A Thousand Blessings
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2006年05月16日(火) 人魚

NOKKOの“人魚”が特別なのは・・・
筒美京平の90年代の最高傑作だからではなく、
NOKKOが歌っているという、その一点において「特別」なのである。

2分4秒、「あなた」の「た」。
2分17秒、「抱いて」。
3分13秒、「その胸が」の「が」。

偶然の産物であったとしても、これらの表現は
やはりアーチスティックな意味において
高みに達した結果である、と言っていいと思う。

僕らは、そういう細かい部分にこだわって音楽を聴いていきたい。
つまり骨の髄までしゃぶってもらえることが
音楽にとっての幸福であり、またそういう音楽こそが聴かれる価値の
あるものだと考える。

色気ではNOKKOを上回る安室 奈美恵ではあるが
今回のオリジナル完コピ・カバーバージョンを聴き終えたとき
残念ながら心に残るものは何もなかった。
「その胸が」の「が」に切実さは微塵もなく、あるのは濁った響きだけである。
安室 は大好きだが、これは明らかに冒涜だろう?
avexの狙いも理解できない。頭が悪いのではないだろうか。
もうひとつ、耳も悪い。
オリジナルの価値を高めたことにのみ、意味がある。


響 一朗

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