| 2025年05月25日(日) |
中山教頭の人生テスト、蔵のある街 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『中山教頭の人生テスト』 2024年6月紹介『箱男』などの渋川清彦が、2018年7月紹介 『教誨師』などの佐向大の脚本・監督で、究極の中間管理職 とも言える小学校の教頭を演じるヒューマンドラマ。 主人公は小学校の教頭。校長に次ぐNo.2の役職だが、その実 態はパワハラ気味の女校長の下で一般教師との板挟みやモン スターペアレンツ、近隣住人との軋轢など、いろいろな雑事 に振り回される毎日だ。 そんな主人公は教員生活30年、4年前に妻を亡くして中学生 の娘との2人暮らしとなり、生活安定のために校長への昇進 を目指しているものの、上述の雑事で校長試験の受験勉強も ままならない。 しかも校長の命令で学級担任を外された女性教師の代役の男 性教師に問題が発生し、叱責された男性教員が出勤を拒否。 止むなく主人公が臨時に担任を務めることになるが…。その クラスには様々な問題が生じていた。 恐らくは日本中の学校で起きている出来事が、縮図のように 描かれて行く。 共演は2002年のNHK朝ドラ『さくら』でヒロインを演じた 高野志穂。モデルとしても活動し本作で映画デビューの希咲 うみ。2008年ジュノンボーイ準グランプリの渡部秀。そして 舞台出身の高橋努。 さらに風間杜夫、石田えり。また足立智充、安藤聖、大鶴義 丹らが脇を固めている。 僕自身の親戚や家内の家族などに教育者が多くて、実際に義 父は高校の教頭から校長にもなった人なもので、教頭職の大 変さなどはいろいろ見聞きしていた。そんな記憶も懐かしく 甦る作品だった。 また学校の近隣からのクレームなどは最近のニュースでも話 題になったところだし、そんな教育現場の現在が描かれた作 品とも言えそうだ。そんな状況を巧み描き込んだ作品とも言 えるかも知れない。 しかもそれを解り易く描いているのは監督の手腕とも言えそ うだ。以前紹介の『教誨師』もそうだったが、注意して観な ければ判らないような社会の矛盾を巧みに描く。その手腕は もっと認められてよいと思う監督の作品だ。 公開は6月20日より、東京地区は新宿武蔵野館、YEBISU GAR DEN CINEMA他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ライツキューブの招待で試写を 観て投稿するものです。
『蔵のある街』 2018年11月18日付題名紹介『あの日のオルガン』などの平松 恵美子脚本、監督で、岡山県倉敷市出身の監督が故郷への思 いと、3・11以降の日本の状況なども折込んで描いたご当地 作品。 登場するのは男子2人と女子の高校生3人組。3人は小学校 からの同級生だが、母親の血を引いて絵の上手い女子が夢だ った美大受験を諦めると言い出す。そんな彼女には自閉症の 兄がいてそれも理由らしかった。 その兄が彼女の目を離した隙に神社の木に登り、花火が見た いと叫び出す。そこは駆け付けた男子の1人が「花火を見せ ちゃる」と言って木から降ろすことには成功するが、自閉症 の兄はその発言を信じてしまう。 それは女子の心を傷つけることにもなり、そこで本当に花火 を打ち上げるべく男子2人の奮闘が始まるのだが…。そこに は協力者も現れるものの、及び腰の商店街など様々な障害が 待ち構えていた。 出演は、東京都出身で5歳の時から芸能活動を行ってきたと いう山時聡真と熊本県出身で2021年に行われた松竹グループ のコンテストでグランプリ受賞の中島瑠菜。そしてバンクー バー五輪の銅メダリストでプロスケーターの高橋大輔。 因に高橋は倉敷市の出身でご当地枠という感じだが、実は彼 自身のショウプログラムで宮本亜門の演出を受けたことがあ るそうで、その経験から映画初出演の本作ではかなり重要な 役を担っている。今後も楽しめそうな人材だ。 さらに岡山県出身の堀家一希、前野朋哉、ミズモトカナコ、 MEGUMI。他に山田洋次組の林家正蔵、橋爪功らが脇を固めて いる。また主題歌を手嶌葵が担当しているのも話題になりそ うだ。 障害を持つ人物との交流や困難な約束を実現する展開などは ある種定番にも思えてくる展開だが、そこに倉敷という観光 地の特殊性を織り込んでそこは巧みに描かれている。そして さらに主人公と母親の関係などドラマも巧みな作品だ。 しかもそこに絵画芸術を織り込んでくる辺りは、さすが山田 組のヴェテラン脚本家のなせる業というところだろう。その 顛末と主人公との関りも見事に描き込まれていた。正しく日 本映画という感じの作品でもあった。 ただ最後に出るテロップは、これが決まりなのだろうし監督 の正直さの発露でもあるが、ちょっと悔しい気分になったこ とは事実だ。仕方のないことではあるが。 公開は7月25日より MOVIX倉敷他にて岡山県先行上映の後、 全国は8月22日から、東京地区は新宿ピカデリー他でロード ショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社マジックアワーの招待で試写を 観て投稿するものです。
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