加藤のメモ的日記
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2009年05月30日(土) マラソンが赤血球を破壊する

「長距離走の経験もないのにフルマラソンに向けて充分な練習もせず、応募して抽選に当たったから参加した、という方が東京マラソンでは大勢走っていました。こういう人たちが体調を崩しやすい。フルマラソンには命の危険性があることを充分に認識して、準備してほしいですね」今回の東京マラソンで救急搬送されたランナーは20人。救護所に駆け込んだランナーは1096人もいたというから驚く。

ランニングをすると、安静中に比べて5倍から10倍もの呼吸量があり、そのため空気中に有害な物質が含まれていると、そのまま肺に吸い込まれてしまう。花粉や黄砂も吸い込みやすい。また呼吸量が増えるということは、体内に入る活性酸素の量もその分増えることになります。活性酸素はとりすぎると細胞に損傷を与え、ガンや生活習慣病を招くともいわれている。日中に走ると。呼吸量も最大10倍近く上がるため、毒性の強い活性酸素が普段の50倍近くも増すことがあるという。

ランニングを続けていると、足の裏で赤血球が踏み潰されて壊れ、血中の鉄分が流出して、知らぬ間に貧血になっていることがあります。発汗などによる鉄分の喪失も考えられます。貧血になると、体内組織が低酸素状態に陥り、動機や息切れ、めまい、耳鳴り、頭痛、冷えなどの症状が現れる。なんとなくだるい、疲れがとれないなどの理由で検査をしてみたところ、貧血になっていた例も珍しくないという。特に女性は貧血になりやすく、鉄分やタンパク質、ビタミンCカルシウムなどを多めに摂るよう。食生活の工夫も欠かせない。


週刊文春 5月28日号


2009年05月25日(月) ニーチェ ・神は死んだ

キリスト教批判については、西洋の思想史をさかのぼれば、無神論の思想家を見つけ出すことができますが、最も明確に筋道立てて隅々まで否定したのはニーチェだけでした。特に日本人にとっては、キリスト教は世界宗教の一つに過ぎませんが、ヨーロッパ文明にとってキリスト教は、文明のバックボーンであり、キリスト教を否定することは凄まじいものがありました。

例えば、マタイ福音書に「貧しい人は幸いである。天国は彼らのためにある」という有名な言葉があります。この言葉は貧しい者や無力な者、弱い者こそ神に祝福されるという意味ですが、ニーチェはそこに無力な者が有力な者にもつルサンチマン(怨念、ねたみ)が隠れていると指摘したのです。実際キリスト教は最初、ローマ帝国の奴隷の間に広まったものですし、キリスト教はさかのぼればユダヤ教を母体として発展したので、そのユダヤ教自体、他民族によって亡ぼされたユダヤ人の間に広まったものですので、そうしたことからも、弱者の強者に対するルサンチマンが含まれているとしたのです。

ですから、キリスト教の根底には弱者(能力のない者・病人・苦悩する者)が強者(能力のある者・健康な者)を妬み、怨む気持ちが隠されているとニーチェは主張します。ですからこうしたことからニーチェはキリスト教を「奴隷道徳」と批判し、そうした弱者に代表される没落し衰退し滅んでいくべき存在に同情や哀れみを持つ者は、人間の心の弱さから生じたものであり、自分自身を弱者の地位にまで引き下げるとしたのです。

言い換えれば弱者への同情や憐れみは人間が本来持っている「生」へのたくましい欲求(支配欲・権力欲・性欲・我欲など)を押さえつけ、人間を平均化し、無力化してしまうとしたのです。そこで、ニーチェは「神は死んだ」と宣言し、キリスト教的価値観を否定したのです。また、彼が否定したのはキリスト教の神だけではありません。自己よりも崇高なものを認める価値観すべてを否定していったのです。

ですから例えば、イデア世界に永遠なる真・善・美を認めるプラトン哲学も、キリスト教の奴隷道徳の系譜に属していますし、その他、自己より崇高な価値観である「真理」「理想」「理念」もすべて否定していったのです。

つまりそれらは弱い人間が自己から逃避した結果であり、自己の生を意味づけるために捏造したものであり、虚構であると暴露したのでした。そして真の価値基準は「神」や「天国」「真理」ではなく、自分が生きている現実の「大地」に置くべきとしたのです。またニーチェは、キリスト教は「畜群本能」にとらわれた道徳であるとしています。畜郡本能とは自分を越えた特別な能力を持った者を危険視し、群れから排除しようとする「弱者」たちの本能であり、それは主体性を否定し、平均化し没個性的に生きることで安心しあう心理によって支えられているとしたのです。

そのためニーチェは民主主義や平等主義をキリスト教の俗化したものとして嫌悪したのでした。ニーチェのこの言葉を重要視して有名な言葉として広めた人は特にいません。「ツアラトゥストラ」も当初、40部を自費出版しただけで、晩年は彼を敬愛する妹に見守られながら、次第に高まる名声を知ることなく静かに息を引き取っていきました。



2009年05月24日(日) ドル崩壊の夏になる?リーマンブラザーズ破綻の原因

5月16日、ウォールストリート・ジャーナル家の凍死分析し「馬炉bbず」が、米国債とドルの崩壊がすでに始まっていると分析をトップ記事として掲載した。それによると昨秋のリーマンブラザーズ破綻から昨年末にかけて、リスクに対して過敏になった同士形は、社債や株式を撃ってリスクが低いと考えられてきて米国債を買う傾向を強め、米国債が高騰(金利は低下)下が、これは米国債の価値が課題に湯犯された「バブル」だった。今年に入り、米国債バブルの崩壊過程が味まり。昨年末に2.8%だった30年もの国債の利回りは4.1%まで上がり(価格と氏は20%下落)、今後は来年にかけて5%へと上がる見通しだ。米政府は最是赤字を急増させており、そのリスクを勘案なすると米国債の価格はもっと安く評価されても不思議ではナイ。米国経済に素行置換が出てくると、投資家が再びリスクをとって下部や社債を買うようになり、米国債が売れなくなる。また、景気回復で需要が復活してくるとインフレがひどくなり、国債利回りを押し上げる(価格は下落)。これらの要因から、米国債の下落傾向が続くとバロン図は予測している。この論文が発表された後、ドルは他の主要通貨に対して値を下げた。米国債のリスクの上昇を意味するCDS両立の上昇を見て、米国債は破綻に向かっていると言う指摘を、何人もの米欧の分析者が放つようになっている。この論文が発表された後、ドルは他の主要通貨に対して値を下げた。米国債のリスクの上昇を意味するCDS両立の上昇を見て、米国債は破綻に向かっているとという指摘を、何人もの米欧の分析者が放つようになっている。
「投資家は米国債やドルを忌避したくても、他に買うものがない。他の通過も安心できない以上、米国債などドル試算を買うしかない。だから米国債やドルの崩壊はありえない」と豪語する「日経新聞信奉者」とも言うべき人々が、いまだに私の周囲にも多い。しかし、今後の地域は建国となる中後訓度震央黒字国諸国は、明白にドルと米国債の危険さいについて語り、ドルのだいたいとして鉱物資源やエネルギーなどコモディティ(相場商品)を買いあさっている、知的好奇心のある方は、分析力の低い日本の新聞に価値観の構築を依存せず、英文情報などを集めて自分の頭で考えたほうが、はるかに面白い。
米国の水害による世界の転換に気づいていない人が多いのは、


リーマンブラザース(RB)はサブプライムローンをつくっていたのではなく、買っていた。銀行なら自己資本比率の規制を守らなければならに為、大きな損失は業務停止になるのだが、RBは普通銀行ではないので持っているサブプライムローン関連の商品が値下がりしてもいきなり破綻はしない。投資銀行は普通銀行ではないので預金を集めて資金調達しているのではない。

サブプライムローン関連の商品を買うための資金は金融機関が資金を融通しあう短期金融市場から借りてきている。サブプライムローンの破綻により、その短期金融市場の金利が跳ね上がってしまったので、また新たに借りにくくなってしまったからである




2009年05月23日(土) ユダヤ人のアイデンティティー

ニューヨーク市(マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、ステイトン、アイルランドの五地区)のユダヤ人の人口は113万3000人で全人口の16%を占めている。これは同市における非ラテン系白人の三分の一にも相当する数だ。全米の人口に占めるユダヤ人の比率が2.5%に過ぎないことを考えると、ニューヨーク市にユダヤ人が集中していることがよくわかる。特にマンハッタンとブルックリンにその傾向は著しい。ユダヤ人としてのアイデンティティーの強弱を知る手立ての一つが宗教儀式への参加である。ユダヤ教の儀式の中でもっと多くのユダヤ人が参加するのは「過ぎし火の祭り」だ。統計によれば、ニューヨーク市とその周辺地区のユダヤ人の89%が参加している。


  ―なぜ民主党支持か―

ではなぜユダヤ人が民主党を支持するのか。この理由を知るには、その歴史的な背景を見る必要がある。在米ユダヤ人の大半は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて東欧から移住してきたユダヤ人とその子孫たちである。1920年までに全世界のユダヤ人の3分の1以上がアメリカに集中し、その数はさらに増えることが予想されていた。だが、1921年、当時の共和党政権は移民の数を制限し始めた。その目的の一つはユダヤ人の移住を縮小することにあったといわれている。さらに1930年代、共和党の孤立主義が強まるにつれ、ユダヤ人の間に「共和党は反ユダヤ主義」という感情がいっそう強まることになった。

その一方、国内の少数派市民「マイノリティー」の問題に共和党よりも積極的に取り組むリベラルな民主党を、少数派市民の一つであるユダヤ人が強く支持するようになったのは当然な成り行きであった。1944年の大統領選挙では民主党候補ルーズベルト氏を、ユダヤ人の90%が支持したといわれる。また移民の第二世代から。医者、弁護士、学者、ジャーナリストなど専門職にユダヤ人が数多く進出していったことも、リベラルな民主党支持の傾向と深いかかわりがある。さらに不動産業などユダヤ人の進出が特に著しいビジネスにとって、民主党支持が有利であるという経済上の理由もあった。

ユダヤ人の民主党支持の傾向は、民主党への莫大な政治献金、さらにその献金による党内への強大な影響力へとつながっていく。先のユダヤ人問題専門家・レニー・ブリナー氏は、民主党内でのユダヤ人の影響力の根拠を、具体的な数字をあげて次のように説明する。アメリカの経済史『フォーブス』は毎年全米上位400人の大富豪の名前を発表する。その中では人口比率2.5%にすぎないユダヤ人が24%を占めている。残りの76%はキリスト教徒のアメリカ人である。その90%は共和党支持者だといわれる。

つまり400人の富豪の中で民主党を支持するキリスト教徒は7.6%に過ぎないことになる。社会的な地位が向上したことによって。保守化する傾向はあるといわれながらも、民主党支持の伝統はまだ根強く、24%を占めるユダヤ人富豪の中でも50%が民主党支持と推定される。つまり400人の富豪の中で、民主党を支持するユダヤ人富豪は12%を占めることになり、また民主党支持の富豪の6割がユダヤ人ということになる。

これは民主党を支える政治献金の中でユダヤ人の献金の占める割合をほぼ示していると、ブリナー氏は推定している。民主党がユダヤ人の声を無視できない理由がここにあるわけだ。この民主党に比べ共和党に対するユダヤ人の政治献金の占める割合は小さく、それだけユダヤ人の影響は小さい。共和党政権が民主党政権よりもイスラエルに対して比較的強い姿勢が取れるのはそのためといわれる。1956年、エジプト領土に侵攻したイスラエルを「経済援助の停止」という圧力をかけることによって撤退させたのは、共和党のアイゼンハワー大統領であった。イスラエルロビーの猛烈な反対を押し切って、サウジアラビアに最新兵器AWACSを売却したのも共和党政権(レーガン)だった。そのいずれもその後再選を果たしている。


『アメリカのユダヤ人』土井敏邦


2009年05月22日(金) 『空白の桶狭間』 加藤 廣

桶狭間の合戦については、太田牛一が『信長公記』に書いて記述などをもとに、2万5000の兵を率いた今川義元に対して、その10分の1にも満たない兵力の織田信長軍が奇襲をかけ、気象条件などの偶然も見方にし、あっという間に勝利したというのが通説ですが、どうも話がうまくできすぎていると思っていました。歴史には勝者と敗者がいるわけですが、歴史上の出来事を公平に判断しようと思ったら、敗者側の資料を70%、勝者側の資料を30%の比重で見なければならない。そうして初めてイーブンな考え方ができるんです。

ところが桶狭間の合戦については、今川義元側の資料が何一つ残っていないんです。若いころは大の信長ファンで、いずれは信長を小説に書きたいと思っていたので、桶狭間についても機会があるごとに調べてきましたが、これほど徹底して一切の記述が出てこないのも珍しい。桶狭間以後、それまで今川の人質になっていた松平元康(後の徳川家康)が駿河を統治するようになりますが、おそらくその際に都合の悪い資料を処分してしまったのではないかと考えました。

そうなると、当然家康も一枚咬んでいるはずです。では家康に一枚咬ませたのは誰かといえば、木下藤吉朗(後の豊臣秀吉)しかいない。本書『空白の桶狭間』は、そこから推測して書いた小説です。秀吉の前半生はいまだに明らかにされていませんが、一介の百姓の息子があんなに城造りがうまかったり、軽々と馬に乗れたりするわけがない。彼は諸国を放浪する「山の民」の一員であり、その同胞たちの協力を得ることによって、桶狭間の奇襲作戦に成功したんだと考えました。

山の民は、藤原道長の兄、道隆を祖とし、その庶子の道宗が道長に追われて京から丹波に逃れたことに始まります。徳川幕府が士農工商の身分制度を敷いて以降は、その埒外に置かれる民と混同されるようになりましたが、もともと文化程度のきわめて高い異能集団で、成人になる前に数年間、集中的に教育を施すしきたりもありました。これまでの歴史小説では、桶狭間の合戦の際、秀吉は何も働いていない。じゃあ、そのときなにをしていたのか、ということについては誰も言う人がいない。

歴史は虚実入り乱れて伝えられていきますから、複眼的に捉えていくことが大切です。そういうことで言えば、僕が考える桶狭間は、こういう物語にしかなり得ないんです。



週刊現代 5月13日号


2009年05月21日(木) 城山三郎伝『筆に限りなし』 

―膨大な量の未発表資料の読み込みや、丹念な取材を積み重ねて到達した硬骨の文学者の”真髄”が放つ凄み

もちろん城山は愛妻家だった。しかし、それだけでは城山を語ってほしくない。『そうか、もう君ははいないのか』が、ベストセラーになり、城山夫妻をモデルとした物語がテレビドラマ化されて、「城山」と「愛妻家」が同義語となるような風潮に違和感をぬぐいきれないでいた私は、加藤のこの骨のある評伝に拍手喝采した。加藤は名古屋の郷土資料館「双葉館」に取材された城山の取材メモ(段ボール箱にして300個分はあったとか)の山と格闘し、作品に結実するまでの城山の思考を追って、厚みのある城山三郎像を彫り上げた。

「整理がまったくできない親父でした」と息子が語っているように、「軽いめまいを覚えた」ほど、それは未整理だった。しかし、その山に挑んだおかげで「女性の描写を苦手とするといわれてきた」城山が、若き日に女性を描いた習作を多く書き、「女性のさりげない振る舞いを観察することによって、感性を押し広げようとしていた」ことを発見する。ただ、城山は長男であり、親は室内装飾業の「杉屋」を継がせたかった。しかし母親がこう言ったように、それは不向きな性格だった。「うちの子は電話が鳴っても出やしない。商売のことは少しも考えていないのですよ」

とはいえ、軍隊生活をはさんで、名古屋商業から一橋大に進んで経済を学んだ城山は、それまでほとんどの作家が書かなかった題材をテーマに経済小説を書くようになる。それについて大学の先輩の伊東整は「きみが経済を知っているとは思わないけど、経済を勉強したために経済を怖がらない。そこがえらい違いだ」と言ったという。そして「あなたがこれから作家として続けてゆくには、いつも自分を少々無理な状態の中におくようにしなさい」と忠告した。それを踏まえて加藤は書く。

「城山三郎は『経済』を恐れていなかったが、『文学』を畏れていた」と。これこそが城山論のポイントだろう。この一句を書くために、この伝記は書かれたとさえ言ってもいい。私流に少し変化させれば、城山三郎は「経済」を恐れていなかったが、「人間」を畏れていた。それが後年の『落ち日燃ゆ』を初めとした傑作を書く素因となってゆく。しかし、よく誤解されるが、その視点は司馬遼太郎とは決定的に違っていた。加藤は、城山と私の対談『人間を読む旅』から城山の言葉を引く。

「世の中のことは全部わかっている、みたいにはかけないんだよ。神の目では書けない。誰かの中に入っていって、その人になってみたらこうだ、というぐらいには書けるけども……」そして私は加藤に、「神の目」で書く作家として、城山は司馬を挙げた、と打ち明けた。城山の生前はそれを秘密にしていたが、亡くなってからはいいだろうと断定したのである。

この評伝には、もう一つ驚くような城山の怒りが記してあった。「俺には国家というものが、最後のところで信じられない」と語っていた城山は勲章を拒否し通したが、長く続けた読書会「くれとす」の仲間がそれを受けた。「そんなものをもらって、うれしいのか」と城山は毒づき「汚ねぇぞ」「恥を知れよ」とまで言ったという。実に読みごたえのある評伝である。


評論家 佐高 信








2009年05月20日(水) アルツハイマー病研究最前線

2025年には、現在のおよそ2倍の患者数に増えるといわれているアルツハイマー病。「アミロイドβ」と呼ばれている物質が脳内に異常にたまることが原因だと考えられている。理化学研究所は、脳内でアミロイドβを分解する酵素”ネプライシン”を発見した。この酵素が加齢とともに減少することが、アルツハイマー病の発症につながると考えられている。

最近の研究で、脳内のあるホルモンや手軽な運動によって、このネプライシンの量を増やせることが突き止められ、アルツハイマー病の予防が可能になると期待されている。

さらにDNAワクチンという新たな技術で体内の免疫の仕組みを活性化させ、アミロイドβを攻撃するという画期的な方法も開発され、今臨床試験の準備が始まっている。その一方で、アルツハイマー病の課題は早期発見が難しいこと。今年、全国の医療機関が参加して早期発見につながる大プロジェクトが始まった。アルツハイマー病の予備軍とされる人たちに対して半年から一年ごとに画像検査を行い、もしその後アルツハイマー病を発症したら、過去の検査データを調べ、早期発見に役立てようと言うものだ。早期発見が可能になれば、効果的な予防や治療を行うことができる。



…………

脳は無意識のうちに外から入ってきた情報を分析している。これが認知の働きだ。認知能力が衰えると見ているものが何なのか分かりにくくなったり、道に迷ったりするなど日常的に大きな支障をきたすことになる。


2009年05月19日(火) 大蔵官僚の復讐

●大蔵 テリーさんのような考え方は、例えば大前研一とかいう人もそういう立場ですが、多くの人々はやはり経済的に占領されちゃうのはいやだというんじゃないですか。

◎テリー 日本人の個人の預貯金が1.200兆円あって、それが海外に流出するという意識は一般庶民にはないんじゃないです。
●大蔵 実際に流出しているんですよ。

◎テリー あなたの論理だと、そのお金が海外に流出するという言い方になるんでしょうけど、海外の銀行に預けたほうが、日本の銀行に預けるよりもよっぽど利益があがるんだから。自分の金が誰かに持っていかれちゃうわけではない。

●大蔵 それは国家に対する考え方の違いともいえる。

◎テリー そうですね。あなたの考え方は庶民とはあまり一致しない気がする。

●大蔵 でも、国民のある部分にはすごくアピールしますよ。

◎テリー そうなのかなあ

●大蔵 いや、しますよ。テリーさんみたいな職業や考え方の人は多数派じゃないですもん。だって、日本の中心にいるからそう思うのであって。あなた、芸能人でしょう。東京生まれ、東京育ちでしょう。そんな目で北海道の寒村の一納税者の考え方がわかるんですか。さらに言えばだ、日本の銀行が全部潰れて、ユダヤの銀行になっていいんですか、そのかわり金利は1パーセント上がりますけど、それでいいんですか?あなた、自分のことばかり考えてるだけじゃないか!我々は国家のことを考えているんですよ。この国をつぶしちゃいけないんだよ!

◎テリー 日本の官僚は何かあると、必ずユダヤ陰謀説を持ち出してきますね。

●大蔵 ユダヤが相当なことをやっているのも事実だしね。

◎テリー本気で信じてるんですか、ユダヤ陰謀説を。

●大蔵 実際えらいめにあったりすることがあるからですよ。

◎テリー 僕なんか例えば、山一がなくなったということはいい加減なところがつぶれたという点で、単純にめでたいと思っているけどね。

●大蔵それはテリーさんはやっぱり少数派だと思うんですけど、一般新聞、朝、毎、読の経済面をも一回調べてみればわかるんですけど、例えば、東証でまだ山一があったころ四大証券を合わせても、外国証券のシェアに負けたというのは大ニュースになったわけです。その書き方というのは「日本はこれで大丈夫なのか」。朝日新聞と産経新聞と同じ論調でしたよ。それは自然の摂理で「一般国民にとってよければそれでいい」と書いたところは一社もないんですよ。朝・毎・読・産経・日経が日本国民の声を代表しているとは思わないけども、全紙に共通している論調なんですよ。

日本以外でも、マレーシアのマハティール首相は有名でしょう。彼が常に言っているのは「アメリカの侵略を許すな」です。それは軍隊は関係ない、経済侵略を許すなといって、あれだけ強い支持を得ているわけです。日本はまだそれが薄いほうですよ。テリーさんは、ものの考え方にしても、生き方にしても自由人だから、そういう考えになじまないけれども、民族を忘れてはいけない。

山一證券が破綻する前に、山一證券の株価がものすごい勢いで急落しました。その原因は、ジョージ・ソロスというユダヤ系、ハンガリー人。ハンガリーからアメリカに亡命した投機家が、山一證券を徹底的に、まず空売りしたわけです。売って、売って、29円ぐらいまで下がったところで一斉に買い戻した。山一證券を一つつぶして、ソロスの懐に入った金は少なくとも4千億以上といっているわけです。

そうすると世界の規制緩和の流れの中でということではなくて、そういう特定の投機が大蔵、日銀の手が及ばなくなった隙を狙って実際にやってるじゃないか。それにソロスがやっているのはアジアだけではないんです。92年か93年だったと思うけど、イギリスのポンドが暴落したんです。それでイギリスの経済はその後たいへんで失業者も増えて実際に困った人がいっぱい出たんだけど、あのときも同じ。ポンド売りをソロスが徹底的やって、日銭1千億円儲けたんですよ。何ヶ月間も。

それを次にアジアでやって、まずタイのバーツを売って、インドネシアのルピーを売ってソロスがアジアの通貨危機をつくってとうとう日本に入ってきて山一を売って、売るだけならいいんだけど、安くなってから買い戻して膨大な利益を得た。ということは逆に安いところで売らなきゃいけなかった人間がいるわけでしょう。それをやって儲けた末に、山一をつぶしてしかもメリルリンチを入れて、メリル・リンチからソロスは莫大なマージンをとってる可能性も強い。そういううことを許していいのか、という話なんですよ。


『大蔵官僚の復讐』テリー伊藤


2009年05月18日(月) 武士の欠勤届



電話のなかった江戸時代。武士の欠勤届はどうやって届けたか。当時の武士の勤務体制は少なくて五人、多くて八人程度のグループを組み、支配や組頭の指揮、監督の下で勤務についていた。隠密などの特別な勤務でもない限り、一人だけで業務を進めるようなことはなかった。グループ内の武士同士は、家屋敷もそばにあることが多かった。

そこで、急病などで欠勤するときは近所の同僚に頼んで組頭に知らせることが一般的だった。うまく同僚と連絡がつかない場合は、自分の家内を城内へと走らせた。城内に勤め、屋敷を構える武士ともなると、それなりの配下を従えていたのである。万が一にも無断欠勤をしようものなら大変なことだった。実際、お家断絶になったケースもあった。


               □

ホッキョクグマはその名の通り、北極を中心とした地域に生息している。いうまでもなく、氷山がプカプカ浮かび流氷漂う極寒地帯である。その地で生きるため、ホッキョクグマの“傍観代作“には年賀は行っている。まず、体毛からして二重構造である。上毛の舌に短い下毛が密生し、冷水や寒風をシャットアウトする。つまりホッキョクグマの辞書には「寒い」と言う言葉はない。北極圏の寒さから、冬眠と言う形で逃げ出す必要はないわけだ。ただホッキョクグマも冬眠しないことはない。もっぱら食糧事情のためである。

北極圏の中でも、食料が豊かな地域とそうでない地域がある。食料の乏しい地域に住むホッキョクグマは、ヒグマなどと同様冬眠し、省エネを試みる。一方食料がふんだんにある地域のホッキョクグマはヒグマなどと同様、冬眠に省エネを試みる。一方、食料がふんだんにある地域のホッキョクグマは冬眠しない。日々、草、コケまで食べる雑食性を発揮記して、菜食活動にこれ努めているのである。


『大愚問』素朴な疑問探求会編


2009年05月17日(日) 大往生

「赤ちゃんの時に可愛いと言われて、
花嫁の時に美しいと言われて、
お婆ちゃんになったら、また、可愛いと言われたいわ」

「人生ね、あてにしちゃいけません。あてになんぞするからがっかりしたり、悩んだりするんです。
あてにしちゃいけません。あてにしなきゃ、こんなもんだ、で済むじゃありませんか」

「ガン保健は、ガンになったら支払われるということではいたんですが………胃潰瘍だと医者が言うんです。どうもガンだと思うんですが、はっきりいってくれないんです。体はどうでもいいんですが、保険はどうなるんですかねぇ」

「体がちょっとおかしいぐらいで医者に行ってはいけません、たしかにいつもと違う、という自覚があってからで大丈夫です。今の診察技術だと、ちょっとおかしいを、とてもおかしいにしてしまう危険のほうが高いのです。人間ドッグに行ってから急に体長が崩れるのは、そのせいです」

「病人が集まると、病気の自慢をするんですよね。もちろん、重い人が尊敬されるんです」

「生命ってものは遺伝子のコピーなんですよ。人間だって威張っても、たかがコピーの機械なんです」

「手術は勝負です。賭ける部分がないと腕も磨けません。だから患者にも賭けてほしいと思うんですけどね」

「近代医学は二百年、東洋医学は二千年。
どっちを信用すればいいかよーく考えたほうがいいよ」

「ただ死ぬのは簡単なんだ。
死んでみせなきゃ意味がないよ」

「死ぬ前になりますと、人間は炭酸ガスが増えるんです。この炭酸ガスには麻酔性がありますから、最後はそれほど苦しまずに終るようにできているんです」

「当人が死んじゃったということが気がついていないのが、大往生だろうね」

「俺が死んだら教えてくれよ」という小話もある。

「ご臨終です……これが上手に言える医者になりたいと思います。昔は心臓が止まって、呼吸が止まって、瞳孔が開けばいいんですが、今は心電図ですからね。死んでいても、何かの拍子に動く時があるので困ります。だから上手にスイッチを切っておいて・・・・・・ハイ」

「病院で死ぬってことは、病院に殺されることです」

「年をとると、だんだん世の中がつまらなく見えてくるんですよ。つまらなくならなきゃ未練があって死ねやしません」

「死んだっていうからおかしいんだよ。
先に行っただけなんだから」

「死ぬってことはあの世とか、親のところに行くって感じだと思います」

「八十を過ぎたら、なんだか医者の扱いに手抜きが見えてくるよ、ウン。
だって、死んだって文句の言えないトシだからね」


『大往生』永六輔


2009年05月15日(金) 生命が陸に上がったのは

地球上で現在知られている最も古い生物の化石は、35億年前のものです。これが化石だとわかったのは、ちょうど細胞分裂を起こしている途中のものだったからで、「これは生物だ」と見当がついたのです、この化石は球形の細菌のものでした。このころの地球はまだ酸素がなかったので、生物は酸素呼吸をしていませんでした。今から30億年前になると、今日のラン藻の仲間が海の中に現れます。

ラン藻は光合成をしますから、海の中はだんだん酸素がたまるようになります。しかし、海にたまった酸素が大気を満たすようになるには、なんと20億年前までかかりました。酸素が増えてくると、酸素呼吸をする生物が現れ、だんだんと生物の主流になっていきます。これは、酸素を使ったほうが効率的にエネルギーを引き出せるからです。酸素を使わない発酵より、酸素で酸化したほうが18倍もエネルギー効率がよくなります。

しかしこの時点で一つの難問もありました。酸素は基本的には生物にとっては毒だからです。人間でも、深呼吸をしすぎて酸素を多く取り入れる過ぎると、酸素毒で倒れることがあります。このため生物は、酸素がつくる有害物質を分解する酵素をつくるようになり、この危機を乗り越えたのです。やがて酸素が大気を満たすようになると、生物の中に陸に上がるものが現れてきます。しかし陸上生物の化石が発見されるのは4億年前からです。では酸素が大気を満たすようになってから生物が陸上に上がるまで、なぜそんなに長くかかったのでしょうか。

陸や空に生物がいなかったのは、太陽の紫外線が強かったからです。有害な紫外線のために生物は海の中だけで繁殖を続けていました。しかし大気中に酸素が増えてくると、酸素の一部はオゾンに変わり、大気圏の上のほうにオゾン層を作るようになりました。このオゾン層が紫外線を吸収してくれるので、陸や空にも生物が住めるようになったのです。実は、地球外から来る有害な宇宙は紫外線だけではありません。

放射線もその一つです。この放射線は、地球の磁場がつくるバンアレン帯で吸収されています。このバンアレン帯がなければ、生物はこんなにも栄えなかったかもしれません。地球というのは、生物にとって本当によくできたありがたい環境なのです。



『地球謎学』平川洋一郎 


2009年05月12日(火) ガンもそんなに悪くない

ガンが増えています。日本人は毎年およそ100万人が死亡していますが、そのうち32万人くらい、つまり3人に1人がガンで亡くなっています。65歳以上では、2人に1人がガンで亡くなるのです。ガンは、人間の細胞の設計図であるDNAに徐々に傷がついたために生まれる異常な細胞です。簡単にいえばガンは細胞の老化です。そして、DNAの傷が積み重なるには、時間がかかる。たった一つのガン細胞が検査でわかるほど大きくなるには、10年から20年の時間が必要です。つまり長く生きなければガンを作るいとまがないのです。

日本人は第二次世界大戦後、急速に長生きになったのですが、乳幼児の死亡率が減少が最大の理由です。現代の日本女性の平均寿命は86歳で、これは子供の死亡率までを含んだものですから、65歳に達した方々は90歳まで生きることになる。日本は前人未到の長寿国家なのです。

がん治療の進歩によって、ガンの半数は治癒できる時代になりました。しかし、「ガン=死」というイメージはまだまだ根強い。実際、高い喫煙率、動物性脂肪ばかりが増えている食生活、低い検診率と必要の乏しい高額の検査、あまりの手術変調、軽視される放射線治療、不適切なそして使われすぎの抗ガン剤治療、放置される患者の苦しみ、心が通わない医師と患者の関係……など。

ガンが治っても人は必ず死にます。人間の死亡率は100%です。ガンを通して人生を考えることが、「よく生き、よく死ぬ」ことにつながると確信しています。

最近の研究では、ガン細胞は健康な人の体でも一日に5.000個も発生しては消えていくことがわかっています。ガン細胞ができるとそのつど退治しているのが免疫細胞(リンパ球)です。免疫細胞はある細胞を見つけると、まず自分の細胞かを見きわめます。そして自分の細胞でないと判断すると殺してしまいます。ガン細胞はもともと私たちの正常な細胞から発生していますので、体の外から侵入する細胞などと比べると、免疫細胞にとって「危険な細胞」と認識できない傾向がある、といわれています。それでも免疫細胞はできたばかりのガン細胞を攻撃して死滅させます。

しかし年齢を重ねると、DNAの傷が積み重なってガン細胞の発生が増える一方で、免疫細胞の機能(免疫力)が落ちてきます。そのためガン細胞に対する攻撃力が落ちる結果、発生したガンが免疫の網をかいくぐって成長する確立も増えるのです。長生きするとガンが増えるのは、突然変異が蓄積されるのと、免疫細胞の働きが衰えるからなのです。ガンが老化の一種といわれるのはそのためです。ガンは一部のガンを除き遺伝しません。ガンになるならないは運の要素が大きい。

どんなガンができやすいかは、生活習慣にも左右されます。例えば乳ガンや前立腺ガンが増えているのは、動物性の脂肪を多く摂るようになったことが背景にありますわが国では高齢化によってガンの死亡はどんどん増えていますが、その中で2005年に死亡が減少したのは、胃ガン、子宮頸ガン、肝臓ガンという「アジア型のガン」だけなのです。逆にタバコが原因となる肺ガン、動物性脂肪の取りすぎが原因と考えられる乳がん、前立腺ガン、大腸ガン、子宮体ガン等、「欧米型」のガンが増えています。

日本女性のバストも欧米人並になりました。これも肉を食べるようになった影響です。肉食の結果女性ホルモンが多く分泌され乳ガンが増えているのです。このように、ガンは生活習慣が発生のリスクを高めることはあっても、ガンになるかどうかの根本は運(確率)である点です。ですからベジタリアンの聖人君子でも、ガンになってしまう可能性はあるのです。

現在、日本で最も脂肪が多いガンが肺ガンです。タバコが原因の肺ガンは男性で70%、女性で15%。特に若い人の喫煙は危険で、20歳未満で喫煙を開始した人は、吸わない人の約6割も肺ガンによる死亡率が高い。ノドのガン、胃ガン、食道ガン、肝臓ガンなどもタバコで増えます。あまり増えないのは大腸ガンと乳ガンぐらいでしょう。タバコがなくなれば日本男性のガンの3割が消滅するのです。

放射線治療の特徴は、ガンを切らずに治し臓器の機能や美容を保つ点にあります。例えば喉頭ガンは、手術でも放射線治療でも治癒率は変わりませんが、選択されるのは放射線治療です。手術をすれば声を失うからです。乳ガンは、かって乳房の下の筋肉を根こそぎ切り取る手術が主流でした。しかし今は腫瘍の周辺だけをえぐり取って、乳房全体に放射線をかける「乳房温存療法」が主流です。

放射線治療では、多くの場合一ヶ月程度の通院ですが、一回の治療は数分で患部の温度は2000分の1度しか上がりません。なぜかというとこのわずかなエネルギーでもガンのDNA(遺伝子の本体)が切断されるため、ガン細胞の分裂と増殖がうまくいかなくなるのです。また免疫の仕組みが、ガン細胞を異物として認識できるようになることも大きい効果です。このためガンが免疫細胞に攻撃されてしまう。放射線は一種の免疫療法という側面もあるのです。

現在ガンの治癒率(5年生存率)は、およそ5割ぐらいです。治療の進歩にもかかわらず、いまだに半数近くの方がガンで命を落としています。しかし、ガンで亡くなる患者さんを支える医療が、日本では充分に行われているとはいえません。死に直面し、体や心に痛みを抱える患者さんにこそ、最高の医療が提供されてしかるべきでしょう。これこそが医療の原点であるはずです。

欧米では、治療できないガンや痛みなどの症状をもつ患者さんの、さまざまな苦しみを和らげることを主眼として、緩和ケアの考え方が確立されています。日本はガン治療の後進国ですが、緩和ケアはさらに遅れています。ガンの痛みを和らげるのことは、緩和ケアの一番大事な役割ですが、その主流はモルヒネ、あるいは類似の薬物を薬として飲む方法です。モルヒネと聞くと、薬物中毒など悪いイメージがありますが、口から飲んだり、皮膚に張ったり、ゆっくり注射する分には安全な方法です。

このモルヒネの使用量が、日本はカナダ、オーストリアの約7分の1、アメリカ、フランスの約4分の1程度と先進国の中で最低レベルです。しかし薬物を使わない分、日本の患者さんは激しい痛みに耐えているのです。実際日本ではガンでなくなる方の8割がガンの激痛に苦しむといわれています。この理由は、麻薬を使うと中毒になる、寿命が短くなる、だんだん効かなくなるなどの迷信があるようですが、まったく根拠はありません。

現実にはモルヒネなどの麻薬系の薬を飲んでも、中毒などは起こりません、それどころかモルヒネなどを適切に使って痛みがとれた患者さんのほうが長生きする傾向があるのです。これは食事もとれ、睡眠も確保できるからです、日本人は痛みをとることを拒否し、結果的に激しい痛みに苦しんで、人生の仕上げができないばかりか、生きている時間の長さでも損をしているのです。

ガンの治療とケアは対立するものではありません、治療とケアはともに必要で、症状によってウエィトが変わってくるだけなのです。ガンの治療とケアのバランスをとれるのが「名医」の条件だと思います。僕はガンで死にたいと思っていますので。実のところガンもそんなに悪くないと思います。



『がんのひみつ』中川恵一


『僕はガンで死にたいと思っています』と中川恵一氏は言う。中川氏にガンが見つかり「あと3ヶ月の命です。」と言われたら中川氏は何と言うのだろうか。「死にたくない、恐い」と泣き叫ぶのではないか。彼は50才とまだ若く、死は彼方にあるから死が実感できないのではではないのか。私は死ぬときは事故死とか、いつの間にか眠るように死にたいと思っている。なるべく苦しまないように。死期が決められたら地獄の日々だろう。日本の病院ではガンの痛みに耐える患者が偉いとか、立派だという倒錯した価値観があるらしい。それでモルヒネの使用量が先進国で最低レベルということだ。


2009年05月11日(月) 抗がん剤

抗がん剤は24時間の吐き気、むかつき、嘔吐、脱毛(眉毛も)、倦怠感、下痢、口内炎、しびれ感、食欲の低下、体重減、口の中のネバネバ感、手足のしびれ、めまい。

本当に怖いのは抗がん剤治療による強い副作用で、苦しみ抜いて死んでいくということである。治る見込みがないなら、抗がん剤の治療は受けないという選択肢もある。

抗がん剤による成功率は20数%である。


2009年05月10日(日) 屋久島では

屋久島では、親しい友人の倉本聡さんと一緒にハムのコマーシャル撮りをした。この屋久島で私は再びあの巨大な杉の古木を何本か集め、手に触れることができた。林野庁による破壊の爪あとを、少なくも今までのところは奇跡的に危うく逃れてきた貴重な木々である。中でも最古の杉である縄文杉。これは樹齢七千年を超えているといわれ、ピラミッドよりはるかに古い時代の木である。しかも信じられないことに、この木は今もなお生きているのだ。私の心に映るその木は単なる木というよりも、まさに神そのものである。

ところがどうだ。現在その木のところまで、ロープウェイを作ろうという冒涜的な計画が進行中なのである。とんでもない話ではないか。神であるその木に会いたいならば、聖地を訪れる巡礼と同じようにそこまで歩いてゆくべきなのである。こんな巨木がこんなにも長いこと生き続けてこれたのは、たまたま人類がそれに手を出さずにいたからではなかったか。

それにしても、そうした古い大木の見事さは本当に信じられないほどだ。その巨大さ、高さ、そして樹齢の古さ。そればかりではない。そうした大木がそれぞれ小さな生物学的群落をなしているという素晴らしさ。この一本一本が、あらゆる種類のコケ、他の木々や灌木、昆虫やクモの類の宿主となっているのである。

今まで、こうした群落のいずれかをまともに研究した学者がいただろうか。私にはどうもそうは思えない。もしこの島でそういった研究がなされたならば、どんなに多くの未知の種が発見されることになるか想像もつかないほどだ。しかもなお、今も屋久島の処女林では伐採が続けられているのである。一般の人たちの目にはできるだけ触れないようにではあるが。


『森と海からの手紙』C・Wニコル


2009年05月09日(土) 地球をおおう恐怖心

多くのキリスト教徒は、信仰深い人を「神を畏れる」聖なる人だと崇める。しかし「神を畏れる」がエスカレートすると、日常の誤りが少しずつ「罪」として蓄積され、最終的に地獄行きになると本気で信じるようになるが、これは正しくない。これこそが支配組織による恐怖心の悪用であり、欧米のキリスト教徒は、この「恐怖心」と「罪悪感」が組み合わされて、マインドコントロールされやすい土壌となっている。

スターリンの恐怖政治と血の粛清によって数百万から数千万のロシア人が行方不明になり、殺されたと推定されている。このような状態が日常茶飯事になるのが、闇の支配者たちが目指している新世界秩序に他ならない。今のところは日本人の最大公約数的な恐怖感は、生きるための費用を稼がなければならないというプレッシャーである。景気の悪化による倒産と失業の増加、テロや原発の危険性などが、その恐怖心に追い討ちをかける。

人は恐怖からの開放を求める。しかし皮肉なことに恐怖からの救い主であるはずの宗教が、実は恐怖の原因になっている。しかも、今日の宗教と科学は、対立しているように見えても実はグルの関係であり、人間の直感を抑制し、死に対する恐怖をあおるのに相乗効果を上げている。宗教家は脅迫する権利が与えられていると思っている。もし信じないならば、地獄の業火に焼かれると説き、他の宗教も大同小異の脅迫を繰り返す。こうして人は恐怖によって沈黙し、心の支配を許してしまう。宗教ほど、人類支配に効果的な手段はないのである。



『この地球を支配する闇権力のパラダイム』中丸 薫


2009年05月08日(金) 犬は飼い主を選べない

身体的虐待を受けたがために、人間を信じられなくなり噛みつく犬、精神的虐待を受けたために心を閉ざし、何に対しても無反応になってしまった犬……。私はこういう犬たちを目の前にした時、この犬たちが人間に見えた。幼児虐待が増え、命までも奪われる子供たち。母親に何の期待もしないサイレント・ベビー、命を弄ぶとしかいいようのない犯罪など。

犬たちが見せる心の病は、まさに人間が抱える問題の縮図だ。抵抗すらできない弱い者へのいろいろな虐待は、加害者の心も被害者の心もそのどちらも壊してしまう。加害者になった人間だけを排除すればいいのか、というとそれは違う。考えなくてはならないのは加害者になった人間もまた心に深い闇を抱えている、ということだ。そして加害者になってしまった人間がすでに抱えてしまった深い傷と痛みをどう癒せばいいのか。誰もが持つであろう心の闇として考えていかねばならないと思う。

犬たちはその存在だけでも私たちを癒してくれる。しかし、いつからか、どこからか歯車が狂うように人はある日虐待を始める。人によって傷つけられ打ちのめされた犬たちは、しかし人によって救われ、心を癒していくしかない。そうして人に癒された犬たちは、まるでそれを返すかのように今度は人を癒し始めてくれるのである。人が犬を、犬が人癒すという、この永遠なる営みが本来あるべき人と犬との姿ではないだろうか。私たち家族が、かって彼らによって癒されたように。

……………

犬に追いかけられた場合、背を向けて逃げ出すのは得策ではない。犬より早く走る自身のある方は逃げてもいいがやめたほうがよい。こういう場面に出会ったら、襲ってくる犬のほとんどの目的は、自分の縄張りに入ってきた侵入者の追い出しである。侵入者が出て行ってしまえば追いかけるのをやめるのだが、相手が背を向けて逃げ出すのを見ることで、狩猟本能を引き出してしまう場合が多い。逃げ出す人間が侵入者ではなく「獲物」になってしまうのだ。

ではこういう場合、どのように対処すればいいのだろうか。唸る犬に出会ってしまった場合、一瞬立ち止まり、犬と目をあわさないようにし、ゆっくりと立ち去る。これしかない。飼い犬は家の回りを縄張りとし、それを変えることはないので、野良犬などより縄張り意識の強い場合が多いのである。特に去勢手術をしていない雄犬には要注意である。野良犬は人を避けようとするから、こういうことは起きづらい。


『心を病んだ犬たち』篠原淳美


2009年05月07日(木) ひどい精神病院

N病院の閉鎖病棟……。鍵の中に入ったとたん、顔をしかめて私は棒立ちになった。異臭がプーンと鼻をついた。吐き気が胸にムカーッとこみ上げる。ひどい悪臭と重くよどんだ空気の中に、百名近い患者がうようよとひしめいていた。内部は「人間倉庫」だった。百数十畳もあろうかと思われる仕切りも何もない大部屋。ささくれてどす黒くなった畳。板張りの廊下が走り、すべての窓にガッシリと赤錆びた鉄格子……。人の住むところではなかった。

私はその場に立ちすくんだまま、彼らを見た。両手で鉄格子をつかんで、空をぼんやり見ている人がいる。一人は鉄格子に自分の頭をぐりぐりとこすりつけていた。部屋の片隅に奇妙な人がいる。皆から背を向けて、彼は壁と向き合って正座し、彫像のように身じろぎもしない。多くの人は汚らしい格好をしていて、ダラーッと両足を投げ出し、壁にもたれてうつむいていた。

廊下には歩いている一団がいる。彼らは互いに言葉を交わすでもなく、それでいて一塊りになって、廊下の端から端までを往ったり来たり、ただきりもなく歩いているのだった。どの人も、どの人も、むっつりと黙っていた。彼らは一様に陰惨で暗く、凍りついたような顔をしていた。廊下に立ちすくむ人に「こんにちは」と声をかけてみた。すると彼はいきなりくるっと私から背を向けてしまい、なおも私が話しかけようとしたら、逃げるように向こうへさっと行ってしまった。とりつくしまがない。

ここにいるのは、私の知っている“狂人“、かってのてっちゃんやなみさんとはまるで違う“狂人“であった。私ははじめ、てっちゃんやなみさんにそこで会えると期待していた。だが、そこにいたのは彼らではなかった。彼らではなく彼らの生きた抜け殻だった。同じ病気の人がどうしてこんなに変わってしまうのだ、なぜだ?私は思わずつぶやいたが、その理由はここ、「精神病棟」という場の中にあるに違いなかった。てっちゃんやなみさんの場合と違い、私と彼らの間には、目に見えない“膜“がある。私はその“膜“の中に入っていけない。あるいは、“膜“の中に私は入れてもらえない。いうなれば、彼らが私を拒んでいる。これは、どうやらそういうことのようだった。

「タバコだよォ−ッ」一人の看護士が看護室から出てきて、いきなり大声で怒鳴った。彼のそばにあっという間に全員が集まってきて、廊下に一列に並んだ。彼らはもどかしげに足踏みをし、タバコを一本ずつもらうとすぐその場にしゃがみこんで、せかせかとタバコを吸った。誰一人口もきかず、指先が焦げるかと思えるほどにチビるまで。

「精神分裂病」という病を負った人たちは、本当につらい思いをしている。「分裂病」というラベルを張られただけで、もうその人は世間から色眼鏡で見られる。病気が治って普通の姿に戻っていても「あの人は気違い」なのである。病気は彼のほんの一部でしかないのに、世間の人は彼のすべてを「狂人」という言葉でしめくくって、バカにする。彼の全存在を否定してしまう。

発病の兆候は、多くは不眠から始まる。取りとめのない考えが頭に浮かび眠れぬ夜が続くうち、彼に幻覚や妄想が出てくる。「皆が自分の事を変な目で見る」「皆で俺の悪口を言っている」彼にはそのように思えてくる。そのうち「お前を殺す」という声まで聞こえてくるから彼はすっかり怯えてしまう。道行く人が自分を狙う暴力団に思えてくる“襲われる”不安のあまり、護身用に彼は刃物を懐にする。人とすれ違う。「いまだ、今襲われる!」「俺は刺される!」彼は錯覚し、瞬間、無我夢中で刃物を取り出して暴れだすのである。

これはまったく、彼の病気のなせる業なのだが、実際はここまで行ってしまうケースはごくごく稀だ。分裂病者何万人に一人あるかなしかなのだが、世間の人はそれが新聞紙上に出ると、分裂病患者は怖いものと思い込む。「とんでもないことを考えるやつだ」「こんなやつは鉄格子の中に閉じ込めておくに限る」となる。こんなわけで、一人の分裂病患者がことを起こすと、たとえそれが些細な事件であったにしても百人も千人もの病者が鍵の中に投げ込まれることになる。


『心病める人たち』石川信義


2009年05月06日(水) アインシュタイン

アインシュタインが盗みの天才であり、数学・物理学における彼の業績はすべてポアンカレをはじめとする科学者たちの功績だった。彼の偉業と称えられる特殊相対性とE=mc2の論文などは、アインシュタインの先人たる研究者から盗んだものなのである。アインシュタインの功績として、最もよく知られているのは特殊相対性理論だろう。1905年、彼はその言葉をタイトルにした論文を発表した。この論文の要綱はその時点ですでに、ごく一部の人には知られていたのだ。

特殊相対性理論に貢献したのは、フランスの数学者ポアンカレである。彼は1900年には相対的な動きの原理を紹介し、1902年に発表した『科学と仮説』と言う著書には「相対性の法則」「相対性原理」という言葉がすでに書かれている。だがアインシュタインは、この事実を完全に黙殺している。

スイスのベルンの町を歩けば、アインシュタインがパテント事務所でサラリーマン時代を過ごしたというビルがあり、彼の当時の足跡を示すサインがあちこちに立っている。そして仕事が引けた後に、友人たちと物理学などそれぞれの関心事を論じ合い、時には深酒をした飲み屋も残っている。そうした席で、ポアンカレの理論についても煩雑に論じていたのだから、彼がこのフランスの科学者について知らなかったはずがない。

ポアンカレには哲学、数学、物理学に関する30冊の著作、500以上もの論文がある。アインシュタインが天才の名をほしいままにしている数々の偉業は、ほとんどポアンカレのものなのだ。それにもかかわらず、あたかも自分のものであるかのように先人の研究や業績を知らぬ顔をして盗用し「自分はポアンカレの論文は読んでいない」など白々しいウソを突き通したのである。

アインシュタインのものとされるE=mc2の式も、そのアイデアの原型を独自に考案した科学者が数人いたことがわかっている。この方程式は簡単に言えば、物質からエネルギーへ、エネルギーから物質へ変換できるということを表しているのだが、実は彼が生まれる1870年代には、プレストンという人がこの方程式に基づいて、原子力、原子爆弾、超伝導について計算している。

また、トルバー、ポアンカレ、デ・プレットといった科学者も、アインシュタインに先立って、この方程式についてそれぞれの視点で論じていたという事実もあるのだ。おそらく真の考案者の一人は、デ・プレットだろう。デ・プレットはイタリアの科学者で、その著作はイタリア語で書かれているが、アインシュタインはイタリア語も読むことができた。また1900年ごろには、その研究をさらに深めたという点で、ポアンカレの貢献も大きい。さらには、アインシュタインに対比されるニュートンの時代ですら、すでに知られていたという説もあるのだ。

しかも、アインシュタインはその応用に致命的な誤りを犯した。運動学と力学を混同したのである。ニュートリノなどという架空のものを想定する必要が生じたのは、そのためであった。有名な「光速は超えられない」という仮説も、あたかもアインシュタイン自身の発見であるかのように不調されているが、実はポアンカレのものである。「光速が最高」とか「スピードとともに質量が増大する」というポアンカレの考えは、そっくりそのままアインシュタインの著作に載っている。

これは引用というレベルでもなければ、偶然という一言で語れるものではない。このような「アインシュタイン理論」は、いまや科学からはほど遠い政治イデオロギーとして一種の踏み絵となり、アインシュタインを大天才として賞賛しないと非難される仕組みが出来上がったのである。




『この地球を支配する闇権力のパラダイム』中丸 薫


2009年05月05日(火) 環境の影響を受けないウィルス

細菌は、この生命の基本単位である細胞ただ一個で完結した生命体だ。小さいながられっきとした立派な化学工場としての設備がある。細胞膜があり、その穴を通して外界から栄養や空気を出し入れする。核はなく、DNAやRNAはそのまま中央付近にうごめいているが、リボゾームはちゃんとあってタンパク質を合成している。例えば大腸菌はたった2ミクロンほどの中に1ミリメートル以上のDNAがあり、3000個ぐらいのDNAの鎖が並んでいて、3000種類ものタンパク質を合成させている。適度な温度と湿度、栄養があれば生命を維持し、自力で子孫を増やしていく。

一方ウィルスはDNAだけからできている粒子といっていい。生命維持のシステムが何もない。だから取り付いた細胞を損傷させる過程も細菌とは違う。細菌は自らの化学工場で生産活動を行い、増殖するときに毒を排出したり菌が死んで壊れたときに毒素が排出されて、これらの毒素が周辺の細胞を破壊したり、損傷させたりする。

ウィルスは自分に生命維持システムが何もないから、自らを再生産するために、他の化学工場を乗っ取る。つまり宿主の細胞の中にもぐりこみ、その細胞の生命活動そのものを乗っ取って、自分の遺伝子を大量生産する。逆に言えば生きている細胞の中でしか増殖できない。流行語にもなったパラサイト(寄生する)とはウィルスが元祖なのだ。

ウィルスは宿主の目当ての細胞にとりつくと、タンパク質の衣を脱ぎ捨て、裸のDNAだけするりと中に入り込む。ピストルの弾だけが中に撃ち込まれるようなものだ。そして自分のDNAの指令のもとに、細胞質内のタンパク質を使って、自分のDNAをどんどん複製して増殖する。思う存分増殖すると、何十倍となったDNAにタンパク質の衣装をまとい「ウィルス準備完了、パラサイト生活よさようなら」とばかりに宿主の細胞膜を破って外に飛び出し、次のターゲットに向かう。ターゲットが見当たらないときは、そのままの形で空気中をさすらう。

とりつかれた細胞は持てるものをすべてウィルスの遺伝子生産のために消耗して死んでしまう。ウィルスは今のところ地球で最小の生命体である。細菌は1〜5ミクロン(1.000分の1ミリ)くらいで、これもまさに「ミクロの世界」だが、、ウィルスはその十数分の一から数十分の一だ。ナノメートル(10億分の1ミリ)の世界である。ウィルスは細菌の細胞の中に入り込むことができるし、人間一個の細胞の中にウィルスが一個入れば、その中で200個ぐらいに増える。

細菌は生物としての弱みがあるが、ウィルスは生物としての弱みがない。だから手に負えない。ウィークポイントがないから殺しようががないのだ。生物はすべて環境次第で生死が左右されるが、ウィルスはあまり環境の影響を受けない。乾燥していようが温度が高かろうが低かろうがかまわない。温度に関係なく、風とともに宙を舞い、地面に落ちても死なない。だから本当に撲滅されることはあまりない。遺伝子と守りの殻のまま何年でも生き延びるし、いつまでも感染力を持ち続けのだ




『ウィルスの時代がやってくる』菅原明子


2009年05月03日(日) 「深い呼吸」で若返る

「現代人は呼吸が浅く酸素不足だ」と指摘しているのが、塩谷信夫先生だ、塩谷先生はなんと99歳。『自在力』(サンマーク出版)という本にその健康法の源となっている呼吸法のことや生き方について書かれている。東京大学医学部の西原克成先生も著書『健康は呼吸で決まる』(実業之日本社)の中で「呼吸は大事。僕は西野式がいいと思う」と体験を交えて書いている。

西野式で思い出したが、由美かおるさんの写真集を見て驚いた。まったくアンタイエージングなボディでした。改めてやはり西野式がいいんじゃないかと思った次第である。前述した田野辺富蔵先生も、気功がとてもいいとおっしゃっている。気功については僕はあまり詳しくないが、いくつかの資料を見てみた。スタイルはいろいろだが共通していえる基本は吐き出すことだ。

息をしっかり吐き出せば自然に新鮮な空気をタップリ吸うことができる。多くの人はしっかり吐き出さないので、吸う量が減ってしまい呼吸が浅くなるのだ。普段、呼吸は意識しないから、自分がどんな呼吸をしているか知らないことが多い。しかし緊張すると呼吸は浅く早くなる。自分の呼吸の状態からストレスの状態を知ることもできる。呼吸を上手にコントロールすると、ストレスの緩和や体調維持に役立つ。

緊張しているとき、ストレスを感じたとき、喧嘩しそうになったとき、とりあえず「ふーっ」と息を吐いてみよう。気持ちがスーッと鎮まるのを感じるだろう。空手でも吸うときはすばやく、吐くときは30秒ぐらいかけてゆっくり吐くということだ。映画で千葉真一が三戦という空手の型を披露していたが、その呼吸法も同じようであった。



『100歳まで生きる不老の方法』坪田一男


2009年05月02日(土) 息子への溺愛

中村雅俊「安い給料」+「お小遣い」で大麻息子に月50万円

中村雅俊さんの親バカぶりは業界でも有名でした。長男は中学・高校時代、フイギア集めとパソコンが趣味というオタクな性格で、心配になった雅俊さんが「もっと外に出ろ」とわざわざゴルフセットを買い与えた。そうしたらすっかりゴルフにはまり、ゴルフ三昧の優雅な日々を送っていたんです。

俳優中村雅俊(58歳)の長男で俳優の中村俊太容疑者(31歳)が大麻取締法違反容疑(所持)で逮捕されたのは4月4日午前三時ごろのことだった。逮捕を受け、5日に会見を開いた父・雅俊は「事務所をやめさせ、俳優もやめさせる」と涙ながらに明言。その姿に“完璧な謝罪会見“と評する声も一部にあったが、言葉の端端に滲み出ていたのはやはり、息子への溺愛ぶりだった。

「俊太は高校卒業後、米国の2年生の大学に留学しますが、なぜか4年間滞在し01年に帰国したら、いきなり親のツテで俳優デビューした。デビュー作は父・雅俊の主演ドラマですから完全な七光りです」スポーツ芸能紙芸能担当記者

週刊現代 4/25


2009年05月01日(金) ニュートリノの発見

■立花 この辺でニュートリノとはそもそも何かという、歴史的な経緯から入っていったほうが読者にはわかりやすいでしょうね。あの粒子は不思議な粒子ですね。最初に存在があったのではなく、まずコンセプトがあった。こういうものがあるはずだ。理論的にないとおかしい、という議論があって、現実の存在確認はずっと後だった。放射性物質から出てくる放射線にアルファ線、ベータ線、ガンマ線、の三種類がある。放射性物質がベータ線を放出して別の物質に変換する(例えばウラニウムが鉛に)ベータ崩壊と呼ばれる現象を仔細に検討してみると、どうもエネルギー保存則に合わない現象が起きているらしいということになった。何かエネルギーを担って外に出て行くものがないと、エネルギー保存則が敗れてしまう。そこで、電荷を持たず、ほとんど質量もない粒子としてニュートリノが考え出された。 

●戸塚 そうです。1930年にウォルフガング・パウリがニュートリノ仮説として出したのです。彼はエネルギー保存則を守るため、いささか自棄的になって、ニュートリノという粒子を持ち出したのです。

■立花 物質が生成したり消滅するという考えは人間の根本認識を変えるような話ですね、かって、原子が最も基本的な物質粒子と考えられ、それは不変と考えられていた。分子は変化しても原子は不変。ところが放射性物質の発見で原子は崩壊することが明らかになった。しかし、原子の構成要素である素粒子は不変であるとされた。ところがいまや、その素粒子が生成したり消滅すると考えられるようになった。崩壊とか分解ではなく消滅してしまう。反対に何もないところから生成したりする。このあたり物質というものの最も基本的な概念が揺らいでくる。しかし、この当時はまだ、ニュートリノの存在証明はなされていません。存在証明もなしに、ニュートリノは物理学の中に定着してしまったんですか?

●戸塚 見つけにくいとされていましたが、いろんな傍証から、ニュートリノの実在を疑う人はいなかったと思いますね。それでも何とか捕まえてやろうという提案が、1940年代後半には出ています。

■立花 だけど、ニュートリノは何でも突き抜けるでしょう。どうやって他ものをストップして、ニュートリノだけ突き抜けさせるんですか。それがニュートリノだということがどうやってわかるんですか。

●戸塚 厚さ何メートルものコンクリートの壁を作るんです。そして原子炉を止めて信号が出なくなるのをまず確認する。次に出力を上げて、出力を二倍にしたら信号も二倍になったとなると、原子炉の出力と相関する何か見えない粒子が、厚い壁を突き抜けて出てくることが証明できるわけです。存在証明はずいぶん苦労してやっているんです。

■立花 そこを突き抜けてくるのは、ニュートリノ以外に考えられないという装置をつくるわけですね。

●戸塚 そうです。原子炉から出てくるニュートリノは、カドミウム塩を溶かした石油系の液体を満たした巨大なタンクの中を通るとき、原子核と反応して陽電子を作ります。この陽電子はカウンターの中を走ると発光するので、その光を捕えて間接的にニュートリノの存在を証明したのです



『サイレンス・ミレニアム』立花 隆


加藤  |MAIL