::クロノ・クロス(CHRONO CROSS) 2002年07月31日(水)

「おまえの世界にも、おれはいるのか?」
「・・・・・。」



媒体を経て、違う時空の彼方から集まった仲間達。
彼は今まで何度戦ったんだろうと、ただ笑っていた。




「知ってるだろうけど、全ての世界がまるで同じってわけじゃあないんだ。
 あたいらが介入したところがあれば、してないところだってあるだろう。
 けど・・・こうして集まった奴らでの世界の共通点は介入したってことだ。」
「・・・ああ。」
「もちろん、おまえが知ってるような2パターンの世界があるわけだけど・・・
 あたいの方では・・・。」
「うん・・・。」




なんとなく、わかってしまった。
言うべきか言わぬべきか、困惑している瞳をしていて。




「ま、違う世界のおれなんて、気にしてもしょーがないか!」
「え?」
「ここはここ、あっちはあっちてな。
 おまえの方のおれがどうであっても、ここにおれはいる。
 それでいっか。」
「・・・ああ!その通りだよ!」




君はいつも後ろめたそうな顔をしていたよ。

感情を無理矢理押し殺そうとしている君は、とても悲しかったから。




「ねぇ。」
「うん?」
「あたいも、一緒に行くよ。最後の戦い。」
「え!?」
「セルジュもキッドも、承知してくれた。」




彼女の名を口にするのは初めて聞いた。

意外そうな顔をしているのを、彼女は笑った。




「ははっ、そんな顔しなくたっていいじゃない?
 確かに前は大ッキライだったけどサ、そんなのもう昔の話だし。
 感謝してるんだよ。」
「・・・へぇ。」




何に、とは聞かなかった。




「あれと戦うことは、あたいの中の決別でもあるんだ。
 この世界にとって、あたいは悪だから・・・。」




彼女と、彼等の願いにより生み落とされた、七人目。
何者にもなれないこの体と、彼女と彼等の望みをこの胸に抱きしめて




走った。




泣くことも出来ず
捨てることも出来ずに
あてもなく
彷徨った









在るべき場所なんて
知らなかったから。




存在理由は
ただただこの世界を
憎むこと




・・・・・




だったのに




「でも、見つけちゃったんだよね・・・。」




在りたいと、願ってやまない場所を。




それすらも、あそこでは壊されてしまったけれど




「ここでは、守りたいから。
 もう一度。
 だから戦うんだ。
 もしかしたら・・・戦えなくなっちゃうかもしれない。
 でも、守りたいんだ。どうしても。」




ぽんっと、頭を軽くたたかれた。




「ま、がんばれよ!
 でもな・・・おまえはもう独りじゃないんだよ。
 辛くなっても、万一戦えなくなっても、後ろにはおれが・・・
 おれ達がいるんだ。
 だから、安心しろ。
 落ち着いてがんばれよ、その守りたいってモノを守るために。
 

 おれも、がんばるから・・・。」




じゃ、後でなって背を向けて歩いていく。
その後ろ姿は、なんだか・・・




「頼もしくなったよねー・・・。」




在りたいと思うのは、君の側。


もう永遠に叶わぬ望みだと思っていた。


こうして君に、再び出会うまでは。





ただ一時の幸せ


大切にしたい時間が


ここに在る。









クロノ・クロス









今、時が交わる。










---------------------------------------------(作成日・7月25日
                        Up時・8月1日)


ツクヨミがいた世界は、龍神が攻撃して人間が一人もいなくなった世界です。
だから、彼女は壊されたと言っているんですね。


アオイさんに捧げますvv



::オトウサン。(封神演技) 2002年07月28日(日)

「私、行きます。」
「ああ、そう・・・。行ってらっしゃい。」
「はい、行って来ます。」






そう告げて、
ただそれだけ告げて
サヨナラしようと。



ホントの気持ちを閉じこめて。
不安と、恐怖とともに。



迷惑だ。
迷惑なだけ。
あの人にとって




迷惑な、だけ・・・









でも、いつもひとりぼっち。










私がここに来るまで、ずっとひとりぼっち?









オハヨウと言ってくれる人、いた?









あなたはまたひとりぼっちに、なっちゃうの?









それをアナタは本当に、望んでいるの?









そんなの・・・・









淋しすぎるじゃない・・・・・









「あ・・・。」



「え?」



「ちょっと、こっちに来て。」



「?」







呼び止められて、振り返って


あなたは相変わらず眠そうな顔をして、欠伸をひとつして







「あ・・・。」







出てきた。







「・・・めずらしい。まだ三年たってませんけど・・・?」
「ん〜・・・。そうだっけ・・・?
 ま、いいや。確かこの辺に・・・あ、あった。」






後ろ手に何かを隠して、ほてほてと歩いてくる。

その姿は寝起き同然で(まぁその通りだけど)、思わず笑みがこみ上げてしまって





「何かおかしい?」
「い、いえ・・・珍しいなと・・・。ふふっ。」
「・・・ま、いいや・・・。
 はい、これ。」




上からバサリと突然かけられた物は



鶯色の





「これは・・・」





あなたと同じ・・・





「お揃いだよ。」





何処にいても、すぐにわかるように。





あなただと。






すぐに感じることができるように。






「行っておいで。」






いつだって忘れないと、証を。







「あ・・・りがと・・・ございま・・・す・・・。」







ぼろぼろと意を反して流れ出る涙。


不思議だね。


今まで、どんなときだって・・・・


本当のお父様やお母様が亡くなったときでさえ、


流したことなんて、


なかったのに・・・・。






「また、淋しくなったら会いに来てもいいですか・・・?」






口に出せずにいた言葉を






「精神体でよければ、いつだって話を聞いてあげる。
 貴女なら大歓迎だよ。」






伝えても、いいですか・・・?






「幸せに。
 幸せになるんだ。
 貴女なら、きっと大丈夫・・・。
 でも、たまには弱音を吐くことも大事なんだからね?」
「はい・・・」







「はい、お義父さん・・・。」









にっこり笑って、背中を押してくれる。


大丈夫。


忘れない。


あなたは、大丈夫。


淋しくなったら


あなたが起きる頃をみはからって


会いに行こう。


オハヨウと


言ってあげよう。






どんなに離れていても、分かり合える。


感じることが出来る。







あなたが、大好きです。







私の大好きな、おとうさん・・・



                  (作成・Up時 7月28日)



::ここにいる君、そこにある優しさ。(聖剣LOM) 2002年07月26日(金)

「会いたくなっちゃって。」







「・・・は?」
「だーかーら、瑠璃に突然会いたくなっちゃったから・・・
 だから・・・
 会いに来たんだってば!!
 何か文句あんの!!?」
「や、べ、別に・・・。」


意外だったから。
こっちから行くことはあっても、滅多に向こうから来ることはなかったから。


「だって、最近来なくなったし・・・。」
「それは色々忙しくて・・・。」
「・・・・・」
「あ、や、悪かった!!」


その様子を、窓越しに、さも楽しそうに(厳密に言えば、その中の一人は仏頂面をしているが)眺めている二組の騎士と姫がいた。


「相変わらず優しい馬鹿だな・・・。
 別に自分が悪いわけではなかろうに・・・。」

涼しい顔をした男がふぅ、とあきれたように息を吐いた。

「そこが瑠璃の良いところなのでしょう。」
「見てるこちら側としては楽しいがな。」

二人、顔を見合わせて微笑む。

「まったく、呑気なものだな・・・。」
「平和で良いことではありませんか。」

小柄の少女は、嬉しそうにいい匂いのする紅茶が入ったカップをテーブルに並べる。

「ありがとう、アクア。」
「貴女の入れるお茶がやはり一番おいしい。
 良い騎士を持ちましたね、サフォー?」
「そ、そんな・・・///」
「マリーナにはそれくらいしか脳がないからな。」
「またそんなこと言って。」



優しい町、優しい人たち。
暖かい空気、オレンジ色の空。


汗まみれになりながら駆け巡る日々。
真っ白だった紙の上に積もり重なる歴史達。


あまりにも目まぐるしく変わっていく中、


独り、取り残されているような気がするのは


気のせいだろうか?




みんな、みんなもう私がいなくても大丈夫。
成長した。
心も体も大きくなって
優しくなった。


でも、喜びとともに淋しさも溢れてきて




自分勝手だなって、自分でも思うんだよ。
でもね、無性に淋しくなっちゃうんだ。


もう必要ではなくなった自分。


そんな時、キミが側にいてくれたら。
キミの声を、暖かさを、優しさを感じることができたなら。




「久しぶりィ・・・。」
「うん?あ、ああ・・・久しぶり。」
「うん、うん・・・うん・・・・・。」




ただ二週間くらい会っていなかっただけで
こんなになってしまう。
なんて弱い。


困ったように笑うキミ。
いつからそんなに優しくなったの?


自惚れてもいい?
あたしのおかげなんだよって。
自惚れてもいいですか?




「淋しくなったら、また会いに来るよ。」
「・・・淋しかったのか?」
「・・・うん。」
「そっか・・・ごめんな。
 俺も、ちょくちょく会いに行くから。」




ただ、手をつないでいるだけの幸せ。
淡雪のようで儚い、
でも、
とても暖かい。




不器用なキミと、素直になれないあたし。




でもホラ、こんなに心地よい風。







「お前達も、彼らくらいスナオならいいのにな。」
「??」
「なんのことだ?」
「自覚なしですか。それもまたよろしい。」

楽しみがまた一つ、出来ましたねと微笑む彼の女神。




窓の向こうからは、微かな春の馨り。




淋しくなったら、また逢いにきて。
僕はいつだって、ここにいるから。





                  作成日・7月26日
                   Up時・7月27日  



::決別の時 2002年07月22日(月)

夏は空色

君の色

澄んで、澄んで、澄んで

それは高く

捕まえようと

手を伸ばす










「一応、今は夏なんだよな・・・。」

あたりを見回して、ため息を吐く。
誰が信じるだろう。
一体どうして信じることができよう。
空はこんなに暗く、地面からは生命の息吹を一欠片も感じることができないというのに。


青い空が好きだった。
君の瞳と同じ色だったから。
君の髪の毛とも、君の心とも同じ。
澄んでいた。
だから。


でも


今は


いやだ。


悲しみを、後悔を、憎しみを映しているようなそれには、
耐えられない。


灰色は


手を放してしまったこと。
誓いを果たせなかったこと。


そして


君への懺悔。


「これから、どうしよっかなー・・・と・・・。」


わからない。
わからないんだ。


生きている。
自分が生きているのならば、必ず他の仲間も生きている。
確証はない。
けど、そんな気がしてならない。


彼女だって、絶対に生きている。


だから、探すべきなんだ。
みんなを。
探して、見つけて、また旅をする。


同じ志を胸に。


でも


わからない。


何が?


それすらも。









「あれ、ここって・・・?」


かつてはただの小さな小屋があっただけの場所に、豪華な何かが建っている。
中からは歓声が、ここまで漏れてくる。


「へぇ・・・あのじいさんか・・・。」


------立派なコロシアムを建ててみせる!!-------


そんなこと言ってたっけ。





熱気と興奮が、扉を開けただけで押し寄せてくる。
ああ、取り返そうとしている。
人は、決して弱くはないんだって、思い知らせてくれる。


「おい、お前。」


肩をたたかれた。


「あん?」
「ヨォ。」


振り向いたその先には、嫌でも見慣れた物が目に入る。


「そんな顔すんなよ。帝国は、もうないんだ。
 俺とお前が戦う意味だってない。
 なぁ、トレジャーハンターさんよ。」

「わかってるって。
 ・・・他の奴らは?」
「さぁな。気がついたら、俺だけだった。」
「そうか・・・。」


かつてマランダにいた兵士。
彼女の、かつての部下だってことは知っている。


「将軍は一緒におられないのか?」
「・・・ああ・・・。
 どこにいるかも、生きているかも・・・わからない・・・。」
「そうか・・・。」


生きている。
絶対。
彼女は生きている。


けど


確証は、ない・・・


「じゃあ、今しかないってな。」
「・・・何が?」
「秘宝、探してるんだろ?」


秘宝


欲しくて欲しくてやまなかったもの。


「それが、どうした。」
「ガストラの絵に二回、話しかけろとよ。」
「は?」
「ヒントがあるらしい。」
「・・・!!どこの、なんのことだ!!?」
「それ以上は知らねぇよ。俺は頼まれただけなんだ。」
「誰に!!?」
「・・・それは言えねぇ・・・。」
「なんで!!?」

「言われたんだよ、絶対言うなって。」

兵士はため息を吐いた。

「お前が一人で、自分が側にいない時に教えてやってくれって、頼まれたんだよ。」
「俺が一人で、自分が側にいない時・・・?」

ふん、と鼻を鳴らして背を向けた。

「じゃーな。まぁ、後は自分でなんとかしな。」
「あ、おい・・・。」
「まぁ、考えてもみな。
 こーゆーこと、普通の誰かサンが知ってると思うか?
 ・・・ヒントはここまでだよ。」


扉を開けて、出ていった。





秘宝。


耳にしたのは、初めて帝国に侵入した時だった。


帝国で、聞いた。


「まさか・・・。」


それは考えれば考えるほど、確信に近い。


でも、だったらどうして隠していた?


「・・・俺も、聞かなかったけな・・・あいつには・・・。」


怖かったんだな、俺も、あいつも・・・


自惚れかもしれないけど、けど、


「あいつが、好きだったから・・・。」


好きになってしまったから


怖かったんだ。


生き返って欲しいという願いに、激しく矛盾する想いとともに。


けど、逃げるわけにもいかない。


逃げることはできない。


「・・・よしっ!!」


決めた。


「行きますか、ロック・コールさんよ!」


力強く。


逃げないで、会うために。
もう一度、側に行くために。


この想いを、伝えるために。


そのために、まずしなければいけないことは?


「秘宝を、今度こそこの手に入れてやる!!」


伝えなければならないから。






決別の時。




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後書き:ロクセリなんだけど・・・ロクレイに見える・・・かなぁ・・・?
    マランダの兵士とセリスについては、もうちょっとしたら書こうとおもっています!
                                   (作成・Up:7月22日)



::謝罪 2002年07月20日(土)

創作について誤解がありましたので、ここで謝罪させていただきます。


聖剣LOMの虹色の旋律についてですが、
あるサイトでも同じことがテーマである小説があります。
そちらの方がここよりもUpの日付が早く、様々な人にわたしのあの小説は盗作ではないかと思われてしまったようです。

でも、そう思われてしまったのは無理のないことだと思います。
けれど、弁護させてください。
私がこれまで書いた小説達は、このサイトを開設するよりも前に書かれたものがほとんどです。
そしてこの作品も、題名こそはUpするときに名付けたものの、文章自体は約一年ほど前に書き上げたものです。
だから、盗作したわけでは断じてありません。

けれど、その小説を読み、かつて書いたことを思い出してUpしたというのは事実ですので、そこはやはり私の行動が軽率であったことにかわりはありません。

ここで深くお詫び申し上げます。


またこのようなことがあれば、どうぞご一報ください。
これからは更新することさえも困難な状況になってくると思いますのが、
こちらで必ず説明させていただきます。

ご迷惑をおかけしたサイトの管理人様にも、深くお詫び申し上げます。
本当に申し訳ありませんでした。



::睡眠宙 2002年07月19日(金)

猛烈でした。
なんか、もう・・・
今日は放送で終業式だったので教室にいたのですが・・・
ずっと机につっぷして寝てました。
あたしの後ろ前の人、すまなかったね。
起きたのは通知票を渡されるときでした。



おもったより評定平均がよくて、一安心。
ちょっと報われました。
とわいいつつも、あたしの実力っつーよりかは先生様の寛大なお心のおかげと申した方が宜しいような気もいたしますが・・・(汗)
こんなにたくさんの平常点くれてありがとう、数学の先生様方!!!
それにくらべて英語の先生様方は・・・
もちっとくれたって・・・いいじゃーん・・・



でもうちの学年は異例にも、今学期はだれも赤点をとってしまわれた方はいなかったようです。
どの学年も必ず一人はいるらしい。
てか実際、あたし去年は化学のおかげでなんども赤点会得者になりましたが・・・
バンザーイ☆


とうとう夏休み。
計画表は、まるで立てていません。
それでいいのかあたし・・・イヤ、いいわけありませんが・・・
なんとかしなきゃ・・・
でも明日はサンダル買いに行くの♪(←死)
だって三年履いてきたお気に入りのサンダル、とうとう壊れちゃったんだもの・・・
悲しい悲しい出来事でした・・・



::金糸と翡翠色(FF6) 2002年07月15日(月)

「追え!逃がすな!!」
「応援を呼んでこい!あの茂みに入ったぞ!!」




「捕まって、たまるかってんだ・・・!!」


息を切らしながら、巧みに追っ手を振りきっていく。
ここ、ベクタの城内に潜り込んで
皇帝か、進駐しにきた将軍をこの手で殺してやろうと。
いささか考えの甘いことだったと、今になっては分かり切っていることだが
あの時は、そんなこと考える余裕もなく
もう全てが憎く
止まらなかった。


この恨みを晴らすまでは

自分の手で晴らすまでは

死ねなかった


「ちっくしょー!!」


まわりの兵士の数が増えている。
交わすことさえ困難になってきた。


「今殺されて・・・たまるか・・・!!」


茂みに飛び込んで、追っ手の目から一時的に逃れることに成功したことを確認する。
気配を殺して追っ手がここの裏を通り過ぎるのを待ち、肩で息をしながらのろのろと立ち上がった。
どこから逃げればいいだろう。
ここからどうやって出よう。
どこから出よう。
どこか、出れるところはあるのか?
ここから、無事に出れるところはあるのか?


生きて、外に出られるのか?


「・・・クソッ!!」


もうすぐ日が沈む。


「レイチェル・・・。」






「誰だ?」

幼い、少女の声がした。

「そこにいるのは何者だ?」

凛としていて、高貴な雰囲気を醸し出している。
顔を上げると、そこにはまだ12、13くらいの少女が立っていた。
美しい金糸の髪を持ち、翡翠色の大きな瞳。


似ている


誰に?


「・・・トレジャーハンター。」
「宝を盗みにきたのか?」
「違う。」
「じゃあ何故ここに来た?」


「コーリンゲンを進駐した将軍と皇帝を殺しに。」


もうどうでもよくなっていた。
日が暮れ、ここから無事に出れたとしても
迎えてくれる者はどこにもいない。
「おかえり」と言ってくれる人は、だれもいない。


「そうか。」


だが少女はそれだけ言って、眉一つ動かさなかった。


「殺さないのか?」


殺さないでくれと言うつもりはないが。
この少女は何者なのか。


「殺してどうする?」


表情一つ変えず、少女は答える。


「殺して欲しいのか?」


何も言うことができなかった。
生きながらえたいとも、思わなかったから。




「・・・お相手願おう。」
「は?」
「その腰にある短剣は、飾りではなかろう?」
「・・・ああ。」
「勝負だ。殺すとか殺さないとかは考えずに、純粋な勝負だ。」

少女の腰にあるものは二つ。
片手剣と短剣。
そのうちの前者を外して、地面に放り投げた。

「これで同じだ。」
「お前・・・剣を使えるのか?」
「使えずにここにいることはない。」

とまどい気味に短剣を鞘から抜き取った。

「お前は何者だよ。」
「私は・・・」


ふう、と息を吐き、


「帝国の将軍。コーリンゲンを進駐したのは私。」


それを聞いたとたん、思考は止まった。



「うぉぉぉぉおおお!!!」

何も考えずに飛び込んだ。
憎悪だけをむき出しにして。


この少女が村を、彼女を殺した。


それだけ


「・・・甘い。」

いとも軽くあしらった。
刃が音を立ててぶつかる。

「もっと冷静にならねば、私にうち勝てない。
 今のお前では私に勝てない。」
「・・・うるせぇえ!!」

自分よりも背の低いその少女に短剣を振りかざす。

「馬鹿・・・」

さらに大きな音をたてて刃はぶつかり、

「うぁあ!!」

投げ飛ばされた。


地面に背をしたにして落とされた。

「・・ってえ・・・」
「わかったか。その程度では、皇帝を殺すどころか私すら殺すことはできないぞ。」
「うるせぇよ・・・人を・・・人を虫けらみたいにしか思っていないお前らに・・・んなこと言われたかねぇ!
 お前らは人形じゃねぇか!
 皇帝の命令しか聞かない、人形じゃねぇかよ!!!」



「・・・そうかもな。」



「!!」

怒って、自分を殺すだろうと思ったのに。
こんなにあっさりと認めてしまうなんて。

そして・・・

「んな顔、しないでくれよ・・・。」


似ているのは


「そんな顔われたら・・・」


「・・・隠れろ。」
「え?」
「カッパー!!」
「!!?」






「そこにいたな!!覚悟し・・・!!?」
「何用だ?」
「し、将軍!!
 失礼しました!!
 先ほど妙な男が侵入したんで、何用だと聞いたところ皇帝はどこだと聞いてきたため、
 これは怪しいとケフカ様の元へ連れていこうとしましたところ逃げられまして・・・
 将軍はごらんになられませんでしたか?」
「青いバンダナをまいた男・・・か?」
「はい、そうです。」
「その男なら・・・あちらへ駆けていったぞ。」
「真ですか!ありがとうございます!!
 みんな、あっちだ!
 では御前失礼します。」


・・・・・


「いいかげん元にもどしてくれ・・・。」
「ああ、すまなかったな。カッパー。」

腕に抱いていた緑色の生物を降ろし、呪文をかけた。
するとするとそれは煙とともに、一人の男の姿へと変わった。

「何故助けた?」
「・・・・・。」

片手剣を腰に納め、何も答えずに人差し指を西の方へ向けた。

「は?」
「こちらへまっすぐ行ったところに西門がある。
 そこは普段使われておらず、警備も手薄だ。
 そこから出るといい。」
「あ、ああ・・・。」
「それから、今度またここへ来る時は一人で来るな。
 強い仲間をたくさん連れてくるがいい。
 志をともにした仲間を。
 ここは、そういうのには弱いからな・・・。
 そうすれば、お前の意は叶うかもしれないぞ。」

「おい・・・。」
「早く行け。あの兵士達が戻って来るぞ。」
「お前、本当に村を進駐した将軍なのか?」
「・・・・・。」

一陣の風が吹いた。
少女の金糸を揺らす。
その奥には、優しく寂しく光る翡翠。

「また会う日を楽しみにしていよう。
 じゃあな。」
「おい!」

振り返ることなく彼女は去っていった。






「コーリンゲンを進駐したのは、ケフカだったんだってな。」
「?そうだが、いきなりどうした?」

サウスフィガロの地下道で、呟く。

「覚えてないんなら・・・いいさ。」
「??」

俺は、覚えてたんだけどな。
なめらかな金糸と翡翠色。
一目ですぐわかったのに。
君には、もしかしてああいうことは日常茶飯事だったのかもしれない。


「おかしな奴だ。」


君はあの時から、帝国のやることに疑問を持っていたのだろう。
そして、いつも罪にさいなまれながら、生きてきたのか?


俺が守ってあげる。
俺が守ってあげるから。
今の俺があるのは、なにもかも君のおかげなのだから。


君が心の底から幸せに笑う顔を、見てみたいから。




光の道へ







::愛しの・・・(FF6) 2002年07月14日(日)

「ここも、やられちゃったんだな・・・。」


たくさんの人でにぎわい、華麗な歌声と旋律が大きく広く深く響き渡った場所。
あの大きく荘厳な劇場も、こうなってしまっては跡形もない。


「ここは壊して欲しくなかったんだけどな・・・。」


大切な場所だったから。
初めてこの想いに気づいたところだったから。
何よりも大事なものを



目を閉じて、記憶を辿る。



「ここが入り口。」


崩れ積み重なるがれき達に


「ここが受け付け、客席への入り口。」


足を捕らわれてしまわないように


「ここで曲がって、楽屋の入り口。」


中には彼女がいて


「奥にある扉を開けて・・・。」


その先には







「愛しのあなたは  遠いところへ」







・・・?







「色あせぬ永久の愛  誓ったばかりに」







この歌は・・・







「苦しいときにも  辛いときにも」







この声は・・・







「空に降るあの星を  あなたと思い」







あの時の・・・







「望まぬ契りを  交わすのですか?」






瞼をあけて






「どうすれば  ねぇあなた  答えを待つ」





扉を開けた、その先には・・・





「セリス・・・?」




流れるような金糸の髪を風にたゆたせて、微笑んだ。


「ここが舞台。」


あの時と同じように足を進ませて


「彼女は何度もテラスから顔をのぞかせては、側にいない恋人を想うの。
 バルコニーに足を運んで、彼の幻影と踊って・・・
 そこで思い出すのよ。」


止めて、こちらを見て


「彼の、愛。」


微笑む






あの時に負けないくらい、美しくて。
あんなに、あんなに悩み苦しませたはずなのに、
待っていてくれて。


「セリス。」


おかえりと言ってくれた。


「ありがとう。」


どうしたの急に、と笑われたけど
感謝せずにはいられなかったから。


君は、もう一度思い出させてくれたから。
何よりも大切な、この気持ち。
捨てようにも捨てられなかった、この想いを。


忘れないで、覚えていてと
言ってくれたから。




「セリス、歌上手いよな。以外に。」
「一言多いわよ。
 でも・・・まさかばれないであそこまで上手くいくとは思わなかったし・・・
 楽しかったわ。」
「俺はハラハラしっぱなしだったけど?
 いつドレスの裾ふんづけて転ぶかー、とか。」
「あのね・・・
 私これでも元将軍なんだから!
 パーティーなんて星の数ほどあったんだから着慣れてるわよ!」
「あ、そうなの?」


ちょっとみたかったかも。


「ったく・・・
 ・・・でも、もう一回だけやってみたいなー・・・なんて。」



できるよ、君なら。


その美しい容姿、美しい歌声は何人をも虜にしてしまうだろう。


でも、そんな時には・・・


「是非とも俺がドラクゥの役をやらせていただきたいもんだ。」


あの時、少し妬いてしまっていた自分がいたことを、
否定することはできないから


「ドラクゥ・・・ねぇ。
 でもあなたには似合わないわね。
 騎士ってタイプじゃないもの。」


・・・そんなにハッキリ言わなくても・・・。
俺の心は少し傷ついたぞ?


「ロックには・・・
 あの時みたいにいきなり現れて、私をさらっていって欲しいわ。
 心も一緒に・・・ね?」


少し驚いて、でもずぐ笑って


「まかせとけって!」


そっと腕をまわして、優しく抱きしめて


「絶対に離してやんないから。」


嬉しそうに頷いてくれる。




忘れ得ぬこの想い、いつまでも。
なくしてしまわぬよう抱きしめて。












「そういえばあの時、どうしてあんなこと言ったの?」
「は?」
「だから・・・みんな天井から落ちてきて・・・。」
「ああ、アレ・・・」
「どうして?その場しのぎ?」
「・・・ヒミツ。」
「なんで?」
「カッコ悪いから・・・」
「え?」


あんなにキレイなカッコして、
誰かに持っていかれやしないかと
不安になったからだなんて


「カッコ悪すぎ・・・。」
「??」


いつか、またいつか話してあげる。
そう、ここにもう一度旋律が戻ってきた頃にでも
話してあげるから。



もう一度、何度でも大きな声で言ってあげる。



君をめとるのは、この世界一のトレジャーハンター、ロック・コール様だということを。









::あ、あちー!! 2002年07月07日(日)

おかしいくらいに暑い・・・
なぜ・・・?なぜーーー!!?



・・・って、閉め切った部屋でやってんだから当たり前だっつーの!(←独りつっこみ&淋しい)




明日はテストだっつーの。
倫理と数学2。
ってかムリ。
倫理は一回目を通しただけだし、数2は問題集けっきょくおわんなかった・・・。
同じクラスの皆さん、安心して。
クラス内最低点は間違いなくあたしです。
このあたしに勝てる人はいないでしょう。
ほほほほほ。

・・・ってダメダメじゃんか。





夏休み、HP更新できるかなー・・・(←えっ!!?)



::うにゃん。 2002年07月05日(金)





とある教室にて、
お勉強中リタ。





なんちて。
うそっぱちじゃん。


いちおー、数学の問題集を開いてみました。






ちなみに、約一週間ほど前のモノ。

ダメでしょ。





::ストロベリー(フルーツバスケット) 2002年07月03日(水)

「うわぁ・・・!」


大きな瞳を輝かせて、次々と置かれていくその皿の上にのるモノをみつめた。


「喜んでいただけてうれしいです!」
「杞紗は、苺が好きなんだね。」
「うん・・・!」


今日は土曜日。
杞紗が泊まりに来るのだと、本田さんが嬉しそうに話していたから。
ついてきてしまった。
もちろん日帰りだけど。


最近会うことも話す機会もなかったから、
どうしてるかな?とか思ってたけど。
けど、それほど心配なさげだし。


「大きいな・・・」


思わず笑みがこみあげてきて、


「春?」
「イヤ、何でも。」


だって、本当に嬉しそうだったから・・・


「あ!お湯が沸いたみたいですね!
 紅茶を入れてきます!」
「本田さん、俺も手伝うよ。」
「あ・・・はい、お願いします!
 撥春さん、杞紗さん、ちょっと待っててくださいね!」


うん、とだけ答えて、相変わらず目をそれからそらさない。
いつになったら放すのかな、とか
由希はいつになったら名前で呼べるようになるのかな、とか思いつつ、
しばらく見つめていた。
彼女を。


「学校、うまくいってるか?」


本田さんみたく、気付いてやれるほど頭良くないから。


「うん・・・」


そのままの目線で、ただ少しだけ顔を傾けて
まだ開花したばかりのたどたどしい口調で、言葉で


「がんばってる・・・。
 いきなり、変われるわけじゃないけど・・・
 少しずつ、少しずつ・・・
 わかってくれたらなって・・・。
 いつか、お兄ちゃんやお姉ちゃんみたいに、優しい人が・・・
 それで、私もなれたらって・・・


 優しくって、暖かくって、おっきくて・・・
 そんな人になりたいから、
 だから、諦めないでがんばれるの・・・!」


まだまだ小さい芽だけれど、
いろいろな障害に悩まされ、また誰かに助けられながら
大きくなっていく。
そして、自分の力で熟すんだ。
赤く赤く
甘く優しいイチゴのように。


思っていたほど弱くない。
成長しているんだ、確実に。


これも、彼女のおかげ・・・か。


心配ばかりしていたら、失礼だし。



フォークでそれをプスッとさして、彼女に向ける。
驚いてこちらを見た。


「あーん。」
「え・・・?」
「ご褒美。」


一度大きな瞳を瞬かせ、そして嬉しそうに笑った。










「お待たせしまし・・・撥春さん!?
 イチゴがなくなってしまっています!!
 よもや、また私の不注意で・・・!!?」
「食べたの、春?」
「んー・・・?」


例によって例のごとく、慌てふためく本田さんと、
ティーカップの並んだおぼんをテーブルに置き、冷静に尋ねる由希。


「あ、あの・・・」



「妖精に食べられちゃったみたい・・・ミステリー・・・。」





「・・・あ、そう・・・。」
「妖精さん・・・ですか?」


いつものノリを発揮する二人と俺を交互に見、彼女は笑った。




いつだって見ていたい、君の笑顔。
願わくば、ずっとこの先失くなってしまわぬよう。
決して。



::Iridesent Melody〜虹色の旋律(聖剣LOM) 2002年07月02日(火)

春が終わる時の

空の色は

青に少し足りない

薄い水色

風に飛ばされた白い綿毛が

土を踏めずにさまよってます






 



    カサリ



「・・・あ、リクさん?」
「気にしないで、続けて。」


ふわりと照れたように微笑んで、
再び美しい旋律を紡ぎ出す。






 



春の花

誰かに届けたくて

花は小さな綿毛になりました

花は咲きます

あなたの手元で

ただ少しだけ

愛をください






 



彼女を中心に暖かい風が舞い上がり、
上昇気流となって上へ上へと飛んでいく。


花々は咲き乱れ、鳥は歌うことを忘れ、
この甘く美しい旋律に身を委ね、ただ揺れているだけ。


彼女が船を沈めるのではない。
海が、空が、風が、大気が・・・
この世界を構成するあらゆるものが、この旋律に感服したんだ。


瞼を閉じて、耳を澄ます。
そこには鮮やかな色彩が広がっていて、
全てが七色に輝いている。









「リクさんは、強いのね・・・」
「え?」
「私の歌を聴いても、自分を見失わないもの・・・」




少しずつ、少しずつ息を吹き返しつつあるその羽根を、
優しく優しく撫でる。
閉じていた瞼を開けた。




「違うよ。」


「え・・・?」




「強さとか、弱さとか・・・そんなんじゃないと重う。
 守りたいものがある、譲れない信念がある、
 捨てることの出来ない想いがある・・・。
 そういうことだと、僕は思う。」






だって、君の歌はそれら全てが満ち溢れているから。
僕と君の大切な友達は皆、それを持っているから。
だから
だから、君の歌が愛しいと。




「ありがとう・・・」




頬を少し赤く染めて、彼女は微笑んだ。








優しい風にせかされて、
彼女は再び紡ぎ出す。




愛しさで彩られた、遠い遠い、色褪せることのない美しい日々への想いを




風に運ばれて




どこまでも








-----------------------------------the End---------





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