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2005年10月31日(月) レッスン:Bach - Grave, Fugue

今日はPくんが日本へ発つ日。昨日、電話で話したときにここから近い空港から朝6時15分のシャトルに乗る予定だ、と話していたので、ではここに念のために5時半に来るように、という話になっていました。5時には起きて、きちんと身支度も終えて、6時前には準備が整っていたのですが、なんと彼が来たのが6時20分。もちろん、私たちなりに彼と連絡を取ろうと手をつくしたのですが、それもかなわず、私たちはとにかく待つばかり。事情を聞くと、シャトルは6時15分から頻繁に出ているので、問題はない、とのこと。それはそれでよいにしても、では私はもう少し眠ることができたのに…と少し悔しい気持ちになりました。でも、彼は最近私のPCをかなりきちんと新しく整備してくれたので、あまり強く文句も出てきませんでした。(笑)

彼を空港まで送り届け、こんなに朝早く起きたのだから、と夫とレストランでブレックファストメニューをいただくことにしました。こんなときでもないと混雑したレストランではリラックスできない夫と食事にでることもままならないので、ある意味、とてもよい機会になりました。パンケーキにスクランブルエッグ、ソーセージ、といたって普通のメニューでしたが、パンケーキはとても久しぶりでしたので、おいしくいただきました。

帰宅後、少し横になりましたが、もちろん眠れず、そのまま学校へ。練習をしてからレッスンです。今日はまたバッハをみていただいたのですが、これまで目標としてきた「楽器を鳴らした状態での演奏」が大分できるようになっているからでしょうか、音楽的な部分でもっとコントラストをつけるようにというアドバイスをいただきました。バロック音楽のひとつの特徴に one movement, one affection、つまり、もしその楽章が喜びに満ちた感じで始まれば、全楽章を通してそのムードが保たれる、ということがあったと思うので、これまでは少し控えめな表現を選んでいたのですが、やはり聴衆の側に立ったときにはもう少し変化がほしい、ということでしょうか、もっと大げさに、ということを提案いただきました。また、先生のお手元にあった、古楽器の演奏、Elizabeth WallfischさんのCDもお借りしてきました。

帰宅すると同時に電話が鳴りました。最近お世話になっているオーケストラの人事の方からでした。直接電話がかかってくることはめったにないので、一瞬どなただったのかがよくわかりませんでしたが、すぐに「こんにちは。お元気ですか?」と普通の会話が始まりました。"We'd like to offer you a tour in Germany."以前から彼らがドイツツアーへ行くということは知っていましたが、まさか、正式なメンバーではない私にお話が舞い込んでくるとは夢にも思っていませんでした。今週末にはオーディションもあるので、きっとそこで上手に演奏されたかたとところにそういうお話もいくのだろう、と思っていました。とりあえず、「とても興味があるのですが、夫と相談したいので」とお話すると、あさってくらいまでに電話をください、とのことでした。

夫は夫で彼の打ち込むことでとてもよいニュースがあったようで、とりあえず、私のニュースと彼のものとをお互いに説明しあい、お互いのことに対して前向きに考えてみましょう、という方向性を打ち出したころ、また電話が鳴りました。

今度は私の友人でした。「今日、あいていますか?もしよかったらそちらまでいくので、夕食でも一緒にどうですか?」とのこと。最近ときどき電話で話すことはあっても、なかなかお目にかかる機会がないままもう何ヶ月も過ぎてしまっていたのです。「今日はハロウィーンということもあり、生徒たちもお休みをとっているので、家で練習はしようと思っていたけれど、夜なら大丈夫よ」とすぐに話にのりました。

ハロウィーンのため、子供たちに配るお菓子を用意し、約束の時間までは練習です。レッスンの後、リサイタルまで2週間、これで本当に間に合うのかしら?という気持ちになってしまい、その後、帰宅し、とにかくバッハを一生懸命練習してしまいました。でも、気持ちがどこかあせったような状態で、穏やかでなかったからでしょうか、腕にも余計な力が入ってしまったようで、一区切りついたころには腕の痛みを感じ始めました。

ある意味、友人に助けられて練習を中断。今朝の早起きで身体も疲れているところ、精神的なあせりも加わり、知らず知らずのうちに数時間でも無理がかかっていたのかもしれません。

車で30分くらいとのころで待ち合わせをし、つれていってくださったのは居酒屋さん。アメリカに来て初めてです。今日はハロウィーンでしたので、お店のかたがたも怪獣の着ぐるみをまとったり、シンデレラの格好をしたり、と仮装をされて楽しませてくださいました。いただいたのはグレープフルーツハイ、焼き鳥の牛タン、砂肝、レバー、しし唐の味噌いため、松茸の土瓶蒸し、お刺身、白魚のてんぷら、長いもの千切り、など、いろいろとおいしくいただきました。久しぶりだったので、積もる話も長くなり、11時半くらいまでお店で会話を楽しんでいました。リサイタルにもおいでいただけるということだったので、ではまたそのときに、と車に乗り込むと彼女が私の名前を呼ぶ声が聞こえました。ふと振り返ると、「これ少しだけど、今日おいしいケーキ屋さんに行ってきたから」とおすそ分けをいただきました。ふと箱をみると、見覚えのあるお店のシールがはってありました。「あ、これ、実は私のピアニストの妹さんのお店なの」以前からぜひ一度いただいてみたいと思っていたケーキをこんな形でいただけることになるとは夢にも思っていなかったので、うれしい驚きでした。

帰宅は12時。これだけ遅いともう練習も何もできません。(笑)こんな風にきちんと切り替えができるととても気持ちが良いものです。


2005年10月28日(金) クラス内演奏:新曲、Bach−Fugue

今日は新曲とバッハをクラスで演奏。新曲は初めて人前で演奏しました。いつも11時からリハーサルを始めて、ピアニストと一緒にお昼を食べるのですが、そうする時間はいつも楽しく、とてもリラックスします。そんなわけで、1時からのクラスに行き、演奏をしなければならないとなると、再びウォームアップをしたり、集中力を得るのに少し時間が必要です。今日は誰も聞いたことのない新曲を初めて人前で演奏するということで多少の緊張もあったのでしょうか?誰にもわかりませんが、うまくはいきませんでした。楽譜は手書きのスコアを縮小コピーし、切り貼りし、なんとか二つのパートにおさめたものの、スタンドからはみ出るほどの大きさで、ページターンにあたる作業をしている間に、すっかり数え間違えなどもしてしまったようなのでした。リハーサルの最中でさえ、こんなことが起こったことはなかったので、今日のクラスで演奏させていただけて、本当によかったと感じました。

バッハはうまくいきました。先生と話し合った「楽器を鳴らし、楽器の一番良い音を出し続ける」ことに集中して練習した成果はだせたと思います。もちろん、まだまだ細かいところで直したいことはたくさんありますが、ある意味では大分準備が整ってきたともいえそうです。

リサイタルまで約2週間。そろそろリサイタルのプログラムを弾き通すためのスタミナを養うこともはじめなければなりません。ここ最近少しやせてしまったので、しっかりと食事をとることと、一日の終わりにすべてのプログラムを弾き通すこと。これからはこの作業を毎日していきたいと思っています。

クラス終了後に学友のひとりに「これからPhoを食べに行くから、一緒に行かない?」と誘われたので、ご一緒させていただきました。結局私を合わせて4人になったのですが、私以外は韓国人の女の子たちだったので、韓国語が飛び交っていました。もちろん、私は彼女たちが何を話しているのかわかりませんでした…(笑)

帰宅後は生徒たちへのレッスンです。いつもは1時間レッスンで来ているほとんどの生徒たちも今日からは30分のレッスンとし、私自身への負担を軽減するようにアレンジしました。これまで、いろいろな問題に遭遇し、リサイタルの準備にまったく集中できなかったので、ラストスパートです。


2005年10月27日(木) からだを休めて。仕事依頼有!

今日は久しぶりに一日自宅にいることができました。
まず、ゆっくりとコーヒーをいただくことから一日がはじまったのですが、実はものすごく疲れていることに気がついて、少しびっくりしました。ここのところ、演奏会、オーディションを受けるか否か、生徒との問題、リサイタルの準備(会場を押さえるなど)、学校とのやりとり、とにかくあまりにもいろいろなことが起こっていて、気持ちのアップダウンも激しく、少しやせてしまいましたので、やはり身体的にもかなり大変だったのかもしれない、と自分で振り返ってみたりしています。でも、今週にはいってからは食欲も出てきているので、もう大丈夫だと思いますが。

疲れているうえに、腕の痛みも少し感じられるので、練習は控えめにしてお風呂に入ったり、テレビを見たり、横になったり、とにかくからだを休めました。

そういえばひとつ良いニュースが飛び込んできました。それは、またオーケストラから仕事をいただけたこと。11月の演奏会で、グリーグのピアノ協奏曲やシベリウスの交響曲がプログラムに入っています。今回は、きちんと正しいパートがいただけるように、少し待ってからライブラリアンの方に連絡をしようと思います。(笑)正式な練習はリサイタルの後に始めようと思いますが、もしもファーストで、楽譜が早めに手に入るようであれば、事前にコンサートマスターの方のレッスンを受けてもいいな、などとまたちいさな夢を育んでいます。


2005年10月26日(水) Over Work にならないように

今日は午前中にピアニストとリハーサル。金曜日のクラスで作曲の先生に書いていただいた新曲を試し弾きするための準備と、月曜日にうまくいかなかったブラームスの4楽章を克服するためです。朝10時からの約束だったので、なんだか疲れていて、自然と弓圧も少し少なめになってしまいましたが、これがよいきっかけとなり、Over Workせずにもきちんと楽器を鳴らすことができる、ということを確認することができました。今日のブラームスの練習の目的はメトロノームを使ってゆっくりと、大きな音は出さずに弾き、ピアニストのパートをきちんと把握すること、だったのでその目的もクリアできよかったと思います。

ブラームスは月曜日のレッスンの録音を聞いてみると、私が入る場所はあっていたのにもかかわらず、間違っているかのような錯覚に陥り止ってしまったりしていたので、そのような不安定な箇所をきちんと練習し、先日に比べると、ですが、大分安定感を得られたような気がしました。

新曲はテンポがいろいろと変わるので、その設定をきちんとし、なんとか通せるようにもなってきました。あとは自分のパートをもう少しPolishして、金曜日の演奏に備えます。

お昼はピアニストと済ませて、午後は生徒たちへのレッスン。それが終わって夕食後にはまた練習をしました。新曲とバッハです。2時間半くらい練習してしまいましたが、腕にもそれほど負担はかかっていないような気がします。これは私にはとてもよいサインです。

過去9日間、オーケストラの仕事でてんてこ舞いでしたし、ずっとオーケストラばかり弾いていたので、なんだかちょっと感覚が狂っていたのですが、オーディションに行かないことに決め、今日はリサイタルの準備に集中することができるという感覚、またOver Workせずにも楽器が弾けることをきちんと確認できた日となり、今後は上向きにもっていけそうな気がしています。

こうして日記を書けるくらいの気持ちの余裕がもてるのもとても大切なこと。


2005年10月25日(火) レッスン: バッハ フーガ

午前中は練習にあてて、お昼ころに少し勇気が要りましたが例のオーケストラのコンサートマスターの方のところへお電話を入れました。木曜日にお願いしたレッスンをお断りするためです。少し残念そうにしてくださったので、心が痛んだのですが、「いつでもオープニングはあるから」「リサイタル、がんばってね」とおっしゃってくださいました。

午後3時過ぎからバッハを先生にみていただくことができました。注意事項は「楽器を鳴らすこと」それに尽きます。音楽的な表現はすでに決めてあるので、あとは音程や「すべての音を楽器が鳴った状態で奏でること」これはとても難しいことですが、先生いわく「それが私たちの仕事。いつでもどこでも」かなり納得です。私はつい弓圧が強くなりすぎ、楽器の鳴りを自ら消してしまう傾向にあるので、そのせいで左腕は痛くなりますし、無駄なエネルギーを使ってしまいます。楽器が鳴った状態でのバッハのFugueの演奏。それを獲得するにはゆっくりと練習するしかありません。自分が出している音が鳴っているかどうかをよく聞きながら、どの程度の弓圧で、どの程度の弓のスピードのときにそうなるのかを考え、腕に教え込むのです。では、金曜日のクラスでまたみんなの前で演奏するときにはゆっくりと演奏することを目標とすればよいのですか?と伺うと、2,3日あればよくなるはずですから、金曜日には普通に演奏してください。とのこと。(笑)ついつい難しく、何日もかかることのように思ってしまいましたが、先生によるとそうでもなさそうです。(笑)私は自ら目の前のハードルを高くしてしまう傾向にあるのですが、あまり難しく考えすぎないこともときには必要です。


2005年10月24日(月) 新たな決意

昨日でいただいていた演奏の仕事は一区切りつきましたが、休むまもなく今日はレッスンの予定が入っていました。ピアニストも忙しく、結局金曜日に会ったきり当日のリハーサルはなしで臨んでしまったので、新曲とブラームス(3,4楽章)をみていただいたのですが、お恥ずかしいながらブラームスはまったくうまくいきませんでした…。もちろん自業自得です。

今月の15日から昨日の23日まで毎日オーケストラのお仕事をいただいていて、リハーサルや演奏会でメンバーのみなさんに会うたびに「オーディションの練習してる?」「来るオーディションでは君が仕事を取るんだよ!」「いつ弾き(Try Out)に来るの?」と数人の方からはオーディションに行くことを強く勧められていました。一度今回のオーディションは受けないと決めていたのに、そんな風に励まされてしまうと私の心も揺れに揺れ、この一週間はいただいた演奏の仕事の練習に加え、リサイタル、オーディションレパートリーの練習にも取り組んでみたりもしました。

でもやはり、今の私の左腕はもうそれらすべてをこなすことができませんでした。それほどひどくないにしても腕の痛みもぶり返し、精神的な負担も多く感じるようになり、小さなことで頭を悩ましたり、涙がでてくるようになっていました。先週中にコンサートマスターの方とお話をして、今週中にレッスンをしていただく予定を入れてしまいましたが、これもお断りし、オーディションにも行かない、と昨日の夜自らの心に強く誓いました。

「リサイタルがあまりうまくいかなくても、学位をもらうことはできる。絶対に仕事の可能性を優先するべき」そう強くおっしゃる方もいましたが、私はその考え方には賛成できず、オーディションは今後また受けられるけれども、今後も音楽家として成長し続けていくには、やはりいただいている機会に全力を尽くすことがどうしても必要なのではないか、と思われたのです。

未熟であっても今の私にしかできないベートーベン、バッハ、ブラームスがあると思うのです。

今日のレッスンではうまく弾けませんでしたが、これからの3週間、私はリサイタルの準備に集中し、健康な体と心をもって、みなさんにその成果を聞いていただければと強く思っています。


2005年10月23日(日) 演奏会:Paulus, Orff 

今日は合唱の演奏会

Program:
Paulus, Stephen - Voices of Light
---intermission---
Orff - Carmina Burana


2005年10月22日(土) 寝坊!

今日は朝10時から2リハーサル。昨日の夜はあまりにも疲れてしまっていて、目覚ましをセットしなければ…と思いながら起き上がることができずにいつのまにか眠りについてしまってなんと起きたら朝の9時!!!10時のリハーサルならば20分から30分前には会場に着いていなければならない、と先生に教えていただいていたので、その言葉を守ろうとすると9時15分には自宅を出なければなりません。いつもならば家を出る1時間前には起きて、シャワーを浴びたりもするのに、今日は顔を洗って、とにかく一番近くにあった洋服を着て急いで家を出ました。どちらかというとアクセル全開の運転は避けるほうなのですが、今日はそんなことは言っていられません。渋滞などもまったくなかったので、15分くらい前には会場入りできたような気がします。よかった…

いつも朝食の代わりに甘いフレンチヴァニラのコーヒー飲料をいただき、それで大抵お昼ころまではエネルギーがもつのですが、今日は何も口にできなかったので、午前中のリハーサルが終わるころにはすっかりエネルギー不足になってしまいました。

お昼はオーケストラのメンバーの方が誘ってくださって、ヴェトナム料理のレストランにご一緒させていただきました。いろいろなものが入っているからSuperbowlというヌードルがおすすめだよ!といわれ、それに挑戦したのですが、「いろいろ」というのはどうも内臓のことだったようで、私にはどうも…いまひとつでした。

午後のリハーサルは2時から4時半まで。ここのところ雨も多く寒くなってきていたので、リハーサルが終わるとすぐに帰宅してお風呂に入って体をリラックスさせました。明日は演奏会が7時半からなので、それまでは自由に時間を使うことができます。昨日は夜10時半までリハーサルで、今日は朝10時からのリハーサルでしたので、そう考えるだけでかなり気持ちが楽です。


2005年10月21日(金) クラス:ベートーベン、バッハ、 リハーサル:カルミナブラーナ

今日は11時からピアニストとリハーサル。1時からのクラスでバッハの無伴奏とベートーベンのソナタを演奏。バッハのGraveは問題ないようですが、やはりFugueは難しい。音楽的な表現はうまくいっていたようですが、音程などはあまりよくなかったようです。ベートーベンのソナタは慣れてきているせいか少し前にいってしまうようなのでその点に注意するように、ということでしたので、とりあえずはよしとすることにしましょう。

夜はCarmina Buranaのリハーサル1日目。音楽自体はそれほど難しいものではないのですが、コーラスの専門の指揮はオーケストラのそれとはかなり違うものがあり、なんだかとてもやりにくい感じがしました。これはどうも私だけが感じていることではなく、コンサートマスターの方も「ここはもう少しはっきりとビートがほしい」などのようなことを指揮者におっしゃっていたようでした。

リハーサルが終わったのは夜の10時すぎ。合唱のかたがたも加えるとかなりの大人数が会場に集結していたので、車もスムーズにだせません。たまたまコンサートマスターの方と車を止めたところが近かったので、ほかの車がはけるまで少しお話をすることができました。

ここ最近、腕が痛くなってきているので、そのことを相談すると、「自分のリミットを知って、頭でも練習しなさい」というアドバイスをいただきました。「私がサンフランシスコで弾いていたときにはセクションの半分が問題を抱えていてね。腱鞘炎だとかなんだとか、みんな大変なんだ。でもばかばかしいよね」

オーディションのことをお話すると周囲のみなさんはリサイタルの出来を落としてでも行け!という感じでしたが、このコンサートマスターの方だけは
「その一週間後にリサイタルがあるの…?う〜ん」と遠くをみつめ、私はどこか(今回受けなくてもいいかも)という聞こえない言葉をいただいたような気がしました。話の流れでとりあえずオーディション準備のためのレッスンを来週の木曜日にお願いすることになりましたが…

明日は朝からカルミナブラーナのリハーサル。もうへとへとなのですが…


2005年10月20日(木) 演奏会2日目:Svoboda, Beethoven, Brahms 

昨日と同じプログラムでの演奏会2日目。

Program:
Svoboda - Overture of the Season, op.89
Beethoven - Piano Concerto No. 4 (Jonathan Biss. pianist)
---intermission---
Brahms - Symphony No. 4

今日はSvobodaのボーイングもクリアし、とくに問題なく演奏会をこなすことができました。

明日から3日間はCarmina Branaですが、その前に、明日のクラスでBeethovenのソナタ全楽章とバッハを弾く予定なので、なかなか大変です。今日はそれなりにそちらの方も練習しましたが、充分な時間をとれなかったので、降り番の曲の最中にCDを聞きながらソナタのイメージトレーニング?をしていました。


2005年10月19日(水) 演奏会1日目:Svoboda, Beethoven, Brahms

先週の土曜日からリハーサルが始まり、今日は演奏会一日目。

Program:
Svoboda - Overture of the Season, op.89
Beethoven - Piano Concerto No. 4 (Jonathan Biss. pianist)
---intermission---
Brahms - Symphony No. 4

SvobodaのOvertureはオレゴンシンフォニーのコミッションでかかれた曲のようです。どちらかというと力強く、少しミニマリズムを思わせる部分もあり、私自身はとても好き、というわけでもないのですが、こうして、新曲に触れる機会があるのはとてもいいことだと思いました。

昨日のリハーサル時にボーイングが変更になった部分があったのですが、後方までうまく伝わってきていなかったのか、一箇所、サブは間違ってしまっていたところがありました。レギュラーのメンバーの方は常に周囲を見ながら演奏する余裕があるのでしょう。すぐに反応し、前についていっていたようです。そういうところはさすが、と思いました。

Beethovenは降り番ですので、バックステージで本を読みながらもどうしても耳は演奏の方に傾いていました。Bissさんは有名な音楽家をご両親にもち、まだ25歳という若手です。バックステージで聞いていても、ものすごくクリーンな印象があり、何よりも聴衆がものすごく喜んでいらっしゃいました。3楽章はそこまで速く弾かなくても…という印象を抱いたくらいですが、お若いですし、それもありかな、と思って聞いていました。(笑)

今日一番の心配だったBrahms。とにかく力まずにのぞむようにしました。100パーセント弾こうと思うと余裕を失うので、それよりはとにかく周囲にブレンドし、オーケストラの一部として貢献できれば、と思っていました。すると、多分今日までのなかでは一番よくできたように思うことができました。音程も音色もきちんとみなさんにうまくブレンドできたと思いますし、よい経験になりました。


2005年10月15日(土) リハーサル:私の名前がない?!

今日から来週の演奏会のリハーサル。仕事の以来があってすぐに楽譜をもらってセカンドのパートをそれなりに練習してありました。リハーサル会場に着き、すぐに席順の書かれてある紙をチェック。セカンドの一番後ろのはずなので、そのあたりをみてみるのですが、私の名前がありません…。きちんと電話で仕事の依頼があったので、間違えということはないはず。とりあえずファーストのほうもみてみると、なぜか私の名前が。もちろん一番後方の席ですが、まさか突然ファーストに移るなどということは考えもしなかったので、かなり驚きました。でも一番後ろの内側の席にはすでにどなたかが座られて…「すみませんが、ここは私の席ではないですか?」「え?そんなことはないはずですけど?では一緒にチャートを確認しにいきましょう」…「ほら、あなたの名前の方が上にあるでしょう、ということはあなたが外側ですよ。コンサートマスターの名前だって上にあるでしょう。だから間違えではないですよ」目が点になるというのはこういうことなのでしょうか。本当に驚いてしまいました。

なかには「あなた昇格したのね」などと耳打ちしてくださるメンバーの方もあって、そういうことなのかしら…という気にさせられましたが、複雑な気持ちでもあります。

席には着いたものの、ファーストのパートはよく知りません。もちろん、ブラームスの交響曲4番という有名な作品ですし、CDを聞きながらセカンドのパートは勉強してきたので、大体のことはわかるのですが…仕方なくリハーサルは初見で臨むことになってしまいました。

心配をしていたほどのことはなく、リハーサルは無事に終わりましたが、これからどこまでファーストのパートをしっかり学ぶことができるのでしょうか…


2005年10月10日(月) レッスン:ベートーベン3楽章、ブラームス3楽章

オーディションを見送ることにするまでにかなり悩み、と同時に9月末の演奏会が終了後はオーディションとリサイタル両方のレパートリーを練習し、肉体的にも疲労がたまっていました。

5日(水)にはいつものようにリハーサルをし、7日(金)にはリハーサルの後、クラスでブラームス1楽章、2楽章、ベートーベンの1楽章を演奏し、今日はまたレッスンでベートーベン3楽章、ブラームス3楽章をみて頂きました。

ベートーベンは録音を聞いてみるとロンドの軽さや6/8のリズムの正確性に、二人ともが欠けているようにも思えましたが、ベートーベンの1楽章もそうだったようにやはり時間のかけ方が少し足りないのだろう、と思っています。

ブラームスの3楽章はなかなか手ごわいものがあります。書かれかたがピアニスティックなのでしょうか?まだまだ戸惑いを感じます。

先週の水曜日、金曜日そして今日、とかなり詰めて勉強をしたので、自分のなかで少し息苦しさのようなものを感じ始めました。ピアニストとも少し距離をおき少し一人の時間が持ちたくなったので、水曜日のリハーサルは見送ることにしました。

そう考えるだけで少し気持ちが楽になります。明日は思い切り寝坊をしても良いので、しっかり眠りたい。そんな気持ちです。


2005年10月07日(金) 演奏会を聴きに:American String Quartet

昨日はたくさん書くことがあったので、省いてしまったのですが、昨日の夜はアメリカンストリングカルテットの演奏会を聞きにいきました。

program:

Brahms - Quintet in F Major, op.88
Shostakovich - Quartet No.3 in F Major, op.73
---intermission---
Brahms - String Sextet in G Major, op. 36

American String Quaretet
Peter Winograd, violin
Laurie Carney, violin
Daniel Avshalomov, viola
Margo Tatgenhorst Drakos, cello

guest
Brian Dembow, violist
Stephen Erdody, cello

とても素晴らしい演奏会でした。アンサンブルとしての確固とした音があって、セクションごとのキャラクターのコントラストが見事に表現されていました。ここ最近オーケストラの演奏会のなかにばかりいたので、最初は発信される「音」の違いに少し戸惑いを覚えたほどでしたが、そんなことにはすぐになれてしまい、すぐに演奏に吸い込まれていってしまいました。

ゲストの方々は以前私の在籍する大学で教鞭をとっていらした方々ということで、演奏会終了後、お会いしたいと思って夫と一緒にお姿を探したのですが、お会いすることはできませんでした。私はとくにゲストのチェリストの方の音楽性溢れる弾きかたにはとても惹かれるものがありましたので残念でした。

そういえば、ひとつ神様から手助けを得られたことがあります。実は今日の演奏会は生徒のお母さまから頂いたチケットで行ったのですが、もちろん、当初夫の分はありませんでした。当日券を手に入れようととりあえず一緒に会場に行ったのです。本来このチケットは45ドルほどで買えるそうなのですが、学生用当日券はなんと10ドルとのこと。私はいつもお財布に入っている学生証を取り出そうとすると、なんと見当たりません!!バッグの中に落ちているようでもなく、肩を落としているところ、ある紳士が「ここにチケットが一枚ありますから、どうぞ。でも私が良い方の席をとりますよ」「おいくらで譲っていただけるんですか?」「Freeです」なんとも素晴らしいギフトでした。おかげで夫も別の席ではありましたが、一緒に演奏会を楽しむことができたのです。お名前も知らない紳士の方、そして、神様、ありがとうございました。

それから、演奏会の休憩中に学友たちに会うこともできました。ここのところオーディションを諦めたり、日記には書いていませんが、生徒との間でも大きな問題が発生してしまい、かなり消耗してしまっていたので、素晴らしい音楽と演奏と、神さまからのギフト、そして、友人たちとの会話は少し私の気持ちをやわらげてくれたような気がします。

******

ここまでは昨日のことですが、今日のクラスではブラームスの1楽章2楽章、ベートーベンの1楽章を演奏しました。ブラームスの1楽章に関しては少し走ってしまうようなところがあり、それは改めたいと思いましたが、私自身の目標であった、楽器の鳴りを保ちながらのSotto Voceの表現はどうやら成功していたようです。今日は前回よりも少しナーバスになっていました。やはりブラームスを演奏することにまだ慣れていないからでしょう…


2005年10月06日(木) 決断:オーディションは見送ることに

ここ数週間あまりにいろいろなことが起こっていて、かなりの疲労を感じています。良いこと、悪いこと、面倒なこと…どちらにしてもあまりにも騒がしい毎日。

これまでかなり強く心のなかに引っかかっていた問題がオーディションのこと。11月5日に設定されたそのオーディションを受けるかどうか。

夏のコンサートシリーズの最後を含めて3回もお仕事を頂いてきて、サブというそのポジションとしてでも良いのでそのオーケストラで弾き続けていたい、という気持ちがより強くなり、どうしてもオーディションは受けておきたいというのが私の希望でした。オーディションを受けないとそのオーケストラにはもう興味がないのだと理解され、仕事がこなくなる。オーケストラもそのオーディションで上位になった人をサブとしてでも迎え入れる可能性が大である、という話も聞きましたし。

そういう気持ちに歯止めをかけなければならない第一の理由がリサイタル。修士取得を目の前に、先学期から今学期に延期をした卒業リサイタルです。これまでリサイタルをなんとか12月にできないかといろいろなところに足を運び、場所を設定しようと試みましたが、12月はどこも忙しいようで空きがなく、また、演奏に必要なピアノの確保ができない、などの理由で借りられるところが全くみつかりませんでした。その上、アカデミックカウンセラーによる決定的な言葉を頂いたのは10日前のこと。「必要なペーパーワークの締め切りがあるので、11月27日までにリサイタルを終えるべきです。」

リサイタルは場所のAvailabilityの関係上、オーディション一週間後の11月13日にしかならず。それでも、できれば両方できないか、ととくにここ一週間はリサイタルとオーディションの両方のレパートリーを練習し続けたのですが、まだ多少の故障が残る左腕は決定的に「No」のサインを出しています。これ以上、このような練習を続けたら、また以前の腕の状態に戻ってしまうのは確かです。

目の前のチャンスには全て挑戦してきた私ですが、今回はどうしてもそうすることができません。まだ自分の気持ちの整理がつかないほど、なんだか悔しい思いですが、今後一生の音楽家人生を思えば、大したことはないですし、もし、そのオーケストラからはずされれば、私のいるべき本当の場所はそこではない、という意味かもしれません。

神様は確実に私の歩むべき路に私を導いてくださっているのでしょう。


けい |MAIL

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