京のいけず日記

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2004年01月30日(金) まな板の上の鯉ならぬ豚

 栗さん。ご、ごめんなさーい。失敗だぁ。栗塚の旦那の似顔絵もどき
何日か前から
歯が痛み出していた。

歯医者さんは苦手。
だから、相当ひどくなるまではいかない。
詰め物が取れても、ひたすら見なかったことにしてしまう。

ところが、どうにもこうにも、我慢できなくなった。

授業中も「大丈夫ですか?」と声をかけてもらう始末。

こりゃ、あかんわ、と観念し、何年かぶりで歯医者さんへ行った。

昨年、近所に出来た新しい歯医者さん。

清潔で明るい診療台の前にはモニタが設置してあり、
ディズニーのビデオ、バグズライフを流していた。

道理で小さな患者さんも多いわけだ。
こりゃ、いいかも。
何がいいかも…って、痛くないかも。。

きれいなお姉さんが前診断をしてくれる。
同性ながら、やはり口を大きく開けて覗き込まれるのは恥ずかしい。
なんせ虫歯だらけの、たぶん、相当ヤバイ口の中なのだ。

C、C、C…。アマルガム、インレ…。
Cってのは確か虫歯…。おいおい幾つあんの。

しばらく待たされたあと、登場したのは男の先生。
同じように口をあーん。相当に恥ずかしい…。

レントゲンを撮りましょうと、
重々しいエプロンをつけ、マウスピースを噛んで。ふぅーん。

レントゲン写真ができるまでの待ち時間。
モニタのバグズライフに見入っていたら、画面がブチっと消えた。

えー、今、ええとこやったのにぃ!

もちろん、そんな顔はしない。にこりと先生の方を振り向いた。

次の瞬間、モニタに映し出されたのは、私の歯のレントゲン写真。
おお、あのIMEは98か。
タイトルバーにはdental…ナントカというソフトの名前。

「この黒くなっている部分が虫歯で…」

先生が一つ一つ丁寧に指摘しながら説明してくれる。
あーあぁ、並んでいるツールボタンで、
治療も画面上でささっと出来ればいいのに。

大きく口を開けさせられたまま、悲しや、まな板の鯉、ならぬ豚。
左側にはバキュームを手にした若いお姉さん。
右手にはビッグコミックあたりの漫画に出てきそうな、
一見、誠実そうで、優しげな青年医師。

ちょうど誰かの耳掃除をしていて
巨大な耳クソを見つけた時のような目の輝き。コワイ。

いくら設備が新しく明るい雰囲気でも、
優しいお姉さん、ハンサムなお医者さんでも、
おなじみのあの器具、おなじみのあの音。ちっとも変わんないやん!!

口の中に指を突っ込まれて、びろーん。

あぁ、神様、仏さま、歳三さまーっ。
もう悪いことしません。お願いだから、やめてぐれ〜!

・・・・・・・・・・・・・。

「…痛そうですね。麻酔をしましょう」

先生は図表を持ってきて、虫歯の進行状況を説明してくれた。
子どもにも理科の授業のようにこうして説明するんだろう。

削った結果、柔かくて、ボコっと穴があくらしい。
どうやら、C4に達していて、神経のすぐ上まで虫歯だそうだ。


「え?なんですって?…し、神経を抜く?」
そんな。抜かなくても大丈夫って、先生言ったやん。

あ、あのですね、も、もしもですよ。
麻酔がかかったなぁ、と思って、削り始めたら、
実は麻酔がまだきいてなかったら、ナンテ…。その。
あぁ、想像するだけでもオソロシや。

「コホン。…お口をあけてくださいね」

キュイィーン!キュイィーン!ガリ、ガリ、ガリ。

「バキュームして」「ハイ」



予約なしで行ったので、待ち時間もあったけれど、
6時にはいって、解放されたのは8時過ぎ。

帰り際、先生はニコリと笑った。

「次は右の奥歯…たぶん同じ状態でしょう。
 …長期になりますね。よろしく」

よろしく、なんてしたくないよー。
手術台と、婦人科の内診台と、歯医者さんの椅子、嫌いだーっ!


何だか毒掃丸の味がする、口の中。しばらくかかりそうです。。

 …そういや、「ありゃ、効かねぇんだ」の石田散薬はどんな味がするんだろう?


Sako