航宙日誌
『革命戦記』と輝&Ark☆の珍道中?

2008年12月05日(金) 読んでしまった;;;

 そう、読んでしまったよ、『彩雲国物語』最新刊。結局、手元にあるのに我慢なんて、できるはずもなかった★
 んでもって、予想以上の衝撃的展開!?に、結構マジに打ちのめされてしまった。いや、たま〜にだが、体の不調を訴えることもあったりする。胃が痛くなったり、重くなったり、胸焼けみたいになったり。(酒で胸焼けになったことはないので、適当な表現ではないかもしれないが) そんな大袈裟な、と思われるだろうが、輝の場合は本当にある。それでも、本当にたまにしかないが。
 これまで、一番酷かったのは『ガンダムΖΖ』本放送時、「ブライトがエマリーと不倫する」とかいう設定が上がってきた時だったか……。しかも、ブライトの方がエマリーに…、みたいな情報がアニメ誌に書かれた時はマジにキツかった。
 ま、話が進むにつれ、エマリーの方がブライトにゾッコン、というのが明らかになったので、ホッとしたが。今となっては懐かしいなぁ。別にエマリーも嫌いなキャラじゃなかった。寧ろ、好きな方だった。ただ、ブライト好きな余りに、再登場時にはキャラが変わってしまっていたのだけは頂けなかったが。

 ……;;; 『ガンダム』話は置いといて? とまぁ、そんな感じで、所詮は『物語』のはずなのに、結構、深刻なくらいの衝撃を受けることがあったりするわけだ。時には自分では、それほどでもないと思っていたのに、不調になったりして、予想外に衝撃的だったことに気付いたりもするほどに。
 今回も読了後は──どう受け止めてよいのか、どう解釈するべきなのか、よく解らず、翌日一杯くらいは体にまできた。落ち着いてきたのは、それでも、もう一回は読み返し、解釈(可能な限り良い方に?)を進めてみようとしたからでもあったかと。ネタバレモロありなので、以下注意★


 で、今回の売り?はどー考えても、『悠舜さんの正体』なんだろうなぁ。ま、輝的には判明したのは正体というより、まだ素性といった方が適当と思う……。つーか、思いたい!! 実は敵方確定だなんてのは勘弁して欲しいTT

 悠舜の素性は確かに、全く触れられてこなかった。これまでの最過去物語は外伝の『隣の百合は白』で、国試受験の頃なのだが、紫州州試首席及第──つまり、紫州での予備試験(みたいなものだろう)を受けたということまで。だからといって、紫州出身とは限らなかったわけで──……。この辺、自分でもどう受け取っていたのか、そう前のことでもないのに、よく思い出せなかったりする。相当に今回の打撃が大きかった。

 で、素性はというと『彩七家筆頭紅家の筆頭家門・姫家に連なる者。しかも、百年に一度排出されるか否かと云われる天才軍師“鳳麟”と目される者』だった。明文されてはいないが、紅家に並ぶ藍家の“龍連”に倣えば、“鳳麟”と称される者は当主に任ぜられる可能性もあるわけで、『何処の馬の骨とも知れない』国試の状元が実は十二分に毛並みの良い貴族様にも上げられるべきお人だったということになる。
 ……しかし、以前、葵皇毅に『姫君』呼ばわりされていたのが駄洒落とかだったら、どうしよう;;;
 それはともかく、悠舜の知識の深さからいえば、貴族出身も考えられないことではなく、素性云々より、過去の方が衝撃的だった。

 紅家を支えるべき妃家だが、『血の覇王』と呼ばれた先王に目を付けられ、殲滅の憂き目を見た。悠舜はその唯一の生き残り(多分)なのだが、その経緯に、紅家も関わってくる。
 時の紅家当主は邵可・黎深の父親だが、然程の胆力はなく、『紅家が生き残りたくば妃家を差し出せ』との取引を持ちかけられたらしく、“鳳麟”の存在すら疑っていた先代当主は妃家を売った、と……。
 無茶苦茶な罠が巡らされているような隠れ里に、王の軍がどのように達したかは別として(縹家や『風の狼』が関わっている?)、とにかくも、元々、軍師を出すとはいえ、自前の軍は持たない様子の妃一族は数も少なく、ほんの一昼夜で滅ぼされてしまった。
 その最中、王に捕らえられながらも、問答によって、王を論破した一人の少年。それが当代の“鳳麟”──後の悠舜だった。
 彼は来襲を察し、紅家に助けを求めていた。当主ではなく、次代の当主と目される者。まだまだ、幼いが、十分に明敏なはずだった紅黎深に。だが、その時の黎深にとって、世界を成すのは兄だけだった。
 他の何事にも無関心で『どうでもいい』と──それは切り捨てたわけでもなく、ただ、本当に『世界』が狭かったというだけのことに違いない。
 その言葉の帰結する先を天才と言われる黎深でさえ、見通すことは敵わなかった。三十年ほども経って、その意味を知ることになるまでは──……。

 つまり、“鳳麟”こと悠舜にとって、紅家直系の黎深は主君に当たるはずだった。けれど、妃家滅亡の一件により、一族の仇敵にもなった。王家もまた然り。逃れ、生き延び、長じては官吏となり、尚書令までなった悠舜だが、現王・劉輝は先王の息子。仇の息子といえなくもない。
 ただ、妃家一族に通ずる性質として、どこか、生身の人間としての感情には乏しいような印象が見受けられた。大体がして、『生に執着しない者が多い』という辺りにも出ている。
 ところが、そんな姫家が主家に選んだのが紅家だったというのがまた皮肉。特に忠義も恩義もなく、実は主従関係とさえ思っていないのに、一族大事の余りに暴走するような人間味溢れる(とこの際は言っておこう)紅家でなければ、主君たり得ない、と。
 或いは、見捨てられ、一族を失い、どうにか生き延び、貴族派の首領・旺季に救われたと見られる“鳳麟”(称号のようなものだから、多分、本名は他にある)。名を変え、皮肉な星回りの結果、黎深と友人として接することになった今でも、実は悠舜はそう思っているのではないか、とも考えられる。

 確かに最新刊の流れからは、まるで“鳳麟”=悠舜が黒幕のように受け取れる。
 とはいえ、“鳳麟”の名を示す鳳麟印を使い、紅家を危急に追い込んだ者が実は誰なのか。それこそ、明確に示されたわけではない(…と、信じたい)。
 少なくとも、今回使われた鳳麟印は偽造印であり、持っていたのは凌晏樹だが、それとて、彼がずっと所持し、使っていたとも限らない。
 ただ、確かなのは貴族派の旺季の後継者の一人とも目される晏樹が悠舜の素性を知っていたこと。ならば、恐らくは皇毅も知っているだろうこと。
 晏樹が言う『悠舜が三人目の後継者』であるのも間違いはないのだろうということ、か。
 だからといって、悠舜が現王を追い落とすという旺季の目的と自身の願いを同じくしているとも、また限らない。紅家以外の何者も、妃家の人間である彼の主君にはなれない、という可能性があると考えられるからだ。(つか、信じたいだけ?)

 忘れていた古い記憶を思い出した黎深は、間違いなく、友人を失いかねない現実に恐れをなすほどになった。兄以外は、どうでもよかったはずの彼が……。
 そして、鳳麟のことも含め、事態と対決せざるを得なくなったのが紅家当主を新たに引き受けた邵可。彼が如何に動くのか。しかも、彼には行方不明になってしまった娘(主人公です;;;)のこともある。
 既に、続巻が待たれるものだ。

 ところで、“鳳麟”の称号は直系以外は使えない紅家直紋“桐竹鳳麟”から来ているという。もしかしたら、逆ということもあるが。つまり、妃家の“鳳麟”を有するが故に、直紋に採り入れたという可能性だ。
 何にせよ、“鳳麟”とは鳳凰の“鳳”と麒麟の“麟”ということになるが、ともに瑞獣で、雌雄からなる。鳳凰は鳳が雄で、凰が雌。麒麟は麒が雄で、麟が雌。
 “鳳麟”は雄・雌の組み合わせとなるのだが──或いはこれも意味があるのだろうか?(単に語呂というか、音の響きだけで選んだとも言えなくもないか。

 ともかく、早いところ、全ての謎が明らかになることを望む!! ……っても、また胃が痛くなるような謎解明は嫌だなぁ。


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