It offers a cup of wine at common days!
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 ちびくろさんぼ

日比谷にいられるのも、今週一杯となった。
ふと、あっちには、昔ながらのダサい美容院しかないだろうと思いつき、
慌てて、いつも通っている銀座の美容院に予約の電話を入れた。
これからは、会社帰りにこの美容院に寄る
などということは、ほぼ不可能だろうしねっ

ということで、
最後の銀座の美容院行きを急遽決行した(笑)

いろいろ美容院は浮気したが、
半額チケットに惹かれて入った店の女性のスタイリストさんに
惚れてしまい、
それからここにずっと通っている。
カットがうまいだけでなく、イメージを人に伝えることができる
という点が素晴らしい。
一番最初にカットされた時、
彼女が説明しているイメージは、もしかしたらああいうのなのだな!
と、自分の髪を見て察知することができた。
自分の髪なのに、
客観的にそのスタイリストさんのイメージを受け取ることができる
というのは、初めての経験だったので
非常に感動した。
また、お洒落に自信もポリシーもない私は、
髪型を具体的にどうしますか?
と聞かれることが苦手だが、
彼女には、具体的に言わなくとも
「若々しく」
「優しい感じに」
「かっこいいのがいいです」
など抽象的表現で済んでしまうのがいい。
だいたい抽象的表現にしてしまうと、
それは受け流して、具体的表現をあの手この手で聞き出そうとする
という美容師さんが多いが、
抽象表現を受け入れてくれても、
私の年齢から考えるのか
奈良の大仏様の頭ですか?これは?
みたいなくりんくりんパーマにしてくれる田舎の美容師さんや
どこ切ったんですか?
みたいに怖がってほとんどカットしないスタイリストさんが多い。
彼女はそんなことはない。
自分の思い描くものに向かって、どんどん突き進む。
前髪の作る作らないも、もう彼女の独断で決められていく。
(聞く前に客が寝ていたという話あり(笑))
「この人は××歳なのだから、
その年齢からする若々しい髪型とは・・・」
などという考えもない。
しかし、
私のズボラな性格を見抜いていて、それを目立たせない工夫は
毎回してくる(笑)
しかし、苦労の甲斐なく、
また来た時に、いつもの髪型に戻りつつあるのを見ると
「ココ、前髪ぱっくり割れてるのは、"ダサイ"ですよ!」
と、批評も容赦なくする(笑)
自分は、
てっぺんに高々と結い上げた妙ちきりんな髪型にしているのに・・・
(先月も、長〜い面白いお下げにしてよなぁ・・・)
と思ったりもするが、
彼女の言うことも尤もなので、
爪先見て項垂れることにしている(笑)
そんな彼女の行った私のカットを見て
友人は感嘆した挙句、
長年行きつけていた店からそこの美容院へ変えてしまった(笑)
それほどまでに、
彼女は個人をその人に合った形で変身させる技術を持っている。

「今日はどうされますか?」
半分寝かかった私に問う人。
「んーと・・・
後ろ跳ねるんで、何とかしてください(抽象1)」
「全体の長さはどうされます?」
「長くしようかと思いましたが、短くてもいいです。
おまかせします(抽象2)」
「どんな感じがいいですか?」
たくさんのカタログ。
見ているだけで眠くなる。
「かわいらしい感じにしてください(抽象3)」
「ふむ・・・パーマかけてもいいですか?」
「いいッスよ〜」
そう言ったか言わないかのうちに、私は熟睡してしまった。
目が醒めて、カットルームからセットルームへ移動。
そこの明るいライトに照らされて、私は初めて新作を見た。
「寝てらしたんで、前髪は独断で作っちゃいました♪
後ろも短く揃えて、全体は自由に跳ねるような感じにしてみました。
ホントはお嬢様チックにしようと思ったんですが、
また前髪割れちゃう可能性があると思ったんで・・・(ニヤ)」
鏡の中の私は、昨日までの私とは別人のようだった。
前割れありのショートボブのウルフカット残り中のおばさん
から、
短い髪にフェミニンな優しいパーマのかかったお姉ちゃん
に変身していた。
こんな髪型した女の子、さっきのカタログのどれかで見たよなぁ・・・
とすぐに気付いた。
あのイメージだったんだな、今回は!
確かに、カタログの女の子は、短い髪が柔らかく奔放に跳ねていて
すごくかわいらしかった。
しかし・・・
そのかわいらしい髪型の真中のモデルが「私」であると
単なる ちびくろさんぼ にしかなっていなかったのである!!
カットもパーマも成功している。
確かに上手にセットされ、雑誌から抜き出したような出来栄えだ。
「これ、髪洗ったら、セット難しくないですか?」
「いいえー すごく簡単ですよ!
もう塗らしたら、そのまま好きな方向に跳ねかせて
それでOK!」
本人は出来栄えが気に入ったらしく、
いつまでも細部の仕上げに余念がない。
レジに行った時、レジにいた別のスタイリストさんが
「ムム・・・かわいい・・・ヤバい・・・ヤバいっすよォ」
と髪型の出来栄えを評価し、
同行していた私の担当のスタイリストさんは、ふんぞり返った。
「でしょ、でしょ? ふふふっ」
しかし、2人はあきらかに専門的な視点で語り合っているのであって
私本人がそれに似合っているかどうかというのは
全くの蚊帳の外だったりするのだった・・・

かくして、
銀座最後の美容院での仕上がりは、ちびくろさんぼ となった。
明日の会社の人の目を想像すると、怖い。
というか、
きっと一回洗ったら、ただのオバちゃんパーマだろうなぁ
と思う。
溶けてバターになりたい・・・

2002年09月03日(火)
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