74年間もの白人至上主義のアカデミー賞の歴史の中で、黒人女性にして初めての最優秀主演女優賞を取るという快挙を成し遂げたハル・ベリー主演のシリアスドラマ。 原題が「Monster's Ball」で、これまた昨日の「グリーン・デスティニー」に続いて、どうして邦題でこうも変わっちゃったのかしら?という作品。
あらすじ ハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)は人種差別も色濃く残るジョージア州立刑務所に勤めている。身体を悪くして自宅療養している黒人嫌いの父バック(ピーター・ボイル)も元看守で、自分の息子ソニー(ヒース・レジャー)も看守になったばかりだ。父の影響を多大に受けた自分とは違って、ソニーは近所の黒人家族とも仲良くするし、気性も穏やか。しかし、祖父はそれを「やわな甘ちゃん」だと言うのだった。 ハンクの勤めている刑務所に収容され間もなく処刑される死刑囚のマスグローブ。その妻のレティシア(ハル・ベリー)は、夫のいない生活ながらも、一人息子の面倒をみながら頑張ってきた。 原題にあるMonster's Ballとは、死刑囚の処刑前日に行われるパーティのこと。パーティとはいえ、静かに過ごすだけなのだが、絵を描くことが好きなマスグローブはペンをもらい、ハンクとソニーの似顔絵を描いた。そして翌日、処刑の段になって、緊張からミスをしてしまうソニー。そのことを激しく叱られ、翌日にはソニーもハンクの目の前で自らの命を絶つ。
一方、夫が処刑されて間もなく、さらなる悲劇がレティシアを襲う。金もなく、車を治す金もないレティシアと息子が歩いている時に、息子がひき逃げに会う。雨の中、路上で泣き叫ぶレティシアを見つけ偶然にも病院に運んだのはハンクだった。 その甲斐なく、レティシアの息子も他界。全てを失った彼女に、自然と優しく出来るハンク。ハンクもまた、ソニーを失った時に、何かを感じ取っていたのだ。なにかとレティシアの支えになろうとするハンク。しかし、レティシアはまだ、ハンクが自分の夫の刑を見取った人物だとは知らなかった・・・。
深いです。間で理解させる映画といいますか、ハル・ベリー体当たりです。 整理して説明すると、レティシアにとって、ハンクは ・自分の夫の最期を看取った男 であり、同時に ・自分の息子が事故にあった時に助けてくれた男 であるわけです。 18禁なだけあって、確かに濡れ場は気合が入っておりますが、コレ無しでは見られないというか、二人のその行為の変化にも、よく二人の関係の変化が現れていてすばらしい。まさにベッドシーンを効果的に使った作品といえましょう。客寄せのために「とりあえずやらせとけ」という作品が多い中、激しいながらもしっかりとその意味を踏まえている今作品は、まさにワシ好み。心のうねりがよく表現されています。
で、チョコレート。なぜこのタイトル?と思い、ちょっと深く考えてみたり。 レティシアの息子タイレルが、レティシアに怒られながらもしつこくしつこくデブの身体でチョコレートを食べ続けるのです。そのせい?(チョコレート自体が息子の求めている愛の暗喩?)とか、それとも、ラストでハンクがアイスクリームを買いに行くと言った時に、レティシアが欲しがったのがチョコレートアイスだから?・・とか。それともそれとも、レティシアの肌の色を示して?とかね。そういやハンクもチョコアイスをよく食べていたっけ。 まぁ、邦題をつけた方の意図はわかりませんが、色んな意味で深く切なく素敵な作品です。 自分のためにイロイロしてくれたハンクに対してお礼をしようと、結婚指輪を売るレティシアや、バックに酷いことを言われて帰ろうとするレティシアを引き止めるハンクの姿など、随所に見所があるのですが、個人的にはやはりラストの全てを知ったレティシアが、階段のところで見せる表情がも〜〜〜〜絶妙! マスグローブの描いたハンクとソニーの似顔絵をこっそり見て、最初は怒るものの、階段に座りながらソニーの墓を遠くに見つめ、ハンクの食べるアイスを一口もらう。その間、殆どセリフらしいセリフは無し。それでも、その間にレティシアが一人悩み、考え、でも最後はハンクの行動が愛から来ているものだと納得出来ているとわかる。すごい。
地味でシンプルな作りながら、見返すたびに理解が深まっていくような作品です。もうちょっと時間を置いて、もう一度見てみたい気がします。
ハル・ベリーの尻も非常にかっちょいいです(←俗な意見ですまぬ)。ちゃんと、妻の顔と、母の顔と、女の顔と違って見えるところもすごいです。
必見。意味ある18禁映画ですね。うんうん。ワシの目指したい18禁もこういうラインなんだけどなぁ。むずかしいねぇ(^^;)。
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