井口健二のOn the Production
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2018年01月14日(日) ジオストーム、風の色(東の狼、ラッキー、デトロイト、あなたの旅立ち、曇天に笑う)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ジオストーム』“Geostorm”
1994年『スターゲイト』以降のローランド・エメリッヒ監督
作品で共同製作と共同脚本を担当してきた盟友ディーン・デ
ブリンが、長編映画では初のメガホンを取った作品。
本作の予告編を観た人は、エメリッヒの盟友と聞いて納得し
てしまうと思うが、本作は単純なパニック映画ではない。勿
論エメリッヒ張りの豪勢なパニックシーンが売りの作品では
あるが、よく観るているとむしろSF映画として周到に考え
られた作品とも言える。
物語の背景は、異常気象による災害を防止するために地球を
覆うように配置された気象制御システムが構築された時代。
各国の協力の許に構築されたシステムは、暫定的にアメリカ
合衆国によって管理されているが、暫定期間の終了後は国連
の管理下に置かれることになっている。
ところがその期限が間近になったある日、システムに不具合
が発生し、中東の砂漠の村が極寒になる災害に見舞われる。
しかしホワイトハウスはその事実をひた隠しにし、一方では
システム構築の立役者だった博士に極秘でシステム修復の任
務が与えられるが…。
続いて香港が灼熱の災害に見舞われ、そこで背後に隠された
陰謀が浮かび上る。果たしてその陰謀の目的は? 衛星軌道
の制御ステーションで修復を進める博士と、ホワイトハウス
で政治折衝に当たる博士の実弟の2人が、地球を破滅に導く
陰謀に立ち向かう。

出演は、2013年4月紹介『エンド・オブ・ホワイトハウス』
などのジェラルド・バトラー、2012年12月紹介『クラウド・
アトラス』などのジム・スタージェス、2011年4月紹介『エ
ンジェル・ウォーズ』などのアビー・コーニッシュ。
さらに2008年7月紹介『コッポラの胡蝶の夢』などのアレク
サンドラ・マリア・ララ、2005年1月紹介『香港国際警察』
などのダニエル・ウー、そしてヒスパニック系俳優のエウヘ
ニオ・デルベス。
また、エド・ハリス、アンディ・ガルシアらのベテランと、
2016年10月紹介『MICメン・イン・キャット』に出ていた
子役のタリタ・エリアナ・ベイトマンが脇を固めている。
映像的には摩天楼の倒壊や、津波、竜巻、巨大な雹など正に
ディザスターシーンのつるべ打ちといった感じだが。本作で
僕が注目したのは、宇宙ステーションとの連絡手段として登
場するスペースシャトルだ。
現実のシャトルは2011年8月の飛行を最後に運用が終ってし
まったものだが、本作の世界では2本の補助ブースターと、
赤色の巨大な外部燃料タンクを装備した機体が何度も打ち上
げられる。
それは操縦性能など、現実のシャトルでは難しい描写も登場
するが、最後のシーンで背景にずらりと並んだ機体は、宇宙
開発の一時代を担ったシャトルへの惜別の思いが込められて
いるようにも感じられたものだ。

なお脚本はデブリンと、TVシリーズ“The Librarians”な
どの製作を手掛けるポール・ギヨーの共作となっている。
その他にも宇宙ステーションの運用や、ホイール部分が止っ
た時点から無重量になる描写など、細かい点ではいろいろあ
るだろうけど、全体としてはSF的にも良く描かれている感
じがした。
一方、その対極に描かれる政治劇は、戯画化されてはいるも
のの。アメリカ合衆国の現状を見ているとあり得るかなあと
も思えるところが、面白く、且つ恐ろしいところだった。

公開は1月19日より、2D/3D、IMAX3Dでの全国ロード
ショウとなる。なおマスコミ試写は2Dで行われたが、複雑
な宇宙ステーションの構造などは3D映えがしそうだ。

『風の色』
2008年10月紹介『最強☆彼女』などのクァク・ジェヨン監督
が、2008年3月紹介『僕の彼女はサイボーグ』以来となる日
本の映画人と組んだ作品。超常現象の1つとされるドッペル
ゲンガーと、イリュージョン・マジックとを組み合わせ、少
しファンタシーの要素も含む物語。
主人公は恋人の母親から彼女の死を伝えられ、そのショック
で部屋に閉じ籠っていた。そして100日目にようやく部屋を
出て訪れたマジシャンの店で、彼自身が100日前に預けたと
いう箱を渡される。しかし彼にはその記憶がなかった。
それでも持ち帰った箱を自室で開いた主人公は、その中に居
なくなった恋人のものだった品々を見つける。それは彼に彼
女との楽しかった日々を思い出させ、その思い出に支えられ
た主人公は、マジシャンの道を目指すようになる。
ところがそこで彼はドッペルゲンガーの話を聞き、2年前に
イリュージョン・マジックの最中に行方不明になった天才マ
ジシャンの容姿が自分にそっくりだったことを知る。そして
その天才マジシャンの恋人も彼の恋人にそっくりだった。
斯くして主人公は、生前の恋人が行きたいと語り、天才マジ
シャンが消えた北海道の海を訪れるが…。

出演は、2016年1月紹介『太陽』などの古川雄輝と、2015年
『人狼ゲーム』などに出演して本作には1万人のオーディシ
ョンから選ばれたという藤井武美。その脇を竹中直人、袴田
吉彦、中田喜子、石井智也、小市慢太郎らが固めている。
2013年10月及び2016年7月に紹介の『グランド・イリュージ
ョン』はイリュージョン・マジックを犯罪に結びつけたもの
だったが、本作ではそれがラヴストーリーに結び付けられて
いる。その辺はジェヨン監督の真骨頂というところかな。
それに本作のような容姿が同じ相手を、本人でないと知りつ
つ愛せるかという問題は、決して綺麗ごとでは済まないもの
だが。本作ではその点も見事に解決している。それはドッペ
ルゲンガーという事象も含めて巧みに描かれている。
この辺は脚本も手掛けた監督本人が「自分史上、最高のラヴ
ストーリー。」と言い切るだけのことはあるものだ。
その他、劇中に登場する様々なマジックも、Mr.マリック
の監修ということで、VFXも絡めて巧みに描かれている。
また鉄道と道路が並行に走るシーンでのやり取りは、恋愛映
画史上でもトップクラスに入るものと言えるだろう。
100日前に箱を預けたのが誰かなど、謎が残る部分もありは
するが、まずは最上級のラヴストーリーと言えそうだ。

公開は1月26日より、東京はTOHOシネマズ日本橋他にて全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『東の狼』
(2010年から2年に1度、奈良県で開催されている「なら国
際映画祭」が母体となって製作されたキューバの若手監督に
よる作品。1969年に日本キューバ合作で製作された黒木和雄
監督作品『キューバの恋人』で津川雅彦が演じたのと同じ名
前の初老の男を藤竜也が演じ、漁船を降り奈良の山奥で猟師
になった男が、絶滅したとされる日本狼の姿を追い求める。
製作総指揮を河�鹹照�が務めているが、脚本もキューバ側で
用意されたもののようで、多少日本の国情に合わないという
か、首を傾げたくなる展開も含まれている。狼をロマンの象
徴として描きたいのだろうが、僕にとって日本狼という存在
にはそれ以上の意味が出てきてしまうもので、その辺で題材
そのものに違和感が生じてしまった。僕のような思い入れが
なければ、問題ないことだとは思うが…。公開は2月3日よ
り、東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)

『ラッキー』“Lucky”
(2017年9月に91歳で亡くなった俳優ハリー・ディーン・ス
タントン主演による最後の作品。なお助演ではこの後に長編
1本とTVシリーズ“Twin Peaks”にも出演している。主人
公は田舎町に1人で暮らしている老境の男。そんな男と周囲
の人たちとの交流や諍いが淡々と描写される。脚本は俳優の
アシスタントだったローガン・スパークスが俳優に当て書き
したもので、中で語られるエピソードなども実話のようだ。
そして共演者には“Twin Peaks”監督のデヴィッド・リンチ
を始め、1970年『エイリアン』でもスタントンと共演したト
ム・スケリット、1960年代TVシリーズ『タイムトンネル』
のジェームズ・ダーレンなど懐かしい顔ぶれが並んでいる。
監督は2007年4月紹介『ゾディアック』などの俳優でもある
ジョン・キャロル・リンチ。公開は3月17日より、東京は新
宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)

『デトロイト』“Detroit”
(2010年2月紹介『ハート・ロッカー』や、2013年1月紹介
『ゼロ・ダーク・サーティ』などで鮮烈な印象を残すキャス
リン・ビグロー監督が、1967年にミシガン州で発生した黒人
暴動と、その背後で起きた実際の事件を描いた作品。暴動の
シーンの多くは当時のニュース映像が援用され、本作では主
にその陰に隠されたアルジェ・モーテル事件が再現される。
そこでは黒人差別に基づく白人警官による違法な権力行使が
描かれる。それはソリッド・シチュエーション・ホラーにも
匹敵する恐怖に満ちたものだ。正直に言って監督の前記2作
品は白人社会の体制に沿ったものとも取れたが、本作では最
終的な結論も含めて白人社会を告発するものになっている。
それは日本人の我々には中々理解し難いものだが、本作では
そこにホラー的な演出を持ち込むことで感覚的な理解も得ら
れるものだ。公開は1月26日より、全国ロードショウ。)

『あなたの旅立ち、綴ります』“The Last Word”
(2009年5月紹介『ココ・シャネル』などのシャーリー・マ
クレーンと、2015年10月紹介『ネバーランド、夢の始まり』
などのアマンダ・セイフライドの共演で、老境の女性と新進
文筆家の交流を描いた作品。登場するのは、成功者だが周囲
に友人のいない老女。そんな女性がふと目にした新聞の追悼
欄には、知人の生涯が美辞麗句で書かれていた。しかしその
内容を承服できない老女は新聞社に乗り込み、自分の追悼記
事を先に書かせようとする。その求めに追悼記事の執筆者の
女性が応じたものの、取材を始めると老女の周囲には彼女を
良く言う人物が存在しなかった。それを知った老女は、自ら
の生涯を輝かしいものにするための行動を開始するが…。監
督は2002年8月紹介『プロフェシー』などのマーク・ペリン
トン。本作は随分と方向性の違った作品だ。公開は2月末〜
3月上旬に、東京はシネスイッチ銀座他でロードショウ。)

『曇天に笑う』
(滋賀県出身の漫画家唐々煙が故郷の琵琶湖を背景に描き、
すでにTVアニメ化や舞台化もされているコミックス作品の
実写映画版。300年に1度現れて災害をもたらすとされるお
ろちの復活を巡って、その阻止を宿命とされた3人兄弟が活
躍する。出演は福士蒼汰、中山優馬、若山耀人が扮する3兄
弟に、桐山漣、古川雄輝、東山紀之。さらに大東駿介、小関
裕太、市川知宏、加地将樹らが脇を固めている。監督は『踊
る捜査線』シリーズなどの本広克行。脚本は2016年12月18日
題名紹介『LUPIN THE �沓劭� 血煙の石川五ェ門』
などの高橋悠也が担当。主題歌をサカナクションと、劇中の
祭りシーンにも登場の和太鼓バンドGOCOOが提供している。
VFX多用のアクション作品だが、福士らの剣戟シーンもそ
れなりに工夫されている。ただ上映時間94分はちょっと物足
りないかな。周囲の状況などをもう少しじっくりと見たかっ
た。公開は3月21日より、全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
        *         *
 なお、今週は筆者が木曜日の夜に強烈な腰痛に見舞われ、
金曜日に予定していた
『しあわせの絵の具』“Maudie”
『ハッピーエンド』“Happy End”
『ANIMAを撃て!』
の試写を観逃した。後日観られるよう算段するつもりだが、
出来なかった場合に備えタイトルだけ記録しておく。


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井口健二