| 2006年02月18日(土) |
「甘い人生」(韓国の方ね) |
イ・ビョンホンにやられた〜〜〜(>_<)
実は、ノワールものって、時間をかけて心を決めないと見られない方です。 それもあって、本当は劇場で見たかったんですけども、心が間に合わずに見られなかった一本がこれ。 韓流四天王の中でも、ワシが個人的に一番役者として上手いと思っているのが、イ・ビョンホンです。ビョンホンに比べると、他の三人はまだまだだね(←すごく上から目線で我ながら生意気だとは思うけれども(笑))というのが正直な感想。というのも、彼は本当にセリフを必要としない役者だからです。
んで、今回の「甘い人生」ですが、彼が世界進出をかけてつくったノワールものってことで、痛々しい場面が目白押し。ううう、痛い。 まぁでも、ノワールものなんだから仕方ない。痛い場面があることによって、それに反する情の部分を際立たせるのが手法なわけですから。
とりあえず、あらすじ。 ソヌ(イ・ビョンホン)はカン社長の忠実な部下としてホテルで働く物静かな男。ところがあるとき、ソヌはカン社長が海外出張する際に、若い愛人(シン・ミナ)の面倒を見て欲しいと頼まれたことから、人生を狂わせていく。 もしも若い愛人に恋人がいるようなら、ソヌの手で始末するか、カン社長に報告をするようにと言われるが、ほのかに芽生えたなにかによって、ソヌは愛人の恋人を見逃してしまう。 しかし、そのことを社長に知られたソヌは、逆に社長の怒りを買い、その命を狙われることになる。酷いリンチを切り抜け、命からがら逃げ出したソヌは、カン社長に復讐の刃を向けるが・・・。
とまぁ、こんな感じ。ストーリーはいたってシンプル。しかし、セリフが非常に少ない中で、ソヌの感情をピタ〜っと表現してくるビョンホンはさすがとしか言いようがない。 間合い、呼吸、見終わった後の余韻といい、ある意味、とても映画らしい映画。 久しぶりによく泣いたし、見終わった後に「ほぅ〜」と深い息をついた。しかも、さらに余韻で泣けるっつーのもすごいことだと思う。
畑をたがやして水をまき、土によく吸い込ませるように、痛々しい場面が目白押しな分、ソヌの情の部分がよく滲みてくる。しかも、ソヌは愛人のことを好きだとかなんだとか一切口にしないにも関わらず、痛いほどにそれが伝わってきて切ないったらありゃしない。こういうのをやらせたら、本当にイビョンホンは上手いのです。
以前、妻夫木との対談の時に「僕はアクション俳優じゃない」と言っていたけれど、本当にその通りで、どっちかというと、アクション俳優の位置はチャン・ドンゴンの方が当てはまると思うのです。んで、ペ・ヨンジュンはメロドラ俳優で、ビニーは若手スター(笑)かな。
ペは「冬ソナ」脱却を狙って、「スキャンダル」で映画主演デビューとかしたけれど、結局日本のニーズは「冬ソナ」のチュンサンの枠内だっちゅーことで思ったほどのブレイクにならず、その次作で日本のニーズ(恋に悩み愛に生きる男性像)のど真ん中である「四月の雪」路線に行ったわけだとワシは思うのです。
しかし、まぁ、並べるのも変ですがペヨンジュンの「冬ソナ」を筆頭とし、他に出演していたドラマ「パパ」とか、「初恋」とか、「愛の群像」とか「ホテリアー」とかを見ても、彼っていまいち「切なく」無いのです。いや、切なくないというよりは、役柄の設定以上に切なくないというか、役者としての力で切なさを醸し出していないような気がするのです。(←よく考えると、ペヨンジュンファンに本気で殺されそうなこと書いてるな、ワシ・・・。でもまぁ、あくまでも個人の好みの問題だから(^^;)ワシはそう思うということだから〜〜〜(>_<)。ペヨンジュンファンの方は読まないでください・・・)なんちゅーか、結構サラっとしてるなぁ〜というか・・・。比較的「冬ソナ」はいい出来の方だと思うけど、ある意味ユンソクホ監督が上手いというか、話に救われたというか・・・。 決してペヨンジュンが嫌いってわけではないので誤解しないでいただきたいのですが、ペヨンジュンが好きな人は、「彼自身」が好きなんであって、役者としての力量がずば抜けているってわけではないんじゃないかな?って思うだけです(^^;)
一方、イビョンホンですが、彼の方がメロドラマでもメロ度が高いというか(←メロ度って一体・・・)、「美しき日々」とか、「オールイン」とかでもヒロインに対する「愛」の度合いがヒシヒシと伝わってくるというか、役柄の心情を受け手に伝える力が非常に強いと思うのです。 「好きだ」と声にしなくても、その視線やしぐさで気持ちが十分に感じられるし、「遠い路」や「ハッピートゥギャザー」など見られる家族愛の方向でも、非常にそれは上手いなと感じるわけです。 恋愛感情にしても、それは「美しき日々」に見られるひた向きで激しい愛から、「我が心のオルガン」のようなピュアでちょっとまだ幼くて不器用なもの、果ては「ひまわり」のような狂気のレベルに至っても十分に演じ分けられてると思われ、そんなイビョンホンだからこそ「誰にでも秘密がある」が出来るわけで・・・。
それはおそらく、イビョンホンの目配りがやや寂しげなトコロがあるからかもしれませんけどねぇ。だからこそ、不憫な背景のキャラがハマるんだとも思うし、役柄的にもそういうものが多いのだろうとも思いますが(←順当にいいところのお坊ちゃんで、家族仲も良く平和でハッピーみたいなものはほとんどないですよね〜)、そこがまたさらに、女性の心をくすぐるキャラにもなり得ているのではとも思われます(笑)。母性本能をくすぐるキャラって、やっぱり美味しいじゃないですか(笑)。
ワシも別にビョンホン自身が好みだとか好きとかって特にないんですけども、見るたびに「この人上手いなぁ〜」と思わされるので、それはやはりすごいなと思うのです。
まぁ、そんなごたくはさておき、「甘い人生」なのですが、どっちかというと韓流ブーム嫌いの人に見て欲しいなぁと思います。逆に、この映画は「韓流ブーム」がかえって邪魔になった作品なんじゃないかなぁ。韓流のメロ主流系が好きな人には、これはちょっと痛々しくて見られないと思うし。 普通の映画ファンに先入観なく見て欲しいです。そうしたら、ラストでガツンとくること間違いなし。っつーか、ここまでワシが褒めたから「そこまででもないじゃん」と思うかもしれないので、ここでこれを読んだことも忘れてから見て!(←おい)
笑顔ひとつでここまで人を泣かせる人も珍しい。
いや〜、確かに原田泰造に似てるかもしれないけれども(笑←ツ○ヤでそう言われていたからさ)、それでもやっぱり上手いから。 ぜひとも見ていただきたい作品です。韓国版と日本版とちょっと違うようですが、どこが違うのかなぁ?知ってる人がいたら、教えて欲しいわ。
それと、エリックも非常にいい役もらってたね(笑)。ちょこっとしか出ないけど、美味しくてカッコいい役じゃ〜ん。エリックって、髪型ですごく雰囲気が変わるから、たまに分からないときが・・・(苦笑)。
しかし、映画館で見たかったなぁ〜。 どっかで遅れてやってないものかしら。多少の距離なら行くのになぁ。
やっぱり赤いランプと笑顔でしょう。
泣きたい人にもぜひ!
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