井口健二のOn the Production
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2026年02月01日(日) 今日からぼくが村の映画館

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『今日からぼくが村の映画館』
        “Willaq Pirqa, el cine de mi pueblo”
2025年10月紹介『少女はアンデスの星を見た』に続いて南米
ペルーから届いた原住民の文化に根差した作品。
主人公は山懐の寒村に暮らす少年。村の大人たちはケチュア
語を話しているが、学校に通っている少年はスペイン語も理
解できているようだ。そんな少年が風に運ばれて来た移動映
画館の宣伝チラシを手に入れる。
とは言えそのチラシの意味は判らなかったが、父親が町で商
いをするのに付いていった少年は、父親が友人と会っている
間に小鳥ピチンクの導きで移動映画館を見付け、上映されて
いた『ドラゴン危機一発』を鑑賞する。
そしてその体験に興奮した少年は物語を身振り手振りで家族
や友達に披露し、その熱意で村の人たちも少年と一緒に映画
を観に行くことにするが…。スペイン語吹替だけの映画は村
の大人たちには理解が難しかった。
そこで村人たちは少年に映画を見させ、少年の演技で映画鑑
賞を代用する手段を考案する。それは村人たちが広い世界を
知る数少ない機会でもあった。こうして少年の映画館が開幕
するが、数日後、移動映画館は街を去ってしまう。

脚本と監督はセサル・ガリンド。1948年生まれで本作が長編
2作目という監督の作品は、ケチュア語作品ではペルー映画
史上最高の興行成績を記録し、リマ映画祭での受賞やペルー
映画記者協会賞では5冠に輝いている。
出演はビクトル・アクリオ、エルメリンダ・ルハン、メリー
サ・アルバレス、アルデル・ヤウリカサ、ベルナルド・ロサ
ード、フアン・ウバルド・ウアマン。
この内、長老女性役のルハン、映写技師役のロサール、父の
友人役のウアマン以外の配役には非俳優の人たちが起用され
ており、特に少年役のアクリオは撮影時12歳でケチュア語の
詩が朗読できるということで抜擢されたが、主人公と同様に
それまで映画を観たことはなかったそうだ。
物語はメルヘンというか寓話みたいな作品だが、中にはかな
り厳しい現実も描かれており、特に一家の長女の件は詳細は
語られないものの、ブルース・リー映画が公開されていた当
時に、まだそういう現実が存在したことを伝えてくれる。
2025年10月紹介の作品もそうだったが、現実の厳しさは日本
人の想像を超えるものようだ。

公開は4月17日より、東京地区は新宿武蔵野館他にて全国順
次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ブエナワイカの招待で試写を観
て投稿するものです。


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井口健二