空虚。
しずく。



 終わりだ。

飛んでしまおう。
ここから飛ぶだけで、楽になれる。
死ねなくていい。
この"頭"はもう要らない。
狂ったようにまわり続ける思考回路を、

――・・・止めて。


気づけば、傷つけていた。
久しぶりに手にしたのは、使い慣れたカッター。
心が痛む。鋭いナイフで刺されるように。
あの人の言葉ひとつひとつが私に突き刺さる。

"壊れる。"

直感した瞬間に走った紅い線。

「逸らさなきゃ。対象を。」

一心不乱に、傷つけた。
腕を、手の甲を、
見当たるところ。すべて。

痛みの欠片も感じない。
ああ、きっと手首を切っても感じないんだ。
それを考えたら、可笑しくなって。

笑った。
瞳からは涙を流してるのに。
口は笑いを上げるのを止めてくれなくて。

血が流れ出すのをみて、また笑った。
いつから私の血はこんなに黒くなったんだ?
あんなに、キレイに見えたのに・・・。

「汚い。」

無性に腹が立ったのと、
自分には似合いだと思ったのと、
何故か悲しくなったのと。

私には何処まで価値がないんだろう。
傷つけてもこんな色の血しか流せないなんて。

足りない。まだ嘲り足りない。

「も、死ぬしかないや・・・。」

手首切ってもきっと死ねないから、
窓に近寄って、ベランダに出ようとした。

・・・そこで、記憶が途切れた。


"『死ね。』"

"それが私への、最期の嘲り。"

2002年02月20日(水)
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