親しくしていただいている作家 神渡 良平 氏よりいただいた氏の近著「星降るカミーノ」じっくりと浸って読みました。 著者は九州大学医学部を思うところ有り中退した後、新聞・雑誌記者として多忙な日々を送ってた38才に脳梗塞で倒れ、一時は半身不随となったが、安岡正篤の世界に出会い、“一隅を照らす”の言葉に導かれるように必死のリハビリの結果奇跡的に再起を果たし、作品「安岡正篤の世界」を皮切りに作家活動を続けておられます。生死の境にいたときの気づきから、人生の方向性を見失っている現代人にカンフル剤となる、確かなこころの世界の有り様を、実在の覚者達を通していきいきと描き、示しています。 「星降るカミーノ」は氏のこれまでのこころの旅路の総決算とも言える“召命”に応えて、スペインへのキリスト教布教つくしたイエスの十二弟子の一人、聖ヤコブの墓への巡礼道“カミーノ”を、フランス最南端サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからピレネー山脈を越えてスペインに入り、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで約800キロを、歩いて巡礼した記録です。その内容は副題にあるように、まさに“魂の旅路”そのものです。しかも氏個人に内在している聖ヤコブの魂の復活にまで踏み込んだもので、肉体の限界を超えるようなすさまじい巡礼行と沈黙の世界での魂との対話を通して、上からこころの根まで降りてきた言葉が記されており、読む者を圧倒します。 決して難解ではなく、氏特有の読みやすい文体のうえ、ユーモアあふれる表現が随所に現れます。チャンスがあれば手に取ってみられてはいかがでしょう。
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