::哀歌-3 2002年06月26日(水)

「体全体で世界を感じる・・・か。」
「なんだそりゃ?」
「さっき修道女の人が言ってたじゃん。草人に。
 そうすれば痛みなんて感じないって・・・。
 すごいなぁって、思ったんだ。」


全てを悟ることなんて、あたしには出来ないだろうし。
“アイツ”は出来るかも知れないけど・・・


この色鮮やかで美しいファ・ディールの世界。
あたしはどれくらいそれを感じて、受けとめられるだろう?


「痛い時は痛い、辛い時は辛いでオレは十分だ。
 守りたいものを守れれば、それでいい。」
「守りたいもの・・・ねぇ・・・。」


大好きな友達、思い出、場所・・・
この世界は広すぎるんだ。
たくさんの“大好き”がそこらじゅうに転がってて、
欲張りすぎたら何も守れないよ。


守りたいもの・・・
瑠璃の守りたいものは・・・って、言うだけムダだ。
だって、ちゃあんと知ってるもの。
瑠璃が、一番大事で守りたいもの。


白い白い清純。


あたしとは、大違いなんだから・・・


「・・・どうした。」
「ん?」
「なんか言ったか、オレ・・・?」
「へ!!?」
「イヤ・・・なんでもない。」


目をパチクリさせて瑠璃を見る。
何だよって、目をそらして呟く。


「あは・・・。」


なに、瑠璃・・・もしかして・・・?


「しんぱい・・・してくれた・・・とか?」
「・・・・・」




何も返っては来なかったけど





「へへー、大丈夫!ありがとね!!」
「・・・別に。」





淋しい気持ちとか不安な心とか一気に吹っ飛んで、
うれしい気持ちで一杯になった。
それだけで、“ありがとう”なんだよ。





「・・・テラスに行くんだろ!?さっさと行くぞ!!」
「はいはーい!」


相変わらず目を合わせてくれないけど。
歩く歩調だって早いし、怒りっぽい。
でも、空気はこんなに優しい。







ずっと、変わらなければいいのに。








でも、その願いはきっと叶わない。















かすかにだったものが、明確に聞こえてくる言葉達。





「石の眠りについてしまった恋人を救う為でしょう?」
「・・・人を傷つけたくない。」





「そんなことで誰かを守れるのかしら?あまいですわね。」



::天壌無窮(聖剣LOM) 2002年06月25日(火)

私は宇宙。
全てのものに耳を傾け、聞きなさい。
事物を構成する一つ一つの物全てに心はあり、
それが人に愛されたものならば魂を持ちます。


愛こそが自由なのです。


そしてそれは全ての始まり。


だって、器が消えても魂は残るでしょう?














「・・・?」
「どうしたの、ダナエ?」
「・・・いえ・・・。」


誰かに呼ばれた気がした。


あの日から早一ヶ月。


司祭がいなくても、物事は流れに沿って綺麗に進んでいってしまうものなのだから、
不思議なものだ。


少し淋しい、と思うこともあるけれど。
独りぼっちになってしまったという、孤独感。





でも





「そう。
 じゃあさ、あのアナグマ達を捕まえに行こう。
 なんか宝の地図破かれちゃったけど、破片はヤツ等が持ってるみたいだし。」





そう感じる前に、
突然現れて冒険に行こうと彼等は誘いに来る。


いつも


何を言ったわけでもないのに。




「そうね、急ぎましょう。」




こんなにも暖かい気持ちにしてくれるのだから。




私は幸せなんだわ。
とっても。




「・・・感謝してるわ。」
「何?」
「・・・いいえ、何でもない。」





ねぇ、マチルダ。
この空と大地はどこまでも続いているの。
その分、たくさんの人が傷つき、思い、悩んでいるんだわ。



私は手助けをしてあげたいと思うの。
彼等と一緒に。
やっぱり、誰かの為に何かをしてあげたい。



だけど、自分を無くしてしまわぬよう。
誰かの想いを忘れてしまわぬよう。
ゆっくり歩いていこうと、思うの。



いいでしょう?
これが私。
これが私という、自由。




「あ、いた!!」
「ダナエはあっちの方を捕まえて!
 僕はこっちを何とかする。」
「わかったわ!」




貴女に会う時は、どんな私になっているのだろう。












私達はいつでもあなたの側にいます。


ねぇダナエ?


あなたの信じる道を進めばいい。
でも、たまには寄り道だってしてもいいの。


寄りかかる勇気も、大切なこと。


目を閉じて、全てのものに耳を傾けてみて。
かたりかけてくるものはどれも、暖かいものばかり。




私は宇宙。
あなたは大事な、私の妹。



::風の哭く夜(封神演義) 2002年06月24日(月)







        烟霞散彩   
        
        胡蝶舞
        
        霄漢遠    
        
        瑞鸞翔処
        
        去青獅彩
        
        

        
        
        落我不捕
        
        全青染染


















「どこへ、行かれるのですか?」





星が散りばめられた美しい静かな夜空の下、
みなが寝静まっている中を気付かれぬよう通り過ぎる。
馬を一頭連れて。
宿営地からあそこまで、一番近い門へ。



りん、と鈴が鳴った。



「あーたは・・・」





りん





「邑姜です。呂邑姜です、天化さん。」





りりん





「ああ・・・」





りん





「俺っちが、何をしようとしてるのか・・・・・わかってるさね?」





りん・・・・・・





「ええ・・・」





ヒョウッと風がなく。
二人の同じ黒髪を揺らす。
馬が激しく首を振り、静かに鳴いた。


足音を建てずに近づいて、
馬の首元を優しく掻いてやる。
それを受けて、気持ちがよいと、また鳴いた。




「止めるのかい?」

「・・・・・」




答えなかった。
瞳をその一点に集中させたまま、顔を上げずに。


止まることなく、次々と溢れ出る生暖かい紅。






「貴男は・・・


 何の為に・・・


 

 誰の為に戦っているのでしょう・・・?」




ぽつりと彼女の口から漏れた、重い重い言葉。
顔を下に向けて、その手の動きを止める。



こちらを見、隠すように身にまとっていた上着を思いっきり引っ張り上げて。



「こんなに、ひどい怪我まで負って・・・」



紅は溢れ出る。
包帯は、すでにもうその役割を果たしていない。



「それでも・・・そうまでして貴男は、
 一体何を求め、得ようとしているのですか?」



手を当て、役目を終えた其れを巻き取っていく。
生々しい傷口に目を背けることなく、
新しい包帯をどこからともなく取りだして、またきれいに巻いていった。



きつく、きつく。











「・・・証、さ。」












「え・・・?」



顔を上げ、天化の顔を捕らえる。
その瞳に。


優しい優しい微笑み。
そして、瞳。



「生きる証さ!
 親父やコーチに負けない、立派な証を立てるのさ!!」








綺麗だった。
吸い込まれてしまいそうな、綺麗な瞳。



手を伸ばし、その頬に添える。
びっくりしたような顔に、くすりと笑った。



「綺麗な瞳をしているんですね。」

「え?」

「瞳。
 まっすぐで、優しい瞳。
 まるで、昼間の青空みたい。」



しばらく目を瞬かせ、そして笑った。



「よく言われるさ!」









なんて素直に、純粋に笑う人なんだろう。
私には出来ない、絶対に。





なくしたくない。
ここに留めておきたい。





けれど





「きっと、貴男は無くしてしまうんでしょうね・・・。」

「ん?」





無理矢理留めてしまえば、きっと永遠に失われてしまう。
そうなるくらいなら・・・





「・・・ここを出ですぐのところに森があります。
 入って、真っ直ぐ西へ進んでください。
 音が響いて誰かに見つかることなく、朝方には目的地に着くでしょう。」





もう一度、馬の首元を掻いてやる。





「止めないんさね。」

「・・・・・」





だって嫌だから。
笑顔を失ってしまった貴男を
見たくはなかったから。






「天化さん。」

「うん?」

「私・・・もう少し早くあなたにお会いしたかったです。
 もっと、もっと・・・だくさんお話しを聞きたかった。
 けど・・・。」

「けど?」






目頭が熱くなる。
精一杯の笑顔を作った。







「もっと早く出会っていたら、私はあなたを好きになってしまったかもしれないから・・・
 だから・・・
 このくらいが丁度良かったのかもしれませんね。」







初めこそ驚いたような表情をされたが、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべて
サンキュ!とだけ言った。







さよならは言わなかった。
無事に帰ってこいとも言えなかった。
溢れてしまいそうだったから。
いろいろな感情が、想いが・・・














烟と霞が彩りを散らす中

胡蝶は舞い踊り

大空に振るわせて

霊鳥が翔び立つ頃に

眩しい貴男は去ってゆく




捕まえないから降りてきて

全てを青に 染め上げて





::突入・・・ 2002年06月22日(土)

聖剣LOM三周目突入・・・
そして再び女主人公・・・
名前は「計都」です。
三人の女主(?)の中では一番スキな名前です。

今回はちょっとちがうやりかたをしようと、計画を練っています。
今まで瑠璃くんをNPCにしてクリアしてきたものを真珠姫でやってみたり、
ホワイトパールでは運命の部屋から真珠姫をNPCにしないままおりてみたり・・・
結構面白い・・・っていうか、意外なことが多すぎです。

でも、やっぱエスカデ編ではダナエを選んでしまうんだろうなぁ、と思います。



::哀歌-2 2002年06月21日(金)

「俺はこの町で炎の技師をしている者なのだが、少し聞きたいことがある。」


そう呼び止められたのは、テラスへ向かう途中・・・草人を追っていたところだった。
真っ赤に燃え立つような髪の毛に、高貴な真紅の衣を身にまとう青年。
胸元を、まるで隠すかのように黄色い布を巻き付けて。


「癒しの寺院の炎が狙われているらしい。
 君たちは外から来たのだろう?
 ここに来る前に、誰かあやしい人物を見かけなかったか?」


「あんた・・・。」


瑠璃の言葉に、核に目を留め、ふと表情を曇らせる。


その決定的な瞬間を、あたしは見逃しはしなかった。




だけど・・・




「草人ぐらいしか見ませんでしたよ。
 その炎が狙われてるって・・・どうして狙うんですか?」
「さぁ・・・。警部も大げさだからな。
 俺にも詳しいことはよくわからないんだ。
 やっぱり、炎が狙われているというのはデマなんだろうな。
 悪かったな、時間をとらせて。」
「いいえ。」


今はまだ、ハッキリさせない方がいいと思うから。
もう少し落ち着いてから話してみよう。

けど、そんなあたしの思考を受け付けない視線がすぐ後ろからひしひしと感じられる・・・
あの、い、イタイんですけど・・・


草人の行方を聞いて別れを告げた瞬間、やっぱりというかなんというか、
髪の毛をおもいっきり引っ張られた。


「いったあ!!なにすんのさ!」
「それはこっちのセリフだ!!
 オレはあのルーベンスってヤツに用事があったんだ!
 なんで勝手に完結して別れるんだ!?」
「あのね、いきなし聞いたって「ハイそうです」、なーんて言うわけないでしょお!!?
 もちっと様子見て、段階踏んでからの方が確実に決まってるでしょ!」
「うぐ・・・。」


この前も言ったような気がするけど、あたしは生まれてこの方口喧嘩で負けたことは一度もない。
ようやく静かになった瑠璃を引き連れて、テラスへ向かった。
瑠璃の非難(ていうかすねてる感じ)じみた視線と、彼の視線を背中にうけながら。














「ほらー!瑠璃がぐずぐずするから草人さんに逃げられたじゃんかー!!」
「オレのせいかよ!」

テラスについた瞬間、あたし達の脇を通り抜けて草人は出ていった。
相変わらず口喧嘩は絶えない。

そばにいた修道女によれば、彼(?)の葉に回虫ププが寄生してしまっているらしい。
草人の葉というのはやはり本物なので、徐々に食いちぎられていく。
そのせいで痛みを感じるのだという。
そして、それがあらゆる病に苦しむ人々に希望をもたらす万能薬になるとも。

「そういえば、ルーベンスさんも欲しがっていたかしら・・・?」

瑠璃とあたしは顔をお互いに見合わせた。
ルーベンスさんが万能薬を欲しがる?
何で?
瑠璃も同じコトを考えているらしい。


「・・・行ってみよっかぁー・・・。」


はぁ、と溜め息をつく。
それみろと、瑠璃は当たり前といった顔をする。
ああ、むかつく・・・。
だからどぉしても負けたくなかったんだけどなぁー・・・
こうなっては仕方がない。
回れ右をして、さっき彼がいたところを目指す。
瑠璃にせかされながら。







けれど、そこにはもう彼の姿はなかった。







奥の方には、途方もない歴史を刻み込む古い寺院が建っている。
もう主のいない場所。
彼女がいるところ。

一息、気付かれないようにそっと吐いて、足を進めた。



::My Brother(CHRONO CROSS) 2002年06月19日(水)

『たとえ、龍騎士団から追放されようとも、
 おれは自分の信念を貫きたいんだ・・・。』


『グレンなんて知らない!!』




「キライキライ、大っキライ!!!」
「うぉ!!?
 な、なんだなんだ?どうした、マルチェラ!?」


裏切られた、と思った。


セルジュ達とのまさかの敗戦の後、急ぎ足で古龍の塔最上部にいるはずの大佐とヤマネコのもとへ向かっている時だった。


「なんだぁ?さっきあいつらに負けたこと、まだ気にしてんのか?」
「あたしは負けてなんかない!!
 そーじゃなくて・・・。」
「なんだ?」


ケロッとしているカーシュに苛立ちを覚えてしまう。


「グレン兄・・・グレンのこと!!」
「ああ、あいつねぇ・・・。」


表情を変えず、ただ頭をポリポリとかくその態度は、
更にこちらを苛立たせた。


「ああ、じゃない!
 兄代わりなんでしょ!?
 なんで、とか、どうして、とか思わないの!!?」


キーキー高いマルチェラの声に耳を塞ぎつつ、溜め息を吐く。


「お前はホンッと、グレンになついてたからなぁ・・・。」


肩で息をしつつ、瞳に涙が浮かんだ。
ぐいっとぬぐう。





『おい、マルチェラ。遊びに行こうぜ!』





まだ自分が幼く、グレンが騎士団に入っていなかった頃、
よく自分の遊び相手をしてくれた。
小さな手を引いて、館の外へ初めて連れ出してくれたのも彼だった。


苦い顔をしながらままごとに付き合ってくれたり、
時には肩車をして木に登らせてくれたり。
いろんな話をしてくれた。
カーシュのマヌケ話やダリオの自慢話、そしてリデルお姉ちゃんの話。
よく二人で溺れ谷に行って、青リンドウを取りに行ったりもした。


楽しかった。
大好きだったんだ。
家族のいない自分にとって、初めて出来たお兄ちゃんみたいだった。


騎士団に入って、まだ幼くしてグレンよりも早く四天王に昇進したあたしを、
悪く言う騎士達の中、彼だけはまるで自分のことのように喜んでくれた。


嬉しかったんだ。
みんなで大佐やお姉ちゃんを守れるんだって、
そう思ったのに。




「わかんないよっっ!!!」


今更・・・今更いなくなっちゃうなんて!!!



背後から大きなごつい手が伸び、ぐしゃぐしゃっとマルチェラのきれいに結われた髪をかき回した。

「何すんのよ!!」
「俺には、グレンは何か考えがあるのではないかと思うのだが・・・。
 どうだ、カーシュ?」

うんうん、と頷く。


「気がまっすぐなぶん、俺たちみたく妥協できねぇんだよ、あいつは。」
「確かに。我々は四天王という位にある分、思うように動けぬからな。」


一人むくれているマルチェラと目線が合うよう、腰を曲げる。


「あによ・・・。」
「おまえ、グレンが俺たちを芯から裏切るようなヤツだと思うか?」











『マルチェラ、遊びに行こうぜ!』










「・・・思わない・・・。」


思いたくない。
いつだって淋しい思いをしていた自分に笑顔を投げ掛けてくれたのは、
グレンだったんだから。


「グレン兄ちゃんはそんなことしない!!」


お兄ちゃんなんだから。
あたしの。
大好きなお兄ちゃんなんだから!


「んおし!なら信じとけ!
 あいつはちゃんと帰ってくるってな!」


ばしばしっと思いっきり頭を叩かれた。


う゛ー、っと睨みあげる。
おお怖、とカーシュはおどけて逃げていく。
ゾアに早く行くぞと急かされる。


嫌じゃない。
こいつらのことも、好きだ。


グレンが自分の意志を果たして帰ってくるのを、
あたしはこいつらと一緒に待ってる。


でも、できるだけ早く帰ってきてよね。


そしたらまた、一緒に遊んでよ。







グレン・・・兄ちゃん・・・。



::ワールドカップ 2002年06月18日(火)

お疲れさまでした、日本!!
もう、うちの学校はなんか混乱に巻き込まれるのを防ぐとかなんとかで短縮授業になり、そのうえあたしは早帰りの日だったので、一時に学校を出ました!
んで、相棒に会ってHPの本を渡してお家に帰って観戦を・・・とか思いましたが・・・
進路変更、相棒の家へ♪

燃えました。燃えましたよ、もう!!
奇声を何度発したことか!!!
前半で点とられた時は、もう二人してわめき狂いましたね。

にしても小野&宮本のプレイには感動しました!!
っていうか、あたし宮本のファンなんですが・・・(照)
四年後となると、彼出るには難しいッスかねぇ・・・
でも応援しに行きたいです!!
おそらく大学生になっているであろうことですし・・・。

とりあえず、ホントにいい試合でした!!

お疲れ日本、トルシエ監督、選手の皆さん!!



::リトル・ガール 2002年06月14日(金)

彼の後に現れた、小さな来訪者。
息を切らして、小さなか細い肩を震わせて。




「お兄ちゃん・・・!!」




「どうしたんだ、杞紗・・・?」

いつもと変わらない表情で。
出かかっていた言葉を呑み込んでしまうほど。



でも



「とりあえず、ここに座っ・・・」
「お兄ちゃん!」



聞かなきゃ



「何・・・?」
「あのっ・・・!」



体中が熱くなる。
目も、顔も、手も、足も、






「リン・・・っお姉・・・ちゃんが・・・!!!」






それ以上は言葉にできなかった。
これで精一杯だった。




まだまだダメな自分。
未熟な自分。
弱い自分。






「・・・ああ、うん・・・。」


杞紗が言いたいらしいことを察した撥春は、ふっと瞼を閉じて、開いた。


「うん、そう・・・。ふられちゃったぁ・・・。」



『君、もういいから。』



『もういらないから。』




ぼろぼろぼろぼろ・・・・



驚いて目を見開き、杞紗を見る。
次から次へ溢れ出る、止まることのない涙。



「杞紗・・・。」



ひどい。
ひどいよ。
そうやって簡単に捨ててしまうなら







私があの時欲しかった。







好きなのに。

私だって、お兄ちゃんのこと好きなのに。







「杞紗。」


ポンポンッと頭を軽く叩いてくしゃっと撫でた。
涙一杯の瞳で見上げる。
視界がぼやけて、どんな表情をしているのか分からない。


「俺のために、泣いてくれてンの?」




優しい顔をしていた。




抱き寄せて、優しく背中を叩いてくれる。
涙が止まらない。
痛くて。






「あんがと・・・。」






傍にいられるなら、妹のままでいいと思う心と
妹のままじゃイヤだと思う心。
体の中に二つとも確かに存在していて。



だから
優しくされると
嬉しくなるのと同時に、痛くなる。




ズキンと痛む。




「大丈夫。俺、がんばってみる。
 まだ諦めたくないから。」



私も、諦めないでいい?
お兄ちゃんのこと、好きでいてもいい?



まだ言葉に出来ない
小さな胸に暖めたままの、想いと共に。








::cherry dream 2002年06月10日(月)

-------------会いに来ちゃった!
だって、みんな私のこと忘れてるんだもん!-------------------








携帯の目覚まし時計に意識を呼び起こされた。
原曲よりも半オクターブほど高めに演奏される着メロに、日々頭を悩まされる。
かといっても、これが私にとっての一番の目覚ましなんだから。
人よりも多少は音感があるであろう私の耳にとって、何よりも不快なものであろう。



その日見た夢なんて、その起きた瞬間に大抵は忘れてしまうものだ。
だいたい覚えていたとしても、そのあり得ない構成を笑うぐらいなのだ。
いつもいつも。
その繰り返しだった。




------------だって、みんな私を忘れてるんだもん!---------------




ドキリとした。
思わず肩が震えた。
はっきり覚えている、このフレーズ。
そして、




------------なんだ、それでここにいるのかー!---------------




そう笑顔で答えていた自分のことも、まるでこの目で見たかのように覚えていて。
現実では、到底口には出来ない言葉を。
笑顔で。
周りにいた友達も、みんな笑顔で。




-------------また一緒に遊べるんだね!---------------




違う。
違うんだよ。
それは夢。
夢なんだ。







だけど







夢でもない。
















彼女なんだ。
あれは、確かに彼女なんだ。
確かに彼女だったんだ。






-------------ダッテ、ミンナワタシノコトワスレテルンダモン-------------






本当に。
本当だね。
私達
あまりにも毎日が忙しくて
それはたいして充実してたりもしてなくて
ただ、がむしゃらにやっているだけで





忘れてしまっていた、感情、ゆとり、優しさ。






今、私達は岐路に立っていて
でも、それは決して自分一人の力でそこまで来たわけでもなく
だけど、あたかもそうであるかのように振る舞って

傷つけてしまう。



それじゃダメなのに。
忘れちゃいけないのに、いつだって。


今の私を支えてくれているのはダレ?


忘れないで。
覚えていなきゃ。
私達は。
独りじゃない!





忘れたくないよ。
忘れない。
キミも、一緒に成長していくんだ。
優しい花を咲かせて
可愛らしい実を結んで
ずっと、ずっと。




だってキミは、私達の友達だもの!
今はどんなに遠く離れていても、また会える。




その時キミは、変わらない笑顔で笑いかけてくれる?








目を開けて、布団から出て、掛けてある制服をもぎ取って。

寝起きの手で上手くボタンを付けれなかったりもするけれど。

ネクタイをピシッと締めて。

カバンをとって。






「・・・おはよう!」






部屋を出た。



::Lamentations-哀歌-1 2002年06月08日(土)

「頼んだぞ。」

そう言って、伝書鳩を大空へ放した。
その足に手紙をくくりつけて。
港町にいるであろう、親友に。



鳩が見えなくなったのを確認すると、青年は溜め息をついた。



これで、四月目であった。
彼からの連絡が来なくなってから。
「彼女が魔法都市で石になってしまったらしい。」という手紙以来、彼の元へは手紙一つ届いていなかった。



月に一回、連絡を取り合うという約束なのに。
彼は一度たりとも約束を破るなどということはしたことがなかったのに。



そして“彼女”からは・・・手紙一つ、あの日から届いたことはなかった。
幾度はこちらから出した。
しかし期待もむなしく、何一つ戻っては来ない。



ポケットからもう一枚の紙切れをとりだした。
“彼女”へあてたもの。



「・・・ディアナ・・・。」



この世で最も愛しい人へ。













「・・・またアンタか。」
「へへーっ!よっ、おにーさん!またお会いしましたねーv」
「ああ・・・。」

彼、瑠璃は大きな溜め息を吐いた。

「あ、ちょっと!今日はなんとなく来たんじゃないよ!
 ここに用事があって来たんだ!」

今回は本当。
自分と十も年の離れた親友に会いに。
ここは断崖の町、ガト。
修道女が多く見られ、大きな寺院もある。
彼女はそこで僧兵をしていた。
とある縁であたしは彼女と知り合い、共に戦った。
辛いことも悲しいことも、一緒に乗り越えてきた。
今は独り、主のいない夢見の間を守っている。

「フン、そうか。じゃあな。」
「あ、ちょっと!そうすねて行かなくたっていいじゃんか!」
「誰がすねるか誰が!!ただオレは煌めきを感じたから・・・!」

瑠璃はマズイ!といった顔をした。
だがもう遅い。
あたしはにんまりと笑った。

「てコトは、仲間がいるかもー、ってことなんだね?」
「・・・・・」
「よーし、あたしも行く!さ、がんばって見つけるよ!!」
「・・・やっぱりな・・・。」

なんて、別に会った瞬間からあたしの心は決まってたけどね。
ごめん、今日は許して!!

「で、真珠ちゃんは?」
「・・・・・」
「・・・わかった。」

もう、何も言うまい・・・。
真珠ちゃん・・・。













「誰かなんとかしれーーーーー!!!!」

テラスの方へ、草人が暴れながら去っていくところに偶然でくわした。
一体何があったのだろう、というあたしの呟きを瑠璃は相変わらず冷たくあしらう。
いらんことに首をつっこむな、だって。
すみませんねー。あたし、ただ見てるだけってのが苦手なの。

「何があったんですか?」

さっさと行こうとした瑠璃のマントを手でつかみつつ、そこにいた修道女に話しかける。

「あの方、お腹が痛いと言ってさっきまでそこにうずくまっていたんです。
 道具屋の方で休ませて頂こうと思ったのですけれど、彼、あまりにも痛かったのか途中で暴れ出してしまって・・・
 大丈夫かしら・・・?」

あんだけ元気に走って行ったんだから大丈夫だろ、と関心なさげに瑠璃は言う。
つかまれているマントを必死に引っ張りながら。
あたしは、ただ「草人って“彼”なのかなぁ」と、あまり関係のないことをただぼんやりと考えていた。
瑠璃のマントをつかんだまま。

「もういいだろ、リタ!
 さっさとオレのマントから手を離せ!!」
「あ、ごめん。忘れてた。」

さも何事もなかったかのように、ケロリと手を離す。
瑠璃はあたしの腕をまじまじと見て、その怪力さはどっからきているんだ、とまた大きく溜め息を吐いた。
果たして喜ぶべきなのか、怒るべきなのか。


とりあえず、あたしは怒ることを選択した。





::いきなりですが、私的美人の決定法則 2002年06月06日(木)

まぶたの線がくっきり出ている人って、美人さんですよね。
・・・っかーーーー!!!いいですねぇーーー!!!(←オヤジか)
あと綺麗に二重なヒト!!
あたしは奥二重なので・・・アイライナーいれてもあんまわからないんですよね・・・
二重に・・・できれば・・・生まれたかった・・・


そして血液型。
あたしはA型なのですが、みんなに「絶対ウソ」と言われます。
こんなんでウソついてどーしよっちゅうのよ!?
そりゃー、まぁかなりおおざっぱで脳天気な性格してるけどさ!!
あんまりじゃーないのーぅ!!!


で、髪の毛はぜったい黒!!
あ、これは美人さんの決定法則とはなんの関係もありませんが(笑)。
単にあたしの好みッスvvv
あたしは地毛で茶色いので、ホント困りものです。
白髪染めでもいいから、黒くしたい・・・
ワカメなんかの海藻類がきくってホントかしら・・・?



::戸惑い-4 2002年06月03日(月)

「ふ・・・ふへ・・・?」

顔を上げると、そこには困ったような、優しい瞳をした瑠璃の顔があった。

「ホラ、そんぐらいで泣くな。
 それとな、チョットもうどいてくれないか?」
「へ・・・?」

冷静になって、周りをよく見てみる。
だんだん顔が青ざめていき、冷や汗がたらたらと流れているのが自分でもよく分かった。

ちょっとまってよ、瑠璃はしりもちついてて、あたしは瑠璃の上にのかってて・・・



・・・・・・



あたし・・・・瑠璃を・・・・押し倒した・・・っていう・・・コト・・・で・・・



・・・・・・



「う、うわゃあああぁぁぁぁああああああ!!!!!!!
 ご、ごめん!!!!ごめん瑠璃!!マジごめん!!!!!」

あわてて飛び退いた。
頭がこんがらがってて、思いっきり挙動不審。
青ざめてた顔が、今度はトマトみたいに耳まで真っ赤になっていることだろう。

「・・・もう少し体重落とせ。重い。」
「・・・・・・!!!!!!!??????」

フン、といつものように鼻で笑って、立ち上がる。
心なしか、ちょっとほっぺた赤くなってる?

「で、んなことよりあの幽霊は何処行ったんだ!?」

・・・・気のせいみたい。
あたしの体重に文句つけときながら、そんなことよりですか・・・。
女扱いしてなさそうなところが、また気になるし。

ッて、今はそんなこと言ってる場合じゃなかった!!!

「ちょっとザル!!泡吹いてないで、さっきのヤツ何処行ったの!!?」
「・・・自分は怖がってたくせによく言うな・・・。」
「うっさい!!!」



「・・・怖かったノねん・・・。ユーレイって、走るのねん・・・。」




「「え、走る・・・?」」

瑠璃とあたしの声がきれいに重なった時、さっきまでそこにいたはずの彼が慌ただしく入ってきた。
聞き覚えにある、特徴的な大きな声。

「本官はボイド警部である!チミの相続した遺産について質問があるのだが?」

へ・・・なんで・・・?

「遺産なんかもうないノねん!」
「は?『青い瞳』は?」
「見てなかったのか警部?例の幽霊が持っていったじゃないか!」
「はぁ?幽霊なぞ、おらんよ。寝ぼけとるのかね、チミ?」
「え?さっき、ここにいましたよね?」
「ここに?ワシが?」









「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」









・・・・・もしかして・・・・・









「やられた!宝石泥棒サンドラじゃっ!!おそらく幽霊もヤツじゃ!!」
「なんだと!!?」
「そんなーーーぁぁぁ!!!」







・・・・・・・・







『『青い瞳』はサフォーにもらったのねん。』
『それってサファイアの珠魅か?』
『うん。ボク達、お友達だったノ。
 でも宝石泥棒が来て盗まれるくらいならって・・・核を外してボクに・・・』
『・・・・・』
『約束したノに・・・“彼女”の為にも、絶対手放さないからって・・・。』
『・・・取り戻してやれるといいんだがな・・・。』




ポルポタを出てドミナに向かう途中、瑠璃はずっとだまったままだった。
仲間が核のみで見つかって、しかも宝石泥棒によって奪われた。

核の持ち主は、きっと美しく誇り高い珠魅であっただろう。
あの、『青の瞳』の煌めきにふさわしく。

あたしが・・・幽霊を怖がりなんかして、飛びついたりしなければサンドラを追えただろうに。
バカなことをした。
ホントにバカだ、あたし・・・
他人の足を引っ張るなんて・・・初めてだった・・・


あたし・・・何かできることないのかな?
あたしがただの人間である限り、それは無理な願いなのか。

あたしがもしも瑠璃と同じ珠魅だったなら、その苦しみを分かち合うことができるのに・・・

「リタ。」
「え?」
「今日は・・・ありがとう。助かった。」
「・・・ううん。」

あたし、何もしてないよ。
そう、何もしてない。


そのまま瑠璃と別れて、コロナとバドの待つ家へと帰る。
日没までは、もう少しだけ時間はあった。
“アイツ”の鼓動が近づいてくる。
胸にわき上がる“不安”と“後悔”の念を押し殺して、目を閉じた。





::そもそも・・・ 2002年06月01日(土)

そもそもだなぁ、『日記』というものは『日ごとに記す』と書いて『日記』と書くんだ。

・・・本当か?

真実かどうかはさておき、なんじゃいこりゃあ!!?
ぜんっぜん書いてなかったぁ!!!
と、とりあえずあんだけ大騒ぎした体育祭は優勝しました!!!
オーイェーアーハー。
めでてぇなぁ。
しかーしだ!!
担任めが、『優勝したらアイスおごってやるよ。』(←ほんのちょびっと脚色あり)
とかぬかして、うちらはアイスパワーで頑張ったというのに、
いざ優勝したら・・・
『ジュースなジュース。』

・・・ハーゲンダッツ今すぐ買ってこいやぁ!!!
受験生を何様だと思っとんじゃーーー!!!!
もちっといたわれど畜生。




バレーボールやカッパタオルはいいからハーゲンダッツーーー!!!



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