アイデンティティー

2008年03月18日(火) 人って簡単に死ぬんだよ…

よくある風景。


一緒に滑ってて、
先にゲレンデを駆け抜けて、
すっ転んだ友達を笑いながら眺める。


簡単に目に浮かぶ。

だって今の私にはよくある日常だもの。

だからこそ、
余計怖かった。



野次馬に駆け付けた時にはもう、
コースは塞がれてた。



「首折れちゃったんだろうな」


ドクターヘリなんて重症で緊急の時しか飛ばない。

着陸場所の確保と風圧によるリフトへの影響を考慮して、
即このスキー場は閉鎖された。


転んだ友達を
"いつものように"
笑って見ていたら
彼は動かなくなったそうだ。


意識はあるけれど、
首から下が動かない。




『ボンベ背負って45分後、生きてるか分からない』

『1時間後も分からないんだよ。』

『永遠の愛なんて誓えない…誰よりも大事な人なのに。』




そう言った彼は冷静に動いてた。

不謹慎ながらも、
ポイントを抑えながら指示を飛ばす彼を見ていた。

動揺しながらも、
死に慣れた彼はこんな時どう動くんだろう?
そう思いながら見ていた。


同時に


ココが海だったら?

自分がイントラだったら?

そうシュミレーションして
怯えるだけの自分しか浮かばなかった事が悲しかった…。




昨日は隣のスキー場で、
一人亡くなった。

スキーとボードの衝突。

肋骨が折れて肺に刺さったそうだ。



『生と死は紙一重だ。』

『コインのように簡単に
裏返るんだよ。』



そんな彼の言葉を具現化して、
目の前に突き付けられた気がした。



ヘリが巻き起こす風に吹かれながら、


命があればいい

出来るだけ障害が残らないように

元気になって欲しい


そんな事しか願えなかったよ…



2008年03月11日(火) 命を賭けるという事。

『お客さんの足が岩に挟まりました。ロープが絡まって取れません。』


『ボンベの残りの酸素は危険値を指しています。』


『あなたはお客さんの足を切れますか?』



何故だろう?

みんな私をバカにさせてくれない。

この人は本物だ。


本物で本質を突いてくる。

勢いだけで飛び出そうとしている私の肩を、掴んで


「覚悟はあるか?」

「自分の命を捨てる覚悟はあるか?」

「人の命を手に握る覚悟を持てるか?」


そう問いてくる。




『考えろ』


『甘い世界じゃない。』




ねぇ、大人になるにつれて怖い事ばかり増えていくよ…



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桜木 舞 [MAIL]