井口健二のOn the Production
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2018年04月15日(日) 死の谷間(妻よ薔薇、ゆずりは、毎日がアルツ、さらば青春、四月の、TOKYO L D、サバービコン、キスできる、ウィンH、虹色D、リズと)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『死の谷間』“Z for Zachariah”
アメリカの児童文学作家ロバート・C・オブライエンの原作
で、1973年に他界した作家の死後に遺族の手で発表されて、
1976年度のエドガー賞 Best Juvenile Mystery Fiction部門
に輝いた小説の映画化。
因にオブライエンは、2014年に世界のアニメーション専門家
によって選出された歴代ベスト100で、41位に選ばれた“The
Secret of NIMH”(邦題:ニムの秘密)の原作者でもある。
物語の背景は核兵器を使用した全面戦争後の世界。地球上の
ほとんどの場所は放射能で汚染され、人間の居住は不可能に
なっている。ところがその中で唯一つの谷間だけが、地形や
気流の関係なのか汚染を免れていた。そして少女はその谷間
にたった1人で暮らしていた。
そんな谷間に1人の男が現れる。男は不格好な放射能防護服
で身を覆い、可動型の核シェルターを積んだ荷車を引いて谷
間に続く道をやってきたのだ。やがて谷間に辿り着くと男は
ガイガー計で放射線量を確認し、防護服を脱ぎ捨てて森に走
り込む。こうして谷間に第2の人間が現れた。
そんな男を少女は木々の陰から観察していたが、やがて声を
掛けざるを得なくなる。男の存在は善なのか悪なのか。緊張
した状態が続く中で物語は進行して行く。

出演は、2018年3月11日題名紹介『アイ,トーニャ』でオス
カー候補になったマーゴット・ロビー。2013年『それでも夜
は明ける』でオスカー候補のキウェテル・イジョフォーと、
2016年9月紹介『スター・トレック BEYOND』などのクリス
・パイン。
監督は2013年5月紹介『コンプライアンス−服従の心理−』
のクレイグ・ゾベル。脚本はイギリスのロンドン出身だが、
ロサンゼルスの南カリフォルニア大学で映画を学び、2013年
に“Breaking at the Edge”という作品で脚本家デビューを
果たしているニサール・モディの第2作。
本作は新人の登竜門ともされるサンダンス映画祭で、2015年
1月にプレミア上映された。
所謂‘Post-apocalyptic’と呼ばれるジャンルの作品だが、
その旗頭ともされる『マッドマックス』とは一線を画した作
品で、ある種のサヴァイヴァル・ドラマとも呼べるような展
開になっている。でも本当の狙いは登場人物たちの葛藤など
を描いた心理劇という感じだろう。
ただ映画で心理劇というのは小説より難しいもので、本作で
も登場人物たちの心理が明確に描き切れているかというと、
多少物足りない部分は残ってしまう。でもまあサヴァイヴァ
ル劇としてはそれなりに面白く描かれていたし、ほとんどの
観客はそれで満足できるものだろう。
海外の映画評でも評価は高いようだ。

公開は6月23日より、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロー
ドショウとなる。

この週は他に
『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ�掘�
(山田洋次監督が2016年から毎年1作のペースで発表してい
るシリーズの第3作。実は監督は2013年に全く同じ顔ぶれで
『東京家族』を撮っており、さらにその間には2014年『小さ
なおうち』、2015年『母と暮らせば』でも家族の絆を描いて
いる。そんな監督の新作は「妻の役割」の見直しという感じ
かな。男性の観客としては多少耳の痛い話が続くが、それな
りに夫の役割の説明もあるのは山田監督の心情というところ
かもしれない。脚本は平松恵美子との共同になっている。出
演は橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中嶋朋子、
林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優。他に小林稔侍、風吹ジュンら
のレギュラーに加えて、立川志らく、笹野高史、笑福亭鶴瓶
らがゲスト出演している。各派の落語家が並ぶのは監督の好
みかな。落語の人情噺とはちょっと違う雰囲気のお話だが。
公開は5月25日より、全国ロードショウ。)

『ゆずりは』
(2018年1月28日題名紹介『おみおくり』に続いて葬儀の現
場を描いたドラマ作品。先の作品では納棺師の技術的な側面
が江川悦子のスペシャルメイクを駆使して見事に描かれてい
たが、本作は葬儀社のあり方を問う作品。同様にいくつかの
エピソードを積み重ねながら、その中での新人の成長が描か
れる。そのエピソードが先の作品ではちょっとどうかなと思
うものもあったが、本作ではオーソドックスに涙を誘うよう
になっている。ただ両作共に自死の話があるのは、そういう
時代の反映なのだろうか? 出演はものまねタレントのコロ
ッケ、ただし本作では本名の滝川広志名義で登場し、お笑い
は封印している。他に、2016年10月紹介『オー・マイ・ゼッ
ト!』などの柾木玲弥。監督はテレビの人気ディレクターで
映画は2004年以来2作目の加門幾生。公開は6月16日より、
東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)

『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル 最期に死ぬ時。』
(2014年5月紹介した作品の続き。前作では認知症の介護の
実態が巧みに描かれ、今後の自分のあり方を考えさせられた
が、本作ではさらに進んで被介護者が最期を迎えるときの問
題がテーマとされる。それは多少不謹慎かなとも思えるテー
マだが、実は監督自身が入院手術という局面に立たされて、
それを真剣に取り上げざるを得なかったものだ。そしてその
中では、デイケアのあり方から終末医療、スイスで取材され
る「自死幇助」の問題まで、多岐に亘る側面が簡潔に判り易
く描かれていた。実はスイスでの問題に関しては以前にそれ
を扱ったドラマ作品を観て、その時は多少怒りに近い感覚だ
った記憶があるが、今回は真剣に論じられる様子が正にこれ
も考え方の一つという思いもした。そんなこれからの我々が
迎える問題が丁寧に描かれた作品だ。公開は7月14日より、
東京はポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)

『さらば青春、されど青春』
(2017年4月2日題名紹介『君のまなざし』に続く宗教家・
大川隆法の原案・製作総指揮により、幸福の科学出版が製作
した実写作品。出演は前作の大川宏洋と旧名清水富美加の千
眼美子。背景は昭和50年代、故郷を離れ東京の大学に進学し
た主人公は勉学に励んだ末に大手商社に就職。将来を期待さ
れエリート街道を進むが…。彼には他人に明かせない秘密が
あった。宗教家は自分と年齢が近いこともあって以前から興
味もあり、映画作品は初期のアニメーションからそこそこ観
てきた。その作品は結末は教義に従うもののそれなりにファ
ンタシーで忌憚なく観られたが、今回は宗教家の半自伝的な
作品で多少自慢話めくところが気になったかな。それに初期
の著作で語られた宗教に目覚めた瞬間が、今回は違う経緯の
ようで、それもちょっと残念に感じられた。公開は5月12日
より、東京は丸の内TOEI他で全国ロードショウ。)

『四月の永い夢』
(2016年『走れ、絶望に追いつかれない速さで』などの中川
龍太郎脚本・監督で、2017年のモスクワ国際映画祭で国際映
画批評家連盟賞とロシア映画批評連盟特別表彰をW受賞した
ヒューマンドラマ。3年前に中学校の音楽教師を辞め近くの
蕎麦屋で働ていた女性の許に、3年前に亡くなった恋人の書
き残した手紙が届くことから状況が動き出す。出演は2009年
8月紹介『携帯彼氏』などの朝倉あき。他に三浦貴大、舞台
女優の川崎ゆり子、青柳文子、高橋由美子、森次晃嗣、志賀
廣太郎、高橋惠子らが脇を固めている。監督の前作も観てい
るが、本作と同様に恋人や友人の死を受け入れられない主人
公が新たな道に歩み出すまでを描いていた。その心情は重く
中々紹介には踏み切れないものだ。でもそんな人が世間には
多くいることも事実なのだろう。公開は5月12日より、東京
は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)

『TOKYO LIVING DEAD ID♡L』
(2018年2月11日題名紹介『ラーメン食いてぇ!』などの熊
谷祐紀脚本・監督によるゾンビ作品。ブレイクの兆しの見え
てきた地下アイドル3人組のセンターが、楽屋に侵入してき
たゾンビに咬まれ、72時間後に発症の窮地に追い込まれる。
ところが隔離施設に移送中をファンだという警官に逃亡を幇
助され、とある探偵事務所に助けを求めるが…。蔓延し続け
るゾンビ禍の裏にはある重大な秘密が隠されていた。出演は
アイドルグループSUPER☆GiRLSの浅川梨奈、阿部夢梨と尾澤
ルナ(休業中)。他に星守紗凪、尚玄や『HiGH & LOW』など
パルクールのメムバーらがアクションを披露している。この
テーマは元々好きなものだが、日本製のゾンビ物には単なる
スプラッターではない、それなりの変化球で面白い作品も多
く存在する。本作もそんな一編。公開は6月9日より、東京
はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)

『サバービコン 仮面を被った街』“Suburbicon”
(2014年『ミケランジェロ・プロジェクト』などのジョージ
・クルーニーが、共同脚本にジョエル&イーサン・コーエン
兄弟を招いて、1950年代の人種差別問題と、その背後で起き
る奇妙な事件を脚色、自ら監督したドラマ作品。出演はマッ
ト・デイモン、ジュリアン・モーア、オスカー・アイザック
と、2018年3月紹介『ワンダー』にも出演して今注目のノア
・ジュープ。始りは白人居住区に引っ越してきた黒人一家に
対する排撃だが、それが徐々にエスカレートする様が恐ろし
い。でも本当に描かれるのはその背後で起きる白人一家の陰
湿な事件で、その描き方には正しくコーエン兄弟の毒が散り
ばめられていた。観客の苛々感を募らせるクルーニーの監督
も見事な作品だ。50年代の憧れだったアメリカの真実が描き
尽されている。公開は5月4日より、東京はTOHOシネマズ日
比谷他で全国ロードショウ。)

『キスできる餃子』
(2016年12月4日題名紹介『傷だらけの悪魔』では女子高生
役だった足立梨花が、いきなりバツイチ、子持ちの女性を演
じる宇都宮餃子がテーマのご当地映画。主人公はイケメンに
惚れて親の反対も押し切り結婚、出産した女性。しかしその
イケメンに裏切られ、娘の手を引いて故郷に戻ってくる。そ
こでは人気店を廃業した頑固な父親が待っていたが…。人気
店を再興しようとする主人公の挑戦に新進プロゴルファーの
若者が絡んで物語が展開する。共演は‘BOYS AND MEN’の田
村侑久。他に麻生祐未、浅野和之、佐野ひなこらが脇を固め
ている。また佐藤美希がゲスト出演しているのはJリーグ・
サポーターにはニヤリだろう。脚本と監督は『アンフェア』
などの原作者の秦建日子。2016年に三重県で撮った映画が評
価されての抜擢だそうだ。公開は6月15日から栃木県での先
行上映の後、22日より全国ロードショウ。)

『ウィンチェスターハウス』“Winchester”
(合衆国国家歴史登録財に指定されているカリフォルニア州
サンノゼに実在する邸宅を描いた作品。建築主のサラは銃器
ビジネスで財を成した一族の相続者で、製造した銃で殺され
た人々の霊に呪われていると信じ、家を建築し続ければ生き
長らえるとして、1922年に死去するまで38年間365日24時間
ぶっ通しの増築を続けたという。そこには様々の不思議な光
景も存在し、そんな邸宅の様子がオカルト的な物語と共に興
味深く描かれている。出演はDameの称号を持つヘレン・ミレ
ンと、2015年7月紹介『ターミネーター:新起動』などのジ
ェイスン・クラーク。脚本と監督は2010年9月紹介『デイブ
レイカー』などのマイクル&ピーター・スピエリッグ兄弟。
個人的には観に行きたかったが果たせなかった場所の一つ、
今回は内部も丁寧に紹介されて存分に楽しめた。公開は初夏
に東京はTOHOシネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)

『虹色デイズ』
(「別冊マーガレット」連載、水野美波原作少女コミックの
実写映画化。性格も趣味もバラバラな男子高校生4人組の友
情と恋愛事情が描かれる。中でも一番おくての主人公が人気
女子に片想いしたことに始まるすったもんだが描かれるもの
で、さすがに筆者も今の歳になるとちょっと気恥しいかな。
でも、正に青春真っ只中の需要層には共感される話なのだろ
う。出演は、「GENERATIONS from EXILE TRIBE」の佐野玲於
と、2018年1月28日題名紹介『坂道のアポロン』などの中川
大志。他に高杉真宙、横浜流星。脚本と監督は、2017年3月
12日題名紹介『笑う招き猫』などの飯塚健。実は4人の男子
に対して4人の女子が登場するが、その中の千葉ちゃんと称
する役柄が良く判らなかった。まあ別段本筋とは関係ないの
だが、描き方があまりに中途半端で気になってしまった。公
開は7月6日より、全国ロードショウ。)

『リズと青い鳥』
(京都府出身の作家・武田綾乃による原作小説『響け! ユー
フォニアム』を、2016年8月28日題名紹介『聲の形』を手掛
けた山田尚子の監督で制作したテレビアニメーションからの
完全新作劇場版。高校生最後の吹奏楽コンクールを目指して
練習に励む女子2人が、演奏中で掛け合いを披露するパート
の解釈を巡って悩み苦しみ、その中で2人の関係が明らかに
されて行く。それは友情なのか支配なのか…。実は上記『虹
色デイズ』にも同じような女子2人の関係があるのだが、本
作ではそれが主題となってより掘り下げられた物語が展開さ
れる。劇中に演奏される楽曲の原作とされる物語の映像化が
挿入され、その構成にも惹かれるものを感じた。声優は種崎
敦美と東山奈央。それに本田望結がキーとなる役柄を宛てて
いる。公開は4月21日より、東京は新宿ピカデリー他で全国
ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二