて、周りの声援が一切聞こえないかのように歩いていく。どことなくファンも遠慮してしまい、声がかけづらい雰囲気がある。そして、ファンにサインしている際は笑いもせず、淡々と義務をこなしているという感じだ。まあ世界中どこに行ってもこんな調子で囲まれてしまっては、毎度の光景にうんざりしてしまうのかもしれない。


でもアメリカ人は、やはりミケルソンのようなタイプが好きなんだろう。

白人で家族思い、野球もうまいし、趣味は飛行機操縦など多彩。そして、世界ランク2位までいった実力派にも関わらず、親しみやすい雰囲気がある。熊のような図体で、とにかく飛距離がすごいが小技もうまい。ドライバーをドロー用とフェード用に2本入れたり、64度のウェッジを入れたりと、コースに合わせた創意工夫も興味深い。グリーン周りまでティーショットを運び、絶妙のロブショットでピタリとピンに寄せ、ショートパットをあっさり外してうなだれる姿はおなじみの光景。これぞアメリカンヒーロー。実際にミケルソンの笑顔を見れば、彼を知らなくてもファンになってしまう事だろう。






2006年07月05日(水) アテンド / 北朝鮮

6月最終週は日本から出張者があり、北米中西部をアテンド。
そろいも揃って初アメリカの出張者それも同世代ばかりで、和やかな雰囲気の中でこちらもアテンドを楽しんだ。

食事の際、「アメリカらしいものを」なんていう、米国出張初心者の典型的リクエストパターンも見事にしてもらい、朝昼晩と、ポテト、肉、と、「アメリカらしい」単調な食事を堪能してもらう。そのうちに予定通りギブアップ宣言が出て、やっぱりなあ、とほくそえみながら中華を適度に組み入れる。アメリカといえば、ロスとNYのイメージしかない誤った日本での印象は、いかに誤ったものであるかを感じてもらうのも、駐在員の重要な役割である。

July 4thの4連休明け、出社すると「日本は大丈夫か?」「日本はどうするんだ?」というスタッフの声。
北朝鮮にミサイルを打ち込まれてだんまりの日本は、アメリカ人の感覚からすると信じられないようだ。アメリカでは、ローカルニュースでもトップで報じたこの話題、日本ではどうだったのだろう。東京本社の同僚からかかってきた電話で聞いてみた。

「こんな状態というのに、あと何分で荷物が到着するんだとかをヤンヤと客に言われながら、いつもと同じように1日過ごしてしまい、就業後の繁華街はいつものように大混雑。日本って平和ボケだな。」と言っていた。しかし、一般庶民は普通に生活するしかないのも事実なんだろう。

日本はどうするのだろうか。相手が相手だからいきなりの軍事制裁も現実的ではないし対処が難しいのは分かるが、それにしてもあまりにも日本はバカにされすぎで、逆にいえば北朝鮮が本当に頭にくる。こんな時、単純なアメリカという国は楽だなあ、と思う。



Kyosuke