井口健二のOn the Production
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2017年12月24日(日) 牙狼 GARO 神ノ牙 KAMINOKIBA、ザ・リング/リバース

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『牙狼 GARO 神ノ牙 KAMINOKIBA』
2005年10月から2006年3月まで、テレビ東京系列の深夜枠で
全25話放送された特撮番組『牙狼<GARO>』は、その後
2010年7月紹介『GARO THE MOVIE 3D: RED REQUIEM』など
20作品以上が多岐に展開されてきたものだが、本作はその中
から2013年4月−9月に放送された道外流牙を主人公とする
テレビシリーズ第3作の集大成となる作品のようだ。
とは言うものの僕は全作品を観ている訳ではないが、邪念を
基に人に入り込みホラーと呼ばれる化身となって人類社会を
支配しようとする魔の存在と、それを狩る魔戒騎士と総称さ
れる変身ヒーローとの対決という図式が判っていれば、どれ
も問題なく鑑賞できるものだ。
その本作では、道外=牙狼と同じく魔戒騎士である蛇崩猛竜
が、女魔戒法師の策略で騎士の鎧を奪われる事態が発生。そ
こで高名な魔戒法師リュメに呼ばれた道外は、蛇崩とさらに
魔戒騎士の楠神哀空吏と共にその謎を追うことになる。
そこには神ノ牙と呼ばれるホラーを不滅存在にするアイテム
を巡って様々な思惑が交錯し、道外の最大のライヴァルで、
最強の敵ジンガが復活。さらにホラーの始祖を巡って壮絶な
戦いが繰り広げられる。
その戦いがアクションやCGIを駆使して描かれるものだ。

出演は栗山航、池田純矢、青木玄徳、井上正大、南里美希。
他に泉谷しげる、斉木しげる、影山ヒロノブ(声)らが脇を固
めている。
原作・監督・脚本は雨宮慶太、アクション監督は横山誠。シ
リーズの根幹を担う2人による2011年9月紹介『牙狼<GA
RO>〜MAKAISENKI〜』以来のタッグとなってい
る。
僕はこのシリーズは上記の2010年作から観させて貰っている
が、特に2011年紹介のテレビシリーズで人の邪念がホラーに
つけ込まれるという展開が好きだ。その点で言うと本作は、
魔戒騎士とホラーの戦いが主に描かれるもので、物語よりは
アクションが狙いの作品となっている。
とは言え一時期の作品のような異世界が舞台ではなく、現実
の都会が背景になっているということでは、多少足が地に着
いて来ているというか、僕の考える本来の姿に少し戻ってい
るという感じではあった。ただまあ僕の考える物語を突き詰
めるのは映画では難しいのだろう。
その辺は映画とテレビを巧みに渡り歩く作品と言えるのかも
しれない。なお本作は続きがあるようで、それがどのように
展開されるかも楽しみだ。

公開は2018年1月6日より、東京は新宿バルト9他にて全国
ロードショウとなる。

『ザ・リング/リバース』“Rings”
2005年4月紹介『ザ・リング2』“The Ring Two”に続く、
大ヒットジャパニーズ・ホラーのハリウッド版リメイク。
邦題の「リバース」は、劇中に‘REBIRTH’という単語が出
てくるものだが、片仮名からは‘reverse’も思い浮んで、
これはダブルミーニングなのかな? いずれにしても物語は
呪いのヴィデオを巡る恐怖が再び巻き起こるものだ。
そして今回は、大学の研究室が舞台となっており、これは原
作小説の続編『らせん』への伏線のようにも感じられる。こ
の続編は、日本では1998年に『リング』と同時公開で映画化
されているが、呪いに科学的なアプローチをする展開だ。
さらに原作小説は、『ループ』という作品で初期の3部作と
なるが、この第3部は完全にSF小説として書かれている。
実際に第3部は当時の日本SF大賞の候補にもなっており、
この時の選考委員だった僕は一番に推していた。
この様に原作小説はホラーからSFへ巧みに変成して行くも
のだが、日本の映画化では上記の『らせん』までしか製作さ
れていない。そこで本作では遂にハリウッド版『らせん』が
期待されるものだが、そこから『ループ』に進めるか?
実は以前にこれらの作品を考察した時に、『らせん』の映像
化までは日本映画でも何とかなるが、『ループ』は日本では
無理ではないかと考えた。それはSFマインドの点で当時の
日本の映画人にはそれができないと思ったものだ。
そこに今回はハリウッドが挑戦してくれるかもしれない。そ
んな期待を感じさせる作品にもなっている。ただしハリウッ
ドの映画人でも、これをしっかりと受け止めて映像化するの
は、かなりハードルが高そうだ。
これを脚色、監督できるのは、僕には2014年11月紹介『イン
ターステラー』などのクリストファー・ノーラン監督ぐらい
しか思い浮かばないところだ。それくらいの究極のSFドラ
マが『ループ』では期待される。

本作の監督は、2008年の長編処女作“Tres días”(DVD
邦題『アルマゲドン・パニック』)がベルリン国際映画祭の
パノラマ部門で上映されたというスペインの俊英F・ハビエ
ル・グティエレス。監督の第2作にして初のスタジオ作品だ
そうだ。
脚本は、2012年9月紹介『ドリームハウス』などのデヴィッ
ド・ルーカが担当した。因に前作は、『ザ・リング』の先の
2作をリードしたナオミ・ワッツが主演しているものだ。
出演は、イタリア出身でファッションモデルとしても活躍す
るマチルダ・ルッツ。女優のハリウッドデビュー作となる。
他に、2016年3月紹介『フィフス・ウェイブ』などのアレッ
クス・ロウ、2008年7月紹介『ハンコック』などのジョニー
・ガレッキ、2015年『ジュラシック・ワールド』などのヴィ
ンセント・ドノフリオらが脇を固めている。
ヴィデオの呪いは、観ると直後に電話が架かってくる。それ
から7日間で死に至る。それまでに誰かに見せれば呪いは移
るが、その人物が死ぬと戻ってくる。これは当初から変って
いないが、本作では研究室でテールと呼ばれる次の被験者を
用意するという展開になっている。
ところが本作で、ヒロインがヴィデオを観たと知った彼女の
婚約者が、直後に架かって来たテールが見つかったとする電
話に対してそれを断るシーンがあり、ここではヒロインなら
まだしも婚約者ではおかしい訳で、これは脚本の勇み足かな
と思ってしまった。
些細なことだがそんなことも気になる作品だ。

公開は2018年1月26日より、東京は渋谷HUMAXシネマ、TOHO
シネマズ新宿他で、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『ドリス・ヴァン・ノッテン
         ファブリックと花を愛する男』“Dries”
(1980年代末からベルギー・アントワープを本拠にメンズ&
レディースのコレクションを発表し、日本にもブティックを
展開する世界的なファッションデザイナーに密着したドキュ
メンタリー。作中には初期からのファッションショウの記録
映像も登場し、それに本人がコメントする趣向もあり、それ
はファッションに疎い僕でも納得のできる巧みな構成になっ
ていた。その他にも生地に拘るためにインドに織物工場を持
つなど、多角的且つ国際的な視野にも感心させられるところ
があった。最近ではファッションデザイナーのドキュメンタ
リーや伝記ドラマ作品も多いが、その中でも真摯に受け止め
られる作品だ。公開は2018年1月13日より、東京はヒューマ
ントラストシネマ有楽町他で全国順次ロードショウ。)
『北の桜守』
(吉永小百合の出演120作目という作品。戦前の樺太で桜樹
を育てるもソ連軍の侵攻で網走に帰還した女性の姿を描く。
時は1971年、オリンピックを翌年にした札幌では華やかな賑
わいと新たな店舗の進出が相次いでいた。その中にアメリカ
に渡ってコンビニエンスストアを知り、手腕を買われて凱旋
した女性の次男もいたが…。彼を追い立てるように送り出し
た母親との確執や、桜樹を見ると守らずにいられない女性の
物語が綴られる。共演は堺雅人、篠原涼子。他に佐藤浩市、
阿部寛らが脇を固めている。監督は2008年6月紹介『おくり
びと』などの滝田洋二郎。また作中では戦時下の様子が舞台
劇で描かれ、そこだけケラリーノ・サンドロヴィッチが演出
を担当。公開は2018年3月10日より、全国ロードショウ。)
『ローズの秘密の頁』“The Secret Scripture”
(第2次世界大戦下のアイルランドを舞台にした1人の女性
の物語。彼女は戦後50年余りを精神病院で暮らしていた…。
作品は彼女の転院手続きで鑑定にやって来た医師の目から描
かれ、戦時下アイルランドの特殊な事情が語られる。出演は
ルーニー・マーラ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ。他にジャ
ック・レイナー、テオ・ジェームズ、エリック・バナらが脇
を固めている。製作、脚本、監督は1993年『父の祈りを』な
どのジム・シェリダン。実は映画では語られないが、大戦中
のアイルランドは中立の立場を取りながらも反英の国民感情
から枢軸側に肩入れしていた事実があり、それを知っている
といろいろ興味深い作品だ。公開は2018年2月3日より、東
京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『チェリーボーイズ』
(林遣都、�暴啾析此∩位酳�哉が田舎町の25歳童貞3人組を
演じる青春(?)コメディ。林が演じるのは音楽をやると東京
に出たものの、何もしないまま父親の病気で家業を継ぐため
に帰ってきた若者。そんな若者が幼馴染と再会するが、その
町には昔からの苛めっ子や、東京で風俗嬢だったという噂の
女性もいて…。共演は2017年9月17日題名紹介『一礼して、
キス』などの池田エライザ。他に吹石満、立石涼子らが脇を
固めている。脚本は、2017年11月5日「東京国際映画祭」で
紹介『アイスと雨音』などの松居大悟、監督は助監督出身の
西海謙一郎が長編デビュー。原作は古泉智浩のコミックスの
ようだが、話は有り勝ちかな。公開は2018年2月17日より、
東京はシネ・リーブル池袋他で全国ロードショウ。)
『花咲くころ』“გრძელი ნათელი დღეები”
(1992年のジョージア内戦を背景にした2人の少女の青春ド
ラマ。1991年にソ連邦から独立したジョージアは、その後に
激しい民族間の紛争に巻き込まれる。そんな中で束の間の平
穏が訪れた首都トリビシ。しかし1人の少女の父親は政治的
な意図で刑務所に入ったまま。そしてもう1人の少女は恋人
から護身用の拳銃を渡される。それでも少女たちは学校生活
や街でのお喋りを楽しんでいたが…。脚本と監督は、1978年
トリビシ生まれのナナ・エクフティシュヴィリ。共同監督に
ドイツ出身のジモン・クロス。物語はジョージア出身監督の
体験に基づくもののようだが、拳銃に関る緊張感も堪らない
作品だ。公開は2018年2月3日より、岩波ホール創立50周年
記念作品として上映後、全国順次ロードショウ。)
『彼の見つめる先に』“Hoje Eu Quero Voltar Sozinho”
(2014年のベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞し
たブラジルの作品。一般学級に通う盲目の少年の性の目覚め
を描く。主人公は近所に住む幼馴染の少女と共に通学してい
るが、夢は海外留学。そして彼女の手助けで盲人の学生を受
け入れてくれる留学先も見つけるが、彼女は町を出ることに
消極的で、過保護な両親にも話せない。そんな苛々を感じた
日、同じクラスに少年が転校してくる。その少年は学内の女
子の人気者になり、幼馴染の少女も気にしてるようだが…。
脚本と監督は本作で長編デビューのダニエル・ヒベイロ。自
作の短編を長編化したようだが、監督のコメントには重大な
ネタバレがあるので要注意。公開は2018年3月10日より、東
京は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『ナチュラルウーマン』“Una Mujer Fantastica”
(主人公はウェイトレスをしながらナイトクラブで歌ってい
るトランスジェンダー。初老の恋人と仲睦まじい生活だった
が、その恋人が突然の病気で死んでしまう。ところが死因を
不自然とする元妻や息子が現れ、さらには性犯罪専門の女性
刑事も登場して話が混迷して行く。脚本と監督は2013年『グ
ロリアの青春』でベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)受賞の
セバスチャン・レリオ。本作でも銀熊賞(脚本賞)受賞した。
出演は実際にトランスジェンダーのダニエラ・ヴェガ。他に
2017年10月29日題名紹介『ネルーダ』などのルイス・ニェッ
コや、主にチリのテレビ俳優が脇を固めている。物語には謎
解きの要素もあってそれなりに面白い。公開は2018年2月、
東京はシネスイッチ銀座他で全国ロードショウ。)
『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
                   “The Big Sick”
(パキスタン出身のスタンダップ・コメディアン=クメイル
・ナンジアニの実話に基づく作品。息子を弁護士にするため
アメリカにやって来た一家。しかし息子はコメディアンの道
を進んでいる。そんな息子が劇場でヤジを飛ばした女性と親
しくなる。しかしイスラム教徒の彼にとって他教徒との結婚
は家族を捨てることだった。ところが優柔不断の彼に愛想を
尽かした彼女が突然重病になり、駆け付けた彼は治療のため
人工的に昏睡状態する許可を求められるが…。実話の本人が
主演し、共演にはエリア・カザンの孫娘のゾーイ・カザン。
他にホリー・ハンターらが脇を固めている。製作総指揮ジャ
ド・アパトー。公開は2018年2月23日より、東京はTOHOシネ
マズ日本橋他で全国順次ロードショウ。)
『ザ・シークレットマン』
“Mark Felt:The Man Who Brought Down the White House”
(2005年に正体が明かされた1974年ニクソン辞任劇の引き金
となったディープ・スロート。その出来事を実話に基づいて
描いた作品。1972年J・エドガー・フーバー長官が死去。そ
れを機にFBIの機密を得んとする政権の動きが強まる。こ
れに対して副長官の座にあったマーク・フェルトは、ニクソ
ンが潔白とされたウォータゲート事件などの捜査情報をワシ
ントン・ポスト紙やその他の報道機関に匿名で提供。遂には
辞任に追い込む。今またトランプ疑惑が高まる中、本作は歴
史の繰り返しを暗示するか? 出演はリーアム・ニースン、
ダイアン・レイン。製作、脚本、監督は元従軍記者という異
色な経歴のピーター・ランデズマン。公開は2018年2月24日
より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『ジュピターズ・ムーン』“Jupiter holdja”
(カンヌ映画祭コンペティションに出品され、審査員だった
ウィル・スミスが絶賛したという作品。一応SF映画とされ
ているので僕としては大きく扱うべきなのだろうが、実態は
SFというより宗教的な側面が強く感じられるもので、取り
上げることを躊躇してしまう。特に主人公が行う人体浮遊が
奇跡とされるのは、イエスを考えるし、映画の中では天使を
観たという表現まで出てくる。つまり超能力ではないという
ことだ。しかも内容は全てを失った男が主人公によって救わ
れて行くもので、感動的なドラマにはなっている。監督は、
2010年“A Frankenstein-terv”という作品もカンヌ映画祭
に出品されたコーネル・ムンドルッツォ。公開は2018年1月
27日より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二