嗚呼!米国駐在員。
<目次>戻る進む


2006年05月31日(水) やれば出来るじゃないか

コネチカットへ出張。

朝5時過ぎに家を出たのだが、外はもう明るい。有り難い。
飛行機は定刻通り目的地到着。予約しておいたレンタカーはVOLVO。可もなく不可もなく。ハイウェイを飛ばして通いなれた取引先へ。

商談はあっさり終了して、少々早めに空港到着。
待ち時間が3時間ほどあったが、その間に江戸川乱歩賞受賞の「13階段」(高野和明著)読了。ぐんぐん引き込まれてあっという間に終わってしまった。犯人分かっても真相を暴くトリックの謎は想像もつかぬストーリーであった。推理小説など読むのは10年ぶりくらいだろうか。飛行機の待ち時間には実に良い。

Bordingの時間が来たのでゲートに向かうと、いつもの事だが乗るべき飛行機が到着していない。
いつものように天候不良だとか言われて1時間くらい待ち、ようやく機体がやってきた。そして、Unitedカウンターの女性がマイクを手に、恐ろしいことを待ちわびた乗客達に告げた。

「ただいま飛行機が到着しました。乗客が降りてから皆さんが乗るまで30分しかありません。天候不良により目的地混雑のため、午後6時45分に出発出来なければ、出発は2時間遅れます。いいですか、皆さんの協力が必要です。荷物は1個は上の棚に、もう一つは前の座席の下に入れてください。いいですか、棚に入れるのは1人1つまでですよ。搭乗で時間がかかれば、皆さんの出発が遅れます。」

アメリカ人というのは心配性なのだろうか。1泊2日でも日帰りでも、とにかく荷物が多い。そして、航空会社を全く信頼していないから、荷物は預けずに手荷物で機内に持ち込む。1人2つもデカイ荷物を棚に入れるものだから、すぐにスペースは満杯。後で乗り込んだ乗客は荷物を抱えてスペース探しに機内でウロウロ。こうした時間が本当に長くて、離陸が遅れることはしょっちゅうである。

ところが、時間内に離陸出来ねば出発が2時間遅れると聞けば話は別だ。
乗客はいつもにはなくテキパキと座席につき、指示された通り1人1つだけの荷物が棚に収納されていく。前方座席下のスペースが空いている乗客は、率先して他の乗客の荷物を押し込める。こういう場合のアメリカ人の連携プレーは大したものだ。見知らぬ人どうしでも、進んで協力することが自然に対応出来る。



そして、見事に全員の乗客が時間内に着席、飛行機は予定通りの時間に離陸した。


やれば出来るじゃないか。


もっとも、結局天候不良でルート迂回。「着陸は40分ばかり遅れます。」というアナウンスがあった時、機内は大ブーイングであったが・・。

嗚呼!アメリカ!


2006年05月30日(火) 3連休終了 / 旅行会社のメリット

メモリアルデーの3連休が終了。
90度越えの、まさに夏到来、という感じの3日間で、晴天あり雷雨ありの暑い暑い連休だった。

バケーションシーズンの幕開け、旅行に出る人も多いのだが、毎年のんびりと過ごしてしまう。今年は初日と2日目はゴルフ。ゴルフを2日連続でやったところで、集中力が持続しないからか、少し雑なプレーが多くなってしまう。恐らく日本でプレーする場合、日程は数ヶ月前から予定されており、待ちに待った当日は早朝に出て帰りは夜の1日仕事で料金もそれなりにお高い、よって、慎重に大事にプレーするのだろうと思う。しかし、ゴルフというものが車で10分料金20ドルの世界では、ゴルフそのものが日常化してしまって全く特別な事ではなくなるのはやむを得ないか。贅沢といえば贅沢ではある。ともかく、天気が良いというのは何ものにも変えがたい。健康的な連休であった。


天気が良い、といえば、この季節は日本からの出張者も増える。冬場は絶対に来ない出張者が、図ったようにこれからの時期にやってくる。
しかし何せ広い大陸だ。出張者を連れての出張では飛行機を使う事が多い。これまでは、予約も発券、ホテルからレンタカーまで、会社で契約している日系旅行会社に全てお任せしていたのだが、先日インターネットでの予約を試みた。

手順に従い画面に必要事項をインプットすればいいので、予約はあっという間で実に簡単だ。価格も透明性があって分かりやすい。これまで、この程度のことを旅行会社に手数料を支払って御願いしていたとは、と、何だか損した気分になった。ホテルもレンタカーも同様だ。


そして今日、6月中旬の出張に備えてUnitedのページを検索した。
と、わずか1時間ちょっとのフライトで、何故か料金が900ドル近くする。便をずらしたが同じ、取引先に御願いして出張日程も前後にずらしてみたが、それでも料金は高いままだ。航空会社を変えても同じようなものだ。フライトチケットも需給関係とはいえ、いつもは200ドル前後で購入出来るから、今回だけ10万円支払うのもアホくさい。

困っていつもの旅行会社に電話して、そ知らぬ顔で予約を御願いした。

電話の先での担当者はモニター画面を見ているようだ。
「あれっ、何か催し物が1週間あるようでずいぶん混んでいますね。チケットも900ドル位しますよ。でも、ちょっと待っててくださいね。すぐに折り返し電話しますから。」

担当の男性はそう言って電話を切った。待ってどうなる事やら、こちらはやるだけやったんだからどうせ無理やろ、そう思った。

そして、数分後に電話がかかってきた。

「お待たせしてスイマセン。160ドルでお取り出来ました。」

思わず、「えっ、混んでたんじゃないの?よく取れたね。」と言うと、「我々も色々とやっておりますから。」と答えになっていなような返答があった。どうしても興味があって、どうやってそんな安値でチケットを取ったのかしつこく聞いてみたが、笑ってごまかされた。ホテルも同様、どこも満室だったのが、何とか予約してくれた。彼ら旅行会社なりのノウハウで、供給先(ホテル、航空会社)をしっかりと押さえているという事だろう。

オンラインでの発注ががもてはやされており便利な世の中になったと感じるが、マニュアルの世界でも十分顧客にメリットを与える商売がこんなに身近にあったとは気が付かなかった。特に旅行業は顕著だろう。そもそも、アメリカにいると日系旅行社とのやりとりは、日本語が通じるという語学以上の、つまり日本人同士の安心感、信頼感を得られるのが有難い。


今日のUSA Todayにて、この夏の飛行機での旅行者数が史上最多になりそうだ、との記事があった。予想は6-8月で乗客207万人。1996年は158万人、2001年は185万人、2005年は205万人で最多だったが、今年はどうやらそれを上回りそうである。

にも関わらず、運行便数は去年より減っているし、各航空会社ともリストラしまくって従業員も減っている。おまけに原油高がコストを圧迫しており、まさに航空会社からすれば、チケット値上げの環境が整いすぎている状況だ。だからこそ、うまく旅行会社を利用して、懐に優しく少しでもストレスのない旅(こちとら出張か)をしたいものだ。


2006年05月24日(水) Work to live? or Live to work ?

ある製造メーカーが、不採算の工場の人員を減らし、同じグループ内である業績好調の工場へ人を振り向けることになった。2つの工場の距離は30マイル。ハイウェイで30分以内の距離である。ところが、勤務地変更を申し入れた従業員50人に対し、了解したのは10%程度、残りは退職を選んだという。

やっぱりアメリカだなあ、と思った。

アメリカ人は平日の夕方以降の家族や地域の時間を大事にする。
近所の人たちとのバーベキュー、子供のサッカーやベースボールの試合、学校の保護者会、全てが平日の午後6時半か7時頃に始まる。働いている親が十分参加できるようになっている。会社帰り、地元のリトルリーグ球場やサッカー場が試合をする子供とそれを見守る親達であふれ返っているのを目にすると、日本では見られない光景に何となく違和感を感じるが、彼らにとってはそれが当たり前の日常なのだ。

つまり、「仕事より家庭が優先」という文化が完全に根付いているので、家族と過ごす時間を犠牲にしてまで、遠くの職場で働く意思などは無いのである。もちろん、全てのアメリカ人がそうであるとは思わないが、勝手に残業が出来ないシステムになっているアメリカでは、日本流モーレツビジネスマンは本当に少数派ではないだろうか。いずれにしても、ほとんどの従業員が定時でピタリと帰っても、世の中が回っているのが現状。


これが日本だとどうなるか。

まず、30分程度通勤時間が長くなることで退職に踏み切るサラリーマンはいないだろう。自分の父親もそうであったが、転勤を言い渡された際、家族と離れて単身赴任という選択肢は普通に見られる。逆に、単身赴任をすることによって、どちらかというと会社への忠誠心を明らかにしているかのような風潮もある。そして、「こうした苦痛に耐え切った代償」というのも、なんと能力評価のひとつになる面もある。

こうして比較すると、単純にアメリカのスタイルが優れていると思われるのだが、現実的には日本で組織に属しながらアメリカ流生活をしていくのは困難だろう。就業後の接待や社内のお付き合い、そういう場に顔を出す事はやはり必要だろうし、日本流であれもこれもとキメ細かい仕事をしていては、とても定時には終われない。


しかし、アメリカ生活も長くなるに従い、ジャパニーズサラリーマンをしていた「あの頃」が懐かしくなる。

当時はあんなに疲れ果てていたのに、何故だろうか。

不思議なものだ。


2006年05月22日(月) アメ車、日本車の区別って何だ?

ここアメリカで国産車といえば、フォードやChevrolet(GM)が真っ先に思い浮かび、一般論としてトヨタや日産などの日本車は輸入車と見なされる事が多い。
保守的な特に北米中西部などの年配者はキャディラックやBuickを好む人も多い。彼らは、昔ながらの「Buy American」の意識が根強く、アメリカの競合である日本車などとんでもない、という購買層。こうしたアメリカ人は、依然として存在している。

ところが最近の新聞や雑誌では、「そもそも何がアメ車(国産車)なんだろうか?」という特集をよく見つける。

昨年3700万台もアメリカで生産されたトヨタ、日産などの日本車メーカー。
GM/FORDが大リストラしているのに対して、勢いある日本車メーカーは、アメリカで設備投資や新工場立ち上げを繰り返しており雇用を次々と創出している。特にトヨタは昨年アメリカで得た利益($2.4Bil)と同額を、北米での設備投資に当てている。

一方、BIG3は世界企業であるため、アメリカで得た利益も海外拠点への投資に使ってしまう。特にクライスラーは親会社(ダイムラークライスラー)がドイツなので、アメリカには残らない。こうしてみると、どちらがアメリカ経済に貢献しているかは明白であり、昨今の日本車大ブームも、単なる燃費以上にアメリカ人から認知されたと見てもいいだろう。


ディーラーで新車を買いに行くと、助手席の窓のところに「Price Stickers」、いわゆる定価表が貼ってあるのだが、そこには部品の国内調達比率を記載するよう義務付けられている。これを見ると、その車の部品がだいたいどの国でどれだけ生産されたのかが分かる。何となく、日本での比率が高いと安心感を感じるのは日本人だけだろうか。

車というのは、全2〜3万個近くのパーツで成り立っているのだが、Federal labeling Systemによると、アメリカ車の基準はその75%がアメリカ(カナダ含)製であること、と定義している。

一体、街で見かける車は、実際はどこの国の部品が多く使われているのだろうか?アメリカで売られている車の、北米部品調達比率の実態はこのようになっている。75%以上はアメ車、それ以下は外車(アメリカから見て)とみなすとすれば・・・


TOYOTA カムリ 75%   アメ車
CHRYSLER 300 72%   外車
CHEVY TAHOE 67% 外車
HONDA Risgeline 75% アメ車
FORD Mustang 65% 外車


なんと、アメリカを代表するスポーツカー、Mustangまでがアメリカ車と見なされていないのには複雑な気分だ。




一方で、日本車と思われたカムリやホンダのリッジラインは、立派にアメ車と承認されている。

綿密な計算で着々とアメリカに浸透し、名実ともに立派なアメリカ企業となってしまったトヨタや日産。日本人としては誇りなのだが、アメリカを代表する大企業を窮地に追い込んだその戦略や、恐るべしである。


2006年05月19日(金) こんな日本の土産は要らない

約15年近く我が社に勤めていたアメリカ人スタッフが先月退職した。
デスクを整理していたら、日本の扇子、箸がゴッソリ出てきた。

過去、日本から来た出張者が気を利かせて持ってきたお土産の数々。それにしても、よくこれだけ色んな人が扇子と箸をチョイスしたものだ、と、デスクの引き出しに入った、日の目を見なかった土産の山を見て思った。
確かに、かさ張らない、そこそこ安い、それでいて日本っぽいから、まあ便利なお土産ではある。


どうせ日本人がお土産を手渡した際、取りあえずその場で包みを開けて、

「オ〜、ビューティフル! I like it !」

なんて大げさに喜んで見せたと思うのだけど、結局は日本の扇子や箸なんて、ほとんどのアメリカ人は全く欲しくもないものなんだろう。

ちょうど、日本人が田舎モノのアメリカ人から「 I Love NY」のキーホルダーなんてもらってもうれしくもなんともないのと一緒で、ほとんどのアメリカ人だって、和風の小物なんかもらっても困るのだろう。


土産は気持ちだから、と考える日本人は、手ぶらで訪問することを無礼と感じるかもしれないが、アメリカ人はそんな事は全く気にしない。

もし、どうしても何か持って行きたければ、近くのドーナツ屋で1ケース(Dozen)ほど買っていけばそれで十分。それこそ、社内のアメ人が笑顔で喜んで集まってくるだろう。ドーナツ嫌いなアメ人は少ない。


結局、土産としては後に残らない食べ物が一番だ。


2006年05月18日(木) アメリカ人のプレゼン

ある企業のプレゼンに参加したのだが、毎度のことながらアメリカ人のプレゼン慣れというか、堂々とした態度には恐れ入る。

彼らは小さいときから堂々と人前で自分の意見を述べる教育を受けており、その事に慣れているから、多人数の前でも何も動じない。そりゃ絶対無理だろ、何を偉そうな、というような内容の理想論を自信満々に発表する。

そして、日本人にとって何とも真似できないのが、お決まりのようにクソ面白くないジョークを節々にはさむ。それを聞いて聴衆はドッと笑うのだが、我々にとっては例え英語で意味が分かっても何も面白くない。デーブスぺクターのジョークが面白くないと言われたが、彼のギャグはそれでも日本流にアレンジされているからずっとマシだ。
ただ、プレゼンで軽快なテンポで頻繁にギャグをはさまれると、ちょっとキツイ。やはり日本人はクソマジメということなのだろうか。

前に通ったプレゼンテーション講座で、「適度なジョークで場を和ます」というのも重要なスキルだと教わった。
確かに、聞いている方からすればその方が話の内容に引き付けられ、より興味を持つことが出来ると思う。では、なぜアメリカ人プレゼンにはさまれるギャグが気に障るのか?

結局は、やはりアメリカギャグが全く面白くない、という事だ。
そして、そのギャグを公の場で自信満々に言われることが、どうも肌に合わないのだろう。こちらとしては、周りのアメリカ人がドッと笑うのに、1人だけ難しい顔をしているのも何だか居心地が悪い。

仕事とは別に、アメリカで自分のギャグが受けるようになったら駐在員としては一流と言われるが、逆にそうなったら日本に戻れば単なるウザイオッサンだな。




2006年05月15日(月) 米国トヨタ社長のセクハラ訴訟

北米トヨタ自動車の女性社員が、上司の大高英昭社長からセクハラ行為を受けたとして、トヨタ本社と北米トヨタ、同社長を相手取り総額1億9000万ドルの損害賠償を求める訴訟をニューヨーク州地方裁判所に起こした。訴えた女性は42才の日本人社員。社長秘書をしていた2005年に繰り返し社長からセクハラを受けたとしている。


損害賠償の要求額がなんと、1.9億ドル(210億円)!

さすがアメリカ、日本とは桁違いだ。ちなみに日本で有名なセクハラ事件といえば、あの横山ノック事件だが、訴訟金額は1100万円だった。


北米市場では、トヨタが新車販売台数を伸ばす一方、アメリカ国産であるGMやフォードが苦戦している。トヨタへの風当たりが強まりかねない中で起きた為、「GMの刺客」という噂もあった。勢いの止まらないトヨタのイメージダウンを狙ったBIG3及びユダヤ系が裏で糸を引いていたという説 - 満更ありえそうな話しではある。

まあ、訴えるほうだって、世界で注目される事は分かっていてそれなりのリスクを背負うわけだから、余程の勝算があったに違いない。既に証人を集めて証拠固めの準備は終わっているだろうし、もしかしたら社長のセクハラ発言のテープでも録音しているかもしれない。そうなると、訴訟の行方は大方決まっているのだろう。


日本では、うまくはめられた、という、トヨタ社長擁護の意見も多いかもしれないが、ここはアメリカだ。

この社長は「日本的な上司と秘書の関係」という、世界から見れば微妙で特殊な関係をアメリカに持ち込んで仕事をしてしまったのがいけない。ついつい気が緩んだのかもしれないが、大企業の役員としては失格だな。

この事件を聞いた時、日本のオッサンが行くアメリカの日本料理屋が浮かんだ。

特に年配者に多いのだが、普段はアメリカの地元レストランで、「ハーイ」「サンキュ〜ウ」なんて、低姿勢で慣れない笑顔を振りまいているのに、日本食レストランに行った途端、パンパンと手を叩いて、「から揚げまだなの!?早くしてよ、もう」などと、ついつい日本人バイトに偉そうに振舞ってしまうのである。普段はアメ人を前に大人しいオッサンのこうした豹変振りを目にすると本当に不愉快になるのだが、つまりは、相手が日本人または日本の環境だと、ついつい気が緩んでタガが外れてしまうのである。

日本からアメリカに駐在してくる幹部社員にとって、駐在生活というのは楽なものではない。言葉はもちろん文化の違いで日常生活もままならず、話す相手も非常に限られる。日本と違って、今日は一杯いこか、なんて事もないし、社内の情報だって遠く離れた異国にまでは、今までのようには入ってこない。家族がくればきたで、アメリカ生活に慣れない家族の世話でさらにストレスをためる。

だから、身近にいろいろ世話をやいてくれる人がいれば甘えが出てくる。特に、日本語が話せる相手に対しては、ついついそれがエスカレートしてしまう。

大方、今回のセクハラ事件の背景はそんな所だろう。


こんな日本独特の背景があるからだろうか。過去を振り返ると、頭に残っているセクハラ裁判は日本企業が対象のものばかりだ。
日本の常識、世界の非常識、である。赴任前にセクハラ講習をみっちり日本で受けてきたはずなのに、ついつい気が緩んでしまう。そして、アメリカにいるのに普通の日本人感覚でセクハラして、残りの人生を棒に振る。提訴されてまもなく社長の座を下ろされたトヨタのおっさん、高い代償だったな。


アメリカ企業の経営幹部は絶対にセクハラなんていう、無利益で高リスクな行動は絶対にとらない。隙は絶対に作らない。アメリカでは、肩書きが上になればなるほど、不用意にセクハラ発言をしただけで高額の慰謝料を払わされる標的にされる事が、よーく分かっているからである。アメリカの大企業の重役たちは自分たちが標的にされるのは百も承知だから、くだらないジョーク一発が身の破滅になる可能性を秘めている事をわかっている。だからそんな事はしないのだ。


トヨタのは、海外の生産現場にも日本流の生産管理を持ち込んで、低コスト、 高品質の製品を追及し続けて成功を収めた。

しかし、アメリカでは許されない、日本独特の特殊なモノまで外国に持ち込もうとしてしまったのは、大きな間違いだった。


2006年05月13日(土) さすがロサンゼルス !

雨模様でぐずついた天気の週末。気温も華氏45度前後と寒くなり、ほとんど外出せず。5月は例年天気がまだ不安定なのだが、やはり裏切られた。


先週は出張で久しぶりにロスへ。

10年ほど前に旅行で初めてLAX空港に降りたった時、空港のとてつもない大きさと、レンタカーの駐車場の広さ、自動車の数に驚いた記憶がある。その時の強烈な印象は鮮明に記憶に残っているのだが、こうしてアメリカ生活にも慣れて改めてロスを訪れてみると、それほど驚くほどのモノでもなかった事に気がつく。色々と経験する事は、同時に何かを失う事でもある。

レンタカーは、迷わずにマスタングのコンバーチブルをリクエスト。
西海岸=オープンカーというイメージと憧れが強かったので、どうしても一度体験しておきたかったのだ。アナハイムでの商談を終えた後、満を持してルーフを開けた。Tシャツになってトーランスまでの40分間をオープンにしてゆっくり走る。車体はライトグリーンで少々恥ずかしかったが、この開放感は理屈ぬきで気持ちがいい。カリフォルニアの空にオープンカーはいい。贅沢なひと時であった。


それにしても、噂には聞いていたが、中西部からみればロスなんてのは本当に日本だ。

夕食に向かう際、駐在員から言われた。

「和食が食べたい、っていうリクエストはやめてくれよ。日本食でも、すき焼き、しゃぶしゃぶ、寿司、焼き鳥、カツ、手羽先・・・と色々あるだろ。そのどれがいいか細かく言ってくれなきゃ。」

あえてそう言われると難しいもの
全3日間あるから、天ぷら、しゃぶしゃぶ、焼肉(韓国風でなく日本の)のローテーションを決めた。

それにしてもなんて贅沢な場所なんだ。
ランチのラーメン屋だって、味噌、醤油、とんこつ、四川、等々、味によって店をチョイス出来る。懐かしの吉野家も行った。何でもかんでも「日本飯屋」でひとくくり、御造りから鰻丼からラーメンまで出てくるココらの店とはかなり、いや、全く違う。おまけに、競争が激しいから価格もそこそこリーズナブルで、味も旨いし、サービスも完全日本流で満足。

住宅環境は、近年のバブルで家賃の高騰がすさまじくてたまらない、との事であったが、雨の降らない乾燥した温暖な気候が年中味わえるのだから、こちらからすると十分有り余るほどだと思うのだが。

その他、古本屋、これまた山ほどある日本人美容院などを堪能した。日本人対象のコミュニティ紙も多いし、無料のスポーツ新聞も毎日発行されている。スーパーはもちろん、魚屋、メガネ屋、薬局、等々。驚きだ。


街を見ると、メキシカンがもちろん多いが、韓国系、中国系といったアジア系もかなり目立つ。だからであろうか、アメリカ人と話をしていても、英語がとても分かりやすいし、こちらの拙い英語も面白いように通じる。少なくとも、聞いてくれようとする。

まあ、うらやましさとひがみを込めて言うと、せっかくアメリカに住んでいるのに、これだけ便利な環境で暮らしてしまうとなんだか勿体無い。アメリカの田舎からたまに行くからいいのであって、これだけ日本語が通じる世界にあえて住みたいか、と聞かれるとどうなのだろうか、と思ってしまう。

街には、やたらと日本人(語学)留学生があふれかえっていたけど、本気でアメリカを知りたくて語学を身に付けたいのなら、ロスという場所はお勧め出来ない。


散々、日本をエンジョイしながらそんな事を言っても、説得力ないか・・。



2006年05月09日(火) 松井秀、永住権取得の意思なし

ヤンキースの松井が、グリーンカード(米国永住権)取得の意思がないことを明らかにした。

「野球が生まれた国で最高のプレーヤーが集まるのがメジャーだから米国に来たわけで、メジャーがイタリアやフランスにあるのだったらそこに行っていた」

「結婚してずっとこっちに住むのなら別だけど、生活するなら毎日おいしいものを食べられる日本の方がいい。米国でコーチをすることもあるかもしれないけど、入国の時に楽なくらいで特にメリットを感じない」


正直者だな、松井は。

確かに、アメリカの飯はマズい。例え日本食だってマズい。飯の問題だけでなく、たいていの日本人にとってはアメリカで一生を過ごす事はキツイだろう。母国が一番、当たり前だ。


ただ、不用意な発言というか、わざわざこんな事言わなければいいのに、と思う。

日本に来た助っ人外人が、日本の飯はマズイ、日本で生活はしたくない、などと発言すれば、日本人としては面白くない。誰だって、自国に来ている外人に、お前の国は過ごしづらい、と言われれば、その人のことは良くは感じないだろう。元近鉄のローズが人気があったのも、うそか本当か分からないけど、日本大好き、と公言していたからだ。

WBC辞退してシーズンに備えたのに、今日も4タコで絶不調。
松井、相当ストレスたまってんな。





2006年05月08日(月) 高金利で小遣いを

週末は最高の天気だった。雲ひとつ無い快晴、これからこんな気候が続くとなると、心にも余裕が出来て気分が良い。しかし陽気に誘われたのはないだろうが、運転中にヒヤッとする場面が今日は2回あった。注意しなくては。


アメリカの銀行で個人預金の獲得競争が激化している。
預金をてこに個人向け融資を伸ばし、収益力強化を狙っているからである。
堅調な米景気、原油高を背景に長期金利は5%台に上昇。個人向け融資の中心、住宅ローン金利なども上昇が見込まれ、各社とも利ざや収入の拡大を見込んでいる。

我家にも毎日のように全米の銀行からレターが届く。当座預金口座を作れば100ドルをプレゼント、とか、信じられないようなキャンペーンもよく見られる。ただ口座を作るだけで100ドル、である。また、通常は利息のつかない当座預金で、利息をつけます、というキャンペーンもある。語学の問題もあって、銀行口座の新規開設もクローズも面倒臭いので(経験上)、その為だけにわざわざ知らない銀行に足を運ぶことはしないのだが。特に、キャンペーン目当ての客だと分かると、本当にしつこくてうるさいから要注意だ。


最近は、CD金利が5%越えという広告も目立ってきた。
CD、いわゆる“Certificate of Deposit”は日本の定期預金に相当する。一定期間預けたままで金利を得るにはおすすめだ。金利条件がほぼ横並びの日本の銀行と違って面白いのが、アメリカでは銀行によって最低預け入れ額・利子・複利期間などが異なること。また、長く預ければ高金利という訳ではない。こんなサイトで 各銀行で比較するのが良いかも。

このCDでは、Interest と表示されているものが表面金利で、APYが実質金利。表面金利の比較では一見良さそうに見える口座が、複利の仕方の関係で実際にはそれほど大きく増えない場合もあるので、APY で比較するようにしたほうがよい。

ちなみに、シティバンクではネット申込み限定で年4.5%の普通預金の扱いを行っている(クリック)。これこそ、知っているものだけが得をする。
慌ててネットで口座の申込みをした。所要時間わずか1分で、金利が従来の3倍強。もっと早く気が付いておけばよかった。


日本での外貨預金は為替リスクがあるのだが、アメリカに住んでいるうちは為替など関係ないので、リスクの無い高金利をエンジョイ出来る。
まあ小遣い程度の金利収入でも、株のような資産運用をしない庶民にとっては幸せである。



2006年05月04日(木) 就業後の楽しみ / 今日の一言

今日は効率よく(?)午後4時で仕事を切り上げて1人でのこのことゴルフ場へ向かった。
受付で「9ホール」と言ったのだが、「この時間だと18ホールだ」と言われた。よく意味も分からずそれでいいと言うと、9ホール分の15ドルしか取られなかった。しかしレシートには18ホール、とある。
同じ組で回ったオヤジに聞くと、平日午後4時以降は9ホール分の料金で18ホール回れるそうな。これはラッキーと、それぞれ仕事後にバラバラに集まった4人で18ホールを堪能。コースはガラガラで、スムーズに午後8時に終了。さすがにバッグ担いで18ホール歩くのはは疲れたが、今年初の仕事後のゴルフは健康的でなかなか心地よかった。去年は常に不安定だったティーショットが安定してきた代わりに、150ヤード前後のアプローチがまったく寄らず。うまくいかないものである。




Tiger loses favorite driver (USA Today Sports)

タイガー・ウッズに幼少時代からゴルフを教えたコーチであり、心の師でもあった父親、アール氏が亡くなった。74歳。
「一番の親友で、最も尊敬している人」という父の看病の為、タイガーは全米オープンまで試合に出ない事を宣言していたほどなのだが、まさに「大好きなドライバー」を失ってしまった。
3月のプレイヤーズ選手権の直前練習を切り上げ、父を数時間だけでも見舞おうとカリフォルニアにジェットで戻った際、「What the hell are you doing here?」との父の言葉を、どんな気持ちでタイガーは聞いたのだろうか。
幼少時代のEldric(タイガーの本名)にTigerという相性をつけた父。後に世界一有名なアスリートの名前となった。
この父無くして今のタイガーの存在は無かったと言えよう。

 
The ball is out of my court (仕事で言われた一言)

取引先のアメリカ企業の担当窓口に懸案事項を問い合わせするとよく出てくる言葉。
俺は自分の仕事は済ませたから、後は知らないもんね、という意味。彼らは会社の窓口として働いている気はさらさら無い。
正直、このメッセージを食らうと日本人としてはやり場の無い怒りが沸いてくるが、チームワークよりも自分に果たされた仕事内容の成果だけで給料が決まってしまう立場の相手だから、この言葉が出た以上はどんなに文句を言っても駄目である。地道に次のキーパーソンを探し当て、再び話しを持ちかけるしかないのである。


Only 48% of women in Japan have jobs

この数字、我が社内を見回すに意外と高いな、と思う反面、世界で見ると先進国ではイタリア、スペイン、フランスに続いて低い数字。
これが、アメリカの60%レベルにまで到達すれば、日本は600万人もの雇用が創出出来る。景気回復により労働力不足の日本であり、これからは女性への依存度も益々高くなってくるだろうが、USA Todayによれば、日本は女性に対して活躍の場を与える機会が世界58国中38位だそうだから、まだまだ道のりは長いようだ


2006年05月03日(水) マンハッタンの古本屋

日本は大型連休のようだ。

日本、中国のほとんどの企業が休暇中というこの1週間。
日本と中国が主な取引先である自分の仕事も、これらの国が休暇中などとは一切知らない米企業のお相手をのんびりする以外は特に急ぎで対処せねばならぬ事はないから、まあリラックス出来る1週間ではある。


週末にマンハッタンに旅行に言ったのだが、日本飯屋においてあった地元紙で古本屋のBook Offがある事を見つけ、41th Street(41丁目)までのこのこと出かけた。

5番街とマディソン街の間の通りに日本の店が集中している。日系スーパー、カフェ、寿司屋、古本屋、レンタルビデオなどなど。マンハッタンの日本人が如何に多いかを嫌でも感じさせる。

たやすくBook Offを見つけ、店に入ると笑顔の店員たちが迎えてくれる。





「いらっしゃいませー。ようこそ。」

ここは日本だ。レジの向こうには日本のCDがたくさん。本は狭い階段を下りた地下にどっさり。

正面にすぐに目に付く1ドルコーナーに釘付け。当然ながら、ニューヨーク在住者が売却した本が中心になっているはずだから、自分にとっても確かに興味を引くタイトルばかりだ。

店内には、駐在員らしき男性、あと、日本語が読めるのだろうか?アメリカ人の姿もあった。
そしてここ中西部では見られない学生らしき若者も目立った。茶髪で話し方に気品のカケラもない。そろいも揃って似たような連中と2、3人連れだ。まあ、日本の学校も入れずに親の金でマンハッタンの語学学校でも通っているのだろう。


長々と居座った割に、村上龍とロバート・ホワイティング著を1冊ずつ、そしてハーバード体験記の3冊だけを購入。


店内の1ドルコーナー本棚を一番占めていた作家は、落合信彦だろう。もうどっさり。同タイトルの著書が4冊も5冊もあった。

「人生に小さく賭けた奴は、リスクも利益も中途半端。君はどっちだ!本気で生きてみないか!」 〜 スーパードライのCMで有名になったものの、未だに本職不明の落合信彦の著書は、どれもこのテーマで統一されている。でも、若者を刺激するには十分な内容だ。落合の本を読んで、「よし、俺もアメリカに渡って一旗あげてやる!」と決意を固めた若者も少なくないのだろう。ところが、アメリカで生きるという厳しい現実に直面し、なんじゃこの本は!薄っぺらい内容書きやがって!と、タンスの肥やしになった著書を古本屋に持ち込む人間がいかに多かったか、という事だろうか。


1ドルコーナーにずらりと並ぶ彼の著書を見て、そんな勝手な想像をして可笑しくなってしまった。




Kyosuke